【課題を解決するための手段】
【0009】
開示薬用モジュール及び薬物送達デバイスは、単回薬物送達システム内で多剤薬物化合物の複合組み合わせを可能にし得る。具体的実施態様によれば、使用者は、1つの単回用量設定機構及び単回投与インターフェイスを通して多剤薬物化合物デバイスを設定及び投与するようにし得る。本単回用量設定器は、薬剤の1つの単回用量が単回投与インターフェイスを通して設定及び投与されるときに、個々の薬物化合物の事前に定義された組み合わせが送達されるように、デバイスの機構を適宜調節し得る。
【0010】
個々の薬物化合物間の治療的関係を規定することにより、提案送達デバイス及び送達法は、患者/使用者がデバイスを使用する毎に正確な用量組み合わせを算出し設定する必要がある場合、多回入力に伴う固有のリスクなしに多剤薬物化合物デバイスから最適な治療的組み合わせ用量を受け入れることを確実にするのに役立ち得る。薬剤は、その形状を変え易い力によって作動するとき、流れることができそして安定した速度で形状を変える、本明細書で液体又は気体又は紛体と定義される流体であってよい。あるいは、薬剤の1つ又は両方は、輸送され、溶解されるかさもなければ別の流体薬剤と併せて投与される固体であってよい。
【0011】
開示薬用モジュール及び薬物送達デバイスの具体的な実施態様は、単回入力及び関連の事前に定義された治療プロファイルは、使用者がデバイスを使用する毎に使用者がそれらの処方量を計算する必要性を除き、そして単回入力が組み合わせ化合物の非常に容易な設定及び投与を可能にするので、器用さ又は計算困難を有する使用者にとって特に有利であり得る。
【0012】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物は、2次薬剤の単回用量を含む単回使用、使用者交換可能モジュール、及び単回投与インターフェイスで使用することが可能である。一次デバイスに連結したときに、2次化合物は一次化合物の投与時に起動/送達され得る。本開示は、具体的にインスリンを記載するが、2つの可能な薬物組み合わせとして、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログ、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれの上記薬物の組み合わせを使用することも可能である。
【0013】
以下において、用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0014】
ここで使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH
2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0015】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0016】
ホルモンは、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0017】
1つの態様によれば、薬用モジュールが提供される。薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり得る。薬物送達デバイスは第1の薬剤を保持するための一次リザーバを含んでよい。薬用モジュールは第2の薬剤を含んでよい。好ましくは、第2の薬剤は、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられる前に薬用モジュールに入れられる。薬物送達デバイス、特に一次リザーバは好ましくはモジュールがデバイスに取り付けられる前に第1の薬剤で満たされる。薬用モジュールは特に注射デバイス、例えばペン型注射デバイスに適合し得る。デバイスは、薬用モジュールがデバイスに取り付けられる前又は薬用モジュールがデバイスから取り除かれた後に、一次リザーバに保持された第1の薬剤の用量を設定及び投与するのに好適であり得る。従って、デバイスは、例えば薬用モジュールの不存在下でも作動するように構成される、独立型デバイスを形成するのに好適であり得る。このために、ニードルカニューレは、好ましくは取り除き可能で、デバイスの遠位端に取り付け可能であり得る。
【0018】
例として、薬用モジュールのリザーバは液状薬剤を含んでよい。薬剤は、GLP−1を含み、又はインスリン及びGLP−1のプレミックスを含んでよい。薬物送達デバイスは用量ボタンを含んでよい。用量ボタンは、第1の薬剤の用量がデバイスから投与されるようにするいずれのトリガー機構であり得る。用量ボタンは用量ダイヤルボタンであってよい。薬物送達デバイスはデバイス連結部材を含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結され得る。デバイス連結部材は、用量ボタンが起動するとき、特に用量ボタンが用量を送達するのに起動するとき軸方向に可動であってよい。ここでは、例えば用量ボタンは薬物送達デバイスの使用者により十分に押圧され得る。用量ボタンの動きは次に、デバイス連結部材及び用量ボタンの機械的協動により遠位方向においてデバイス連結部材の動きに伝達され得る。特に、デバイス連結部材は、用量ボタンが遠位に動くときにだけ起動し得る。デバイス連結部材は、薬用モジュールを用量ボタンの起動に操作可能に連結し得る。特に、連結部材は、後でより詳細に記載される用量ボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドを含んでよい。プッシュロッドは、用量ボタンが薬物送達デバイスの使用者によって十分に押圧されるとき軸方向に可動であってよい。
【0019】
薬用モジュールはハウジングを含んでよい。ハウジングは薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを含んでよい。ハウジングは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるとき、デバイス連結部材の一部分、例えばプッシュロッドを受け入れるように構成され得る。薬用モジュールは、薬剤の少なくとも1回の用量を含むハウジングにリザーバを更に含んでよい。リザーバは薬剤、例えば第2の薬剤の単回用量を含んでよい。薬用モジュールは薬用ニードルであってよい。薬用モジュールは第1の又は近位のニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールは第2の又は遠位のニードルカニューレを含んでよい。モジュールのリザーバは第1と第2の針の間で軸方向に配置されてよい。ニードルカニューレは、モジュールのリザーバとの流体連通を確立するように適合及び配置されてよい。第2のニードルカニューレの遠位端は注射部位に適用されるように構成され得る。第2のニードルカニューレの近位端はモジュールのリザーバ、特に第2のリザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。第1のニードルカニューレの遠位端は、モジュールのリザーバ、特に2次リザーバの近位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。第1のニードルカニューレの近位端は一次リザーバ、特に一次リザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。薬用モジュールは、薬用モジュールの一部分に配置されるニードルカニューレの少なくとも1つに対して保護を提供するためのニードルガードを含んでよい。ニードルガードはニードルガード組立体であってよい。ニードルガードは注射部位への適用中に軸方向に動くように構成され得る。ニードルガードは薬用モジュールのハウジングに操作可能に連結され得る。
【0020】
尚更に、薬用モジュールはニードルガードの軸方向の動きを不可能にするためのロッキング手段を含んでよい。ロッキング手段は、薬物送達デバイスの用量ボタンの起動に操作可能に連結され、そしてニードルガードの軸方向運動に操作可能に連結されるように構成され得る。ロッキング手段は、用量送達操作の事前に定義された回数の後にだけ、ニードルガードを軸方向に動くことを不可能にするように構成され得て、ここで用量送達操作はニードルガードを軸方向に動かし、そして用量を送達するための用量ボタンを起動する工程を含む。ロッキング手段は、薬物送達デバイスのデバイス連結部材と係合可能であるように構成されるモジュール連結部材を含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結されてよく、そして特に用量ボタンの起動にロッキング機能を操作可能に連結してよい。モジュール連結部材は軸方向に可動なように構成され得る。モジュール連結部材は軸方向に動くように構成される薬用モジュールのハウジングに位置し得る、スリーブを含んでよく又は設計され得る。更に、ロッキング機能は回転して動くように構成される回転部材を含んでよい。特に、回転部材は、それが各用量送達操作、それによる送達用量の回数をカウンティング後に規定の回転運動を行うように構成され得る。回転部材は軸方向に及び回転していずれにも動くように構成され得る。回転部材はロッキングカラーとして設計し又は含んでよい。回転部材は、所与の用量が送達された後モジュール連結部材により回転するようにさせられてよい。特に、モジュール連結部材は第1の傾斜機能を含んでよく、そして回転部材は第2の傾斜機能を含んでよい。所与の用量が送達されるとき、第1の傾斜機能及び第2の傾斜機能は、送達された所与の用量のカウンティングを容易にするため、回転部材を回転させるように相互作用し得る。更に、薬用モジュールは第1のばねを含んでよく、ここで第1のばねはニードルガードに操作可能に連結される。第1のばねは、ニードルガードが近位方向に後退し、そして注射部位から取り除かれるときに、ニードルガードを軸方向に、特に遠位方向に押し出し得る。薬用モジュールは、回転部材、例えばロッキングカラーに操作可能に連結された第2のばねを更に含んでよい。第2のばねは、送達された所与の用量のカウンティングを容易にするため、回転部材を軸方向に押し出し得る。1つの実施態様では、用量の送達中、ニードルガードは後退位置にありそしてデバイス連結部材は起動し、例えばデバイス連結部材のプッシュロッドは陥凹位置にあってよい。ロッキング手段は、それが後退位置にあるニードルガードによって起動し、そして用量ボタンの起動に因る連結部材の起動であるように構成され得る。特に、ロッキング手段は当該用量送達操作の回数をカウントするように構成され得る。特に、ロッキング手段は、ニードルガードの後退位置における用量ボタンの起動だけが用量送達操作としてカウントされるように構成され得る。ロッキング機能、及び特に、ロッキング機能の回転部材は、事前に定義された回数の用量が薬用モジュールを介して送達された後、更にニードルガード組立体の軸方向運動を防止するように構成され得る。好ましくは、ニードルガードは、事前に定義された回数の用量送達操作が行われるまで軸方向に可動である。特に、ニードルガードは、用量ボタンが、そしてそれによりデバイス連結部材が起動して、但しニードルガードが、用量ボタンが起動したとき後退位置になかった後、後退位置に軸方向に動くようにされ得る。その上、ニードルガードは、用量ボタンが用量を送達するために起動する前に、後退位置に数回軸方向に動くようにされ得る。ニードルガードのロッキングを達成するために、ニードルガードは、ニードルガードの軸方向運動を不可能にするロッキング機能を含んでよく、ここで回転部材は事前に定義された回数の用量が送達された後、ロッキング機能と係合する。それにより、ニードルガードは回転部材にロックされ得る。特に、ロッキング機能は、用量を送達後カバーし又は十分に伸長した遠位位置にニードルガードがロックするように構成され得る。これはモジュールの意図しない再使用を防止し得る。
【0021】
薬用モジュール及び薬物送達デバイスの具体的な実施態様によれば、用量ボタンの単回起動により、ニードルガードが後退しているとき、一次リザーバからの薬剤及び薬用モジュールからの第2の薬剤は、モジュールの出力ニードルを通して排出することができる。送達手順の終了時に、実質的にすべての第2の薬剤は排出され得て、並びに第1の薬剤の選択用量は単回投与インターフェイスを通して排出され得る。「実質的にすべて」とは少なくとも約80%の第2の薬剤が薬物送達デバイスから排出され、好ましくは少なくとも約90%が排出されることを意味する。加えて、より多くの一次薬剤を注射する必要がある場合、ニードルガードがロックアウトする前に別の用量を設定及び注射することができる。
【0022】
具体的な実施態様によれば、薬用モジュールは第1及び第2のドニードルカニューレを含んでよく、ここでは第1のニードルカニューレはモジュールの近位端に取り付けられてよく、そして第2のニードルカニューレはモジュールの遠位端に取り付けられてよい。2つのニードルカニューレは、ニードルガードが十分に遠位方向に伸びているときモジュールのリザーバ中の薬剤と流体連通していなくてよい。2つのニードルカニューレは、ニードルガードが近位方向に後退しているとき薬剤と流体連通してよい。薬用モジュールはバイパス例えばバイパスチャンネルを含んでよく、リザーバ中の薬剤をバイパスする。ニードルカニューレは、ニードルガードが十分に遠位方向に伸びているときバイパスと流体連通してよい。
【0023】
1つの実施態様では、例えば
図2に示される実施態様において、ロッキング機能はロッキングアウト前には単回のニードルガード後退をカウントするだけである。ここでは、ニードルガードは遠位方向におけるそれに続く伸長後にロックされる。特に、用量ボタンの起動は、モジュール連結部材でデバイス連結部材を、それにより回転部材でモジュール連結部材を押圧する結果をもたらし得る。例として、用量送達操作は、回転部材のロッキングカラー上で連結部材のスリーブを押圧する結果をもたらし得る。それにより、回転部材、例えばロッキングカラーは、ニードルガードが再度伸びるときに、ニードルガードがロックアウトされる位置で終わるように回転させられてよい。しかしながら、更なる実施態様によれば、ロッキング機能はロッキングアウト前に多回用量をカウントするように構成することができる。例として、事前に定義された回数の用量は1用量から4用量までの範囲であってよい。ロックアウト前に事前に定義された多回用量を可能にするために、ロッキング機能は、回転部材、例えばロッキングカラーが規定の回転運動、そして特に各用量送達操作後に事前に定義された量の回転運動を行い得るように構成され得る。それにより、ロッキング手段は送達用量の回数をカウントし、そして事前に定義された用量の数の後、例えば多回用量が送達された後にロックアウトする。モジュール連結部材例えばスリーブ、又は回転部材例えばロッキングカラーは、ニードルガードが後退して伸長し、そして用量ボタンが起動する度に回転部材を設計公知の距離に徐々に回転させるように設計された更なる歯を有してよい。規定数の増分(必要用量カウント)後に、ニードルガードは次いて伸長位置にロックし得る。例えば、ロックアウト前に2用量をカウントするために、ロッキングカラー及び/又はスリーブは2つの歯を有し得る;3用量をカウントするために、ロッキングカラー及び/又はスリーブは3つの歯を有し得るなどである。
【0024】
第1の具体的実施態様によれば、薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールが提供され、ここで薬物送達デバイスは第1の薬剤を保持するための一次リザーバを含み、そして薬用モジュールは第2の薬剤を含む。薬用モジュールは、薬用モジュールの一部分に配置され、そして注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成される少なくとも1つの針に対して保護を提供するために、第2の薬剤を保持するリザーバ及びニードルガードを更に含む。薬用モジュールはニードルガードの軸方向運動を不可能にするためのロッキング手段を更に含み、ロッキング手段は薬物送達デバイスの用量ボタンの起動部に、そしてニードルガードの軸方向運動に操作可能に連結されるように構成されている。その上、ロッキング手段は、事前に定義された回数の用量送達操作後だけにニードルガードを軸方向に動くことを不可能にするように更に構成され、ここで用量送達操作は、ニードルガードを軸方向に動かし、そして用量を送達するための用量ボタンを起動する工程を含む。
【0025】
更なる具体的な実施態様によれば、薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールが提供される。薬物送達デバイスは用量ダイヤルボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドを含み、ここでプッシュロッドは、用量ダイヤルボタンが薬物送達デバイスの使用者によって押し下げられるときに軸方向に可動である。薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを有するハウジングを含み、ここでハウジングは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるときにプッシュロッドの一部分を受け入れるように構成される。更に、薬用モジュールは、薬剤の単回用量を含むハウジングにリザーバを含む。その上、薬用モジュールは、ハウジングで操作可能に連結されそして注射部位に適用中に軸方向に動くように構成されるニードルガード組立体、ハウジングで軸方向に動くように構成されるハウジングのスリーブ、及びハウジングで軸方向に及び回転して動くように構成されるハウジングのロッキングカラーを含み、ここで用量の送達中、ニードルガードは後退位置にありそしてプッシュロッドは陥凹位置にあり、そしてロッキングカラーは更に、事前に定義された回数の用量が薬用モジュールを介して送達された後、ニードルガード組立体が軸方向に動くことを防止するように構成される。
【0026】
更なる態様によれば、薬物送達デバイスに対するニードルガード組立体が提供される。ニードルガード組立体は上記のようにニードルガード及びロッキング手段を含む。特に、ロッキング手段は、事前に定義された回数の用量送達操作が行われている場合にだけ、ニードルガードが軸方向に動くことを不可能にするに構成され得る。ニードルガード組立体は、薬剤を保持するためのリザーバを含んでよく、又は当該リザーバはなくてもよい。ニードルガード組立体中のニードルガード及びロッキング手段の操作は薬用モジュールと関連して上記の操作と類似又は同一であってよい。
【0027】
更なる態様によれば、上記のように薬用モジュールを含み又はニードルガード組立体を含む薬物送達システムが提供される。薬物送達システムが薬用モジュールを含む場合には、それは少なくとも1つの作用物質を含む薬剤の一次リザーバを含んでよく、ここでは薬用モジュールは一次リザーバとの流体連通のために構成される。例として、一次リザーバ又は2次リザーバ又は両方のリザーバは液状薬剤を含んでよい。一次リザーバはインスリンを含んでよい。2次リザーバはGLP−1を含み、又はGLP−1及びインスリンのプレミックスを含んでよい。薬物送達デバイスは2つ又はそれ以上の薬剤を送達するように構成され得る。薬物送達デバイスは、薬用モジュールのロッキング手段に操作可能に連結された用量ボタン、及びロッキング手段に用量ボタンを操作可能に連結するデバイス連結部材を含む。薬物送達システムは、単回用量設定器及び単回投与インターフェイスを通して操作可能であり得る。それは、薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される単回用量設定器、及び薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される用量ボタンを含むハウジングを含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドとして設計されてよく、ここでプッシュロッドは、用量ボタンが薬物送達システムの使用者によって押し下げられるとき軸方向に可動である。
【0028】
用量を送達するために、上記の薬物送達システムは下記のように操作されてよい:
(i)所与の用量は、デバイス連結部材及びモジュール連結部材が第1の軸方向に動く場合に選択され、
(ii)ニードルガードは第1の軸方向に後退し、それにより回転部材を第1の方向に軸方向に動くようにさせ、
(iii)デバイス連結部材はその後第2の軸方向に動き、そしてモジュール連結部材を第2の軸方向に動くようにさせ、ここで第2の方向は実質的に第1の方向と反対側であり、そして
(iv)モジュール連結部材は回転部材と相互作用し、回転部材を周方向に回転させ、
(v)ニードルガードは第1の軸方向と反対位置に実質的に第2の軸方向に伸びると、それは、送達した所与の用量をカウントするために、回転部材が第2の方向に軸方向に動きそして周方向に回転することを可能にする。
【0029】
尚更なる態様によれば、薬剤を投与する方法に関する。方法は試験目的に使用されてよく、そして手術又は治療によるヒト又は動物体の処置を含まなくてよい。方法は:
a.薬物送達デバイスが用量ボタン及び用量ボタンに操作可能に連結されたデバイス連結部材を含む、上記の薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付けて;
b.デバイス連結部材が方向に動くように、薬物送達デバイスに薬剤の用量を設定し;
c.デバイス連結部材を軸方向に動くようにさせて設定用量を投与するための用量ボタンを起動し、それにより薬用モジュール中に配列した回転部材を起動し、ここで回転部材の起動は、薬用モジュールのニードルガードは事前に定義された回数の用量が送達された後に軸方向に動くことを防止する、という工程を含む。
【0030】
1つの態様は、薬物送達システムを試験するための方法に関し、方法は:
A)既述の薬用モジュールを提供すること。モジュールのリザーバは第2の薬剤の用量で満たされてよい。
B)薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付けること。薬物送達デバイスは用量ボタン、薬剤の一次リザーバ、及び用量ボタンに操作可能に連結されるデバイス連結部材を含んでよい。薬物送達デバイスの一次リザーバは、モジュールがデバイスに取り付けられる前に少なくとも部分的に薬剤で満たされてよい。好ましくは、一次リザーバは薬剤の複数の用量を含む。
C)デバイス連結部材が近位に動くように、薬剤の用量を薬物送達デバイスで設定すること。
D)薬剤が薬物送達デバイスの一次リザーバから遠位方向に押し出されるように、プライミング操作を行うために用量ボタンを起動すること。用量ボタンを起動するとき、デバイス連結部材は遠位に動き得る。薬剤は近位ニードルを通して押し出され得る。薬剤は次いで薬用モジュールのリザーバの周りに、そしてリザーバの遠位端に配置された針を通して押し出され得る、という工程を含む。
【0031】
更に、方法は:
E)薬用モジュールのニードルガードを近位方向に動かすこと。それにより、モジュール連結部材は、ニードルガード及びモジュール連結部材の機械的協動により近位方向に動き得る。
F)デバイス連結部材が近位に動くように、薬剤の更なる、好ましくは可変用量を薬物送達デバイスに設定すること。
G)連結部材を遠位に動かすために用量ボタンを起動すること。それにより、モジュール連結部材は、デバイス連結部材との機械的協動により遠位にあってよい。薬用モジュールに配列された回転部材は、それによりモジュール連結部材及び回転部材の機械的協動により起動し得る。回転部材の起動は、事前に定義された回数の用量が送達された後に回転部材及びニードルガードの機械的協動により、薬用モジュールのニードルガードが軸方向に動くことを防止するように構成され得る、という工程を含んでよい。
【0032】
デバイス連結部材はプッシュロッドであってよい。プッシュロッドはデバイスのハウジングに沿って、特にハウジングの内面に沿って軸方向に伸びてよい。プッシュロッド、特にプッシュロッドの遠位端セクションは、ハウジングの遠位端から突出するように構成され得る。薬用モジュールの取り付け中、プッシュロッドの遠位端は薬用モジュールのハウジングに配列され得る。特に、プッシュロッドの遠位端セクションは、プッシュロッド及びモジュール連結部材の機械的協動が可能になるように、薬用モジュールの近位端セクションに突出し得る。プッシュロッドの近位端は、薬物送達デバイスのハウジングの近位端にわたって伸びてよい。従って、用量ボタンが起動し、即ち遠位方向に動くとき、用量ボタンは、デバイス連結部材が遠位方向に動くようにデバイス連結部材と機械的協働し得る。従って、遠位方向における用量ボタンの動きは、遠位方向にデバイス連結部材の動きに伝達される。回転部材はロッキングカラーとして構成され得て、そして薬用モジュールのハウジングに配列され得る。薬用モジュールをデバイスに取り付ける代わりに、方法は上記のようにニードルガード組立体をデバイスに取り付ける工程を含んでよい、この場合、方法の操作工程は上記の操作工程と同じか又は類似してよい。
【0033】
薬用モジュールは、適切な適合性インターフェイスを備えたいずれかの薬物送達デバイスとともに使用するように設計することができる。しかしながら、不適合デバイスへの不適切薬用モジュールの取り付けを防止するために、限定された、専用又はコード化機構の利用を通して1つの限定的な一次薬物送達デバイス(又はデバイス群)にその使用を制限するように、モジュールを設計することが好ましいといえる。場合によっては、薬用モジュールが1つの薬物送達デバイスに限定されること、また一方でデバイスに対する標準薬物投与インターフェイスの取り付けを許容することを確実にすることも有利であり得る。これはモジュールが取り付けられるときに使用者が併用療法を送達することを可能にし、しかしまた、限定されるものではないが、一次化合物の用量分割又は補充などの状況において標準薬物投与インターフェイスを通して独立に一次化合物の送達を可能にし得る。
【0034】
特別な利点は、提案薬用モジュールが、必要なときに、特に調節期間が特定の薬物で必要になる場合、投薬計画を特注することを可能にすることである。薬用モジュールは、限定されるものではないが、患者に調節を容易にする特定の順序で供給薬用モジュールを使用するよう指示することができるように、機能又はグラフィックス、付番、触知機能、嗅覚弁別等の美的設計など明白な識別機能による調節レベルの数で供給することができる。あるいは、処方する医師は患者に「レベル1」調節薬用モジュールの回数を提供してよく、そして次いでこれらが終了又は使い切ったとき、医師は次のレベルを処方し得る。この調節プログラムの主たる利点は一次デバイスが終始変わらないことである。
【0035】
好ましい実施態様では、一次薬物送達デバイスは1回以上使用され、従って多回使用性であり、しかしながら、薬物送達デバイスはまた単回使用使い捨てデバイスであってもよい。当該デバイスは一次薬物化合物の交換可能なリザーバを有しても有さなくてもよい。また既に標準薬物送達デバイスを用いている患者に対して単発追加薬物として処方することができる、種々の状況に対して一連の異なる薬用モジュールを有することも可能である。患者が既使用の薬用モジュールを再使用しようとするならば、本モジュールは、使用者が薬用モジュールから用量を送達した後に起動するロッキングニードルガードを含んでよい。使用者に警告する他の手段は下記の幾つか(又は全部)を含んでよい:
一度、モジュールが使用され取り除かれている時点で一次薬物送達デバイスへの薬用モジュール再取り付けの物理的阻止。
一度、それが使用されている時点で薬物投与インターフェイスを通したその後の液体流の物理的/水圧的阻止。
一次薬物送達デバイスの用量設定器及び/又は用量ボタンの物理的ロック。
視覚的警告(例えば一度挿入及び/又は流体流が生じた時点でのモジュールに関する表示窓内の色及び/又は警告文/表示物(indicia)の変化)。
触知フィードバック(使用後のモジュールハブの外面における触知機能の存在又は不存在)。
【0036】
更なる提案特徴は、両方の薬剤が1つの注射針を介してそして1つの注射工程で送達されることである。これは2つの別々の注射剤を投与するのと比べて、使用者工程削減の観点から使用者に簡便な利点を提供する。この利便性はまた、特に注射を不快とし又は計算若しくは器用さ困難な使用者に対して、処方された療法でのコンプライアンス改善をもたらし得る。
【0037】
これら並びに本発明の種々態様の他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0038】
本発明の範囲は請求項の内容によって規定される。本発明は特定の実施態様に限定されるものではなく、種々の実施態様のエレメントのいずれの組み合わせをも含む。その上、本発明は請求項のいずれの組み合わせも及び請求項により開示される特徴のいずれの組み合わせをも含む。
【0039】
代表的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される: