特許第5812997号(P5812997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5812997
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル及び過冷却部付き凝縮器
(51)【国際特許分類】
   F25B 40/00 20060101AFI20151029BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   F25B40/00 V
   F25B1/00 396B
   F25B1/00 396Z
   F25B1/00 331Z
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-539579(P2012-539579)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(86)【国際出願番号】JP2011005651
(87)【国際公開番号】WO2012053157
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2014年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2010-237624(P2010-237624)
(32)【優先日】2010年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯島 健次
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−106688(JP,A)
【文献】 特開2005−226885(JP,A)
【文献】 特開2007−298273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 40/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、冷媒を圧縮させる圧縮機、圧縮した冷媒を凝縮させる凝縮器、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器を適宜配管接合することにより構成された冷凍サイクルにおいて、
前記凝縮器は、冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有する過冷却部付き凝縮器とし、
更に、前記凝縮器から前記減圧膨張装置に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる冷媒が通る第2の熱交換部とを有して、前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、
前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、外気負荷、車両速度、前記内部熱交換器が有する熱交換効率に基づいて導かれる冷凍サイクルの成績係数の最高効率点から設定したことを特徴とする冷凍サイクル。
【請求項2】
前記冷凍サイクルの成績係数の最高効率点を、複数の異なる外気負荷、複数の異なる車両速度、複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率に基づいてそれぞれ導くと共に、
前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、それぞれ導かれた最高効率点の範囲内から設定したことを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項3】
前記複数の異なる外気負荷とは、相対的に低負荷にあっては外気温度25℃、相対湿度50%の条件を、相対的に高負荷にあっては外気温度35℃、相対湿度50%の条件を含み、
前記複数の異なる車両速度とは、前記低負荷条件の場合にはアイドリング状態、40km/hの条件を含み、前記高負荷条件の場合にはアイドリング状態、40km/h、100km/hの条件を含み、
前記複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率とは、25%、50%、75%の条件を含むと共に、この熱交換効率は、前記第1の熱交換部の入口側の冷媒温度値をT1、前記第1の熱交換部の出口側の冷媒温度値をT2、前記第2の熱交換部の出口側の冷媒温度値をT3、前記第2の熱交換部の入口側の冷媒温度値をT4とした場合に、下記の数式(1)で導き出されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル。
【数1】
【請求項4】
前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒またはHFO−1234yf冷媒が用いられることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の冷凍サイクル。
【請求項5】
前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒が用いられると共に、
前記内部熱交換器の熱交換効率が25%から75%の間にある場合に、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が3%から9%の間にあることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項6】
前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてHFO−1234yf冷媒が用いられると共に、
前記内部熱交換器の熱交換効率が25%から75%の間にある場合に、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が3%から14%の間にあることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル。
【請求項7】
圧縮した冷媒を凝縮させるためのもので、冷媒を圧縮させる圧縮機、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器及び、第1の熱交換部と第2の熱交換部とを有して前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器と少なくとも適宜配管接続されることにより冷凍サイクルを構成する凝縮器であって、
冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有し、
前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が、前記冷凍サイクルの成績係数の最高効率点を、複数の異なる外気負荷、複数の異なる車両速度、複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率に基づいてそれぞれ導いて、当該それぞれ導かれた最高効率点の範囲内から設定されていることを特徴とする過冷却部付き凝縮器。
【請求項8】
前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒が用いられるときには、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、3%から9%の間に設定したことを特徴とする請求項7に記載の過冷却部付き凝縮器。
【請求項9】
前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてHFO−1234yf冷媒が用いられるときには、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、3%から14%の間に設定したことを特徴とする請求項7に記載の過冷却部付き凝縮器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、過冷却部付きの凝縮器と内部熱交換器との双方を備えた冷凍サイクルに関し、特に車両空調用として使用するのに好適な冷凍サイクル及びこの冷凍サイクルを構成する過冷却部付き凝縮器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両空調用の冷凍サイクルにおいて、その稼動効率を向上するために、すなわち、より少ない圧縮機の動力でより高い冷凍能力を得ることを目的として、所定の空調機器に新たな機能を有する構成部を追加したり、新たな空調機器を追加したりする発明は、例えば特許文献1や特許文献2に示されるように既に公知となっている。
【0003】
このうち、特許文献1では、冷凍サイクルを構成する凝縮器として機能する熱交換器について、偏平チューブ、コルゲートフィン、第1タンク及び第2タンクにより構成されたものとすると共に、偏平チューブ及びコルゲートフィンから成るコアの冷媒の上流側を凝縮部、前記コアの冷媒の下流側を過冷却部とし、その間に気液分離部を配置して、凝縮部を通過して凝縮された冷媒を更に冷却(過冷却)し、冷凍装置の冷却能力を向上することができる構成が示されている。そして、この特許文献1では、熱交換器全体の放熱面積に対して過冷却部の放熱面積が占める割合を一定の範囲内(当該特許文献1では10%から30%)に設定する着想も示されている。
【0004】
また、特許文献2では、凝縮器から流出した高圧冷媒と蒸発器から流出した低圧冷媒とを熱交換させる内部熱交換器を、冷凍サイクルの経路上に配置する構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−146311号公報
【特許文献2】特開2010−127498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示される過冷却部付きの熱交換器(以下、便宜上、凝縮器と称する。)の放熱面積のうち過冷却部の放熱面積が占める割合を増大させていく場合には、凝縮器の放熱量が増加していくところ、冷凍サイクルを構成する圧縮機を稼動させるための動力も増加化させていく必要があり、しかも蒸発器の吸熱量の増加率よりも圧縮機の動力の増加率の方が大きいので、特許文献1の図11のQ/L比の図部分で示されているように、冷凍能力(Q)/圧縮機の動力(L)の計算式で表される成績係数(COP [Coefficient of Performance])に極大点(最高効率点)があることが知られている。
【0007】
そして、過冷却部付きの凝縮器以外に例えば特許文献2に示されるような内部熱交換器をも備えた冷凍サイクルとする構成が考えられる。この内部熱交換器を追加的に組み合わせた場合には、内部熱交換器によって行われる、凝縮器から流出した高圧冷媒と蒸発器から流出した低圧冷媒との熱交換によっても、凝縮器で冷却された冷媒が更に冷却されることから、内部熱交換器が過冷却部の機能も兼ねることとなるので、凝縮器の過冷却部の割合を相対的に小さくすることができ、冷媒充填量の削減と凝縮器の凝縮部の相対的な拡大による放熱性能の向上とを図ることも可能になる。また、この内部熱交換器により、蒸発器に流入する冷媒の持つエンタルピを減らせるので、冷凍サイクルの冷却能力を向上させることもできる。
【0008】
もっとも、冷凍サイクルが内部熱交換器を備えた場合には、この内部熱交換器によって圧縮機に吸入される冷媒の持つエンタルピも増える(温度や圧力が相対的に上昇する)ために圧縮機の動力量が増加することから、内部熱交換器も備えた場合でもより少ない動力でより高い冷房能力を得る目的を達成するためには、前記成績係数(COP)の計算式の分母たる圧縮機の動力と、分子たる冷却能力とがいずれも変動することを踏まえて、凝縮器のうち過冷却部が占めるべき最適な割合を再度設定する必要がある。
【0009】
一方で、車両空調用の冷凍サイクルを流れる冷媒の種類としては、しばしばR134a冷媒が用いられているが、HFO−1234yf冷媒等の地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低い冷媒、すなわち、低GWP冷媒が近年において開発され、この低GWP冷媒の採用が見込まれている。しかしながら、この低GWP冷媒は相対的に高価であるので、コスト削減の見地から冷凍サイクルに充填される低GWP冷媒量の減少がより必要となる。
【0010】
そこで、本発明は、過冷却部付きの凝縮器に加えて内部熱交換器も採用した場合に、冷凍サイクル全体として最適なサブクールを得られ、且つ冷媒の充填量も相対的に削減することができるように、過冷却部の凝縮器全体に占める割合を改めて設定した冷凍サイクル及びこの冷凍サイクルを構成する過冷却部付き凝縮器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る冷凍サイクルは、少なくとも、冷媒を圧縮させる圧縮機、圧縮した冷媒を凝縮させる凝縮器、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器を適宜配管接合することにより構成された冷凍サイクルにおいて、前記凝縮器は、冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有する過冷却部付き凝縮器とし、更に、前記凝縮器から前記減圧膨張装置に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる冷媒が通る第2の熱交換部とを有して、前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、外気負荷、車両速度、前記内部熱交換器が有する熱交換効率に基づいて導かれる冷凍サイクルの成績係数の最高効率点から設定したことを特徴としている(請求項1)。
【0012】
更に、この発明に係る冷凍サイクルは、前記冷凍サイクルの成績係数の最高効率点を、複数の異なる外気負荷、複数の異なる車両速度、複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率に基づいてそれぞれ導くと共に、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、それぞれ導かれた最高効率点の範囲内から設定したことを特徴としている(請求項2)。
【0013】
ここで、前記複数の異なる外気負荷とは、相対的に低負荷にあっては外気温度25℃、相対湿度50%の条件を、相対的に高負荷にあっては外気温度35℃、相対湿度50%の条件を含み、前記複数の異なる車両速度とは、前記低負荷条件の場合にはアイドリング状態、40km/hの条件を含み、前記高負荷条件の場合にはアイドリング状態、40km/h、100km/hの条件を含み、前記複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率とは、25%、50%、75%の条件を含むと共に、この熱交換効率は、前記第1の熱交換部の入口側の冷媒温度値をT1、前記第1の熱交換部の出口側の冷媒温度T2、前記第2の熱交換部の出口側の冷媒温度値をT3、前記第2の熱交換部の入口側の冷媒温度値をT4とした場合に、100×T3−T4/T1−T4で導き出される(請求項3)。アイドリング状態とは、0km/hのことを示す。
【0014】
上記した冷凍サイクルでは、前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒またはHFO−1234yf冷媒が用いられる(請求項4)。
【0015】
一方で、この発明に係る冷凍サイクルは、前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒が用いられると共に、前記内部熱交換器の熱交換効率が25%から75%の間にある場合に、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が3%から9%の間にあることを特徴としている(請求項5)。
【0016】
また、この発明に係る冷凍サイクルは、前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてHFO−1234yf冷媒が用いられると共に、前記内部熱交換器の熱交換効率が25%から75%の間にある場合に、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が3%から14%の間にあることを特徴としている(請求項6)。
【0017】
なお、この発明に係る冷凍サイクルは、少なくとも、冷媒を圧縮させる圧縮機、圧縮した冷媒を凝縮させる凝縮器、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器を適宜配管接合することにより構成された冷凍サイクルにおいて、この冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒が用いられると共に、前記凝縮器は、冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有する過冷却部付き凝縮器とし、更に、前記凝縮器から前記減圧膨張装置に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる冷媒が通る第2の熱交換部とを有して、前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、前記内部熱交換器の熱交換効率の値をX、前記過冷却部の前記凝縮器に占める割合の値をYとした場合に、前記過冷却部の割合を−3/50X+15/2≦Y≦−3/50X+21/2となるように設定しても良い。
【0018】
また、この発明に係る冷凍サイクルは、少なくとも、冷媒を圧縮させる圧縮機、圧縮した冷媒を凝縮させる凝縮器、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器を適宜配管接合することにより構成された冷凍サイクルにおいて、この冷凍サイクルを流れる冷媒としてHFO−1234yf冷媒が用いられると共に、前記凝縮器は、冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有する過冷却部付き凝縮器とし、更に、前記凝縮器から前記減圧膨張装置に導かれる冷媒が流れる第1の熱交換部と前記蒸発器から前記圧縮機の吸入側に導かれる冷媒が通る第2の熱交換部とを有して、前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を備え、前記内部熱交換器の熱交換効率の値をX、前記過冷却部の前記凝縮器に占める割合の値をYとした場合に、前記過冷却部の割合の値を−4/50X+18/2≦Y≦−5/50X+33/2となるように設定しても良い。
【0019】
そして、この発明に係る過冷却部付き凝縮器は、圧縮した冷媒を凝縮させるためのもので、冷媒を圧縮させる圧縮機、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器及び、第1の熱交換部と第2の熱交換部とを有して前記第1の熱交換部を流れる相対的に高温の冷媒と前記第2の熱交換部を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器と少なくとも適宜配管接続されることにより冷凍サイクルを構成する凝縮器であって、冷媒の流れの上流側に配置されてこの冷媒を冷却凝縮させる凝縮部と、この凝縮部よりも冷媒の流れの下流側に配置されて冷媒を更に冷却させる過冷却部とを有し、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合が、前記冷凍サイクルの成績係数の最高効率点を、複数の異なる外気負荷、複数の異なる車両速度、複数の内部熱交換器それぞれが有する熱交換効率に基づいてそれぞれ導いて、当該それぞれ導かれた最高効率点の範囲内から設定されていることを特徴としている(請求項9)。
【0020】
ここで、請求項7に記載の発明に係る過冷却部付き凝縮器は、前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてR134a冷媒が用いられるときには、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、3%から9%の間に設定したことを特徴としている(請求項8)。
【0021】
また、請求項7に記載の発明に係る過冷却部付き凝縮器は、前記冷凍サイクルを流れる冷媒としてHFO−1234yf冷媒が用いられるときには、前記過冷却部の前記凝縮器全体に対する割合を、3%から14%の間に設定したことを特徴としている(請求項9)。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、これらの発明によれば、過冷却部付きの凝縮器に合わせて内部熱交換器も有するので、凝縮器全体に対する過冷却部の割合を相対的に小さくすることが可能であり、これに伴い、凝縮器の凝縮部を相対的に大きくすることができるので、凝縮器の放熱機能を向上させることができる。更には、冷媒充填量も減少させることができ、これにより、環境負荷を低減することができる上に、冷媒として相対的に高価なHFO−1234yf冷媒を用いる場合には、特に冷凍サイクルのコスト削減を図ることもできる。
【0023】
そして、これらの発明によれば、過冷却部付きの凝縮器と内部熱交換器とを有する冷凍サイクルにおいて、当該内部熱交換器を有しても、諸条件の下で冷凍効率としての成績係数が最高効率点を得られる範囲となるようなかたちに、凝縮器全体に対する過冷却部の割合を設定するので、冷凍サイクルについて、圧縮機の少ない動力でより高い冷凍効率を得ることが可能となる。
【0024】
特に請求項10、請求項11に記載の発明によれば、冷凍サイクルの成績係数の最高効率点を、外気負荷、車両速度、及び内部熱交換器の熱交換効率から求めなくても、過冷却部の凝縮器全体に対する割合を、当該請求項10、請求項11で示す範囲内に設定することで、高い成績係数を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、この発明に係る過冷却部付き凝縮器と内部熱交換器との双方を備えた冷凍サイクルの全体構成を示す概略図である。
図2図2は、同上の冷凍サイクルで用いる過冷却部付き凝縮器の一例を示す説明図である。
図3図3は、同上の冷凍サイクルを従来の冷凍サイクルと共にモリエル線図上に記載した図である。
図4図4は、冷媒の種類としてR134a冷媒を用いたときに、高負荷条件と低負荷条件とにおける、車両速度、内部熱交換器の熱交換効率の各種条件から導き出される過冷却部の割合を示す図である。
図5図5は、R134a冷媒を用いたときにおける、成績係数が最大効率となる過冷却部の割合を縦軸、内部熱交換器の熱交換効率を横軸とした場合の過冷却部の割合の変動を示す図である。
図6図6は、冷媒の種類としてHFO−1234yf冷媒を用いたときに、高負荷条件と低負荷条件とにおける、車両速度、内部熱交換器の熱交換効率の各種条件から導き出される過冷却部の割合を示す図である。
図7図7は、HFO−1234yf冷媒を用いたときにおける、成績係数が最大効率となる過冷却部の割合を縦軸、内部熱交換器の熱交換効率を横軸とした場合の過冷却部の割合の変動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1において、この発明に係る冷凍サイクル1の一例が示されており、この冷凍サイクル1は、冷媒を圧縮させる圧縮機2と、圧縮した冷媒を凝縮させる凝縮器3と、凝縮した冷媒を減圧膨張させる減圧膨張装置4と、減圧膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器5とを少なくとも有して構成されている。
【0028】
そして、凝縮器3は、図1及び図2に示されるように、凝縮部7と、過冷却部8と、気液分離部(モジュレータとも称する。以下、同じ。)9とを有する過冷却部付き凝縮器となっている。
この凝縮器3の一例について図2を用いてより詳述すると、複数のチューブ12と複数のフィン13とを適宜交互に積層してなるコア14と、前記チューブ12の長手方向両端の開口部と連通するかたちで当該チューブ12と接続されたタンク15、16とを備えている。そして、タンク15は、適宜な位置に前記入口部10、出口部11が設けられ、入口部10と出口部11との間に仕切り部17、18が形成されて、タンク部15a、15b、15cに分割されていると共に、タンク16は、コネクタ19を介して気液分離部9と連結されており、コネクタ19及び気液分離部9への流出部22よりも入口部10側に仕切り部20が形成され、この流出部22とコネクタ19及び気液分離部9からの流入部23との間に仕切り部21が形成されて、タンク部16a、16b、16cに分割されている。
すなわち、この凝縮器3では、タンク部15a、15b及びタンク16a、タンク16bで挟まれたコア14の範囲が凝縮部7であり、タンク部15c及びタンク16cで挟まれたコア14の範囲が過冷却部8である。
これにより、この凝縮器3では、圧縮機2から入口部10を介してタンク部15aひいては凝縮部7に送られてきた気化冷媒をこの凝縮部7で冷却して液冷媒に変えた後、気液分離部9に送りこの気液分離部9で冷媒を気化冷媒と液冷媒(但し、一部に気化冷媒を含む。)とに分離し、更に、過冷却部8に凝縮部7及び気液分離部9を通過してきた液冷媒を通して冷却することが可能であり、凝縮器3の出口部11から送り出された冷媒をほぼ100%の割合で液冷媒化している。
もっとも、凝縮器3は、凝縮部7と過冷却部8とが一体的な構造でなくても良く、図示しないが、凝縮部7と過冷却部8とを別部材として、この凝縮部7と過冷却部8とを組み合わせることで過冷却部付きの凝縮器としても良い。
【0029】
更に、この冷凍サイクル1は、その冷媒の循環経路上に内部熱交換器25を備えている。この内部熱交換器25は、凝縮器3から減圧膨張装置4に導かれる冷媒が通る第1の熱交換部26と、蒸発器5から圧縮機2の吸入側に導かれる冷媒が流れる第2の熱交換部27とを有して構成され、第1の熱交換部26を流れる相対的に高温の冷媒と第2の熱交換部27を流れる相対的に低温の冷媒との間で熱交換を行うことが可能である。この内部熱交換器25の熱交換効率の割合は、図1に示されるように、第1の熱交換部26の入口側の冷媒温度値をT1、第1の熱交換部26の出口側の冷媒温度値をT2、第2の熱交換部27の出口側の冷媒温度値をT3、第2の熱交換部27の入口側の冷媒温度値をT4とした場合に、下記の数式(1)で導き出される。

【数1】
【0030】
尚、圧縮機2、凝縮器3、内部熱交換器25、減圧膨張装置4、及び蒸発器5は、配管6により適宜接続されることで冷凍サイクル1を構成している。そして、圧縮機2から減圧膨張装置4の流入側に至る冷媒の経路によって高圧ライン1Aが構成され、減圧膨張装置4の流出側から圧縮機2の吸入側に至る冷媒の経路によって低圧ライン1Bが構成されている。
【0031】
また、凝縮器3には車両進行方向前方又は後方(この実施例では車両進行方向前方)に位置する送風機24により空気が送られるようになっている。この送風機24は、ファン24aとこのファン24aを回転させるモータ24bとで構成されている。
【0032】
ところで、過冷却部8付き凝縮器3を有するが内部熱交換器25を有しない冷凍サイクル(以下、従来の冷凍サイクルと称する。)にあっては、冷媒が図3のA1→B2→C2→D2→A1の状態を繰り返す一方、図1に示される過冷却部付き凝縮器3と内部熱交換器25との双方を有する冷凍サイクル1にあっては、冷媒が図3のA1→A2→B1→C2→C3→D1→A1の状態変化を繰り返す。
蒸発器5から流出した冷媒(A1)は、内部熱交換器25内の第2の熱交換部27を通過する際、凝縮器3から減圧膨張装置4へ流れる相対的に高温な冷媒により加熱されエンタルピが増えて、圧縮機2の吸入側の冷媒は図3の状態A2となる。次に、圧縮機2により圧縮され、吐出する冷媒は状態B1となる。この圧縮過程で、冷媒は、等エントロピー線に近い状態変化が起きることが知られており、状態A1とB2とのエンタルピ差に比べ、状態A2とB1とのエンタルピ差の方が大きくなる。そして、冷媒は凝縮器3の凝縮部7によって冷却され、飽和液線上になるまで凝縮されて状態C1となった後、凝縮器3の過冷却部8でも冷却されて状態C2となり、凝縮器3から流出する。その後、内部熱交換器25内の第1の熱交換部26を通過する際、第2の熱交換部27を流れる冷媒との熱交換により冷却されて状態C3となる。更にその後は、減圧膨張装置4での圧力低下によって状態D1となり、蒸発器5において熱を吸収して、蒸発器5から流出するときに再び状態A1となる。
【0033】
従って、図3に示されるように、この冷凍サイクル1における圧縮機2の動力量aは、従来の冷凍サイクルにおける圧縮機2の動力量bと比較して大きくなり、また、冷凍能力a’も、従来の冷凍サイクルの冷凍能力b’に比較して大きくなる。そして、a’/aとして表される本願の冷凍サイクルの成績係数(COP)は、a−bの分だけ圧縮機2の動力が増大して成績係数が小さくなる要素と、a’−b’の分だけ冷却能力が増大して成績係数が大きくなる要素とを含んだものであるので、従来の冷凍サイクルの成績係数と比べて、必ずしも成績係数が大きくなるものではない。
【0034】
そして、この成績係数(COP)には極大点(最高効率点)があるところ、冷媒の種類としてR134aを用いた場合における、高負荷(空気温度35℃、相対湿度50%)の環境条件の下、車両速度についてアイドリング状態(Idle状態)、40km/h、100km/hの3条件とし、内部熱交換器25の熱交換効率について25%、50%、75%の3条件とした場合の、双方の組み合わせの下での成績係数(COP)が最大効率となる過冷却部8の凝縮器3に占める割合(%)を測定したところ、図4に示す図表の上欄に示す結果が得られた。尚、空気の負荷を空気温度35℃、相対湿度50%としたのは、冷凍サイクルの利用の多い夏季の空気条件を想定したものである。車両速度を前記3条件としたのは、渋滞中、市街地の走行中、高速走行中、をそれぞれ想定したものである。内部熱交換器25の熱交換効率を前記3条件としたのは、車両用空調装置として一般的に利用される内部熱交換器25の熱交換効率に加え、熱交換性能の高い熱交換器を想定したものである。
すなわち、成績係数(COP)の最大効率点は、車両速度がアイドリング状態(図4中Idleで表示。)で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が9%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が5%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が3%で得られたものであり、車両速度が40km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が7%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が6%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が4%で得られたものであり、車両速度が100km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が9%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が7%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が6%で得られた。
また、冷媒の種類としてR134aを用いた場合における、低負荷(空気温度25℃、相対湿度50%)の環境条件の下、車両速度についてアイドリング状態(Idle状態)、40km/hの2条件とし、内部熱交換器25の熱交換効率について25%、50%、75%の3条件とした場合の、双方の組み合わせの下での成績係数(COP)が最大効率となる過冷却部8の凝縮器3に占める割合(%)を測定したところ、図4に示す図表の下欄に示す結果が得られた。尚、空気の負荷を空気温度25℃、相対湿度50%としたのは、冷凍サイクルが利用され出す中間期の空気条件を想定したものである。車両速度を前記2条件としたのは、渋滞中、市街地の走行中、をそれぞれ想定する一方、車両速度の条件として、100km/hの条件を除いたのは以下の理由によるものである。すなわち、低負荷環境下で高速走行をすると、冷凍サイクルに一般的に設けられている蒸発器5の凍結防止のために設置した温度検知手段で検知された温度に基づいて圧縮機2のオン/オフ制御を行う制御装置等により蒸発器5の凍結防止制御が開始され、冷凍サイクルの稼動が断続的に行われることとなって、成績係数の最高効率点の測定が困難なためである。内部熱交換器25の熱交換効率を前記3条件としたのは、車両用空調装置として一般的に利用される内部熱交換器25の熱交換効率に加え、熱交換性能の高い熱交換器を想定したものである。
すなわち、成績係数(COP)の最大効率点は、車両速度がIdle状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が8%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が5%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が3%で得られたものであり、車両速度が40km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が6%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が5%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合は5%で得られた。
しかるに、冷媒の種類としてR134aを用いた場合における、成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合の上限値は9%、成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合の下限値は3%である。
【0035】
次に、これらの数値について、上記条件で成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合(%)を縦軸、内部熱交換器25の前記3つの熱交換効率(%)を横軸とした場合には、図5の特性図として示されることとなり、各過冷却部8の割合を示す点の分布を見ると、上方の仮想直線L1と下方の仮想直線L2との間の幅内に入るものである。そこで、内部熱交換器25の熱交換効率の値をX、過冷却部8の凝縮器3に占める割合の値をYとした場合に、仮想直線L1は、(内部熱交換器25の熱交換効率25%:過冷却部8の割合9%:)の座標点と(内部熱交換器25の熱交換効率75%:過冷却部8の割合6%:)の座標点とを通り、仮想直線L2は、(内部熱交換器25の熱交換効率25%:過冷却部8の割合6%:)の座標点と(内部熱交換器25の熱交換効率75%:過冷却部8の割合3%:)の座標点とを通るので、2点を通る直線を導く公式から、過冷却部8の割合の値を下記の数式(2)となるように設定することで、過冷却部8の割合は、上方の仮想直線L1と下方の仮想直線L2との間の幅内に入る、すなわち、成績係数(COP)の最大効率点となる%となることができる。よって、冷媒としてR134aを用いた場合に、下記の数式(2)で定める範囲内に過冷却部8の割合を設定することで、より少ない圧縮機2の動力でより高い冷凍能力を確実に得ることが可能となり、冷媒量も減少させることができる。
【数2】
【0036】
他方で、冷媒の種類としてHFO−1234yfを用いた場合における、高負荷(空気温度35℃、相対湿度50%)の環境条件の下、車両速度についてアイドリング状態(Idle状態)、40km/h、100km/hの3条件とし、内部熱交換器25の熱交換効率について25%、50%、75%の3条件とした場合の、双方の組み合わせの下での成績係数(COP)が最大効率となる過冷却部8の凝縮器3に占める割合(%)を測定したところ、図6に示す図表の上欄に示す結果が得られた。
すなわち、成績係数(COP)の最大効率点は、車両速度がアイドリング状態(図6中Idleで表示。)で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が14%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が11%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が9%で得られたものであり、車両速度が40km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が11%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が9%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合は8%で得られたものであり、車両速度が100km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が11%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が10%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が8%で得られた。
また、冷媒の種類としてHFO−1234yfを用いた場合における、低負荷(空気温度25℃、相対湿度50%)の環境条件の下、車両速度についてアイドリング状態(Idle状態)、40km/hの2条件とし、内部熱交換器25の熱交換効率について25%、50%、75%の3条件とした場合の、双方の組み合わせの下での成績係数(COP)が最大効率となる過冷却部8の凝縮器3に占める割合(%)を測定したところ、図6に示す図表の下欄に示す結果が得られた。
すなわち、成績係数(COP)の最大効率点は、車両速度がIdle状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が8%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が6%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が3%で得られたものであり、車両速度が40km/hの状態で、内部熱交換器25の熱交換効率が25%の場合には過冷却部8の割合が7%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が50%の場合には過冷却部8の割合が7%で得られ、内部熱交換器25の熱交換効率が75%の場合には過冷却部8の割合が5%で得られた。
しかるに、冷媒の種類としてHFO−1234yfを用いた場合における成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合の上限値は14%、冷媒の種類としてHFO−1234yfを用いた場合における成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合の下限値は3%である。
【0037】
次に、これらの数値について、上記条件で成績係数(COP)の最大効率点となる過冷却部8の割合(%)を縦軸、内部熱交換器25の前記3つの熱交換効率(%)を横軸とした場合には、図7の特性図として示されることとなり、各過冷却部8の割合を示す点の分布を見ると、上方の仮想直線L3と下方の仮想直線L4との間の幅内に入るものである。そこで、内部熱交換器25の熱交換効率の値をX、過冷却部8の凝縮器3に占める割合の値をYとした場合に、仮想直線L3は(内部熱交換器25の熱交換効率25%:過冷却部8の割合14%:)の座標点と(内部熱交換器25の熱交換効率75%:過冷却部8の割合9%:)の座標点とを通り、仮想直線L4は、(内部熱交換器25の熱交換効率25%:過冷却部8の割合7%:)の座標点と(内部熱交換器25の熱交換効率75%:過冷却部8の割合3%:)の座標点とを通るので、2点を通る直線を導く公式から、過冷却部8の割合の値を下記の数式(3)となるように設定することで、過冷却部8の割合は、上方の仮想直線L3と下方の仮想直線L4との間の幅内に入る、すなわち、成績係数(COP)の最大効率点となる%となることができる。よって、冷媒としてHFO−1234yfを用いた場合に、下記の数式(3)で定める範囲内に過冷却部8の割合を設定することで、より少ない圧縮機2の動力でより高い冷凍能力を確実に得ることが可能となり、冷媒量も減少させることができる。
【数3】
【符号の説明】
【0038】
1 冷凍サイクル
2 圧縮機
3 凝縮器
4 減圧膨張装置
5 蒸発器
6 配管
7 凝縮部
8 過冷却部
9 気液分離部
10 入口部
11 出口部
12 チューブ
13 フィン
14 コア
15 タンク
15a タンク部
15b タンク部
16 タンク
16a タンク部
16b タンク部
16c タンク部
17 仕切り部
18 仕切り部
19 コネクタ
20 仕切り部
21 仕切り部
22 流出部
23 流入部
24 送風機
24a ファン
24b モータ
25 内部熱交換器
26 第1の熱交換部
27 第2の熱交換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7