(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記容器の重量の許容重量範囲を取得し、前記容器の重量が、前記許容重量範囲外の場合、前記計量皿の組合せを選ばずに、エラーを報知する請求項1または2に記載の計量システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、手動式の組合せ秤では、被計量物の計量器(計量皿)への作業者の載置作業、および、被計量物の計量器からの作業者の取り出し作業(以下、必要に応じて、これらの作業を「被計量物のハンドリング作業」という)が、作業者にとって負担になる場合がある。
【0010】
例えば、被計量物を容器詰めする場合、1つの容器あたりの被計量物の個数が2〜3個程度と少ない場合は、被計量物のハンドリング作業の負担はさほど問題とならないが、被計量物の個数が多くなるに連れて、ハンドリング作業の回数が増え、その結果、作業者の作業効率が大幅に低下する。
【0011】
また、被計量物が、例えば、高単価な明太子の如く、取り扱いに細心の注意が必要な生食品の場合、作業者の商品の取り扱いミスによって、商品の品質に重大な欠陥(例えば、被計量物の傷み等)が生じる可能性がある。よって、この場合、上記ハンドリングの回数を極力減らす方が好ましい。つまり、被計量物への人手の介在を少なくする方が好ましい。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、手動式の組合せ秤での被計量物のハンドリング作業の回数を従来例よりも低減できる計量システムおよび計量作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明は、被計量物が入っている容器が載置された台秤と、前記被計量物が載った複数の計量皿を備える手動式の組合せ秤と、によって構成された計量システムであって、
前記計量システムの制御装置は、前記台秤によって計量された前記容器の重量を用いて、前記組合せ秤における前記被計量物の目標重量を導き、
前記計量皿上の被計量物の組合せ重量が前記目標重量の許容範囲内になるよう、前記計量皿の組合せを選ぶ、計量システムを提供する。
【0014】
これにより、手動式の組合せ秤での被計量物のハンドリング作業の回数を従来例よりも低減できる。その結果、ハンドリング作業の効率化および作業ミスの低減を図れる。
【0015】
また、本発明は、所定個数の被計量物が入っている容器を複数段、減算式の台秤に積む工程と、
前記被計量物を所定個数、手動式の組合せ秤の複数の計量皿のそれぞれに載せる工程と、
前記容器を1個、前記台秤から取り出すときに、前記容器の重量を取得する工程と、
前記容器の重量を用いて前記組合せ秤における前記被計量物の目標重量を導く工程と、
前記計量皿上の被計量物の組合せ重量が前記目標重量の許容範囲内になるよう、前記計量皿の組合せを選ぶ工程と、
前記選ばれた計量皿上の前記被計量物を、前記取り出した容器の空きスペースに収納する工程と、
を含む、計量作業方法も提供する。
【0016】
これにより、本発明では、容器内への被計量物の詰め込み作業が、被計量物の計量動作の準備段階で行われる結果として、組合せ秤での被計量物のハンドリング作業の回数を減らすことができ、ひいては、上記ハンドリング作業の効率化および作業ミスの低減を図れる。
【0017】
また、本発明の計量作業方法では、前記容器として、前記被計量物の化粧箱を使用してもよい。
【0018】
これにより、容器(化粧箱)に被計量物を収納した後、この容器をそのまま、市場に出荷できるので都合がよい。
【0019】
特に、以上の本発明の計量システムおよび計量作業方法によって奏される効果は、被計量物が、例えば、高単価な明太子Mの如く、取り扱いに細心の注意が必要な生食品の場合に、様々な点で有益であると考えられる。
【0020】
第1に、被計量物のハンドリング作業の回数を減らすことができるので、被計量物への人手の介在が少なくなり、ひいては、高単価な商品の品質に重大な欠陥(例えば、被計量物の傷み等)が生じる可能性を適切かつ充分に抑制できると考えられる。
【0021】
第2に、被計量物の計量動作の準備段階において、作業者は、被計量物の計量を気にせずに、大部分の被計量物を容器に、丁寧かつ慎重に収納することに専念できる。よって、作業者による商品の取り扱いミスを低減でき、ひいては、高単価な商品の品質に重大な欠陥(例えば、被計量物の傷み等)が生じる可能性を適切かつ充分に抑制できると考えられる。
【0022】
また、本発明の計量システムでは、前記組合せ秤が、報知手段を備えてもよく、前記制御装置は、前記報知手段を用いて、前記選ばれた計量皿を報知してもよい。
【0023】
これにより、作業者は、上記組合せで選ばれた計量皿を即座に知ることができる。
【0024】
また、本発明の計量システムでは、前記制御装置は、前記容器の重量の許容重量範囲を取得し、前記容器の重量が、前記許容重量範囲外の場合、前記計量皿の組合せを選ばずに、エラーを報知してもよい。
【0025】
これにより、台秤によって計量された容器の重量の適否に判断でき、例えば、組合せ秤において被計量物の組合せが成立する可能性がない場合(或いは、可能性が極めて乏しい場合)、計量皿の組合せを行わずに済む。
【0026】
また、本発明の計量システムは、前記容器に詰める予定の前記被計量物の総重量と、前記容器の風袋重量と、を入力する手段を更に備えてもよく、前記被計量物の総重量に対して、前記容器の風袋重量との間の和、および、前記容器の重量との間の差を取ることにより得られる重量が、前記目標重量であってもよい。
【0027】
これにより、組合せ秤における前記被計量物の目標重量を適切に導くことができる。
【0028】
また、本発明の計量システムは、前記容器に詰める予定の前記被計量物の総個数と、前記台秤上の前記容器内の被計量物の個数と、前記計量皿のそれぞれに載せられた被計量物の載置個数が一定である場合の前記被計量物の載置個数と、を入力する手段を更に備えてもよく、前記被計量物の総個数と前記容器内の被計量物の個数との差を、前記被計量物の載置個数により除して得られた値が、前記組合せにより選ばれる前記計量皿の目標個数であってもよい。
【0029】
これにより、上記組合せにより選ばれる前記計量皿の目標個数を適切に導くことができる。
【0030】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、手動式の組合せ秤での被計量物のハンドリング作業の回数を従来例よりも低減できる計量システムおよび計量作業方法が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、重複する要素の説明を省略する場合がある。
【0034】
また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。つまり、以下の具体的な説明は、本発明の「計量システム」および「計量作業方法」の特徴を例示しているに過ぎない。
【0035】
例えば、以下の実施形態において述べる「表示灯13」は、本発明の構成要素である「報知手段」の一例に過ぎない。よって、以下の実施形態では、「表示灯13」は、様々な発光色の点灯、点滅、消灯を示す視覚報知装置によって構成されているが、本発明の「報知手段」の具体例は、このような視覚報知装置には限定されず、スピーカー等の音声による聴覚報知装置でもよい。
【0036】
また、本発明の「前記容器に詰める予定の前記被計量物の総重量と、前記容器の風袋重量と、を入力する手段」の具体例、および、本発明の「前記容器に詰める予定の前記被計量物の総個数と、前記台秤上の前記容器内の被計量物の個数と、前記計量皿のそれぞれに載せられた被計量物の載置個数が一定である場合の前記被計量物の載置個数と、を入力する手段」の具体例として、以下の実施形態では、組合せ秤10の「操作表示器15」を例示しているが、本発明の「・・・を、入力する手段」はこれに限らない。
【0037】
例えば、以下の第4変形例において記載のとおり、デジタル台秤50の計量台52に空の容器を1個、載せ降ろしすると、デジタル台秤50の制御装置60は、このときの計量器51の計量値の差分に基づいて容器の風袋重量を自動的に取得(演算)できる。この場合、デジタル台秤50の計量台52が、本発明の「容器の風袋重量を入力する手段」に相当する。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態による計量システムの一例を斜視した図である。
図2は、本発明の実施形態による計量システムの内部の一構成例を示すブロック図である。
【0038】
計量システム100は、
図1に示すように、手動式の組合せ秤10と、この組合せ秤10の外付け秤に相当する減算式のデジタル台秤50(電子台秤)と、によって構成されている。
【0039】
まず、組合せ秤10の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1に示すように、組合せ秤10は、所定個数の被計量物(
図4では、2本の明太子M)が載った複数台(ここでは、12台)の計量器11と、計量器11を固定する支持台16と、備える。
【0041】
計量器11は、被計量物が載せられる計量皿12と、計量皿12を支持して、計量皿12上の被計量物の重量を計量できるロードセル等の重量センサ(図示せず)からなる。また、
図2に示すように、計量器11のそれぞれは、公知の信号処理回路(例えば、増幅器やA/D変換器等;図示せず)を介して制御装置20(詳細は後述)に接続されている。
【0042】
これにより、計量器11により計量される計量皿12に載っている被計量物の重量(以下、「計量皿12の被計量物の計量値」という)が、制御装置20に入力される。
【0043】
なお、ここでの組合せ秤10は、被計量物の計量皿12への載置が作業者の手作業によって行われ、計量皿12上の被計量物の計量値についての自動組合せ演算の後、組合せにより選ばれた計量皿12からの被計量物の取り出しが、再び、作業者の手作業によって行われる。
【0044】
また、
図1に示すように、組合せ秤10は、計量皿12の近傍の支持台16に設けられた複数(ここでは、12個)の表示灯13を備える。詳しくは、表示灯13は、計量器11(計量皿12)のそれぞれに対応するよう、支持台16の最上面に取り付けられている。なお、表示灯13は、例えば、LED(発光ダイオード)を用いて構成することができる。
【0045】
以上の表示灯13は、組合せ秤10の組合せ演算の結果に基づいて、制御装置20によって表示灯13の点灯、点滅および消灯が制御され、これにより、表示灯13は、対応する計量器11の組合せ成立指示や載せ替え指示を示す報知手段として用いることができる(詳細は後述する)。
【0046】
また、
図1および
図2に示すように、組合せ秤10は、制御装置20と、操作表示器15と、を備える。
【0047】
操作表示器15は、例えば、タッチスクリーン式の液晶ディスプレイを備え、支持台16に固定されている。この操作表示器15は、組合せ秤10の動作開始および動作停止等の操作並びに組合せ秤10の様々な動作条件の、制御装置20への入力手段の機能と、制御装置20によって演算される組合せ重量等の出力手段の機能と、を兼ねる。
【0048】
制御装置20は、操作表示部15内に格納され、例えば、CPU等の演算制御部とRAMやROM等の記憶部と、からなるマイクロコンピュータ等によって構成されている。
【0049】
制御装置20の記憶部には、上記動作条件および制御プログラムが記憶されている。そして、組合せ秤10の動作開始時には、制御装置20の演算制御部が、これらの動作条件および制御プログラムを記憶部から読み出し、組合せ秤10の各機器を制御しながら組合せ秤10の全体の動作を制御する。
【0050】
例えば、制御装置20は、計量皿12の被計量物の計量値に基づいて組合せ演算を行い、被計量物の組合せ重量が、被計量物の目標重量の許容範囲内になる、計量皿12の組合せの中から最適な組合せを導く処理を行う。
【0051】
そして、制御装置20は、上記組合せによって選ばれた計量皿12に対応する表示灯13を点灯し、上記組合せによって選ばれた計量皿12上の被計量物の組合せ重量を操作表示器15の液晶ディスプレイに表示する。
【0052】
次に、デジタル台秤50の構成について図面を参照しながら説明する。
【0053】
図1に示すように、デジタル台秤50は、所定個数の被計量物(
図4では、16個の明太子M)が入っている容器(
図4では、上蓋PBを外した状態の化粧箱PA)が複数段に載置された計量器51を備える。
【0054】
計量器51は、容器が積まれた計量台52と、計量台52を支持して、計量台52上の容器の重量を計量できるロードセル等の重量センサ(図示せず)等からなる。また、
図2に示すように、計量器51は、公知の信号処理回路(例えば、増幅器やA/D変換器等;図示せず)を介して制御装置60(詳細は後述)に接続されている。
【0055】
これにより、計量器51により計量される計量台52に載っている多段の容器の重量(以下、「計量台52の容器の計量値」という)が制御装置60に入力される。
【0056】
また、
図1および
図2に示すように、デジタル台秤50は、制御装置60と、操作表示器55と、を備える。
【0057】
操作表示器55は、例えば、液晶ディスプレイを備え、デジタル台秤50の動作開始および動作停止等の操作並びにデジタル台秤50の様々な動作条件の、制御装置60への入力手段の機能と、制御装置60によって演算される容器の重量の出力手段の機能と、を兼ねる。
【0058】
制御装置60は、操作表示部55内に格納され、例えば、CPU等の演算制御部とRAMやROM等の記憶部と、からなるマイクロコンピュータ等によって構成されている。
【0059】
制御装置60の記憶部には、上記動作条件および制御プログラムが記憶されている。そして、デジタル台秤50の動作開始時には、制御装置60の演算制御部が、これらの動作条件および制御プログラムを記憶部から読み出し、デジタル台秤50の各機器を制御しながらデジタル台秤50の全体の動作を制御する。
【0060】
例えば、制御装置60は、容器が計量台52から取り出されたことを、計量台52の容器の計量値の変化に基づいて検出できる。
【0061】
そして、制御装置60は、容器の取り出し前後の、計量台52の容器の計量値の差分に基づいて、計量台52から取り出された容器の重量を演算し、この容器の重量を操作表示器55の液晶ディスプレイに表示する。
【0062】
また、
図2に示すように、組合せ秤10の制御装置20とデジタル台秤50の制御装置60と、は、有線或いは無線の通信回線によって接続されている。
【0063】
これにより、本実施形態の計量システム100は、デジタル台秤50の計量台52から容器が取り出されたときに、上記容器の重量が、デジタル台秤50の制御装置60から組合せ秤10の制御装置20に送信されることが特徴の一つであるが、この詳細については、以下の計量システム100の計量動作において述べる。
【0064】
図3は、本発明の実施形態による計量システムの計量動作の一例を示すフローチャートである。また、
図4は、本発明の実施形態による計量システムの計量動作の説明に用いる図である。
【0065】
なお、ここでは、以下の動作は、制御装置20、60によって制御されている。
【0066】
また、
図3の処理を行うのに必要な情報は全て、操作表示器15を用いて制御装置20に入力(設定)され、制御装置20の記憶部に記憶されている。
【0067】
上記情報の一例として、容器に詰める予定の被計量物の総重量と、容器の風袋重量と、容器に詰める予定の被計量物の総個数と、計量台52上の容器内の被計量物の個数と、計量皿12のそれぞれに載せられた被計量物の載置個数(但し、載置個数は一定の個数であるとする)と、組合せ秤10における被計量物の目標重量の許容範囲(ここでは、目標重量の上限値)と、がある。
【0068】
まず、本実施形態の計量システム100の計量動作に先だって、作業者によって、以下の計量動作の準備作業が行われる。
【0069】
作業者は、容器(
図4では、化粧箱PA)に適宜の空きスペース(
図4では、明太子M4個分の空きスペース)を残して、被計量物を所定個数(
図4では、16個の明太子M)、入れる。その後、この容器をデジタル台秤50の計量台52上に積み、最終的に複数段の容器を計量台52上に積み上げる。
【0070】
また、作業者は、組合せ秤10の計量皿12のそれぞれに、所定個数の被計量物(
図4では、2個の明太子M)を載せる。
【0071】
以上の準備作業が終了したら、作業者は、操作表示器15のスタートボタンを押す。すると、計量システム100は、
図3の処理を開始する。
【0072】
ステップS401では、デジタル台秤50からの計量信号の有無が確認される。
【0073】
制御装置20は、デジタル台秤50からの計量信号が無い場合(ステップS401において「No」の場合)、計量システム100をそのままの状態に維持する。
【0074】
一方、作業者によって、デジタル台秤50の計量台52上の容器が1個、計量台52から取り出されたとき、デジタル台秤50の制御装置60は、計量台52の容器の計量値が安定するのを待って、容器の取り出し前後の計量台52の容器の計量値の差分に基づいて、1個の容器の重量を演算する。そして、この容器の重量は、デジタル台秤50からの計量信号として、デジタル台秤50の制御装置60から組合せ秤10の制御装置20に送信される。すると、ステップS401では、デジタル台秤50からの計量信号が有るとされ(ステップS401において「Yes」)、次のステップ(ステップS402)に進む。
【0075】
ステップS402では、制御装置20は、ステップS401の容器の重量が、その許容重量範囲内であるか否かを判定する。
【0076】
なお、ここで、容器の重量の許容重量範囲内とは、組合せ秤10において、被計量物の組合せが成立する可能性がある重量範囲を指す。一方、容器の重量の許容重量範囲外とは、組合せ秤10において、被計量物の組合せが成立する可能性がない重量範囲(或いは、可能性が極めて乏しい重量範囲)を指す。
【0077】
以下、具体的な数値を挙げて、上記許容重量範囲について例説する。
【0078】
例えば、組合せ秤の被計量物の目標重量が950g、目標重量の上限値が1050gであるとする(つまり、目標重量の許容範囲は、950g〜1050gであるとする)。また、被計量物の重量範囲が100g±10gであるとし、8個分の被計量物がデジタル台秤の計量台から取り出され、組合せ秤において、2個分の被計量物の組合せ演算が行われるとする。
【0079】
ここで、組合せ秤での最大組合せ重量は110g×2個=220gとなるので、デジタル台秤からの容器内の被計量物の重量が750gである場合、被計量物の最大重量(750g+220g=970g)は、上記目標重量の許容範囲内(950g〜1050g)に入る可能性がある。よって、この場合、ステップS402において、容器の重量は、許容重量範囲内と判定される。
【0080】
これに対して、デジタル台秤からの容器内の被計量物の重量が700gである場合、被計量物の最大重量(700g+220g=920g)は、最早、上記目標重量の許容範囲内(950g〜1050g)に入る可能性がない。よって、この場合、ステップS402において、容器の重量は、許容重量範囲外と判定される。
【0081】
制御装置20は、容器の重量が、許容重量範囲外の場合(ステップS402において「No」の場合)、適宜の報知手段を用いて、エラー報知を行い(ステップS403)、その後、ステップS401に戻り、今回の計量動作を終了させる。
【0082】
以上により、デジタル台秤50によって計量された容器の重量の適否を判断でき、例えば、組合せ秤10において被計量物の組合せが成立する可能性がない場合(或いは、可能性が極めて乏しい場合)、計量皿12の組合せを行わずに済む。
【0083】
一方、制御装置20は、容器の重量が、許容重量範囲内の場合(ステップS402において「Yes」の場合)、ステップS404以降において、組合せ秤10による組合せ演算を実行する。
【0084】
ステップS404では、制御装置20は、ステップS401の容器の重量を用いて、組合せ秤10の組合せで選ばれる被計量物の目標重量を導く。
【0085】
具体的には、容器に詰める予定の被計量物の総重量に対して、容器の風袋重量との間の和、および、ステップS401の容器の重量との間の差を取ることにより得られる重量が、上記目標重量に相当する。
【0086】
このようにして、本実施形態の計量システム100では、組合せ秤10における被計量物の目標重量を適切に導くことができる。
【0087】
また、ステップS404では、制御装置20は、組合せ秤10の組合せで選ばれる計量皿12の目標個数も導く。
【0088】
具体的には、容器に詰める予定の被計量物の総個数(
図4では、明太子Mが20個)と、容器内の被計量物の個数(
図4では、明太子Mが16個)との差を、計量皿12上の被計量物の載置個数(
図4では、明太子Mが2個)により除して得られた値が、上記目標個数に相当する。つまり、
図4の計量システム100で例説すると、計量皿12の目標個数は、20−16/2=2個である。
【0089】
このようにして、本実施形態の計量システム100では、上記組合せにより選ばれる計量皿12の目標個数を適切に導くことができる。
【0090】
次いで、制御装置20は、組合せ秤10による組合せ演算を行う(ステップS405)。
【0091】
具体的には、制御装置20は、組合せ秤10を用いて、計量皿12上の被計量物の組合せ重量が、上記目標重量の許容範囲内になるよう、目標個数分の計量皿12の組合せを選ぶ。
【0092】
このようにして、組合せ秤10では、被計量物の定数定量組合せが行われる。
【0093】
次いで、制御装置20は、組合せ秤10による組合せが成立したか否かを判定する(ステップS406)。
【0094】
制御装置20は、組合せ秤10による組合せが成立した場合(ステップS406において「Yes」の場合)、上記組合せで選ばれた計量皿12に対応する表示灯13を点灯する(ステップS407)。なお、
図4では、2つの計量皿12Sに対応する表示灯13の点灯状態が、黒塗り表示により例示されている。
【0095】
これにより、作業者は、上記組合せで選ばれた計量皿12を即座に知ることができる。
【0096】
次いで、制御装置20は、上記組合せで選ばれた計量皿12上の被計量物を計量皿12から取り出したか否かを判定する(ステップS408)。
【0097】
なお、制御装置20は、計量器11の重量センサの出力を常時、監視することにより、ステップS408の判定を容易に行える。
【0098】
制御装置20は、上記組合せで選ばれた計量皿12上の被計量物が、計量皿12から取り出されていない場合(ステップS408において「No」の場合)、組合せ秤10をそのままの状態に維持する。
【0099】
一方、制御装置20は、上記組合せで選ばれた計量皿12上の被計量物が、計量皿12から取り出された場合(ステップS408において「Yes」の場合)、表示灯13の点灯を消し(ステップS409)、ステップS401に戻り、計量システム100の1回分の計量動作を終了させる。
【0100】
なお、以上の計量動作の後、
図4に示すように、ステップS408において取り出された被計量物(
図4では、4本の明太子M)は、作業者の手作業により、容器(
図4では、化粧箱PA)の空きスペースに収納される。その後、化粧箱PAは、上蓋PBが取り付けられて、市場に出荷される。
【0101】
一方、制御装置20は、組合せ秤10による組合せが成立しなかった場合(ステップS406において「No」の場合)、適宜の報知手段を用いて、組合せ秤10による組合せが成立しなかったことを報知する(ステップS410)。
【0102】
また、このとき、被計量物の載せ替え指示が、表示灯13の点滅により行われる(ステップS411)。
【0103】
なお、本実施形態の計量システム100の組合せ秤10では、組合せ成立の可能性が高くなる計量皿12(例えば、被計量物の平均単重から最も遠い被計量物が載った計量皿12)を表示灯13により作業者に知らせるという載せ替え指示機能が内蔵されているが、このような載せ替え指示機能自体は、公知である。よって、ここでは、本機能の詳細な説明は省略する。
【0104】
次いで、制御装置20は、被計量物を載せ替えたか否かを判定する(ステップS412)。
【0105】
なお、制御装置20は、計量器11の重量センサの出力を常時、監視することにより、ステップS412の判定を容易に行える。
【0106】
制御装置20は、被計量物が載せ替えられていない場合(ステップS412において「No」の場合)、組合せ秤10をそのままの状態に維持する。
【0107】
一方、制御装置20は、被計量物が載せ替えられた場合(ステップS412において「Yes」の場合)、表示灯13の点滅を消し(ステップS413)、ステップS405以降の動作を繰り返す。
【0108】
以上のとおり、本実施形態の計量システム100は、被計量物が入っている容器が載置されたデジタル台秤50と、被計量物が載った複数の計量皿12を備える手動式の組合せ秤10と、によって構成されている。そして、計量システム100の制御装置20は、デジタル台秤50によって計量された容器の重量を用いて、組合せ秤10における被計量物の目標重量を導き、計量皿12上の被計量物の組合せ重量がこの目標重量の許容範囲内になるよう、計量皿12の組合せを選ぶ。
【0109】
これにより、手動式の組合せ秤10での被計量物のハンドリング作業の回数を従来例よりも低減できる。その結果、ハンドリング作業の効率化および作業ミスの低減を図れる。
【0110】
また、本実施形態の計量作業方法は、所定個数の被計量物が入っている容器を複数段、減算式のデジタル台秤50に積む工程と、被計量物を所定個数、手動式の組合せ秤10の複数の計量皿12のそれぞれに載せる工程と、容器を1個、デジタル台秤50から取り出すときに、容器の重量を取得する工程と、この容器の重量を用いて組合せ秤10における被計量物の目標重量を導く工程と、計量皿12上の被計量物の組合せ重量が上記目標重量の許容範囲内になるよう、計量皿12の組合せを選ぶ工程と、上記組合せで選ばれた計量皿12上の被計量物を、取り出した容器の空きスペースに収納する工程と、含んでいる。
【0111】
これにより、容器内への被計量物の詰め込み作業が、被計量物の計量動作の準備段階で行われる結果として、組合せ秤10での被計量物のハンドリング作業の回数を大幅に減らすことができ、ひいては、上記ハンドリング作業の効率化および作業ミスの低減も図れる。
【0112】
特に、以上の本実施形態の計量システム100および計量作業方法によって奏される効果は、被計量物が、例えば、高単価な明太子Mの如く、取り扱いに細心の注意が必要な生食品の場合に、様々な点で有益であると考えられる。
【0113】
第1に、被計量物のハンドリング作業の回数を減らすことができるので、被計量物への人手の介在が少なくなり、ひいては、高単価な商品の品質に重大な欠陥(例えば、被計量物の傷み等)が生じる可能性を適切かつ充分に抑制できると考えられる。
【0114】
第2に、被計量物の計量動作の準備段階において、作業者は、被計量物の計量を気にせずに、大部分の被計量物を容器に、丁寧かつ慎重に収納することに専念できる。よって、作業者による商品の取り扱いミスを低減でき、ひいては、高単価な商品の品質に重大な欠陥(例えば、被計量物の傷み等)が生じる可能性を適切かつ充分に抑制できると考えられる。
(第1変形例)
デジタル台秤50上の被計量物の個数と、組合せ秤10によって選ばれる被計量物の個数との間の配分は、必ずしも、上記実施形態で述べた配分(16個:4個)が最適とは限らない。
【0115】
そこで、このような最適な個数配分を、数値シミュレーションにより予測してもよい。
【0116】
例えば、被計量物のサンプルから被計量物の標準偏差を求め、この標準偏差に基づく組合せシミュレーションによって組合せ秤10の組合せ成立率を計算することができる。すると、この組合せ成立率と、被計量物のハンドリング作業の回数(1ハンドリング作業あたりの作業時間)と、によって得られるトータル作業時間の点から、上記最適な個数配分を予測することができる。
【0117】
但し、この類の組合せシミュレーションのアルゴリズムは、統計数学を用いて様々に構築できる。よって、ここでは、その詳細は省略する。
(第2変形例)
本実施形態の計量システム100では、減算式のデジタル台秤50を用いる例を述べたが、必ずしも、これに限らず、加算式のデジタル台秤を採用してもよい。
【0118】
但し、本実施形態の如く、減算式のデジタル台秤50を用いると、計量台50上に容器を複数段に積み重ねた状態で、計量システム100の計量作業を効率的に行える。つまり、この場合、容器を毎回載せ降ろしする手間が省けるので、加算式のデジタル台秤を用いる場合に比べて計量作業の作業効率が格段に向上する。
(第3変形例)
本実施形態による計量システム100の計量動作(
図3)は、あくまで一例に過ぎず、この計量動作は、様々な処理フローに改変できる。
【0119】
例えば、
図3の計量システム100の計量動作では、ステップS406の組合せ秤10による組合せが成立するまで、被計量物の載せ替え処理(ステップS412)と、組合せ秤10による組合せ演算処理(ステップS405)と、を繰り返す処理フローになっている。
【0120】
しかし、以上の
図3の処理フローに代えて、組合せ演算についての適宜の再計算キーおよびキャンセルキー(何れも図示せず)等を用いて、ステップS406の組合せ秤10による組合せが成立しない場合、計量システム100の計量動作を終了の要否を、作業者の判断に委ねるような処理フローを構築してもよい(詳細な処理フローの説明および図示は省略する)。
(第4変形例)
本実施形態の計量システム100では、組合せ秤10の操作表示器15を用いて、容器の風袋重量が、組合せ秤10の制御装置20に入力(設定)される例を述べたが、これに限らない。
【0121】
例えば、容器の風袋重量は、以下の他の方法でも制御装置20に入力(設定)できる。
【0122】
第1に、デジタル台秤50の操作表示器55を用いて、作業者は、容器の風袋重量をデジタル台秤50の制御装置60に入力する。そして、この容器の風袋重量が、制御装置60から制御装置20に送信されることにより、容器の風袋重量が、制御装置20に入力(設定)される。
【0123】
第2に、デジタル台秤50の計量台52に空の容器を1個、載せ降ろしする。すると、デジタル台秤50の制御装置60は、このときの計量器51の計量値の差分に基づいて容器の風袋重量を自動的に取得(演算)できる。そして、この容器の風袋重量が、制御装置60から制御装置20に送信されることにより、容器の風袋重量が、制御装置20に入力(設定)される。
【0124】
また、他の変形例として、組合せ秤10の組合せで選ばれる被計量物の目標重量に、容器の風袋重量を加算した数値を、仮の目標重量として設定する方法がある。つまり、制御装置20が、仮の目標重量に基づいて組合せ演算を行うことができるよう、
図3の計量システム100の計量動作のアルゴリズムを改変してもよい。
【0125】
なお、上記「被計量物の目標重量に容器の風袋重量を加算した数値を設定」とは、例えば、被計量物の真の目標重量が500g、容器の風袋重量が5gの場合、仮の目標重量を、505gに設定することをいい、組合せ秤10での計量皿12上の被計量物の計量値についての組合せ演算において、上記容器の風袋重量が自動的に補正される。
【0126】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。