特許第5812295号(P5812295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5812295アミノアダマンタンカルバメート誘導体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5812295
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月11日
(54)【発明の名称】アミノアダマンタンカルバメート誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 269/08 20060101AFI20151022BHJP
   C07C 269/06 20060101ALI20151022BHJP
   C07C 271/34 20060101ALI20151022BHJP
   C07C 269/02 20060101ALI20151022BHJP
   C07D 231/14 20060101ALI20151022BHJP
   C07B 57/00 20060101ALN20151022BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20151022BHJP
   C07B 51/00 20060101ALN20151022BHJP
   A61P 3/10 20060101ALN20151022BHJP
   A61K 31/415 20060101ALN20151022BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20151022BHJP
【FI】
   C07C269/08
   C07C269/06CSP
   C07C271/34
   C07C269/02
   C07D231/14
   !C07B57/00 350
   !C07B53/00 G
   !C07B51/00 F
   !A61P3/10
   !A61K31/415
   !A61P43/00 111
【請求項の数】26
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2012-528664(P2012-528664)
(86)(22)【出願日】2011年8月8日
(86)【国際出願番号】JP2011068031
(87)【国際公開番号】WO2012020724
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】特願2011-58939(P2011-58939)
(32)【優先日】2011年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2010-178584(P2010-178584)
(32)【優先日】2010年8月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 裕貢
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(72)【発明者】
【氏名】西野 豊
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】釣谷 孝之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】高木 睦実
(72)【発明者】
【氏名】小林 達哉
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英明
【審査官】 品川 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5686413(JP,B2)
【文献】 特開2005−112864(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/142986(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/058346(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 269/06
C07C 269/08
C07C 271/34
C07D 231/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、溶媒の存在下、酸を添加して、式(II):
【化2】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を分離することを特徴とする、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の製造方法。
【請求項2】
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を結晶化させることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
式(II):
【化3】

(式中、およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を脱保護することを特徴とする、式(III):
【化4】

(式中、RおよびR上記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項4】
酸の存在下で脱保護することを特徴とする、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
酸が塩酸である、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1または2記載の製造方法を包含する、請求項3記載の式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項7】
酸付加塩が塩酸塩である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
酸付加塩が安息香酸塩である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物が、安息香酸塩のトルエン和物である、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
式(IV):
【化5】

(式中、およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物を式(V):
【化6】

(式中、およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VI):
【化7】

(式中、R、R、R、R、RおよびR上記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項11】
式(VI):
【化8】

(式中、およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物を還元することを特徴とする、式(I):
【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびR上記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項12】
酸を添加することを特徴とする、請求項10または11記載の製造方法。
【請求項13】
ヒドリド還元剤を用いて還元する、請求項11または12記載の製造方法。
【請求項14】
トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、硫化ジメチルボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体およびナトリウムから選択される1以上の還元剤を用いて還元する、請求項11または12記載の製造方法。
【請求項15】
5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとクロロスルホニルイソシアナートを反応させ、加水分解することを特徴とする、式(IV):
【化10】

(式中、RおよびRは水素である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の製造方法を包含する、請求項6記載の製造方法。
【請求項17】
、R、RおよびRが水素である、請求項1〜14または16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
およびRが水素である、請求項1〜17のいずれかに記載の製造方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載の製造方法を含む方法により、式(III):
【化11】

(式中、RおよびRそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を得、得られた式(III)で示される化合物を式(VII):
【化12】

(式中、Rは式:−Y−R11(式中、Yは単結合、−O−または−S−であり、R11は置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルである。)で示される基であり、
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンであり、またはRおよびRはそれらが結合している隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよく、
10は式:−C(=O)−NR1213(ここでR12およびR13はそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルスルホニルであるか、またはR12とR13はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基、または
式:−NR1415(ここでR14およびR15はそれぞれ独立して水素、カルボキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のチオカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであるか、またはR14とR15はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基であり、
Xはヒドロキシまたは脱離基である。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VIII):
【化13】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
【請求項20】
式(IV):
【化14】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、アルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノまたはカルバモイルである。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基は上記と同意義である。)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリルまたはアルキルスルホニルである。)またはアルキルオキシカルボニルである。)である。
)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項21】
式(VI):
【化15】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、アルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノまたはカルバモイルである。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基は上記と同意義である。)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリルまたはアルキルスルホニルである。)またはアルキルオキシカルボニルである。)であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、上記と同意義である。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、上記と同意義である。)であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル(ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシまたはアルキルオキシカルボニルである。)または置換もしくは非置換のスルファモイル(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項22】
式(II):
【化16】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、アルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノまたはカルバモイルである。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基は上記と同意義である。)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリルまたはアルキルスルホニルである。)またはアルキルオキシカルボニルである。)であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、上記と同意義である。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、上記と同意義である。)であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル(ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、置換もしくは非置換のアリールスルホニル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシまたはアルキルオキシカルボニルである。)または置換もしくは非置換のスルファモイル(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項23】
請求項22記載の式(II)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物。
【請求項24】
請求項22記載の式(II)で示される化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物。
【請求項25】
式(III):
【化17】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、アルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニルまたはアミノである。)、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノまたはカルバモイルである。)または置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ(置換基としては、上記と同意義である。)、置換もしくは非置換のアルキル(置換基は上記と同意義である。)、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルである。)、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリルまたはアルキルスルホニルである。)またはアルキルオキシカルボニルである。)である。)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物。
【請求項26】
請求項25記載の式(III)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の二水和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノアダマンタンカルバメート誘導体およびそれを用いた11βHSD−1阻害剤(I型11βヒドロキシステロイド脱水素酵素阻害剤)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アミノアダマンタンカルバメート誘導体は医薬品合成原料または中間体として有用な化合物であり、例えば、式(VIII):
【化1】

で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の合成中間体として利用可能である。式(VIII)で示される化合物は、11βHSD−1阻害活性を有し、該化合物を含有する医薬組成物はII型糖尿病治療剤として有用であることが知られている(特許文献1、特許文献2)。
非特許文献1には、1−ヒドロキシ−4−アダマンタノンからロイカート反応などにより、1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンを製造する方法が記載されている。該反応では生成する立体異性体の比率はシン体に有利であり、シン体:アンチ体が3:1から1:1であることが記載されている。
非特許文献2には、2−アミノアダマンタンを硝酸と硫酸の混合物中(1:10)において、水酸化を行うことにより、1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンを製造する方法が記載されている。
非特許文献3のTable1、Entry6には、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとベンジルアミンをH/5%Pt−C存在下で反応させる方法が記載されており、また、該反応で生成する立体異性体の比率は、アンチ体:シン体が1:1で得られることが記載されている。また、Table2、Entry8には、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとベンジルアミンをH/5%Rh−CおよびAl(iOPr)存在下で反応させ、アンチ体:シン体が2.7:1で得られることが記載されている。これら2つの実験例におけるアンチ体・シン体の生成比率はH−NMRで測定されたものであり、いずれの化合物も単離されていない。
特許文献3には、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとL(−)−1−フェニル−エチルアミンを、不均一触媒(例えば、炭素に担持されているロジウム)の存在下で反応させ、得られるアンチ体とシン体の混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、アンチ体を単離後、脱ベンジル化を受けさせることで1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンのアンチ体を製造する方法が記載されている。
特許文献4には、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとアンモニア/メタノールを水素化ホウ素ナトリウムの存在下で反応させ、得られるアンチ体とシン体の混合物をアミド化に付し、得られるアミド体をカラムクロマトグラフィーにより精製し、アンチ体を製造する方法が記載されている。
特許文献5には、1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンのアンチ体とシン体の混合物とカルボン酸をアミド化に付し、得られるアミド体をカラムクロマトグラフィーにより精製し、アンチ体を製造する方法が記載されている。
しかし、いずれの文献にも本発明のアミノアダマンタンカルバメート誘導体およびそれを用いた式(VIII)で示される化合物の製造方法は記載されていない。また、いずれの文献記載の方法においても、得られるアンチ体とシン体の混合物をカラムクロマトグラフィーで精製する必要があり、工業的利用は困難であった。
特許文献6には、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとベンジルアミン誘導体とを還元的アミノ化反応に付し、生成するアンチ体とシン体の混合物から結晶化精製によりアンチ体を優先的に得、その後、脱保護することにより、1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンを製造する方法が記載されている。該方法で生成する1−ヒドロキシ−4−アミノアダマンタンの比率は、アンチ体:シン体が13:1から50:1であることが記載されている。しかし、本発明のアミノアダマンタンカルバメート誘導体およびそれを用いた式(VIII)で示される化合物の製造方法は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/058346号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/142986号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/056745号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005/108368号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2005/016877号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2008/053652号パンフレット
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zhurnal Organicheskoi Khimii 1976、12(11)、2369
【非特許文献2】Khimiko Farmatsevticheskii Zhurnal 1986、20(7)、810
【非特許文献3】Tetrahedron Letters47(2006)8063
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、医薬品の合成原料または中間体として有用なアミノアダマンタンカルバメート誘導体の効率的な製造法を提供することである。詳しくは、式(VIII):
【化2】

で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を効率的に製造する上で有用な中間体であるアミノアダマンタンカルバメート誘導体の製造方法を提供する。また、それら中間体を用いた式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、アミノアダマンタンカルバメート誘導体の効率的な製造法として、式(IV):
【化3】

で示される化合物と式(V):
【化4】

で示されるベンジルアミン誘導体を、還元剤の存在下で反応させ、得られたアンチ体とシン体の混合物を酸付加塩にすることで、結晶化によりアンチ体を高純度で精製できることを見出した。すなわち、酸付加塩にすることで、アンチ体とシン体の溶媒に対する溶解度の差や、結晶性(結晶化のしやすさ)の差が生じ、優先的にアンチ体の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を析出させることができることを見出した。また、得られたアンチ体を脱ベンジル化することでアミノアダマンタンカルバメート誘導体のアンチ体を高純度で製造できることを見出した。
また、本発明者は、式(III):
【化5】

で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物が、式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の合成中間体として有用であることを見出した。本中間体を用いることにより、効率的に式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を製造することができる。
先行技術記載の方法は、式(IX):
【化6】

で示される化合物を製造した後に、アダマンタン骨格上の水酸基の修飾を行うものである。
このルートは、多段階を経て製造された式(IX)で示される化合物を原料としてさらに反応を行う必要があるので、その後の修飾反応の収率や最終目的物までのステップ数によっては、経済的ではない。
また、式(IX)で示される化合物は、溶解性が低く使用できる溶媒に制限がある。式(IX)で示される化合物を溶解させることができる溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)が挙げられるが、アダマンタン骨格上の水酸基の修飾を行うために使用するクロロスルホニルイソシアナート(CSI)がTHFと反応してポリマーを形成してしまうという問題点があることがわかった。
本発明のように先に所望の基を有するアダマンタンアミン誘導体を合成し、その後、式(VII):
【化7】

で示される化合物と反応させることにより、式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を効率よく製造することができることを見出した。
【0007】
本発明者は、以下の発明を完成した。
(1)
式(I):
【化8】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、溶媒の存在下、酸を添加して、式(II):
【化9】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を分離することを特徴とする、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の製造方法。
(2)
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を結晶化させることを特徴とする、前記(1)記載の製造方法。
(3)
式(II):
【化10】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を脱保護することを特徴とする、式(III):
【化11】

(式中、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(4)
酸の存在下で脱保護することを特徴とする、前記(3)記載の製造方法。
(5)
酸が塩酸である、前記(4)記載の製造方法。
(6)
前記(1)または(2)記載の製造方法を包含する、前記(3)記載の式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(7)
酸付加塩が塩酸塩である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8)
酸付加塩が安息香酸塩である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(9)
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物が、安息香酸塩のトルエン和物である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(10)
式(IV):
【化12】

(式中、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物を式(V):
【化13】

(式中、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VI):
【化14】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(11)
式(VI):
【化15】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物を還元することを特徴とする、式(I):
【化16】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(11−1)
式(IV):
【化17】

(式中、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物と
式(V):
【化18】

(式中、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物を還元剤の存在下で反応させることを特徴とする、式(I):
【化19】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(12)
酸を添加することを特徴とする、前記(10)、(11)または(11−1)のいずれかに記載の製造方法。
(13)
ヒドリド還元剤を用いて還元する、前記(11)、(11−1)または(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)
トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、硫化ジメチルボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体およびナトリウムから選択される1以上の還元剤を用いて還元する、前記(11)、(11−1)または(12)のいずれかに記載の製造方法。
(15)
5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとクロロスルホニルイソシアナートを反応させ、加水分解することを特徴とする、式(IV):
【化20】

(式中、RおよびRは水素である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(16)
前記(10)、(11)、(11−1)または(12)〜(15)のいずれかに記載の製造方法を包含する、前記(6)記載の製造方法。
(17)
、R、RおよびRが水素である、前記(1)〜(11)、(11−1)、(12)〜(14)または(16)のいずれかに記載の製造方法。
(18)
およびRが水素である、前記(1)〜(11)、(11−1)または(12)〜(17)のいずれかに記載の製造方法。
(19)
前記(1)〜(11)、(11−1)または(12)〜(18)のいずれかに記載の製造方法を含む方法により、式(III):
【化21】

(式中、RおよびRは前記(1)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を得、得られた式(III)で示される化合物を式(VII):
【化22】

(式中、Rは式:−Y−R11(式中、Yは単結合、−O−または−S−であり、R11は置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルである。)で示される基であり、
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンであり、またはRおよびRはそれらが結合している隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよく、
10は式:−C(=O)−NR1213(ここでR12およびR13はそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルスルホニルであるか、またはR12とR13はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基、または
式:−NR1415(ここでR14およびR15はそれぞれ独立して水素、カルボキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のチオカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであるか、またはR14とR15はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基であり、
Xはヒドロキシまたは脱離基である。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VIII):
【化23】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法。
(20)
式(IV):
【化24】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
(20−1)
およびRが水素である、前記(20)に記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
(20−2)
粉末X線回折の2θの値が12.2±0.2、16.8±0.2、17.6±0.2、19.0±0.2、21.7±0.2、24.5±0.2および34.2±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(20−1)記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の結晶。
(21)
式(VI):
【化25】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
(21−1)
、R、R、R、RおよびRが水素である、前記(21)に記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
(22)
式(II):
【化26】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。
(23)
前記(22)記載の式(II)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物。
(23−1)
、R、R、R、RおよびRが水素であり、粉末X線回折の2θの値が9.4±0.2、15.6±0.2、16.5±0.2、18.9±0.2、19.8±0.2、21.1±0.2、24.2±0.2、26.5±0.2および28.6±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(23)記載の化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物の結晶。
(24)
前記(22)記載の式(II)で示される化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物。
(24−1)
、R、R、R、RおよびRが水素であり、粉末X線回折の2θの値が8.9±0.2、10.1±0.2、12.3±0.2、15.2±0.2、16.3±0.2、18.0±0.2、19.4±0.2、19.7±0.2、20.3±0.2、26.1±0.2および26.4±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(24)記載の化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物の結晶。
(25)
式(III):
【化27】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物。
(26)
前記(25)記載の式(III)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の二水和物。
(26−1)
およびRが水素である、前記(26)記載の化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の二水和物。
(26−2)
粉末X線回折の2θの値が11.9±0.2、14.9±0.2、17.6±0.2、18.4±0.2、18.9±0.2、19.8±0.2、20.4±0.2、23.2±0.2、27.3±0.2および30.1±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(26−1)記載の化合物の塩酸塩の結晶。
(26−3)
粉末X線回折の2θの値が14.7±0.2,18.9±0.2,20.9±0.2,25.6±0.2,29.8±0.2および31.6±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(26−1)記載の化合物の塩酸塩の二水和物の結晶。

さらに、本発明者は、以下の発明を完成した。
(1A)
式(I):
【化28】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物のシン体とアンチ体の酸性溶媒中の混合物から、式(II):
【化29】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を分離することを特徴とする、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の製造方法、
(1A−1)
式(I):
【化30】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、溶媒の存在下、酸を添加して、式(II):
【化31】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を析出させることを特徴とする、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の製造方法、
(2A)
結晶化させることを特徴とする、前記(1A)または(1A−1)記載の製造方法、
(3A)
式(II):
【化32】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を脱保護することを特徴とする、式(III):
【化33】

(式中、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(4A)
酸の存在下で脱保護することを特徴とする、前記(3A)記載の製造方法、
(5A)
酸が塩酸である、前記(4A)記載の製造方法、
(6A)
前記(1A)、(1A−1)または(2A)のいずれかに記載の製造方法を包含する、前記(3A)記載の式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(7A)
酸付加塩が塩酸塩である、前記(1A)、(1A−1)または(2A)〜(6A)のいずれかに記載の製造方法、
(8A)
酸付加塩が安息香酸塩である、前記(1A)、(1A−1)または(2A)〜(6A)のいずれかに記載の製造方法、
(9A)
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物が、安息香酸塩のトルエン和物である、前記(1A)、(1A−1)または(2A)〜(6A)のいずれかに記載の製造方法、
(10A)
式(IV):
【化34】

(式中、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物を式(V):
【化35】

(式中、R、R、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VI):
【化36】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(11A)
式(VI):
【化37】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物を還元することを特徴とする、式(I):
【化38】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(12A)
酸を添加することを特徴とする、前記(10A)または(11A)記載の製造方法、
(13A)
ヒドリド還元剤を用いて還元する、前記(11A)または(12A)記載の製造方法、
(14A)
トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、硫化ジメチルボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体およびナトリウムから選択される1以上の還元剤を用いて還元する、前記(11A)または(12A)記載の製造方法、
(15A)
5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとクロロスルホニルイソシアナートを反応させ、加水分解することを特徴とする、式(IV):
【化39】

(式中、RおよびRは水素である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(16A)
前記(10A)〜(15A)のいずれかに記載の製造方法を包含する、前記(6A)記載の製造方法、
(17A)
、R、RおよびRが水素である、前記(1A)、(1A−1)、(2A)〜(14A)または(16A)のいずれかに記載の製造方法、
(18A)
およびRが水素である、前記(1A)、(1A−1)または(2A)〜(17A)のいずれかに記載の製造方法、
(19A)
前記(1A)、(1A−1)または(2A)〜(18A)のいずれかの製造方法を含む方法により、式(III):
【化40】

(式中、RおよびRは前記(1A)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を得、得られた式(III)で示される化合物を式(VII):
【化41】

(式中、Rは式:−Y−R11(式中、Yは単結合、−O−または−S−であり、R11は置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルである。)で示される基であり、
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンであり、またはRおよびRは隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよく、
10は式:−C(=O)−NR1213(ここでR12およびR13はそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルスルホニルであるか、またはR12とR13は隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基、または
式:−NR1415(ここでR14およびR15はそれぞれ独立して水素、カルボキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のチオカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであるか、またはR14とR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基であり、
Xはヒドロキシまたは脱離基である。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VIII):
【化42】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(20A)
式(IV):
【化43】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(20A−1)
およびRが水素である、前記(20A)に記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(20A−2)
粉末X線回折の2θの値が12.2±0.2、16.8±0.2、17.6±0.2、19.0±0.2、21.7±0.2、24.5±0.2および34.2±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(20A−1)記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の結晶、
(21A)
式(VI):
【化44】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(21A−1)
、R、R、R、RおよびRが水素である、前記(21A)に記載の化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(22A)
式(II):
【化45】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(23A)
前記(22A)記載の式(II)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物、
(23A−1)
、R、R、R、RおよびRが水素であり、粉末X線回折の2θの値が9.4±0.2、15.6±0.2、16.5±0.2、18.9±0.2、19.8±0.2、21.1±0.2、24.2±0.2、26.5±0.2および28.6±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(23A)記載の化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物の結晶、
(24A)
前記(22A)記載の式(II)で示される化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物、
(24A−1)
、R、R、R、RおよびRが水素であり、粉末X線回折の2θの値が8.9±0.2、10.1±0.2、12.3±0.2、15.2±0.2、16.3±0.2、18.0±0.2、19.4±0.2、19.7±0.2、20.3±0.2、26.1±0.2および26.4±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(24A)記載の化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物の結晶、
(25A)
式(III):
【化46】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物、
(25A−1)
およびRが水素である、前記(25A)記載の化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物、
(25A−2)
粉末X線回折の2θの値が11.9±0.2、14.9±0.2、17.6±0.2、18.4±0.2、18.9±0.2、19.8±0.2、20.4±0.2、23.2±0.2、27.3±0.2および30.1±0.2度から選択される2つ以上の2θを有する、前記(25A−1)記載の化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物の結晶。
(1B)
式(I):
【化47】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物のシン体とアンチ体の酸性溶媒中の混合物から、式(II):
【化48】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を分離することを特徴とする、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の製造方法、
(2B)
結晶化させることを特徴とする、前記(1B)記載の製造方法、
(3B)
式(II):
【化49】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を脱保護することを特徴とする、式(III):
【化50】

(式中、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(4B)
前記(1B)または(2B)記載の製造方法を包含する、前記(3B)記載の式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(5B)
式(IV):
【化51】

(式中、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物を式(V):
【化52】

(式中、R、R、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VI):
【化53】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(6B)
式(VI):
【化54】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物を還元することを特徴とする、式(I):
【化55】

(式中、R、R、R、R、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(7B)
酸を添加することを特徴とする、前記(5B)または(6B)記載の製造方法、
(8B)
ヒドリド還元剤を用いて還元する、前記(6B)または(7B)記載の製造方法、
(9B)
トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、硫化ジメチルボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体およびナトリウムから選択される1以上の還元剤を用いて還元する、前記(6B)または(7B)記載の製造方法、
(10B)
5−ヒドロキシ−2−アダマンタノンとクロロスルホニルイソシアナートを反応させ、加水分解することを特徴とする、式(IV):
【化56】

(式中、RおよびRは水素である。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(11B)
前記(5B)〜(10B)のいずれかに記載の製造方法を包含する、前記(4B)記載の製造方法、
(12B)
、R、RおよびRが水素である、前記(1B)〜(9B)または(11B)のいずれかに記載の製造方法、
(13B)
およびRが水素である、前記(1B)〜(12B)のいずれかに記載の製造方法、
(14B)
前記(1B)〜(13B)のいずれかの製造方法を含む方法により、式(III):
【化57】

(式中、RおよびRは前記(1B)と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を得、得られた式(III)で示される化合物を式(VII):
【化58】

(式中、Rは式:−Y−R11(式中、Yは単結合、−O−または−S−であり、R11は置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルである。)で示される基であり、
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンであり、またはRおよびRは隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよく、
10は式:−C(=O)−NR1213(ここでR12およびR13はそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルスルホニルであるか、またはR12とR13は隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基、または
式:−NR1415(ここでR14およびR15はそれぞれ独立して水素、カルボキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のチオカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであるか、またはR14とR15は隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。)で示される基であり、
Xはヒドロキシまたは脱離基である。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(VIII):
【化59】

(式中、R、R、R、R、RおよびR10は前記と同意義)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の製造方法、
(15B)
式(IV):
【化60】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(16B)
式(VI):
【化61】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物、
(17B)
式(II):
【化62】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールであり、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のスルファモイルである。)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物。

なお、本明細書中、化合物を化合物と反応させることには、化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物と反応させることを包含する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物の新規製造方法は高収率かつ安全な方法として工業的製造に利用可能である。
また、式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物は医薬品等の合成原料または中間体として有用な化合物である。式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を用いることにより、効率的に、式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】化合物(IV−1)の粉末X線回折データである。
図2】化合物(IV−1)の粉末X線回折データである。
図3】化合物(II−1)の粉末X線回折データである。
図4】化合物(II−1)の粉末X線回折データである。
図5】化合物(III−1)の粉末X線回折データである。
図6】化合物(III−1)の粉末X線回折データである。
図7】化合物(II−2)の粉末X線回折データである。
図8】化合物(II−2)の粉末X線回折データである。
図9】化合物(III−2)の粉末X線回折データである。
図10】化合物(III−2)の粉末X線回折データである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、または他の用語と一緒になって使用されている場合も、同一の意義を有する。
【0011】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
【0012】
「アルキル」とは、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6または1〜4個のアルキルであり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。
【0013】
「アルケニル」とは、上記「アルキル」に1個又はそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜8個の直鎖状又は分枝状のアルケニルを意味し、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1,3-ブタジエニル、3-メチル-2-ブテニル等が挙げられる。
【0014】
「アルキニル」とは、上記「アルキル」に1個又はそれ以上の三重結合を有する炭素数2〜8個の直鎖状又は分枝状のアルキニルを意味し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル等が挙げられる。さらに二重結合を有してもよい。
【0015】
「シクロアルキル」とは、炭素数3〜15の環状飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、橋かけ環式炭化水素基、スピロ炭化水素基などが挙げられる。好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、橋かけ環式炭化水素基が挙げられる。
【0016】
「橋かけ環式炭化水素基」とは、2つ以上の環が2個またはそれ以上の原子を共有している炭素数5〜8の脂肪族環から水素を1つ除いてできる基を包含する。具体的にはビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]オクチル、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチルなどが挙げられる。
【0017】
「スピロ炭化水素基」とは、2つの炭化水素環が1個の炭素原子を共有して構成されている環から水素を1つ除いてできる基を包含する。具体的にはスピロ[3.4]オクチルなどが挙げられる。
【0018】
「シクロアルケニル」とは、炭素数3〜10の環状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロペニル(例えば、1-シクロプロペニル)、シクロブテニル(例えば、1-シクロブテニル)、シクロペンテニル(例えば、1-シクロペンテン-1-イル、2-シクロペンテン-1-イル、3-シクロペンテン-1-イル)、シクロヘキセニル(例えば、1-シクロヘキセン-1-イル、2-シクロヘキセン-1-イル、3-シクロヘキセン-1-イル)、シクロヘプテニル(例えば、1-シクロヘプテニル)、シクロオクテニル(例えば、1-シクロオクテニル)等が挙げられる。好ましくはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルである。シクロアルケニルには、環中に不飽和結合を有する橋かけ環式炭化水素基およびスピロ炭化水素基も含む。
【0019】
「アリール」とは、単環芳香族炭化水素基(例:フェニル)及び多環芳香族炭化水素基(例: 1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル、9−フェナントリル等)を意味する。好ましくは、フェニル又はナフチル(1−ナフチル、2−ナフチル)が挙げられる。
【0020】
「ヘテロアリール」とは、単環芳香族複素環式基及び縮合芳香族複素環式基を意味する。
「単環芳香族複素環式基」とは、酸素原子、硫黄原子、および/又は窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環から誘導される、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。
「縮合芳香族複素環式基」は、酸素原子、硫黄原子、および/又は窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環が、1〜4個の5〜8員の芳香族炭素環もしくは他の5〜8員の芳香族ヘテロ環と縮合している、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。
【0021】
「ヘテロアリール」としては、例えば、フリル(例: 2−フリル、3−フリル)、チエニル(例: 2−チエニル、3−チエニル)、ピロリル(例: 1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例: 1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例: 1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、トリアゾリル(例: 1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例:1−テトラゾリル、2−テトラゾリル、5−テトラゾリル)、オキサゾリル(例:2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソキサゾリル(例:3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル)、チアゾリル(例:2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、チアジアゾリル、イソチアゾリル(例:3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、ピリジル(例:2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例:3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、フラザニル(例:3−フラザニル)、ピラジニル(例:2−ピラジニル)、オキサジアゾリル(例:1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、ベンゾフリル(例:2−ベンゾ[b]フリル、3−ベンゾ[b]フリル、4−ベンゾ[b]フリル、5−ベンゾ[b]フリル、6−ベンゾ[b]フリル、7−ベンゾ[b]フリル)、ベンゾチエニル(例:2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾイミダゾリル(例:1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル(例:2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル)、シンノリニル(例:3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、キナゾリル(例:2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノリル(例:2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、6−キノリル、7−キノリル、8−キノリル)、フタラジニル(例:1−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル)、イソキノリル(例:1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル、6−イソキノリル、7−イソキノリル、8−イソキノリル)、プリル、プテリジニル(例:2−プテリジニル、4−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル(例:1−アクリジニル、2−アクリジニル、3−アクリジニル、4−アクリジニル、9−アクリジニル)、インドリル(例:1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、イソインドリル、ファナジニル(例:1−フェナジニル、2−フェナジニル)又はフェノチアジニル(例:1−フェノチアジニル、2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル、4−フェノチアジニル)等が挙げられる。
【0022】
「ヘテロサイクリル」とは、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子を少なくとも1以上環内に有する、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい非芳香族複素環式基を意味する。また、そのような非芳香族複素環式基がさらに炭素数1〜4のアルキレン鎖で架橋されていてもよく、シクロアルカン(5〜6員が好ましい)やベンゼン環が縮合していてもよい。なお、「非芳香族複素環式基」は、非芳香族であれば、飽和でも不飽和でもよい。好ましくは5〜8員環である。例えば、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、1-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、ピペリジノ、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。
【0023】
「アシル」とは、ホルミル、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のシクロアルキルカルボニル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルカルボニル、置換もしくは非置換のアリールカルボニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールカルボニル、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルカルボニルを意味する。
【0024】
「アルキルカルボニル」、「アルケニルカルボニル」、「シクロアルキルカルボニル」、「シクロアルケニルカルボニル」、「アリールカルボニル」、「ヘテロアリールカルボニル」、「ヘテロサイクリルカルボニル」の「アルキル」部分、「アルケニル」部分、「シクロアルキル」部分、「シクロアルケニル」部分、「アリール」部分、「ヘテロアリール」部分、「ヘテロサイクリル」部分は、それぞれ、上記「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「アリール」、「ヘテロアリール」、「ヘテロサイクリル」を意味する。
【0025】
「アルキルオキシ」、「アルキルスルホニル」および「アルキルオキシカルボニル」のアルキル部分は、上記「アルキル」を意味する。
「アリールスルホニル」のアリール部分は、上記「アリール」を意味する。
「ヘテロアリールスルホニル」のヘテロアリール部分は、上記「ヘテロアリール」を意味する。
「ヘテロサイクリルスルホニル」のヘテロサイクリル部分は、上記「ヘテロサイクリル」を意味する。
【0026】
「置換アルキル」、「置換アリール」、「置換アルキルオキシ」、「置換アルキルスルホニル」、「置換アリールスルホニル」、「置換スルファモイル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換ヘテロアリール」、「置換シクロアルキル」、「置換シクロアルケニル」、「置換ヘテロサイクリル」、「RとRが隣接する炭素原子と一緒になって形成する環」、「置換ヘテロアリールスルホニル」、「置換ヘテロサイクリルスルホニル」、「R12とR13がそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって形成する環」、「置換アシル」、「置換カルバモイル」、「置換チオカルバモイル」、「置換アルキルオキシカルボニル」または「R14とR15がそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって形成する環」における置換基としては、例えば、
ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ニトロ、シアノ、
置換もしくは非置換のアルキル(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、カルバモイル。例:メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、CF、CHOH、CHCHOH、CHCOOCH、CHNH、CHCN、ベンジル)、
置換もしくは非置換のアルケニル(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:ビニル)、
置換もしくは非置換のアルキニル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:エチニル)、
置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、置換もしくは非置換のヘテロサイクリルオキシ、アルキルオキシカルボニル。例:フェニル、ナフチル)、
置換もしくは非置換のシクロアルキル(置換基としては、ハロゲン、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルオキシカルボニル。例:シクロプロピル、シクロブチル)、
置換もしくは非置換のシクロアルケニル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:シクロプロペニル)、
置換もしくは非置換のヘテロアリール(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ。例:テトラゾリル、インドリル、ピラゾリル)、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル、アルキルスルホニル。例:ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル)、
置換もしくは非置換のアルキルオキシ(置換基としては、ハロゲン、カルボキシ、シアノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、OCF)、
置換もしくは非置換のアリールオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:フェニルオキシ)、
置換もしくは非置換のシリルオキシ、
置換もしくは非置換のアミノ(例:アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、アシルアミノ(例:アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アリールアルキルアミノ(例:ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ、アルキルアミノアルキル(例:ジエチルアミノメチル)、アルキルオキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモリルアミノ、ヘテロサイクリルカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ)、
置換もしくは非置換のカルバモイル(置換基としては、ヒドロキシ、シアノ、置換もしくは非置換のアルキル、アルキルオキシ、アルキルスルホニル。例:アルキルカルバモイル(例:メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、フェニルエチルカルバモイル、ジメチルアミノエチルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、ヒドロキシエチルカルバモイル)、アルキルスルホニルカルバモイル、ヘテロアリールアルキルカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルバモイル。)、
置換もしくは非置換のカルバモイルオキシ(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。)、
置換もしくは非置換のアシル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、ホルミル、アセチル。)、
置換もしくは非置換のアルキルスルホニル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:メタンスルホニル、エタンスルホニル)、
置換もしくは非置換のアリールスルホニル、
置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。)、
置換もしくは非置換のスルファモイル、
置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニル(置換基としては、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロサイクリル。例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、
シクロアルキルスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、
アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニル、
ニトロソ、
アルケニルオキシ(例:ビニルオキシ、アリルオキシ)、
アリールアルキルオキシ(例:ベンジルオキシ)、
アジド、
イソシアノ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、メルカプト、
アルキルチオ(例:メチルチオ)、
ホルミルオキシ、ハロホルミル、オキザロ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、スルフィノ、スルホ、スルホアミノ、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、フタルイミド、オキソ等からなる群から選択される基があげられる。1〜4個の当該置換基で置換されていてもよい。
【0027】
「置換スルファモイル」、「置換アミノ」、「置換カルバモイル」または「置換チオカルバモイル」の置換基としては、好ましくは、アルキル、アルケニル、置換もしくは非置換のアリール(置換基としては、カルボキシ、アルキルオキシ、スルファモイル)、ヘテロアリール、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、スルファモイル、アルキルスルホニル、カルバモイル、シクロアルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、アシル、ヒドロキシ、アルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロサイクリルスルフィニル、アミノなどが挙げられる。
【0028】
「アルキルオキシカルボニルアミノ」、「アルキルアミノ」、「アリールアルキルアミノ」、「アルキルアミノアルキル」、「アルキルスルホニルアミノ」、「アルキルカルバモイル」、「アルキルスルホニルカルバモイル」、「ヘテロアリールアルキルカルバモイル」、「アルキルオキシカルバモイル」、「アルキルスルフィニル」、「アリールアルキルオキシ」および「アルキルチオ」のアルキル部分は、上記「アルキル」を意味する。
「アルケニルオキシ」のアルケニル部分は、上記「アルケニル」を意味する。
「シクロアルキルオキシ」、「シクロアルキルスルホニル」および「シクロアルキルスルフィニル」のシクロアルキル部分は、上記「シクロアルキル」を意味する。
「アリールオキシ」、「アリールアルキルアミノ」、「アリールスルホニルアミノ」、「アリールオキシカルボニル」、「アリールスルフィニル」および「アリールアルキルオキシ」のアリール部分は、上記「アリール」を意味する。
「ヘテロアリールスルホニルアミノ」、「ヘテロアリールアルキルカルバモイル」、「ヘテロアリールオキシカルボニル」および「ヘテロアリールスルフィニル」のヘテロアリール部分は、上記「ヘテロアリール」を意味する。
「ヘテロサイクリルオキシ」、「ヘテロサイクリルカルボニルアミノ」、「ヘテロサイクリルオキシカルボニル」および「ヘテロサイクリルスルフィニル」のヘテロサイクリル部分は、上記「ヘテロサイクリル」を意味する。
【0029】
本発明化合物のうち、以下の態様の化合物が好ましい。
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。
好ましくはそれぞれ独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。さらに好ましくは水素である。
【0030】
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアリールである。
好ましくはそれぞれ独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。さらに好ましくは水素である。
【0031】
およびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン、カルボキシ、ニトロ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルである。
好ましくは水素である。
【0032】
本発明化合物のうち、式(V)で示される化合物としては、以下の態様が好ましい。
【化63】

特に好ましくは、
【化64】

である。
【0033】
は式:−Y−R11で示される基である。
【0034】
Yは単結合、−O−または−S−であり、好ましくは−O−または−S−であり、さらに好ましくは−O−である。
【0035】
11は置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルである。
好ましくは置換もしくは非置換のアルキルである。
【0036】
およびRはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンであり、またはRおよびRはそれらが結合している隣接する炭素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。
好ましくはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキルまたはハロゲンである。さらに好ましくは置換もしくは非置換のアルキルである。
【0037】
とRがそれらが結合している隣接する炭素原子と一緒になって形成する環としては、3〜15員の飽和または不飽和の炭化水素環や、酸素原子、硫黄原子、および/または窒素原子を該炭化水素環内に1〜4個含んだ3〜15員の飽和または不飽和のヘテロ環を意味する。非芳香環が好ましく、そのような環としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンや、それらに酸素原子、硫黄原子、および/または窒素原子を該炭化水素環内に1〜4個含んだ飽和または不飽和のヘテロ環が例示される。
たとえば、式:−C(R)−(式中、RとRはそれらが結合している隣接する炭素原子と一緒になって環を形成する。)としては、以下の基があげられる。各環は、置換可能な任意の位置が置換されていてもよい。
【化65】
【0038】
10は式:−C(=O)−NR1213で示される基、または式:−NR1415で示される基である。
好ましくは式:−NR1415で示される基である。
【0039】
12およびR13はそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のヘテロアリールスルホニルまたは置換もしくは非置換のヘテロサイクリルスルホニルであるか、またはR12とR13はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。
好ましくはそれぞれ独立して水素または置換もしくは非置換のアルキルである。
【0040】
14およびR15はそれぞれ独立して水素、カルボキシ、ヒドロキシ、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロサイクリル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のカルバモイル、置換もしくは非置換のチオカルバモイル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニル、置換もしくは非置換のアリールスルホニル、置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルまたは置換もしくは非置換のスルファモイルであるか、またはR14とR15はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の環を形成していてもよい。
好ましくはそれぞれ独立して水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアシル、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシカルボニルである。
さらに好ましくはそれぞれ独立して水素または置換もしくは非置換のアシルである。
【0041】
12とR13がそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって形成する環、R14とR15がそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって形成する環としては、該窒素原子以外に、酸素原子、硫黄原子、及び/又は窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい3〜15員の非芳香族複素環を意味する。また、そのような非芳香族複素環がさらに炭素数1〜4のアルキル鎖で架橋されていてもよく、シクロアルカン(5〜6員環が好ましい。)やベンゼン環が縮合していてもよい。非芳香族であれば、飽和でも不飽和でもよい。好ましくは5〜8員環である。
たとえば、式:−NR1213(式中、R12とR13はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって環を形成する。)で示される基、式:−NR1415(式中、R14とR15はそれらが結合している隣接する窒素原子と一緒になって環を形成する。)で示される基としては、1−ピロリニル、1−ピロリジニル、1−イミダゾリニル、1−イミダゾリジニル、1−ピラゾリニル、1−ピラゾリジニル、ピペリジノ、モルホリノや、以下の基が例示される。各環は、置換可能な任意の位置が置換されていてもよい。
【化66】
【0042】
Xはヒドロキシまたは脱離基である。
【0043】
「脱離基」としては、カルボン酸とアミンの縮合に際して脱離する置換基であれば、特に限定されない。たとえば、ハロゲン、アシルオキシ(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシなど)、置換もしくは非置換のアルキルスルホニルオキシ(例えば、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなど)、置換もしくは非置換のベンゼンスルホニルオキシ(例えば、パラトルエンスルホニルオキシ、オルトニトロベンゼンスルホニルオキシなど)、N,N’−dicyclohexylcarbamimidoyloxy、N,N’−diisopropylcarbamimidoyloxy、(N−(3−(dimethylamino)propyl)−N’−ethylcarbamimidoyloxyなどが挙げられる。
好ましくはハロゲンであり、特に好ましくはクロルである。
【0044】
本発明化合物のうち、式(I)で示される化合物は式(II)で示される化合物(アンチ体)および式(II’)で示される化合物(シン体)の混合物を意味する。
【化67】
【0045】
本発明の式(I)〜(VIII)の化合物の一つ以上の水素、炭素または他の原子は、水素、炭素または他の原子の同位体で置換され得る。
例えば、式(I)の化合物は、式(I)の化合物のすべての放射性標識体を包含する。式(I)の化合物のそのような「放射性標識化」、「放射性標識体」などは、それぞれが本発明に包含され、代謝薬物動態研究ならびに結合アッセイにおける研究および/または診断ツールとして有用である。本発明の式(I)の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、および塩素が包含される。本発明の放射性標識化合物は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)のトリチウム標識化合物は、例えば、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)の特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在または非存在下で、式(I)の化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含してもよい。他のトリチウム標識化合物を調製するための適切な方法としては、文書Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences, Vol. 1, Labeled Compounds (Part A), Chapter 6 (1987年)を参照にできる。14C−標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0046】
本発明化合物の塩としては、以下の塩が挙げられる。
塩基性塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩、メグルミン塩、ジエタノールアミン塩またはエチレンジアミン塩等の脂肪族アミン塩;N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ベネタミン塩等のアラルキルアミン塩;ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等のヘテロ環芳香族アミン塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
酸性塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;安息香酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等が挙げられる。本明細書中の酸付加塩は、上記酸性塩を含む。
【0047】
本発明化合物またはその塩は、溶媒和物および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物および結晶多形も包含する。溶媒和物とは、本発明化合物またはその塩の溶媒和物を意味し、例えば、アルコール(例:エタノール)和物、水和物、トルエン和物等が挙げられる。水和物としては、一水和物、二水和物等を挙げることができる。「溶媒和物」は、本発明化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。本発明化合物またはその塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、本発明化合物またはその塩を、再結晶することでそれらの結晶多形を形成する場合がある。
【0048】
「阻害」なる用語は、本発明化合物が、11βHSD−1の働きを抑制することを意味する。
【0049】
本発明化合物の一般的製造法を以下に例示する。また、抽出、精製などは、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
【0050】
式(IV)で示される化合物は、以下のように合成することができる。
【化68】

(式中、各記号は前記と同意義であり、「LG」は脱離基を意味し、ハロゲン(フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)、トシル基、メシル基などが挙げられる。)
【0051】
第1工程
化合物1(5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン)と、式:R−N=C=Oで示される化合物とを反応させ、式(IV−2)で示される化合物を製造する工程である。
化合物1は公知の化合物を用いてもよく、公知の化合物から常法により誘導された化合物を用いてもよい。
反応溶媒としては、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド)、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、t−ブタノールなど)、水およびそれらの混合溶媒等が挙げられる。
好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)またはそれらの混合溶媒を用いればよい。特に、アセトンが好ましい。
反応温度としては、−20〜50℃、好ましくは、−10〜20℃、特に、−5〜5℃が好ましい。
反応時間は、0.5〜24時間、好ましくは、0.5〜12時間、特に、0.5〜2.5時間が好ましい。
【0052】
第2工程
式(IV−2)で示される化合物と、式:R−LGで示される化合物とを反応させ、式(IV)で示される化合物を製造する工程である。
この反応は公知であり、溶媒としては、第1工程記載の溶媒を用いることができる。
好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)またはそれらの混合溶媒を用いればよい。
塩基としては、例えば金属水素化物(例、水素化ナトリウムなど)、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなど)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなど)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなど)、炭酸水素ナトリウム、金属ナトリウム、金属アミド、有機アミン(例、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、ピリジン、2,6−ルチジンなど)およびアルキルリチウム(n−BuLi、sec−BuLi、tert−BuLi)等が挙げられる。
好ましくは、金属水素化物(例、水素化ナトリウムなど)、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなど)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなど)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなど)または有機アミン(例、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、ピリジン、2,6−ルチジンなど)を用いればよい。
反応温度としては、−78〜80℃、好ましくは、−50〜50℃、特に、−20〜20℃が好ましい。
反応時間は、0.5〜24時間、好ましくは、0.5〜12時間、特に、0.5〜3時間が好ましい。
−LGとしては、例えば、塩化メタンなどが挙げられる。
【0053】
式(IV−1)で示される化合物は、第1工程で使用する式:R−N=C=Oで示される化合物として、式:ClSO−N=C=Oで示される化合物(クロロスルホニルイソシアナート)を用い、その後加水分解を行うことにより、製造することができる。
【化69】

第3工程
化合物1(5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン)と、式:ClSO−N=C=Oで示される化合物(クロロスルホニルイソシアナート)を反応させ、反応後加水分解することにより、式(IV−1)で示される化合物を製造する工程である。
加水分解は、第3工程終了後の反応溶液に水を添加することにより行うことができる。
加水分解を行う時間としては、0.5〜24時間、好ましくは、2〜18時間、特に好ましくは、5〜12時間である。
反応温度としては、−20〜50℃、好ましくは、−10〜30℃、特に、0〜20℃が好ましい。
後処理としては、反応溶液中に発生する塩酸及び硫酸を除去するために、アンモニア水で反応溶液を中和した後、生じた塩化アンモニウムおよび硫酸アンモニウムを分液により除去する。その後、有機層に水を加え濃縮晶析する。
晶析時間としては、0.5〜24時間、好ましくは、0.5〜8時間、特に好ましくは、0.5〜2時間である。
晶析温度としては、−20〜50℃、好ましくは、−10〜30℃、特に好ましくは、15〜25℃である。
【0054】
式(I)で示される化合物は、以下のように合成することができる。
【化70】
(式中、各記号は前記と同意義である。)
【0055】
第4工程
式(IV)で示される化合物と式(V)で示される化合物を還元剤存在下で反応させる工程である。
溶媒としては、工程1記載の溶媒を用いることができる。
好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなど)または水等である。
さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフランまたは水である。
特に好ましくは、ジクロロメタン、アセトニトリル、メタノールまたはエタノールである。
該工程においては、酸を用いなくても反応は進行するが、好ましくは使用する。酸としては、酢酸、ギ酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、塩酸または硫酸などの酸を用いることができる。好ましくは、酢酸である。
該反応液は特に制限されないが、式(VI)で示されるイミン体を形成するために、通常約0〜80℃、好ましくは約40〜60℃で通常5分〜5時間、好ましくは90分〜2時間攪拌すればよい。
このようにして調製した反応液を、特に制限されないが、約−20〜20℃、好ましくは約0〜10℃に冷却し、還元する。
還元は、例えば、ヒドリド還元剤を用いて行うことができる。ヒドリド還元剤とは求核剤として水素供与することができる試薬を意味する。ヒドリド還元剤としては、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体、硫化ジメチルボラン錯体、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化アルミニウムリチウム、Red−Al〔水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム〕、L−Selectride〔水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム〕、K−Selectride〔水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム〕、DIBAL−H(水素化ジイソブチルアルミニウム)または水素化トリブチルスズ等を用いることができる。
好ましくは、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、テトラヒドロホウ酸リチウム、ピリジンボラン錯体、テトラヒドロフランボラン錯体、2−ピコリンボラン錯体、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウムまたはRed−Alである。
さらに好ましくは、トリアセトキシヒドロホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムである。使用量は、特に制限されないが、0.3〜15当量、好ましくは0.5〜10当量用いることができる。
還元を行う時間としては、0.5〜24時間、好ましくは、0.5〜12時間、特に好ましくは、0.5〜2時間である。
反応温度としては、特に制限されないが、約−20〜20℃、好ましくは約0〜10℃に冷却し、還元する。
式(I)で示される化合物を含む反応液に、酸を加えて酸性としたのち、中和する。
還元的アミノ化では、上記ヒドリド還元剤を使った還元以外に、触媒存在下で水素添加反応により還元することもできる。触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、ニッケルからなる触媒を用いることができる。
また、ナトリウムを用いた還元的アミノ化を行うこともできる。
【0056】
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物は、以下のように合成することができる。
【化71】

(式中、各記号は前記と同意義である。)
第5工程
式(I)で示されるアンチ体とシン体の混合物から、式(II)で示されるアンチ体を分離する工程である。該工程は、結晶化により行うことができる。
該工程は、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を形成するために酸を添加する。酸としては、塩酸、安息香酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リン酸、炭酸、過塩素酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、イセチオン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸またはグルタミン酸などを用いることができる。好ましくは、塩酸または安息香酸である。使用する酸の量は特に制限されないが、例えば、式(I)で示される化合物に対して、0.1〜2当量、好ましくは0.5当量〜1当量、さらに好ましくは、0.5当量〜0.9当量添加する。
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の結晶化は、式(I)で示される化合物の可溶溶媒中で酸付加塩を形成させた後、必要であれば、貧溶媒を加えて結晶を析出させることにより行うことができる。
可溶溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)またはそれらの混合溶媒等を用いることができる。
好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)またはそれらの混合溶媒を用いればよい。
好ましくは、式(I)で示される化合物の溶解度が高く、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物の溶解度が低い溶媒が好ましい。
式(I)で示される化合物のシン体とアンチ体の溶媒中の混合物から、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を分離する工程には、以下の工程が含まれる。たとえば、式(I)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、溶媒の存在下、酸を添加して、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を析出させる工程、式(I)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、酸を含む溶媒を添加して、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を析出させる工程、式(I)で示される化合物のシン体とアンチ体の混合物に、酸を含む溶媒を添加して、さらに貧溶媒を添加して、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を析出させる工程などが挙げられる。
可溶溶媒のみで結晶化を行える場合は、貧溶媒は使用しなくてもよいが、貧溶媒を使用する場合、貧溶媒としては、例えば芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、飽和炭化水素類(例、シクロヘキサン、ヘキサンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)またはそれらの混合溶媒等を用いることができる。好ましくは、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)またはエステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、特にトルエン、ジクロロメタンまたは酢酸エチルが好ましい。
該結晶化は、特に制限されないが、−78〜80℃、好ましくは、0〜60℃で攪拌すればよい。
得られた結晶はろ過等により得ることができる。この時、シン体はろ液に溶解しているため、晶析による精製効果が得られる。
たとえば、酸として塩酸を用いた場合、式(II)で示される化合物の塩酸塩またはその塩酸塩の溶媒和物の結晶を得ることができる。特に、式(II)で示される化合物の塩酸塩の結晶を得ることができる。
たとえば、酸として安息香酸を用い、溶媒としてトルエンを用いた場合、式(II)で示される化合物の安息香酸塩またはその安息香酸塩のトルエン和物の結晶を得ることができる。特に、式(II)で示される化合物の安息香酸塩のトルエン和物の結晶、さらには、式(II)で示される化合物の安息香酸塩の0.5トルエン和物の結晶を得ることができる。
これら、式(II)で示される化合物の塩酸塩の結晶、式(II)で示される化合物の安息香酸塩の0.5トルエン和物の結晶は、非常に結晶性が高く、純度を高く式(II)で示される化合物や式(III)で示される化合物を得る上で、非常に重要な中間体となる。
これらの酸付加塩を経ることで、アンチ体とシン体の混合物におけるアンチ体の比率を95%以上にすることができる。好ましくは、97%以上、さらに好ましくは98%以上である。
アンチ体:シン体の比率が、95〜100:0〜5である式(I)で示される化合物、シン体が5%以下である式(II)で示される化合物、シン体が5%以下である式(III)で示される化合物、これらの化合物を含む組成物も、本発明の範囲内である。
また、アンチ体:シン体の比率が、97〜99:3〜1である式(I)で示される化合物、シン体が1〜3%である式(II)で示される化合物、シン体が1〜3%である式(III)で示される化合物、これらの化合物を含む組成物も、本発明の範囲内である。
【0057】
式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物は、以下のように合成することができる。
【化72】

(式中、各記号は前記と同意義である。)
第6工程
式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物を脱ベンジル化に付し、式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を製造する工程である。
溶媒としては、第1工程記載の溶媒を用いることができる。好ましくは、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)またはアルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノールなど)である。特に、メタノールが好ましい。溶媒の使用量は特に限定されず、反応が可能な溶液を形成し得る任意の量が使用可能である。このようにして調製した溶液に不均一触媒を加え、水素ガスの存在下で接触還元を行えばよい。
不均一触媒は、例えばパラジウム/炭素触媒、プラチナ/炭素触媒、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金、ニッケルなどを用いることができる。使用量は、特に制限されないが、0.001〜1当量、好ましくは0.01〜1当量用いることができる。
該工程は、酸の存在下で行うことができる。酸としては塩酸が好ましい。例えば、式(II)で示される化合物の安息香酸塩0.5トルエン和物を脱ベンジル化する場合、酸の存在下で行うことにより、式(III)で示される化合物の安息香酸塩の析出を防ぐことができる。添加する酸の量は、式(II)で示される化合物の酸付加塩またはその酸付加塩の溶媒和物に対して、0.5〜2当量使用することができる。たとえば、約1当量の酸を用いる場合、約0.4〜0.6等量の酸の存在下で接触還元を行い、触媒を除去した後、約0.4〜0.6当量の酸を添加してもよい。
反応温度としては、0〜80℃、好ましくは、10〜60℃、特に、20〜50℃が好ましい。
反応時間は、0.5〜24時間、好ましくは、1〜18時間、特に、2〜6時間が好ましい。
該工程は、常圧の水素ガス雰囲気下で行うことができるが、加圧雰囲気下で行うこともできる。
【0058】
式(VII−2)で示される化合物は、以下のように合成することができる。
【化73】

(式中、Xは脱離基であり、その他の記号は前記と同意義であり、式(VII−1)で示される化合物は公知の化合物を用いてもよく、公知の化合物から常法により誘導された化合物を用いてもよい。式(VII−1)で示される化合物およびそれらの調整方法の詳細は、国際公開第WO2007/058346号パンフレット、国際公開第WO2008/142986号パンフレットに記載されている。)
【0059】
第7工程
式(VII−1)で示される化合物から、式(VII−2)で示される化合物を製造する工程である。
Xがハロゲンの場合、式(VII−1)で示される化合物にハロゲン化剤を反応させればよい。
ハロゲン化剤としては、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライド、塩化チオニル、スルフリルクロライドまたはジクロロトリフェニルホスホランなどが挙げられる。特に好ましくは、オキシ塩化リン、五塩化リン、オキザリルクロライドまたは塩化チオニルである。
溶媒としては、第1工程記載の溶媒を用いることができる。好ましくは、1−メチル−2−ピロリドン、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジエチルエーテル、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、水、またはそれらの混合溶媒などを用いることができる。特に好ましくは、1−メチル−2−ピロリドン、トルエン、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドである。
反応は、約−20〜100℃、好ましくは、−5〜10℃で行うことができる。反応時間は、0.5時間〜20時間、好ましくは、0.5〜10時間である。
上記第7工程において、ハロゲン化剤以外の試薬を用いることにより、各種の脱離基を有する式(VII−2)で示される化合物を合成することができる。たとえば、アシルハライドを塩基の存在下、式(VII−1)で示される化合物と反応させることにより、「脱離基」としてアシルオキシを有する式(VII−2)で示される化合物を製造することができる。置換もしくは非置換のアルキルスルホニルハライドを塩基の存在下、式(VII−1)で示される化合物と反応させることにより、「脱離基」として置換もしくは非置換のアルキルスルホニルオキシを有する式(VII−2)で示される化合物を製造することができる。他も同様である。
【0060】
式(VIII)で示される化合物は、以下のように合成することができる。
【化74】

(式中、各記号は前記と同意義であり、式(VII)で示される化合物は公知の化合物を用いてもよく、公知の化合物から常法により誘導された化合物を用いてもよい。)
【0061】
第8工程
式(VII)で示される化合物と式(III)で示される化合物を反応させ、式(VIII)で示される化合物を製造する工程である。
Xがヒドロキシの場合、本工程を縮合剤の存在下で行うことができる。
縮合剤としては、カルボキシル基とアミノ基の縮合に使用されるアミド縮合剤を用いることができる。たとえば、カルボジイミド類(例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩など)、ジフェニルリン酸アジド、BOP試薬(たとえば、BOP、PyBop、TBTUなど)、DMT-MM、1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール、2−クロロ1,3−ジメチルイミダゾリウムクロリドまたは4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド等があげられる。好ましくは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩であり、特に好ましくは、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩である。
本工程は添加剤の存在下で行うことができる。
添加剤としては、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたはN−ヒドロキシスクシンイミド等があげられる。特に好ましくは、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。
本工程は塩基の存在下で行うことができる。当該塩基は、脱離基の種類や反応溶媒の種類により、適宜選択することができる。
本工程に用いることのできる塩基としては、例えば金属水素化物(例、水素化ナトリウムなど)、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなど)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなど)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、炭酸水素ナトリウム、金属ナトリウム、有機アミン(例、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、2,6−ルチジンなど)、ピリジン、イミダゾールまたはジアザビシクロウンデセンなどが挙げられる。好ましくは、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはジアザビシクロウンデセン等であり、特に好ましくはトリエチルアミンである。
本工程は、−20〜200℃で行うことができる。好ましくは、0〜100℃で行うことができる。
反応溶媒としては、水、アルコール類(例、メタノール、エタノール、t−ブタノールなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、非プロトン性極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)またはニトリル類(例、アセトニトリルなど)等を用いることができる。特に好ましくは、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドである。
Xがハロゲンまたは水酸基から導かれる脱離基である場合は、該工程において上記の塩基を用いることができる。塩基として好ましくは、金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなど)、金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなど)または炭酸水素ナトリウムなどである。特に好ましくは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムなどである。
反応溶媒としては、第1工程記載の溶媒を用いることができる。好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、芳香族炭化水素類(例、トルエン、ベンゼン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなど)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタンなど)、エステル類(例、酢酸メチル、酢酸エチルなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例、アセトニトリルなど)、水またはそれらの混合溶媒等が挙げられる。特に好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、水またはそれらの混合溶媒等である。反応条件は、特に制限されないが、約−20〜50℃、好ましくは約−10〜20℃で通常1時間〜36時間、好ましくは1時間〜4時間攪拌すればよい。
なお、式(VII)で示される化合物、式(III)で示される化合物は、塩や溶媒和物の形態で使用してもよい。
【0062】
別に言及がなければ、本明細書中および特許請求の範囲記載の数値はおおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、その他の因子に起因する。
【0063】
本発明化合物の各種の置換基は、(1) Alan R.Katriszly et al., Comprehensive Heterocyclic Chemistry (2) Alan R.Katriszly et al., Comprehensive Heterocyclic Chemistry II (3) RODD’S CHEMISTRY OF CARBON COMPOUNDS VOLUME IV HETEROCYCLIC COMPOUNDS等を参考にして、導入することができる。
【0064】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
なお、実施例中の各用語の意味は以下のとおりである。
CSI:クロロスルホニルイソシアナート
BnNH:ベンジルアミン
AcOH:酢酸
DMA:N,N−ジメチルアセトアミド
WSCD HCl:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
各実施例で得られたNMR分析は300MHzで行い、d6−DMSOまたはd6−CDCl3を用いて測定した。
結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(装置)
Rigaku社製TTR III
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:300mA
管電圧:50Kv
試料プレート:アルミ
スキャンスピード:5.000°/分
走査範囲:4.000〜40.0000°
サンプリング幅:0.0200°
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含む。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
式(II)で示される化合物、式(III)で示される化合物、式(IV)で示される化合物および式(VI)で示される化合物は、式(VIII)で示される化合物を製造するための中間体として有用である。
それらの中間体の中でも、特に、本明細書で記載している結晶が好ましい。たとえば、本明細書で示す粉末X線回折の2θの値(±0.2°)から選択される2つ以上の2θを有する結晶、さらには、3つ以上の2θを有する結晶、4つ以上の2θを有する結晶、5つ以上の2θを有する結晶などが好ましい。
【実施例1】
【0065】
【化75】

化合物1(5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン)(60.00g、360.97mmol)のアセトン(420ml)溶液を0℃に冷却し、クロロスルホニルイソシアナート(CSI)(53.6g、378.72mmol)を1時間かけて加えた後、30分攪拌した。続いて溶液を5℃に保ち、水(60ml)を2時間かけて加えた後、15℃に昇温し、さらに7時間攪拌した。7%−アンモニア水を加えてpH7.9とした後、60℃に加熱して分液した。上層の抽出液に水(240ml)を加え、濃縮した。25℃で1時間晶析し、析出した結晶をろ取し、乾燥して化合物(IV−1、64.43g、85.3%)を得た。
H NMR(d6−DMSO); δ(ppm)1.82(brd,J=13Hz,2H),1.96(brd,J=13Hz,2H),2.24(m,1H),2.24(brs,2H),2.27−2.28(m,4H),2.48(brs,2H),6.30(br,2H)
融点:193〜194℃
粉末X線回折2θ(°);12.2,16.8,17.6,19.0,21.7,24.5,34.2
粉末X線の結果を図1および図2に示す。
【実施例2】
【0066】
【化76】

化合物IV−1(30.00g、143.4mmol)、ジクロロメタン(300ml)溶液に、ベンジルアミン(15.36g、143.4mmol)、酢酸(8.61g、143.4mmol)を加え、0℃に冷却した。
生成した化合物VI−1を含む反応液に、水素化ホウ素ナトリウム(3.25g、83.7mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(45ml)を2時間かけて加え、さらに2時間攪拌した。
生成した化合物I−1を含む反応液に、7%−塩酸を加えてpH2としたのち、室温に昇温し、水(150ml)と16%−水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8の溶液とし、抽出した。下層の抽出液を5℃に冷却し、4N−塩酸/酢酸エチル溶液(35.85ml、143.4mmol)を加え、5℃で2時間晶析した。析出した結晶をろ取し、乾燥して化合物(II−1、27.48g、56.90%)を塩酸塩として得た。
化合物VI−1のH NMR(d6−CDCl3); δ(ppm):1.67(brd,J=13Hz,1H),1.89(m,3H),2.08(brd,J=12Hz,1H),2.30(m,6H),2.79(m,1H),3.34(m,1H),4.51(br,2H),4.55(d,J=3Hz,2H),7.24(m,2H),7.30(m,3H)
化合物II−1(塩酸塩)のH NMR(d6−DMSO); δ(ppm)1.44(brd,J=13Hz,2H),2.00(m,2H),2.01(brs,2H),2.07(brd,J=13Hz,2H),2.09(m,1H),2.15(brd,J=13Hz,2H),2.40(brs,1H),2.49(brs,1H),3.15(brs,1H),4.17(brs,2H),6.23(br,2H),7.42(m,3H),7.67(m,2H),9.42(brs,2H)
化合物II−1(塩酸塩)の粉末X線回折2θ(°);9.4,15.6,16.5,18.9,19.8,21.1,24.2,26.5,28.6
化合物II−1(塩酸塩)の粉末X線の結果を図3および図4に示す。
【0067】
化合物(I−1)は、アンチ体とシン体が4対1の比率で存在する混合物であった(NMR分析(300MHz)により算出)。
それに対し、化合物(II−1)においては、晶析による著しい精製効果が認めら、アンチ体とシン体が97対3であった。
【実施例3】
【0068】
【化77】

化合物(II−1、20.00g、59.4mmol)、5%パラジウム炭素触媒(M)(水分53.1%、4.26g)、メタノール(200ml)溶液を30℃に加温し、水素0.2MPaの加圧下、5時間攪拌した。反応液をろ過し、パラジウム炭素触媒を除去した後、ろ液を減圧濃縮した。濃縮液をテトラヒドロフランで置換したのち、室温で1時間晶析した。析出した結晶をろ取し、乾燥して化合物(III−1、12.78g、87.3%)を得た。
融点:222.5〜223.0℃
H NMR(d6−DMSO); δ(ppm)1.45(brd,J=13Hz,2H),1.98(brd,J=13Hz,2H),2.04(m,1H),2.05(br,1H),2.07(brd,J=11Hz,2H),2.12(brd,J=11Hz,2H),2.20(br,2H),3.29(m,1H),6.23(br,2H),8.32(brs,3H)
粉末X線回折2θ(°);11.9,14.9,17.6,18.4,18.9,19.8,20.4,23.2,27.3,30.1
元素分析:C1118・HCl
計算値: C, 53.55; H, 7.76; N, 11.35; Cl, 14.37
実測値: C, 52.92; H, 7.82; N, 11.22; Cl, 13.88
化合物III−1の粉末X線の結果を図5および図6に示す。
【実施例4】
【0069】
融点はすべて融点測定器で測定した.
(測定条件)
装置:BUCHI Melting Point B−545
昇温速度:1℃/分
【実施例5】
【0070】
【化78】

化合物(VII−1)は、国際公開第2008/142986号パンフレットの実施例84の化合物(II−18)を用いた。
化合物VII−1(100mg)のジメチルホルムアミド溶液(2.0ml)にアミン(III−2)(89mg)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(78mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(12.6mg)、トリエチルアミン(108μl)を加え、室温にて23時間攪拌した。反応終了後、2N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(VIII−1)(155mg,91.7%)を得た。
H NMR(d6−DMSO);δ(ppm)1.40(s,8H), 1.88−2.14(m,11H), 2.77(s,6H), 3.49(s,3H), 3.93−4.00(m,1H), 6.57(d,J=13.8Hz,1H), 6.88(d,J=13.8Hz,1H), 7.36(s,1H), 7.96(s,1H), 8.34(d,J=7.2Hz,1H)
【実施例6】
【0071】
【化79】

化合物(VII−1)(100mg)のジメチルホルムアミド溶液(2.0ml)にアミン(III−3)(89mg)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(78mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(12.6mg)、トリエチルアミン(108μl)を加え、室温にて20時間攪拌した。反応終了後、2N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(VIII−2)(122mg,72.2%)を得た。
H NMR(d6−DMSO);δ(ppm)0.98(t,J=6.9Hz,3H), 1.40(s,8H), 1.88−2.13(m,11H), 2.88−2.97(m,2H), 3.49(s,3H), 3.93−3.99(m,1H), 6.57(d,J=13.8Hz,1H), 6.81−6.92(m,2H), 7.34(s,1H), 7.96(s,1H), 8.33(d,J=6.6Hz,1H)
【実施例7】
【0072】
【化80】

化合物(VII−1)(100mg)のジメチルホルムアミド溶液(2.0ml)にアミン(III−1)(79mg)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(78mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(12.6mg)、トリエチルアミン(108μl)を加え、室温にて14時間攪拌した。反応終了後、2N塩酸水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(VIII−3)(137mg,85.6%)を得た。
H NMR(d6−DMSO);δ(ppm)1.40(s,8H), 1.88−2.13(m,11H), 3.50(s,3H), 3.94−3.99(m,1H), 6.05−6.35(s,2H), 6.58(d,J=13.6Hz,1H), 6.88(d,J=13.6Hz,1H), 7.35(s,1H), 7.96(s,1H), 8.33(d,J=6.8Hz,1H)
【実施例8】
【0073】
【化81】

アダマンタノンカルバメート(IV−1)(50.00g、239.0mmol)、アセトニトリル(300mL)溶液に、ベンジルアミン(33.30g、310.7mmol)、酢酸(14.40g、239.0mmol)を加え、50℃で溶解した。5℃に冷却したのち、水素化ホウ素ナトリウム(5.48g、143.4mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド溶液(100mL)を1.5時間かけて加え、さらに1時間攪拌した。10%−塩酸を加えてpH1としたのち、室温に昇温し、16%−水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9の溶液とし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を20%−食塩水で3回洗浄し、151.07gまで減圧濃縮した。濃縮液にトルエン(400mL)と、安息香酸(20.42g、167.3mmol)、酢酸エチル(175mL)溶液を25℃で加えた。結晶の析出を確認したのち、スラリーを350mLまで減圧濃縮し、トルエン(350mL)を加えた。さらに350mLまで減圧濃縮し、トルエン(400mL)を加えた。25℃で1.5時間攪拌したのち、結晶をろ取し、乾燥してベンジルアミノアダマンタンカルバメート安息香酸塩0.5トルエン和物(II−2)(60.98g、54.45%)を得た。
融点:138.4〜138.7℃
H NMR(d6−DMSO);δ(ppm)1.24−1.34(brd,2H), 1.92−2.08(m,11H), 2.29(s,1.5H), 2.68(brs,1H), 3.70(s,2H), 7.09−7.37(m,7.5H), 7.42−7.51(m,2H), 7.54−7.61(m,1H), 7.89−7.95(m,2H)
粉末X線回折(安息香酸塩0.5トルエン和物)2θ(°);8.9,10.1,12.3,15.2,16.3,18.0,19.4,19.7,20.3,26.1,26.4
元素分析:C1824・C・1/2C
計算値: C, 74.68; H, 7.44; N, 5.44
実測値: C, 72.79; H, 7.40; N, 6.01

化合物(II−2)の粉末X線の結果を図7および図8に示す。
化合物(II−2)においては、晶析による著しい精製効果が認めら、アンチ体とシン体が98対2であった。
【実施例9】
【0074】
【化82】

ベンジルアミノアダマンタンカルバメート安息香酸塩0.5トルエン和物(II−2)(14.00g、29.88mmol)にメタノール(105mL)と塩酸(1.56g、塩化水素14.98mmol相当、II−2に対して0.50当量)を加え25℃で溶解した。これを5%パラジウム炭素(2.94g)のメタノール(35mL)スラリーに加え、水素雰囲気下、40℃にて3時間接触水素還元反応を行った。得られた反応液を25℃に冷却し、5%パラジウム炭素をろ別し、メタノール(14mL)で洗浄した。得られたろ液と洗浄液を合併し、塩酸(1.40g、塩化水素13.44mmol相当、II−2に対して0.45当量)を加えた。反応液を40℃以下で約26gまで減圧濃縮した。濃縮スラリーに酢酸エチル(70mL)を加え、25℃に冷却した。塩酸でpH2以下に調整したのち、スラリーを10℃に冷却し、1時間晶析した。析出した固体をろ取し、乾燥してアミノアダマンタンカルバメート塩酸塩(III−1)(6.48g、87.9%)を得た。
【実施例10】
【0075】
【化83】

ベンジルアミノアダマンタンカルバメート安息香酸塩0.5トルエン和物(II−2)(40.00g、85.36mmol)にメタノール(300mL)と塩酸(4.46g、塩化水素42.80mmol相当、II−2に対して0.50当量)を加え25℃で溶解した。これを5%パラジウム炭素(8.40g)のメタノール(100mL)スラリーに加え、水素雰囲気下、40℃にて3時間接触水素還元反応を行った。得られた反応液を25℃に冷却し、5%パラジウム炭素をろ別し、メタノール(40mL)で洗浄した。得られたろ液と洗浄液を合併した反応混合物(406g)に塩酸(4.00g、塩化水素38.40mmol相当、II−2に対して0.45当量)を加えた。反応液を約100mLまで減圧濃縮した。濃縮スラリーに水(7.2g、400mmoL)と酢酸エチル(144g)を加え、約140mLまで減圧濃縮した。さらに濃縮スラリーに酢酸エチル(144g)を加え、再度、濃縮スラリーを約140mLまで減圧濃縮した。25℃に冷却し、酢酸エチル(215g)を加え、塩酸でpH2以下に調整したのち、スラリーを80分間晶析した。析出した固体をろ取し、室温下、減圧乾燥してアミノアダマンタンカルバメート塩酸塩二水和物(III−2)(22.85g、94.7%)を得た。

アミノアダマンタンカルバメート塩酸塩二水和物(III−2)は、温度および湿度に対して安定であり、シリカゲルなどの乾燥剤存在下で貯蔵する必要がなく、また、密封することなく貯蔵することができるため取扱が非常に容易である。
以下にアミノアダマンタンカルバメート塩酸塩二水和物(III−2)のNMRデータ、X線回折データ、元素分析データを記載する。

H NMR(d6−DMSO); δ(ppm)1.45(brd,J=13Hz,2H),1.97(brd,J=13Hz,2H),2.05(m,1H),2.06(br,1H),2.08(brd,J=11Hz,2H),2.12(brd,J=11Hz,2H),2.19(br,2H),3.29(m,1H),3.35(br,4H),6.24(br,2H),8.31(brs,3H)
粉末X線回折2θ(°);14.7,18.9,20.9,25.6,29.8,31.6
元素分析:C1118・HCl・2H
計算値: C, 46.72; H, 8.20; N, 9.91; Cl, 12.54
実測値: C, 46.17; H, 8.12; N, 9.83; Cl, 12.67

アミノアダマンタンカルバメート塩酸塩二水和物(III−2)の粉末X線結果を図9および図10に示す。
【産業上の利用可能性】
【0076】
式(III)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物は、式(VIII)で示される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物を製造するための中間体として有用である。また、式(II)で示される化合物、式(IV)で示される化合物および式(VI)で示される化合物は、式(III)で示される化合物を製造するための原料および中間体として有用である。本発明方法により、効率的に、式(VIII)で示される化合物を製造することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10