(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、用紙搬送ベルトにより用紙束の最上層の用紙を吸着するには、用紙束の最上層の用紙を用紙搬送ベルトに接近させる必用があり、また用紙束の上層に空気を吹出して、各用紙をばらつかせるには、空気の吹出し口を用紙束の上層近くに配置する必要がある。従って、空気の吹出し口を用紙搬送ベルトに接近させることになる。
【0007】
ところが、空気の吹出し口を用紙搬送ベルトに接近させると、用紙搬送ベルトに吸着されて搬送される用紙の経路が狭くなる。
【0008】
例えば、特許文献1では、先端突き当て部の空気の吹出し口を用紙搬送ベルトに接近させていることから、先端突き当て部の上面が用紙搬送ベルトに接近して、先端突き当て部の上面と用紙搬送ベルトとの間の開口部が狭くなっており、用紙搬送ベルトに吸着されて搬送される用紙がその狭い開口部を通過している。
【0009】
一方、用紙搬送ベルトにより用紙を吸着しても、用紙の両端部が下方に垂れ易い。これは、用紙搬送ベルトと用紙の両端部との間では空気漏れが生じ易いためである。あるいは、用紙搬送ベルトによる吸着領域の幅を中サイズもしくは小サイズの用紙幅に合わせられているためである。これは、用紙搬送ベルトによる吸着領域の幅を大サイズの用紙幅に合わせると、用紙搬送ベルトにより中サイズもしくは小サイズの用紙が吸着されたときに、中サイズもしくは小サイズの用紙の両外側における用紙搬送ベルトの通気孔が開かれて、この開かれた通気孔から大量の空気が吸引されてしまい、用紙搬送ベルトによる中サイズもしくは小サイズの用紙の吸着力が低下して、吸着不良が生じるからである。
【0010】
そして、そのように用紙の垂れ下がった両端部が先に述べた狭い開口部に引っ掛かって、ジャムが発生することがあった。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、用紙搬送ベルトにより用紙の両端部が吸着されずに垂れ下がっても、ジャムが発生することがない給紙装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、
本発明は、次の第1態様から第3態様の給紙装置を提供する。
(1)第1態様の給紙装置
本発明
に係る第1態様の給紙装置は、用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して搬送する給紙装置であって、前記用紙搬送部材と前記用紙搬送部材よりも下方に配置されたガイド部との間が、前記用紙搬送部材により搬送されている前記用紙が通過する開口部となっており、前記ガイド部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向に延在する中央部及び前記中央部の両側の各側部を有し、前記開口部の前記用紙の入口側では前記各側部が前記中央部よりも低くされ
、前記用紙搬送部材の各通気孔を吸引ダクトの複数の吸引口に重ねて、空気を前記用紙搬送部材の各通気孔及び前記各吸引口を通じて前記吸引ダクトへと吸引しており、前記ガイド部の前記各側部は、前記各吸引口のうちの最も両外側の吸引口の外側端部よりも内側の部位から前記ガイド部の両端までの領域に設けられている。
ここでは、最も両外側の吸引口の外側端部よりも内側の部位からガイド部の両端までの領域で、用紙の両端部が垂れ下がるため、ガイド部の各側部を、そのような領域に設けている。
(2)第2態様の給紙装置
本発明に係る第2態様の給紙装置は、用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して搬送する給紙装置であって、前記用紙搬送部材と前記用紙搬送部材よりも下方に配置されたガイド部との間が、前記用紙搬送部材により搬送されている前記用紙が通過する開口部となっており、前記ガイド部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向に延在する中央部及び前記中央部の両側の各側部を有し、前記開口部の前記用紙の入口側では前記各側部が前記中央部よりも低くされ、前記用紙の搬送方向と直交する方向で滑らかに湾曲し、前記用紙搬送部材をガイドして、前記用紙搬送部材を湾曲させる湾曲軌道部を有し、前記ガイド部の前記各側部は、前記湾曲軌道部の最も両外側の湾曲頂部よりも内側の部位から前記ガイド部の両端までの領域に設けられている。
用紙搬送部材を湾曲させた場合は、用紙搬送部材に吸着された用紙も湾曲する。そして、用紙の両端部が湾曲軌道部の最も両外側の湾曲頂部よりも内側の部位から垂れ下がる。このため、ガイド部の各側部を、湾曲軌道部の最も両外側の湾曲頂部よりも内側の部位からガイド部の両端までの領域に設けている。
(3)第3態様の給紙装置
本発明に係る第3態様の給紙装置は、用紙束を用紙積載台に積載し、空気を用紙搬送部材の通気孔を通じて吸引して、前記用紙束の用紙を前記用紙搬送部材に吸着して搬送する給紙装置であって、前記用紙搬送部材と前記用紙搬送部材よりも下方に配置されたガイド部との間が、前記用紙搬送部材により搬送されている前記用紙が通過する開口部となっており、前記ガイド部は、前記用紙の搬送方向と直交する方向に延在する中央部及び前記中央部の両側の各側部を有し、前記開口部の前記用紙の入口側では前記各側部が前記中央部よりも低くされ、前記用紙束の方向に空気を吹出す複数の吹出し口が前記ガイド部の前記中央部の直下及び前記各側部の直下に振り分けられて設けられており、前記各側部に設けられた前記吹出し口は、前記中央部に設けられた前記吹出し口よりも低い位置にあり、前記複数の吹出し口は、前記用紙搬送部材の前記通気孔を通じて吸引した空気を利用して前記用紙束の方向に前記通気孔からの空気を吹出す構成とされている。
空気を吹出し口から用紙束の上層へと吹付けることにより、用紙束の上層の各用紙をばらつかせて、用紙搬送部材により用紙束の最上層の用紙だけを吸着して搬送することができる。この空気の吹出し口を用紙束の最上層近くに設けることが好ましいので、この空気吹出し部を各側部よりも高い中央部の低位置に設けている。
【0013】
このような本発明では、開口部の用紙の入口側では各側部が中央部よりも低くされている。このため、用紙搬送部材に吸着して搬送されている用紙の両端部が垂れ下がっていても、用紙の両端部が開口部の用紙の入口側で引っ掛かることなく開口部に侵入することができ、ジャムが発生することはない。
【0014】
例えば、本発明の給紙装置においては、前記ガイド部の各側部の上面は、前記中央部から離れる程より低くなるように傾斜している。
【0015】
また、本発明の給紙装置においては、前記ガイド部の各側部の上面は、前記中央部から離れる程より低くなるように傾斜して一定高さに達すると、前記一定高さに達した部位から前記ガイド部の両端まで前記一定高さを維持している。
【0016】
記録用紙には剛性があるので、記録用紙の両端部が垂れ下がっても極端に垂れ下がることはない。このため、各側部の上面を一定高さより低くしなくても、記録用紙の両端部が各側部に引っ掛かることなく、記録用紙が開口部を通過する。
【0017】
更に、本発明の給紙装置においては、前記ガイド部の各側部の上面は、前記開口部の前記用紙の入口側から離間する程高くなるように傾斜している。
【0018】
この場合は、記録用紙の両端部が垂れ下がっていても、記録用紙の両端部が開口部の入口側で各側部に引っ掛かることなく開口部に侵入し、記録用紙の両端部が各側部の傾斜している上面で受けられて徐々に持ち上げられ、用紙搬送部材により用紙全体が概ね吸着されて平面状にされて、記録用紙が搬送される。
【0019】
例えば、本発明の給紙装置においては、前記ガイド部の各側部と中央部との間に、前記各側部が前記中央部よりも低くなる段差を設けている。
【0026】
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の給紙装置を備えている。
【0027】
このような本発明の画像形成装置においても、上記本発明の給紙装置と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
このように本発明では、開口部の用紙の入口側では各側部が中央部よりも低くされている。このため、用紙搬送部材に吸着して搬送されている用紙の両端部が垂れ下がっていても、用紙の両端部が開口部の用紙の入口側で引っ掛かることなく開口部に侵入することができ、ジャムが発生することはない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の給紙装置の一実施形態を適用した画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、その構成を大別すると、原稿読取り装置2、印刷部11、用紙搬送部12、用紙供給部13、及び大容量給紙カセット(LCC)14からなる。
【0032】
印刷部11においては、クリーニング装置26により感光体ドラム21表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電装置22により感光体ドラム21の表面を所定の電位に均一に帯電させ、レーザ露光装置23により感光体ドラム21表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置24により感光体ドラム21表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム21表面にトナー像を形成する。
【0033】
転写ローラ25は、感光体ドラム21に圧接されて、感光体ドラム21との間にニップ域を形成しており、用紙搬送経路33を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、感光体ドラム21表面のトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置27の加熱ローラ28と加圧ローラ29間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のトナー像を定着させる。
【0034】
一方、用紙供給部13は、複数の給紙カセット38を備えている。各給紙カセット38は、記録用紙を一枚ずつ引出して送り出すためのそれぞれのピックアップローラ39等を備えており、引出した記録用紙を用紙搬送部12の用紙搬送経路33へと送り出す。
【0035】
また、大容量給紙カセット(LCC)14は、記録用紙を多量に収納可能であり、記録用紙を一枚ずつ引出して用紙搬送部12の用紙搬送経路33に送り出す。
【0036】
この記録用紙は、用紙搬送経路33を通じて搬送され、転写ローラ25や定着装置27を経由し、用紙排紙ローラ36を介して用紙排紙トレイ37に排出される。この用紙搬送経路33には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、感光体ドラム21と転写ローラ25間のニップ域でのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ32、記録用紙の搬送を促す搬送ローラ31、用紙排紙ローラ36等が配置されている。
【0037】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、分岐爪35の位置を切換えて、記録用紙を用紙排紙ローラ36から反転経路34へと逆方向に搬送し、記録用紙の表裏を反転させて、記録用紙をレジストローラ32へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を用紙排紙トレイ37に排出する。
【0038】
次に、画像形成装置1の本体上部に搭載された原稿読取り装置2を説明する。この原稿読取り装置2において、原稿搬送部42は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により第1読取り部41の奥一辺に枢支されており、その手前部分を上下させることにより原稿搬送部42を開いて、第1読取り部41のプラテンガラス44上に原稿用紙を載置することができる。
【0039】
第1読取り部41において、第1走査ユニット45は、副走査方向に移動しながら、プラテンガラス44上の原稿用紙表面を光源51によって照明し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して移動しつつ、原稿用紙からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射する。この反射光は、結像レンズ47によりCCD48(Charge Coupled Device)に集光されて、CCD48により原稿用紙の画像が読取られる。
【0040】
また、原稿搬送部42により搬送されている原稿用紙表面の画像を読取る場合は、
図1に示すように第1走査ユニット45を原稿読取りガラス55下方の読取り位置に移動し、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を位置決めする。この状態で、ピックアップローラ56により原稿トレイ57上の原稿用紙を引出して、原稿用紙を原稿搬送経路58を通じて搬送し、第1走査ユニット45の光源51により原稿用紙表面を原稿読取りガラス55を介して照明し、原稿用紙からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、CCD48により原稿用紙の画像を読取り、原稿用紙を原稿排紙ローラ61から原稿排紙トレイ62へと排出する。
【0041】
また、原稿搬送部42に内蔵の第2読取り部43(密着印刷画像センサ(Contact Image Sensor(CIS))は、第2読取り部(CIS)43の下を通過して原稿排紙トレイ62へと排出される原稿用紙裏面を照明し、原稿用紙裏面からの反射光を受光して、原稿用紙裏面の画像を読取る。
【0042】
このようにCCD48及びCIS43により読取られた原稿用紙の画像は、画像形成装置1のレーザ露光装置23に入力され、画像形成装置1において画像が記録用紙に記録され、この記録用紙が複写原稿として出力される。
【0043】
次に、大容量給紙カセット14に内蔵されている本実施形態の給紙装置71の構成を詳しく説明する。この給紙装置71は、多量の記録用紙を積載収容し、記録用紙を一枚ずつ引出して搬送経路33(
図1に示す)に送り出すものである。
【0044】
図2、
図3は、本実施形態の給紙装置71を示す平面図及び正面図である。
図2、
図3に示すように給紙装置71は、外側枠体72、底板73、外側枠体72の内側に配置された用紙積載台74、及び外側枠体72の一端上側に配置された用紙引出し部75等を備えている。
【0045】
用紙積載台74は、多量の記録用紙(用紙束)が積載されるものであって、外側枠体72の内側に昇降可能に設けられている。用紙積載台74には、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eに長い開口部74aが形成されている。用紙後端ガイド76は、底板73上で記録用紙の引出し方向Eに沿って往復移動可能に支持され、用紙積載台74の開口部74aを通じて上方に突出している。尚、記録用紙の引出し方向(用紙搬送方向)Eを前方、引出し方向Eとは逆方向を後方とする。
【0046】
この用紙積載台74の両側には、それぞれの凹所74bが形成されており、各凹所74bにそれぞれのアシストダクト77、78が配置されている。各アシストダクト77、78は、外側枠体72の両側で引出し方向Eと直交する方向に往復移動可能に支持されており、互に接近するように連動して移動されるか又は互に離間するように連動して移動される。
【0047】
用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。各用紙搬送ベルト81には、多数の通気孔81aが形成されており、空気が各用紙搬送ベルト81の各通気孔81aから吸気ダクト85を通じて吸排気ファン84へと吸い込まれる。また、吸排気ファン84から排気された空気は、排気ダクト86を通じて導かれ、排気ダクト86から外側枠体72の内側へと引出し方向Eとは逆方向(後方)に吹出される。
【0048】
図4は、用紙引出し部75を取外した状態で、外側枠体72、底板73、及び用紙積載台74等を斜め後方から見て示す斜視図である。ここで、用紙束を用紙積載台74に搭載するときには、用紙後端ガイド76を後方に移動させて、用紙後端ガイド76と外側枠体72の当接板72bとの間を広く開け、また各アシストダクト77、78を相互に離間する方向に移動させて、各アシストダクト77、78の間を広く開けておく。この状態で、用紙束を用紙積載台74に載せ、この後に用紙後端ガイド76を引出し方向Eに移動させ、用紙後端ガイド76の柱部76aにより用紙束の後端を引出し方向Eに押して、用紙束を用紙積載台74上で滑らして移動させ、用紙束の先端を外側枠体72の当接板72bに当接させて、用紙束の先端及び後端を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めする。また、各アシストダクト77、78を相互に接近する方向に移動させて、用紙束の両端を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。
【0049】
また、
図4に示すように用紙積載台74の両側には、突出片74cが2つずつ形成されており、各突出片74cが外側枠体72の両側の開口部72aから突出している。外側枠体72の片側では、2本のワイヤー91が用紙積載台74の片側の各突出片74cに接続され、各ワイヤー91が複数の従動プーリ92に掛けられて引き回され巻取りプーリ93に接続されている。また、外側枠体72の他の片側でも、他の2本のワイヤー91が用紙積載台74の他の片側の各突出片74cに接続され、他の各ワイヤー91が他の複数の従動プーリ92に掛けられて引き回され他の巻取りプーリ93に接続されている。各巻取りプーリ93は、回転自在に支持された共通の軸94の両端に固定されており、パルスモータ95により軸94が回転駆動されて、各巻取りプーリ93が回転し、各ワイヤー91が各巻取りプーリ93に巻取られたり各巻取りプーリ93から繰り出されたりする。
【0050】
パルスモータ95により軸94が回転駆動されて、各巻取りプーリ93が時計回り方向に回転されると、各ワイヤー91が各巻取りプーリ93に巻取られて、用紙積載台74が上昇し、また各巻取りプーリ93が反時計回り方向に回転されると、各ワイヤー91が各巻取りプーリ93から繰り出されて、用紙積載台74が下降する。また、パルスモータ95により回転駆動される巻取りプーリ93の回転角度と用紙積載台74の高さが対応関係にある。従って、パルスモータ95の回転方向及び回転角度を制御することにより、用紙積載台74の高さを調節設定することができる。
【0051】
また、用紙後端ガイド76の上部には、用紙積載台74上の用紙束の上面が所定高さに達したときにその用紙束の上面を検出する高さセンサ98が設けられている。この高さセンサ98により用紙束の上面が検出されるまで、パルスモータ95が回転されることにより用紙積載台74上の用紙束の上面が所定高さに位置決めされる。
【0052】
また、各アシストダクト77、78の外側には、それぞれのアシストファン79、80が設けられている。各アシストダクト77、78は、中空体であって、その内部に通気経路を有しており、各アシストファン79、80により吸引された空気がそれぞれのアシストダクト77、78の通気経路に送り込まれ、この空気が各アシストダクト77、78の排気口78a、79aから外側枠体72の内側に吹出されて用紙積載台74上の用紙束の両側端面に吹付けられる。
【0053】
次に、用紙引出し部75の構成を詳しく説明する。
図5は、用紙引出し部75を斜め上前方から見て示す斜視図である。また、
図6は用紙引出し部75を斜め上後方から見て示す斜視図であり、
図7は用紙引出し部75を斜め下後方から見て示す斜視図である。
【0054】
図5〜
図7に示すように用紙引出し部75は、4本の無端状の用紙搬送ベルト81、各用紙搬送ベルト81を架け渡す1組のローラ82、83、吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86等を備えている。
【0055】
吸気ダクト85は、中空体であって、その内部に引出し方向(用紙搬送方向)Eと直交する方向に長い空気吸引経路を有しており、その一側端部85aが吸排気ファン84に接続され、矢印Fに示すように吸気ダクト85の空気吸引経路から一側端部85aを通じて吸排気ファン84の吸気口(図示せず)へと空気が吸引される。
【0056】
また、吸気ダクト85の前端部85c及び後端部85dには、それぞれの凹所85hが形成されており、これらの凹所85hにそれぞれのローラ82、83が配置されて回転可能に軸支され、前方のローラ82の軸に搬送モータ97の出力軸が接続されている。各用紙搬送ベルト81は、各ローラ82、83間に架け渡されて、吸気ダクト85の上板85bからは僅かに離間し、吸気ダクト85の底板85gには接する。
【0057】
ここで、搬送モータ97により前方のローラ82が矢印方向Dに回転駆動され、後方のローラ83が従動回転し、各用紙搬送ベルト81が矢印方向Dに周回移動する。また、吸排気ファン84により吸気ダクト85内の空気が吸引され、空気が用紙搬送ベルト81の各通気孔81a及び吸気ダクト85の底板85gの空気吸引口等を通じて流入し、用紙積載台74上の用紙束の最上層の記録用紙が各用紙搬送ベルト81の表面に吸着され、各用紙搬送ベルト81により記録用紙が引出されて搬送される。
【0058】
図8の破断斜視図に示すように吸気ダクト85の底板85gには、引出し方向Eに延びる5本のリブ101a〜101eが形成され、各リブ101a〜101eの間に各用紙搬送ベルト81が配置されている。また、各リブ101a〜101eの間では、吸気ダクト85の底板85gの下面が下方に突出する滑らかな湾曲面102となっており、各用紙搬送ベルト81が各湾曲面102に圧接して変形し、各用紙搬送ベルト81の表面が各湾曲面102に沿って湾曲している。更に、各湾曲面102には、用紙搬送ベルト81の複数の通気孔81aに重なる空気吸引口103がそれぞれ形成され、各用紙搬送ベルト81により各空気吸引口103が覆われている。また、各湾曲面102及び各リブ101c〜101dには小さな吸引補助孔104も形成されている。
【0059】
図9に示すように空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a、吸気ダクト85の各空気吸引口103、及び吸引補助孔104を通じて吸い込むと、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙Pa1が吸着される。そして、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した最上層の記録用紙Pa1とその表面に直接吸着されず湾曲しない次の記録用紙Pa2との間に空間が形成され、各記録用紙Pa1、Pa2の間に空気が確実に侵入して、各記録用紙Pa1、Pa2が容易に分離する。
【0060】
一方、
図5〜
図7に示すように排気ダクト86も、中空体であって、引出し方向Eとは直交する方向に長い通気経路を有しており、その一側端部86aが吸排気ファン84に接続され、矢印Kで示すように吸排気ファン84の排気口(図示せず)から排気ダクト86の一側端部86aを通じて排気ダクト86の通気経路へと空気が送り込まれる。
【0061】
また、排気ダクト86の内壁面86dには、排気ダクト86の通気経路に通じる複数の排気口96が形成されている。この排気ダクト86の内壁面86dが外側枠体72の当接板72b(
図4に示す)の外側面に重ねて設けられ、排気ダクト86の各排気口96が外側枠体72の当接板72bの切欠部72cを介して外側枠体72の内側に向く。吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気が送り込まれると、この空気が各排気口96から外側枠体72の内側の方向(後方)に吹出されて用紙積載台74上の用紙束の先端面に吹付けられる。
【0062】
更に、排気ダクト86の上端部がガイド部87となっており、このガイド部87が各用紙搬送ベルト81の下方に位置し、各用紙搬送ベルト81とガイド部87との間が、各用紙搬送ベルト81により吸着されて搬送される記録用紙が通過する開口部ESとなっている。ガイド部87は、記録用紙の搬送方向(引出し方向E)と直交する方向に延在する中央部88と中央部88の両側の各側部89とを有する。各排気口96は、中央部88の直下及び各側部89の直下に振り分けられて設けられている。
【0063】
また、吸気ダクト85の一側端部85a及び排気ダクト86の一側端部86aが吸排気ファン84に共に接続され、また吸気ダクト85の他の側端部85f及び排気ダクト86の他の側端部86cが互いに接続され、これにより吸排気ファン84、吸気ダクト85、及び排気ダクト86が一体化されている。
【0064】
このような構成の給紙装置71において、
図10の概略的な断面図に示すように用紙束を用紙積載台74に載せて、用紙束を用紙後端ガイド76の柱部76aと外側枠体72の当接板72bとの間に挟み込んで位置決めし、また用紙束を各アシストダクト77、78の間に挟み込んで位置決めする。そして、パルスモータ95により各巻取りプーリ93を時計回り方向に回転させて、用紙積載台74を上昇させ、高さセンサ98により用紙束の上面が検出されるとパルスモータ95を停止させ、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さに位置決めする。また、空気を各アシストファン79、80から各アシストダクト77、78へと送り込み、空気を各アシストダクト77、78の排気口77a、78aから用紙積載台74上の用紙束の両側端面の先端寄り上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。更に、吸排気ファン84から排気ダクト86へと空気を送り込み、空気を各排気口96から用紙束の先端面の上層に吹付けて、空気を各記録用紙間に侵入させ、各記録用紙をばらつかせる。これにより、用紙束の上層の各記録用紙の密着力が低下し、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0065】
この状態で、空気を吸気ダクト85から吸排気ファン84へと吸い込んで、空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a、吸気ダクト85の底板85gの空気吸引口103、及び吸引補助孔104を通じて吸い込み、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を吸引して吸着する。このとき、各用紙搬送ベルト81の表面に直接吸着されて湾曲した最上層の記録用紙とその表面に直接吸着されず湾曲しない次の記録用紙との間に空間が形成されるので、各記録用紙の間に空気が確実に侵入する。これにより、用紙束の各記録用紙の密着力が低下して、用紙束からの記録用紙の引出しが容易になり、記録用紙を1枚ずつ引出すことが容易になる。
【0066】
同時に、搬送モータ97により各ローラ82、83を回転させて、各用紙搬送ベルト81を周回移動させ、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して画像形成装置1の搬送ローラ31へと搬送し、記録用紙を搬送経路33を通じて搬送する。そして、記録用紙を搬送ローラ31まで搬送すると、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ97による各ローラ82、83の回転を一時的に停止させ、各用紙搬送ベルト81からの記録用紙の引出しを完了した後に、吸排気ファン84による空気の吸引及び搬送モータ97による各ローラ82、83の回転を再開して、各用紙搬送ベルト81の表面に次の記録用紙を吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送ローラ31へと搬送し、以降同様に各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙を繰り返し吸着して、各用紙搬送ベルト81により記録用紙を引出し方向Eに引出して搬送して行く。
【0067】
また、記録用紙の引出しの繰り返しにより用紙束の上面が低下したときには、高さセンサ98により用紙束の上面が検出されるまでパルスモータ95を回転させて、用紙束の最上層の記録用紙を所定高さまで上昇させる。
【0068】
ところで、空気を各排気口96から用紙束の先端面の上層に吹付けるには、各排気口96を用紙束の上面と同一の高さかあるいはその高さ近くに位置決めする必要があり、各排気口96が各用紙搬送ベルト81に接近する。また、各排気口96が開口部ESのガイド部87の中央部88の直下及び各側部89の直下に振り分けて設けられている。このため、各排気口96が各用紙搬送ベルト81に接近すると、ガイド部87が各用紙搬送ベルト81に接近する。
【0069】
一方、記録用紙のサイズが大きくなると、
図11に示すように各用紙搬送ベルト81により記録用紙Pの両端部PPが吸着されずに垂れ下がることがある。
【0070】
仮に、そのように記録用紙Pの垂れ下がった両端部PPが、各用紙搬送ベルト81に接近したガイド部87に引っかかると、ジャムが発生する。
【0071】
詳しくは、
図11に示すように内側2本の用紙搬送ベルト81の外側両端の距離が定型のハガキサイズの横幅よりも僅かに狭くされ、両外側2本の各用紙搬送ベルト81の外側両端の距離が定型B5サイズの横幅と略同一にされている。また、開口部ESの横幅が定型A3サイズの横幅よりも僅かに長くされている。従って、記録用紙Pが概ね定型のハガキサイズである場合は、内側2本の用紙搬送ベルト81により記録用紙P全体が吸着され、記録用紙Pの両端部が垂れ下がることはない。
【0072】
しかしながら、記録用紙Pが定型B5サイズである場合は、記録用紙Pが両外側の各用紙搬送ベルト81の湾曲頂部s1よりも内側の領域Aで吸着されても、記録用紙Pの両端部PPが両外側の各用紙搬送ベルト81の湾曲面に沿って下方に曲げられて、各湾曲頂部s1近辺よりも外側では両外側の各用紙搬送ベルト81と記録用紙Pの両端部PPとの間の空気が漏れ易くなる。このため、各湾曲頂部s1近辺よりも外側では記録用紙Pの両端部PPが吸着されずに垂れ下がり、この状態で各用紙搬送ベルト81により記録用紙Pが開口部ESへと搬送される。
【0073】
また、記録用紙Pが定型A4サイズや定型A3サイズである場合も、記録用紙Pの両端部PPが両外側の各用紙搬送ベルト81からはみ出すので、記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がった状態で、各用紙搬送ベルト81により記録用紙Pが開口部ESへと搬送される。
【0074】
そして、そのように記録用紙Pの垂れ下がった両端部PPが、各用紙搬送ベルト81に接近したガイド部87に引っかかると、ジャムが発生する。
【0075】
そこで、本実施形態の給紙装置71では、開口部ESのガイド部87の上面形状を適宜設定して、記録用紙Pの垂れ下がった両端部PPがガイド部87に引っ掛からないようにしている。
【0076】
図12及び
図13は、開口部ESのガイド部87を示す背面図及び斜視図である。
図12及び
図13に示すようにガイド部87の中央部88の上面88aを規定高さの平坦面にして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設けている。また、各側部89の上面89aは、中央部88から離れる程より低くなるように傾斜して一定高さに達すると、一定高さに達した部位s2からガイド部87の両端まで一定高さを維持し、かつ開口部ESの記録用紙の入口側から離れる程高くなるように、よって入口側から離れる程各用紙搬送ベルト81に近づくように傾斜している。尚、一定高さとは、各側部89の上面89aよりも低い水平面からの高さである。
【0077】
このため、記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がっていても、記録用紙Pの両端部PPが開口部ESの入口側で各側部89に引っ掛かることなく開口部ESに侵入し、記録用紙Pの両端部PPが各側部89の傾斜している上面89aで徐々に持ち上げられて各用紙搬送ベルト81に近づけられ、各用紙搬送ベルト81により記録用紙Pの両端部PPが吸着され、記録用紙P全体が概ね平面状にされてから、記録用紙Pが画像形成装置1の用紙搬送経路33へと搬送される。これにより、ジャムの発生がより確実に防止される。
【0078】
また、
図12に示すようにガイド部87の中央部88を高くして各用紙搬送ベルト81に接近させているものの、各用紙搬送ベルト81により記録用紙Pの中央部が確実に吸着されて垂れ下がらないことから、記録用紙Pの中央部がガイド部87の中央部88に引っ掛かることはない。このため、ガイド部87の中央部88直下の各排気口96をも各用紙搬送ベルト81に接近させることができ、これらの排気口96からの空気を用紙束の先端面の上層に吹付けて、上層の各用紙を良好にばらつかせることができる。
【0079】
図14は、開口部ESのガイド部87の変形例を後方から見て示す背面図である。この変形例のガイド部87Aにおいては、ガイド部87Aの中央部88の上面88aを規定高さの平坦面にして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設け、ガイド部87Aの各側部89の上面89bを中央部88から離れる程より低くなる傾斜面とし、ガイド部87Aを背面から見たときに中央部88の上面88aと各側部89の上面89bが等脚台形を描くような形状としている。また、中央部88と各側部89との境界を両外側の各用紙搬送ベルト81の湾曲頂部s1よりも内側に位置決めしている。
【0080】
このため、各湾曲頂部s1近辺よりも外側で記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がっても、記録用紙Pの両端部PPが中央部88よりもより低い各側部89に引っ掛かることなく、記録用紙Pが開口部ESを通過する。
【0081】
図15は、開口部ESのガイド部87の変形例を後方から見て示す背面図である。この変形例のガイド部87Bにおいては、ガイド部87Bの中央部88の上面88aを規定高さの平坦面にして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設けている。また、各側部89の上面89cは、中央部88から離れる程より低くなるように傾斜して一定高さに達すると、一定高さに達した部位s2からガイド部87Bの両端まで一定高さを維持している。
【0082】
記録用紙Pは、剛性を有しているので、
図15に示すようにその両端部PPが垂れ下がっても、極端に垂れ下がることはない。このため、各側部89の上面89cを一定高さより低くしなくても、記録用紙Pの両端部PPが各側部89に引っ掛かることなく、記録用紙Pが開口部ESを通過する。
【0083】
また、
図15に示すように各側部89の上面89cの高さが著しく低くならないため、各側部89直下の各排気口96を各用紙搬送ベルト81に近づけることができ、これらの排気口96からの空気を用紙束の先端面の上層に確実に吹付けて、上層の各用紙を良好にばらつかせることができる。
【0084】
図16は、開口部ESのガイド部87の別の変形例を示す正面図である。この変形例のガイド部87Cにおいては、ガイド部87Cの中央部88の上面88aを規定高さの平坦面にして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設け、また各側部89の上面89dを中央部88の上面88aよりも低くして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設け、中央部88の上面88aと各側部89の上面89dとの間に段差を形成している。
【0085】
このため、記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がっていても、記録用紙Pの両端部PPが開口部ESの各側部89に引っ掛かることなく、記録用紙Pが開口部ESを通過する。
【0086】
図17(a)、(b)は、吸気ダクト85の変形例を示す断面図及び底面図である。この変形例の吸気ダクト85Aでは、その底板85iの下面が平面になっており、各リブ101a〜101eの間に配置された各用紙搬送ベルト81の表面も平面状になっている。空気を用紙搬送ベルト81の各通気孔81a、吸気ダクト85Aの各空気吸引口103、及び吸引補助孔104を通じて吸い込むと、各用紙搬送ベルト81の表面に記録用紙Pが吸着されて平面状になり、記録用紙Pが開口部ESへと搬送される。
【0087】
このように各用紙搬送ベルト81の表面が平面状である場合は、最も両外側の空気吸引口103の外側端部よりも内側の部位からガイド部87Aの両端までの領域Cで記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がり、それらの外側端部よりも内側の部位の間の領域Bでは各用紙搬送ベルト81の表面に吸着されている記録用紙Pの部分が平面状になる。そこで、ガイド部87Aの中央部88の上面88aを領域Bに配し、中央部88の上面88aを規定高さの平坦面にして各用紙搬送ベルト81と概ね平行に設け、またガイド部87Aの各側部89の上面89bを両外側の領域Cに配し、各側部89の上面89bを中央部88から離れる程より低くなる傾斜面とし、各側部89をガイド部87Aの両端までの領域に設けている。
【0088】
このため、両外側の領域Cで記録用紙Pの両端部PPが垂れ下がっても、記録用紙Pの両端部PPが中央部88よりもより低い各側部89に引っ掛かることなく開口部ESを通過する。
【0089】
尚、底板85iの下面が平面となっている吸気ダクト85Aを適用した場合でも、
図14〜
図16に示すようなガイド部87A、ガイド部87B、ガイド部87Cを組合わせて、中央部88を領域Bに設け、各側部89を両外側の領域Cに設ければ、同様の効果を得ることができる。
【0090】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。