特許第5810107号(P5810107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカギの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5810107
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】外気冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20151022BHJP
【FI】
   F24F1/00 331
【請求項の数】6
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-9560(P2013-9560)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-142089(P2014-142089A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】592243553
【氏名又は名称】株式会社タカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】稲森 隆
(72)【発明者】
【氏名】小林 聡
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−225516(JP,A)
【文献】 特開2010−281565(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3168739(JP,U)
【文献】 特開2006−002967(JP,A)
【文献】 国際公開第03/068279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と薬液とを混合する混合装置と、
前記混合装置に接続し、薬液混合水を供給する混合水供給路と、
前記混合水供給路に連結し、前記混合水供給路から供給される薬液混合水を噴霧する噴霧手段を少なくとも一つ有する外気冷却装置であって
前記混合装置は、水が流通する管路部と、この管路部へ薬液を供給するための薬液供給路と、前記薬液供給路に配設された薬液供給機構とを備えており、
前記管路部は、主管路部と、主管路部から分岐し、主管路部に戻る分岐管路部とを有し、前記薬液供給機構が、前記分岐管路部における水の流れを利用した駆動装置によって駆動されていることを特徴とする外気冷却装置。
【請求項2】
前記混合装置は、本体部と、駆動体収容部とを有し、
前記本体部は、本体ブロックと、前記本体ブロックに組みこまれた円柱状の薬液供給部材と、前記本体ブロックに取り付けられた薬液容器とを有し、
前記主管路部は、本体ブロックに形成され、前記駆動体収容部が、分岐管路部を有し、
前記薬液容器は、前記本体ブロックの上面から鉛直下方に伸び、主管路部にまで至る第一穴の開口部に取り付けられ、
前記薬液供給部材は、前記本体ブロックの側面から水平に延び、前記第一穴に直交して連通するとともに、さらに前記主管路部に連通する円筒状の第二穴に自軸周りに回転可能に収容されて、薬液供給機構を構成する請求項1に記載の外気冷却装置
【請求項3】
前記薬液は、虫を忌避させる忌避剤および/または香料である請求項1又は2に記載の外気冷却装置。
【請求項4】
前記噴霧手段は、混合水を円錐状に噴霧するものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の外気冷却装置。
【請求項5】
前記噴霧手段は、混合水を鉛直方向に対して傾斜する方向に噴霧するように設置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の外気冷却装置。
【請求項6】
前記混合装置は、薬液の混合比率を変更する機構を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の外気冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気冷却装置に関するものであり、より詳しくは、ミスト型外気冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋外、駅、工場の作業場などの気温が高い場所において、気温を低下させるための装置として、ミスト型冷却装置が知られている。ミスト型冷却装置は、水を噴霧することにより、水の気化熱により外気温を低下させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、送風機の吸引口または/および吹出口に、冷熱源からの冷水が通水する熱交換器を取付けると共に、水道水を噴霧する噴射ポンプの噴霧ノズルを前記送風機の吹出口に、吹出方向に沿って取付けて、熱交換された冷風と共に前記噴霧ノズルから水道水をミスト状に噴霧して、気化熱により屋外の空気を冷却するようにしたことを特徴とする外気冷却装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ミスト状に水を噴霧する冷却装置において、噴霧用のミストノズルが設けられたコイル状の給水管を樹木の枝に緩く巻き掛けたことを特徴とする冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−41881号公報
【特許文献2】特開2010−63997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薬液を効率的に混合した混合水を噴霧する新規な外気冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の外気冷却装置は、水と薬液とを混合する混合装置と、前記混合装置に接続し、薬液混合水を供給する混合水供給路と、前記混合水供給路に連結し、前記混合水供給路から供給される薬液混合水を噴霧する噴霧手段を少なくとも一つ有することを特徴とする。
【0008】
所望の薬液を混合した混合水を噴霧することで、単に外気温を低下させるだけではなく、混合水を噴霧する場所に、所望の薬液の噴霧効果を付与することができる。
【0009】
前記混合装置は、水が流通する管路部と、この管路部へ薬液を供給するための薬液供給路と、前記薬液供給路に配設された薬液供給機構とを備えており、前記薬液供給機構が、前記管路部における前記水の流れを利用した駆動装置によって駆動されるように構成されていることが好ましい。また、前記混合措置は、薬液の混合比率を変更する機構を備えることが好ましい。
【0010】
前記薬液としては、例えば、香料および/または虫を忌避させる忌避剤を挙げることができる。斯かる態様では、混合水を噴霧する場所に所望の香りを付与したり、あるいは、混合水を噴霧する場所を、昆虫や動物などから忌避することができる。
【0011】
前記噴霧部としては、混合水を円錐状に噴霧するものを用いることが好ましい。また、前記噴霧部は、混合水を鉛直方向に対して傾斜する方向に噴霧するように設置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外気冷却装置によれば、所望の薬液混合水を噴霧することにより、外気を冷却するだけでなく、薬液の効果を発現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の外気冷却装置を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明で使用する混合装置の一実施形態を示す斜視図である。
図3図3は、図2の混合装置に用いられている本体ブロックの斜視図である。
図4図4は、図2の混合装置の本体部h1の内部構造を示す斜視図である。
図5図5は、図4のF5−F5線に沿った断面図である。
図6図6は、図4のF6−F6線に沿った断面図である。
図7図7は、薬液供給部材の分解斜視図である。
図8図8(a)は、図6の要部が拡大された断面図である。この図8(a)は、薬液排出位置における断面図である。図8(b)は、図8(a)のF8B−F8B線に沿った断面図である。
図9図9(a)は、図6の要部が拡大された断面図である。この図9(a)は、薬液受入位置における断面図である。図9(b)は、図9(a)のF9B−F9B線に沿った断面図である。
図10図10は、押さえ弁と回転部材との関係を示す図である。
図11図11は、図2に示される混合装置の斜視図である。この図11では、駆動体収容部の内部が示されている。
図12図12は、図6のF12−F12線に沿った断面図である。
図13図13は、図12のF13−F13線に沿った断面図である。
図14図14は、流量調整弁の斜視図である。
図15図15(a)は、本発明で使用する混合装置の一実施形態の構成を示す概略図であり、図15(b)は、本発明で使用する混合装置の別の実施形態の構成を示す概略図である。
図16図16(a)は、他の実施形態に係る混合装置を示す概略図であり、図16(b)は、更に他の実施形態に係る混合装置を示す概略図である。
図17図17は、他の実施形態に係る混合装置を示す断面図である。
図18】本発明で使用する噴霧手段の一実施形態であるミストノズルを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図19】同ミストノズルの垂直断面図である。
図20】同ミストノズルの分解図である。
図21】同ミストノズルのミストキャップを示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。
図22】同ミストノズルの水流制御部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は底面図である。
図23】ミストキャップおよび水流制御部材の収容状態を示す断面図である。
図24】同ミストノズルの組み立て作業例を示す説明図である。
図25】(a)は同ミストノズルの導入筒および分岐筒の斜視図であり、(b)は両者の結合を示す斜視図である。
図26】(a)はA−A線断面図であり、(b)はC部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の外気冷却装置は、水と薬液とを混合する混合装置と、前記混合装置に接続し、薬液混合水を供給する混合水供給路と、前記混合水供給路に連結し、前記混合水供給路から供給される薬液混合水を噴霧する噴霧手段を少なくとも一つ有することを特徴とする。以下、図面を参照しながら、本発明を、好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1には、本発明の一実施形態に係る外気冷却装置が概略的に示されている。外気冷却装置100は、水と薬液とを混合する混合装置1と、前記混合装置1に接続し、薬液混合水を供給する混合水供給路200と、前記混合水供給路に連結し、前記供給路から供給される薬液混合水を噴霧する噴霧手段300を少なくとも一つ有することを特徴とする。
【0016】
前記混合装置1は、水と所望の薬液を混合できるものであれば、特に限定されない。水と所望の薬液との混合は、バッチ式、あるいは、連続的または間欠的に行うことができ、連続的または間欠的に行うことが好ましい。混合装置1に水を供給する態様としては、例えば、水道管または貯水タンクから混合装置1に水を供給する態様が挙げられる。図1では、水道管201から、前記混合装置1に水を直接供給し、混合装置1にて連続的または間欠的に薬液と混合する態様を示している。混合装置1を水道管201に直接接続する態様では、噴霧手段300が、水道水の圧力を利用して、混合水を噴霧することできる。そのため、他の動力源が不要となり、経済的である。
【0017】
図1では、混合装置1に接続する混合水供給路200に、3個の噴霧手段300が連結されている。噴霧手段300は、両端の継手304で混合水供給路200と連結され、中央部に形成された噴霧口305から混合水を噴霧する。なお、最下流に配置される噴霧手段300は、その端部をホースエンド306によって閉塞されている。
【0018】
本発明の外気冷却装置は、混合装置として、水が流通する管路部と、この管路部へ薬液を供給するための薬液供給路と、前記薬液供給路に配設された薬液供給機構とを備えており、前記薬液供給機構が、前記管路部における前記水の流れを利用した駆動装置によって駆動されている混合装置を有することが好ましい。斯かる混合装置によれば、薬液と水とを連続的または間欠的に混合することができる。
【0019】
図2は、本発明で好ましく使用する混合装置1の斜視図である。混合装置1は、本体部h1と、駆動体収容部g1とを有する。図3は、本体部h1の一部を構成する本体ブロック2の斜視図である。図4は、本体部h1の内部構造を示す斜視図である。図5は、図4におけるF5−F5線に沿った断面図であり、図6は、図4におけるF6−F6線に沿った断面図である。
【0020】
本体部h1は、本体ブロック2と、本体ブロック2に組み込まれた円柱状の薬液供給部材3と、本体ブロック2に取り付けられた薬液容器4と、本体ブロック2に組み込まれた円筒状の押さえ弁5と、流量調整弁VL1(後述)を駆動するモータ6とを有している。なお図4では、モータ6及び調整弁用穴10の記載が省略されている。本体部h1は、薬液供給機構h2を有している。
【0021】
駆動体収容部g1は、分岐管路部7b(後述)と、ケースks1と、回転力発生部g2とを有する。ケースks1と本体部h1との境界面には、パッキンPkが設けられている(図6参照)。このパッキンPkにより、水密性が向上している。
【0022】
図3が示すように、本体ブロック2は、1つの調整弁用穴10と、2つの第一穴11と、2つの第二穴12とを有している。また、本体ブロック2は、2つの開口7hを有している。これらの開口7hは、分岐管路部7b(後述)の中途に位置する。更に、本体ブロック2は、入口側の突出管P1と、出口側の突出管P2とを有する。この本体ブロック2は、本体部h1のボディである。1つの調整弁用穴10には、流量調整弁VL1(後述)が挿入されている。
【0023】
薬液容器4は、第一穴11の開口部に取り付けられている。駆動モータ6は、調整弁用穴10の外側に取り付けられている。駆動モータ6としては、ステッピングモータ、サーボモータ、DCモータ等が採用されうる。しかし、回転角度の制御が可能な上、安価であり、比較的高精度であり、必要なトルクが得られるステッピングモータが好ましい。
【0024】
なお、駆動モータ6は、設けられなくても良い。駆動モータ6を有さない実施形態については、後述される。
【0025】
本体ブロック2及びケースks1には、水等の液体が流通する管路部7が形成されている。管路部7は、主管路部7aと分岐管路部7bとを有する。主管路部7aは、本体ブロック2に形成されている。主管路部7aは真っ直ぐに延びる1本の管である。分岐管路部7bは、主管路部7aから分岐し、且つ、主管路部7aに戻る。分岐管路部7bについては、後述される。
【0026】
図5では、主管路部7aの左端が入口8であり、右端が出口9である。本発明では、左右端のいずれが入口8でも出口9でもよい。本体ブロック2には、上記主管路部7aに直交して連通する二本の円筒状の第一穴11が形成されている。第一穴11は、本体ブロック2の上面から鉛直下方に延び、主管路部7aにまで至っている。第一穴11の中心軸は、主管路部7aの中心軸にほぼ一致している。各第一穴11には、上記押さえ弁5が収容されている。
【0027】
本体ブロック2には、各第一穴11に直交して連通する円筒状の第二穴12が形成されている。第二穴12の中心軸は、第一穴11の中心軸と交わっている。第二穴12は、本体ブロック2の側面から水平に延び、第一穴11にまで至っている。この第二穴12は、上記主管路部7aに垂直な方向であって、主管路部7aのわずかに上方に延在している。更に、第二穴12は主管路部7aに連通している。第二穴12及び第一穴11は、ともに有底である。各第二穴12には、上記薬液供給部材3が自軸回りに回転可能に収容されている。薬液供給部材3の端部には、第二穴12の開口端に設置された水車WTの出力軸z1が接続されている。薬液供給部材3は、水車WTにより、自軸回りに回転駆動される。薬液供給部材3の回転部材21は、水車WTと同軸で回転する。水車WTは、駆動体収容部g1のケースks1内に配置されている(図6参照)。この水車WTは、回転力発生部g2である。この水車WTは、水の流れを利用した駆動装置である。この水車WTの詳細については、後述される。
【0028】
この混合装置1では、一つの薬液供給部材3、一つの薬液容器4及び一つの押さえ弁5により、主管路部7aに対する一つの薬液混合ユニットが構成されている。この本体ブロック2では、一本の主管路部7aに沿って、直列に二つの薬液混合ユニットが構築されていることになる。本発明では、一つの本体ブロック2に対し、一つの薬液混合ユニットのみが構築されてもよく、三つ以上の薬液混合ユニットが構築されてもよい。一つの主管路部7aに複数個の薬液混合ユニットが構築されることにより、複数種の薬液の混合量を別々に調整しながら供給することができる。また、一つの本体ブロックに複数本の主管路部7aが形成され、各主管路部7aに薬液混合ユニットが構築されてもよい。このような、駆動装置によって回転駆動される部材(薬液供給部材3)は、回転数によって精密に薬液供給量を調整でき、また、前後移動の繰り返し等によって薬液を供給する装置に比して耐久性や低振動性に優れ、さらに装置コストも抑えることができる。従って、薬液供給機能としてこのような回転部材を採用することが好ましい。
【0029】
図5及び図6が示すように、上記押さえ弁5は、段差部13を介して大径部14と小径部15とから構成されている。押さえ弁5の中心軸に沿って貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、薬液が通る薬液供給路17を構成する。第一穴11の開口部には、フランジ部18fを有する円筒状の薬液容器止め具18が取り付けられている。薬液容器止め具18は、そのフランジ部18fが、本体ブロック2の外表面に、図示しないガスケットを介装し、図示しないボルト等によって着脱可能に取り付けられている。この薬液容器止め具18の上端の内径側には、薬液容器4の口部が水密に且つ着脱可能に装着されている。薬液容器止め具18の下端の内径側には、押さえ弁5の小径部15が、Oリング19を介して嵌合されている。押さえ弁5は、薬液容器止め具18に対して上下動可能である。薬液容器止め具18は、薬液容器4の脱着性をよくするため、または装着を確実にするために付設することが好ましい。
【0030】
第一穴11における、薬液容器止め具18の下面と押さえ弁5の段差部13との間の空間には、第一コイルばね20が圧縮状態で装着されている。この第一コイルばね20は、押さえ弁5の小径部15の外周に装着されている。この第一コイルばね20により、押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21(後述)の外周面に弾力的に押圧されている。従って、上記薬液供給路17は、薬液容器4の口部から、貫通孔16を通って、回転部材21の外周面にまで至っている。薬液は回転部材21の外周面にまで充満する。
【0031】
押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21の外周面と相補的な、部分円柱状の凹状に形成されている。回転部材21の外周面と、押さえ弁5の下端面5aの凹部とは、同一の曲率を有する円柱面状を呈している。この形状により、押さえ弁5の下端面5aは、自軸回りに回転する回転部材21の外周面に摺接する。この押さえ弁5の下端面5aが、回転部材21の摺接支持面を構成する。押さえ弁5は、この回転部材21の外周面に摺接することにより、閉弁が可能となる。押さえ弁5の大径部14の外径は、回転部材21の外径より大きくされている。押さえ弁5の開閉動作の詳細については後述する。
【0032】
図7は、薬液供給部材3の分解斜視図である。図8(a)は、図6の要部を拡大して示す断面図であり、図8(b)は、図8(a)におけるF8B−F8B線に沿った断面図である。図8(a)及び図8(b)は、薬液供給部材3が薬液排出位置にあるときの断面図である。図9(a)は、図6の要部を拡大して示す断面図であり、図9(b)は、図9(a)におけるF9B−F9B線に沿った断面図である。図9(a)及び図9(b)は、薬液供給部材3が薬液受入位置にあるときの断面図である。
【0033】
本実施形態では、この薬液供給部材3が薬液供給機構h2を構成している。薬液供給部材3は、上記回転部材21及び計量部形成部材22を有している。回転部材21は、自軸回りに回転可能に、第二穴12に収容されている。回転部材21は、出力軸z1との連結側端部(基端部という)に、大径被支持部33を有している。回転部材21は、その先端部に、小径被支持部34を有している。第二穴12の開口部近傍35は、上記大径被支持部33の外径とほぼ同一の内径を有している。第二穴12の奥端部近傍36は、上記小径被支持部34の外径とほぼ同一の内径を有している。回転部材21は、第二穴12の開口部近傍35及び奥端部近傍36、並びに、上記押さえ弁5の下端面(摺接支持面)10によって回転可能に支持されている。上記回転部材21における、長手方向(軸方向)の両端近傍それぞれに、Oリング37が装着されている。従って、水が駆動体収容部g1側に進出することが防止されている。
【0034】
回転部材21には、収容凹所23が形成されている。収容凹所23は、回転部材21の軸方向に延びている。この収容凹所23に上記計量部形成部材22が収容される。この計量部形成部材22及び収容凹所23並びに後述する小径及び大径の貫通孔30、31が計量部を構成する。収容凹所23の開口部分は、蓋部材24によって閉止される。蓋部材24は、上記開口部分に装着されるものであり、接着剤、ネジ等によって上記開口部分に固着されていてもよい。上記計量部形成部材22は、基板25と、この基板25の上面に相互に離間して突設された一対の突起26と、基板25上における一対の突起26同士の間に突設された計量凸部27とを有している。突起26同士の間隔は、突起26の機能(押さえ弁5の下端面5aにより押圧される)を確保するために、押さえ弁5の大径部14の外径より小さくされている。一対の突起26と計量凸部27とは一直線に整列している。この詳細は、後に混合装置1の動作の説明において説明される。基板25の背面と蓋部材24との間には、第二コイルばね28が圧縮状態で装着されている。蓋部材24及び基板25それぞれの対向面には、第二コイルばね28の端部が嵌着されるばね座としての円形凹所29が形成されている。
【0035】
図7に示されるように、計量凸部27の高さは、突起26の高さよりわずかに低い。上記収容凹所23の底部には、三つの貫通孔30、31が形成されている。真ん中の大径貫通孔31には、上記計量凸部27が挿通される。大径貫通孔31の左右両側に形成された一対の小径の貫通孔30には、上記一対の突起26が挿通される。三つの貫通孔30、31は一直線に整列している。
【0036】
[進出位置:薬液排出位置]
図8(a)及び図8(b)に示されるように、計量部形成部材22が収容凹所23内に収容されて、第二コイルばね28の復元力によってその基板25の上面が収容凹所23の底面に接したとき、上記一対の突起26の先端が、小径貫通孔30の開口30aから外方へ突出する。すなわち、第二コイルばね28により、一対の突起26の先端が外方へ弾力的に突出させられる。即ち、計量部形成部材22は、進出位置にある。このとき、上記計量凸部27の先端は、大径貫通孔31の開口31a(薬液受入開口ともいう)にまで至る。しかし、計量凸部27の先端は、開口31aから外方へは突出せず、回転部材21の外周面と一致する。突起26及び計量凸部27は、このような高さに形成されている(図7も併せて参照)。計量凸部27の先端面の形状は、回転部材21の外周面と同一の曲率を有する部分円柱面にされている。従って、計量部形成部材22が進出位置にあるとき、回転部材21の外周面の大径貫通孔31の部分は、凹凸のない円柱外面となっている。本願において、この位置は、薬液供給部材3の薬液排出位置と称される。
【0037】
[後退位置:薬液受入位置]
一方、図9(a)及び図9(b)に示されるように、外方へ突出した一対の突起26の先端部が、外力により、第二コイルばね28の復元力に抗して小径貫通孔30の内方へ押し返されて、回転部材21の外周面と一致したとき、計量凸部27の先端は、回転部材21の外周面、すなわち薬液受入開口31aから大径貫通孔31を内方に後退する。即ち、計量部形成部材22は、後退位置にある。従って、大径貫通孔31内の外方側には、空間32が形成される(図9(a)参照)。この空間32は、後述する薬液収容空間である。薬液収容空間32は、大径貫通孔31と計量凸部27の先端面とによって画される。薬液容器4から薬液供給路17を通ってきた薬液は、薬液受入開口31aから薬液収容空間32に受け入れられる。この位置は、薬液供給部材3の薬液受入位置である。
【0038】
このように、図9(a)及び図9(b)は、計量部形成部材22の後退位置である。この後退位置は、薬液供給部材3の薬剤受入位置である。一方、前述した計量部形成部材22の進出位置(図8(a)及び図8(b))では、薬液収容空間32が消滅している。この進出位置は、薬液供給部材3の薬液排出位置である。
【0039】
押さえ弁5の貫通孔16の中心軸に垂直な断面積がS1とされ、上記大径貫通孔31の中心軸に垂直な断面積がS2とされる(図9(b)参照)。S2/S1の値が大きすぎると、薬液の粘度が高い場合や、時間当たりの薬液の混入量が多い場合に、薬液収容空間32への薬液の導入が不完全となるおそれがある。S2/S1の値が小さすぎると、貫通孔16における薬液のたまり部が大きくなり、装置の大型化、コストアップ等を招来する可能性がある。また、薬液収容空間32の体積Vが小さくなり、時間当たりの薬液導入量の上限が過度に制限される可能性もある。そこで、S2/S1の値は、0.3以上3.0以下が好ましい。下限値は0.5以上がさらに好ましく、0.7以上がさらに好ましい。また、上限値は2.0以下がさらに好ましく、1.5以下がさらに好ましく、0.95以下が特に好ましい。本実施形態では、S2/S1の値は0.9とされている。
【0040】
薬液収容空間32の体積Vが小さすぎると、時間当たりの薬液導入量の上限が過度に制限されるおそれがある。また、過度に小さい場合には、薬液の粘度が高い場合等において、薬液収容空間32への薬液の導入が不完全になるおそれがある。この体積Vが大きすぎると、混合水の時間当たりの濃度変化が大きくなり、細かい濃度設定が難しくなるおそれがある。そこで、上記体積Vは、0.05cc以上1.00cc以下が好ましい。下限値は0.10cc以上がさらに好ましく、0.15cc以上がさらに好ましい。また、上限値は0.50cc以下がさらに好ましく、0.30cc以下がさらに好ましく、0.20cc以下が特に好ましい。本実施形態では、体積Vは0.15ccとされている。
【0041】
図9(b)に示された薬液収容空間32の深さTが小さすぎると、装置1の組み立て時や運転時に、部材が薬液収容空間32に引っ掛かるおそれがある。逆に、深さTが大きすぎると、薬液の粘度が高い場合等において、薬液収容空間32への薬液の導入が不完全になるおそれがある。そこで、深さTの値は、0.2mm以上4.0mm以下が好ましい。下限値は0.5mm以上がさらに好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。また、上限値は3.0mm以下がさらに好ましく、2.0mm以下が特に好ましい。本実施形態では、深さTは1.5mmとされている。
【0042】
混合装置1は、低混合率においても高精度な混合を行うことが期待できる。混合後の混合液の単位体積に対する、混入される薬液の体積割合が0.0001以上0.05以下の範囲において特に高精度な混合制御が期待できる。
【0043】
上記のように構成された混合装置1の動作が、図8(a)、図8(b)、図9(a)及び図9(b)が参照されつつ、以下に説明される。主管路部7aには水が流れている。薬液容器4内の薬液は、薬液供給路17内に充満し、薬液供給部材3の回転部材21の外周面にまで至っている。薬液供給部材3は、水車WT(回転力発生部g2)により、自軸回りに回転している。上記押さえ弁5の下端面5aは、回転部材21の外周面に摺接している。この摺接により、主管路部7aと薬液供給路17との間の液シールが実現されている。
【0044】
図8(a)及び図8(b)に示されるように、薬液供給部材3が回転して薬液排出位置に至ったとき、回転部材21の小径及び大径の貫通孔30、31の開口は、主管路部7a及び第一穴11が形成している空間に対向している。従って、突起26の先端は押されない。突起26は、上記空間7、11に向かって突出している。計量凸部27の先端は、回転部材21の外周面と一致し、薬液収容空間32が消滅している。
【0045】
薬液供給部材3が回転して薬液受入位置(図9(a)及び図9(b))に移行するとき、小径貫通孔30の開口から突出していた突起26の先端が、押さえ弁5の下端面5aによって小径貫通孔30の内方へ押される。これにより、計量部形成部材22が収容凹所23の内方へ後退する。計量凸部27も大径貫通孔31内を後退する。その結果、薬液受入開口31a及び薬液収容空間32が形成される。計量部形成部材22がこの状態のまま、薬液供給部材3がさらに回転し、図9(a)及び図9(b)に示される薬液受入位置に至る。この薬液受入位置では、薬液収容空間32は薬液供給路17である押さえ弁5の貫通孔16に対向している。薬液供給路17及び薬液受入開口31aを通って薬液が薬液収容空間32に流入する。
【0046】
薬液供給部材3が回転して薬液排出位置(図8(a)及び図8(b))に向かうとき、押さえ弁5の下端面5aによって閉止されていた小径貫通孔30の開口が開放される。これにより、突起26の先端が上記空間7、11に向かって突出する。これとともに、計量凸部27の先端が回転部材21の外周面まで進出する。これにより、薬液収容空間32が消滅し、薬液収容空間32内の薬液が主管路部7a内に排出される(図8(a)及び図8(b))。薬液供給部材3が一回転することにより、薬液収容空間32の容積とほぼ同一体積の薬液が、主管路部7a内を流れる水に混合される。水車WTの回転数を調整することにより、薬液供給部材3の回転数を調整し、時間当たりの薬液供給量を制御することができる。
【0047】
薬液供給部材3が回転し、薬液排出位置(図8(a)、図8(b))から薬液受入位置(図9(a)、図9(b))に向かうとき、主管路部7a内の水は薬液供給路17に逆流しない。すなわち、薬液排出位置から薬液受入位置に向かうとき、薬液収容空間32内に主管路部7a内の水が進入することが防止されている。これは、例えば、以下の構成による。
【0048】
図10は、押さえ弁5の下端と回転部材21との位置関係を示す正面図である。回転部材21の外周面に摺接している押さえ弁5の下端面の外周形状を、図10に示されるような形に定めることが可能である。回転部材21が、図10の矢印の方向に回転し、薬液供給部材3が薬液排出位置から薬液受入位置に向かっている状況を考える。この状況において、大径貫通孔31の薬液受入開口31aが先に押さえ弁5の下端面によって閉止され、その後、小径貫通孔30の開口が押さえ弁5の下端面の下に潜り込むことができる形状である。押さえ弁5の下端面をこのような形状とすることにより、薬液受入開口31aが閉止された後、計量凸部27が後退して薬液収容空間32が形成される。その結果、薬液供給部材3が薬液排出位置から薬液受入位置に向かうとき、主管路部7a内の水が薬液収容空間32内に進入することが防止される。主管路部7a内の水が薬液供給路17に逆流することが防止される。
【0049】
本実施形態では、突起26と計量凸部27とが一直線に整列し、小径貫通孔30と大径貫通孔31とが一直線に整列している。しかし、上記の水の逆流防止をより確実にするために、一対の突起26と計量凸部27との配置、及び、小径貫通孔30と大径貫通孔31との配置がわずかに変更されてもよい。図10において、大径貫通孔31だけが、回転方向に先行した位置(図10中のわずかに上方の位置)に変更されてもよい。計量凸部27の形成位置は、この大径貫通孔31の変更後の位置と一致するように、一対の突起26を結ぶ仮想直線上の位置から垂直方向(図中、上方)にわずかに変更される。
【0050】
押さえ弁5、回転部材21及び計量部形成部材22は、相互に当接及び摺接されるため、かかる使用条件に適した耐摩耗性を有する材料が選択される。耐摩耗性の観点から、特に、押さえ弁5と回転部材21とは、互いに硬度が異なる材料からなるのが望ましい。これらの部材5、21、22は、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。特に回転部材21は、寸法精度が要求されるため、ABS樹脂から形成されるのが好ましい。押さえ弁5は、潤滑性が要求されるため、ポリアセタールから形成されるのが好ましい。本体ブロック2は、使用される水圧に十分耐えうる強度を有した合成樹脂が選択されうる。
【0051】
図11は、混合装置1の斜視図である。この図11では、混合装置1の内部に配置された駆動体収容部g1が示されている。図12は、図6のF12−F12線に沿った断面図である。図13は、図12のF13−F13線に沿った断面を含む一部断面斜視図である。なお図11から図13では、モータ6の記載が省略されている。
【0052】
駆動体収容部g1は、分岐管路部7bと、2つの水車WTと、これらの水車WTを配置するための空間Vxとを有している。管路部7は、第一分岐D1と、第二分岐D2とを有している。分岐管路部7bは、第一分岐D1から第二分岐D2までの管路である。分岐管路部7bの入口は第一分岐D1である。分岐管路部7bの出口は第二分岐D2である。
【0053】
分岐管路部7bは、上流部R1と、中間部R2と、下流部R3とを有する。上流部R1は、第一分岐D1から第一の開口7h(7h1)までの部分である。中間部R2は、第一の7h(7h1)から第二の開口7h(7h2)までの部分である。下流部R3は、第二の開口7h(7h2)から第二分岐D2までの部分である。
【0054】
上流部R1は、本体部h1の本体ブロック2に設けられている。中間部R2は、駆動体収容部g1に設けられている。下流部R3は、本体部h1の本体ブロック2に設けられている。上流部R1は円筒状の(真っ直ぐな)穴であり、下流部R3も円筒状の(真っ直ぐな)穴である。曲がっていない上流部R1及び下流部R3は、本体ブロック2の成形を容易としうる。
【0055】
水車WTは、軸z1と、中心部c1と、複数の翼部b1とを有する。複数の翼部b1は、水車WTの周方向において等間隔で配置されている。翼部b1は、1枚であってもよい。
【0056】
軸z1は、2箇所の軸支持部Asによって支持されている。本実施形態では、軸z1の一端部は、ケースks1に設けられた穴に嵌められている。水車WTの回転抵抗を減らす観点から、これらの軸支持部Asに軸受部材又は軸受が設けられても良い。この軸受部材として、摺動抵抗の少ない部材が好ましい。この軸受部材の材質として、テフロン(登録商標)やPOM(ポリアセタール)などの樹脂、メタルブッシュ、油含侵多孔体等が例示される。軸受としては、転がり軸受、すべり軸受、流体軸受等が挙げられる。
【0057】
図6が示すように、ケースks1と軸z1とは、相互に当接及び摺接されうる。よって、かかる使用条件に適した耐摩耗性を有する材料が選択される。軸z1とケースks1とは、互いに硬度が異なる材料からなるのが望ましい。これらの部材z1、ks1は、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。水車WTについても、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から、射出成形、射出圧縮成形等によって形成されうる。水車WT及び軸z1は、寸法精度が要求されるため、ABS樹脂から形成されるのが好ましい。
【0058】
水車WTは、分岐管路部7bを流れる水によって、回転する。水車WTの回転により、軸z1が回転する。軸z1の回転により、薬液供給部材3の回転部材21が回転する。水車WTは、水の流れを回転力に変換する。水車WTは、水の流れを利用した駆動装置である。
【0059】
分岐管路部7bの中間部R2と主管路部7aとは、平行に延在している。主管路部7aにおいて、前述された薬液供給部材3(薬液供給機構)は、第一分岐D1と第二分岐D2との間に設けられている。回転部材21の回転軸線と、軸z1の回転軸線とは共通である。本実施形態では、水車WTの軸z1が直接、回転部材21を駆動している。よって、水車WTの回転を回転部材21に伝達するための部材が不要とされうる。この構成は、部品点数及びコストを削減しうる。この構成は、混合装置1の小型化に寄与しうる。なお、水車WTの回転が、回転伝達機構によって、回転部材21に伝達されてもよい。この回転伝達機構として、歯車及びチェーンが例示される。
【0060】
分岐管路部7bが形成する空間と、空間Vxとの存在により、水車WTは円滑に回転しうる。水車WTの回転中において、翼部b1に触れるのは、水のみである。
【0061】
下流部R3は、底面bf1を有する(図6及び図12参照)。図6における断面図は、翼部b1と軸z1の中心軸線とを含む断面cs1である。この断面cs1における翼部b1は、鉛直方向に沿っている。この断面cs1では、翼部b1の先端と底面bf1との距離が最接近距離G1である(図6参照)。この最接近距離G1は0よりも大きい。即ち、水車WTの回転中において、翼部b1は底面bf1に当接しない。
【0062】
底面bf1は平面とされている。上記断面cs1において、翼部b1の先端の輪郭線L1は、底面bf1の断面線に平行である(図6参照)。この構成は、少ない流量で効率的に水車WTを回転させうる。
【0063】
翼部b1と底面bf1との接触を避け、且つ寸法精度を緩和する観点から、最接近距離G1は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましい。分岐管路部7bにおける流量が少ない場合でも水車WTを回転させる観点から、最接近距離G1は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
【0064】
図6において両矢印G2で示されているのは、水車WTの側面と分岐管路部7b(中間部R2)との隙間距離である。分岐管路部7bの内面と翼部b1との接触を避け、且つ寸法精度を緩和する観点から、隙間距離G2は、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましい。分岐管路部7bにおける流量が少ない場合でも水車WTを回転させる観点から、隙間距離G2は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
【0065】
混合装置1は、流量調整弁VL1を有する。流量調整弁VL1は、分岐管路部7bに設けられている。流量調整弁VL1は、分岐管路部7bの上流部R1に設けられている(図13参照)。流量調整弁VL1は、全ての水車WTよりも上流側に位置している。
【0066】
図14は、流量調整弁VL1の斜視図である。流量調整弁VL1は、頭部HE1と軸部AX1とを有する。頭部HE1は、フランジ40と回転係合部42とを有する。軸部AX1は、流路孔44を有する。流路孔44は軸部AX1を貫通している。軸部AX1は円筒形である。
【0067】
調整弁用穴10は、分岐管路部7b(上流部R1)と交差する交差部10aを有する(図13参照)。この交差部10aの内径は、軸部AX1の外径にほぼ等しい。交差部10aに軸部AX1が嵌められている。交差部10aと軸部AX1との当接により、軸部AX1は、回転可能に支持されている。この回転の中心は、調整弁用穴10の中心軸線である。
【0068】
なお、図13が示すように、フランジ40と本体ブロック2との間にOリング46が設けられている。このOリング46は、調整弁用穴10からの液体の漏れを防止している。
【0069】
回転係合部42は、保持体48によって支持されている(図13参照)。保持体48は、貫通孔を有するプレートである。保持体48の貫通孔の内径は、回転係合部42の外径と略同一である。この貫通孔との当接により、回転係合部42は回動可能に支持されている。また、保持体48は、調整弁用穴10と流量調整弁VL1の隙間からの液漏れを抑制しうる。
【0070】
回転係合部42は、溝42aを有している。溝42aは、流量調整弁VL1を回転させるための係合部となりうる。例えば、マイナスドライバーを溝42aに係合させることで、流量調整弁VL1を回転させることができる。
【0071】
本実施形態における回転係合部42の形態は、流量調整弁VL1を手動で回転させる場合に適している。この場合、前述したモータ6が不要とされうる。一方、モータ6によって流量調整弁VL1を回転させる場合、モータ6の軸の先端を、溝42aに係合する形状とすることができる。また、モータ6の回転を流量調整弁VL1に伝達する他の機構として、例えば歯車機構が挙げられる。
【0072】
図13では、流路孔44の中心軸線が上流部R1の中心線に対して平行になった状態が示されている。この状態において、流量調整弁VL1における流量は最大である。流量調整弁VL1を回転させると、流路孔44の中心軸線が、上流部R1の中心線に対して傾斜する。この傾斜の角度によって、流路孔44を通過する流量が調整されうる。
【0073】
本実施形態では、水車WTの回転数により、薬液供給部材3における混合量が調整されうる。水車WTの回転数は、第二フローf2の流量の他、水車WTの仕様によって調整することもできる。
【0074】
水車WT及び翼部b1の形態は限定されない。水流方向に対する翼部b1の角度を調整しうる角度調整機構が設けられてもよい。また、翼部b1において水流が当たる部分の面積が調整される調整機構が設けられても良い。これらの調整機構により、水車WTの回転数を調整する自由度が高まる。
【0075】
[水の流れ]
水は、入口8から管路部7に流入し、第一分岐D1に至る。第一分岐D1において、主管路部7aを流れる第一フローf1と、分岐管路部7bを流れる第二フローf2とに分かれる(図12及び図13参照)。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2において合流する。この合流により第三フローf3が得られる(図13参照)。この第三フローf3が出口9から排出される。第二フローf2が、翼部b1に当たる。水車WTの回転は、第二フローf2により得られる。
【0076】
混合装置1では、回転部材21の回転に電力が必要とされない。水の流れにより、回転部材21が回転する。混合装置1では、電力の消費を抑制する。混合装置1は、省エネルギーに寄与しうる。また、混合の対象となる水自体を用いて回転力を発生させているため、水力用の液流を別途導入する必要がない。よって、省エネルギーとともに、構造の単純化及び節水性が実現しうる。
【0077】
第一フローf1と第二フローf2との間の流量比率は、流量調整弁VL1によって調整されうる。第二フローf2の流量が調整されることで、水車WTの回転数が調整されうる。この回転数の調整により、薬液供給部材3における混合量が調整されうる。すなわち、流量調整弁VL1は、薬液混合比率変更機構を構成する。
【0078】
図15(a)は、前記混合装置1の概略構成を示すブロック図である。図15(b)は、別の混合装置60の概略構成を示すブロック図である。後述されるように、混合装置60は、混合装置1とは相違する。
【0079】
図15(a)中、入口8から出口9までが、混合装置1である。この図15(a)では、混合装置1の薬液供給機構h2が正方形で示されており、混合装置1の回転力発生部g2が円で示されている。回転力発生部g2の水車WTは、薬液供給機構h2の回転部材21を直接的に駆動している。この混合装置1では、薬液供給機構が主管路部7aに設けられており、液体の流れを利用した駆動装置が分岐管路部7bに設けられている。薬液供給機構は、分岐管路部7bにおける水の流れを利用した駆動装置(回転力発生部g2)によって駆動されている。
【0080】
混合装置1では、入口8から流れ込んだ液体は、第一分岐D1において、第一フローf1と第二フローf2とに分かれる。第一フローf1に、薬液供給機構h2が、液体を混合する。第二フローf2が、水力により回転力発生部g2を駆動する。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2で合流する。この合流により、第三フローf3が生じる。この第三フローf3が出口9から排出される。
【0081】
図15(b)中、入口8から出口9までが、混合装置60である。この図15(b)では、混合装置60の薬液供給機構h2が正方形で示されており、混合装置60の回転力発生部g2が円で示されている。
【0082】
混合装置60において、回転力発生部g2は、第一分岐D1と第二分岐D2との間の分岐管路部7bに設けられている。この点は、混合装置1と同じである。しかし、この混合装置60では、薬液供給機構h2は、第二分岐D2の下流側に設けられている。
【0083】
混合装置60は、回転伝達機構t1を有している。図15(b)において、回転伝達機構t1は、二重円で示されている。回転力発生部g2における水車WTの回転は、回転伝達機構t1を介して、薬液供給機構h2に伝達される。回転伝達機構t1として、歯車機構、チェーン機構、ベルト機構等、公知の回転伝達機構が挙げられる。
【0084】
混合装置60では、入口8から流れ込んだ液体は、第一分岐D1において、第一フローf1と第二フローf2とに分かれる。第二フローf2が、水力によって回転力発生部g2を駆動させる。第一フローf1と第二フローf2とは、第二分岐D2で合流する。この合流により、第三フローf3が生じる。この第三フローf3に、薬液供給機構h2が、液体を混合する。液体が混合された第三フローf3が、出口9から排出される。
【0085】
図16(a)及び図16(b)は、他の実施形態に係る混合装置の概略構成を示すブロック図である。
【0086】
図16(a)は、混合装置70の概略構成を示すブロック図である。この混合装置70は、分岐していない管路部7と、入口8と、出口9とを有する。管路部7は1本である。この管路部7に、薬液供給機構h2及び回転力発生部g2が取り付けられている。薬液供給機構h2と回転力発生部g2とが直列的に取り付けられている。薬液供給機構h2及び回転力発生部g2は、前述した混合装置1と同様である。
【0087】
この混合装置70は、回転伝達機構t1を有する。回転伝達機構t1により、回転力発生部g2で生じた回転駆動力が、薬液供給機構h2の回転部材21に伝達される。この回転伝達機構t1が、分岐の無い管路部7を可能としている。
【0088】
混合装置70では、回転力発生部g2が薬液供給機構h2の下流側に配置されている。よって、薬液が混合された後の混合水が、回転力発生部g2を回転させる。薬液供給機構h2での薬液の供給により、流体の質量が増加する。この質量の増加は、回転力発生部g2における回転力を増加させうる。
【0089】
図16(b)は、混合装置80の概略構成図である。この混合装置80は、分岐していない管路部7と、入口8と、出口9とを有する。管路部7は1本である。この管路部7に、回転力発生部g2及び薬液供給機構h2が取り付けられている。回転力発生部g2と薬液供給機構h2とが直列的に取り付けられている。薬液供給機構h2及び回転力発生部g2は、前述した混合装置1と同様である。
【0090】
この混合装置80は、回転伝達機構t1を有する。回転伝達機構t1により、回転力発生部g2で生じた回転駆動力が、薬液供給機構h2の回転部材21に伝達される。この回転伝達機構t1が、分岐の無い管路部7を可能としている。
【0091】
混合装置80では、回転力発生部g2が薬液供給機構h2の上流側に配置されている。よって、薬液供給機構h2によって供給された液体(薬剤等)が回転力発生部g2(水車WTの翼部b1等)に付着することがない。
【0092】
混合装置70及び混合装置80では、管路部の構造が単純とされうる。これは、コストの低減及び小型化に寄与しうる。
【0093】
図17は、他の実施形態に係る混合装置90を示す断面図である。この混合装置90も、混合装置70及び混合装置80と同様に、管路部7が分岐を有さない例である。以下、混合装置1との相違点について説明する。
【0094】
混合装置90は、分岐を有さない管路部7と、入口(図示されず)と出口(図示されず)とを有している。管路部7は1本である。管路部7は、上記入口から上記出口まで、直線に沿って延びている。管路部7は、ケースks1(駆動体収容部g1)に設けられている。この管路部7に連通する上記入口及び上記出口も、ケースks1に設けられている。この管路部7の中央部分は、混合装置1における分岐管路部7bの中間部R2と同様である。本体部h1には、管路部が設けられていない。
【0095】
混合装置90は、薬液供給部材3から供給された薬液を管路部7に流入させる供給管部92を有する。供給管部92の入口94は、前述した計量部形成部材22(薬液収容空間32)の下側に位置している。薬液供給部材3から供給された薬液は、入口94から、供給管部92に流れ込む。薬液供給部材3から供給された薬液の全てを受け入れられるように、入口94の開口は広くされている。供給管部92の出口96は、管路部7に連通している。供給管部92は傾斜を有しており、供給管部92に流れ込んだ薬液は管路部7に流入する。この混合装置90では、管路部7が分岐を有さない。また、この混合装置90では、回転伝達機構t1が不要とされうる。この構造は、コストの低減及び小型化に寄与しうる。
【0096】
本発明で使用する混合装置は、薬液供給路から薬液を受け入れて所定量の薬液を計量する計量機能とその計量された薬液を管路部に供給する機能を備える薬液供給機構を備えることによって、使用条件にかかわらず高精度な混合率を実現するものであり、以上説明された実施形態には限定されない。また、水の流れを回転エネルギーとして利用しているため、省エネルギーが達成される。薬液供給機構としては、上述の実施形態の他にも、ポンプ部材の前後移動によって計量機能と供給機能をなすものや、インジェクション装置によるものなどの薬液供給機構を採用することも可能である。但し、高精度な混合率及び混合率変更の容易性と、高い耐久性やコスト上昇の抑制の総合的性能を高いレベルで実現する為には、薬液供給機構として、駆動装置によって回転駆動され、計量部が設けられており、回転駆動されることにより薬液受入位置と薬液排出位置とに変位する回転部材を採用するなど、以上で説明した実施形態の各々の構成を単独で又は組み合わせて採用するのが好ましい。
【0097】
前述した混合装置1では、第一の回転力発生部g2が第一の薬液供給機構h2を駆動し、第二の回転力発生部g2が第二の薬液供給機構h2を駆動している。第一の回転力発生部g2で得られる回転数がRp1とされ、第二の回転力発生部g2で得られる回転数がRp2とされる。前述した混合装置1では、回転数Rp1と回転数Rp2とが略同一である。一方、回転数Rp1と回転数Rp2とを相違させてもよい。例えば、第一の薬液供給機構h2と第二の薬液供給機構h2とで供給量を相違させたい場合の構成として、次の構成Xが例示される。
(構成X)回転数Rp1と回転数Rp2とが相違するように、2つの回転力発生部g2の仕様を相違させる。
【0098】
この構成Xでは、好ましくは、第一の薬液供給機構h2と第二の薬液供給機構h2とは、同一とされる。この場合、部品の共通化及び生産コストの低減が達成されうる。この構成Xにおいて、相違させうる水車WTの仕様としては、翼部b1の数、翼部b1の面積、液体の流れ方向に対する翼部b1の角度等が挙げられる。
【0099】
第一の薬液供給機構h2と第二の薬液供給機構h2とで供給量を相違させたい場合の他の構成として、次の構成Yが例示される。
(構成Y)回転部材21の一回転当たりに供給される供給量を、第一の薬液供給機構h2と第二の薬液供給機構h2とで相違させる。
【0100】
この構成Yでは、好ましくは、第一の回転力発生部g2と第二の回転力発生部g2とは、同一とされる。この場合、部品の共通化及び生産コストの低減が達成されうる。この構成Yにおいて、相違させうる仕様としては、薬液収容空間32の体積Vが例示される。
【0101】
上記構成Xと構成Yとが組み合わされてもよい。構成X及び/又は構成Yにより、複数種類の薬液を所望の比率で混合することが可能となる。また、回転力発生部g2及び薬液供給機構h2が3つ以上の場合、上記構成X及び/又は構成Yを適用することで、より多様な薬液供給が達成されうる。
【0102】
上記モータ6を設けない実施形態の場合、電力が不要とされうる。上記モータ6を設けた場合でも、流量調整弁VL1の制御に必要な電力は少ない。よって例えば、電池によってモータ6を駆動することも可能である。また、太陽電池により生じる小電力であっても、流量調整弁VL1は駆動しうる。このような観点から、混合装置1は、流量調整弁VL1を駆動するための電源として、蓄電池又は太陽電池を有していてもよい。
【0103】
本発明の外気冷却装置は、前記混合装置1に接続し、薬液混合水を供給する混合水供給路を有する。前記混合水供給路としては、混合装置から排出される混合水を流通させる管路が好ましい。前記管路としては、ポリ塩化ビニル、ポチエチレンなどの樹脂製ホース;ステンレス、アルミニウム、炭素鋼、鋼、銅、銅合金などの金属製管などを挙げることができる。前記供給路としては、噴霧手段の設置位置を容易に変えることができるという理由から、可撓性のある樹脂製ホースが好ましい。なお、混合装置1と水道管などの水供給源との接続には、混合水供給路と同一の材料からなる管路を用いることができる。
【0104】
本発明の外気冷却装置は、前記混合水供給路に連結し、前記混合水供給路から供給される混合水を噴霧する噴霧手段を少なくとも一つ有する。前記噴霧手段の数は、外気冷却装置を設置する場所の大きさに応じて適宜変更すればよい。前記噴霧手段としては、例えば、スプレーノズルを有する噴霧手段が好ましい。噴霧の態様としては、例えば、ホローコーンタイプ(中空)、フルコーンタイプ、フラットタイプなどを挙げることができる。また、噴霧される平面形状としては、円形、楕円形、矩形(長方形、正方形)などを挙げることができる。より広い領域に噴霧できるということから、ホローコーンタイプ、フルコーンタイプなどの円形状もしくは正方形状に噴霧する態様が好ましい。
【0105】
混合水を噴霧する際の噴霧角度(スプレー角度)は、10度以上が好ましく、20度以上がより好ましく、30度以上がさらに好ましく、180度以下が好ましく、100度以下がより好ましく、60度以下がさらに好ましい。
【0106】
また、噴霧手段を複数備える場合には、噴霧手段を、略直線状あるいは屈曲状に配置することができる。例えば、家屋の窓などに沿って、噴霧手段を直線状に配置したり、あるいは、円弧状、コの字状の出窓など場合は、屈曲状に配置することをできる。噴霧手段を直線状または屈曲状に複数配置することにより、例えば、忌避剤を含有する混合水を噴霧する場合、忌避カーテン効果が得られる。
【0107】
前記噴霧手段は、混合水を鉛直方向に対して傾斜する方向に噴霧するように設置されていることが好ましい。この傾斜角度は、30度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、80度以上がさらに好ましく、150度以下が好ましく、120度以下がより好ましく、100度以下がさらに好ましい。なお、鉛直下方方向を0度とし、水平方向を90度とする。
【0108】
また、噴霧手段を複数備える場合においては、複数の噴霧手段を合わせた全体における噴霧された混合水の拡散領域は、拡散領域幅が拡散領域厚さより大きくすることがこのましい。拡散領域幅とは、噴霧複数の噴霧手段を結ぶラインを地面に投影した投影ラインの方向における拡散領域の長さであり、拡散領域厚さとは、前記投影ラインの方向に垂直で且つ地面に平行な方向における拡散領域の長さである。また、前記拡散領域幅と拡散領域長さを測定する位置は、噴射手段から地面に向かって1m下方の位置である下方1m位置で測定するのが好ましい。なお、複数の噴射手段から混合水が拡散される個別拡散領域は、前記下方1m位置では隣り合う個別拡散領域が重なっていることがこのましく、これにより薬液によるカーテン状薬液効果を高めることができる。
【0109】
噴霧された混合水の粒子径(又は液滴径)は、慣用の方法、例えば、レーザー光線を利用する方法、ストロボを利用する方法、顕微鏡写真を利用する方法などにより測定することができる。なお、混合水の粒子径は多分散性であるため、通常、平均粒子径で表す場合が多い。平均粒子径には、算術平均粒子径、ザウター平均粒子径などが知られている。本発明では、スプレー中心において、噴霧された混合水のザウター平均粒子径(D32)は、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。なお、前記ザウター平均粒子径(D32)は、試料中の液滴の体積の総和と表面積の総和との比であり、下記式で算出される。
【0110】
ザウター平均粒子径(D32)=Σdini/Σdini
(式中、diは成分iの粒子径、niは粒子径diの成分iの粒子数を示す。)。
【0111】
本発明で使用する噴霧手段は、噴霧液の粒子径(又は液滴径)を2種以上に切り替える切り替え機構を備えることが好ましい。切り替え機構としては、例えば、回転させることで、噴霧液の粒子径(又は液滴径)の異なる噴霧口を切り替える構造を採用することができる。風の有無、強さに応じた噴霧が可能となり、薬液の散布効果を高めることができる。また、前記噴霧手段は、噴霧範囲を調整可能な絞り構造を有することが好ましい。例えば、噴霧手段として、後述するミストノズルを用いる場合、ミストキャップを締め込むまたは緩めることで、噴霧範囲を調整することが可能である。
【0112】
本発明では、噴霧手段として、基端に開口した導入口から先端側へと通水する内部流路を有するノズル本体と、先端面に噴霧口を有する略ドーム状に形成し上記ノズル本体の先端に着脱可能に結合したミストキャップと、側周面に通水用の螺旋溝部を有し、上記噴霧口との間に所定空間を設けて上記ミストキャップに収容される水流制御部材とからなるミストノズルであって、上記水流制御部材には、上記ミストキャップに収容した状態でその基端側に突出するつまみ部と、上記ミストキャップの内面に当接して水流制御部材の収容位置を決定する位置決め部とを設けたミストノズルを好適に使用できる。
【0113】
本発明で好適に使用するミストノズル301は、図18図19に示すように、導入口307から噴霧口305側への屈曲した内部流路308と上記分岐流路309とを形成したノズル本体310の先端側に、噴霧口305を形成したミストキャップ311を着脱可能に結合し、ノズル本体310およびミストキャップ311の内部空間に水流制御部材312を収容してなる。ノズル本体310とミストキャップ311とは、ノズル本体310外周面に形成した雄ネジ部313aとミストキャップ311内周面に形成した雌ネジ部313bとからなるネジ結合部313により着脱可能に螺合されている(図19)。
【0114】
図20に示すように、ノズル本体310は、基端で樹脂製ホースを接続する導入口307を有する導入筒314と、樹脂製ホースを接続する分岐口315fを有する分岐筒315と、T字状の筒体であるノズルケース316と、導入筒314および分岐筒315にネジ結合によって着脱自在に螺合される一対のホース継手304、304とからなる。ノズルケース316は、導入筒314および分岐筒315の各一部を両端から挿嵌して両者を連結するとともに、直交方向に突出したノズル筒部316aにてミストキャップ311と螺合する。
【0115】
図20図25に示すように、導入筒314は、基端をホース接続用に細く形成して抜け止め用の返し314aを設けた筒体である。導入筒314の外周面には上流側(基端側)から順に、返し314a、雄ネジ部318a、大径のフランジ314b、小径の嵌合環314cが周設されている。また、嵌合環314cの下流側には水漏れ防止用のOリング317aを外嵌するOリング溝314dを刻設し、さらにその下流側には、筒体の延設方向に対して左右の側周面を切り欠いた切り欠き筒部314eを形成して、導入筒314に供給された水がノズルケース316のノズル筒部316aへ流れられるようにしている(図19図26(a))。
【0116】
図20図25に示すように、分岐筒315は、導入筒314を周回りに90度回転させたものであり、分岐側端部をホース接続用に細く形成して抜け止め用の返し315aを設けた筒体である。分岐筒15の外周面には分岐側から基端側へ順に、返し315a、雄ネジ部319a、大径のフランジ315b、小径の嵌合環315cが周設されている。また、嵌合環315cの基端側には水漏れ防止用のOリング317bを外嵌するOリング溝315dを刻設し、さらにその基端側には筒体の延設方向に対して上下の側周面を切り欠いた切り欠き筒部315eを形成している。ミストノズル301を組み立てた状態では、図25(b)、図26(a)に示すように、ノズル本体310の内部ほぼ中央に、導入筒314の切り欠き筒部314eと分岐筒315の切り欠き筒部315eとによって、周面に隙間を有する擬似的な筒が形成され、水の一部を先端側のミストキャップ311へ供給して噴霧するとともに、残部を分岐側へ流すようにしている。
【0117】
図19に示すように、ホース継手304、304は、先細り形状の比較的太い筒体に形成され、太い側の開口付近の内周面には雌ネジ部318b、319bが設けられ、それぞれが導入筒14または分岐筒15の雄ネジ部318a、319bと螺合してネジ結合部318、319を構成する。ホース継手304、304の先細り部分は、組み立て時には、導入筒314および分岐筒315に外嵌したホースを外側から押さえる役割を果たす。また、導入筒314および分岐筒315のフランジ314b、315b、ならびに各ホース継手304、304の外周面は断面八角形に形成され、着脱作業の際に滑り止めの役割を果たす(図18(a)、(c))。
【0118】
図20に示すように、ノズルケース316は、筒体の長手方向中央から直交方向にノズル筒部316aを突出させたT字状の筒体である。このノズルケース316には、図20右方の基端側から導入筒314を挿嵌し、同左方の分岐側から分岐筒315を挿嵌する。図26に示すように、導入筒314および分岐筒315を挿嵌するノズルケース316の開口付近には、内周面から中心に向かって、嵌合爪316cが周上等間隔に4箇所突設されている。また、この嵌合爪316cのノズルケース内側(ノズル筒部側)に隣接して、着脱用孔316bが周上等間隔に4箇所穿設されている(図26図18)。
【0119】
図26に示すように、導入筒314および分岐筒315を、各フランジ314b、315bがノズルケース316の開口端面に当接するまでノズルケース316に挿入すると、各嵌合環314c、315cが各嵌合爪316c、316cよりもノズルケース内側に入り込んで着脱用孔316b、…、316bの位置に保持され、嵌合爪316cに係止されて抜け止めされる。ミストノズル301のメンテナンスの際などには、着脱用孔316b、…、316bから棒などで嵌合環314c、315cを押し込んで嵌合爪316c、316cとの係止を解除し、ノズルケース316から導入筒314および分岐筒315を抜き取ることができる。
【0120】
図20に示すように、ノズルケース316のノズル筒部316aは、先端付近の外周面にミストキャップ311と螺合するための雄ネジ部313aを形成するとともに、根元にはOリング317cを外嵌する。このような構成のノズル本体310では、図19に示すように、導入筒314の導入口307から供給された水が切り欠き筒部314e、315eから流出し、ノズルケース316のノズル筒部316aを通過して先端のミストキャップ311へと通水する内部流路308が形成されるとともに、水の一部が導入筒314から分岐筒315を通過して他のミストノズル301に供給される(図1参照)分岐流路309が形成される。
【0121】
また、図25に示すように、切り欠き筒部314e、315eの結合により、導入筒314と分岐筒315とは相対的に周回りに回転しない。他方ノズルケース316は、導入筒314及び分岐筒315に対して周回りに回転可能であり、かつ、ノズルケース316の内壁と切り欠き筒部314e、315eの外周面との間に環状の流路が形成されているため、ノズルケース316を回転させても、噴霧口305に通じる内部流路308が遮断されることはない。このため、たとえば図1の使用状態において噴霧口305の向きを変えたいときには、片手で導入筒314を持ち、他方の手でノズルケース316を持って回転させることで向きを変えることができる。このとき、分岐筒315は導入筒314に対して回転できないため、ノズルケース316と共回りすることがなく、分岐筒315に接続される分岐側のホース302に捩れが発生することがない。なお、必ずしもミストノズル301に分岐流路309を設ける必要はない。
【0122】
図21図23に示すように、ミストキャップ311は、ノズル本体310の先端に取り付けられる略ドーム状の部材であり、開口付近の内周面にはノズル本体310(ノズルケース316)と螺合するための雌ネジ部313bを形成している。また、ミストキャップ311の外周面は断面八角形に形成され、ノズル本体310との着脱作業を行う際に滑り止めの役割を果たす(図21(b))。
【0123】
図23に示すように、ミストキャップ311の先端面には微小な噴霧口305が穿設され、噴霧口305周辺の先端面には漏斗状の拡散傾斜面311aが形成され、ミストキャップ311を通過した水が拡散噴霧されやすくなっている。また、ミストキャップ311の内部には、水流制御部材312を収容する円筒状の収容筒部311bが先端内面から基端側に突出している。この収容筒部311bの基端面には、水流制御部材312を導入しやすいように内側に傾斜した案内傾斜面311cが形成されている(図23図21(d))。図23に示すように、水流制御部材312を収容した状態では、水流制御部材312のブロック部312aの側周面が収容筒部311bの内周面にほぼ隙間なく内接して収まり、ブロック部312aと噴霧口305との間には水が集合して攪拌される攪拌空間320が形成される。
【0124】
図22(a)、(c)に示すように、水流制御部材312は、通過する水を錐揉み状に旋回させるためにミストキャップ311に収容される部品であり、先端のブロック部312aと、このブロック部312aから棒状に延びるつまみ部312bと、このつまみ部312bに周設された位置決め部312cとからなる。ブロック部312aは、円柱状のブロックの側周面に螺旋状の螺旋溝部312dを周上等間隔に2条刻設してなる。つまみ部312bは、ブロック部312aの基端面から基端側に突出形成され、図23に示すように、水流制御部材312をミストキャップ311に収容したときにもミストキャップ311から基端側に突出するため、指で摘んで容易に収容および取り出しを行うことができる。図22(b)、(d)に示すように、位置決め部312cは、つまみ部312bの側方にほぼ円板状に周設された部分であり、つまみ部312bの外周の近傍に、水を通すための通水孔312eを周上等間隔に4箇所穿設している。
【0125】
このようなミストノズル301を組み立てるには、まずミストキャップ311に水流制御部材312を収容し、次いでミストキャップ311をネジ結合部313によりノズル本体310に組み付ける。つまみ部312bを指で摘んで水流制御部材312をミストキャップ311に挿入していく際に、その過程でブロック部312aの軸心が収容筒部311bの軸心からずれそうになっても、位置決め部312cがミストキャップ311の内周面(雌ネジ部13bなど)にぶつかってずれを防止するため、ブロック部312aは収容筒部311bとほぼ同心状態でミストキャップ311内に進入していく(図23参照)。ブロック部312aが収容筒部311bの基端面に至ると、わずかなずれがあっても案内傾斜面311cに案内されて収容筒部311b内に収容される。
【0126】
水流制御部材312の収容位置は、図23のように、位置決め部312cが収容筒部311bの基端面に当接することで決定される。このため、水流制御部材312のブロック部312aを押し込みすぎることがなく、ブロック部312aと噴霧口305との間には、最適な攪拌空間320が設けられる。このように、水流制御部材312を収容するためにはミストキャップ311にまっすぐ挿入するだけでよく、ネジ結合のように螺合の手間がかかることがなく、水流制御部材312を容易に正しい収容位置に収容することができる。また、複雑なネジ結合部を形成する必要がないため、ミストキャップ311および水流制御部材312の製造コストを低減させることができる。
【0127】
次いで、ミストキャップ311をノズル本体310に螺合するが、このときブロック部312aが収容筒部311bの内周面に内接しており、弱い摩擦力が働いているため、図23のような向きにしてミストキャップ311を持っても水流制御部材312が外れ落ちることはない。また、ミストキャップ311から水流制御部材312を取り外す際には、ミストキャップ311から突出しているつまみ部312bを摘んで、容易に取り出すことができる。
【0128】
このようなミストノズル301では、図19に示すように、ノズルケース316のノズル筒部316aを通過した水は、位置決め部312cの通水孔312eを通過してミストキャップ311の収容筒部311bに流れ込む。次いで、図23に示すように、比較的径の小さな収容筒部311bを通り、各螺旋溝部312dによって形成される螺旋状の流路を通過した水は、攪拌空間320で集合するとともに錐揉み状に攪拌されて、噴霧口305から拡散噴霧される。
【0129】
さらに、このミストノズル301では、位置決め部312cがノズル本体310(ノズルケース316)のノズル筒部316aとミストキャップ311の収容筒部311bとに挟持される構成であるため、ネジ結合によらなくても水流制御部材312を正しい収容位置に強固に固定できることに加えて、水流制御部材312をミストキャップ311に正確に収容せずに組み立てても、問題なくミストノズル301を完成させることができる。例えば、図24に示すように、水流制御部材312をノズル本体310に傾いた状態で放り込み、上からミストキャップ311を取り付けても、ミストキャップ311とノズル本体310とを螺合していく過程で、位置決め部312cの上側に傾いた部分Bが徐々に下降する収容筒部311bに押されて、自動的にノズル筒部316aと収容筒部311bとに挟持され、図19のような正しい収容位置に位置決めされて組み立てられる。このように、組み立て作業が複雑でなく、しかも厳密な精度が要求されないため、メンテナンスの際の分解および組み立てが非常に容易になるとともに、細かな作業の際に誤って各部品を破損するといったおそれがない。
【0130】
本発明の外気冷却装置は、水と所望の薬液との混合水を噴霧する。所望の薬液を混合した混合水を噴霧することで、単に外気温を低下させるだけではなく、混合水を噴霧する場所に、所望の薬液の噴霧効果を付与することができる。前記薬液としては、特に限定されないが、例えば、香料成分を含有する香料および/または忌避成分を含有する忌避剤が好ましい。混合水を噴霧する場所に所望の香りを付与したり、あるいは、混合水を噴霧する場所を、昆虫や動物などから忌避することができる。
【0131】
忌避剤によって、忌避する対象としては、例えば、細菌、カビ、シロアリ、ダニなどの有害生物や、猫やネズミ、シカ、熊、猪などの動物や、カラスなどの鳥類や、蚊、ブヨ、アブ、ムカデ、ゴキブリなどの害虫が挙げられる。忌避剤が含有する忌避成分の具体例としては、以下のようなものを挙げることができる。
【0132】
猫やネズミなどの動物を忌避する成分として、テルペン系化合物(B)、リモネン、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リナロールなどが挙げられる。
【0133】
細菌、カビ、シロアリ、ダニなどの有害生物を忌避する成分として、ヒバ油、シトロネラール、リナロール、シトロネロール、シトラール、L−メントール、p−メンタン、α−ピネン、β−ピネン、d−リモネン、ゲラニオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。
【0134】
カラスなどの鳥類を忌避する成分として、n−ヘキシルアルデヒド,ヘプタナール,オクタナール,ノナナール,デカナール,ウンデカナール,ドデカナール,γ−ウンデカラクトン,メチルフェニルグリシッド酸エチル及びγ−ノナラクトンなどが挙げられる。
【0135】
蚊、ブヨ、アブなどの害虫を忌避する成分として、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、O−ジクロルベンゼン、ジフェニル類、ペンタクロルフェノール、イソバレルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、リナロルオキシド、フェニル酢酸誘導体、樟脳白油、N−オクチルビシクロヘプロテンジカルボキシイミド、ブタジエン−フルフラール共重合体などが挙げられる。
【0136】
前記忌避成分は、単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
【0137】
前記香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
【0138】
前記アルデヒド類としては、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、ヘリオナールなどが挙げられる。
【0139】
前記フェノール類としては、オイゲノール、イソオイゲノールなどが挙げられる。
【0140】
前記アルコール類としては、バクダノール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
【0141】
前記エーテル類としては、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
【0142】
前記エステル類としては、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、p−クレジルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ−β−ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β−フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネート、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
【0143】
前記ケトン類としては、α−イオノン、β−イオノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、シス−ジャスモン、メチルイオノン、アリルイオノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンなどが挙げられる。
【0144】
前記ラクトン類としては、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ドデカラクトン、クマリン、アンブロキサンなどが挙げられる。
【0145】
前記ムスク類としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、ニトロムスク類などが挙げられる。
【0146】
前記テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン、カンファー(樟脳)、ボルネオールなどが挙げられる。
【0147】
前記天然香料としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油、タイム油などの精油が挙げられる。
【0148】
前記動物性香料としては、じゃ香、霊猫香、海狸香、竜涎香などが挙げられる。
【0149】
忌避剤および/または香料には、忌避成分および/または香料成分を溶解する溶剤を配合してもよい。前記溶剤としては、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル(BB)、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
【0150】
水と薬液とを混合してなる混合水中の前記薬液成分の含有率は、0.0001体積%以上が好ましく、0.005体積%以上がより好ましく、0.05体積%以下が好ましく、0.001体積%以下がより好ましい。
【0151】
本発明の外気冷却装置は、さらに、湿度、気温、虫や鳥の有無、量を検知する検知手段を備え、その検知手段によって得られたデータに基づいて、噴霧の有無、混合水の薬液の混合比率、噴霧量を変更するようにしてもよい。検知手段によって得られるデータに基づいて、噴霧の有無、混合水の薬液の混合比率、噴霧量を適宜変更することにより、省資源化、低コスト化が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明に係る外気冷却装置は、例えば、庭、駅、工場の作業場など気温が高い場所に好適に設置できる。
【符号の説明】
【0153】
1:混合装置、2:本体ブロック、3:薬液供給部材、4:薬液容器、5:押さえ弁、6:駆動モータ、7:管路部、7a:主管路部、7b:分岐管路部、8:(管路部の)入り口、9:(管路部の)出口、10:調整弁用穴、11:第一穴、12:第二穴、13:段差部、14:大径部、15:小径部、16:(押さえ弁の)貫通孔、17:薬液供給路、18:薬液容器止め具、19:Oリング、20:第一コイルばね、21:回転部材、22:計量部形成部材、23:収容凹所、24:蓋部材、25:基板、26:突起、27:計量凸部、28:第二コイルばね、29:円形凹所、30:小径貫通孔、31:大径貫通孔、32:薬液収容空間、33:大径被支持部、34:小径被支持部、35:(第二穴の)開口部近傍、36:(第二穴の)奥端部近傍、37:Oリング、50、60、70、80、90:混合装置、100:外気冷却装置
【0154】
A:(還流配管の)上流接続点、B:(還流配管の)下流接続点、h1:本体部、g1:駆動体収容部、h2:薬液供給機構、g2:回転力発生部、D1:第一分岐、D2:第二分岐、WT:水車、b1:翼部、z1:水車の軸(出力軸)、R1:分岐管路部の上流部、R2:分岐管路部の中間部、R3:分岐管路部の下流部、VL1:流量調整弁
【0155】
300:噴霧手段、301:ミストノズル、304:ホース継手、305:噴霧口、307:導入口、308:内部流路、309:分岐流路、310:ノズル本体、311:ミストキャップ、311a:拡散傾斜面、311b:収容筒部、311c:案内傾斜面、312:水流制御部材、312a:ブロック部、312b:つまみ部、312c:位置決め部、312d:螺旋溝部、312e:通水孔、313:ネジ結合部、313a:雄ネジ部、313b:雌ネジ部、314:導入筒、315:分岐筒、315f:分岐口、316:ノズルケース、316a:ノズル筒部、320:攪拌空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26