【実施例】
【0025】
以下、本発明の実施例を、
図1〜
図3を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例であるローラ搬送装置としてのシュート100は、複数の物品2、本実施例では形状(形状には、大きさも含まれる。)または重量など、複数の種類の物品2を搬送して仕分ける物品仕分設備1に備えられる。
物品搬送設備としての物品仕分設備1は、作業者等により投入された物品2を搬送する
と共に仕分ける仕分装置としてのトレー式仕分装置10と、仕分装置10により仕分けられた物品2を搬送する複数のシュート100と、仕分装置10を制御する制御盤30とを備える。
【0026】
図1,
図2を参照すると、仕分装置10は、制御盤30により制御されて、物品2を自動的に搬送しつつ、該物品2を、その仕分先に応じて制御盤30により設定される複数の仕分部位(
図1,
図2には、仕分装置10の1つの仕分部位が示されている。)において、前記仕分先に対応するシュート100に自動的に搬入する。
各シュート100は、仕分装置10の前記各仕分部位に対して、左右方向での少なくとも片側に、本実施例では両側に配置されている。
【0027】
ここで、左右方向は、仕分装置10により搬送される物品2の移動方向である仕分用搬送方向に向いているときの左右方向であるとする。
そして、仕分用搬送方向は、仕分装置10により搬送されている物品2が仕分装置10から分岐して配置されるシュート100に移送される前の移送前搬送方向である。また、シュート100での搬送方向は、後述するローラ搬送部120での搬送方向であるローラ搬送方向である。
さらに、上流および下流は、仕分装置10およびシュート100における物品2の移動、すなわち物品2の流れに関してのものである。
【0028】
より具体的には、仕分装置10は、作業者等により投入された物品2が1つずつ載置される載置部としての複数のトレー12を有する搬送体11と、搬送体11による物品2の搬送経路を規定する搬送経路規定部材である走行レール14と、搬送体11を前記搬送経路に沿って移動させるリニアモータを有する搬送駆動機構15と、トレー12に載置された物品2を、前記搬送経路に沿って間隔を置いて位置する前記各仕分部位に対応して配置された各シュート100に搬入する仕分機構16とを有する。
したがって、仕分装置10は、物品2をシュート100に移送する物品移送装置である。
搬送体11は、トレー12を有する複数の搬送ユニット13が無端状に連結されて構成される。各搬送ユニット13において、トレー12は仕分用搬送方向に沿う傾動中心軸13aを中心として左右方向に傾動可能に支持されている。
【0029】
仕分機構16は、トレー12の下部の左右に設けられた1対のインデックスプレート17と、走行レール14の左右両側において、各シュート100に対応する前記各仕分部位に配置される左右1対の傾動用アクチュエータ18とを有する。
各アクチュエータ18は、前記制御盤30により設定された物品2の仕分先に基づいて制御される制御装置(図示されず)により制御されて、前記仕分部位において伸張した作動位置(
図1には、右側のアクチュエータ18が作動位置を占める状態が示されている。)を占めるとき、インデックスプレート17との当接により、基準位置を占めているトレー12(
図1に、物品2が載置されているトレー12である。)を左方(
図1に実線で示される。)または右方(
図1に二点鎖線で示される。)に傾動させて、トレー12を傾動位置に移動させる。
これにより、物品2が左方または右方のシュート100に投入されて、物品2の仕分が行われる。
なお、傾動位置のトレー12は、走行レール14の左右両側に前記搬送経路に沿って間隔を置いて配置された戻しガイド(図示されず)と当接することにより前記基準位置に戻る。
【0030】
物品2が仕分装置10からシュート100に移送される前記仕分部位において、基本的に同じ構造を有する左右の1対のシュート100は、仕分用搬送方向に平行な鉛直平面を対称面としてほぼ左右対称に配置される。
各シュート100は、設置部としての床(図示されず)に設置された複数の脚部102を有する支持台101と、該支持台101に支持される搬送部106とを備える。
【0031】
搬送部106は、複数である設定数のローラ部材130がローラ搬送方向に列を形成して配置されるローラ搬送部120と、仕分装置10からシュート100に投入された物品2をローラ搬送部120に導く導入部111と、ローラ搬送部120から搬出された物品2が導かれる導出部116とを有する。
支持台101は、ローラ幅方向での両側に配置されると共に導入部111の一部、導出部116およびローラ搬送部120に対して上方に突出している1対の側壁103,104を有する。搬送部106は、ローラ幅方向で1対の側壁103,104の間に配置される。
ここで、ローラ幅方向は、ローラ部材130の回転中心線に平行であり、本実施例では、仕分用搬送方向に平行である。
【0032】
導入部111および導出部116は、物品2が滑動する平面または曲面からなるスライド面112,117をそれぞれ有する。各スライド面112,117はローラ搬送方向に向かうにつれて下方に傾斜する傾斜面である。
ローラ搬送部120は、支持台101に固定されて設けられる1対の支持フレーム126,127と、これら支持フレーム126,127に支持されると共に各ローラ部材130を支持するローラ軸128とを有する。また、すべてのローラ部材130は同じローラ幅W0(
図3参照)を有する。
【0033】
導入部111では、トレー12からシュート100に搬入された物品2が幅方向速度により仕分用搬送方向に移動しながら、ローラ搬送部120に向かって滑動する。
このため、ローラ搬送部120は、幅方向速度を有してローラ搬送部120に搬入された物品2をローラ搬送方向に搬送する。
導出部116では、ローラ搬送部120からの物品2がローラ搬送方向に滑動する。導出部116を滑動した物品2は、導出部116の下流側で停止してもよいし、導出部116に連なる払出部(図示されず)に達して停止してもよい。
ここで、幅方向速度とは、仕分装置10からシュート100に搬入された物品2が有する速度において、ローラ搬送方向に直交する方向であるローラ幅方向に平行な方向での速度成分である。
【0034】
ローラ搬送部120は、ローラ搬送方向に複数である第1所定数の列を形成して配置されているローラ部材130である第1ローラ部材131を有する第1ローラ搬送部121と、第1ローラ部材131以外のローラ部材130である複数の第2ローラ部材132を有する第2ローラ搬送部122とから構成される。前記第1所定数は前記設定数よりも小さい数である。
【0035】
仕分装置10からの物品2が導入部111を介して搬入される第1ローラ搬送部121は、前記第1所定数以下の複数である第2所定数(本実施例では10である。)の第1ローラ部材131である所定ローラ部材133を有する。
本実施例では、すべての所定ローラ部材133はローラ搬送方向に連続して配列されていて、前記第2所定数は前記第1所定数に等しい。
【0036】
第2ローラ搬送部122は、ローラ搬送方向に複数の列、本実施例では前記第1所定数よりも大きい数の列を形成して配置されている。
本実施例では、第2ローラ搬送部122は、ローラ搬送方向で第1ローラ搬送部121を挟んで、第1ローラ搬送部121に対して搬入側(または、ローラ搬送方向での上流側)に配置されている搬入側第2ローラ搬送部123と、第1ローラ搬送部121に対して搬出側(または、ローラ搬送方向での下流側)に配置されている搬出側第2ローラ搬送部124とに分けられる。
搬入側第2ローラ搬送部123は、ローラ搬送方向に1以上の列、本実施例では1列を形成して配置された第2ローラ部材132により構成されている。
別の例として、第2ローラ搬送部122が、搬入側第2ローラ搬送部123を有することなく、搬出側第2ローラ搬送部124のみで構成され、第1ローラ搬送部121の所定ローラ部材133が、ローラ搬送部120における最上流部のローラ部材130を構成してもよい。
【0037】
図3を参照すると、各所定ローラ部材133は、複数である特定数の、本実施例では3つの高摩擦ローラ部140と、前記特定数よりも1だけ大きい数の、本実施例では4つの基本ローラ部150とから構成されている。
なお、別の例として、前記特定数は、複数の所定ローラ部材133において異なっていてもよい。
一方、第2ローラ部材132は、高摩擦ローラ部140を有していないローラ部、本実施例では基本ローラ部150のみで構成される。
【0038】
各所定ローラ部材133は、複数である第1ローラ数の、本実施例では3つの高摩擦ローラR1から構成される高摩擦ローラ群と、複数である第2ローラ数の基本ローラR2から構成される基本ローラ群とで構成されるローラ群である。
前記第1ローラ数は、本実施例では前記第2ローラ数よりも小さい数であるが、別の例として前記第2ローラ数以上の数であってもよい。
なお、
図2,
図3において、高摩擦ローラR1には、分かりやすさの観点から、網掛けが施されている。
各基本ローラ部150は、少なくとも1つの基本ローラR2から構成され、各高摩擦ローラ部140は、少なくとも1つの高摩擦ローラR1から構成される。
一方、第2ローラ部材132は、高摩擦ローラR1でない1以上のローラのみ、本実施例では1以上の数としての複数の基本ローラR2のみで構成される。
ローラ幅方向で隣接する高摩擦ローラR1同士の間、基本ローラR2同士の間、高摩擦ローラR1および基本ローラR2間の、ローラ幅方向での間隔は、本実施例では等しく設定されているが、異なっていてもよい。
【0039】
各基本ローラR2の形成材料は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)または金属(例えば、アルミニウムまたはスチール)である。
一方、各高摩擦ローラR1の形成材料は、基本ローラR2の形成材料よりも摩擦係数が大きい材料であり、例えばゴム状弾性を有する弾性材料(例えば、ウレタンゴム)である。これにより、高摩擦ローラR1は、基本ローラR2が有する摩擦係数である基本摩擦係数よりも大きな摩擦係数である高摩擦係数を有する。
各基本ローラR2および各高摩擦ローラR1は、支持フレーム126,127に支持されるローラ軸128に回転可能に支持されるフリーローラである。
【0040】
各所定ローラ部材133における複数の基本ローラ部150は、ローラ幅方向での所定ローラ部材133の両端部を含むようにそれぞれ配置される幅方向上流端基本ローラ部151および幅方向下流端基本ローラ部152と、ローラ幅方向で隣接する高摩擦ローラ部140の間に位置する1以上の中間基本ローラ部、本実施例では2つの第1,第2中間基本ローラ部153,154である。
一方、前記特定数の高摩擦ローラ部140は、ローラ幅方向での幅方向上流端高摩擦ローラ部141および幅方向下流端高摩擦ローラ部142と、ローラ幅方向で隣接する基本ローラ部150の間に位置する1以上の中間高摩擦ローラ部、本実施例では1つの中間高摩擦ローラ部143である。
【0041】
ここで、「幅方向上流」の「上流」および「幅方向下流」の「下流」は、シュート100において、幅方向速度によりローラ幅方向(本実施例では、仕分用搬送方向でもある。)に移動する物品2の移動に関しての「上流」および「下流」をそれぞれ意味している。
【0042】
より具体的には、各所定ローラ部材133において、1以上の基本ローラR2であって異なる数または同じ数の基本ローラR2から構成される中間基本ローラ部のうち、第1中間基本ローラ部153は、本実施例では1つまたは2つの基本ローラR2から構成され、第2中間基本ローラ部154は、2つの基本ローラR2から構成されている。
本実施例において、幅方向上流端基本ローラ部151,152および幅方向下流端基本ローラ部152は、中間基本ローラ部153,154の基本ローラR2の数以上の数の基本ローラR2から構成される。
【0043】
なお、幅方向上流端基本ローラ部151および幅方向下流端基本ローラ部152の少なくとも一方は、所定ローラ部材133においてローラ幅方向での少なくとも一方に配置される基本ローラR2である端部ローラR2eを有している。
該端部ローラR2eは、所定ローラ部材133のローラ幅W0を一定にするためのローラ幅調整用ローラである。
同様に、第2ローラ部材132は、ローラ幅方向での少なくとも一方の端部に、本実施例では両端部に配置される基本ローラR2であると共にローラ幅調整用ローラである端部ローラR2eを有する。
【0044】
すべての高摩擦ローラR1は、同じローラ幅W1を有している。また、端部ローラR2e以外のすべての基本ローラR2は、同じローラ幅W2を有している。
高摩擦ローラR1のローラ幅W1は、基本ローラR2のローラ幅W2よりも小さく、ローラ幅W2の1/4以下、本実施例ではほぼ1/8である。
また、高摩擦ローラ部140のローラ幅W3(本実施例では、ローラ幅W1に等しい。)は、仕分装置10により仕分けられてシュート100のローラ搬送部120に搬入される大きさが異なる複数の種類の物品2のうちの最小物品21(
図2参照)の物品長さL1よりも小さい。
そして、各中間基本ローラ部153,154のローラ幅W4は、高摩擦ローラ部140のローラ幅W3よりも大きい。
【0045】
図2を参照すると、最小物品21(最大物品22)とは、仕分装置10で搬送される複数の物品2のうちで、物品2が仕分装置10により仕分用搬送方向に搬送さているときに、物品2の接触可能部2aの、仕分用搬送方向での長さである物品長さLが、最小(最大)となる物品である。
なお、接触可能部2aとは、ローラ搬送部120により搬送される物品2がローラ部材130と接触可能な部分であり、最大長さLaとは接触可能部2aの最大の物品長さである。例えば、
図2に示されるように、物品2が直方体形状である場合、接触可能部2aは、該物品2の底面であり、最大長さLaは、該底面の対角線の長さである。
【0046】
図3を参照すると、各基本ローラR2は、幅方向速度を有する物品2と接触可能であると共に基本摩擦係数を有する接触部である基本接触部としての外周面R2aを有している。
同様に、各高摩擦ローラR1は、幅方向速度を有する物品2と接触可能であると共に前記基本摩擦係数よりも大きい高摩擦係数を有する接触部である高摩擦接触部としての外周面R1aを有している。
【0047】
前記高摩擦接触部の外径により規定される高摩擦ローラR1のローラ径である高摩擦ローラ径d1は、前記基本接触部の外径により規定される基本ローラR2のローラ径である基本ローラ径d2以上に設定される。
高摩擦ローラ径d1は、第1ローラ搬送部121において、物品2が、基本ローラ部150に比べて高摩擦ローラ部140に接触しやすくなるように、基本ローラ径d2よりも大きいことが好ましい。
これにより、高摩擦ローラ径d1が基本ローラ径d2と同じである場合に比べて、高摩擦ローラ部140が物品2に作用させる摩擦力を大きくすることができるので、基本ローラ径d2に対して高摩擦ローラ径d1を大きくする程度を調整することにより、物品2に対する高摩擦ローラR1による摩擦力、ひいては制動力を調整することができ、このような調整によって、より良好な分散の形態を得ることが可能になる。
【0048】
各所定ローラ部材133において、前記特定数の高摩擦ローラ部140の少なくとも2つは、本実施例では該特定数である全部が、少なくとも1つの基本ローラ部150、本実施例では、2つの基本ローラ部153,154を挟んでローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。
より具体的には、各所定ローラ部材133において、複数としての3つの高摩擦ローラ部140の、ローラ幅方向で隣接する高摩擦ローラ部141,143;142,143同士が、いずれも基本ローラ部150である第1,第2中間基本ローラ部153;154をそれぞれ挟んでローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。
このように、第1ローラ搬送部120に含まれるすべての高摩擦ローラ部140(以下、「高摩擦ローラ部群」という。)は、各所定ローラ部材133において複数の高摩擦ローラ部140がローラ幅方向に基本ローラ部150を挟んで配置されることにより、第1ローラ搬送部120において分散した形態(以下、「分散形態」という。)で配置されている。
【0049】
そして、この分散形態では、前記第2所定数の所定ローラ部材133のうちで、少なくとも2つの所定ローラ部材133、好ましくは前記第2所定数の半数以上、本実施例では、前記第2所定数の半数である5つの所定ローラ部材133において、高摩擦ローラR1同士がローラ幅方向で重ならない位置(すなわち、高摩擦ローラ部140同士または高摩擦ローラR1同士が、それぞれの高摩擦ローラ部140(または、摩擦ローラR1)の全体において、ローラ幅方向での位置で異なる位置)にある。
さらに、分散形態では、ローラ搬送方向で隣接する所定ローラ部材133同士において、高摩擦ローラ部140同士または高摩擦ローラR1同士がローラ幅方向で重ならない位置にある。
【0050】
第1ローラ搬送部120において、分散形態で配置されるすべての高摩擦ローラ部140またはすべての高摩擦ローラR1が含まれる領域である高摩擦ローラ部分散領域A(以下、「分散領域A」という。)は、ローラ搬送方向においては、最上流および最下流にそれぞれ位置する所定ローラ部材133である最上流ローラ部材133aおよび最下流ローラ部材133bにより規定される。
そして、分散領域Aのローラ搬送方向幅W5は、ローラ搬送方向で最上流ローラ部材133aおよび最下流ローラ部材133bにより規定され、物品2のうちの最大物品22(
図2参照)における最大長さLaとローラ搬送方向幅W5との差が高摩擦ローラ径d1以下となる値であるか、または、最大長さLa以下の値である。
【0051】
また、分散領域Aにおける幅方向上流側境界Aaおよび幅方向下流側境界Abは、ローラ搬送方向に向かうにつれて、ローラ幅方向で、物品2が幅方向速度によりローラ幅方向または仕分用搬送方向に移動するときの下流側に位置する。
幅方向上流側境界Aaは、前記高摩擦ローラ部群のうちで一番目(すなわち、最も上流)および二番目に幅方向上流側に位置する高摩擦ローラ部140と交わる鉛直平面であり、幅方向下流側境界Abは、前記高摩擦ローラ部群のうちで一番面(すなわち、最も下流)および二番目に幅方向下流側に位置する高摩擦ローラ部140と交わる鉛直平面である。
【0052】
そして、分散領域Aのローラ幅方向幅W6は、そのローラ搬送方向幅W5よりも大きく、各所定ローラ部材133において、該所定ローラ部材133のローラ幅W0の1/3以上の大きさであり、分散領域A内に、各所定ローラ部材133をローラ幅方向で二等分する中央部位Pが含まれている。
また、分散領域A内または前記高摩擦ローラ部群において、ローラ幅方向での高摩擦ローラ部141,142同士の最大間隔W7は、ローラ部材130のローラ幅W0の1/2以上である。
【0053】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
シュート100は、ローラ部材130がローラ搬送方向に複数列を形成して配置された第1,第2ローラ搬送部121,122を備え、これらローラ搬送部121,122が、ローラ幅方向に平行な速度成分である幅方向速度を有して搬入された各物品2をローラ搬送方向に搬送することにより、シュート100に搬入された幅方向速度を有する物品2がローラ搬送部121,122によりローラ搬送方向に搬送される。
【0054】
そして、第1ローラ搬送部121を構成する前記第2所定数の所定ローラ部材133のそれぞれが、幅方向速度を有する物品2と接触可能であると共に基本摩擦係数を有する複数の基本ローラ部151〜154と、幅方向速度を有する物品2と接触可能であると共に基本摩擦係数よりも大きい高摩擦係数を有する複数の高摩擦ローラ部141〜143とから構成され、各所定ローラ部材133において、高摩擦ローラ部141,143;142,143が、基本ローラ部153;154を挟んでローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。
この構成により、前記第2所定数の所定ローラ部材133のそれぞれが有する複数の高摩擦ローラ部141〜143は、ローラ幅方向で複数の基本ローラ部153,154を挟んで配置されるので、第1ローラ搬送部121では、複数の高摩擦ローラ部141〜143が、ローラ幅方向に分散して配置され、かつローラ搬送方向に前記第2所定数の列を形成して配置されることから、1つの所定ローラ部材133毎に高摩擦ローラ部140が1つである場合に比べて、ローラ幅方向にも分散された各高摩擦ローラ部141〜143の物品2との摩擦力(または、制動力)により物品2をローラ幅方向でより広く分散させる機能(以下、「物品分散機能」という。)が発揮されるため、ローラ搬送方向での物品2の渋滞の発生が抑制されて、もってシュート100での搬送効率を向上させることができる。
【0055】
少なくとも2つの所定ローラ部材133において、高摩擦ローラ部141〜143同士がローラ幅方向で重ならない位置にあることにより、第2所定数の所定ローラ部材133において、高摩擦ローラ部141〜143をローラ幅方向に分散して配置することが可能になるので、物品分散機能を高めることができ、シュート100での搬送効率を向上させることができる。
そして、前記第2所定数の半数以上の所定ローラ部材133において、高摩擦ローラ部141〜143同士がローラ幅方向で重ならない位置にあることにより、物品分散機能を一層高めることができる。
【0056】
ローラ搬送方向で隣接する所定ローラ部材133同士において、高摩擦ローラ部141〜143同士がローラ幅方向で重ならない位置にあることにより、第2所定数の所定ローラ部材133において、高摩擦ローラ部141〜143をローラ幅方向に分散して配置することが可能になるので、物品分散機能を高めることができる。
【0057】
高摩擦ローラ部141〜143のローラ幅W3が、仕分装置10により搬送される物品2のうちの最小物品21の物品長さL1よりも小さいことにより、シュート100において搬送される大きさが異なるすべての物品2に対して、物品分散機能を発揮させることができ、しかも第1ローラ搬送部121、ひいてはシュート100がローラ幅方向で大型化するのを抑制しながら、高摩擦ローラ部141〜143を分散させて配置することができる。
【0058】
第2所定数の所定ローラ部材133のすべての高摩擦ローラ部141〜143が、第1ローラ搬送部121の部分散領域Aに配置され、分散領域Aにおける幅方向上流側境界Aaおよび幅方向下流側境界Abは、ローラ搬送方向に向かうにつれて、物品2が幅方向速度により移動するときの下流側に位置し、幅方向上流側境界Aaと幅方向下流側境界Abとのローラ幅方向幅W6が、分散領域Aのローラ搬送方向幅W5よりも大きく、分散領域Aにおいて、ローラ幅方向での高摩擦ローラ部141,142同士の最大間隔は、所定ローラ部
材のローラ幅W0の1/2以上である。
この構成により、高摩擦ローラ部141〜143の配置される範囲をローラ幅方向で大きくすることが可能になるので、物品分散機能を高めることができる。
【0059】
分散領域Aのローラ搬送方向幅W5が、ローラ搬送方向で最上流ローラ部材133aおよび最下流ローラ部材133bにより規定され、最大物品22における最大長さLaとローラ搬送方向幅W5との差が、高摩擦ローラ径d1以下である。
この構成により、最大物品22が第1ローラ搬送部121によりローラ搬送方向に搬送される場合に、最大物品2に対して、ほぼ最大長さLaの範囲に亘って高摩擦ローラ部140(または、高摩擦ローラR1)による摩擦力を作用させることが可能になるので、高摩擦ローラ部140(または、高摩擦ローラR1)による物品分散機能を最大物品22に対しても発揮させることができる。
【0060】
所定ローラ部材133は、各基本ローラ部151〜154を構成する1以上の基本ローラR2と、各高摩擦ローラ部141〜143を構成する1以上の高摩擦ローラR1とから構成されるローラ群であり、複数の高摩擦ローラR1が、1または複数の基本ローラR2を挟んでローラ幅方向に間隔を置いて配置されている。
この構成により、複数の高摩擦ローラ部141〜143の間に1または複数の基本ローラR2を介在させることにより、簡単に分散の形態を変更することができて、第1ローラ搬送部121での高摩擦ローラ部141〜143による物品分散機能を最適化することができる。
【0061】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
各所定ローラ部材133または複数の所定ローラ部材133において、複数の高摩擦ローラR1のローラ幅W1が異なっていてもよく、複数の基本ローラR2のローラ幅W2が異なっていてもよい。
同様に、各第2ローラ部材132または複数の第2ローラ部材132において、基本ローラR2のローラ幅W2が異なっていてもよい。
1以上の高摩擦ローラ部140が、ローラ幅方向で基本ローラ部150を介在させることなく、高摩擦ローラR1同士がローラ幅方向で直接隣接する複数の高摩擦ローラR1から構成されてもよい。
この構成により、ローラ幅方向に複数の高摩擦ローラR1を直接隣接させることで、1つの高摩擦ローラ部140のローラ幅W3を変更することができて、第1ローラ搬送部121での高摩擦ローラ部140による物品分散機能を最適化することができる。
【0062】
ローラ搬送部120の全体が第1ローラ搬送部121であってもよく、すなわち、前記設定数と前記第1所定数とが等しくてもよい。
第2所定数が第1所定数未満である場合、第1ローラ搬送部121は、所定ローラ部材133と、所定ローラ部材133以外の第1ローラ部材131とから構成されている。
この第1ローラ部材131は、高摩擦ローラ部140を有していないローラ部材130であり、例えば第2ローラ部材132と同じである。
そして、第1ローラ搬送部121において、ローラ搬送方向で隣接する所定ローラ部材133の間に、所定ローラ部材133以外の1または複数の第1ローラ部材131が配置される。
第1ローラ部材131または第2ローラ部材132に関して、少なくとも1つのローラ部材130が駆動部材により強制的に回転駆動される駆動ローラ部材であってもよい。
所定ローラ部材133は、1以上の高摩擦ローラ部140および1以上の基本ローラ部150を有する1つのローラを含んでいてもよい。
また、1つの所定ローラ部材133が、複数の高摩擦ローラ部140および1以上の基本ローラ部150を有する単一のローラにより構成されてもよい。
高摩擦接触部は、高摩擦ローラR1の外周面R1aの周方向に連続、または間隔を置いて径方向に突出する突出部により構成されてもよい。この場合、該突出部は、前記高摩擦係数を有し、外周面R1aを形成する部分は、高摩擦係数よりも小さい摩擦係数を有する材料により形成されていてもよい。この場合、高摩擦ローラ径d1は、すべての突出部を連ねる仮想円の直径である。
ローラ幅方向は、仕分用搬送方向に交差する方向でもよい。
仕分装置10は、ローラ搬送装置に対して、物品2を幅方向速度を有するように搬入させるものであればいかなる構造のものでもよく、トレー12を傾動させる仕分機構16以外の仕分機構、例えば、物品2の移動方向を偏向させるダイバータを備えるものであってもよい。