(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリプロピレン系樹脂組成物は、マスターバッチによってフェノール系酸化防止剤を追添することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半導体関連部品搬送ケース。
請求項1〜4のいずれかに記載の半導体関連部品搬送ケースを破砕して得たポリプロピレン系樹脂組成物を原料の一部または全部に用いて射出成形して得られる成形品の揮発性成分含有量が10重量ppm以下であることを特徴とする半導体関連部品搬送ケース。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の半導体関連部品搬送ケースは、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、フェノール系酸化防止剤が0.03〜0.1重量部の範囲で配合された、揮発性成分含有量が7重量ppm以下のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて得られる、射出成形後の揮発性成分含有量が10重量ppm以下であることを特徴とする。
以下、本発明の半導体関連部品搬送ケースに用いるポリプロピレン系樹脂及び半導体関連部品搬送ケースの製造法について、詳細に説明する。
【0017】
[I]ポリプロピレン系樹脂
本発明に使用するポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、あるいはプロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を意味する。それらの中で、プロピレン単独重合体およびプロピレンとエチレンとのランダム共重合体が好ましい。プロピレンとエチレンのランダム共重合体の場合、好ましくはプロピレン単位を90〜99.5重量%、さらに好ましくは92〜99重量%、エチレン単位を好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%含んでなるものである。
【0018】
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、揮発性成分量が7重量ppm以下であり、好ましくは5重量ppm以下である。その理由は以下の通りである。搬送ケースが集積度や加工精度が高い半導体関連部品を収納する場合は、揮発性成分が僅かに付着しても問題となるため、揮発性成分量は5重量ppmを下回ることが好ましい。一方、集積度が低い半導体関連部品を収納する場合であっても、揮発性成分量が10重量ppm以下であれば揮発性成分が半導体関連部品へ付着する量が抑えられ、部品性能の不具合発生を防止できるが、7重量ppm以下であればこの効果が確実に期待できる。
【0019】
ポリプロピレン系樹脂の揮発性成分には、未反応モノマー、低分子量化合物、重合溶媒、溶剤等のプロピレンの重合工程に起因する揮発性成分、酸化防止剤のような重合後のポリプロピレンに添加される各種添加剤等に起因する揮発性の成分等が含まれる。
【0020】
このように、揮発性成分の発生原因としては、多くのことが考えられるが、ポリプロピレン系樹脂の重合法、製造法に起因する場合が多い。
チーグラー触媒によって製造されたポリプロピレン系樹脂は、GPCによる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定して、分子量分布の指標であるMw/Mnを求めると、触媒の種類、重合条件により若干異なるが、約4〜9であり、未反応モノマー、ダイマー、低分子量化合物、非晶質成分、オリゴマーなどの含有量が高いことが多い。
一方、メタロセン触媒によるポリプロピレン系樹脂のMw/Mnは約2〜3であり、分子鎖の長さが非常に揃っていて、揮発性成分の発生の原因になると考えられる未反応モノマー、ダイマー、低分子量化合物、非晶質成分、オリゴマーなどの、比較的低分子量の成分の含有量が、5重量ppm以下、あるいは3重量ppm以下、好ましくは1重量ppm以下と少ないものが得られやすい。したがって、メタロセン触媒によるポリプロピレン系樹脂を使用することが揮発性成分の発生の原因を原料の段階で、7重量ppm以下に止めることが、より容易に可能であり、好ましい。
【0021】
チーグラー触媒によるポリプロピレン系樹脂の場合には、分子量分布が比較的広く、低分子量域を潜在的に多く含むために、揮発性成分をポリプロピレン系樹脂という、いわゆる成形用ポリマーの原料段階で、多量に10重量ppm、16重量ppm、19重量ppmというような、7重量ppm以上に含まれている場合が多い。したがって、このようなポリプロピレン系樹脂を使用する場合には、揮発性成分を取り除く処理をする必要がある。
【0022】
勿論、揮発性成分は、ポリプロピレン系樹脂の副生成物ばかりでなく、重合溶媒、共重合に供されるモノマーであるエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、触媒、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィン等のポリマー洗浄溶液、回収溶剤のような重合体の製造の段階で混入するものもありえる。さらに、酸化防止剤、加工助剤のような各種添加剤から混入することも想定できるので、ポリプロピレン系樹脂の揮発成分を7重量ppm以下とするには、重合、重合体の洗浄、抽出、溶媒の除去、添加剤を含むあらゆる工程、観点からの対策を留意する必要がある。
【0023】
また、本発明に使用するポリプロピレン系樹脂は、そのナトリウムおよびカルシウム含有量は、それぞれ100重量ppm以下であることが好ましい。ナトリウムおよびカルシウム含有量が100重量ppmを超えると、搬送ケースに収納した半導体関連部品に対し、搬送ケースから剥がれ落ちた樹脂の欠片が付着した場合、付着した部分の電気特性が変化することにより欠損となる可能性がある。ナトリウムやカリウム含有量が高いほど欠損の可能性は高まるため、問題の生じない範囲としての100重量ppm以下である。より好ましくは70重量ppm以下、さらに好ましくは50重量ppm以下と低減させることが望ましい。
【0024】
ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて製造されることが好ましい。メタロセン触媒としては、公知のメタロセン触媒系が使用できるが、好ましくは、メチルアルモキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物やフッ素含有ホウ素化合物を助触媒として使用しない触媒系が用いられる。
アルミニウムオキシ化合物を用いて重合すると生成ポリマー中に存在するアルミニウム量が多くなり、また、フッ素含有ホウ素化合物を用いて重合すると生成ポリマー中に存在するハロゲン量が多くなる。上記した好ましいハロゲン含有量のポリプロピレン系樹脂を得るためには、必要に応じて触媒除去工程を設けることができる。
【0025】
メタロセン触媒としては、担持型ものが好ましい。
担持型メタロセン触媒の特に好ましい例としては、担体が助触媒の機能を兼ねたイオン交換性層状ケイ酸塩が挙げられる。具体的には、以下に述べる成分[A]、成分[B]および必要に応じて添加される成分[C]を組み合わせて得られるものが好ましい。
成分[A]メタロセン錯体化合物
共役五員環配位子を少なくとも一個有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物。
成分[B]助触媒
イオン交換性層状ケイ酸塩
成分[C]有機アルミニウム化合物
【0026】
上記の成分[A]としては、具体的には、次の一般式[I]で表される化合物を使用することができる。
Q(C
5H
4−aR
1a)(C
5H
4−bR
2b)MXY ・・・[I]
上記の一般式[I]において、Qは、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を表す。Mは、周期律表第4〜6族遷移金属を表し、中でもチタン、ジルコニウム、ハフニウムが好ましい。
XおよびYは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を示す。R
1およびR
2は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基またはホウ素含有炭化水素基を示す。また、隣接する2個のR
1または2個のR
2がそれぞれ結合してC4〜C10環を形成していてもよい。aおよびbは、0≦a≦4、0≦b≦4を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Qは、例として、アルキレン基、アルキリデン基、シリレン基、ゲルミレン基等が挙げられる。これらは水素原子がアルキル基、ハロゲン等で置換されたものであってもよい。
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
【0027】
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド
(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド
(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロリド
(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ジルコニウムジクロリド
(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド
(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド
(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド
【0028】
以上、ジルコニウム化合物としての例を挙げたが、これらにおいて、その中心金属をチタニウムまたはハフニウムとするチタニウム化合物、ハフニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても上記と同様の化合物が好ましく挙げられる。
本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
【0029】
・成分[B]助触媒(イオン交換性層状ケイ酸塩)
イオン交換性層状ケイ酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
イオン交換性層状ケイ酸塩としては、好ましくは粘土化合物を使用することができ、粘土化合物の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(1)1:1型構造が主要な構成層であるディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族
(2)2:1型構造が主要な構成層であるモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群
【0030】
本発明で使用する珪酸塩は、上記(1)、(2)の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。
本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトであることが特に好ましい。
【0031】
これら珪酸塩を酸、塩、アルカリ、酸化剤、還元剤、有機溶剤などで化学処理することにより活性向上を図ることができる。
酸処理は、イオン交換性層状珪酸塩粒子の表面の不純物を除く、あるいは層間陽イオンの交換を行うほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸などが挙げられるが、好ましくは無機酸、特に好ましくは硫酸である。
酸処理条件に特に制限はないが、好ましくは5〜50重量%の酸の水溶液を60〜100℃の温度で1〜24時間反応させるような条件であり、その途中で酸の濃度を変化させてもよい。酸処理した後、通常洗浄が行われる。洗浄とは処理系内に含まれる酸をイオン交換性層状珪酸塩から分離除去する操作である。
【0032】
塩類処理で用いられる塩類としては、特定の陽イオンを含有するものを選択して使用することが好ましい。陽イオンの種類については1から4価の金属陽イオンが好ましく、特にLi、Ni、Zn、Hfの陽イオンが好ましい。
具体的な塩類としては、次のものを例示することができる。
陽イオンがLiのものとしては、LiCl、LiBr、Li
2SO
4、Li
3(PO
4)、Li(ClO
4)、Li
2(C
2O
4)、LiNO
3、Li(OOCCH
3)、Li
2(C
4H
4O
4)等を挙げることができる。
陽イオンがNiのものとしては、NiCO
3、Ni(NO
3)
2、NiC
2O
4、Ni(ClO
4)
2、NiSO
4、NiCl
2、NiBr
2等を挙げることができる。
陽イオンがZnのものとしては、Zn(OOCH
3)
2、Zn(CH
3COCHCOCH
3)
2、ZnCO
3、Zn(NO
3)
2、Zn(ClO
4)
2、Zn
3(PO
4)
2、ZnSO
4、ZnF
2、ZnCl
2、ZnBr
2、ZnI
2等を挙げることができる。
陽イオンがHfのものとしては、Hf(OOCCH
3)
4、Hf(CO
3)
2、Hf(NO
3)
4、Hf(SO
4)
2、HfOCl
2、HfF
4、HfCl
4、HfBr
4、HfI
4等を挙げることができる。
【0033】
化学処理後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は100〜800℃で実施可能であり、構造破壊を生じるような高温条件(加熱時間にもよるが、例えば800℃以上)は好ましくない。構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、または減圧下である。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
【0034】
・成分[C]有機アルミニウム化合物
成分[C]の有機アルミニウム化合物は、必要に応じて任意的に使用される成分であり、下記一般式[II]で示される化合物が適当である。
(AlR
3pX
3−p)
q・・・[II]
式[II]中、R
3は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Xは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。pは1〜3の、qは1〜2の整数である。
R
3としては、アルキル基が好ましく、またXは、それがアルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が好ましい。
これらのうち、好ましくは、p=3、q=1のトリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R
3が炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0035】
有機アルミニウム化合物は、単独又は複数種混合して、あるいは併用して使用することができる。また、有機アルミニウム化合物は、触媒調製時だけでなく、予備重合あるいは本重合時にも添加して使用することができる。
【0036】
本発明に使用されるメタロセン触媒は、本重合が行われる前に予備重合処理することが望ましい。予備重合に供されるモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、1,3−ブタジエン等のジエン化合物、スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル化合物を用いることができる。
この予備重合は、不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体触媒(成分[A]と成分[B]の合計)1gあたり、0.01〜1,000g、好ましくは0.1〜100gの重合体が生成するように行うことが望ましい。
【0037】
重合反応は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、シクロヘキサン等の不活性炭化水素や液化α−オレフィン等の溶媒存在下、あるいは不存在下に行われる。本発明においては、固体触媒(固体触媒を予備重合処理した場合は、予備重合で生成した重合体を含まない。)当たりのポリマー生成量をできるだけ大きくすることが望ましい。ポリマー生成量を大きくするために、重合温度、重合圧力はいずれも高めに設定することが望ましい。
【0038】
通常、重合温度は60〜90℃、重合圧力は1.5〜4MPa程度から選択される。特に、バルク重合の場合、重合温度は60〜80℃で、重合圧力は温度と相関して2.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。一方、気相重合の場合は、重合温度は70〜90℃で、1.5〜4MPa程度から選択することが好ましい。
さらに、固体触媒の滞留時間を長くすることによっても、固体触媒当たりのポリマー生産量を上げることが可能であるが、あまり長くし過ぎると生産性に影響を与える。好ましい滞留時間は、1〜8時間、さらに好ましくは1〜6時間である。担体を含めた固体触媒1gあたりのポリマー生産量は20kg以上、好ましくは25kg以上、さらに好ましくは30kg以上となるように、重合条件を設定することが望ましい。
また、重合系内に分子量調節剤として水素を存在させてもよい。更に、重合温度、分子量調節剤の濃度等を変えて多段階で重合させてもよい。
【0039】
本発明においては、重合終了後、得られたポリプロピレン系樹脂を、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの不活性飽和炭化水素溶剤や液状α−オレフィンなどを用いて、さらに好ましくは炭素数3または4の不活性炭化水素溶剤や液状α−オレフィンを用いて、洗浄を行うことが好ましい。
洗浄方法としては、特に制限はなく、撹拌槽での接触処理後上澄みのデカンテーション、向流洗浄、サイクロンによる洗浄液との分離など、公知の方法を用いることができる。
また、洗浄前あるいは洗浄と同時に、失活剤を添加してもよい。失活剤に関しては、特に制限はなく、水、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類など、あるいはこれらの混合物を用いることができる。
【0040】
ポリプロピレン系樹脂組成物には、成形時の熱に起因する揮発性成分量増加を抑制するため、ポリマーラジカル捕捉剤、ラジカル連鎖禁止剤として下記一般式(1)または下記一般式(2)に示されるフェノール系酸化防止剤を使用することが好ましい。
【0041】
【化3】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜18のアラルキル基を表す。R
3は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R
4は水素原子又はメチル基を表す。)
【0042】
一般式(1)において、のR
1及びR
2としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、t−アミル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などの炭素数1〜8のアルキル基、例えば、フェニル基などの炭素数6〜12のアリール基、例えば、ベンジル基などの炭素数7〜18のアラルキル基等を挙げることができる。
好ましくは、t−ブチル基及びt−アミル基などの3級炭素を有するアルキル基等が挙げられ、より好ましくはt−アミル基等である。
R
3としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1〜3のアルキル基等を挙げることができ、より好ましくはメチル基が挙げられる。また、R
4は、水素原子又はメチル基を表し、特に、水素原子が好ましい。
一般式(1)に示される化合物の好ましい具体例として2,4―ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートを好ましく挙げることが出来る。
【0044】
式中、R
5は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表すが、好ましくはt−ブチル基、sec−ブチル基であり、特にはtert−ブチル基であることが好ましい。
一般式(2)に示される化合物の好ましい具体例として、1、3、5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、6−キシリル)メチル]−1、3、5−トリアジン−2、4、6(1H、3H、5H)−トリオンを挙げることが出来る。
【0045】
ポリプロピレン系樹脂には、各種フェノール系酸化防止剤が使用可能である。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(ブチレ−テッドヒドロキシトルエン)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ−ト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンを好ましく挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤はマスターバッチによって追添することが好ましい。
【0046】
本発明の効果を阻害しない範囲で、他の酸化防止剤を併用することも可能であるが、リン、硫黄を含む酸化防止剤を使用する場合、含まれるリン、硫黄が内容物に対し悪影響を及ぼさない範囲の添加量であることが好ましい。
【0047】
・造核剤
ポリプロピレン系樹脂には、造核剤を、造核剤からの揮発性成分や金属成分の溶出が問題とならない範囲で、使用可能である。
造核剤としては、立体障害性アミド化合物、有機ジカルボン酸金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、ポリマー核剤、有機燐酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトールもしくはその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩等が使用される。
【0048】
・その他の成分
ポリプロピレン系樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することもできる。このような任意成分としては、帯電防止剤、防曇剤、金属不活性剤、紫外線吸収剤、分散剤、充填剤、難燃剤、着色剤、顔料、蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0049】
・搬送ケースの成形方法
上記したポリプロピレン系樹脂を用いて半導体関連部品搬送ケースを製造するには、ポリプロピレン系樹脂に、必要により上述した添加剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物としたものを、射出成形により所望形状のケースに成形する。搬送ケースとは、各種マガジン、トレイ、ボックス、容器等を含む。
本発明の半導体関連部品搬送ケースは、射出成形後の揮発性成分の含有量が10重量ppm以下である。揮発性成分量が10重量ppm以下であれば揮発性成分が半導体関連部品へ付着する量が抑えられ、部品性能の不具合発生を防止できる。揮発性成分の含有量は好ましくは7重量ppm以下であり、特には重量5ppm以下である。
【0050】
また、本発明の半導体関連部品搬送ケースはリサイクル特性に優れる。そのため半導体関連部品搬送ケースの使用済製品、あるいは不適合品、成形の際のスプールやランナー等から得られた粉砕品又はこれらを溶融して得たぺレット等を、原料の一部又は全部として用いて射出成形することが可能である。再生されたポリプロピレン系樹脂の使用率は80重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
そして、本発明においては、再生されたポリプロピレン系樹脂を用いて、再び射出成形して得られる搬送ケースの揮発性成分含有量は、10重量ppm以下とすることが可能である。
【0051】
なお、ここで半導体関連部品とは、特に限定されないが、例えば、シリコンウエハー、ハードディスク、サファイアウェハ、ディスク基板、ICチップ、光磁気ディスク(MO)、各種メモリー、ハードディスク用磁気抵抗ヘッド、CCD、CCDデバイス、光学機器半導体部品等の各種半導体関連の部品をいう。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて、詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、以下の実施例、比較例において、ポリプロピレン系樹脂の物性測定及び成形品の評価は下記の方法に従ったものである。
【0053】
(1)メルトフローレート(MFR):
JIS K6921−2:1997付属書(230℃、21.18N荷重)に準拠して測定した。
【0054】
(2)融点(T):
セイコー社製示差走査熱量分析装置(DSC6200)を用い、サンプル量は5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解最大ピーク温度で評価した。
【0055】
(3)エチレン含有量:
エチレンコモノマー由来のポリマー中のエチレン単位含有量(単位:重量%)は、得られたポリマーをプレスし、シート状に成形したものをIR法により測定した。具体的には730cm
−3付近に観測されるメチレン鎖由来ピーク高さから算出した。
【0056】
(4)揮発性成分量:
試料200mgをGERSTEL社製TDS管に充填、TDS管をGERSTEL社製TDS−A装置に挿入し、ヘリウムガスを53.9ml/minの流速で流しながら100℃で30分間加熱し、加熱時間中、ガスはTENAXを充填したGERSTEL社製CIS4に導入され、CIS4を−150℃に冷却することにより試料より発生した揮発成分を捕集した。
捕集された成分は320℃まで急速に加熱気化させることにより、ガスクロマトグラムに導入した。導入されたガスは次の条件でガスクロマトグラム/質量分析法で測定した。
装置:HP6890
カラム:DB−5ms 0.25mm×30m
温度:40℃×5分→10℃/分〜300℃×15分
検出器:HP5973N
炭化水素量の定量は、n−ヘプタンを溶媒として、濃度が1、5及び10μg/mlの炭素数20の脂肪族直鎖飽和炭化水素を、試料と同条件で測定を行い、ガスクロマトグラム/質量分析法で測定し、検量線を作成し、定量は炭素数20の脂肪族直鎖飽和炭化水素換算で行った。
【0057】
(製造例1:PP−1の製造)
(1)触媒の調製
以下の操作は、不活性ガス下、脱酸素、脱水処理された溶媒、モノマーを使用して実施した。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
酸処理:
ゼパラブルフラスコに蒸留水1130g、96%硫酸750gを加え内温を90℃に保ち、そこに平均粒径25μmの造粒スメクタイト(水沢化学社製商品名「ベンクレイSL」)300gを添加し5時間反応させた。
洗浄:
1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=3.69まで洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10000以下であった。この段階の固体を一部乾燥させて酸処理による溶出率を求めたところ33.5%であった。
塩類処理:
硫酸リチウム1水和物211gを蒸留水521gに溶かし、さらに上記酸処理で得られた固体100g(乾燥重量)を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水3000g加え5分間室温で撹拌した。更にこのスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水2500gを加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返した。得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後53μm以上の粗大粒子を除去しさらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイトを得た。
【0058】
(ii)珪酸塩の活性化処理
上記の化学処理スメクタイト200gを内容積3Lの攪拌翼のついたガラス製反応器に導入し、ノルマルヘプタン750ml、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(500mmol)を加え、室温で攪拌した。1時間後、ノルマルヘプタンにて洗浄(残液率1%未満)し、スラリーを2000mLに調製した。
【0059】
(iii)予備重合触媒の調製
次に、(r)−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]ジルコニウムジクロリド3mmolのトルエンスラリー870mLとトリイソブチルアルミニウム(15mmol)のヘプタン溶液42.6mLを、あらかじめ室温にて1時間反応させておいた混合液を、上記の化学処理スメクタイトスラリーに加え、1時間攪拌した。続いて、窒素で十分置換を行った内容積10Lの攪拌式オートクレーブにノルマルヘプタン2.1Lを導入し、40℃に保持した。そこに先に調製したモンモリロナイト/錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、その温度を維持した。4時間後、プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。回収した予備重合触媒スラリーから、上澄みを約3L除き、トリイソブチルアルミニウム(30mmol)のヘプタン溶液を170mL添加し、10分間撹拌した後に、40℃にて減圧下熱処理した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレン2.30gを含む予備重合触媒が得られた。
【0060】
(2)ポリプロピレン系樹脂(PP−1)の製造
内容積270Lの攪拌装置付き液相重合槽、内容積400Lの失活槽、スラリー循環ポンプ、循環ライン液力分級器、濃縮器、向流ポンプおよび洗浄液受け槽からなる失活洗浄システム、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる高圧脱ガスシステム、さらに低圧脱ガス槽および乾燥器などを含む後処理系を組み込んだプロセスにより、プロピレン・エチレン共重合体の連続製造を実施した。
上記で製造した予備重合触媒を流動パラフィン(東燃社製商品名「ホワイトレックス335」)に濃度15重量%で分散させて、触媒成分として0.35g/hrで液相重合槽に導入した。さらにこの重合槽に液状プロピレンを40kg/hr、エチレンを0.4kg/hr、水素を0.25g/hr、トリイソブチルアルミニウムを18g/hrで連続的に供給し、内温を70℃に保持し、重合を行った。液相重合槽からポリマーと液状プロピレンの混合スラリーをポリマーとして12.0kg/hrとなるように失活洗浄槽に抜き出した。このとき重合槽の触媒の平均滞留時間は、1.3時間であった。失活洗浄槽には、失活剤としてエタノールを21.0g/hrで供給した。さらに液状プロピレンを40kg/hr供給し、ジャケットによる加熱で内温を50℃に保った。
ポリマーは分級器の下部から高圧脱ガス槽へ抜き出し、さらに低圧脱ガス槽を経て、乾燥器で乾燥を行った。乾燥器の内温80℃、滞留時間が1時間となるように調整し、さらに室温の乾燥窒素をパウダーの流れの向流方向に12m
3/hrの流量で流した。乾燥後のポリマーは、ホッパーから取り出した。一方、分級器、濃縮器を経て、ポリマーと分離された液状プロピレンは、40kg/hrで洗浄液受け槽に抜き出した。
得られたポリプロピレン系樹脂(以下、「PP−1」ともいう。)の固体触媒1g当たりの収量は34.3kg、エチレン含量=0.75wt%、MFR=30.6g/10分、Tm=141.7℃であった。
【0061】
(実施例1)
製造例1で得られたメタロセン触媒によるポリプロピレン系樹脂(PP−1)のパウダー100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤のペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製商品名「IRGANOX 1010」、以下「IR1010」と略す。)を0.03重量部、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート(住友化学工業社製、商品名「スミライザーGS」、以下「S−GS」と略す。)を0.02重量部添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機(TEM35)を用い、ホッパーを窒素シールしながら、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出量15kg/時間で造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを東芝機械社製射出成形機EC100に供給し、シリンダー温度を240℃に設定し、10分間保持した。その後射出1次圧力50Mpa、金型冷却水温度40℃、冷却時間15.0秒にて厚さ2.0mmの平板を成形した。この成形品を用い揮発性成分量を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
(実施例2)
フェノール系酸化防止剤として1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン(サイテック社製商品名「サイアノックス1790」、以下「C1790」と略す。)を0.08重量部添加すること以外は実施例1と同様にして揮発性成分量を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
(実施例3)
製造例1で得られたメタロセン触媒によるポリプロピレン系樹脂(PP−1)のパウダー100重量部に対して、IR1010を0.03重量部添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機(TEM35)を用い、ホッパーを窒素シールしながら、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出量15kg/時間で造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレット(以下、「PP―BASE」ともいう。)を得た。なお、PP−BASEの成形前の揮発性成分量は3.7重量ppmであった。
また、フェノール系酸化防止剤のマスターバッチとして、PP−1のパウダー100重量部に対して、S−GSを4重量部添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、パウダーは東芝機械社製2軸押出機(TEM35)を用い、ホッパーを窒素シールしながら、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数200rpm、押出量15kg/時間で造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のマスターバッチペレット(以下、「MB−A」ともいう。)を得た。なお、MB−Aの成形前の揮発性成分量は3.9重量ppmであった。
PP−BASEを98.75重量部、MB−Aを1.25重量部ドライブレンドし、実施例1と同様に成形し、揮発性成分量を測定した。ここで成形品100重量部中に含まれるIR1010は0.03重量部、S−GSは0.05重量部である。
得られた結果を表1に示す。
【0064】
(比較例1)
フェノール系酸化防止剤としてIR1010を0.08重量部添加し、S−GSを添加しなかった以外は実施例1と同様にして揮発性成分量を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
成形機内に長時間、樹脂が保持されたことに対し実施例1、2及び3では揮発性成分も7ppm以下の値と揮発性成分量の増加を抑止出来ていることから半導体関連部品搬送ケースを製造する場合、成形時間による揮発性成分の変動が少ないため好適であることが分かる。対して比較例1は揮発性成分量が増加していることから、製品の品質を一定に保つことが出来ないため半導体関連部品搬送ケースに不適である。
【0067】
(実施例4)
実施例1にて作成したペレットを東芝機械社製射出成形機EC100に供給し、シリンダー温度を230℃、射出1次圧力50Mpa、金型冷却水温度40℃、冷却時間15.0秒にて厚さ2.0mmの平板を成形した。この成形品を破砕し、再度東芝機械社製射出成形機EC100に供給し、シリンダー温度を230℃、射出1次圧力50Mpa、金型冷却水温度40℃、冷却時間15.0秒にて厚さ2.0mmの平板を成形した。この成形品を用い揮発性成分量を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0068】
(実施例5)
PP−BASEを98.75重量部、MB−Aを1.25重量部ドライブレンドしたペレット混合物を用いた他は実施例4と同様にして揮発性成分量を測定した。
得られた結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
成形品を破砕し再度成形を行った場合でも、実施例4及び5では揮発性成分量の増加を抑制出来ていることから、半導体関連部品搬送ケースの製造の際、スプールやランナーを再利用することが可能となり、製造の際の廃棄樹脂を削減でき、製造コストを低減できるため好適である。