(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1導電型MOSトランジスタはPチャンネル型MOSトランジスタであり、前記第2導電型MOSトランジスタはNチャンネル型MOSトランジスタであり、前記コンデンサが接地電圧に接続されている場合には、前記Pチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とし、前記コンデンサが電源電圧に接続されている場合には、前記Nチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とする請求項2のデカップリング回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明の観点からなされたものである。
【0009】
半導体集積回路は出力バッファを介して他の半導体集積回路と信号の伝達をする場合が多い。この出力バッファに電源を供給する給電回路を含む半導体集積回路の内部インピーダンスが高いと、給電回路の電流供給能力が低下する。給電回路における電流供給能力の低下は、電源電圧の変動、つまりノイズの発生を意味する。さらに、近年の半導体集積回路の動作周波数の上昇と共に、動作周波数と内部インピーダンスのピークが近接し、上述のノイズによる影響が強まってきた。
【0010】
図2は、半導体集積回路の構成要素と給電回路の模式図の一例である。
図2に示す半導体集積回路には、構成要素として、プリント基板10、インターポーザ11、ダイ12及びパッド(電極パッド)13を含んでいる。
図2では、これらの各構成要素の等価回路を、点線で囲まれた領域により明示している。これらの等価回路の詳細は後述する。
【0011】
図2に示す半導体集積回路では、プリント基板10に配線された電源配線14及び接地配線15から、パッド13、半田ボール16を介して電源供給がなされている。さらに、ダイ12に対しては、インターポーザ11及びフリップチップの半田ボール17を介して、電源供給がなされる。なお、
図2ではフリップチップを示しているが、ワイヤボンディングを用いた接続であっても、同様の給電がなされる(同じ給電経路をたどる)。
【0012】
図3は、
図2に示す等価回路のみを抽出した回路図の一例を示す図である。
図3から明らかなとおり、電源20、デカップリング用コンデンサ18及び19の等価回路21及び23、プリント基板10の等価回路22及び24、インターポーザ11の等価回路26等を経由してダイ12に対して電源電流が供給される。
【0013】
ダイ12には出力バッファ28が含まれており、ダイ12の出力バッファ28を介して半導体集積回路の外部に電流を流し、情報伝達(論理の伝達)を行う。情報伝達の際に、出力バッファ28のオン・オフが繰り返されることで、給電回路に電流が流れ、給電回路網のインピーダンスによる電圧変動、即ちノイズが発生する。そのため、このようなノイズを抑制するためには、給電回路網のインピーダンスを低くする必要がある。
【0014】
ここで、
図3の観測点を基準とした給電回路網のインピーダンスを計算する。
図4は、特定の半導体集積回路を想定した上で、インピーダンスの計算(シミュレーション)の一例を示す図である。
図4では、A点付近にインピーダンスのピークが確認できる。A点の周波数の一例として、100Mzh程度の比較的高い周波数が考えられる。そのため、半導体集積回路の情報伝達に用いる周波数が、インピーダンスのピーク付近であると、ノイズが大きくなり、その影響が高くなるという問題が起きる。
【0015】
なお、特許文献1及び2が開示する技術は、共振周波数を変更することで、ノイズや電磁干渉の影響を低減するものであって、半導体集積回路の内部インピーダンスを低下させるものではない。また、特許文献1〜3が開示する技術には、バイパスコンデンサの切り替えのために、トランジスタを追加しており、半導体集積回路のチップサイズ及びそのコストが増加するという問題がある。そのため、新たなトランジスタの追加を伴わず、内部インピーダンスを低減させるデカップリング回路及び半導体集積回路が、望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の視点によれば、
ダイに含まれ、トランジスタを含む出力バッファと、
前記ダイの出力端子を介して、前記出力バッファの出力ノードに一端が接続され、他の一端が電源線に接続されているコンデンサと、を備え、前記出力バッファの出力ノードが出力する論理レベルは固定されているデカップリング回路が提供される。
【0017】
本発明の第2の視点によれば、
ダイに含まれ、トランジスタを含む複数の出力バッファと、前記複数の出力バッファのうち、外部に信号を伝達する動作に寄与しない未使用バッファの出力ノード
と前記ダイの出力端子を介して一端が接続され、他の一端が電源線に接続されているコンデンサと、を備え、前記未使用バッファの出力ノードが出力する論理レベルは固定されている半導体集積回路が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の各視点によれば、新たなトランジスタの追加を伴わず、内部インピーダンスを低減させるデカップリング回路及び半導体集積回路が、提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
初めに、
図1を用いて一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載は何らの限定を意図するものではない。
【0021】
上述のように、半導体集積回路の動作周波数が、インピーダンスのピーク付近であると、ノイズの影響が強くなるという問題がある。また、このような問題の解決のため、バイパスコンデンサの切り替えのためのトランジスタを追加すると、半導体集積回路のチップサイズ及びそのコストが増加してしまう。そのため、新たなトランジスタの追加を伴わず、内部インピーダンスを低減させるデカップリング回路が、望まれる。
【0022】
そこで、一例として
図1に示すデカップリング回路100を提供する。
図1に示すデカップリング回路100は、トランジスタを含む出力バッファ200と、出力バッファ200の出力ノードに一端が接続され、他の一端が電源線に接続されているコンデンサ300と、を備え、出力バッファ200の出力ノードが出力する論理レベルは固定されている。
【0023】
ここで、デカップリング回路100として、RC回路を追加すれば、半導体集積回路(又は、そのダイ)の内部インピーダンスを低下させることができることが発明者の検討により明らかになっている。なお、RC回路を追加することで、内部インピーダンスを低下する理由については後述する。
【0024】
一方、出力バッファを備える半導体集積回路には未使用バッファが含まれていることが多く、出力バッファのトランジスタから常に同じ論理レベル(Hレベル又はLレベル)を出力させることで、トランジスタのオン抵抗を得ることができる。
図1に示すデカップリング回路100は、このオン抵抗とコンデンサ300により、RC回路を構成し、内部インピーダンスを低減させる。その結果、新たなトランジスタの追加を伴わず、内部インピーダンスを低減させるデカップリング回路を提供することができる。
【0026】
[形態1]上記第1の視点に係るデカップリング回路のとおりである。
【0027】
[形態2]前記出力バッファは、第1導電型MOSトランジスタ及び第2導電型MOSトランジスタから構成されることが好ましい。
【0028】
[形態3]前記第1導電型MOSトランジスタはPチャンネル型MOSトランジスタであり、前記第2導電型MOSトランジスタはNチャンネル型MOSトランジスタであり、前記コンデンサが接地電圧に接続されている場合には、前記Pチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とし、前記コンデンサが電源電圧に接続されている場合には、前記Nチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とすることが好ましい。
【0029】
[形態4]上記第2の視点に係る半導体集積回路のとおりである。
【0030】
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
【0032】
図5は、本実施形態に係る半導体集積回路におけるダイ30の回路構成の一例を示す図である。なお、簡単のため
図5においては、本実施形態の実施に必要な構成要素に限り図示している(バイパスコンデンサ等は省略している)。
【0033】
ダイ30は、電源20から電源端子及び接地端子を介して、電源供給を受ける。また、ダイ30(ダイ30を含む半導体集積回路)は半導体装置40と接続されており、ダイ30から半導体装置40に対して情報伝達が可能とする。より具体的には、ダイ30に含まれる内部回路31において伝達すべきデータを生成し、出力バッファ32〜36を介して信号出力を行う。
【0034】
ダイ30が出力するデータは、半導体装置40に含まれる入力バッファ41〜45が受け付ける。また、ダイ30には、半導体装置40と接続されていない出力バッファ(
図5においては、未使用バッファ37と表記)が含まれている。この未使用バッファ37とコンデンサ38によって、デカップリング回路を構成している。出力バッファ32〜36及び未使用バッファ37は、Pチャンネル型MOSトランジスタ及びNチャンネル型MOSトランジスタから構成されている。なお、出力バッファ32〜36及び未使用バッファ37の構成上の違いは存在しない。
【0035】
上述のように、デカップリング回路には、未使用バッファ37が含まれており、未使用バッファ37の出力ノードとコンデンサ38の電極の一端が接続され、他の一端は接地されている。また、未使用バッファ37からHレベル(Pチャンネル型MOSトランジスタがオン)を出力するように、内部回路31は信号出力を行う。
【0036】
このように、ダイ30に電源供給を行う電源20は、未使用バッファ37のPチャンネル型MOSトランジスタを介してコンデンサ38と接続される。
【0037】
次に、ダイ30及びデカップリング回路の等価回路について説明する。
【0038】
図6は、電源20から出力バッファ32〜36及び未使用バッファ37までの等価回路の一例を示す図である。
図6において
図3と同一構成要素には、同一の符号を表し、その説明を省略する。
【0039】
図6においては、
図3の構成要素に対して、Pチャンネル型MOSトランジスタのオン抵抗50と、インターポーザの等価回路51と、スルーホールの等価回路52と、コンデンサ38の等価回路53と、を追加している。
【0040】
ここで、
図6の観測点を基準としたインピーダンスの計算を行う。
【0041】
図7は、インピーダンスの計算の一例を示す図である。
図4と
図7を比較すれば、A点付近のインピーダンスが低減されていることが分かる。
【0042】
次に、
図5に示すデカップリング回路のようなRC回路を追加することで、インピーダンスが低減できる理由について説明する。
【0043】
図8は、RC回路によりインピーダンスが低減できることを説明するための図である。
図8(a)は、デカップリング回路を追加しない場合の等価回路を示す図である。
図8(b)は、デカップリング回路としてコンデンサを追加した場合の等価回路を示す図である。
図8(c)は、デカップリング回路として抵抗とコンデンサを追加した場合の等価回路を示す図である。
図8(a)〜(c)のいずれにおいても、バイパスコンデンサをモデル化したバイパスコンデンサ等価回路60と、ダイ等価回路61と、を含んでいる。
【0044】
初めに、ダイにバイパスコンデンサとして1つのコンデンサを追加した場合の等価回路のインピーダンスを計算する(
図8(a))。
【0045】
図9は、
図8(a)のインピーダンスの計算の一例を示す図である。
図9から、バイパスコンデンサ等価回路60におけるインピーダンスの周波数特性は、交点Bで右肩上がりの特性を示していることが分かる。これは、交点Bにおけるバイパスコンデンサ等価回路60の周波数特性は、jωL(j:虚数単位、ω:角周波数、L:インダクタンス)の特性と同視でき、インダクタンスの成分が支配的(誘導性)であることを示している。
【0046】
一方、ダイ等価回路61の周波数特性は交点Bで、右肩下がりであり、1/jωC(C:キャパシタンス)の特性と同視でき、コンデンサの成分が支配的(容量性)であることを示している。
【0047】
そのため、
図8(a)に示す等価回路は、インダクタンスとコンデンサが並列接続されているとみなすことができる。インダクタンスとコンデンサを並列接続し、jωLと1/jωCが等しい場合、並列共振(反共振)が発生し、共振周波数でインピーダンスが増大する。これが、半導体集積回路の内部でインピーダンスが増大する原因である。
【0048】
増大したインピーダンスを低下させるための手法として、バイパスコンデンサを追加することが考えられる。
図8(a)の等価回路にコンデンサの等価回路62を追加したものが、
図8(b)である。
【0049】
図10は、
図8(b)のインピーダンスの計算の一例を示す図である。ここで、
図8(a)に対して追加するコンデンサは、インピーダンスのピーク周波数(
図9におけるB点)に応じて、その容量が選択される。追加するコンデンサの容量を適切に選択することで、
図8(a)の等価回路が持つインピーダンスのピークは低減できるが、別のピークが発生してしまう。これは、バイパスコンデンサ等価回路60及びダイ等価回路61に対して追加したコンデンサを並列接続することで異なる2つの交点が発生し、それぞれが並列共振を起こすためである。
【0050】
より具体的には、
図10の交点Cでは、追加したコンデンサは右肩下がりの特性(容量性)を示し、
図10の交点Dでは、追加したコンデンサは右肩上がりの特性(誘導性)を示す。そのため、2つのピークが発生(インピーダンスの増大)してしまう。
【0051】
そこで、
図8(c)に示すように、コンデンサを追加することに代えて、RC回路を追加する(等価回路を符号63で示す)。
【0052】
図11は、
図8(c)のインピーダンスの計算の一例を示す図である。RC回路を追加することで、
図8(a)におけるインピーダンスのピークを低減することができる。ここで、
図11に示すように、RC回路を追加する場合であっても、バイパスコンデンサ等価回路60及びダイ等価回路61のインピーダンスの周波数特性と追加したRC回路のインピーダンスの周波数特性には、2つの交点E及びFが存在する。
【0053】
しかし、単にコンデンサを追加した場合(
図10)とは異なり、交点E及びFにおいて、追加したRC回路は周波数に依存せず一定(フラット)である。周波数に対してインピーダンスが一定であるので、抵抗の特性を示している。従って、交点Eにおいては、インダクタンスと抵抗の並列接続、交点Fにおいては、コンデンサと抵抗の並列接続に相当する。その結果、LC共振接続のようにインピーダンスが増大することなく、インピーダンスが低減できることになる。以上が、RC回路を追加することによって、インピーダンスを低減できることの説明である。
【0054】
次に、ダイ30に含まれる出力バッファ32〜36及び未使用バッファ37について検討する。
【0055】
図12は、未使用バッファ37の回路構成及びその等価回路の一例を示す図である。なお、出力バッファ32〜36についても、
図12と同様の構成である。未使用バッファ37は、Pチャンネル型MOSトランジスタP01とNチャンネル型MOSトランジスタN01から構成されている。未使用バッファ37はCMOSトランジスタであっても良いことは勿論である。
【0056】
未使用バッファ37は、
図12(b)に示すように、抵抗R01及びR02とスイッチSW01及びSW02と等価なものとみなすことができる。即ち、未使用バッファ37からHレベルを出力する際には、Pチャンネル型MOSトランジスタP01がオンとなり、Lレベルを出力する際には、Nチャンネル型MOSトランジスタN01がオンとなる。これらの2つのスイッチSW01及びSW02が、相補的にオン及びオフを繰り返す。このようなオン及びオフの切り替えが、出力バッファ32〜36の動作である。
【0057】
しかし、未使用バッファ37は半導体装置40と接続されていないため、出力を固定することが可能である。そこで、未使用バッファ37の出力を継続してHレベルとする。すると、Pチャンネル型MOSトランジスタP01は抵抗と等価とみなせるため、未使用バッファ37にコンデンサを接続したデカップリング回路は、
図8(c)に示すRC回路と等価となる。
【0058】
ダイ30に採用される出力バッファのオン抵抗は、数Ω〜数10Ω程度である場合が多い。また、トランジスタのオン抵抗はその駆動能力に依存するが、駆動能力が高いほどオン抵抗は低いものとなる。さらに、
図11のRC回路の周波数特性を考慮すれば、オン抵抗は数100mΩ〜数Ω程度であることが好ましい。FPGA(Field Programmable Gate Array)においては、ユーザーが駆動能力を設定することができるため、可能な限り高い駆動能力を設定することで、このようなオン抵抗を得ることができる。さらに、未使用バッファが複数存在する場合には、それを活用することでも、上述したオン抵抗を得ることができる。
【0059】
本実施形態においては、コンデンサ38の一端を接地し、出力バッファに含まれるPチャンネル型MOSトランジスタをオン状態にするデカップリング回路について説明した。しかし、内部インピーダンスの低減を実現するデカップリング回路の構成は上記の内容に限定されるものではない。
【0060】
図13は、本実施形態に係る半導体集積回路におけるダイ30の回路構成の一例を示す図である。
図13に示すように、コンデンサ38を電源に接続し、未使用バッファ37に含まれるNチャンネル型MOSトランジスタをオン状態にすることによっても同様の効果を得ることができる。即ち、出力バッファは、第1導電型MOSトランジスタと第2導電型MOSトランジスタから構成され、コンデンサ38を電源電圧又は接地電圧のいずれかに接続させるかに応じて、いずれのトランジスタをオン状態にするかを定める。より具体的には、第1導電型MOSトランジスタがPチャンネル型MOSトランジスタ、第2導電型MOSトランジスタがNチャンネル型MOSトランジスタであって、コンデンサ38が接地電圧に接続されている場合には、Pチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とし、コンデンサ38が電源電圧に接続されている場合には、Nチャンネル型MOSトランジスタをオン状態とする。
【0061】
図14は、本実施形態に係る半導体集積回路におけるダイ30の回路構成の一例を示す図である。
図14に示すように、ダイ30の内部にコンデンサ38を実装することも可能である。この場合には、ダイ30のインターポーザにデカップリング回路を実装することで、プリント基板にコンデンサを実装する必要はないという利点がある。
【0062】
また、上述のようにPチャンネル型MOSトランジスタ及びNチャンネル型MOSトランジスタからなる出力バッファを使用せずに、未使用のPチャンネル型MOSトランジスタやNチャンネル型MOSトランジスタを使用しても良い。
【0063】
図15は、未使用のPチャンネル型MOSトランジスタを使用してデカップリング回路を構成する一例である。
図16は、未使用のNチャンネル型MOSトランジスタを使用してデカップリング回路を構成する一例である。
図15及び
図16に示すような未使用のトランジスタであっても、ゲートに適切な電圧を加えることでHレベル又はLレベルを出力することが可能であり、出力バッファとみなすことができる。なお、
図13〜
図16において、
図6と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略している。
【0064】
以上のように、半導体集積回路に含まれる出力バッファのうち、未使用の出力バッファにコンデンサを接続し、未使用の出力バッファの出力レベルを固定することで、半導体集積回路の内部インピーダンスを低減することができる。出力バッファを構成するトランジスタのオン抵抗とコンデンサによって、
図8(c)に示すRC回路を構成することができるためである。半導体集積回路の内部インピーダンスが低減できれば、半導体集積回路内に発生するノイズが低減され、品質向上に寄与する。
【0065】
また、他の半導体集積回路と接続をしない未使用バッファを利用して、デカップリング回路が構成できるため、半導体集積回路のチップサイズが増加することもない。さらに、チップサイズが増加しないので、半導体集積回路のコスト低減にも寄与する。
【0066】
ここで、トランジスタのオン抵抗相当の抵抗とコンデンサ38に半導体集積回路の内部に接続することが考えられる。その際の、等価回路を
図17に示す。
図17において
図6と同一構成要素には、同一の符号を表し、その説明を省略する。さらに、
図17に示す等価回路のインピーダンスの計算の一例を
図18に示す。
図18からは、ピークの周波数が移動していることが確認できるが、インピーダンスの低減は認められない。インピーダンスが低減しない理由は、追加したRC回路が、プリント基板や周囲のコンデンサに影響されインピーダンスを低減させる効果が失われたためであると考えられる。しかし、出力バッファに含まれるトランジスタは半導体集積回路(ダイ)の外周に配置される場合が多く、このようなプリント基板や周辺のコンデンサの影響は軽微であると考えられる。
【0067】
即ち、
図17に示すように、コンデンサを半導体集積回路の外部に実装するだけでは基板のスルーホールや半田ボールのインダクタが影響し、半導体集積回路の内部インピーダンスを低減させることは困難である。一方、出力バッファを介してコンデンサを実装することによって、信号線用のインターポーザや半田ボール等のインダクタは、給電ラインのインピーダンスと並列接続になる。インピーダンスが並列接続されることによって、信号線用のインターポーザや半田ボール等のインピーダンスは減少し、半導体集積回路における内部インピーダンスの低減効果を著しく阻害することがない。
【0068】
本実施形態において説明したデカップリング回路及び半導体集積回路は、通信機器や情報処理機器などの電子回路に適用することができる。
【0069】
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。例えば、出力バッファに代えて、双方向バッファを用いてデカップリング回路を構成することも可能である。本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。