【0010】
アルキレン基Aとしては、-CH
2-基、-CH
2CH
2-基等が挙げられ、かかるアルキレン基を有するポリフルオロアルキルアルコールとしては、2,2,2-トリフルオロエタノール(CF
3CH
20H)、3,3,3-トリフルオロプロパノール(CF
3CH
2CH
2OH)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール(CF
3CF
2CH
20H)、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタノール(CF
3CF
2CH
2CH
2OH)、2,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロペンタノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CH
20H)、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキサノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2OH)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタノール(CF
3CF
2CF
2CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2OH)等が例示される。
【実施例】
【0021】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0022】
参考例1
CF
3(CF
2)
3(CH
2)
2OH〔FA-4〕0.25gを30mlのメタノール中に加えて溶解させ、その溶液中にシリカゾル(日産化学製品メタノールシリカゾル;30重量%ナノシリカ含有、平均粒子径11nm)1.67g(ナノシリカとして0.50g)およびテトラエトキシシラン(東京化成製品;密度0.93g/ml)0.25mlを加え、マグネチックスターラで攪拌しながら、25重量%アンモニア水0.25mlを加え、5時間反応を行った。
【0023】
反応終了後、エバポレータを用いて減圧下でメタノールおよびアンモニア水を除去し、得られた粉末を約20mlのメタノール中で一夜再分散させた。翌日遠沈管を用いて遠心分離し、上澄みを捨て、新たなメタノールを加え、リンス作業を行った。このリンス作業を3回行った後、遠沈管の口をアルミニウムホイルで覆い、70℃のオーブン中に一夜入れた。その翌日50℃の真空乾燥機に一夜入れて乾燥し、0.582g(収率71%)の白色粉末を得た。
【0024】
得られた白色粉末の含フッ素ナノシリカコンポジットの粒子径およびそのバラツキを、25℃で固形分濃度1g/Lメタノール分散液について、動的光散乱(DLS)測定法によって測定した。また、熱重量分析(TGA)を、800℃の焼成前後について行った。その際、昇温速度は10℃/分とした。さらに、初期重量に対する焼成による減少重量の百分率も算出した。
【0025】
さらに、固形分濃度1重量%で分散させたコンポジット粒子の水〔H
2O〕、メタノール〔MeOH〕、エタノール〔EtOH〕、1,2-ジクロロエタン〔DCE〕およびテトラヒドロフラン〔THF〕に対する分散性を目視で観察し、次の評価基準にしたがって評価した。
○:均一に分散して、分散液は透明
△:やや分散して、分散液は白濁
×:分散せず、分散媒中に沈殿
【0026】
参考例2〜5
参考例1において、25重量%アンモニア水が種々に変更された。
【0027】
参考例6〜10
参考例1〜5において、含フッ素アルコールとして CF
3(CF
2)
5(CH
2)
2OH〔FA-6;C
2F
5(CF
2CF
2)
2(CH
2CH
2)OH〕が同量(0.25g)用いられた。
【0028】
参考例11〜15
参考例1〜5において、含フッ素アルコールとして CF
3(CF
2)
7(CH
2)
2OH〔FA-8;C
2F
5(CF
2CF
2)
3(CH
2CH
2)OH〕が同量(0.25g)用いられた。
【0029】
参考例16〜20
参考例1〜5において、含フッ素アルコールとして CF
3(CF
2)
3CH
2(CF
2)
5(CH
2)
2OH〔DTFA;C
4F
9(CH
2CF
2)(CF
2CF
2)
2(CH
2CH
2)OH〕が同量(0.25g)用いられた。
【0030】
参考例21〜25
参考例2において、含フッ素アルコールとして次のような化合物が同量(0.25g)用いられた。
参考例21:CF
3(CF
2)
2OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)CH
2OH 〔PO-3-OH〕
〃 22:CF
3(CF
2)
2O〔CF(CF
3)CF
2O〕
4CF(CF
3)CH
2OH 〔PO-6-OH〕
〃 23:HOCH
2〔CF(CF
3)OCF
2〕
2CF
2OCF(CF
3)CH
2OH 〔OXF3PO-OH〕
〃 24:HOCH
2CF(CF
3)〔OCF
2CF(CF
3)〕
nOCF
2
CF
2O〔CF(CF
3)CF
2O〕
mCF(CF
3)CH
2OH (n+m=6) 〔OXF8PO-OH〕
〃 25:HOCH
2CF(CF
3)〔OCF
2CF(CF
3)〕
nOCF
2
CF
2O〔CF(CF
3)CF
2O〕
mCF(CF
3)CH
2OH (n+m=12) 〔OXF14PO-OH〕
【0031】
以上の各参考例におけるアンモニア水量、回収量、収率および各種測定結果は、次の表1に示される。また、その分散性評価は、表2に示される。
なお、収率は、テトラアルコキシシランが自己縮合反応し、3次元のシロキサン結合Si-Oを形成させ、その内の -O-Si-O-〔SiO
2〕骨格を生成するものとして、下記計算式より求めた。なお、シリカが用いられない場合には、C=0として計算される。
収率(%)=A/〔B+C+(D×E×F/G)〕×100
A:生成コンポジット重量(g)
B:含フッ素アルコール重量(g)
C:シリカ重量(g)
D:テトラアルコキシシラン容量(ml)
E:テトラアルコキシシラン密度(g/ml)
F:テトラアルコキシシラン由来のSiO
2モル重量(g/モル)
G:テトラアルコキシシランモル重量(g/モル)
表1
含フッ素ナノシリカ
aq
.NH
3 回収量 収率
コンポジット粒子径(nm) 重量減
参考例 (ml) (g) (%) 焼成前 800℃焼成後 (%)
1 0.25 0.582 71 36.8± 9.9 39.0± 3.1 7
2 0.50 0.559 68 30.1± 7.3 39.5± 9.9 7
3 1.0 0.352 43 69.1±13.9 45.3±10.9 7
4 2.0 0.419 51 41.5±10.2 42.6± 9.2 7
5 4.0 0.571 70 34.0± 7.6 139.8±25.5 7
6 0.25 0.500 61 35.3± 8.3 53.3±11.4 8
7 0.50 0.580 71 40.5±11.3 40.5±12.0 6
8 1.0 0.590 72 40.5±13.0 62.3±18.5 6
9 2.0 0.488 60 105.3±19.0 97.5±30.2 7
10 4.0 0.426 52 45.4±13.2 60.9±17.1 6
11 0.25 0.521 64 41.7±13.7 81.7±21.6 7
12 0.50 0.481 59 28.2± 6.0 32.2± 9.8 6
13 1.0 0.475 58 56.6±11.5 53.7±10.2 6
14 2.0 0.516 63 53.6±11.4 55.1±14.5 6
15 4.0 0.565 69 39.7± 9.2 35.4±12.8 7
16 0.25 0.580 71 54.5±19.3 71.9±15.3 7
17 0.50 0.604 74 44.3±13.8 46.2±10.4 7
18 1.0 0.523 64 55.6±12.3 53.1±14.7 8
19 2.0 0.504 62 53.6±10.3 54.0±12.9 6
20 4.0 0.578 71 63.6±14.1 72.0±15.5 6
21 0.5 0.556 68 42.2± 4.2 35.2± 8.4 5
22 0.5 0.580 71 130.5±27.5 29.8± 5.8 7
23 0.5 0.466 57 55.5± 7.9 23.7± 7.1 5
24 0.5 0.359 44 96.9±10.9 30.0± 6.9 11
25 0.5 0.507 62 90.8±14.8 47.2± 9.7 20
表2
例 H2O MeOH EtOH DCE THF
参考例1 △ ○ ○ ○ ○
〃 2 ○ ○ ○ ○ ○
〃 3 ○ ○ ○ ○ ○
〃 4 ○ ○ ○ ○ ○
〃 5 ○ ○ ○ ○ ○
〃 6 ○ ○ ○ ○ ○
〃 7 ○ ○ ○ ○ ○
〃 8 △ ○ ○ ○ ○
〃 9 ○ ○ ○ ○ ○
〃 10 ○ ○ ○ ○ ○
〃 11 ○ ○ ○ ○ ○
〃 12 ○ ○ ○ ○ ○
〃 13 ○ ○ ○ ○ ○
〃 14 ○ ○ ○ ○ ○
〃 15 ○ ○ ○ ○ ○
〃 16 ○ ○ ○ ○ ○
〃 17 ○ ○ ○ ○ ○
〃 18 ○ ○ ○ ○ ○
〃 19 ○ ○ ○ ○ ○
〃 20 ○ ○ ○ ○ ○
〃 21 ○ ○ ○ ○ ○
〃 22 ○ ○ ○ ○ ○
〃 23 ○ ○ ○ ○ ○
〃 24 ○ ○ ○ ○ ○
〃 25 ○ ○ ○ ○ ○
【0032】
実施例1〜3
参考例13〜15において、メタノールシリカゾルが用いられなかった。
【0033】
参考例31〜33
参考例18〜20において、メタノールシリカゾルが用いられなかった。
【0034】
参考例34〜36
参考例21において、メタノールシリカゾルが用いられず、25%アンモニア水量が種々変更して用いられた。
【0035】
参考例37〜39
参考例22において、メタノールシリカゾルが用いられず、25%アンモニア水量が種々変更して用いられた。
【0036】
参考例40
参考例23において、メタノールシリカゾルが用いられず、25%アンモニア水量が4.0mlに変更して用いられた。
【0037】
参考例41
参考例24において、メタノールシリカゾルが用いられず、25%アンモニア水量が4.0mlに変更して用いられた。
【0038】
参考例42
参考例25において、メタノールシリカゾルが用いられず、25%アンモニア水量が4.0mlに変更して用いられた。
【0039】
以上の実施例1〜3および参考例31〜42におけるアンモニア水量、生成含フッ素ナノコンポジット粒子、回収量、収率および各種測定結果は、次の表3に示される。また、その分散性評価は、表4に示される。
表3
含フッ素ナノ
aq
.NH
3 回収量 収率
コンポジット粒子径(nm) 重量減
例 (ml) (g) (%) 焼成前 800℃焼成後 (%)
実施例1 1.0 0.065 20 54.5±12.0 16.6± 3.8 18
〃 2 2.0 0.059 19 21.1± 6.0 26.4± 6.0 17
〃 3 4.0 0.065 20 37.3± 8.1 49.6±11.2 17
参考例31 1.0 0.072 23 41.0± 8.7 16.3± 3.9 17
〃 32 2.0 0.044 14 47.5±10.1 24.4± 5.7 20
〃 33 4.0 0.069 22 81.5±14.5 24.2± 5.6 25
〃 34 1.0 0.073 23 48.3± 4.8 34.2± 4.4 16
〃 35 2.0 0.073 23 53.1± 5.1 38.0± 9.2 12
〃 36 4.0 0.067 21 45.1± 6.5 51.1±16.8 12
〃 37 1.0 0.070 22 141.5±31.8 26.6± 6.3 16
〃 38 2.0 0.048 15 80.2±31.2 80.5±21.2 13
〃 39 4.0 0.063 20 69.2±10.1 69.4±12.5 12
〃 40 4.0 0.051 16 60.5±12.4 55.1±12.1 12
〃 41 4.0 0.063 20 55.7± 8.9 65.4±12.1 13
〃 42 4.0 0.171 54 63.2± 6.7 53.5± 7.8 −
表4
例 H2O MeOH EtOH DCE THF
実施例1 ○ ○ ○ ○ ○
〃 2 ○ ○ ○ ○ ○
〃 3 △ ○ ○ ○ ○
参考例31 ○ ○ ○ ○ ○
〃 32 ○ ○ ○ ○ ○
〃 33 ○ ○ ○ ○ ○
〃 34 ○ ○ ○ ○ ○
〃 35 ○ ○ ○ ○ ○
〃 36 ○ ○ ○ ○ ○
〃 37 ○ ○ ○ ○ ○
〃 38 △ ○ ○ ○ ○
〃 39 ○ ○ ○ ○ ○
〃 40 ○ ○ ○ ○ ○
〃 41 △ ○ ○ ○ ○
〃 42 ○ ○ ○ ○ ○
【0040】
参考例51〜75
前記参考例1〜25で得られた焼成前の含フッ素ナノシリカコンポジット粒子(参考例51〜75)のメタノール分散液(粒子濃度5g/L)を、ガラスプレパラートにディッピングし、室温下で乾燥させ、得られた薄層表面に室温条件下で4μlの液滴を静かに接触させ、n-ドデカンまたは水に付着した液滴の接触角(単位:°)を、θ/2法により接触角計(協和界面化学製DropMaster 300)で測定した。なお、水については経時的な測定が行われた。得られた結果は、次の表5に示される。
表5
水 (経過時間:分)
例 コンポジット ドデカン 0 5 10 15 20 25 30
参考例51 参考例1 35 21 10 0 0 0 0 0
〃 52 〃 2 7 22 17 15 13 11 10 7
〃 53 〃 3 4 7 0 0 0 0 0 0
〃 54 〃 4 0 7 0 0 0 0 0 0
〃 55 〃 5 0 0 0 0 0 0 0 0
〃 56 〃 6 49 28 0 0 0 0 0 0
〃 57 〃 7 46 48 27 26 24 20 20 17
〃 58 〃 8 16 19 19 16 14 13 10 8
〃 59 〃 9 14 11 0 0 0 0 0 0
〃 60 〃 10 19 16 7 0 0 0 0 0
〃 61 〃 11 114 37 34 33 31 30 30 28
〃 62 〃 12 108 61 58 52 49 46 45 41
〃 63 〃 13 123 59 17 0 0 0 0 0
〃 64 〃 14 125 23 13 10 8 0 0 0
〃 65 〃 15 127 91 18 4 0 0 0 0
〃 66 〃 16 82 30 21 20 14 9 0 −
〃 67 〃 17 71 64 61 58 56 55 52 52
〃 68 〃 18 55 79 77 75 68 61 58 52
〃 69 〃 19 80 95 75 63 57 50 47 42
〃 70 〃 20 47 113 82 72 64 57 53 49
〃 71 〃 21 72 23 0 0 0 0 0 0
〃 72 〃 22 62 0 0 0 0 0 0 0
〃 73 〃 23 49 18 0 0 0 0 0 0
〃 74 〃 24 51 24 11 0 0 0 0 0
〃 75 〃 25 66 17 0 0 0 0 0 0
【0041】
実施例4〜6、参考例81〜92
前記実施例1〜3および参考例31〜42で得られた焼成前の含フッ素ナノシリカコンポジット粒子(参考例4〜6、参考例81〜92)について、参考例51〜75と同様にして、接触角の測定が行われた。得られた結果は、次の表6に示される。
表6
水 (経過時間:分)
例 コンポジット ドデカン 0 5 10 15 20 25 30
実施例4 実施例1 50 52 48 45 38 34 29 25
〃 5 〃 2 45 62 54 47 44 37 33 25
〃 6 〃 3 43 35 29 26 22 18 14 9
参考例81 参考例31 98 81 69 61 57 53 50 44
〃 82 〃 32 73 86 69 51 45 36 28 22
〃 83 〃 33 43 61 51 48 44 36 29 24
〃 84 〃 34 42 27 17 17 17 15 15 14
〃 85 〃 35 51 30 25 23 23 22 20 19
〃 86 〃 36 34 23 0 0 0 0 0 0
〃 87 〃 37 59 43 18 15 13 13 12 11
〃 88 〃 38 64 51 37 35 35 34 31 31
〃 89 〃 39 61 34 28 27 24 24 23 23
〃 90 〃 40 54 33 12 11 10 10 9 8
〃 91 〃 41 63 90 42 40 40 38 37 37
〃 92 〃 42 64 91 47 45 44 42 42 42