特許第5810913号(P5810913)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5810913キャップ、およびそれを用いた栄養剤用容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5810913
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】キャップ、およびそれを用いた栄養剤用容器
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   A61J1/00 313J
   A61J1/00 313K
   A61J1/00 315Z
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-518479(P2011-518479)
(86)(22)【出願日】2010年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2010059374
(87)【国際公開番号】WO2010140630
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2009-135266(P2009-135266)
(32)【優先日】2009年6月4日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】国重 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】小橋 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】植松 雷太
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05817082(US,A)
【文献】 特開平02−228966(JP,A)
【文献】 特表平08−500563(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148021(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経腸栄養療法に使用される栄養剤用容器の容器本体部に充填された液状物を流出させる前記容器本体部の口部に装着されるキャップであって、
前記容器本体部は、前記口部に取り付けられて前記容器本体部内を密閉する薄膜を含み、
前記キャップは、
前記キャップが前記口部に装着された時に、前記口部の開口を塞ぐ天面部と前記口部の外周面を囲う側壁部とを含む、基部と、
前記天面部の外側主面から突出した管状部を含み、コネクタが接続されうる接続部と、
前記天面部の内側主面から突出し、その貫通孔が前記管状部の貫通孔と連通した中空ノズルと、を備え
前記キャップは、前記口部に対して第1装着状態と第2装着状態とを取りえ、
前記第1装着状態では、前記中空ノズルの端面が、前記薄膜に接しないか、または、前記薄膜に接するが前記薄膜を押圧しない位置で、前記口部に対する前記キャップの装着状態が保持され、前記キャップは前記口部に対して、上下に動くことができ、
前記第2装着状態では、前記中空ノズルによって前記薄膜が破られ、前記中空ノズルが前記口部内に配置された状態で、前記口部に対する前記キャップの装着状態が保持され、
前記口部は、その外周面にオネジが形成されており、
前記キャップの前記側壁部の内周面には、前記第2装着状態の時に前記オネジに螺合するメネジが形成されており、
前記第1装着状態では、前記オネジと前記メネジは螺合しておらず、前記メネジの螺合開始側における前記オネジと向かい合う面と、前記オネジの螺合開始側における前記メネジと向かい合う面とが衝突することにより、前記キャップが前記口部側に押し込まれることが防止されており、
前記第1装着状態の前記キャップを回転させて前記メネジを前記オネジに螺合させながら、前記中空ノズルによって前記薄膜を突き破り、前記キャップをその回転限界まで回転することにより前記第2装着状態が得られ
前記口部は、その外周面に前記オネジが形成された先端側筒状部と、前記先端側筒状部より外径が大きくその外周面に第1突起が形成された基端側筒状部とを含み、
前記キャップの前記側壁部は、前記第2装着状態の時に前記先端側筒状部に対向し、その内周面に前記オネジに螺合する前記メネジが形成された小径筒状部と、前記第2装着状態の時に前記基端側筒状部に対向し、その内周面に第2突起が形成された大径筒状部とを含み、
前記第2突起が前記第1突起を乗り越えるように前記キャップ内に前記口部を押し込むことにより前記第1装着状態が得られる、キャップ。
【請求項2】
前記大径筒状部には、前記キャップの開口側端から前記天面部側に向かってスリットが形成された請求項に記載の容器用キャップ。
【請求項3】
前記接続部は、前記管状部の周囲に形成された台座部と、前記台座の外周面から外方に突出した爪部とをさらに含む請求項1又は2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記天面部の前記内側主面上に配置されたシール材をさらに含む請求項1〜のいずれか項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記天面部には、その厚み方向に貫通する通気孔が形成されており、通気孔を被覆するように前記天面部に通気フィルタが取り付けられ、
前記第2装着状態の時、前記通気フィルタによって、前記容器本体部外の空気の前記容器本体部内への流入が行われる請求項1〜のいずれか項に記載のキャップ。
【請求項6】
前記管状部の前記貫通孔を区画するリブをさらに備え、
前記筒状部をその先端側から見たときに、前記管状部の前記貫通孔は前記リブにより、少なくとも3つに分割されている、請求項1〜のいずれか項に記載のキャップ。
【請求項7】
口部を含む容器本体部と、
容器本体部内に充填された液状物と、
前記口部に取り付けられて前記容器本体部内を密閉する薄膜、
前記口部に装着された請求項1〜のいずれか項に記載のキャップと、を含み、
前記キャップは、前記第1装着状態で前記口部に装着されている栄養剤用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養剤用容器の容器本体部に充填された液状物を流出させる口部に装着されるキャップ、および当該キャップが容器本体部に装着された栄養剤用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
経口によらずに患者に栄養や薬剤を投与する方法として経腸栄養療法や静脈栄養療法が知られている。経腸栄養療法では、患者の鼻腔から胃又は十二指腸にまで通されたチューブ(一般に「経鼻チューブ」と呼ばれる)又は患者の腹に形成された胃ろう(胃ろうを形成する施術を「Percutaneous Endoscopic Gastrostomy」と呼ぶ)に挿入されたチューブ(一般に「PEGチューブ」と呼ばれる)を介して栄養剤、流動食、又は薬剤などの液状物(一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる)が投与される。また、静脈栄養療法では、患者の静脈に挿入された輸液ライン(送液回路)を介してブドウ糖などの栄養成分や薬剤成分を含む液状物(一般に「輸液」と呼ばれる)が投与される。
【0003】
図22に、従来の経腸栄養療法に用いられる経腸栄養セットの一例の概略構成図を示している。栄養剤用容器100の容器本体101内には、栄養剤が充填されている。容器本体101の栄養剤を流出させる口部102には薄膜(図示せず)が取り付けられて、容器本体101内が密閉されている。体内に栄養剤を投与する際には、プラスチック製接続針104を口部に装着されたキャップ105に刺して上記薄膜を突き破る。このことにより、接続針104に接続されたチューブを通して体内に栄養剤を送ることができる。
【0004】
図23に、従来の静脈栄養療法に用いられる輸液セットの一例の概略構成図を示している。バッグ110のバッグ本体111内には、栄養成分や薬剤成分を含む液状物が充填されている。体内に液状物を投与する際には、接続針114を接続針用ポート113に穿刺する。このことにより、接続針114に接続されたチューブを通して体内に液状物を送ることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000―176023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のとおり、従来の経腸栄養療法においては、静脈栄養療法と同様に、先端が鋭利な接続針を接続対象に突き刺すことによって、栄養剤を体内に送る手法が採用される場合がある。そのため、キャップ105に接続針114を穿刺することが可能である。この場合、接続針114は、キャップ105および薄膜を貫通し、口部102の内部に至ることになる。しかし、このような誤接続が行われると、胃や腸に供給されるべき栄養剤等が静脈に誤って供給されることになり、医療事故が発生する可能性があった。
【0007】
本発明は、上記誤接続の問題を解決し、且つ、栄養剤等の液状物の供給が簡単な操作で衛生的に行える栄養剤用容器の提供を可能とするキャップ、およびそれを用いた栄養剤用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のキャップは、
栄養剤用容器の容器本体部に充填された液状物を流出させる前記容器本体部の口部に装着されるキャップであって、
前記容器本体部は、前記口部に取り付けられて前記容器本体部内を密閉する薄膜を含み、
前記キャップは、
前記キャップが前記口部に装着された時に、前記口部の開口を塞ぐ天面部と前記口部の外周面を囲う側壁部とを含む、基部と、
前記天面部の外側主面から突出した管状部を含み、コネクタが接続されうる接続部と、
前記天面部の内側主面から突出し、その貫通孔が前記管状部の貫通孔と連通した中空ノズルと、を備え
前記キャップは、前記口部に対して第1装着状態と第2装着状態とを取りえ、
前記第1装着状態では、前記中空ノズルの端面が、前記薄膜に接しないか、または、前記薄膜に接するが前記薄膜を押圧しない位置で、前記口部に対する前記キャップの装着状態が保持され、
前記第2装着状態では、前記中空ノズルによって前記薄膜が破られ、前記中空ノズルが前記口部内に配置された状態で、前記口部に対する前記キャップの装着状態が保持される。
【0009】
本発明の栄養剤用容器は、
口部を含む容器本体部と、
容器本体部内に充填された液状物と、
前記口部に取り付けられて前記容器本体部内を密閉する薄膜と、
前記口部に装着された本発明のキャップと、を含み、
前記キャップは、前記第1装着状態で前記口部に装着されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、静脈栄養療法に用いられる送液回路が栄養剤用容器に誤って接続されるという誤接続の問題を解決し、且つ、栄養剤等の液状物の供給が簡単な操作で衛生的に行える栄養剤用容器の提供を可能とするキャップ、およびそれを用いた栄養剤用容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態1にかかる栄養剤用容器の概略構成を示した部分斜視図である。
図2図2は、図1に示された栄養剤用容器の分解斜視図である。
図3図3は、図1に示された栄養剤用容器を構成する本発明のキャップの一例の概略構成を示した拡大斜視図である。
図4図4は、図3に示されたキャップを構成する接続部の拡大図である。
図5図5は、図1に示された栄養剤用容器に対して、送液回路が接続される直前の様子を示した斜視図である。
図6図6は、図1に示された栄養剤用容器に対して、送液回路が接続された状態を示した斜視図である。
図7A図7Aは、第1装着状態における、図3に示されたキャップの図2に示された口部に対する装着状態を説明する平面図である。
図7B図7Bは、図7Aの一部断面概念図である。
図8図8は、図7Bの部分拡大図である。
図9A図9Aは、第2装着状態における、図3に示されたキャップの図2に示された口部に対する装着状態を説明する平面図である。
図9B図9Bは、図9Aの一部断面概念図である。
図10図10は、図9Aの断面概念図である。
図11図11は、本発明の実施形態2にかかるキャップの一例の概略構成を示した斜視図である。
図12図12は、本発明の実施形態3にかかるキャップの一例の概略構成を示した斜視図である。
図13図13は、本発明の実施形態4にかかる栄養剤用容器の概略構成を示した部分斜視図である。
図14図14は、図13に示された栄養剤用容器の分解斜視図である。
図15図15は、図14に示された栄養剤用容器の口部を開口端面側からみた概略平面図である。
図16図16は、図13に示された栄養剤用容器を構成する本発明のキャップの一例の概略構成を示した拡大斜視図である。
図17A図17Aは、第1装着状態における、図16に示されたキャップの図14に示された口部に対する装着状態を説明する平面図である。
図17B図17Bは、図17Aの部分断面概念図である。
図18図18は、図17Aの部分拡大図である。
図19A図19Aは、第1装着状態から第2装着状態に至る途中の、図16に示されたキャップの図14に示された口部に対する装着状態を説明する平面図である。
図19B図19Bは、図19Aの一部断面概念図である。
図20A図20Aは、第2装着状態における、図16に示されたキャップの図14に示された口部に対する装着状態を説明する平面図である。
図20B図20Bは、図20Aの一部断面概念図である。
図21図21は、図20Aの断面概念図である。
図22図22は、従来の経腸栄養療法に用いられる経腸栄養セットの一例の概略構成図である。
図23図23は、従来の静脈栄養療法に用いられる輸液セットの一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のキャップの好ましい一例では、容器本体部の口部は、その外周面にオネジが形成された先端側筒状部と、前記先端側筒状部より外径が大きくその外周面に第1突起が形成された基端側筒状部とを含む。一方、キャップの側壁部は、第2装着状態の時に先端側筒状部に対向し、その内周面にオネジに螺合するメネジが形成された小径筒状部と、第2装着状態の時に基端側筒状部に対向し、その内周面に第2突起が形成された大径筒状部とを含む。この場合、第2突起が第1突起を乗り越えるようにキャップ内に口部を押し込むことにより第1装着状態が得られ、第1装着状態のキャップを回転させてメネジをオネジに螺合させながら、中空ノズルによって薄膜を突き破り、キャップをその回転限界まで回転することにより第2装着状態が得られる。
【0013】
上記大径筒状部には、キャップの開口側端から天面部側に向かってスリットが形成されていると好ましい。この場合、第2突起が第1突起を乗り越えるようにキャップ内に口部を押し込む操作が行い易い。
【0014】
本発明のキャップの好ましい一例では、容器本体部の口部は、その外周面にオネジが形成されている。一方、キャップについては、側壁部に切り欠き部が形成され、側壁部の内周面の切り欠き部よりも天面部側の箇所には、第2装着状態の時にオネジに螺合しうるメネジが形成され、側壁部の内周面のうちの、メネジが形成されている箇所よりも天面部から離れた箇所には第3突起が形成されている。そして、第3突起がオネジを乗り越えるようにキャップ内に口部を押し込むことにより第1装着状態が得られ、第1装着状態のキャップを回転させてメネジをオネジに螺合させながら、中空ノズルによって薄膜を突き破り、キャップをその回転限界まで回転することにより第2装着状態が得られる。このような形態のキャップでは、第3突起がオネジを乗り越えたことを確認しやすく、第1装着状態が得られたことの確認が行い易い。
【0015】
本発明のキャップの好ましい一例では、接続部が、管状部の周囲に形成された台座部と、台座の外周面から外方に突出した、コネクタに係合されうる爪部とを含む。このような形態のキャップでは、コネクタの管状部に対する抜けが確実に防止される。
【0016】
本発明のキャップの好ましい一例では、キャップの天面部の内側主面上に配置されたシール材をさらに含む。このような形態のキャップでは、第2装着状態における、キャップと口部との気密性を高めることができる。
【0017】
本発明のキャップの好ましい一例では、キャップの天面部には、その厚み方向に貫通する通気孔が形成されており、通気孔を被覆するように天面部に通気フィルタが取り付けられ、第2装着状態の時、通気フィルタによって、容器本体部外の空気の容器本体部内への流入が行われる。このような形態のキャップでは、容器本体部が硬質材から形成されている場合、体内に栄養剤を供給している最中に、容器本体部に針等をさして容器本体部に通気用の穴を形成する等しなくても、容器本体部からの液状物の流出が継続的に行える。
【0018】
本発明のキャップの好ましい一例では、管状部の貫通孔を区画するリブを備え、筒状部をその先端側から見たときに、管状部の貫通孔がリブにより、少なくとも3つに分割されている。このような形態のキャップでは、接続針の管状部内への進入がリブにより妨げられるので、誤接続の問題をより確実に防止できる。
【0019】
(実施形態1)
以下、図1図10を用いて、本発明のキャップの一例、および当該キャップを用いた本発明の栄養剤用容器の一例について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の栄養剤用容器の一例の概略構成を示した部分斜視図である。図1に示されるように、栄養剤用容器10は、容器本体部であるボトル本体11と、ボトル本体11内に充填された栄養剤を含む液状物(図示せず)と、ボトル本体11の口部12(図2参照)に装着されたキャップ13を含む。ボトル本体11の底部には、ボトル本体11をスタンド等に吊り下げるための吊り下げ部(図示せず)が設けられている。
【0021】
ボトル本体11は、例えば、硬質材で形成されている。そのため、特に外力を加えないかぎり外形形状は維持されている。ボトル本体11は、例えば、樹脂材料を用いてブロー成形することにより得られる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン等が挙げられる。
【0022】
図2は、図1に示した栄養剤用容器の分解斜視図である。口部12は、その先端側から、先端側筒状部12aと、基端側筒状部12bとをこの順で含んでいる。先端側筒状部12aの外周面には、キャップ13のメネジ19(図3参照)と螺合させるためのオネジ12cが形成されている。基端側筒状部12bは先端側筒状部12aよりも外径が大きい。基端側筒状部12bの外周面には、環状の第1突起12dが形成されている。
【0023】
口部12には、口部12の開口を塞ぐように薄膜16が取り付けられ、ボトル本体11内が薄膜16によって密閉されている。そのため、薄膜16が取り付けられたボトル本体11を、口部12が下になるように向けても、ボトル本体11内の液状物は、ボトル本体11内から漏れ出ない。
【0024】
薄膜16の材料としては、例えば、アルミ箔、紙とアルミ箔とからなる積層膜、ボトル本体11に含まれる樹脂と同じ樹脂を含む樹脂膜等が挙げられる。上記樹脂膜は、単層膜、複数層からなる積層膜のいずれであってもよい。中でも、熱溶着による薄膜16のボトル本体11に対する高い接着性を確保する観点から、ボトル本体11に接する面にボトル本体11に含まれる樹脂と同じ樹脂を含む樹脂膜が好ましい。
【0025】
薄膜16は、口部12の開口端面12fに接着され、かつ、その周縁部16aが口部12の開口端面12fの近傍の外周面に接着されていてもよいが、薄膜16は、口部12の開口端面12fのみに接着されていてもよい。薄膜16の口部12への接着方法は、薄膜16の材料および口部12の材料等に応じて適宜選択される。
【0026】
図2に示されるように、キャップ13は、基部23と接続部21と中空ノズル22(図3参照)とを含む。基部23は、ボトル本体11の口部12に取り付けられる部分である。中空ノズル22の貫通孔22bは、後述する基部23の管状部21aの貫通孔212(図4参照)と連通している。基部23は、キャップ13が口部12に装着された時に、口部12の開口を塞ぐように当該開口に対向する天面部17と口部12の外周面を囲う側壁部18とを含む。
【0027】
図3に示されるように、側壁部18は、小径筒状部18aと大径筒状部18bとを含む。小径筒状部18aの内周面には、オネジ12cに螺合するメネジ19が形成されている。大径筒状部18bの内周面には、複数の第2突起24が形成されている。複数の第2突起24は、例えば、基部の開口端面付近の内周面において、周方向に等間隔で形成されている。
【0028】
図2に示されるように、接続部21は、天面部17の外側主面から突出した管状部21aと、管状部21aの周囲に形成された台座部21bと、台座21bの外周面から外方向に突出した爪部21cとを含む。台座部21bは、天面部17の外側主面から突出しているが、その上面は管状部21aの先端端面よりも低い(天面部17の外側主面に近い)。爪部21cの天面部17側の面の反対面は、台座部21bの上面と同一平面内にある。
【0029】
図4に示されるように、管状部21aの先端側の外周面は、管状部21aの先端から基部側に向かうにつれて径を大きくしたテーパー面211を含んでいる。管状部21aの内腔は、貫通孔212を区画するリブ213を備えており、貫通孔212はリブ213により4分割されている。すなわち、リブ213の形成部分では、貫通孔212は4つの小孔214になっている。
【0030】
図5に、接続部21に対して、コネクタ25とコネクタ25に接続された可撓性チューブ26とを含む送液回路27が接続される直前の様子を示し、図6に、接続部21に対して、送液回路27が接続された状態を示している。図5および図6に示されるように、接続部21は、コネクタ25を含む送液回路27に接続される構造となっている。そのため、専ら、先端が鋭利な接続針を接続対象に突き刺すことによって液状物を体内に送る静脈栄養療法用の送液回路が、誤って、経腸栄養療法に使用される栄養剤用容器10に接続されるという誤接続の問題を解決される。さらに、図4に示されるように、接続部21が、管状部21aの貫通孔を区画するリブ213を備えていると、上記誤接続の問題をより確実に防止できる。
【0031】
送液回路27の可撓性チューブ26は、図5および図6においては、図示の便宜上、コネクタ25側の一部のみを図示している。コネクタ25を管状部21aに圧入した後、コネクタ25を回転させれば、爪部21cがコネクタ25に形成された開口部25aの下側に配置される。この状態では、爪部21cと、爪部21cの下側(天面部17の外側主面に近い側)に配置されたコネクタ25の凸部(図示せず)とが係合するので、コネクタ25は接続部21に固定され、コネクタ25の抜けが確実に防止される。なお、接続部21とコネクタ25との接続は、螺合構造、嵌合構造、または係合構造等の各種の公知の接続構造によって行え、図5および図6に示した例に限定されない。
【0032】
天面部17には、その厚み方向に貫通する2つの通気孔29が形成されており、通気孔29を被覆するように天面部17の内側主面に通気フィルタ28(図3参照)が取り付けられている。通気フィルタ28は、天面部17の内側主面に設けられた環状壁28aによって囲われている。通気フィルタ28は、疎水性の通気フィルタであり、気体は通過させるが液体は通過させない。ボトル本体11内に充填された液状物が口部12から流出するに伴い、ボトル本体11内の圧力は低くなる。ボトル本体11が軟質材で形成されている場合は、液状物の流出に伴いボトル本体11が変形し、液状物の流出は継続する。しかし、硬質材で形成されたボトル本体11の変形は困難である。本実施の形態では、液状物の流出に伴い、通気フィルタ28を経て、空気がボトル本体11内に引き込まれ、これにより、体内に栄養剤を供給している最中に、ボトル本体11に針等をさしてボトル本体11に通気用の穴を形成する等しなくても、ボトル本体11からの液状物の流出が継続的に行える。
【0033】
通気フィルタ28としては、例えば、瓶針等の接続針に使用されている公知の疎水フィルタであれば、その材料等について特に制限はない。
【0034】
次に、図7A図10を用いて、キャップ13の口部12に対する接続状態について説明する。尚、図7B図9Bにおいては、図示の便宜上、ボトル本体11の口部12に取り付けられてボトル本体11内を密閉する薄膜16については省略している。また、図7B図9B図10においては、接続部21、中空ノズル22、通気フィルタ28を囲う環上壁28aについては、それらの位置を確認するために、断面で表さず、しかも、実際は見えなくても記載している。
【0035】
キャップ13は、口部12に対して第1装着状態と第2装着状態とを取りえる。図7Aおよび図7Bには、第1装着状態の時のキャップ13と口部12とが示されている。第1装着状態では、中空ノズル22の端面22aが、薄膜に接しない位置で、口部12に対するキャップ13の装着状態が保持されている。
【0036】
第1装着状態の保持は下記のようにしてなされている。キャップ13の大径筒状部18bの第2突起24が設けられている箇所における最大内径R1は、口部12の先端側筒状部12aの最大外径よりも大きく、基端側筒状部12bの環状の第1突起12dが形成されている箇所よりも基端側(先端側の反対側)における最大外径よりも僅かに大きい。しかし、最大内径R1は、基端側筒状部12bの環状の第1突起12dが形成されている箇所における最大外径よりも僅かに小さい。そのため、キャップ13を回転させることなく、キャップ13内に口部12を押し込めば、第2突起24が第1突起12dを乗り越える。これにより、口部12に装着されたキャップ13が口部12から外れることが防止される。
【0037】
一方、小径筒状部18aの内周面に形成されたメネジ19は、先端側筒状部12aの外周面に形成されたオネジ12cと螺合可能なように形成されている。よって、キャップ13を口部12に対して回転させなければ、キャップ13の天面部17の内側主面が口部12の開口端面側に押し付けられるような力が、キャップ13に付与されても、図8に示されるように、メネジ19の螺合開始側におけるオネジ12cと向かい合う面191が、オネジ12cの螺合開始側におけるメネジ19と向かい合う面121が衝突することにより、キャップ13が口部12側にさらに押し込まれることが防止される。よって、キャップ13を口部12に対して回転させなければ、中空ノズル22により薄膜が突き破られることはない。
【0038】
本実施形態では、このようにして、第1装着状態が保持される。なお、第1装着状態では、キャップ13が口部12から容易に外れることがなく、かつ、中空ノズル22によって薄膜が突き破られなければ、キャップ13は口部12に対して、上下に動いてもよい。
【0039】
第2装着状態の保持は下記とおりなされている。第1装着状態にあるキャップ13を図7Aおよび図7Bに示される矢印の方向に回転させて、メネジ19とオネジ12cとを螺合させる。これに伴い、第1装着状態では、薄膜に接しない位置、すなわち、口部12の外に配置されていた中空ノズル22が、薄膜に近づき、次いで、薄膜16(図2参照)を破りながら口部12内に進入する。次いで、キャップ13をその回転限界まで回転させることにより、図9A図10に示されるような第2装着状態が得られる。第2装着状態では、キャップの小径筒状部18aは、先端側筒状部12aに対向し、大径筒状部18bは基端側筒状部12bに対向する。図10に示されるように薄膜16が破られることにより、ボトル本体11を、口部12が下になるように向ければ、中空ノズル22および通気フィルタ28は液状物に接することとなる。
【0040】
キャップ13の回転限界は、例えば、キャップ13の天面部17の内側主面によって規制できる。すなわち、口部12の開口端面12f(図2参照)がキャップ13の天面部17の内側主面に当接すると、キャップ13は回転させることができなくなるので、キャップ13のさらなる回転が防止される。
【0041】
本実施形態において、オネジ12cの長さは、ネジの種類等に応じて異なるが、中空ノズル22および通気フィルタ28の両方が液状物に接することが可能となるが薄膜16の一部が脱落しないように、中空ノズル22により薄膜16が破ることができ、且つ、オネジ12cとメネジ19との螺合により、キャップ13と口部12との高い気密性を確保できれば特に制限はない。本実施形態において図面を用いて説明した例では、オネジは1条ネジであるが、ネジの種類はこれに限定されず、多条ネジであってもよく、その条数についても特に制限はない。
【0042】
本実施形態では、このようにして、第2装着状態が保持される。
【0043】
本実施形態では、静脈栄養療法に用いられる送液回路が誤って経腸栄養療法に用いられるに接続されるという誤接続の問題を解決できただけでなく、キャップ13が、口部12に対して第1装着状態と第2装着状態の両方を取りえるので、薄膜16の一部又は全部を手で剥がしたり、指で薄膜16に孔をあける等しなくても、ボトル本体11内の液状物の流出が可能である。したがって、栄養剤等の液状物の供給が簡単な操作で、衛生的に行える。出荷時に第1装着状態でキャップ13が口部12に装着されていれば、作業者は、接続部21に送液回路27を接続した後、キャップ13を回転限界まで回転させるだけで、患者への液状物の供給が可能となる。
【0044】
キャップ13の材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
【0045】
(実施形態2)
次に、図11を用いて、本発明のキャップの他の一例、および当該キャップを用いた本発明の栄養剤用容器の他の一例について説明する。
【0046】
図11に示されるように、キャップ13は、天面部17の内側主面17a上に配置された環状のシール材171をさらに含んでいると好ましい。キャップ13が口部12に第2装着状態で装着されている場合、シール材171が天面部17の内側主面17aと口部12の開口端面12f(図2参照)とに挟まれて、キャップ13と口部12との気密性を高めることができる。そのため、患者へ液状物を供給している最中に、液状物が、キャップ13と口部12との隙間から漏れ出ることが効果的に防止される。なお、図示の便宜上、シール材171にはハッチングを施している。また、本実施形態のキャップは、シール材171を備えること以外は実施形態1におけるキャップと同構成をしており、本実施形態のキャップが装着される容器本体部の構成も、実施形態1における容器本体部と同構成をしている。よって、これらの各部の説明は省略する。
【0047】
シール材171の材料は、イソプレンゴム、ブチレンゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0048】
(実施形態3)
次に、図12を用いて、本発明のキャップのさらに別の一例、および当該キャップを用いた本発明の栄養剤用容器のさらに別の一例について説明する。
【0049】
図12に示されるように、キャップ13の大径筒状部18bには、キャップ13の開口側端13aから天面部17側に向かってスリット181が形成されていてもよい。この場合、第2突起24が第1突起12d(図2参照)を乗り越えるようにキャップ13内に口部12を押し込む作業が行い易くなる。尚、本実施形態のキャップ13は、スリット181が大径筒状部18bに形成されていること以外は実施形態1におけるキャップと同構成をしており、本実施形態のキャップが装着される容器本体部の構成も、実施形態1における容器本体部と同構成をしている。よって、これらの各部の説明は省略する。
【0050】
(実施形態4)
次に、図13図21を用いて、本発明のキャップのさらに別の例、および当該キャップを用いた本発明の栄養剤用容器のさらに別の一例について説明する。
【0051】
図13は、本実施形態の栄養剤用容器の一例の概略構成を示した部分斜視図である。図1に示されるように、栄養剤用容器40は、容器本体部であるボトル本体41と、ボトル本体41内に充填された栄養剤を含む液状物(図示せず)と、ボトル本体41の口部42(図14参照)に装着されたキャップ43を含む。ボトル本体41の底部には、ボトル本体41をスタンド等に吊り下げるための吊り下げ部(図示せず)が設けられている。
【0052】
ボトル本体41は、実施形態1におけるボトル本体41と同様に硬質材で形成されている。
【0053】
図14は、図13に示した栄養剤用容器の分解斜視図である。ボトル本体41の口部42の外周面には、キャップ43のメネジ49(図16参照)と螺合させるためオネジ42cが形成されている。オネジ42cは4条ネジであり、部分421c、部分422c、部分423c、部分424cを含む。
【0054】
図15に、口部42を開口端面42f側からみた平面図を示している。図15に示されるように、オネジ42が、口部42の周方向のいずれの位置においても存在するように、部分421c、部分422c、部分423c、および部分424cが形成されている。隣り合う上記部分は、口部42をその開口端側から見たときに、互いに重なり部分を有していていもよい。
【0055】
図14に示されるように、口部12の基端側の外周面には、環上突起44が形成されている。
【0056】
口部42の開口端には、口部42の開口を塞ぐように薄膜46が取り付けられ、ボトル本体41内が薄膜46によって密閉されている。薄膜46の材料としては、実施形態1における薄膜16の材料と同じでよい。薄膜46の口部42への接着態様も、実施形態1における場合と同様に行え、周縁部46aが、口部42の開口端面42fの近傍の外周面と開口端面42fに接着されていてもよいし、薄膜46が口部42の開口端面42fのみに接着されていてもよい。薄膜46の口部42への接着方法も、実施形態1における場合と同じでよい。
【0057】
図14に示されるように、キャップ43は、基部45と接続部51と中空ノズル52(図16参照)とを含む。基部45は、ボトル本体41の口部42に取り付けられる部分である。基部45は、キャップ43が口部42に装着された時に、口部42の開口を塞ぐように当該開口に対向する天面部47と口部42の外周面を囲う側壁部48とを含む。
【0058】
図16に示されるように、側壁部48には、1対の切り欠き部48aが形成されている。側壁部48の内周面のうちの、切り欠き部48aが形成されている箇所よりも天面部47側の箇所には、オネジ42cに螺合しうるメネジ49が形成されている。メネジ49も4条ネジである。一方、側壁部48の内周面のうちの、メネジ49が形成されている箇所よりも天面部47から離れた箇所には、複数の第3突起54が形成されている。複数の第3突起54は、例えば、基部45の開口端面43aの付近の内周面において、周方向に等間隔で形成されている。第3突起54の数はオネジ42cの条数と等しい数であり、図16に示した例では4つである。
【0059】
図14に示されるように、接続部51は、実施形態1における場合と同様に、管状部51aと、管状部51aの周囲に形成された台座部51bと、台座51bの外周面から外方向に突出した爪部51cと、管状部51aの貫通孔を区画するリブ513とを含む。台座部51bは、天面部47の外側主面から突出しているが、その上面は管状部51aの先端端面よりも低い(天面部47の外側主面に近い)。爪部51cの天面部47側の面の反対面は、台座部51bの上面と同一平面内にある。
【0060】
本実施形態では、接続部51が実施形態1におけるそれと同一であることから、接続部51と送液回路との接続は、実施形態1における場合と同じである。すなわち、接続部51は、コネクタを含む送液回路が接続可能な構造となっている。そのため、本実施形態においても、専ら、先端が鋭利な接続針を接続対象に突き刺すことによって栄養剤を体内に送る静脈栄養療法で用いられる送液回路が、経腸栄養療法に用いられる栄養剤用容器に誤って接続されるという誤接続の問題を解決される。さらに、接続部51が、管状部51aの貫通孔を区画するリブ513を備えているので、上記誤接続の問題をより確実に防止できる。
【0061】
天面部47には、その厚み方向に貫通する1対の通気孔59が形成されており、通気孔59を被覆するように天面部47の内側主面に通気フィルタ58(図16参照)が取り付けられている。通気フィルタ58の材料は、実施形態1における通気フィルタ28と同じでよい。
【0062】
次に、図17A図21を用いて、キャップ43の口部42に対する接続状態について説明する。なお、尚、図17B図19B図20Bにおいては、図示の便宜上、容器本体部41の口部42に取り付けられて容器本体部41内を密閉する薄膜46については省略している。また、図17B図19B図20B図21においては、接続部51、中空ノズル52、通気フィルタを囲う環上壁58aについては、それらの位置を確認するために、断面で表さず、しかも、実際は見えなくても記載している。
【0063】
キャップ43は、口部42に対して第1装着状態と第2装着状態とを取りえる。図17Aおよび図17Bには、第1装着状態の時のキャップ43と口部42とが示されている。第1装着状態では、中空ノズル52の端面が、薄膜46(図14)に接しない位置で、口部42に対するキャップ43の装着状態が保持されている。
【0064】
第1装着状態の保持は下記のとおりなされている。キャップ43の第3突起54が形成されている箇所における最大内径は、口部42のオネジ42cが形成されている箇所における最大外径よりも僅かに小さい。しかし、周方向に隣り合う切り欠き部48aの間に配置された側壁部48の一部48cの内面を含み、キャップ43の中心軸222を中心軸とする円筒の径(図16参照)は、口部42のオネジ42cが形成された箇所における最大外径よりも僅かに大きい。そのため、キャップ43を回転させることなく、キャップ43内に口部42を押し込めは、図17Bに示されるように、第3突起54がオネジ42cを乗り越える。これにより、キャップ43内が口部42から外れることが防止される。
【0065】
また、側壁部48の切り欠き部48aよりも天面部47側の内周面に形成されてメネジ49は、口部42の外周面に形成されたオネジ42cと螺合可能なように形成されている。よって、キャップ43を回転させなければ、キャップ43の天面部47の内側主面が口部42の開口端面42f側に押し付けられるような力がキャップ43に付与されても、図18に示されるように、メネジ49の螺合開始側におけるオネジ42cと向かい合う面491が、オネジ42cの螺合開始側におけるメネジ49と向かい合う面421とが衝突することにより、キャップ43が口部42側にさらに押し込まれることが防止される。よって、中空ノズル52により薄膜が突き破られることが防止される。
【0066】
本実施形態では、このようにして、第1装着状態が保持される。
【0067】
第2装着状態の保持は下記のとおりなされている。第1装着状態にあるキャップ43を図17Aおよび図17Bに示される矢印の方向に回転させてメネジ49とオネジ42cとを螺合させる。これに伴い、第1装着状態では、薄膜に接しない位置、すなわち、口部42の外に配置されていた中空ノズル52が、薄膜に近づき、次いで、薄膜を破りながら口部42内に進入する。図19Aおよび図19Bは、第1装着状態から第2装着状態に至る途中の、キャップ43の口部42に対する装着状態を説明する平面図である。次いで、キャップ43をその回転限界まで回転させることにより、第2装着状態が得られる(図20A図20B図21参照)。薄膜46が破られることにより、ボトル本体41を、口部42が下になるように向ければ、中空ノズル52および通気フィルタ58は液状物に接することとなる。
【0068】
キャップ43の回転限界は、例えば、キャップ43の天面部47の内側主面によって規制できるが、環上突起44を所定の位置に形成して、環上突起44によってキャップ43の回転限界を規制してもよい。
【0069】
本実施形態において、オネジ42cおよびメネジ49の長さは、中空ノズル52および通気フィルタ58の両方が液状物に接することが可能となるが薄膜46の一部が脱落しないように、中空ノズル52により薄膜46を破ることができ、且つ、オネジ42cとメネジ49との螺合により、キャップ43と口部42との高い気密性を確保できれば特に制限はない。
【0070】
本実施形態では、このようにして、第2装着状態が保持される。
【0071】
本実施形態においても、実施形態1と同様に、静脈栄養療法に用いられる送液回路が誤って接続されるという誤接続の問題を解決できただけでなく、栄養剤等の液状物の供給が簡単な操作で、衛生的に行える。出荷時に第1装着状態でキャップ43が口部42に装着されていれば、作業者は、接続部51に送液回路を接続した後、キャップ43を回転限界まで回転させるだけで、患者への液状物の供給が可能となる。
【0072】
本実施形態においても、実施形態1と同様の理由から、キャップ43は、天面部47の内側主面上に配置された環上のシール材(図示せず)をさらに含んでいると好ましい。
【0073】
尚、本実施形態において図面を用いて説明した例では、オネジが4条ネジであるが、ネジの種類はこれに限定されず、1条ネジであってもよく、4条ネジ以外の多条ネジであってもよい。メネジについても、オネジに相応して1条ネジであってもよく、4条ネジ以外の多条ネジであってもよい。
【0074】
尚、図5に示された送液回路27は、図示の便宜上、コネクタ25と可撓性チューブ26の一部のみを図示しているが、実施形態1〜4におけるキャップに接続される送液回路は、可撓性チューブ26を押圧して可撓性チューブ26を流れる液状物の流量を調節するための流量調整器、点滴筒、患者に固定された経鼻チューブ等に接続されうるコネクタ、当該コネクタのカバー等、従来公知の経腸栄養療法に使用される送液回路が備える構成部品をさらに含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明では、経腸栄養療法に好適な、栄養剤用容器のキャップ、およびそれを用いた栄養剤用容器を提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図21
図22
図23