特許第5812885号(P5812885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5812885スプロケットユニット組立設備及び同組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5812885
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】スプロケットユニット組立設備及び同組立方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20151029BHJP
   B23P 19/02 20060101ALI20151029BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   B23P21/00 307G
   B23P19/02 B
   B23P19/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-14837(P2012-14837)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-154413(P2013-154413A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】合田 善一
(72)【発明者】
【氏名】三廻部 敦
(72)【発明者】
【氏名】栗林 雅郎
(72)【発明者】
【氏名】船戸 康弘
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0024108(US,A1)
【文献】 特開2003−127916(JP,A)
【文献】 特開2011−152615(JP,A)
【文献】 実開昭62−011541(JP,U)
【文献】 実開平5−60731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 21/00
B23P 19/02
B23P 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のフランジと、このフランジに内蔵される軸受と、前記フランジの一側面にねじ込まれ前記軸受の中心軸に平行に延ばされる複数本の両ねじボルトと、これらの両ねじボルトを通すボルト穴を備え前記フランジの一側面に当てられるスプロケットと、このスプロケットを固定するために前記両ねじボルトにねじ込まれるナットとからなるスプロケットユニットを組立てる組立設備であって、
鉛直軸を120°づつ回転させる回転機構と、
前記鉛直軸の上端に取付けられる作業テーブルと、
この作業テーブル上に所定のピッチで配置され前記フランジを支える6個のフランジ支持台と、
前記作業テーブルの周囲のエリアを3等分し、その1つに割り当てられ作業員が立つ作業床が設けられる作業員エリアと、
残余の2つに割り当てられ組立に係る各種の自動機が設けられる第1自動機エリア及び第2自動機エリアとからなり、前記作業テーブルが前記作業員エリア、前記第1自動機エリア、前記第2自動機エリアの順で巡回するように前記回転機構で一方向に回され、
前記6個のフランジ支持台中、3個は前記回転機構で回転されたときに前記作業床に立つ作業員の左手近傍に順に到達する左フランジ支持台とされ、残りの3個は前記回転機構で回転されたときに前記作業床に立つ作業員の右手近傍に順に到達する右フランジ支持台とされ、
前記第1自動機エリアには、前記フランジに前記軸受を圧入する圧入機と、前記フランジに前記ナットを仮締めする第2ナットランナとが、前記回転方向に沿ってこの順に配置され、
前記第2自動機エリアには、前記両ねじボルトを本締めする第1ナットランナと、前記ナットを本締めする第3ナットランナとが、前記回転方向に沿ってこの順に配置されていることを特徴とするスプロケットユニット組立設備。
【請求項2】
請求項1記載のスプロケットユニット組立設備を用いて実施するスプロケットユニット組立方法において、
前記左フランジ支持台に、前記作業員により前記フランジが載せられると共に前記フランジに前記両ねじボルトが仮止めされるフランジセット工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第1自動機エリアに到達した前記フランジに軸受を前記圧入機により圧入する軸受圧入工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第2自動機エリアに到達した前記フランジにおける前記両ねじボルトを前記第1ナットランナにより前記フランジに締付けるボルト締付け工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記作業員エリアに到達した前記フランジが、前記作業員により前記右フランジ支持台に移され、且つ移された前記フランジに前記作業員によりスプロケットがセットされるスプロケットセット工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第1自動機エリアに到達した前記フランジにおける前記両ねじボルトに前記第2ナットランナにより前記ナットを仮締めするナット仮締め工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第2自動機エリアに到達した前記ナットを前記第3ナットランナにより本締めすることでスプロケットユニットを完成させるナット本締め工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記作業員エリアに到達した前記スプロケットユニットが、前記作業員により払い出されるユニット払い出し工程と、
からなり、前記工程群が、前記作業テーブルを2回転させる間に順次実施されることを特徴とするスプロケットユニット組立方法。
【請求項3】
前記作業員エリアでは、前記フランジセット工程と前記スプロケットセット工程と前記ユニット払い出し工程とが一括して実施され、
前記第1自動機エリアでは、前記軸受圧入工程と前記ナット仮締め工程とが並行して実施され、
前記第2自動機エリアでは、前記ボルト締付け工程と前記ナット本締め工程とが並行して実施されることを特徴とする請求項2記載のスプロケットユニット組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動輪に取付けられるスプロケットユニットの組立技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの小型車両では、駆動力は駆動源から、チューンとスプロケットを用いて駆動輪へ伝達される。この場合に、スプロケットは、スプロケットをボルトとナットで駆動輪に固定される。そして、非回転状態の車軸に、駆動輪が回転自在に支持されるように、駆動輪側に軸受が組込まれる。
【0003】
駆動輪は、ホイール(スポークホイールやキャストホイール)に、ゴムタイヤを嵌めてなる。ホイールに直接、スプロケット、ボルト、軸受などを、セットしてもよいが、作業の迅速化を考慮し、円板状のフランジにスプロケット、ボルト、軸受をセット(プリセット)してスプロケットユニットを組立て、このスプロケットユニットをホイールに取付ける方式が、好まれる。
【0004】
スプロケットユニット組立作業は、全自動組立が理想であるが、多種少量生産には全自動は不向きである。そこで、近年、作業員による組立と自動機による組立を混合した組立方式が提案され実用に供されるようになってきた(例えば、特許文献1(図3)参照。)。
【0005】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7は従来の技術の基本構成を説明する図であり、作業員101が作業する作業ステーション102に、ループ状のレール103を付設し、このレール103に沿って、自動機104を備える装置ステーション105を設ける。そして、ワークを載せた台車106がレール103に沿って作業ステーション102と装置ステーション105を循環する。
【0006】
この間に、作業員による組立と自動機による組立とが交互に実施される。
すなわち、台車106が作業ステーション102と装置ステーション105を循環するため、作業ステーション102が稼働しているときは装置ステーション105が休止し、装置ステーション105が稼働しているときには作業ステーション102が休止することとなり、生産性が著しく低くなる。
【0007】
生産性を高めるために、図7を複数設ける必要がある。結果、スプロケットユニット組立設備が大型化し、設備コストが嵩むと共に設置のための床面積が増大する。
【0008】
又は、スプロケットユニット組立作業は、詳細は後述するが、6〜7工程で実施される。図7で2工程が処理されるとすると、図7を3つ並べた形態のスプロケットユニット組立設備が必要となる。
この場合も、スプロケットユニット組立設備が大型化するため設備コストが嵩むと共に設置のための床面積が増大する。
【0009】
このような大型で床面積が大きなスプロケット組立設備は、少量生産向きとは言えない。
小型で床面積が小さなスプロケット組立設備が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−152615公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、小型で床面積が小さなスプロケット組立設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、円板状のフランジと、このフランジに内蔵される軸受と、前記フランジの一側面にねじ込まれ前記軸受の中心軸に平行に延ばされる複数本の両ねじボルトと、これらの両ねじボルトを通すボルト穴を備え前記フランジの一側面に当てられるスプロケットと、このスプロケットを固定するために前記両ねじボルトにねじ込まれるナットとからなるスプロケットユニットを組立てる組立設備であって、
鉛直軸を120°づつ回転させる回転機構と、
前記鉛直軸の上端に取付けられる作業テーブルと、
この作業テーブル上に所定のピッチで配置され前記フランジを支える6個のフランジ支持台と、
前記作業テーブルの周囲のエリアを3等分し、その1つに割り当てられ作業員が立つ作業床が設けられる作業員エリアと、
残余の2つに割り当てられ組立に係る各種の自動機が設けられる第1自動機エリア及び第2自動機エリアとからなり、前記作業テーブルが前記作業員エリア、前記第1自動機エリア、前記第2自動機エリアの順で巡回するように前記回転機構で一方向に回され、
前記6個のフランジ支持台中、3個は前記回転機構で回転されたときに前記作業床に立つ作業員の左手近傍に順に到達する左フランジ支持台とされ、残りの3個は前記回転機構で回転されたときに前記作業床に立つ作業員の右手近傍に順に到達する右フランジ支持台とされ、
前記第1自動機エリアには、前記フランジに前記軸受を圧入する圧入機と、前記フランジに前記ナットを仮締めする第2ナットランナとが、前記回転方向に沿ってこの順に配置され、
前記第2自動機エリアには、前記両ねじボルトを本締めする第1ナットランナと、前記ナットを本締めする第3ナットランナとが、前記回転方向に沿ってこの順に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のスプロケットユニット組立設備を用いて実施するスプロケットユニット組立方法において、
前記左フランジ支持台に、前記作業員により前記フランジが載せられると共に前記フランジに前記両ねじボルトが仮止めされるフランジセット工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第1自動機エリアに到達した前記フランジに軸受を前記圧入機により圧入する軸受圧入工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第2自動機エリアに到達した前記フランジにおける前記両ねじボルトを前記第1ナットランナにより前記フランジに締付けるボルト締付け工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記作業員エリアに到達した前記フランジが、前記作業員により前記右フランジ支持台に移され、且つ移された前記フランジに前記作業員によりスプロケットがセットされるスプロケットセット工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第1自動機エリアに到達した前記フランジにおける前記両ねじボルトに前記第2ナットランナにより前記ナットを仮締めするナット仮締め工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記第2自動機エリアに到達した前記ナットを前記第3ナットランナにより本締めすることでスプロケットユニットを完成させるナット本締め工程と、
前記作業テーブルが120°回され、前記作業員エリアに到達した前記スプロケットユニットが、前記作業員により払い出されるユニット払い出し工程と、
からなり、前記工程群が、前記作業テーブルを2回転させる間に順次実施されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、作業員エリアでは、フランジセット工程とスプロケットセット工程とユニット払い出し工程とが一括して実施され、
第1自動機エリアでは、軸受圧入工程とナット仮締め工程とが並行して実施され、
第2自動機エリアでは、ボルト締付け工程とナット本締め工程とが並行して実施されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、スプロケットユニット組立設備は、作業テーブルとこの作業テーブルを120°づつ回す回転機構と、作業テーブルの周りに配置される作業員エリア及び第1・第2自動機エリアとからなる。作業テーブルを2回転させる間に6〜7工程を実施させる。
スプロケットユニット組立設備が、コンパクトにまとまり、小型で床面積が小さなスプロケット組立設備が提供される。
【0016】
請求項2に係る発明では、6〜7の工程が、作業テーブルを2回転させる間に順次実施され、生産能率が高められる。
【0017】
請求項3に係る発明では、作業員エリア及び第1・第2自動機エリアで、各々複数の作業を同時並行的に実施させる。自動機の稼働率が極めて高くなり、生産能率を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】スプロケットユニットの組立手順を説明するフロー図である。
図2】本発明に係るスプロケットユニット組立設備の平面図である。
図3】本発明に係るスプロケットユニット組立設備の側面図である。
図4図2の4−4線断面図である。
図5】本発明に係るスプロケットユニット組立方法を説明する図である。
図6】本発明に係るスプロケットユニット組立方法を説明する図である。
図7】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0020】
スプロケットユニット組立設備の構成を説明する前に、組立対象物であるスプロケットユニットの組立手順を図1に基づいて説明する。
図1(a)に示すように、円板状のフランジ11に、軸受穴12及び雌ねじ13(この例では5箇所)が設けられている。
【0021】
スタットとも呼ばれる両ねじボルト14を準備する。両ねじボルト14は、締結工具を掛けるねじ無し部15と、このねじ無し部15の一方に設けられる雄ねじ部16と、ねじ無し部15の他方に設けられる雄ねじ部17とからなる。
フランジ11側の雌ねじ13に、雄ねじ部16を軽くねじ込むことで、両ねじボルト14を仮締めする。この仮締めは人手で実施可能である。必要に応じて接着剤容器18から接着剤が塗布される。
【0022】
次に、(b)にて、軸受21及びオイルシール22が軸受穴12に圧入される。この圧入はプレスマシンなどの圧入機で実施される。
次に、(c)にて、所定の締め付けトルクが発生するまで、両ねじボルト14の雄ねじ部16をフランジ11に本格的にねじ込む。この作業は本締めと呼ばれ、ナットランナで実施される。
【0023】
次に、(d)にて、ボルト穴23を有するスプロケット24を準備する。そして、本締めされた両ねじボルト14がボルト穴23を貫通するようにして、フランジ11の上面にスプロケット24を載せる。
【0024】
次に、(e)に示すように、ナット25を準備し、ナット25を両ねじボルト14の雄ねじ部17に、仮締めする。この仮締め作業はナットランナで実施する。
次に、(f)に示すように、ナット25を雄ねじ部17に、所定の締め付けトルクで本締めする。この本締め作業はナットランナで実施する。
以上により、(g)に示すような、スプロケットユニット10が出来上がる。
【0025】
以上の作業を実施する上で、好適な設備を次に説明する。
図2に示すように、スプロケットユニット組立設備30は、丸又は多角形(この例では六角形)の作業テーブル31と、鉛直軸46を中心にして、作業テーブル31を120°づつ(この例では図面反時計廻りに)回転させる回転機構(図3、符号45)と、作業テーブル31上に所定のピッチで配置されフランジを支える6個のフランジ支持台32L、32Rと、作業テーブル31の周囲のエリアを3等分し、その1つに割り当てられ作業員33が立つ作業床34が設けられる作業員エリア35と、残余の2つに割り当てられ組立に係る各種の自動機が設けられる第1自動機エリア36及び第2自動機エリア37とを、主要素とする。
【0026】
6個のフランジ支持台中、3個は回転機構で回転されたときに作業床34に立つ作業員33の左手38L(Lは左を示す添え字。以下同)近傍に順に到達する左フランジ支持台32Lであり、残りの3個は作業員33の右手38R(Rは右を示す添え字。以下同)近傍に順に到達する右フランジ支持台32Rである。
【0027】
第1自動機エリア36には、フランジに軸受及びオイルシールを圧入する圧入機39と、ナットを仮締めする第2ナットランナ42とが、回転方向に沿ってこの順に配置される。
第2自動機エリア37には、両ねじボルトを本締めする第1ナットランナ41と、ナットを本締めする第3ナットランナ43とが、回転方向に沿ってこの順に配置されている。
【0028】
図3に示すように、第1〜第3ナットランナ41〜43は、支柱44に昇降可能に取り付けられ、所定の締付け作業を実施する。また、作業テーブル31は回転機構45の鉛直軸46に支持され、水平旋回する。作業床34に操作盤47が設けられており、作業員33が操作盤47のボタン48を押すことで、作業テーブル31は120°回転し停止する。すなわち、作業テーブル31は手動始動、自動停止される。
【0029】
図4に示すように、圧入機39はスタンド49と、このスタンド49に下向き取付けられるプッシャ51とからなる。プッシャ51は、所定の軸力を発生する油圧シリンダや空圧シリンダが好適である。
【0030】
図2に示すように、第1自動機エリア36と第2自動機エリア37は、安全策50で囲われている。
作業員33の左側に、両ねじボルト14が並べられているボルトストッカ52が配置されると共にフランジ11を供給するコンベア53が設けられる。
【0031】
また、作業員33の右側に、スプロケット24が並べられているスプロケットストッカ54が配置されると共に完成したスプロケットユニット10を払い出すコンベア55が設けられる。
【0032】
安全柵50を貫通するようにして、柵外から軸受21及びオイルシール22を供給するコンベア56、57が第1自動機エリア36に延ばされ、ナット25を供給するコンベア58が第1自動機エリア36に延ばされる。
さらに、第1自動機エリア36に、部品搬送ロボット61が設けられ、この部品搬送ロボット61が、コンベア56、57、58から軸受21及びオイルシール22、ナット25を選択的に作業テーブル31上へ移す。
【0033】
以上の述べたスプロケットユニット組立設備30の作用を次に述べる。
図5(a)に示すように、左フランジ支持台32Lに、作業員33によりフランジ11が載せられる。そして、フランジ11に両ねじボルト14が仮止め(手締め)される(フランジセット工程)。なお、作業テーブル31に付した黒点(・)は、以下の理解を容易にするための目印である。
【0034】
作業テーブル31が120°回されると、(b)に示すように、フランジ11は第1自動機エリア36に移る。このフランジ11に軸受21及びオイルシール22を部品搬送ロボット61で載せ、圧入機39により圧入する(軸受圧入工程)。
【0035】
作業テーブル31が120°回されると、(c)に示すように、フランジ11は第2自動機エリア37に移る。このフランジ11における両ねじボルトを第1ナットランナ41により締付ける(本締めする)(ボルト締付け工程)。
【0036】
作業テーブル31が120°回されると、(d)に示すように、フランジ11は作業員エリア35に戻る。作業員33は、フランジ11を、右フランジ支持台32Rへ移す(矢印(1))。
移されたフランジ11B(区別するために、左から右へ移された後のフランジは11Bと記す。)に右手38Rでスプロケット24をセットする(スプロケットセット工程)。
【0037】
作業テーブル31が120°回されると、(e)に示すように、フランジ11Bは、第1自動機エリア36に移る。フランジ11における両ねじボルトに部品搬送ロボット61によりナット25を載せ、第2ナットランナ42により仮締めする(ナット仮締め工程)。
【0038】
作業テーブル31が120°回されると、(f)に示すように、フランジ11Bは第2自動機エリア37に移る。第3ナットランナ43によりナットを本締めする(ナット本締め工程)。
作業テーブル31が120°回されると、(g)に示すように、スプロケットユニット10が作業員エリア35に到達する。作業員33は、スプロケットユニット10をコンベア55へ払い出す(ユニット払い出し工程)。
すなわち、7つの工程群が、作業テーブル31を2回転させる間に順次実施される。
【0039】
以上の組立作業を実施するスプロケットユニット組立設備30は、図2に示すように、コンパクトにまとまっている。すなわち、本発明により、小型で床面積が小さなスプロケットユニット組立設備30が提供される。
【0040】
図5では、組立作業を平易にするために、フランジ11を1個のみ追跡することで説明した。現実の組立作業では、作業テーブル31に、5〜6個のフランジ11を常時載せた状態で作業を実施する。
すなわち、図6(a)、(b)、(c)に示すように、作業員は順次到着する左フランジ支持台32Lに、次々とフランジ11を載せる。
【0041】
図6(d)では、作業員は、組立途中のフランジ11を左フランジ支持台32Lから右フランジ支持台32Rへ移す(矢印(2))。移されたフランジは符号が11Bになる。空になった左フランジ支持台32Lへ、新たなフランジ11を載せる。
以降、図6(e)、(f)、(g)で作業員は、組立途中のフランジ11を左フランジ支持台32Lから右フランジ支持台32Rへ移し(矢印(2))、空になった左フランジ支持台32Lへ、新たなフランジ11を載せる作業を繰り返す。
【0042】
(g)以降は、(g)の形態が繰り返される。すなわち、(a)〜(f)が導入形態であり、(g)が定常形態であると言える。
この(g)において、作業員エリア35では、フランジセット工程(図5(a))とスプロケットセット工程(図5(d))とユニット払い出し工程(図5(g))とが一括して実施される。
【0043】
第1自動機エリア36では、軸受圧入工程(図5(b))とナット仮締め工程(図5(e))とが並行して実施される。
第2自動機エリア37では、ボルト締付け工程(図5(c))とナット本締め工程(図5(f))とが並行して実施される。
【0044】
作業員エリア35及び第1・第2自動機エリア36、37で、各々複数の作業を同時並行的に実施させる。自動機の稼働率が極めて高くなり、生産能率を更に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、自動二輪車等の駆動輪にセットされるスプロケットユニットの組立技術に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10…スプロケットユニット、11…フランジ、14…両ねじボルト、21…軸受、22…オイルシール、23…ボルト穴、24…スプロケット、25…ナット、30…スプロケットユニット組立設備、31…作業テーブル、32L、32R…フランジ支持台、33…作業員、34…作業床、35…作業員エリア、36…第1自動機エリア、37…第2自動機エリア、38L…作業員の左手、38R…作業員の右手、39…圧入機、41…第1ナットランナ、42…第2ナットランナ、43…第3ナットランナ、45…回転機構、46…鉛直軸、61…部品搬送ロボット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7