(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却水ポンプ運転継続手段(S63、S103、S113)は、前記熱源(2)からの前記冷却水に対する供給熱量が予め設定された熱量である所定減少状態となる場合または前記所定減少状態になったとみなされる場合に、前記熱源(2)の運転を停止とみなし、前記車両の走行中において、前記冷却水の温度が前記所定温度以下に冷却されるまで前記冷却水ポンプ(1)の運転を継続させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の熱源冷却装置。
前記熱源(2)からの前記冷却水に対する供給熱量が前記所定減少状態になったとみなされる場合とは、前記燃料電池車を加速させるアクセルの操作がオフ状態になった場合、または、前記熱源(2)を成す前記燃料電池の要求発電量が所定値以下になった場合であることを特徴とする請求項5に記載の熱源冷却装置。
前記熱源(2)からの前記冷却水に対する供給熱量が前記所定減少状態になったとみなされる場合とは、前記熱源(2)を成す前記エンジンまたは前記燃料電池の要求出力がゼロとなった場合またはゼロとなったとみなされた場合であること特徴とする請求項5に記載の熱源冷却装置。
前記冷却水ポンプ運転継続手段(S63、S103、S113)は、前記冷却水の温度が85℃プラスマイナス5℃以下に冷却されるまで、前記冷却水ポンプ(1)の運転を継続させてから前記冷却水ポンプ(1)を停止することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の熱源冷却装置。
更に、前記放熱器(6)に冷却風を流す電動ファン(11)を備え、前記冷却水ポンプ運転継続手段(S63、S103、S113)が前記冷却水ポンプ(1)の運転を継続させている間に、前記電動ファン(11)を稼動させ、前記放熱器(6)を前記冷却風で冷却することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の熱源冷却装置。
前記冷却水ポンプ運転継続手段(S63、S103、S113)が前記冷却水ポンプ(1)の運転を継続させている間において、前記冷却水ポンプ(1)は、該冷却水ポンプ(1)の最大吐出量の50%以上の吐出能力で前記冷却水を吐出することがあることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の熱源冷却装置。
前記熱源(2)と前記放熱器(6)との間に前記冷却水が流れる流路に、前記放熱器(6)をバイパスするバイパス流路(5)と、該バイパス流路(5)に切替える切替え弁(4)とを有することを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の熱源冷却装置。
前記リザーブタンク入口弁(10)は、前記切替え弁(4)よりも前記冷却水ポンプ(1)の吸入側に設置された前記放熱器(6)に設置されていることを特徴とする請求項12に記載の熱源冷却装置。
前記冷却水ポンプ運転継続手段(S63、S103、S113)が前記冷却水ポンプ(1)の運転を継続させている間において、前記切替え弁(4)は、前記放熱器(6)側にすくなくとも一部の冷却水を流すことを特徴とする請求項12または13に記載の熱源冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0016】
各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0017】
(第1実施形態)
先ず、従来の問題の発生原因につき、発明者らが種々の実験により突き止めたことは、燃料電池車等の再始動時に、冷却水ポンプにキャビテーションが発生し、このキャビテーションの発生により、冷却水の燃料電池への供給が不安定になり、燃料電池のスタック発電効率等が低下するという事実である。
【0018】
以下、この問題の原因について詳しく説明する。冷却水を電動式の冷却水ポンプによって放熱器(ラジエータ)に送り冷却する。しかし、この冷却水ポンプにキャビテーションが発生すると、冷却水ポンプの吐出流量が乱れ、高効率な熱源の運転が不可能になる。キャビテーションは、冷却水ポンプの吸入側の圧力が低下しているときに高速度で冷却水ポンプのインペラを回転させることで発生する。このキャビテーションを防止するためには、冷却水の圧力を高く設定することが望ましい。
【0019】
熱源がオーバーヒートしないようにする役目を持っているのが放熱器である。放熱器内には冷却水が循環していて、熱源が一定温度以上にならないよう熱源を冷やしている。一般に、冷却水は別名「不凍液」と呼ばれるように0℃以下でも凍らない性質はあるが、沸点は100℃で普通の水と変わらない。
【0020】
熱源は非常に高温になるため、冷却水をそのまま使用していたのでは沸騰して気化してしまい、すぐに無くなる。よって、放熱器を含む冷却水回路は密閉されている。密閉した空間にすることで、熱源の熱により冷却水が膨張しようとしても、空間が限られているため、液の圧力が高まり、結果として沸点が高くなる。つまり100℃になっても沸騰しなくなる。
【0021】
この放熱器内の圧力を調整する役目を持つ構成部品の一つがリザーブタンク入口弁である。このリザーブタンク入口弁は、一般的にはラジエータキャップとして知られている。リザーブタンク入口弁は、リザーブタンクへの冷却水の流入および流出を制御する。
【0022】
冷却水が100℃では沸騰しないように加圧しているのがリザーブタンク入口弁である。リザーブタンク入口弁の裏側にはスプリングがあり、このスプリングがリザーブタンク入口弁のバルブを強く押さえつける事で加圧している。
【0023】
周知のように、プレッシャバルブとバキュームバルブを備えたリザーブタンク入口弁は、水温が上がり冷却水が膨張すると、一定圧力まではバルブスプリングの力によって押さえつけられている。一定の圧力を超えると、バルブスプリングの力に打ち勝って、スプリングを押し上げて膨張した量だけリザーブタンクへ冷却水が流入する。
【0024】
冷却水がある程度冷めると、放熱器内に負圧が発生するため、リザーブタンクから減った分だけ放熱器側に冷却水が流出する。この動作を常に繰り返して放熱器内の圧力を一定に、そして、常に放熱器内には冷却水が1杯に入っている状態を保って入る。
【0025】
熱源は、走行時よりも、燃料の流入を切った直後の方が、温度が上がる。その為、熱源を酷使した後は、クールダウン走行を行なうことが推奨されている。しかし、状況によってはこのようなクールダウン走行は現実的ではない。
【0026】
リザーブタンク入口弁のバルブを選定して、冷却水の圧力を高めて沸点を高くしておけば、それだけ沸騰しにくくなる。また、キャビテーションも発生しにくい。そのうえ、冷却水の温度が高いほど、外気温との差が大きくなり、それだけ放熱効果も高めることができる。
【0027】
しかし、あまりに高圧になってしまうと、冷却系統のホースなどに負担がかかってしまう。そのため、キャビテーション抑止等のために、必要以上にリザーブタンク入口弁にて、冷却水の圧力を高く設定することは好ましくない。
【0028】
従って、リザーブタンク入口弁によって制御される冷却水の圧力が、冷却水ポンプ駆動時の冷却水ポンプの吐出圧と冷却水ポンプの吸入圧の中間値をとる冷却水回路の位置よりも若干冷却水ポンプの吸入側にリザーブタンク入口弁が設置される。一般には、ラジエータキャップとして、冷却水ポンプの吸入側のラジエータ入口部に設けられる。
【0029】
リザーブタンク入口弁によって制御される冷却水の圧力が、冷却水ポンプ駆動時の冷却水ポンプの吐出圧と冷却水ポンプの吸入圧との中間値をとる冷却水回路の位置よりも若干冷却水ポンプの吸入側にリザーブタンク入口弁が設置されることにより、リザーブタンク入口弁によって制御される冷却水の圧力が上記中間値よりも若干低い値に保たれる。
【0030】
仮に、中間値をとる冷却水回路の位置よりも冷却水ポンプの吐出側、例えば冷却水ポンプの吐出口近傍にリザーブタンク入口弁が設置されると、冷却水ポンプによって昇圧されたばかりの高圧の冷却水がリザーブタンクに排出されてしまい、冷却水を理想的な高圧に保てない。
【0031】
また、例えば冷却水ポンプの吸入口近傍にリザーブタンク入口弁が設置されると、冷却水ポンプによって昇圧され冷却水回路によって圧力低下した冷却水がリザーブタンクに排出されることが無く、冷却水回路内が高圧に成りすぎ、ホースの破断等の耐圧上の問題を生じる。
【0032】
換言すれば、キャビテーション対策として、冷却水ポンプの吸入口に近いところを基準圧とするように、リザーブタンク入口弁の設置を行うことでキャビテーションを抑止することはできる。しかし、このようにしたのでは、冷却水ポンプの昇圧量が大きい場合において、高水温条件となり、冷却水系統圧が上昇すると、冷却水ポンプの吐出圧力が非常に高くなり、冷却水ホース、冷却系製品、および冷却対象物の耐圧性能を向上させる必要性が発生する結果、コストの大幅な上昇の要因となる。
【0033】
従って、高圧に成るようにリザーブタンク入口弁の位置および構造を変えても、ホースやシール類に余計な負担をかけるだけである。以下、本発明の第1実施形態について、駆動エネルギー発生装置停止直後の再始動時において、冷却水ポンプ内におけるキャビテーションの発生を抑制する熱源冷却装置を、
図1ないし
図9を用いて詳細に説明する。
【0034】
図1において、冷却水ポンプ(ウォータポンプまたはW/Pとも言う)1は、電動式のポンプであり、電動機によって駆動されるインペラを持っている。この電動式の冷却水ポンプ1は、冷却水の水温が高くなると放熱性能を確保するため回転数が上昇するように、図示しないECU(電子制御ユニット)によって制御される。
【0035】
冷却水ポンプ1の吐出側には、熱源または駆動エネルギー発生手段となる燃料電池(FCスタックとも言う)2と燃料電池センサ3が設けられている。冷却水が燃料電池2内を循環することで、燃料電池2を冷却している。燃料電池2は、車両の走行エネルギーを発生する。
【0036】
燃料電池2を通過した冷却水は、燃料電池センサ3内の温度センサにて温度が測定される。切替え弁4をなすロータリバルブによって、バイパス流路5と放熱器(ラジエータとも言う)6を通過する放熱通路7とに流路が切り替わる。切替え弁4の開度に応じて、バイパス流路5と放熱通路7との両方に所定の割合で冷却水を流すこともできる。切替え弁4により放熱器6をバイパスするバイパス流路5に冷却水を流したり放熱器6のみに流したりすることができるから、冷却水温度の安定化に寄与する。
【0037】
放熱器6は、熱源2で加熱された冷却水を放熱する。少なくとも、冷却水ポンプ1、熱源2、および放熱器6を環状に連結している配管で冷却水回路8を形成している。冷却水回路8との間で冷却水が流入および流出されるリザーブタンク9を有する。リザーブタンク9への冷却水の流入および流出を制御するリザーブタンク入口弁10をなすラジエータキャップを備えている。
【0038】
リザーブタンク入口弁10によって制御される冷却水の圧力が冷却水ポンプ駆動時の冷却水ポンプ1の吐出圧と冷却水ポンプ1の吸入部の圧力の中間値をとる冷却水回路8の位置よりも若干冷却水ポンプ1の吸入側にリザーブタンク入口弁10が設置されている。これについて、
図2を用いて説明する。
【0039】
図2は、
図1に示した冷却水ポンプ1の圧力特性とリザーブタンク入口弁10の内圧、特にラジエータキャップのキャップ部内圧Pcの変化を示す。
図2において、冷却水ポンプ1(W/Pポンプ1)の回転数(W/P回転数)が上昇するにつれ、冷却水ポンプ1の吸入部の圧力Pinと吐出側の圧力Poutとは圧力差が拡大する。周知のリザーブタンク入口弁10の内圧Pcの特性Pc1、Pc2、Pc3は、特性Pc3のように、冷却水ポンプ1の回転数が上昇するにつれ垂下する特性のものが選ばれる。
【0040】
図3は、リザーブタンク入口弁10をなすラジエータキャップ10を示す。また、
図4は、リザーブタンク入口弁10の作動特性を示す。リザーブタンク入口弁10は、
図3のように、バルブスプリング12とプレッシャバルブ13とを備え、ラジエータアッパータンク14に取り付けられている。
【0041】
図1のリザーブタンク9に連通するパイプ15が設けられている。キャップ部内圧(単に内圧とも言う)Pcは、
図3に示されるように、リザーブタンク入口弁10によって圧力が制御されるところのリザーブタンク入口弁10に直近する冷却水回路8部分の圧力である。
【0042】
リザーブタンク入口弁10内のバルブスプリング12の作用で、内圧Pcが大気圧、つまり
図4の0KP(G)であると、リザーブタンク9からパイプ15を介して冷却水回路8に冷却水が流れる。この状態は、
図4の領域RC1である。
【0043】
内圧Pcの圧力が上がり、
図4の領域RC2に達すると、リザーブタンク9と冷却水回路8とのパイプ15を介する流れは遮断される。更に、キャップ部内圧Pcの圧力が上がり、
図4のキャップ開弁圧に達して、
図4の領域RC3に入ると、冷却水回路8からリザーブタンク9に向けてパイプ15内を冷却水が流れる。
【0044】
このように、リザーブタンク9内の冷却水と冷却水回路8内の冷却水とは、流入および流出を繰り返す。冷却水回路8内は閉じられた空間であるため、リザーブタンク9から冷却水が流入すると圧力が上昇する。一方、リザーブタンク9に冷却水が流出すると冷却水回路8内の圧力が下降する。
【0045】
冷却水回路8内の圧力が上昇すると、冷却水ポンプ1のインペラの回転によって冷却水中に飽和蒸気圧より低下する部分が生じにくく、キャビテーションが発生しにくい。そこで、リザーブタンク9から冷却水が冷却水回路8内に流入しやすい特性を持ったリザーブタンク入口弁10に付け替えて、キャビテーションを抑制することが考えられる。このためには、
図4においてキャップ開弁圧を高くして冷却水回路8からリザーブタンク9に冷却水が抜けにくい特性のリザーブタンク入口弁10につけ換えればよい。
【0046】
これにより、冷却水回路8は高圧化されるが、冷却水回路8からリザーブタンク9に冷却水が抜けにくいため、冷却水ポンプ1の回転数が上昇したり、冷却水温度が上昇したりした場合に、冷却水回路8が極めて高圧になる。その結果、前述したように、冷却水回路8内が高圧に成りすぎ、ホースの破断等の耐圧上の問題を生じる。従って、無駄に高圧なリザーブタンク入口弁10に付け替えても、ホースやシール類に余計な負担をかけるだけである。
【0047】
また、同じ特性のリザーブタンク入口弁10を用いても、このリザーブタンク入口弁10の取付け位置によって、冷却水回路8の圧力変動は相違する。
図1のように、リザーブタンク入口弁10は、ラジエータキャップとして切替え弁4よりも更に下流側の放熱器6の入口側に設けているのが一般的であるが、極端な場合、比較例として示す
図5のように、冷却水ポンプ1の吸入部近くにリザーブタンク入口弁10を設けることも考えられる。
【0048】
図5において、冷却水ポンプ1の吸入部は、吐出口の圧力が圧力損失して低下した圧力と成っている。このように、冷却水ポンプ1の吸入部近くにリザーブタンク入口弁10を設けた場合、内圧Pcは低くなる。その結果、
図4のように領域RC3に至り冷却水回路8からリザーブタンク9に冷却水が流出する機会が少なくなり、冷却水回路8は高圧となる。
【0049】
しかし、この場合も、冷却水回路8からリザーブタンク9に冷却水が抜けにくい特性のリザーブタンク入口弁10につけ換えたのと同様に、冷却水回路8は高圧化されるが、冷却水回路8からリザーブタンク9に冷却水が抜けにくいため、冷却水ポンプ1の回転数が上昇したり、冷却水温度が上昇したりした場合に、冷却水回路8が極めて高圧になる。その結果、前述したように、ホースの破断等の耐圧上の問題を生じる。
【0050】
図2の破線にて示す内圧Pcの特性Pc1は、冷却水ポンプ1の回転数が上昇した場合に、内圧Pcが跳ね上がる特性を示している。この特性Pc1のようなリザーブタンク入口弁10の選定は、冷却水回路8内が高圧に成りすぎ、ホースの破断等の耐圧上の問題を生じるため避けられる。
【0051】
図2の一点鎖線にて示す内圧の特性Pc2は、冷却水ポンプ1の回転数が上昇した場合にも、内圧Pcが冷却水ポンプ1駆動時の冷却水ポンプ1の吐出圧と冷却水ポンプ1の吸入部の圧力の中間値Pc2のように一定となる特性を示している。
【0052】
本発明の実施形態として適切なのは、所定の特性のリザーブタンク入口弁10を採用し、かつその取付け位置を、冷却水の圧力が冷却水ポンプ1駆動時の冷却水ポンプ1の吐出圧と冷却水ポンプ1の吸入部の圧力の中間値Pc2をとる冷却水回路8の位置よりも冷却水ポンプ1の少し吸入側とし、特性Pc3のような垂下特性を持つことである。
【0053】
つまり、冷却水ポンプ1の回転数の変化に対する内圧Pcの特性Pc3のように、冷却水ポンプ1の回転数の増大によって、内圧Pcが低下するようにされる。このような、リザーブタンク入口弁10とすれば、冷却水ポンプ1の回転数の上昇や周囲温度の変化、熱源2の発生熱の変化等があっても、冷却水回路8の圧力が上昇しすぎてホースの破断等の耐圧上の問題を生じることが無くなる。
【0054】
しかし、キャビテーションが発生するという問題はこのままでは解消されない。このために、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定値以下となり冷却水ポンプ1の必要吐出流量が実質ゼロとなる場合において、車両の走行中および停止中にかかわらず、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させる冷却水ポンプ運転継続手段を設けている。以下これについて説明する。
【0055】
図6において、本件制御が開始されると、ステップS61で、熱源2となる燃料電池の発電量が所定量以下になったか否かを判定する。なお、この発電量は、発電した結果としての量でも、要求されている発電量のいずれでも良いが、この第1実施形態では、発電した結果としての量を示す。そのために、燃料電池センサ3内に電流センサおよび/または電圧センサで発電量が実質的にゼロに成ったか否かを判定する。
【0056】
つまり、発電量が実質的にゼロに成ったか否かを判定するのは、燃料電池センサ3で検出された燃料電池の出力電流および/または出力電圧がゼロに成った場合またはゼロとみなされた場合である。
【0057】
発電量が実質的にゼロで無い場合は、この制御を終える。発電量が実質的にゼロに成ったときは、ステップS62において、燃料電池センサ3内の温度センサで測定した冷却水温度が85℃より大きいか否かを判定する。
【0058】
温度センサで測定した冷却水温度が85℃より大きい場合は、ステップS63において、電動式の冷却水ポンプ1の稼動を継続する。ステップS63は、冷却水ポンプ運転継続手段を構成する。次に、ステップS64に進み、放熱器6に送風する電動ファン11を回転させる。
【0059】
なお、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させている間において、冷却水ポンプ1は、該冷却水ポンプ1の最大吐出量の50%以上の吐出能力で冷却水を吐出する。これによれば、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまでの時間が短縮できる。
【0060】
また、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させている間において、
図1の切替え弁4は、放熱器6側にすくなくとも一部の冷却水を流す。これによれば、放熱器6を活用して速やかに冷却水を冷却できる。
【0061】
なお、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させている間に、電動ファン11を稼動させ、放熱器6を冷却風で冷却するから、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまでの時間が短縮できる。
【0062】
更に、燃料電池2の発電量がゼロの間において、冷却水温度が低下し85℃以下になったときは、ステップS65に進み電動式の冷却ポンプ1の停止を許可する。従って、他の制御(後述を含む)、例えば、車室内を空調する車両用空調装置の制御で冷却水ポンプの稼動を要求されていない限りは、冷却水ポンプ1は稼動を停止する。ついで、ステップS66で、電動ファン11の回転を停止させる。
【0063】
なお、燃料電池車の場合は、燃料電池2内のFCスタックの昇温制御、または冷却水中のイオン濃度を低減させるためのイオン回収制御といった制御モードも、上記他の制御に含まれる。このような制御モードに入ると、発電量に見合った以上の冷却水流量が要求されることがある。
【0064】
次に、
図7において、先ず、冷却水ポンプ運転継続手段を用いない従来の制御を、
図7の左側を用いて説明する。なお、同時に、
図8の特性図に
図7に対応する項目符号(A)〜(L)等を付して説明する。
図8は、縦軸に、冷却水ポンプ1の回転数(W/P回転数)、冷却水回路8内の冷却水の水温、内圧Pc、冷却水ポンプ1の吸入側圧力Pinをとり、横軸に経過した時間をとっている。
【0065】
冷却水の温度が上昇すると(A)、冷却水回路8内の圧力、つまり系統圧(内圧Pc)が上昇する(B)。ここで、燃料電池2内のFCスタックの発電量に応じて生じる発熱量に対して、燃料電池2の出入り口温度差を所定値(7〜10℃)以下に抑制するための冷却水流量が要求され、冷却水ポンプ1の回転数が上昇する(C)。
【0066】
依然として水温が上昇すると(D)、切替え弁4を成すロータリバルブ(R/V)がバイパス流路5に冷却水を流していたのを放熱器6側へも流すように流路を切り換える(E)。これでも水温が上昇する場合(F)、リザーブタンク入口弁10の内圧Pcが
図4のキャップ開弁圧に達し(J)、領域RC3の制御域になる。
【0067】
その結果、冷却水回路8からリザーブタンク9に向けて、パイプ15内を冷却水が流れ、冷却水がリザーブタンク(R/T)9に抜ける(K)。そのため冷却水水温が上昇しても内圧Pcは安定する。
【0068】
このようなときに、例えば、山道を登り途中で休憩のため車両運転キー(イグニッションキー)を切り、燃料電池車の駆動エネルギー発生装置であり熱源2でもある燃料電池が停止し発電量がゼロに成る状況が発生する(L)。そしてここまでの状況は、従来においても第1実施形態の場合も同じである。
【0069】
なお、この燃料電池2が停止し発電量がゼロに成る状況(L)は、車両停止時に限らない。走行中に燃料電池2が停止し発電量がゼロに成るその他の状況としては、高速高負荷(160km/h等)にて巡航の場合、外気温が40℃等と高い条件化の走行後の減速時にアクセルの操作を開放するアクセルオフとされたり、降坂条件に入ったりした場合がある。
【0070】
燃料電池2が停止し、発電量が0になったことに伴い、冷却水ポンプ1が低下ないし停止することにより(M)、リザーブタンク入口弁10の内圧Pcが圧力の均圧化に伴い上昇しようとする。この結果、再び
図4の領域RC3の制御域になり、冷却水回路8からリザーブタンク9に向けたパイプ15内を冷却水が流れ、冷却水がリザーブタンク9に抜け、内圧Pcが安定する。このときの冷却水がリザーブタンク9に抜ける量をQ1とする(N)。
【0071】
このような状態で休憩を終えた運転者が、燃料電池2を再始動させ発電量を増やす(O)。このため、停止していた冷却水ポンプ1が始動し回転数を上げていく。この場合、冷却水の温度は95℃のままである(P)。この冷却水ポンプ1の再始動により、冷却水ポンプ1の吸込口側の圧力が低下するので、内圧Pcも低下する。このときの圧力低下量をP1とする(Q)。よって、冷却水ポンプ1の吸入圧低下(R)に伴い、冷却水ポンプ1吸入部付近にてキャビテーションが発生する(S)。
【0072】
一方、第1実施形態においては、要求冷却水流量が低下する一番極端な例が車両停止条件であるが、その他、さまざまな要求からの要求冷却水流量が低下した条件においても、水温が所定値以上である場合には、冷却水ポンプ1の流量を低下させない制御を実行する。このために、発電量が実質的にゼロに成ったときは(L)、
図6のステップS62において、温度センサで測定した冷却水温度が85℃より大きいか否かを判定する。
【0073】
温度センサで測定した冷却水温度が85℃より大きい場合は、ステップS63において電動式の冷却水ポンプ1の稼動を継続する(強制冷却する)(T)。また、ステップS64に進み放熱器6に送風する電動ファン11を作動させる。
【0074】
また、燃料電池2の発電量がゼロの間において、冷却水温度が低下し85℃以下になったときは、上述したように、
図6のステップS65に進み、電動式の冷却ポンプ1の停止を許可する。従って、他の制御で冷却水ポンプ1の稼動を要求されていない限りは、冷却水ポンプ1は停止する。ついで、ステップS66で、電動ファン11の回転を停止させる。
【0075】
従って、
図7の右側および
図9のように、例えば、冷却水の温度が95℃であった場合には、冷却水の温度が85℃まで低下するまで、冷却水ポンプ1の回転が継続される(T)。この85℃までの冷却水温度の低下により、冷却水配管内の系統圧が低下する(内圧Pcが低下する)(U)。
【0076】
冷却水の温度の低下と共に、冷却水ポンプ1の回転数が低下するように制御される(Ma)。そして、冷却水の温度が85℃以下に成ると、
図6のステップS65のように冷却水ポンプ1は原則的に停止する。
【0077】
この冷却水ポンプ1の回転数の低下ないし停止によって、冷却水回路8内の圧力均圧化に伴い、冷却水ポンプ1の吸入側圧力Pinと内圧Pcとが再び上昇する。この結果、
図4の領域RC3の制御域になり、かつ冷却水回路8からリザーブタンク9に向けたパイプ15内を冷却水が流れ、冷却水がリザーブタンク9に抜ける。この時の冷却水がリザーブタンク9に抜ける量をQ2とすると、この値Q2は前述の抜ける量をQ1よりも少ない(Q2<Q1)(Na)。その理由は、強制冷却(T)により冷却水の温度が下がり、内圧Pcが一度下がった分、冷却水ポンプ1の回転低下に伴う内圧Pcの再上昇が遅く、かつ小さくなるからである。
【0078】
この状態で休憩を終えた運転者が燃料電池2の運転を再開させ、発電量を増やす(O)。そのため、停止していた冷却水ポンプ1が始動し回転数を上げていく。また、燃料電池2の運転再開により冷却水温度が85℃から急激に95℃に向けて上昇していく(Pa)。冷却水ポンプ1の回転上昇に連れて冷却水ポンプ1の吸入部の圧力が低下し(Ra)、内圧Pcも低下する。この時の圧力低下量P2は、従来の圧力低下量P1と同等である(Qa)。
【0079】
また、前述のようにQ2<Q1となるため、冷却水回路8内(リザーブタンク9を除く)に残存する冷却水の重量に関しては、第1実施形態の冷却水の重量ほうが、従来の冷却水の重量よりも重くなる。換言すれば、強制冷却(T)で冷却水密度が高くなり、燃料電池再始動後に水温上昇した場合(Pa)、従来に比べて系統内圧力(内圧Pc)が高い状態でバランスするため、従来よりも冷却水ポンプ1の吸入部の圧力が高くなり、キャビテーションを抑制できる(Sa)。
【0080】
(第1実施形態の作用効果)
上記第1実施形態においては、熱源2は、車両が走行中であっても停止することがある駆動エネルギー発生装置からなり、冷却水ポンプ運転継続手段S63は、車両が走行中において、冷却水ポンプ1の運転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させる。これによれば、駆動エネルギー発生装置が走行中であっても停止することがある車両において、車両走行中におけるキャビテーションによる駆動エネルギー発生装置の効率低下が抑制されるので、車両走行性能が悪化せず、スムーズな加速等が可能になる。
【0081】
車両は、熱源2が燃料電池からなる燃料電池車からなり、車両が走行中において、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させるのは、車両の走行中に熱源2を成す燃料電池2の発電が停止されたときである。
【0082】
これによれば、燃料電池車において、走行中であっても燃料電池の発電停止後の燃料電池2の発電再開時における冷却水ポンプ1のキャビテーションを抑止し、燃料電池車またはハイブリッド車の高効率な運転が可能となる。
【0083】
熱源2は、特に燃料電池2からなる。これによれば、燃料電池2の発生熱量はエンジン(内燃機関)のように排気ガス中に持ち去られることが無いため、全体的な発熱量はエンジンよりも少なくても冷却水を介する放熱量が多く、冷却水を介する冷却が非常に重要になる。また、冷却制御の安定化は燃料電池の効率に大きく影響する。このような状況において、冷却水ポンプ1のキャビテーションの発生を抑制することができ、熱源2の冷却が安定化し、効率的な熱源2の運転が可能となる効果が大きい。
【0084】
冷却水ポンプ運転継続手段S63は、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる場合において、車両の走行中において、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の運転を継続させてから冷却水ポンプ1の運転を停止させる。
【0085】
これによれば、冷却水ポンプ運転継続手段S63は、駆動エネルギー発生装置2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる車両の走行中において、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の運転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させるから、駆動エネルギー発生装置2の運転を再開し冷却水ポンプ1の回転を再開したときの冷却水ポンプ1の吸込口の圧力の低下を抑制することができ、冷却水ポンプ1のキャビテーションの発生を抑制することができる。キャビテーションの発生が抑制されることによって、熱源2の冷却が安定化し、効率的な駆動エネルギー発生装置(熱源)2の運転が可能となる。
【0086】
熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる場合とは、熱源2を成す燃料電池2の要求発電量が所定値以下になった場合である。これによれば、冷却水の温度が所定温度を超えるときに、燃料電池2の要求発電量が所定値以下になった場合に、車両の走行中においても、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプの回転を停止させ、キャビテーションを抑制することができる。
【0087】
また、熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態以下となる場合とは、熱源2を成す燃料電池2の要求出力がゼロとなった場合またはゼロとなったとみなされた場合である。これによれば、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、車両の走行中および停止中にかかわらず、燃料電池2の要求出力がゼロとなった場合またはゼロとみなされた場合には、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させることができ、キャビテーションを抑制できる。
【0088】
熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態以下となる場合は、熱源2が燃料電池2であり、該燃料電池2の出力電流または出力電圧を検出する燃料電池センサ3で検出された出力電流または出力電圧がゼロに成った場合、またはゼロとみなされた場合である。
【0089】
これによれば、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、車両の走行中および停止中にかかわらず、熱源2が燃料電池2であり、燃料電池センサ3で検出された燃料電池2の出力電流または出力電圧がゼロに成った場合、またはゼロとみなされた場合には、車両の走行中においても、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させることができる。
【0090】
放熱器6に冷却風を流す電動ファン11を備え、冷却水ポンプ運転継続手段S63が冷却水ポンプ1の回転を継続させている間に、電動ファン11を稼動させ、放熱器6を冷却風で冷却する。
【0091】
これによれば、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させている間に、電動ファン11を稼動させ、放熱器6を冷却風で冷却するから、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまでの時間が短縮できる。
【0092】
冷却水ポンプ運転継続手段S63が、冷却水ポンプ1の回転を継続させている間において、冷却水ポンプ1は、該冷却水ポンプ1の最大吐出量の50%以上の吐出能力で冷却水を吐出する。
【0093】
これによれば、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させている間に、冷却水ポンプ1の最大吐出量の50%以上の吐出能力で冷却水を吐出するから、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまでの時間が短縮できる。
【0094】
熱源2と放熱器6との間に冷却水が流れる流路に対して、放熱器6をバイパスするバイパス流路5と、該バイパス流路5に切替える切替え弁4とを有する。これによれば、切替え弁4により放熱器6をバイパスするバイパス流路5に冷却水を流したり放熱器6に流したりすることができるから、冷却水温度の安定化に寄与することができる。
【0095】
リザーブタンク入口弁10は、切替え弁4よりも冷却水ポンプ1の吸入側に設置された放熱器6に設置されている。これによれば、リザーブタンク入口弁10をラジエータキャップとして容易に構成することができる。
【0096】
冷却水ポンプ運転継続手段S63が冷却水ポンプ1の回転を継続させている間において、切替え弁4は、放熱器6側にすくなくとも一部の冷却水を流す。これによれば、バイパス流路5があっても放熱器6を活用して速やかに冷却水を冷却できる。
【0097】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。
【0098】
上記第1実施形態においては、燃料電池発電量が実質的にゼロ又はゼロとみなされたときに、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させたが、この第2実施形態では
図10のように、ステップS101に従って、燃料電池車減速中または定常走行中にアクセル操作をオフ状態にしたか否かを判定している。アクセル操作をオフ状態にしたということが、燃料電池2の要求発電量または要求出力がゼロであるとみなしている。
【0099】
燃料電池車において車両減速中、または定常走行中にアクセル操作をオフ状態にした場合は、要求発電量が実質的にゼロになったとみなされ、ステップS102で冷却水の温度が所定温度を超えている判定された場合に、ステップS103で冷却水ポンプ1の回転を継続させる。その他のステップS104、S105、S106は、
図6の対応するステップと同様である。
【0100】
(第2実施形態の作用効果)
熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる場合とは、燃料電池車を加速させるアクセルの操作がオフ状態になった場合、または、熱源2を成す燃料電池2の要求発電量が所定値以下になった場合である。
【0101】
これによれば、冷却水の温度が所定温度を超えるときに、燃料電池車を加速させるアクセル操作がオフ状態になった場合、または、燃料電池2の要求発電量が所定値以下になった場合に、車両の走行中においても、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させることができる。
【0102】
また、熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態以下となる場合は、熱源2を成す燃料電池2の要求出力がゼロとなった場合またはゼロとなったとみなされた場合であるとも言える。
【0103】
これによれば、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、車両の走行中および停止中にかかわらず、エンジンまたは燃料電池2の要求出力がゼロとなった場合またはゼロとみなされた場合には、車両の走行中においても、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させることができる。
【0104】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上述した実施形態と異なる特徴部分を説明する。上記第1実施形態においては、車両は燃料電池車であったが、この第3実施形態の車両はエンジンと電池とで駆動されるハイブリッド車からなる。
【0105】
車両が走行中において、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させるのは、ハイブリッド車のエンジンが自動停止したときである。そのために、
図11のステップS111において、ハイブリッド車のエンジンが自動停止したか否かを判定している。
【0106】
以下、これについて説明する。エンジンと電池とで駆動されるハイブリッド車において、走行中であってもエンジン回転が自動停止することがある。例えば、車両減速中、または定常走行中にアクセル操作をオフ状態にする場合である。このような場合において、エンジン回転再開時における冷却水ポンプ1のキャビテーションを抑止すると、ハイブリッド車の高効率な運転が可能となる。
【0107】
よって、ハイブリッド車のエンジンが自動停止したと
図11のステップS111で判定された場合、駆動エネルギー発生装置2と成るエンジンからの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となるが、この場合においても、ステップS112で冷却水温度が85℃を超えるときは、車両の走行中および停止中にかかわらず、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、ステップS113において、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させる。
【0108】
また、冷却水ポンプ1は電動式であるため、エンジン(熱源)2によって機械的に駆動される冷却水ポンプ(メカポンプ)とは異なり、エンジン2のアイドリング状態の場合の回転数の影響を受けることが無いため、冷却水ポンプ1の回転数を継続させて強制冷却させるときには、冷却水ポンプ1の回転を最大吐出量の50%以上の吐出能力で運転させて、冷却水の温度を低下させていき、冷却水温度の低下に伴って、吐出量を少なくしていく。なお、
図11において、ステップS114、S115、S116は、
図6の対応するステップと同様である。
【0109】
(第3実施形態の作用効果)
車両は、熱源2を成すエンジンと電池とで駆動されるハイブリッド車からなり、車両が走行中において、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させるのは、車両の運転中において、熱源2を成すエンジンが自動停止したときである。
【0110】
これによれば、エンジンと電池とで駆動されるハイブリッド車において、走行中であってもエンジン回転の自動停止を行う場合において、エンジン回転再開時における冷却水ポンプ1のキャビテーションを抑止し、ハイブリッド車の高効率な運転が可能となる。
【0111】
冷却水ポンプ運転継続手段S113は、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、熱源2となるハイブリッド車のエンジンからの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる場合において、車両の走行中に、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させる。
【0112】
これによれば、冷却水ポンプ運転継続手段S113は、ハイブリッド車のエンジンからの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態となる車両の走行中において、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させるから、エンジン自動停止後にエンジンの運転を再開し冷却水ポンプ1の回転を再開したときの冷却水ポンプ1の吸込口の圧力の低下を抑制することができ、冷却水ポンプ1のキャビテーションの発生を抑制することができる。キャビテーションの発生が抑制されることによって、エンジンの冷却が安定化し、効率的なエンジンの運転が可能となる。
【0113】
熱源2からの冷却水に対する供給熱量が所定減少状態以下となる場合とは、熱源2を成すエンジンの要求出力がゼロとなった場合またはゼロとなったとみなされた場合である。これによれば、冷却水の温度が所定温度を超える場合に、車両の走行中および停止中にかかわらず、エンジンの要求出力がゼロとなった場合またはゼロとみなされた場合には、ハイブリッド車の走行中において、冷却水の温度が所定温度以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の運転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転を停止させることができる。
【0114】
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、上述の第1実施形態では、85℃以下に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させたが、85℃プラスマイナス5℃以下(85℃〜90℃)に冷却されるまで冷却水ポンプ1の回転を継続させればよい。つまり、冷却水ポンプ1の回転を停止させる手段は、冷却水の温度が85℃プラスマイナス5℃以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから、冷却水ポンプ1の回転数を下げると良い。
【0115】
これによれば、冷却水の温度が85℃プラスマイナス5℃以下に冷却されるまで、冷却水ポンプ1の回転を継続させてから冷却水ポンプ1の回転数を下げるから、冷却水の内圧Pcもさがり、冷却水のリザーブタンク9へ抜ける量を低減でき、その結果、キャビテーションを防止できる。