(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材を簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る電子機器、およびこれを備えた携帯端末は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0013】
[実施の形態1]
図1〜
図4に示すように、本実施形態に係る電子機器X1は、液晶パネル2、タッチパネル3、振動体4、基体5、枠体6、および支持体7を備えている。
【0014】
液晶パネル2は、表示のために液晶組成物を利用した表示パネルである。具体的には、液晶パネル2は、一方基板と、一方基板に対向して配置される他方基板と、一方基板と他方基板との間に介在した液晶層と、一方基板と他方基板との間に介在しかつ表示に寄与する表示部材層と、一方基板および他方基板に対して光を照射するバックライトと、を備えている。ここで、説明の便宜上、一方基板、他方基板、液晶層、表示部材層、およびバックライトの図示は省略している。なお、表示部材層としては、例えば、画素電極、配向膜、カラーフィルタ等が挙げられる。液晶パネル2の駆動方式としては、単純マトリクス駆動方式であってもよいし、アクティブマトリクス駆動方式であってもよい。
【0015】
なお、液晶パネル2の代わりに、プラズマパネル、有機ELパネル、電子ペーパ等の表示パネルを用いてもよい。ここで、有機ELパネルは、電圧を印加すると発光する物質を利用した表示パネルである。具体的には、有機ELパネルは、ジアミン類等の有機物を用いた発光体を基板に蒸着し、5〜10Vの直流電圧を印加することで表示が行われる。なお、液晶パネル2の代わりに有機ELパネルを用いた場合には、バックライトは不要となる。
【0016】
タッチパネル(操作板)3は、使用者が指あるいはペン等で操作した箇所を入力位置として検出する入力デバイスである。
図2〜
図4に示すように、タッチパネル3は、液晶パネル2と空間S1を介して対向して配置されている。タッチパネル3は、操作面3a、および操作面3aの反対側に位置する背面3bを有している。すなわち、タッチパネル3の操作面3aが、使用者により指あるいはペン等で直接操作される面となる。本実施形態では、タッチパネル3は、検出感度向上の観点から、静電容量方式のタッチパネルを用いているが、静電容量方式のタッチパネルに代えて、抵抗膜方式のタッチパネル、表面弾性波方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、あるいは電磁誘導方式のタッチパネル等を用いてもよい。
【0017】
図1に示すように、タッチパネル3は、4つの隅部C1〜C4を有している。本実施形態において、タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4は、平面視して円弧状をなしている
。タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4が平面視して円弧状をなしているのは、デザイン上の理由による。また、タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4が平面視して円弧状をなしていると、外部からの応力が当該隅部C1〜C4に加わった場合であっても、当該応力を緩和することができる。このため、タッチパネル3が破損する可能性を低減できる。
【0018】
振動体4は、使用者による所定の入力操作を検知した場合に、タッチパネル3を湾曲振動させる機能を有する。具体的には、振動体4は、タッチパネル3の短辺方向(
図1を紙面上から見た場合の左右方向)に伸縮運動を繰り返すことにより、タッチパネル3の厚み方向(以下、当該方向を「上下方向」と称する)に、タッチパネル3を湾曲振動させる。なお、詳細は後述するように、振動体4は、タッチパネル3への押圧荷重を検出する機能も有している。
【0019】
本実施形態では、振動体4は、圧電素子である。具体的には、ユニモルフ型の圧電素子である。このため、本実施形態に係る振動体4は、次のような構成を有している。すなわち、振動体4は、電極と活性層とが交互に積層されて構成されており、タッチパネル3の背面3b近傍に位置する部位には不活性層が設けられている。ここで、活性層は、分極処理された圧電材料から構成されている。また、不活性層は、分極処理されていない圧電材料、金属材料、絶縁材料のいずれかにより構成されている。なお、ユニモルフ型の圧電素子の代わりに、バイモルフ型の圧電素子を用いてもよい。
【0020】
本実施形態では、振動体4は、タッチパネル3の背面3bの、タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4以外の部位に設けられている。具体的には、振動体4は、平面視して液晶パネル2と重ならないように、タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4以外の部位に設けられている。本実施形態において振動体4は、タッチパネル3の短辺に沿って、タッチパネル3の背面3bに2つ配置されている。なお、振動体4の数については、特に限定されない。
【0021】
ここで、仮に、振動体の一部が、タッチパネルの隅部に位置している場合を考える。振動体の一部がタッチパネルの隅部に位置していると、振動体の伸縮運動によりタッチパネルに伝わる振動は、隅部で抑制されてしまう。隅部は、平面視して円弧状をなしており、この円弧状で振動が分散されてしまうからである。タッチパネルに伝わる振動が隅部で抑制されてしまうと、タッチパネルのたわみ量は小さくなる。すなわち、タッチパネルを十分に湾曲振動させることができなくなる。このため、使用者に対して十分な触感を伝達することができない。
【0022】
これに対して、本実施形態では、振動体4は、タッチパネル3の隅部C1〜C4以外の部位に設けられている。振動体4がタッチパネル3の隅部C1〜C4以外の部位に設けられていると、振動体4の伸縮運動によりタッチパネル3に伝わる振動は、隅部C1〜C4で抑制される可能性を低減できる。タッチパネル3に伝わる振動が隅部C1〜C4で抑制される可能性を低減できるので、タッチパネル3のたわみ量は大きくなる。すなわち、タッチパネル3を十分に湾曲振動させることが可能となる。このため、電子機器X1では、使用者に対して十分な触感を伝達することが可能となる。
【0023】
なお、本明細書において「タッチパネル3を十分に湾曲振動させる」とは、使用者に対して、所望の触感を伝達することができる程度に、タッチパネル3を湾曲振動させることを意味する。
【0024】
基体5および枠体6は、液晶パネル2を収容する機能を有する。基体5は、主面5aを有している。基体5の主面5a上には、液晶パネル2が設けられている。枠体6は、液晶パネル2およびタッチパネル3を取り囲むように基体5の主面5a上に設けられている。
基体5および枠体6の構成材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属が挙げられる。ここで、基体5と枠体6とは、一体的に形成されていてもよいし、別個独立に形成されていてもよい。
【0025】
支持体7は、タッチパネル3を支持する機能を有する。支持体7は、基体5の主面5a上に設けられている。本実施形態では、支持体7は、4つ設けられている。支持体7は、タッチパネル3の湾曲振動を抑制しないように、弾性を有している。このため、支持体7の構成材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、発泡ウレタン、あるいはその他ゴム類等が挙げられる。
【0026】
図1に示すように、支持体7は、タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4それぞれを支持することが好ましい。支持体7がタッチパネル3の4つの隅部C1〜C4それぞれを支持すると、タッチパネル3に、振動体4の振動が十分に伝わり易くなる。言い換えるならば、タッチパネル3は、振動体4の伸縮運動によって、十分にたわみ易くなる。タッチパネル3の4つの隅部C1〜C4に支持体7がそれぞれ位置しているからである。
【0027】
なお、支持体7は、4つの隅部C1〜C4に加えて、隅部C1,C2間、および隅部C3,C4間に位置していてもよい。
【0028】
本実施形態では、振動体4は、平面視して、4つの支持体7を結ぶ仮想線L1の内側に位置している。ここで、仮に、振動体が、平面視して、4つの支持体を結ぶ仮想線L1の外側に位置している場合を考える。この場合、振動体の伸縮運動によりタッチパネルに伝わる振動は、支持体によって抑制されてしまう。タッチパネルに伝わる振動が支持体で抑制されてしまうと、タッチパネルのたわみ量は小さくなる。すなわち、タッチパネルを十分に湾曲振動させることができなくなる。このため、使用者に対して十分な触感を伝達することができない。
【0029】
これに対して、本実施形態では、振動体4は、平面視して、4つの支持体7を結ぶ仮想線L1の内側に位置している。このため、振動体4の伸縮運動によりタッチパネル3に伝わる振動は、支持体7によって抑制される可能性を低減できる。タッチパネル3に伝わる振動が支持体7によって抑制される可能性を低減できるので、タッチパネル3のたわみ量は大きくなる。すなわち、タッチパネル3を十分に湾曲振動させることが可能となる。このため、電子機器X1では、使用者に対して十分な触感を伝達することが可能となる。
【0030】
図5は、支持体7を拡大した図である。
図5に示すように、支持体7のタッチパネル3の背面3bに接触する面7aの径M1は、支持体7の基体5の主面5aに接触する面7bの径M2よりも小さいことが好ましい。すなわち、本実施形態における支持体7は、タッチパネル3の背面3bから基体5の主面5aに向かうに従って、その径が次第に大きくなる、いわゆるテーパー形状をなしている。支持体7をこのように構成することにより、支持体7によるタッチパネル3の拘束度合いを低減することができる。すなわち、タッチパネル3を十分に湾曲振動させることが可能となる。このため、電子機器X1では、使用者に対して十分な触感を伝達することが可能となる。
【0031】
なお、上記に言う「面の径」とは、面が平面視して円形状である場合には、当該円の直径を意味し、面が平面視して多角形状である場合には、当該多角形の対角線を意味する。
【0032】
なお、上記では、支持体7は、いわゆるテーパー形状をなしている例について説明したが、これに限らない。例えば、支持体7は、単に円柱状をなしていてもよい。
【0033】
次に、電子機器X1の動作例について、
図6を参照しながら説明する。
【0034】
なお、以下では、触覚伝達のうち使用者に対して押圧感を伝達する場合の電子機器X1の動作例について説明するが、電子機器X1は、押圧感以外の、例えば、なぞり感、肌触り感等の様々な触感を伝達する場合にも適用できることは勿論である。
【0035】
図6に示すように、使用者が、タッチパネル3を押圧した場合に、振動体4は、タッチパネル3への押圧荷重を検出する(Op1)。ここで、振動体4の荷重検出機能について説明する。すなわち、使用者が、タッチパネル3を押圧すると、タッチパネル3が下方向に湾曲する。タッチパネル3が下方向に湾曲すると、振動体4も下方向に湾曲する。つまり、タッチパネル3への押圧荷重に応じて、振動体4の湾曲量が変移する。本実施形態では、振動体4は、圧電素子であるので、湾曲量に応じた電圧に変換することができる。この結果、振動体4によりタッチパネル3への押圧荷重を検出することができる。なお、上記では、荷重検出機能を振動体4で実現している例について説明したが、これに限らず、例えば、歪みセンサ等の荷重センサによって実現してもよい。
【0036】
そして、図示しない触覚伝達ドライバは、使用者による入力操作が、表示画面に表示された入力オブジェクトに対する押圧操作である場合に、Op1にて検出された押圧荷重が閾値以上であるか否かを判定する(Op2)。なお、触覚伝達ドライバは、例えば、タッチパネル3と接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)上に、タッチパネル3を制御するタッチパネルドライバとともに設けられている。
【0037】
そして、触覚伝達ドライバは、Op1にて検出された押圧荷重が閾値以上であると判定すれば(Op2にてYES)、振動体4をタッチパネル3の短辺方向に伸縮運動させる(Op3)。そして、Op3にて伸縮運動された振動体4によりタッチパネル3が上下方向に湾曲振動する(Op4)。これにより、タッチパネル3を押圧した使用者に対して押圧感が伝達される。一方、触覚伝達ドライバは、Op1にて検出された押圧荷重が閾値未満であると判定すれば(Op2にてNO)、
図6の処理を終了する。
【0038】
以上のように、上記の電子機器X1は、タッチパネル3を十分に湾曲振動させることができる。
【0039】
次に、上記の電子機器X1を備えた携帯端末Y1について、
図7を参照しながら説明する。
【0040】
図7は、本実施形態に係る携帯端末P1の概略構成を示す斜視図である。
図7に示すように、携帯端末P1は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA等であって、上記の電子機器X1と、音声入力部101と、音声出力部102と、キー入力部103と、筐体104とを備えている。
【0041】
音声入力部101は、例えば、マイク等により構成されており、使用者の音声等が入力される。音声出力部102は、スピーカ等により構成されており、相手方からの音声等が出力される。キー入力部103は、例えば、機械的なキーにより構成される。なお、キー入力部103は、表示画面に表示された操作キーであってもよい。筐体104は、電子機器X1、音声入力部101、音声出力部102、およびキー入力部103を収容する機能を有する。
【0042】
他にも、携帯端末P1は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部等の近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備える場合もあるが、これらの詳細についての図示および説明は省略する。
【0043】
携帯端末P1は、電子機器X1を備えているので、タッチパネル3を十分に湾曲振動させることができる。
【0044】
なお、上記では、携帯端末P1に音声入力部101を備えている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、携帯端末P1には音声入力部101は備えられていなくともよい。
【0045】
また、上記では、携帯端末P1は、電子機器X1を収容する筐体104を備えている例について説明したが、これに限らない。筐体104を別個独立に設けることなく、電子機器X1における基体5および枠体6が筐体となる携帯端末であってもよい。
【0046】
[実施の形態2]
図8は、本実施形態に係る電子機器X2の概略構成を示す平面図である。
図9は、
図8中に示した切断線IV−IVに沿って切断した断面図である。なお、
図8および
図9において、
図1および
図2と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図8および
図9に示すように、電子機器X2では、実施の形態1で説明した液晶パネル2およびタッチパネル3の代わりに、操作位置を検知する操作位置検知機能を有した液晶パネル21を備えている。
【0048】
液晶パネル21は、一方基板と、一方基板に対向して配置される他方基板と、一方基板と他方基板との間に介在した液晶層と、一方基板と他方基板との間に介在しかつ表示に寄与する表示部材層と、一方基板および他方基板に対して光を照射するバックライトと、一方基板上に設けられた光検出部と、を備えている。この光検出部が操作位置検知機能に相当する。光検出部に外光が入射されている状態で、液晶パネル21の操作面21a上に指を置くことにより、この指に対応する光検出部に入射される外光が遮断される。これにより、液晶パネル21では、外光が入射されている光検出部の検出レベルと、外光が入射されていない光検出部の検出レベルとを比較することにより、操作位置を検知することができる。
【0049】
なお、上記では、操作位置検知機能を有した液晶パネル21として、光検出部を備えた液晶パネルの例について説明したが、これに限らない。例えば、操作位置検知機能を有した液晶パネル21として、静電容量方式のタッチパネルにおける検出電極を、液晶パネル21の他方基板上に直接形成した液晶パネルであってもよい。
【0050】
[実施の形態3]
図10は、本実施形態に係る電子機器X3の概略構成を示す平面図である。
図11は、
図10中に示した切断線V−Vに沿って切断した断面図である。なお、
図10および
図11において、
図1および
図2と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図10および
図11に示すように、電子機器X3では、タッチパネル3の操作面3a上および枠体6の上面6a上に、保護部材30が設けられている。このため、空間S1は、基体5、枠体6、および保護部材30によって封止される。空間S1が封止されるので、電子機器X3では、液晶パネル2に対する防水性および防塵性をある程度確保することができる。ここで、保護部材30は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂をフィルム状に形成したもの、ガラス、あるいはプラスチック等である。
【0052】
なお、実施の形態1では、電子機器X1を備えた携帯端末Y1の例について説明したが
、電子機器X1に代えて、電子機器X2、あるいは電子機器X3を採用してもよい。また、実施の形態1〜3は適宜に組み合わせてもよい。
【0053】
また、実施の形態1〜3では、電子機器X1〜X3を触覚伝達技術に適用した例について説明したが、これに限らない。本発明は、触覚伝達技術以外に、例えば、操作板を湾曲振動させて音を出力するスピーカ技術、あるいは、操作板を湾曲振動させて骨伝導により音を聴くことができる骨伝導技術にも適用することが可能である。骨伝導技術のうち、電子機器X1〜X3を直接または他の物を介して耳に接触させて、耳の軟骨に振動を伝えることによって音を伝達することができる技術にも適用できることは勿論である。