特許第5810963号(P5810963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5810963
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】トナー補給容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20151022BHJP
【FI】
   G03G15/08 330
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-35631(P2012-35631)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-171206(P2013-171206A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2014年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104124
【氏名又は名称】カシオ電子工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】高鹿 守通
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−129141(JP,A)
【文献】 特開2010−204353(JP,A)
【文献】 特開2006−072166(JP,A)
【文献】 特開平11−024530(JP,A)
【文献】 特開2004−061898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装着部に着脱自在に装着されるトナー補給容器において、
前記装着部に装着されたとき該装着部のトナー補給容器識別部に係合する面の所定の位置に形成された断面が多角形で凹設された穴と、
記多角形に対応した形態で前記穴の壁面に外側面を当接させて前記穴に着脱自在に挿入される識別用部材と、
を有し、
前記識別用部材の内側面と、前記識別用部材の前記内側面に対向する前記穴の壁面とで形成される空間部が、前記装着部の前記トナー補給容器識別部と係合する、
ことを特徴とするトナー補給容器。
【請求項2】
前記識別用部材は、前記多角形のいずれか1箇所の角を空ける形態で前記穴に挿入されるように構成される、
ことを特徴とする請求項1記載のトナー補給容器。
【請求項3】
前記識別用部材は、前記多角形のいずれか1箇所の角にのみ前記トナー補給容器識別部が嵌入可能で、他の角においては前記トナー補給容器識別部が嵌入不可となる形態で前記穴に挿入されるように構成される、
ことを特徴とする請求項1または2記載のトナー補給容器。
【請求項4】
前記識別用部材は、前記穴への嵌入位置によって前記トナー補給容器識別部が嵌入可能となる前記穴の角の位置を設定することにより、いずれの種類のトナーを収容しているかを識別されるように構成される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のトナー補給容器。
【請求項5】
前記多角形が四角形であり、前記識別用部材が前記穴の隣接する二辺の壁面にL字形の縦横の外側面を当接させて前記穴に着脱自在に挿入されるL字形部材からなる、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のトナー補給容器。
【請求項6】
前記L字形部材が前記穴に挿入される位置によって、4種類の中のいずれの色のトナーを収容しているかを設定されるように構成される、ことを特徴とする請求項5記載のトナー補給容器。
【請求項7】
前記L字形部材の前記L字形の縦横の内側面と、前記L字形部材の前記外側面の角部が対向する前記穴の角部の対角となる角部と、該角部を挟む二辺の壁面とで形成される空間部が、前記装着部の前記トナー補給容器識別部と係合することにより、4種類の中のいずれの色のトナーを収容しているかを識別されるように構成される、ことを特徴とする請求項5または6記載のトナー補給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給容器に関り、特にカラー画像を形成する画像形成装置の現像部にトナーを補給するトナー補給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化、つまり現像して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
静電潜像のトナー像化には現像器が用いられる。現像器には感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラ、トナーを攪拌・搬送しながら現像ローラにトナーを供給するオーガローラ等が備えられている。
【0004】
現像器内のトナーは、現像によって消費される消耗品であり、現像器内のトナーが所定量以下になったことをセンサ又は印字枚数カウンタ等で検知すると、トナー補給容器から現像器にトナーが補給される。トナーが空になったトナー補給容器は、新たなトナー補給容器と交換される。
【0005】
ところで、カラー画像を形成する画像形成装置では、通常、例えば、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4種類の色で画像を形成する。そのために4種類の画像形成ユニットを備えている。画像形成ユニットは、一般に、現像キットと感光体キットからなる。
【0006】
初期の画像形成ユニットでは、現像キットのトナーが消費されてトナーが空になると現像キットを新品の現像キットと交換していたが、現像キットの交換作業は容易ではないので、現像器にトナーを補給するトナーカートリッジを現像器から着脱可能にして、色毎にトナー補給が簡単にできるようにしたカラー電子写真装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
ところで、通常、4種類の画像形成ユニットの現像キット(現像器)に対応する4種類のトナー補給容器(トナーカートリッジ)は、収容するトナーの色が異なるだけで、外観や構成は同一である。
【0008】
このように、トナー補給容器は外観や構成は同一であるため、例えばマゼンタの色のトナーを収容しているトナー補給容器を、誤って、シアンの色のトナー画像を現像する現像キットとの連結部に装着するなどの不具合がしばしば発生した。
【0009】
このような不具合を解消するために、トナー補給容器と装置本体側のトナー補給容器装着部に、一対一で対応する非互換性の識別装置を設けるようにしたものがある。例えば、トナー補給容器を装着部に案内するガイドレールに、非互換性となる「形状」または「取り付け位置」を設定したものが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0010】
しかし、トナー補給容器の4箇所の装着部に、それぞれ異なる形状または異なる位置にガイドレールを設けるのは、工場の組立工程が複雑になる。そればかりでなく、ガイドレールに係合するトナー補給容器側の係合溝も、収容するトナーの種類ごとに、形状または形成位置を異ならせる必要がある。
【0011】
これでは、収容するトナーの種類に対応するトナー補給容器ごとに、異なる成形金型が必要になってコストが上昇するだけでなく、トナー補給容器の在庫管理にスペースと手数が必要になって、この点でもコスト上昇の要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平09−050174号公報
【特許文献2】特開2003−084534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、簡単な構成で例えば4種類のトナー補給容器として自動判別することが可能なトナー補給容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の本発明のトナー補給容器は、画像形成装置の装着部に着脱自在に装着されるトナー補給容器において、上記装着部に装着されたとき該装着部のトナー補給容器識別部に係合する面の所定の位置に形成された断面が多角形で凹設された穴と、上記多角形に対応した形態で上記穴の壁面に外側面を当接させて上記穴に着脱自在に挿入される識別用部材と、を有し、上記識別用部材の内側面と、上記識別用部材の上記内側面に対向する上記穴の壁面とで形成される空間部が、上記装着部の上記トナー補給容器識別部と係合する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、同一構成のトナー補給容器の多角形穴に1種類の識別用部材を挿入するという簡単な構成で多種類のトナー補給容器として自動判別することが可能なトナー補給容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係るトナー補給容器を備えたフルカラーの画像形成装置(プリンタ、装置本体)の内部構成を説明する断面図である。
図2】実施例1に係るトナー補給容器をプリンタの装着部に装着される前の単体の状態で示す斜視図である。
図3】(a),(b)は実施例1に係るトナー補給容器の被識別部におけるL字形部材の穴への実装方法を示す図である。
図4】(a)〜(d)は実施例1に係るトナー補給容器が装着部へ実装されるときのシャッターカバーの被識別部の状態を示す図である。
図5】トナーの色別を設定されたトナー補給容器がトナー補給容器装着部に装着される状態を示す図である。
図6】各トナー補給容器がそれぞれのトナー補給容器装着部に完全装着されたときの被識別部と識別ピンとの係合部の断面を示す図である。
図7】被識別部の穴の寸法と穴に挿入されるL字形部材の寸法との関係を示す図である。
図8】(a)〜(d)は実施例2に係るトナー補給容器の被識別部の穴に挿入される被識別角設定部材の形状と設定形態を示す図である。
図9】(a)〜(d)は実施例3に係るトナー補給容器の被識別部の穴に挿入される被識別角設定部材の形状と設定形態を示す図である。
図10】(a)〜(d)は実施例4に係るトナー補給容器の被識別部の穴に挿入される被識別角設定部材の形状と設定形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係るトナー補給容器を備えたフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ、又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0019】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0020】
上記画像形成部2は、いわゆる背面転写方式で転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー画像を転写するために、その転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の画像形成ユニット9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設した構成をとっている。
【0021】
この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。上記4個の画像形成ユニット9のうち上流側(図の左側)の3個の画像形成ユニット9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0022】
また、画像形成ユニット9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。上記の各画像形成ユニット9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の画像形成ユニット9yを例にしてその構成を説明する。
【0023】
画像形成ユニット9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に当接し又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0024】
現像器14は、外部を覆うユニット筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0025】
この現像器14には、トナー供給部4のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)から、同図にはY、M、C、Kで示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0026】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0027】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ23がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ23は転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接し、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。
【0028】
転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部24まで搬送する。二次転写部24は、駆動ローラ21に隣接して下流側(図では上方)に配置された転写補助ローラ25と、この転写補助ローラ25に転写ベルト8を介して圧接する二次転写ローラ26とで形成されている。
【0029】
転写ベルト8には、ベルトクリーナ27が配置されている。ベルトクリーナ27は、転写ベルト8の従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード28を備えている。また、ベルトクリーナ27の左方から下方にかけて隣接して、廃トナー回収容器29が着脱自在に配置されている。
【0030】
ベルトクリーナ27は、クリーニングブレード28により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを不図示の搬送スクリューにより廃トナー回収容器29に送り込んでいる。
【0031】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置される4個のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)を着脱自在に備えている。4個のトナー補給容器20には前述したようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されている。
【0032】
これら4個のトナー補給容器20は、図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれ装着部のトナー供給口に続くトナー供給路を介して、それぞれに対応する画像形成ユニット9の現像器14と連結されている。
【0033】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能に装着部を介してプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0034】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット30(30a、30b)を備えている。2個の給紙カセット30の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0035】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8、転写補助ローラ25、二次転写ローラ26による前述した用紙への二次転写部24が形成されている。
【0036】
この二次転写部24の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置され、ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0037】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0038】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0039】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット30bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0040】
図2は、実施例1に係るトナー補給容器20をプリンタ1の装着部に装着される前の単体の状態で示す斜視図である。同図に示すトナー補給容器20には、長い円筒形状の筐体42の内部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかの色のトナーが充填されている。
【0041】
筐体42の一方(図の斜め右上方向)の端部開口は、キャップ43により覆われて内部を外部から封止されている。そしてトナー補給容器20を装置本体1の装着部に装着する際の装着部への挿入側となる筐体42の他方(図の斜め左下方向)の端部開口にはシャッターカバー44が固設されている。
【0042】
シャッターカバー44の前面中央には、装着部に連結されているトナー補給路に筐体42内部のトナーを攪拌搬送して送り出すためのカップリング45が配置されている。シャッターカバー44の前面左上部には、印字情報等を記憶するIC(integrated circuit)基板46が実装されている。
【0043】
また、シャッターカバー44の前面右上部角は、トナー補給容器20が装置本体1の装着部に装着されたとき、装着部のトナー補給容器識別部に係合する部分であり、この位置には四角形(本例では正方形)の穴47が形成されている。穴47の中には、L字形部材48が着脱自在に挿入されている。これらの穴47とL字形部材48とでトナー補給容器20の被識別部50を形成している。
【0044】
図3(a),(b)は、上記被識別部50におけるL字形部材48の穴47への実装方法を示す図である。尚、図3(a),(b)では、図2と斜視の角度が異なるため、筐体42の長さが図2に示した場合よりも短いように見えているが、図2図3(a),(b)も同一のトナー補給容器20を示している。
【0045】
図3(a)は、L字形部材48を矢印bで示すように穴47に挿入する直前の状態を示し、図3(b)は、穴47へのL字形部材48の挿入が完了した状態を示している。
【0046】
図3(a),(b)において、L字形部材48は、穴47の隣接する二辺の壁面47a及び47bに、L字形の横の外側面48b及び縦の外側面48aをそれぞれ当接させ、L字形の外側の角部48cを穴47の上記隣接する二辺(壁面47a及び47b)で形成される角部47−2)に対向させて配置されている。
【0047】
尚、穴47に挿入されたL字形部材48が穴47から抜け落ちるのを防止するための抜け止め防止用の止めピンが穴47内に配設されているが、図3(a),(b)には描写が煩雑になるのを避けるため止めピンの図示を省略している。
【0048】
図3(b)に示す穴47へのL字形部材48の挿入が完了した状態で、穴47には、L字形部材48のL字形の縦横の内側面48d及び48eと(以下図3(a)も参照)、L字形部材48の外側の角部48cが対向する穴47の角部47−2の対角となる角部47−4と、この角部47−4を挟む二辺の壁面47c及び47dとで空間部が形成されている。この空間部が、後述する装着部のトナー補給容器識別部と係合する。
【0049】
図4(a)〜(d)は図1に示した各画像形成ユニット9m、9c、9yおよび9kに対応してトナー供給部4に配置されるトナー補給容器20y、20m、20cおよび20kが装着部へ実装されるときのシャッターカバー44の被識別部50の状態を示す図である。
【0050】
図4(a)から図4(d)まで、後述する装着部のトナー補給容器識別部と係合するシャッターカバー44の被識別部50において、穴47に挿入されているL字形部材48は、1種類の共通部品として使用されており、四角形の穴47の中でL字形の向きを90°ずつ回転させた状態で挿入されている。
【0051】
これにより、図4(a)に示すトナー補給容器20yでは、穴47の空間が、角部47−1、この角部47−1を挟む二辺の壁面47a及び47d、L字形部材48の縦横の内面48d及び48e(図3(b)参照、以下同様)とで囲まれて形成されている。
【0052】
また、図4(b)に示すトナー補給容器20mでは、穴47の空間が、角部47−2、この角部47−2を挟む二辺の壁面47a及び47b、L字形部材48の縦横の内面48d及び48eとで囲まれて形成されている。
【0053】
また、図4(c)に示すトナー補給容器20cでは、穴47の空間が、角部47−3、この角部47−3を挟む二辺の壁面47b及び47c、L字形部材48の縦横の内面48d及び48eとで囲まれて形成されている。
【0054】
また、図4(d)に示すトナー補給容器20kでは、穴47の空間が、角部47−4、この角部47−4を挟む二辺の壁面47c及び47d、L字形部材48の縦横の内面48d及び48eとで囲まれて形成されている。
【0055】
すなわち、穴47に空間を形成する角部が角部47−1か47−2か47−3か47−4かによって、換言すれば、L字形部材48が穴47に挿入される位置によって、そのトナー補給容器20が、4種類の中のいずれの色のトナーを収容しているかが設定されるようになっている。
【0056】
図5は、上記のように、いずれの色のトナーを収容しているかが設定されたトナー補給容器20が、装置本体1のトナー補給容器装着部に装着される状態を示す図である。なお図5は、トナー補給容器20の被識別部50と、トナー補給容器装着部のトナー補給容器識別部との位置関係を示すため、完全装着直前の状態を示している。
【0057】
図5に示すように、装置本体1のトナー補給容器装着部51には、トナー補給容器20のシャッターカバー44の装着面に形成されている被識別部50に対応する位置に、トナー補給容器識別部としての識別ピン52が突設されている。
【0058】
図6は、各トナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)が、それぞれのトナー補給容器装着部51(51y、51m、51c、51k)に完全装着されたときの、被識別部50と識別ピン52との係合部の断面を示す図である。
【0059】
尚、図6には、説明に必要な構成部分にのみ、図2乃至図5に示した構成部分と同一の番号を付与して示している。図6において、トナー補給容器20yに対応する識別ピン52は、図4(a)に示した穴47の角部47−1、壁面47a及び47d、L字形部材48の内面48d及び48eとで囲まれた空間に嵌入している。
【0060】
また、図6において、トナー補給容器20mに対応する識別ピン52は、図4(b)に示した穴47の角部47−2、壁面47a及び47b、L字形部材48の内面48d及び48eとで囲まれた空間に嵌入している。
【0061】
また、図6において、トナー補給容器20cに対応する識別ピン52は、図4(c)に示した穴47の角部47−3、壁面47b及び47c、L字形部材48の内面48d及び48eとで囲まれた空間に嵌入している。
【0062】
そして、図6において、トナー補給容器20kに対応する識別ピン52は、図4(d)に示した穴47の角部47−4、壁面47c及び47d、L字形部材48の内面48d及び48eとで囲まれた空間に嵌入している。
【0063】
いずれの場合も、トナー補給容器20が、収容するトナーと同じ色のトナーに関るとトナー補給容器装着部51に装着されれば問題ないが、異なる色のトナーに関るとトナー補給容器装着部51への装着は、識別ピン52がL字形部材48に衝突して、装着することはできない。
【0064】
例えば、図6のトナー補給容器装着部51yを例にとると、誤ってトナー補給容器20mを装着しようとしても、L字形部材48の逆さL字形の縦端部に識別ピン52が衝突することになって、装着することができない。
【0065】
また、同じくトナー補給容器装着部51yに、誤ってトナー補給容器20cを装着しようとしても、L字形部材48の角部に識別ピン52が衝突することになって、装着することができない。
【0066】
また、同じくトナー補給容器装着部51yに、誤ってトナー補給容器20kを装着しようとしても、L字形部材48のL字形の横端部に識別ピン52が衝突することになって、装着することができない。
【0067】
他のトナー補給容器装着部51m、51c、51kに対するトナー補給容器20の装着についても同様であり、トナー補給容器装着部51の識別ピン52の突設位置と、トナー補給容器20の被識別部50の穴47に形成される識別ピン嵌入空間とは、一意的に対応している。
【0068】
このように、本発明の実施例1によれば、トナー補給容器の形状も、被識別部を構成する外部部材としてのL字形部材も、ともに1種類で済むため、部品製造コスト、在庫管理コスト共に低く抑えることができて経済的である。
【0069】
図7は、上記の被識別部50の穴47の寸法と穴47に挿入されるL字形部材48の寸法との関係を示す図である。図7に示すように、穴47の横寸法H及び縦寸法Vに対し、L字形部材48の横寸法h及び縦寸法vとの関係は、H≒h且つH>h、V≒v且つV>vである。
【0070】
このように、穴47の寸法と穴47に挿入されるL字形部材48の寸法は僅差の関係にあるので穴47に挿入されたL字形部材48は穴47から容易に抜け落ちることはない。
【実施例2】
【0071】
図8(a)〜(d)は、実施例2に係るトナー補給容器の被識別部50の穴47に挿入される識別用部材としての被識別角設定部材の形状と設定形態を示す図である。図8(a)〜(d)に示すように、被識別角設定部材53は90度角の円弧状部材からなる。
【0072】
本例の被識別角設定部材53は、円弧状に形成されているため、対向する2ヶ所の角を空くことになるが、円弧の内側にくる角を識別角として、円弧の内側の広い空間に入り込む径の大きな識別ピン52を使用すれば、円弧の外側の空間は狭いので、円弧の外側の角が識別角として検出されることはない。
【0073】
すなわち、被識別角設定部材53は、4角形のいずれか1箇所の角にのみトナー補給容器識別部の識別ピン52が嵌入可能で、残るいずれの角においてもトナー補給容器識別部の識別ピン52が嵌入不可となる形態で穴47に嵌入されるように構成されている。
【0074】
本例の場合も、例えば、図8(a)の右下角47−1がトナー補給容器20yの検知用に設定される。また、図8(b)の左下角47−2がトナー補給容器20mの検知用に設定され、図8(c)の左上角47−3がトナー補給容器20cの検知用に設定され、図8(d)の右上角47−4がトナー補給容器20kの検知用に設定される。
【実施例3】
【0075】
図9(a)〜(d)は、実施例3に係るトナー補給容器の被識別部50の穴47に挿入される被識別角設定部材54の形状と設定形態を示す図である。図9(a)〜(d)に示すように、被識別角設定部材54は、90度、45度、45度の三角形の90度角に対向する辺を円弧状に切り欠き、且つ両端の45度角を切り落とした形状となっている。
【0076】
この形状により、本例の被識別角設定部材54は、90度角部と、2箇所の45度角切り落とし部とで、穴47の3箇所の角を塞ぎ、1箇所の角のみを空ける形状になっている。すなわち、本例の被識別角設定部材54は、いずれの向きで穴47に挿入されても、四角形のいずれか1箇所の角を空け、残る角全てを塞ぐ形態で穴47に挿入されるように構成されている。
【0077】
本例の場合も、例えば図9(a)の右下角47−1がトナー補給容器20yの検知用に設定される。また、図9(b)の左下角47−2がトナー補給容器20mの検知用に設定され、図9(c)の左上角47−3がトナー補給容器20cの検知用に設定され、図9(d)の右上角47−4がトナー補給容器20kの検知用に設定される。
【実施例4】
【0078】
図10(a)〜(d)は、実施例4に係るトナー補給容器の被識別部50の穴47に挿入される被識別角設定部材55の形状と設定形態を示す図である。図10(a)〜(d)に示すように、被識別角設定部材55は、90度に開いた扇形の形状となっている。
【0079】
この形状により、本例の被識別角設定部材55は、扇形のかなめ部と、開きの両端部とで、穴47の3箇所の角を塞ぎ、1箇所の角のみを空ける形状になっている。すなわち、本例の被識別角設定部材55は、いずれの向きで穴47に挿入されても、四角形のいずれか1箇所の角を空け残る角全てを塞ぐ形態で穴47に挿入されるように構成されている。
【0080】
本例の場合も、例えば、図10(a)の右下角47−1がトナー補給容器20yの検知用に設定される。また、図10(b)の左下角47−2がトナー補給容器20mの検知用に設定され、図10(c)の左上角47−3がトナー補給容器20cの検知用に設定され、図10(d)の右上角47−4がトナー補給容器20kの検知用に設定される。
【0081】
尚、上述した実施例では、いずれの場合も、穴47の縦横の寸法に対して、被識別角設定部材の縦横の寸法を小さく図示しているが、例えば、被識別角設定部材の材質を、穴47に押し込める程度に柔軟性があり、識別ピン52の突き当てには抵抗性があるような硬度を持った硬質ゴムとすれば、被識別角設定部材の縦横を穴47の縦横と同等の寸法で製作しても支障なく使用できる。
【0082】
また、上述した実施例では、穴47を四角形とし、被識別角設定部材としてはL字形部材48を始め全部で4種類の形状を示したが、これに限ることなく、穴は三角形以上の多角形ならよい。
【0083】
要は、穴に対して被識別角設定部材の形状がいずれの向きで穴に挿入されても、1箇所の角を空け残る角全てを塞ぐ形態、又は1箇所の角にのみ識別ピンが嵌入可能で、残るいずれの角においても識別ピンが嵌入不可となる形態であればよい。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0085】
画像形成装置の装着部に着脱自在に装着されるトナー補給容器において、
前記装着部に装着されたとき該装着部のトナー補給容器識別部に係合する面の所定の位置に形成された断面が多角形で凹設された穴と、
該穴の中心線周りに回転させた際に、前記多角形に対応した形態で前記穴に着脱自在に挿入される識別用部材と、
を有することを特徴とするトナー補給容器。
[付記2]
【0086】
前記識別用部材は、前記多角形のいずれか1箇所の角を空ける形態で前記穴に挿入されるように構成される、
ことを特徴とする付記1記載のトナー補給容器。
[付記3]
【0087】
前記識別用部材は、前記多角形のいずれか1箇所の角にのみ前記トナー補給容器識別部が嵌入可能で、他の角においては前記トナー補給容器識別部が嵌入不可となる形態で前記穴に挿入されるように構成される、
ことを特徴とする付記1または2記載のトナー補給容器。
[付記4]
【0088】
前記識別用部材は、前記穴への嵌入位置によって前記トナー補給容器識別部が嵌入可能となる前記穴の前記角の位置を設定することにより、いずれの種類のトナーを収容しているかを識別されるように構成される、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載のトナー補給容器。
[付記5]
【0089】
前記多角形が四角形であり、前記識別用部材が前記穴の隣接する二辺の壁面にL字形の縦横の外側面を当接させて前記穴に着脱自在に挿入されるL字形部材からなる、
ことを特徴とする付記1乃至4の何れかに記載のトナー補給容器。
[付記6]
【0090】
前記L字形部材が前記穴に挿入される位置によって、4種類の中のいずれの色のトナーを収容しているかを設定されるように構成される、ことを特徴とする付記5記載のトナー補給容器。
[付記7]
【0091】
前記L字形部材の前記L字形の縦横の内側面と、前記L字形部材の前記外側の角部が対向する前記穴の角部の対角となる角部と、該角部を挟む二辺の壁面とで形成される空間部が、前記装着部の前記トナー補給容器識別部と係合することにより、4種類の中のいずれの色のトナーを収容しているかを識別されるように構成される、ことを特徴とする付記5または6記載のトナー補給容器。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置の現像部にトナーを補給するトナー補給容器の種類判別に利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ、装置本体)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 画像形成ユニット
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 ユニット筐体
17 隔壁
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20(20y、20m、20c、20k) トナー補給容器
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 一次転写ローラ
24 二次転写部
25 転写補助ローラ
26 二次転写ローラ
27 ベルトクリーナ
28 クリーニングブレード
29 廃トナー回収容器
30(30a、30b) 給紙カセット
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
42 筐体
43 キャップ
44 シャッターカバー
45 カップリング
46 IC(integrated circuit)基板
47 穴
47a、47b、47c、47d 壁面
47−1、47−2、47−3、47−4 角部
48 L字形部材
48a 縦の外側面
48b 横の外側面
48c 外側の角部
48d 縦の内側面
48e 横の内側面
50 被識別部
51(51y、51m、51c、51k) トナー補給容器装着部
52 識別ピン
53、54、55 被識別角設定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10