(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記歯車情報取得手段(10)は、シフト位置情報に基づいて駆動力が発生させられていない非駆動力発生状態であることを検出し、該非駆動力発生状態において、前記車両(1)が前記歯車(12a〜12d)の前記エッジ数もしくは前記歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、前記エッジ数もしくは前記歯数をカウントダウンすることを特徴とする請求項1に記載の車輪位置検出装置。
前記歯車情報取得手段(10)は、シフト位置情報に基づいて駆動力が発生させられている駆動力発生状態であることを検出し、該駆動力発生状態において、発生させられる駆動力に基づいて前記車両(1)が移動する方向が前記歯車(12a〜12d)の前記エッジ数もしくは前記歯数をカウントアップする方向であるとして、前記車両(1)が前記歯車(12a〜12d)の前記エッジ数もしくは前記歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、前記エッジ数もしくは前記歯数をカウントダウンすることを特徴とする請求項1または2に記載の車輪位置検出装置。
前記第2制御部(33)は、前記フレームの受信タイミングのときの前記歯位置に基づいて設定される前記バラツキ許容幅の大きさを車速が大きくなるほど大きくすることを特徴とする請求項4に記載の車輪位置検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、車輪速パルスから歯車の歯数を求める場合、歯車の歯数のカウントアップを行う方向として想定している方向に歯車を回転させるように車両が移動した場合には歯数のカウントアップをそのまま行えば良いが、車両がその逆方向に進んだ場合には、カウントアップをそのまま行うと正確な歯数を求められない。例えば、車両が前進することを想定して歯数のカウントアップを行う場合に路面勾配により車両が後退してしまった場合や、車両が後退することを想定して歯数のカウントアップを行う場合に路面勾配により車両が前進してしまった場合が挙げられる。これらは、シフト位置が前進方向を示す“D(ドライブ)”、“2(セカンド)”、“1(ロー)”などのレンジや後退方向を示す“R(リバース)”レンジに入っていない場合(例えば“N(ニュートラル)”レンジの場合)に特に生じるが、これらのレンジに入っている場合にも発生する。例えば、登坂路において車両が前進しようとする際に逆方向にずり下がる場合や、降坂路において車両が後退しようとする際に逆方向にずり下がる場合などがある。これらの場合には、正確に車輪位置を特定することができなくなる。
【0008】
また、特許文献1に記載の方法では、初期値に対してバラツキが所定の許容値で規定される許容範囲内に入っているか否かに基づいて車輪位置特定を行っているため、そのバラツキが許容範囲内に含まれている期間中は車輪位置を特定できない。また、標準偏差に基づいて車輪位置の特定を行っていることから、ある程度多くのデータ量が必要であり、少なくともその必要なデータ量が揃うまでは車輪位置の特定を行うことができない。このため、車輪位置の特定に時間が掛かる。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、より正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置およびそれを備えたタイヤ空気圧検出装置を提供することを第1の目的とする。さらに、より短時間で正確に車輪位置の特定が行えるようにすることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1ないし
6に記載の発明では、送信機(2)は、該送信機(2)が取り付けられた車輪の回転に伴って変化する重力加速度成分を含む加速度に応じた検出信号を出力する加速度センサ(22)を有し、第1制御部(23)は、送信機(2)が取り付けられた車輪の中心軸を中心とし、かつ、該車輪の周方向の任意の位置を角度0°として、加速度センサ(22)の検出信号に含まれる重力加速度成分に基づき、送信機(2)の角度を検出すると共に、該角度が所定の送信角度になるタイミングで繰り返しフレームを送信させている。また、歯車情報取得手段(10)は、歯車(12a〜12d)の回転に伴ってエッジ数もしくは歯数をカウントアップすると共に、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンすることでエッジ数もしくは歯数を演算する。そして、受信機(3)に備えられた第2制御部(33)は、歯車情報取得手段(10)から歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数を取得すると共に、フレームの受信タイミングのときのエッジ数もしくは歯数に基づいてフレームが送信された送信機(2)の取り付けられた車輪を特定する車輪位置検出を行うことを特徴としている。
【0011】
このように、歯車(12a〜12d)の回転に伴ってエッジ数もしくは歯数をカウントアップすると共に、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンすることでエッジ数もしくは歯数を演算している。これにより、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したとしても、正確に歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数を取得することができる。したがって、このような正確な歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数に基づいて車輪位置検出を行うことで、より正確に車輪位置を特定することが可能となる。
【0012】
また、請求項
1に記載
の発明では、歯車情報取得手段(10)は、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したことを、シフト位置情報と路面勾配とに基づいて検出
している。
【0013】
例えば、シフト位置が車両(1)が前進方向に移動すること示す位置であるのに対して車両(1)が後方にずり下がる方向の路面勾配である場合には、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したと検出できる。シフト位置が車両(1)が後退方向を示す位置であるのに対して車両(1)が前方にずり下がる方向の路面勾配である場合も同様である。また、非駆動力発生状態である場合には、その直前のシフト位置が車両(1)の前進方向を示す位置であるか、後退方向を示す位置であるかに応じて、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したことを検出できる。
【0014】
請求項
2に記載の発明では、歯車情報取得手段(10)は、シフト位置情報に基づいて駆動力が発生させられていない非駆動力発生状態であることを検出し、該非駆動力発生状態において、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンすることを特徴としている。
【0015】
非駆動力発生状態は車両(1)が特にずり下がり易い。このような場合にも、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したことを検出し、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンすることで、正確に歯車(12a〜12d)の歯位置を取得できる。
【0016】
請求項
3に記載の発明では、歯車情報取得手段(10)は、シフト位置情報に基づいて駆動力が発生させられている駆動力発生状態であることを検出し、該駆動力発生状態において、発生させられる駆動力に基づいて車両(1)が移動する方向が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向であるとして、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンすることを特徴としている。
【0017】
駆動力発生状態であっても車両(1)のずり下がりは発生する。このような場合にも、車両(1)が歯車(12a〜12d)のエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したことを検出し、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンするで、正確に歯車(12a〜12d)の歯位置を取得できる。
【0018】
請求項
4に記載の発明では、受信機(3)に備えられた第2制御部(33)は、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、該バラツキ許容幅を設定した後におけるフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であれば、該フレームが送信された送信機(2)の取り付けられた車輪の候補から除外していき、残った車輪をフレームが送信された送信機(2)の取り付けられた車輪として登録している。そして、第2制御部(33)は、フレームを受信するたびにバラツキ許容幅を変更しており、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定すると共に、このバラツキ許容幅と前回のフレームの受信タイミングに設定されたバラツキ許容幅と重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定し、かつ、異なる送信角度で送信されたフレームの受信タイミングでの歯位置を送信角度が同じときの歯位置に補正し、該補正した送信角度が同じときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であるか否かを判定することでフレームが送信された送信機(2)の取り付けられた車輪を特定することを特徴としている。
【0019】
このように、フレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であれば、該フレームが送信された送信機(2)の取り付けられた車輪の候補から除外できる。このため、多くのデータ量が揃わなくても車輪位置の特定を行うことができる。さらに、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づくバラツキ許容幅と、前回のフレームの受信タイミングに設定されたバラツキ許容幅と重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定している。このため、これらの重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。したがって、より短時間で正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置とすることが可能となる。
【0020】
請求項
5に記載の発明では、第2制御部(33)は、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいて設定されるバラツキ許容幅の大きさを車速が大きくなるほど大きくすることを特徴としている。
【0021】
歯位置のバラツキは、車速が大きいほど大きくなる可能性がある。このため、車速が大きくなるほどバラツキ許容幅を大きくすることで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる
。
請求項
6に記載の発明では、第1制御部(23)は、フレーム内に第2制御部(33)が設定するバラツキ許容幅の大きさを決めるデータを含めて送信することを特徴としている。
【0022】
加速度センサ(22)で加速度検出を行うときのサンプリング周期が長いほど、送信機(2)の角度が所定角度になったタイミングの検出精度が落ちることから、それに応じてバラツキ許容幅を変更することで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。そして、送信機(2)側でサンプリング周期などを把握していることから、送信機(2)が送信するフレーム内にバラツキ許容幅の大きさを決めるデータを含めて送信するようにすることで、上記効果を得ることができる。
【0023】
以上説明した請求項1ないし
6では、本発明を車輪位置検出装置として把握する場合について説明したが、請求項
7に示されるように、この車輪位置検出装置をタイヤ空気圧検出装置に組み込むことも可能である。すなわち、送信機(2)に、複数の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)を備え、第1制御部(23)によってセンシング部(21)の検出信号を信号処理したタイヤ空気圧に関する情報をフレームに格納して受信機(3)に送信されるようにし、受信機(3)では、第2制御部(33)にて、該タイヤ空気圧に関する情報より、複数の車輪(5a〜5d)それぞれに備えられたタイヤの空気圧を検出するようにすることができる。
【0024】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号で説明してある。
【0027】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における車輪位置検出装置が適用されるタイヤ空気圧検出装置の全体構成を示す図である。
図1の紙面左方向が車両1の前方、紙面右方向が車両1の後方に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるタイヤ空気圧検出装置について説明する。
【0028】
図1に示すように、タイヤ空気圧検出装置は、車両1に取り付けられるもので、送信機2、受信機の役割を果たすタイヤ空気圧検出装置用ECU(以下、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)−ECUという)3およびメータ4を備えて構成されている。車輪位置検出装置は、タイヤ空気圧検出装置に備えられる送信機2およびTPMS−ECU3を用いると共に、ブレーキ制御用ECU(以下、ブレーキECUという)10から各車輪5(5a〜5d)に対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの検出信号より得られる歯車情報を取得することで、車輪位置の特定を行っている。
【0029】
図1に示すように、送信機2は、各車輪5a〜5dに取り付けられるもので、車輪5a〜5dに取り付けられたタイヤの空気圧を検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納して送信する。TPMS−ECU3は、車両1における車体6側に取り付けられるもので、送信機2から送信されたフレームを受信すると共に、その中に格納された検出信号に基づいて各種処理や演算等を行うことで車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行う。送信機2は、例えばFSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、TPMS−ECU3は、そのフレームを復調することでフレーム内のデータを読取り、車輪位置検出およびタイヤ空気圧検出を行っている。
図2に送信機2およびTPMS−ECU3のブロック構成を示す。
【0030】
図2(a)に示すように、送信機2は、センシング部21、加速度センサ22、マイクロコンピュータ23、送信回路24および送信アンテナ25を備えた構成となっており、図示しない電池からの電力供給に基づいて各部が駆動される。
【0031】
センシング部21は、例えばダイアフラム式の圧力センサ21aや温度センサ21bを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号や温度に応じた検出信号を出力する。加速度センサ22は、送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dでのセンサ自身の位置検出、つまり送信機2の位置検出や車速検出を行うために用いられる。本実施形態の加速度センサ22は、例えば、車輪5a〜5dの回転時に車輪5a〜5dに働く加速度のうち、各車輪5a〜5dの径方向、つまり周方向に垂直な両方向の加速度に応じた検出信号を出力する。
【0032】
マイクロコンピュータ23は、制御部(第1制御部)などを備えた周知のもので、制御部内のメモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。制御部内のメモリには、各送信機2を特定するための送信機固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0033】
マイクロコンピュータ23は、センシング部21からのタイヤ空気圧に関する検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、そのタイヤ空気圧に関する情報を各送信機2のID情報と共にフレーム内に格納する。また、マイクロコンピュータ23は、加速度センサ22の検出信号をモニタし、各送信機2が取り付けられた車輪5a〜5dでの送信機2の位置検出を行ったり、車速検出を行っている。そして、マイクロコンピュータ23は、フレームを作成すると、送信機2の位置検出の結果や車速検出の結果に基づいて、送信回路24を介して送信アンテナ25よりTPMS−ECU3に向けてフレーム送信(データ送信)を行う。
【0034】
具体的には、マイクロコンピュータ23は、車両1が走行中であることを条件としてフレーム送信を開始しており、加速度センサ22の検出信号に基づいて加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返しフレーム送信を行っている。走行中であることについては、車速検出の結果に基づいて判定しており、加速度センサ22の角度については加速度センサ22の検出信号に基づく送信機2の位置検出の結果に基づいて判定している。
【0035】
すなわち、マイクロコンピュータ23で加速度センサ22の検出信号を利用して車速検出を行い、車速が所定速度(例えば5km/h)以上になると車両1が走行中であると判定している。加速度センサ22の出力には遠心力に基づく加速度(遠心加速度)が含まれる。この遠心加速度を積分して係数を掛けることにより、車速を演算することが可能となる。このため、マイクロコンピュータ23では、加速度センサ22の出力から重力加速度成分を取り除いて遠心加速度を演算し、その遠心加速度に基づいて車速の演算を行っている。
【0036】
また、加速度センサ22によって各車輪5a〜5dの回転に応じた検出信号を出力させていることから、走行時には、その検出信号に重力加速度成分が含まれることになり、車輪回転に応じた振幅を有する信号となる。例えば、検出信号の振幅は、送信機2が車輪5a〜5dの中心軸を中心として上方位置に位置しているときには負の最大振幅、水平位置に位置しているときにはゼロ、下方位置に位置しているときには正の最大振幅となる。このため、この振幅に基づいて加速度センサ22の位置検出を行え、送信機2の位置の角度、例えば各車輪5a〜5dの中心軸を中心として、加速度センサ22が上方位置に位置しているときを0°としたときの加速度センサ22の成す角度を把握できる。
【0037】
したがって、車速が所定速度に達すると同時もしくは車速が所定速度に達したのち加速度センサ22が所定角度になったときを開始タイミングとして、各送信機2からのフレーム送信を行うようにしている。そして、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になるタイミングに、それを送信タイミングとして繰り返しフレーム送信を行うようにしている。なお、送信タイミングについては、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になる毎としても良いが、電池寿命を考慮して、その角度になる毎に常にフレーム送信を行わず、例えば所定時間(例えば15秒間)に1回のみフレーム送信を行うようにすると好ましい。
【0038】
送信回路24は、送信アンテナ25を通じて、マイクロコンピュータ23から送られてきたフレームをTPMS−ECU3に向けて送信する出力部としての機能を果たす。フレーム送信には、例えばRF帯の電波を用いている。
【0039】
このように構成される送信機2は、例えば、各車輪5a〜5dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。そして、送信機2は、送信機2が取り付けられた車輪のタイヤ空気圧を検出し、上記したように車速が所定速度を超えると、各車輪5a〜5dの加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返し各送信機2に備えられた送信アンテナ25を通じてフレーム送信を行う。その後も、送信機2から各車輪5a〜5dの加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングでフレーム送信を行うようにすることもできるが、電池寿命を考慮して送信間隔を長くした方が良いため、車輪位置特定に必要と想定される時間が経過すると車輪位置確定モードから定期送信モードに切り替わり、より長い一定周期毎(例えば1分毎)にフレーム送信を行うことで、TPMS−ECU3側にタイヤ空気圧に関する信号を定期送信する。このとき、例えば送信機2毎にランダムディレイを設けることで、各送信機2の送信タイミングがずれるようにすることができ、複数の送信機2からの電波の混信によってTPMS−ECU3側で受信できなくなることを防止することができる。
【0040】
また、
図2(b)に示すように、TPMS−ECU3は、受信アンテナ31、受信回路32およびマイクロコンピュータ33などを備えた構成とされている。TPMS−ECU3は、CANなどの車内LANを通じて、後述するようにブレーキECU10から歯車情報を取得することで各車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置を取得している。
【0041】
受信アンテナ31は、各送信機2から送られてくるフレームを受信するためのものである。受信アンテナ31は、車体6に固定されており、TPMS−ECU3の本体内に配置された内部アンテナでも良いし、本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとされていても良い。
【0042】
受信回路32は、受信アンテナ31によって受信された各送信機2からの送信フレームを入力し、そのフレームをマイクロコンピュータ33に送る入力部としての機能を果たす。受信回路32は、受信アンテナ31を通じて信号(フレーム)を受信すると、その受信した信号をマイクロコンピュータ33に伝えている。
【0043】
マイクロコンピュータ33は、第2制御部に相当するもので、マイクロコンピュータ33内のメモリに記憶されたプログラムに従って車輪位置検出処理を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ33は、ブレーキECU10から取得する情報と、各送信機2からの送信フレームを受信した受信タイミングとの関係に基づいて車輪位置検出を行っている。ブレーキECU10からは、各車輪5a〜5dの車輪速度情報に加えて各車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。
【0044】
歯車情報とは、各車輪5a〜5dと共に回転させられる歯車(ギア)の歯位置を示す情報である。車輪速度センサ11a〜11dは、例えば歯車の歯に対向して配置される電磁ピックアップ式センサによって構成され、歯車の歯の通過に伴って検出信号を変化させる。このようなタイプの車輪速度センサ11a〜11dでは、検出信号として歯の通過に対応する方形パルス波を出力していることから、その方形パルス波の立上りおよび立下りが歯車の歯のエッジの通過を表すことになる。したがって、ブレーキECU10では、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号の立上りおよび立下りの数から歯車の歯のエッジ数、つまりエッジの通過数をカウントしている。
【0045】
ただし、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号から歯車の歯位置を求める場合、歯車のエッジ数をカウントアップする方向に車両1が移動した場合にはエッジ数のカウントアップをそのまま行えば良いが、車両1がその逆方向に進んだ場合には、カウントアップをそのまま行うと正確なエッジ数を求められない。例えば、車両1が前進することを想定してカウントアップを行う場合に路面勾配により車両1が後退してしまった場合や、車両1が後退することを想定してエッジ数のカウントアップを行う場合に路面勾配により車両1が前進してしまった場合、カウントアップではなくカウントダウンしなければならない。これらは、シフト位置が前進方向を示す“D”、“2”、“1”などのレンジや後退方向を示す“R”レンジに入っていない場合、つまり駆動力が発生させられていない非駆動力発生状態、例えばニュートラル状態の場合に特に生じる。
【0046】
このため、ブレーキECU10は、シフト位置センサ13および傾斜センサ14の検出信号を入力し、これらの検出信号に基づいて、歯車の歯位置を求めるようにしている。
【0047】
具体的には、ブレーキECU10は、シフト位置センサ13の検出信号が示すシフト位置情報に基づいて、車両1の進行方向やシフト位置が前進方向を示す“D”、“2”、“1”などのレンジや後退方向を示す“R”レンジに入っている場合以外(例えば“N”レンジの場合)である非駆動力発生状態を検出する。また、ブレーキECU10は、傾斜センサ14の検出信号に基づいて路面勾配を取得している。路面勾配は、水平方向に対する路面の傾斜角度であるため、登坂路と降坂路とで絶対値が同じになるが、正負の符号が逆に表されるため、符号の正負に基づいて登坂路であるか降坂路であるかを検出できる。
【0048】
そして、ブレーキECU10は、非駆動力発生状態であるときに車輪速度センサ11a〜11dの出力する方形パルス波に変動があった場合、路面勾配に基づいて車両1が前進したのか後退したのかを判定し、歯車のエッジ数のカウントに反映させる。すなわち、車両1の前進方向がエッジ数をカウントアップする方向と想定している場合に車両1が前進した場合にはカウントアップし、車両1が後退した場合にはカウントダウンする。また、車両1の後退方向がエッジ数をカウントアップする方向として想定している場合に車両1が後退した場合にはカウントアップし、車両1が前進した場合にはカウントダウンする。歯車のエッジ数をカウントアップする方向が車両1の前進方向と後退方向のいずれの方向に想定されているかについては、非駆動力発生状態になる直前のシフト位置が車両1の前進方向を示す“D”、“2”、“1”などのレンジであるか、後退方向を示す“R”レンジであるかで判定すれば良い。
【0049】
このような手法によって歯車の歯位置を取得することにより、非駆動力発生状態において車両1がエッジ数をカウントアップする方向と逆方向に移動したとしても、正確に歯車の歯位置を取得することができる。なお、ここではシフト位置情報をシフト位置センサ13の検出信号から求めるようにしているが、シフト位置情報についてはオートマティックトランスミッション(以下、ATという)−ECUなどでも取り扱われているため、それらから取得しても良い。
【0050】
このようにして、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号の立上りおよび立下りの数から歯車の歯のエッジ数カウントすると、ブレーキECU10は、所定周期毎に、そのときの歯のエッジ数を、歯位置を示す歯車情報としてマイクロコンピュータ33に伝えている。これにより、マイクロコンピュータ33では、歯車のどの歯が通過したタイミングであるかを把握することが可能になっている。
【0051】
なお、歯のエッジ数は、歯車が1回転する毎にリセットされる。例えば、歯車に備えられた歯の数が48歯である場合、エッジ数は0〜95の合計96個でカウントされ、カウント値が95に至ると再び0に戻ってカウントされる。
【0052】
また、ここではブレーキECU10から歯車情報として歯車の歯のエッジ数をマイクロコンピュータ33に伝えるようにしたが、歯の通過数のカウント値である歯数であっても良い。また、所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数をマイクロコンピュータ33に伝え、マイクロコンピュータ33で前回までのエッジ数もしくは歯数に所定周期の間に通過したエッジ数もしくは歯数を加算させ、その周期でのエッジ数もしくは歯数をカウントさせるようにしても良い。つまり、マイクロコンピュータ33で最終的に歯車情報としてその周期でのエッジ数もしくは歯数が取得できれば良い。これらの場合にも、ブレーキECU10からシフト位置情報や路面勾配を加味した形で、TPMS−ECU3にエッジ数や歯数を伝えるようにすればよい。すなわち、非駆動力発生状態において車両1がエッジ数や歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動した場合には、エッジ数や歯数をカウントダウンさせる負の値として、TPMS−ECU3に伝えられるようにすれば、正確に歯車の歯位置を取得することができる。また、ブレーキECU10では、歯車の歯のエッジ数(もしくは歯数)を電源オフのたびにリセットすることになるが、電源オンすると同時もしくは電源オンしてから所定車速になったときから再び計測している。このように、電源オフのたびにリセットされたとしても、電源オン中には同じ歯が同じエッジ数(もしくは歯数)で表されることになる。
【0053】
そして、マイクロコンピュータ33は、各送信機2から送信されたフレームを受信したときにその受信タイミングを計測し、取得している歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行っている。これにより、各送信機2がどの車輪5a〜5dに取り付けられたものかを特定する車輪位置検出を行うことが可能となる。この車輪位置検出の具体的な方法については後で詳細に説明する。
【0054】
また、マイクロコンピュータ33は、車輪位置検出の結果に基づいて、各送信機2のID情報と各送信機2が取り付けられている各車輪5a〜5dの位置とを関連づけて記憶する。そして、その後は各送信機2からの送信フレーム内に格納されたID情報およびタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧検出を行い、タイヤ空気圧に応じた電気信号をCANなどの車内LANを通じてメータ4に出力する。例えば、マイクロコンピュータ33は、タイヤ空気圧を所定のしきい値Thと比較することでタイヤ空気圧の低下を検知し、タイヤ空気圧の低下を検知するとその旨の信号をメータ4に出力する。これにより、4つの車輪5a〜5dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したことがメータ4に伝えられる。
【0055】
メータ4は、警報部として機能するものであり、
図1に示されるように、ドライバが視認可能な場所に配置され、例えば車両1におけるインストルメントパネル内に設置されるメータディスプレイ等によって構成される。このメータ4は、例えばTPMS−ECU3におけるマイクロコンピュータ33からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、車輪5a〜5dを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行うことでドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0056】
続いて、本実施形態のタイヤ空気圧検出装置の作動について説明する。以下、タイヤ空気圧検出装置の作動について説明するが、タイヤ空気圧検出装置で行われる車輪位置検出とタイヤ空気圧検出とに分けて説明する。
【0057】
まず、車輪位置検出について説明する。
図3は、車輪位置検出を説明するためのタイミングチャートである。
図4は、歯車情報の変化を示したイメージ図である。
図5は、車輪位置確定ロジックを図解した模式図であり、
図6は、車輪位置の評価結果を示した図表である。これらの図を参照して車輪位置検出の具体的な方法を説明する。
【0058】
送信機2側では、マイクロコンピュータ23が電池からの電力供給に基づいて所定のサンプリング周期毎に加速度センサ22の検出信号をモニタすることで車速および車輪5a〜5dそれぞれでの加速度センサ22の角度を検出している。そして、マイクロコンピュータ23は、車速が所定速度に達すると、加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングで繰り返しフレーム送信を行う。例えば、車速が所定速度に達した時を所定角度として、もしくは車速が所定速度に達したのち加速度センサ22が所定角度になったときを開始タイミングとして、各送信機2からのフレーム送信を行うようにしている。そして、加速度センサ22の成す角度が1回目のフレーム送信のときと同じ角度になるタイミングに、それを送信タイミングとして繰り返しフレーム送信を行うようにしている。
【0059】
すなわち、加速度センサ22の検出信号の重力加速度成分を抽出すると、
図3に示すようなsin波となる。このsin波に基づいて加速度センサ22の角度が分かる。このため、sin波に基づいて加速度センサ22が同じ角度になるタイミングで、フレーム送信を行うようにしている。
【0060】
一方、TPMS−ECU3側では、ブレーキECU10から各車輪5a〜5dに対応して備えられた車輪速度センサ11a〜11dの歯車情報を所定周期(例えば10ms)毎に取得している。そして、TPMS−ECU3は、各送信機2から送信されたフレームを受信したときにその受信タイミングを計測し、取得している歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中からフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する。
【0061】
このとき、各送信機2から送信されたフレームの受信タイミングとブレーキECU10から歯車情報を取得している周期とが一致するとは限らない。このため、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングに最も近い周期、つまりその直前または直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。また、ブレーキECU10から歯車情報を取得した周期の中からフレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)を用いて、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を演算しても良い。例えば、フレームの受信タイミングの直前および直後の周期に取得した歯車情報が示す歯車のエッジ数(もしくは歯数)の中間値を、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)として用いることができる。
【0062】
そして、このようなフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得する動作がフレームを受信する毎に繰り返され、取得したフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて車輪位置検出を行う。具体的には、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが前回の受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)に基づいて設定される所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行う。
【0063】
フレームを受信した車輪については、加速度センサ22の角度が所定角度になるタイミングでフレーム送信を行っていることから、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置が前回のときとほぼ一致する。このため、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキが小さく、所定範囲内に収まることになる。このことは、複数回フレームを受信した場合でも成り立ち、各フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキは、1回目のフレーム受信タイミングのときに決められる所定範囲内に収まる。一方、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、単発的に他の車輪の送信機2から送信されたフレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつく。
【0064】
すなわち、車輪速度センサ11a〜11dの歯車の回転は各車輪5a〜5dと連動しているため、フレームを受信した車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がほぼ一致する。しかし、道路状況や旋回もしくは車線変更などによって各車輪5a〜5dの回転状態が変動したりするため、車輪5a〜5dの回転状態が完全に同じになることはあり得ない。このため、フレームを受信した車輪とは異なる車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置がばらつくのである。
【0065】
したがって、
図4に示したように、イグニッションスイッチ(IG)がオンした当初に歯車12a〜12dのエッジ数が0であった状態から、走行開始後に徐々にフレームを受信した車輪とは異なる車輪については、フレームの受信タイミングのときの歯車のエッジ数(もしくは歯数)で示される歯位置にバラツキが生じる。このバラツキが所定範囲内であるか否かを判定することにより、車輪位置検出を行う。
【0066】
例えば、
図5(a)に示すように、1回目のフレーム送信時の送信機2の位置が1回目受信角度であったとする。また、歯車のエッジ数(もしくは歯数)のバラツキとして許容できる幅であるバラツキ許容幅が1回目受信角度を中心とした180°の範囲(1回目受信角度±90°の範囲)相当の値であるとする。エッジ数であれば1回目受信時のエッジ数を中心とした±24のエッジ数範囲、歯数であれば1回目受信時の歯数を中心とした±12の歯数範囲であるとする。この場合において、
図5(b)に示すように、2回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であれば、そのエッジ数(もしくは歯数)の車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致している可能性があり、TRUE(正しい)となる。
【0067】
ただし、この場合にも2回目のフレーム受信時の送信機2の角度である2回目受信角度を中心としてバラツキ許容幅が決まり、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)相当の値となる。このため、前回のバラツキ許容幅となる1回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅と、2回目受信角度を中心とした180°(±90°)のバラツキ許容幅の重なる部分が新たなバラツキ許容幅(エッジ数範囲が12〜48)となり、その重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。
【0068】
したがって、
図5(c)に示すように、3回目のフレーム受信時の歯車のエッジ数(もしくは歯数)が1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、そのエッジ数(もしくは歯数)の車輪はフレーム送信が行われた車輪と一致していないため、FALSE(誤り)となる。このとき、たとえ1回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲内であっても、1、2回目のフレーム受信によって決められたバラツキ許容幅の範囲外であれば、FALSEと判定している。このようにして、受信したフレームを送信した送信機2が車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定することが可能となる。
【0069】
すなわち、
図6(a)に示すように、識別情報としてID1が含まれたフレームについては、そのフレームの受信タイミングの毎に歯車のエッジ数(もしくは歯数)を取得し、それを対応する車輪(左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RR)毎に記憶する。そして、フレームを受信するたびに、取得した歯車のエッジ数(もしくは歯数)がバラツキ許容幅の範囲内であるか否かを判定し、その範囲から外れた車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪候補から除外していく。そして、最後まで除外されなかった車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録する。ID1が含まれたフレームの場合、右前輪FR、右後輪RR、左後輪RLの順に候補から除外され、最終的に残った左前輪FLをフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録する。
【0070】
そして、
図6(b)〜(d)に示すように、識別情報としてID2〜ID4が含まれたフレームについてもID1が含まれたフレームと同様の処理を行う。これにより、各フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪を特定することができ、送信機2が取り付けられた4輪すべてを特定することが可能となる。
【0071】
このようにして、各フレームを送信した送信機2が車輪5a〜5dのいずれに取り付けられたものであるかを特定する。そして、マイクロコンピュータ33は、フレームを送信してきた各送信機2のID情報を、それが取り付けられた車輪の位置と関連付けて記憶する。
【0072】
なお、TPMS−ECU3では、車速が所定速度になったときに送信されたフレームを受信することで、その受信タイミングにおける歯車情報を記憶するようにしているが、所定の走行停止判定時速(例えば5km/h)以下になったときに、それまでの歯車情報を破棄している。そして、再び走行開始したときに、新たに上記のようにして車輪位置検出を行うようにしている。
【0073】
このようにして車輪位置検出が行われると、その後は、タイヤ空気圧検出が行われる。具体的には、タイヤ空気圧検出の際には、一定周期毎に各送信機2からフレームが送信され、各送信機2からフレームが送信されるたびに、4輪分のフレームがTPMS−ECU3で受信される。そして、TPMS−ECU3では、各フレームに格納されたID情報に基づいて車輪5a〜5dに取り付けられたいずれの送信機2から送られてきたフレームであるかを特定し、タイヤ空気圧に関する情報より各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧を検出する。これにより、各車輪5a〜5dのタイヤ空気圧の低下を検出でき、車輪5a〜5dのいずれのタイヤ空気圧が低下しているかを特定することが可能となる。そして、タイヤ空気圧の低下が検出されると、その旨をメータ4に伝えることで、メータ4によって車輪5a〜5dを特定しつつタイヤ空気圧の低下を示す表示を行い、ドライバに特定車輪のタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0074】
以上説明したように、歯車の回転に伴ってエッジ数もしくは歯数をカウントアップすると共に、車両1がエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、エッジ数もしくは歯数をカウントダウンする。例えば、非駆動力発生状態であるときに車輪速度センサ11a〜11dの出力する方形パルス波に変動があった場合、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号に加えてシフト位置情報や路面勾配に基づいて歯車の歯位置を求めるようにしている。これにより、車両1がエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したとしても、正確に歯車の歯位置を取得することができる。特に、非駆動力発生状態では車両1がずり下がり易いが、このような場合にも正確に歯車の歯位置を取得できる。したがって、このような正確な歯車の歯位置を示した歯車情報に基づいて車輪位置検出を行うことで、より正確に車輪位置を特定することが可能となる。
【0075】
また、車輪5a〜5dと連動して回転させられる歯車12a〜12dの歯の通過を検出する車輪速度センサ11a〜11dの検出信号に基づいて、歯車12a〜12dの歯位置を示す歯車情報を所定周期毎に取得している。そして、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、該バラツキ許容幅を設定した後におけるフレームの受信タイミングのときの歯位置がバラツキ許容幅の範囲外であれば、該フレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪の候補から除外していき、残った車輪をフレームが送信された送信機2の取り付けられた車輪として登録している。このため、多くのデータ量が揃わなくても車輪位置の特定を行うことができる。
【0076】
さらに、フレームの受信タイミングのときの歯位置に基づくバラツキ許容幅と、前回のフレームの受信タイミングに設定されたバラツキ許容幅と重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定している。このため、これらの重複範囲に新たなバラツキ許容幅を狭めることができる。したがって、より短時間で正確に車輪位置の特定が行える車輪位置検出装置とすることが可能となる。
【0077】
また、車速が所定速度以上になったことをフレーム送信の条件にしたり、加速度センサ22を用いて各車輪5a〜5dでの送信機2の位置検出を行っているため、車両1が走行し始めてからしか車輪位置検出を行えないものの、走行後直ぐに車輪位置検出を行うことができる。さらに、トリガ機が出力した信号の受信強度などに基づいて車輪位置検出を行う場合のように、トリガ機などを必要としなくても車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0078】
(他の実施形態)
上記実施形態では、上記実施形態では、シフト位置が非駆動力発生状態であると想定されるレンジに位置している場合において、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号が変動した場合に、路面勾配に基づいて歯車の歯位置を取得するようにしている。しかしながら、非駆動力発生状態に限らず、常にシフト位置と路面勾配との関係に基づいて歯車の歯位置を検出するようにしても良い。すなわち、シフト位置が前進方向を示す“D”、“2”、“1”などのレンジや後退方向を示す“R”レンジのように駆動力発生状態であることを示す位置である場合であっても、路面勾配が大きければ車両1がずり下がることがある。この場合を含められるように、常にシフト位置と路面勾配との関係を把握して、車両1がエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動したときに、歯車12a〜12dのエッジ数もしくは歯数をカウントダウンすれば良い。この場合に車両1がエッジ数もしくは歯数をカウントアップする方向と逆方向に移動することについては、車両1が前進方向に移動することを示すシフト位置であるのに対して車両1が後方にずり下がる方向の路面勾配である場合や、車両1が後退方向に移動することを示すシフト位置であるのに対して車両1が前方にずり下がる方向の路面勾配である場合が挙げられる。
【0079】
また、上記実施形態では、オートマティックトランスミッション(AT)車を想定して説明を行ったが、マニュアルトランスミッション(MT)車についても本発明を適用することができる。MT車の場合、シフト位置が頻繁に変更されることから、上記と同様、常にシフト位置と路面勾配との関係に基づいて歯車の歯位置を検出するようにすると好ましい。
【0080】
また、上記実施形態では、フレームの受信タイミング毎にバラツキ許容幅を変更し、徐々にバラツキ許容幅が狭くなるようにしているが、歯位置を中心として設定されるバラツキ許容幅については一定としている。この配置を中心として設定されるバラツキ許容幅についても変更可能である。例えば、歯位置のバラツキは、車速が大きいほど大きくなる可能性がある。このため、車速が大きくなるほどバラツキ許容幅を大きくすることで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。また、加速度センサ22で加速度検出を行うときのサンプリング周期が長いほど、加速度センサ22の角度が所定角度になったときのタイミングの検出精度が落ちることから、それに応じてバラツキ許容幅を変更することで、より的確なバラツキ許容幅を設定できる。その場合、送信機2側でサンプリング周期などを把握していることから、送信機2が送信するフレーム内にバラツキ許容幅の大きさを決めるデータを含めて送信するようにすることができる。
【0081】
また、上記実施形態では、フレーム送信を行う角度として、角度が0°の位置を各車輪5a〜5dの中心軸を中心として加速度センサ22が上方位置に位置しているときとしている。しかしながら、これは単なる一例であり、車輪の周方向の任意の位置を角度0°とすればよい。
【0082】
上記実施形態では、TPMS−ECU3がブレーキECU10から歯車情報を取得するようにしている。しかしながら、TPMS−ECU3が歯車情報として歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得できればよいことから、他のECUから取得しても良いし、車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得するようにしても良い。特に、上記実施形態では、TPMS−ECU3とブレーキECU10を別々のECUで構成する場合について説明したが、これらが一体化された単独のECUで構成される場合もあり得る。その場合には、そのECUが直接車輪速度センサ11a〜11dの検出信号を入力し、その検出信号から歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を取得することになる。また、その場合には、歯車の歯のエッジ数もしくは歯数を常時取得することができるため、これらの情報を所定周期毎に取得する場合と異なり、フレームの受信タイミング丁度の歯車情報に基づいて車輪位置検出を行うことが可能となる。
【0083】
また、上記実施形態では、4つの車輪5a〜5dが備えられた車両1に対して備えられた車輪位置検出装置について説明したが、さらに車輪数が多い車両についても、同様に本発明を適用することができる。
【0084】
また、上記実施形態では、歯車情報に基づいて車輪位置特定を行う際に、歯位置に基づいてバラツキ許容幅を設定し、その範囲外であるか否かに基づいて車輪位置特定を行っている。そして、前回のバラツキ許容幅と今回のバラツキ許容幅とが重なる部分を新たなバラツキ許容幅として設定することでバラツキ許容幅を狭くしていっている。これにより、より短期間で車輪位置特定を行うことが可能となるが、バラツキ許容幅を狭くしなくても、上記のように正確にフレームの受信タイミングのときの歯位置を得ることで、より短時間で正確な車輪位置の特定を行うことが可能となる。
【0085】
なお、本発明では、車輪速度センサ11a〜11dにより車輪5a〜5dの回転に連動して回転させられる歯車の歯の通過を検出できれば良い。このため、歯車としては、外周面が導体とされた歯の部分と歯の間に位置する部分が交互に繰り返される磁気抵抗の異なる構造であれば良い。つまり、外縁部が凹凸とされることで外周面が導体となる凸部と非導体となる空間で構成された一般的なもののみではなく、例えば外周面が導体となる部分と非導体となる絶縁体で構成されたロータスイッチ等も含まれる(例えば特開平10−048233号公報参照)。