(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間で送受信されるRF(Radio Frequency)信号を取得することにより、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間でやり取りされる信号データを測定する測定器を備えた信号測定システムであって、
前記非接触ICカードリーダライタは、前記信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を外部に出力する発光部を筐体外面に備え、
前記測定器は、前記発光部が出力する前記発光信号を受光装置で受光して電気信号に変換し、前記信号データの送信タイミングと同期する信号を含む同期用信号として該電気信号を該受光装置から出力し、前記受光装置から出力される前記同期用信号をトリガとして用いて、前記RF信号に含まれている前記信号データを抽出し、抽出した信号データに基づいて、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間の前記信号データを測定することを特徴とする信号測定システム。
前記発光部から外部に出力する前記発光信号を生成する発光素子として、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Organic Electro-Luminescence)、または、電球のいずれかを用いることを特徴とする請求項1に記載の信号測定システム。
前記測定器が、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間で送受信される前記RF信号を取得する手段として、前記非接触ICカードリーダライタから外部に送信される前記RF信号によって電圧が誘起される位置に配置した測定コイルを接続してなることを特徴とする請求項1または2に記載の信号測定システム。
非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間で送受信されるRF(Radio Frequency)信号を測定器により取得することにより、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間でやり取りされる信号データを測定する信号測定方法であって、
前記非接触ICカードリーダライタは、筐体外面に備えられた発光部から、前記信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を外部に出力させ、
前記測定器は、前記発光部が出力する前記発光信号を受光して電気信号に変換して、前記信号データの送信タイミングと同期する信号を含む同期用信号を生成し、さらに、生成した前記同期用信号をトリガとして用いて、前記RF信号に含まれている前記信号データを抽出し、抽出した該信号データに基づいて、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間の前記信号データを測定することを特徴とする信号測定方法。
前記発光部から外部に出力する前記発光信号を生成する発光素子として、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Organic Electro-Luminescence)、または、電球のいずれかを用いることを特徴とする請求項4に記載の信号測定方法。
前記測定器が、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間で送受信される前記信号データを取得する手段として、前記非接触ICカードリーダライタから外部に送信される前記RF信号によって電圧が誘起される位置に配置した測定コイルを接続してなることを特徴とする請求項4または5に記載の信号測定方法。
【背景技術】
【0002】
非接触ICカードリーダライタは、非接触ICカードとの間で送受信するための信号データを搬送波に重畳させてRF(Radio Frequency:無線)信号として送受信する。例えば、特許文献1の特開2000−242739号公報には、非接触ICカードが通信可能範囲において近い場合における送受信の電力損失や発熱を低減しかつ通信距離を広げることができる非接触ICカードリーダライタ装置が記載されている。そして、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間の通信不良が発生した場合には、RF信号によって送受信される信号データを測定するための仕組みが必要である。つまり、RF信号によって送受信される信号データを測定するための測定器を含む信号測定システムが、必要とされる。前記測定器は、例えば非接触ICカードリーダライタのRF信号によって測定コイルに電圧を誘起させて取り込むことにより、該RF信号の中に含まれている信号データが非接触ICカードとの間で正常に送受信されているか否かをモニタする。
【0003】
図5は、非接触ICカードリーダライタが送受信する信号データをモニタするための測定器を付属設置して構成される従来の信号測定システムのシステム構成図である。
図5に示すように、従来の信号測定システムにおいては、非接触ICカードリーダライタ100’の筐体110’に設置したアンテナ104に近接した位置に測定コイル300を配置し、非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200との間で送受信されるRF信号Fによって測定コイル300に電圧を誘起させ、測定コイル300に誘起された電圧を測定器500側に取り込むように構成している。測定器500’は、測定コイル300に誘起された電圧から非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200との間で送受信される信号データを抽出してモニタすることにより、通信不良の発生の有無を判別することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5に示した従来の信号測定システムにおいて、非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200との間で送受信されるRF信号Fには、信号データの他に、搬送波が含まれている。該搬送波は、非接触ICカード200の電源供給用としても利用されるので、信号データの有無に関わらず、通信中の状態にある限り、非接触ICカードリーダライタ100’からは連続して送信されている。したがって、非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200との間の通信において通信不良が発生した場合、測定器500’によって、非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200とのいずれの方向からの通信において通信不良が発生しているかを調査しようとする際に、非接触ICカードリーダライタ100’からの信号データがRF信号Fのどのタイミングで送信されているのかを判別することが必要である。
【0006】
しかし、非接触ICカードリーダライタ100’からの信号データの生成部位は、筐体110’の内部に存在している。非接触ICカードリーダライタ100’の製造者は、組み立ての最終工程における筐体110’のカバーで内部の回路部を覆う前の段階で、内部回路からリード線により、信号データの送信タイミング信号を取り出し、その送信タイミング信号を測定器500’に入力していた(このリード線は
図5には描いてない。)。測定器500’では、このようにして供給された送信タイミング信号に基づき、測定コイル300に誘起された電圧から非接触ICカードリーダライタ100’と非接触ICカード200との間で送受信される信号データを抽出してモニタすることにより、通信不良の発生の有無を判別していた。他方、非接触ICカードリーダライタ100’の製造者以外の利用者は、筐体110’の外部から、非接触ICカードリーダライタ100’からの信号データの送信タイミングを検出することは困難である。そこで、非接触ICカードリーダライタ100’にて生成される信号データを測定しようとする場合には、筐体110’を分解して、信号データの生成部位に直接アクセスすることができるようにすることが必要である。しかし、通信不良が発生した場所は、一般に、設備が整っていない場所であり、かかる場所においては、筐体110’の分解作業は困難であり、通信不良に対する迅速な対応を行うことが難しい。
【0007】
(本発明の目的)
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、非接触ICカードリーダライタの製造者以外であっても、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間の信号データを測定することを可能にするために、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間の通信状態で、非接触ICカードリーダライタに変更等を加えることなく、非接触ICカードリーダライタが送信するRF信号における信号データの送信タイミングを外部から取得することが可能な信号測定システム、非接触ICカードリーダライタおよび信号測定方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による信号測定システム、非接触ICカードリーダライタおよび信号測定方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)本発明による信号測定システムは、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間で送受信されるRF(Radio Frequency)信号を取得することにより、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間でやり取りされる信号データを測定する測定器を備えた信号測定システムであって、前記非接触ICカードリーダライタは、前記信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を外部に出力する発光部を筐体外面に備え、前記測定器は、前記発光部が出力する前記発光信号を受光装置で受光して電気信号に変換し、前記信号データの送信タイミングと同期する信号を含む同期用信号として該電気信号を該受光装置から出力し、前記受光装置から出力される前記同期用信号をトリガとして用いて、前記RF信号に含まれている前記信号データを抽出し、抽出した信号データに基づいて、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間の前記信号データを測定することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明による非接触ICカードリーダライタは、非接触ICカードとの間でやり取りする信号データをRF(Radio Frequency)信号に変調して送受信する非接触ICカードリーダライタであって、前記信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を外部に出力する発光部を筐体外面に備えてなることを特徴とする。
【0011】
(3)本発明による信号測定方法は、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間で送受信されるRF(Radio Frequency)信号を測定器により取得することにより、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間でやり取りされる信号データを測定する信号測定方法であって、前記非接触ICカードリーダライタは、筐体外面に備えられた発光部から、前記信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を外部に出力させ、また、前記測定器は、前記発光部が出力する前記発光信号を受光して電気信号に変換して、前記信号データの送信タイミングと同期する信号を含む同期用信号を生成し、さらに、生成した前記同期用信号をトリガとして用いて、前記RF信号に含まれている前記信号データを抽出し、抽出した該信号データに基づいて、前記非接触ICカードリーダライタと前記非接触ICカードとの間の前記信号データを測定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非接触ICカードリーダライタに変更等加えることなく、非接触ICカードリーダライタが送信するRF信号における信号データの送信タイミングを取得することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による信号測定システム、非接触ICカードリーダライタおよび信号測定方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による信号測定システム、非接触ICカードリーダライタおよび信号測定方法について説明するが、かかる信号測定方法を制御するための制御ステップをコンピュータにより実行可能な信号測定プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、信号測定プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0015】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、非接触ICカードリーダライタと非接触ICカードとの間の通信において、信号データを測定し易くし、かつ、使い勝手の良い非接触ICカードリーダライタを実現することを主要な特徴としている。
【0016】
本発明の具体的な実現手段として、非接触ICカードリーダライタは、筐体外面に発光部を備え、該発光部が、非接触ICカードとの間で通信する信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号を筐体外部に出力することにより、信号データを測定し易くしている。つまり、発光部は、非接触ICカードリーダライタから非接触ICカードに送信する信号データの送信タイミングに同期して点滅する発光信号、すなわち、該信号データのHigh/Low状態に応じて点滅する発光信号を、非接触ICカードリーダライタの通信状態を示す信号として筐体外部に出力する。
【0017】
さらには、非接触ICカードリーダライタから非接触ICカードに送信するRF信号を測定するために設置した測定器には、受光装置を備え、該受光装置は、非接触ICカードリーダライタの筐体外面に備えた発光部から射出される発光信号(点滅する光信号)を受光して、電気信号に変換して、信号データの送信タイミングに同期する信号を含む同期用信号として測定器に対して送信する。受光装置からの同期用信号を受信した測定器は、非接触ICカードリーダライタから送信されるRF信号に含まれる信号データを検知するためのトリガ信号を生成し、該トリガ信号によってRF信号の中から信号データを正確に抽出して、非接触ICカードリーダライタや非接触ICカードの信号データを容易に測定することができ、かつ、使い勝手を向上させることができる。なお、非接触ICカードからの信号データは、非接触ICカードリーダライタの送信タイミングから、所定の時間、RF信号を監視して測定する。
【0018】
(本発明の実施形態の構成例)
次に、本発明に係る信号測定システムのシステム構成の一例について
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る信号測定システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図1に示す信号測定システムは、
図5に示した従来の信号測定システムと同様、非接触ICカードリーダライタ100と非接触ICカード200と測定器500とから構成されている。測定器500は、非接触ICカードリーダライタ100の筐体110に設置されたアンテナ104に近接した位置に測定コイル300を配置し、非接触ICカードリーダライタ100と非接触ICカード200との間で送受信されるRF信号Fによって、測定コイル300に電圧を誘起させて取り込むように構成している。
【0019】
さらに、
図1に示す信号測定システムは、
図5に示した従来の信号測定システムとは異なり、測定器500が、測定コイル300により取り込んだRF信号Fの中から非接触ICカードリーダライタ100と非接触ICカード200との間で送受信される信号データを抽出することができるように、非接触ICカードリーダライタ100の筐体110の外面に、信号データの送信タイミングと同期して点滅する発光信号Hを出力する発光部120を設置することによって、送信する信号データの送信タイミングを外部に出力するように構成している。
【0020】
他方、測定器500側には、受光装置400が接続されている。受光装置400は、非接触ICカードリーダライタ100の発光部120に近接する位置に配置され、発光部120から出力される発光信号Hを受光して電気信号に変換して同期用信号Sとして測定器500に送信する。測定器500は、受光装置400から送信されてくる同期用信号Sにより、測定コイル300から受信したRF信号Fから信号データを抽出するためのトリガ信号を生成して、該RF信号Fに含まれている信号データを抽出することができる。また、非接触ICカードからの信号データの測定は、非接触ICカードリーダライタの送信タイミングから、所定の時間、RF信号を監視することによって抽出することができる。
【0021】
次に、
図1に示した非接触ICカードリーダライタ100の内部構成について、その一例を、
図2を参照しながらさらに詳細に説明する。
図2は、
図1の信号測定システムにおける非接触ICカードリーダライタ100の内部構成の一例を示すブロック構成図であり、信号データの送信タイミングを示す情報を外部に表示・出力するという送信タイミング表示機能付き非接触ICカードリーダライタの内部構成についてその一例を示している。
【0022】
図2に示すように、非接触ICカードリーダライタ100は、制御部101、変調回路102、増幅回路103、アンテナ104、受信回路105、および、発光部120を少なくとも含んで構成されている。
図2の非接触ICカードリーダライタ100の制御部101は、非接触ICカード200との間の通信中の状態に移行すると、通信中の状態にあることを示す表示信号Aを発光部120に対して出力するとともに、送信しようとする信号データを示す送信データ信号Bを生成して変調回路102と発光部120とに対して出力し、さらに、搬送波Cを生成して変調回路102に対して出力する。
【0023】
変調回路102は、制御部101から出力されてきた搬送波Cに送信データ信号Bを重畳させた送信信号Dを生成して、増幅回路103に対して出力する。増幅回路103は、変調回路102から出力されてきた送信信号Dをあらかじめ設定された増幅率で増幅した送信増幅信号Eを生成して、アンテナ104に対して出力する。アンテナ104は、増幅回路103からの送信増幅信号EをRF信号Fとして外部に射出する。アンテナ104から射出されたRF信号Fを受信した非接触ICカード200は、受信したRF信号Fの搬送波により駆動用の電力を取得するとともに、該RF信号Fに含まれている信号データに応じて、非接触ICカード200内の負荷を切り替えて、負荷変動として、RF信号Fに重畳させて、非接触ICカードリーダライタ100に対して送り返す。
【0024】
アンテナ104を介して非接触ICカード200からのRF信号Fを受信すると、非接触ICカードリーダライタ100の受信回路105は、該RF信号Fに送信増幅信号Eとともに含まれている負荷変動を示す情報を抽出する受信復調動作を行い、非接触ICカード200からの受信データ信号Gとして制御部101に対して出力し、通信を終了する。
【0025】
一方、非接触ICカードリーダライタ100の発光部120は、通信中状態を示す表示信号Aにより点灯状態にした発光信号Hを出力させるとともに、しかる後に、制御部101から出力されてきた送信データ信号BのON/OFFに同期させて該発光信号Hの発光状態を点滅させた状態にし、点滅する発光信号Hとして、非接触ICカードリーダライタ100の外部に出力する。したがって、発光部120から出力される発光信号Hの点滅状態は、非接触ICカードリーダライタ100から送信しようとする信号データの送信タイミングと同期した状態で点滅することになり、外部に対して信号データの送信タイミングを通知していることになる。該発光部120に近接して配置された受光装置400は、発光部120から出力される発光信号H(送信しようとする信号データを示す送信データ信号Bに同期して点滅する光信号)を受光すると、電気信号に変換して、非接触ICカードリーダライタ100のアンテナ104から射出されるRF信号Fに含まれる信号データの送信タイミングに同期した信号を含む同期用信号Sとして測定器500に対して送信する。
【0026】
(実施形態の動作の説明)
次に、
図1、
図2に示した信号測定システムの動作について、
図3および
図4を参照しながら詳細に説明する。
図3は、
図1の非接触ICカードリーダライタ100から発光信号Hを出力する発光部120内の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。ここで、発光信号Hは、非接触ICカードリーダライタ100から送信しようとする信号データの送信タイミングに同期して点滅することによって、前述したように、該信号データの送信タイミングを外部に通知している。
【0027】
また、
図4は、
図1の非接触ICカードリーダライタ100の主要な部位から出力される各信号のタイミング関係を説明するためのタイムチャートである。つまり、
図4(A)は、アンテナ104から射出されるRF信号Fのタイムチャートであり、
図4(B)は、筐体110内部の制御部101から発光部120および変調回路102に対して出力される送信データ信号Bのタイムチャートであり、
図4(C)は、筐体110内部の制御部101から発光部120に対して出力される表示信号Aのタイムチャートであり、また、
図4(D)は、発光部120から出力される発光信号Hのタイムチャートである。
【0028】
まず、
図3の発光部120の回路図を参照しながら、発光部120の動作の一例について詳細に説明する。一例として、
図3に示す発光部120の回路構成においては、発光部120が、表示信号AによってON/OFFを切り替える表示信号スイッチ121、点滅する発光信号Hを外部に出力するLED(Light Emitting Diode)122、送信データ信号BによってON/OFFを切り替える送信データ信号スイッチ123、を直列接続した構成からなっている。通信が開始される前の初期状態においては、制御部101から出力される表示信号Aおよび送信データ信号BはいずれもHigh状態にあり、表示信号スイッチ121はOFF状態にあり、一方、送信データ信号スイッチ123はON状態にある。このため、初期状態においては、LED122には電流が流れることなく、発光信号Hは滅灯した状態にある。
【0029】
次いで、通信開始時に達すると、表示信号AはHighからLow状態に切り替えられて制御部101から出力され、表示信号スイッチ121はON状態に切り替わって、電源電圧VccがLED122の両端にかかって、LED122に電流が流れる状態になる。したがって、LED122から出力される発光信号Hは点灯した状態に切り替わる。
【0030】
しかる後、送信しようとする信号データが発生して、制御部101から送信データ信号Bが出力されてくると、送信データ信号BのHighアクティブ時には、送信データ信号スイッチ123がONされて、LED122には電流が流れるが、一方、送信データ信号BのLowアクティブ時には、送信データ信号スイッチ123がOFFされて、LED122には電流が流れなくなる。したがって、LED122から出力される発光信号Hは、送信データ信号BのHigh、Low状態に同期して、点滅することになる。LED122と送信データ信号スイッチ123との間には電流制限抵抗124が挿入してある。
【0031】
通信が終了すると、表示信号AはLowからHigh状態に切り替えられて制御部101から出力されるので、表示信号スイッチ121はONからOFF状態に切り替わり、LED122に電流が流れない状態になる。したがって、LED122から出力される発光信号Hは滅灯した状態に切り替わる。
【0032】
次に、
図4のタイムチャートを参照して、非接触ICカードリーダライタ100の主要な部位の各信号のタイミング関係についてさらに説明する。
図4のタイムチャートにおいて、時刻t
0に達して通信を開始すると、
図4(A)に示すように、筐体110内の制御部101が生成した搬送波Cを変調増幅した状態のRF信号Fがアンテナ104から射出されるとともに、
図4(C)に示すように、筐体110内の制御部101から発光部120に対して出力される表示信号Aが、HighからLow状態に切り替わって、表示信号スイッチ121がON状態になり、発光部120から出力される発光信号Hは、
図4(D)に示すように、点灯状態に切り替わって外部に出力される。
【0033】
しかる後、時刻t
1〜t
6において、制御部101は信号データを送信しようとして、
図4(B)に示すように、制御部101から変調回路102に対して出力される送信データ信号BのLow/High状態を切り替えると、該送信データ信号BのLow/High状態に同期して、送信データ信号スイッチ123のOFF/ON状態が切り替わって、発光部120から出力される発光信号Hは、
図4(D)に示すように、滅灯/点灯状態が切り替わる。すなわち、送信データ信号Bを送信する時刻t
1〜t
6においては、
図4(B)、
図4(D)に示すように、RF信号Fに含まれる信号データの送信タイミングに同期して、発光部120から出力される発光信号Hが点滅する。したがって、受光装置400において発光信号Hの点灯から滅灯状態への切り替えを検知することによって、RF信号Fに含まれる信号データの測定を行うための同期用信号Sとして、測定器500に対して出力することができる。
【0034】
しかる後、時刻t
7において通信が終了すると、筐体110内の制御部101からは搬送波Cが出力されなくなり、
図4(A)に示すように、RF信号Fがアンテナ104から射出されなくなるとともに、
図4(C)に示すように、筐体110内の制御部101から発光部120に対して出力される表示信号Aは、LowからHigh状態に切り替わって、表示信号スイッチ121がOFF状態になり、発光部120から出力される発光信号Hは、
図4(D)に示すように、滅灯状態に切り替わって外部に出力される。なお、
図4のタイムチャートは、非接触ICカードからの信号データに関しては図示していない。また、上記実施例では、非接触ICカードリーダライタからの信号データの送信タイミングで、発光部が滅灯しているが、逆に、非接触ICカードリーダライタからの信号データの送信タイミングで、発光部が点灯するものであってもよい。
【0035】
以上に説明したように、非接触ICカードリーダライタ100の筐体110外面に、送信しようとする信号データ(送信データ信号B)の送信タイミングに同期して発光信号Hを点滅させて外部に出力する発光部120を備えることによって、筐体110内部の回路に直接アクセスすることなく、信号データの送信タイミングを外部から容易に取得することが可能になる。さらには、該発光部120に近接する位置に、測定器500に接続された受光装置400を配置して、該受光装置400において、発光部120が出力する発光信号Hを受光して、信号データの送信タイミングを抽出するためのトリガとなる同期用信号Sを生成して測定器500に対して出力することも可能としており、RF信号Fに含まれる信号データを測定する測定器500において、RF信号Fに含まれている信号データを正確なタイミングで抽出して、非接触ICカードリーダライタ100からの通信不良の有無を的確に判定することができる。
【0036】
なお、
図3に示した表示部120の回路構成においては、発光部120から外部に発光信号Hを出力するための発光素子としてLED(Light Emitting Diode)を用いる場合について例示したが、LEDの代わりに、電球や有機EL(Organic Electro-Luminescence)等を用いることにしても良い。
【0037】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、以下のような効果が得られる。
【0038】
第1に、非接触ICカードリーダライタ100から送信する信号データの送信タイミングの取得に当たって、該信号データの測定環境に被測定物以外の構成を新たに追加する必要がないので、非接触ICカードリーダライタ100のアンテナ104から送信されるRF信号Fに影響を与えることなく、非接触ICカードリーダライタ100と非接触ICカード200との間で送受信される信号データの測定を行うことができる。
【0039】
第2に、非接触ICカードリーダライタ100から送信する信号データの送信タイミングを通知する情報を発光部120からの発光信号Hとして非接触ICカードリーダライタ100の筐体110の外部に出力しているので、非接触ICカードリーダライタ100の筐体110を分解することなく、筐体110の外部からであっても信号データの送信タイミングを容易に取得することができる。
【0040】
第3に、非接触ICカードリーダライタ100から送信する信号データの送信タイミングを通知する情報を発光部120からの発光信号Hとして非接触ICカードリーダライタ100の筐体110の外部に出力しているので、非接触ICカードリーダライタ100の製造者以外の利用者であっても信号データの送信タイミングを容易に取得することができる。
【0041】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。