特許第5813013号(P5813013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5813013
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】プッシュロッド起動薬用モジュール
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/28 20060101AFI20151029BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   A61M5/28
   A61M5/32 500
   A61M5/32 510K
【請求項の数】15
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-551600(P2012-551600)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2013-518643(P2013-518643A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2011051410
(87)【国際公開番号】WO2011095489
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】10160854.5
(32)【優先日】2010年4月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/301,693
(32)【優先日】2010年2月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アレクサンダー・デイヴィース
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ゴードン・ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】マルコム・スタンリー・ボイド
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・サンダーズ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭49−077487(JP,A)
【文献】 特表2005−510308(JP,A)
【文献】 特表平08−509153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/28
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(100)は第1の薬剤を保持するための一次リザーバを含み、用量ボタン(113)とデバイス連結部材(400)は、用量ボタン(113)が用量送達操作中に作動されたとき、遠位方向に動かされるように構成されている、そして薬用モジュール(200)は第2の薬剤(300)を含む、薬物送達デバイス(100)に取り付け可能な薬用モジュールであって、
第2の薬剤(300)を保持するためのリザーバ(302)
近位ニードルカニューレ(208)と遠位ニードルカニューレ(210)と、
ここで、リザーバ(302)は近位及び遠位ニードルカニューレ(208、210)の間に軸方向に配置されている、また遠位ニードルカニューレ(120)の遠位端は注射部位に適用されるように構成されている、また近位ニードルカニューレ(208)の近位端は第一のリザーバを穿刺するために構成されている;
薬用モジュール(200)の一部分に配置され、そして注射部位に適用中に近位軸方向(218)に動くように構成される遠位ニードルカニューレ(210)に対する保護を提供するためのニードルガード(216)と、
用量送達中、ここで近位及び遠位ニードルカニューレ(208、210)は、ニードルガード(216)が近位方向に後退されたとき、リザーバ(302)と流体連通する
ードルガード(216)の軸方向運動を不可能にするためのロッキング手段(220、222)と、
ここで、ロッキング手段(220、222)は回転部材(222)とモジュール連結部材(220)を含み、
モジュール連結部材(220)は、モジュール連結部材(220)が用量送達操作中に遠位方向に動かされるように薬用モジュール(200)が薬物送達デバイス(100)に取り付けられるとき、薬物送達バイアス(100)のデバイス連結部材(400)と軸方向に移動可能かつ係合可能であるように構成される、そして、
回転部材(222)は、ニードルガード(216)が後退された近位位置にありそしてモジュール連結部材(220)が遠位方向に移動されるとき、モジュール連結部材(220)により回転を生じるように構成される
ロッキング手段(220、222)は更に、事前に定義された回数の回転部材(222)の回転の後にだけニードルガード(216)が軸方向に動くことを不可能にするように構成される
を更に含む、上記モジュール。
【請求項2】
ロッキング手段(220、222)は、ニードルガード(216)の後退位置での用量ボタン(113)の起動のみが用量送達操作としてカウントされるように構成される、請求項1に記載の薬用モジュール。
【請求項3】
モジュール連結部材(220)は第1の傾斜機能(221)を含み、回転部材(222)は第2の傾斜機能(223)を含み、そして所与の用量が送達されたとき、第1の傾斜機能(221)及び第2の傾斜機能(223)は、所与の用量が送達されたとしてカウントするのを容易にするように、相互作用して回転部材(222)を強制的に回転させる、請求項1又は2に記載の薬用モジュール。
【請求項4】
ニードルガード(216)はニードルガード(216)の軸方向運動を不可能にするためのロッキング機能(414)を含み、そしてロッキング手段(220、222)は回転部材(222)が事前に定義された回数の用量が送達された後、ロッキング機構(414)と係合するように構成される、請求項のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項5】
回転部材(222)はさらに軸方向に動くように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項6】
第1のばね(224)及び第2のばね(226)を更に含んでなり、第1のばね(224)はニードルガード(216)に操作可能に連結され、そして第2のばね(226)は回転部材(222)に操作可能に連結される、請求項のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項7】
所与の用量が送達された後、第1のばね(224)はニードルガード(216)を軸方向に押し出し、そして第2のばね(226)は、所与の用量が送達されたとしてカウントするのを容易にするように、回転部材(222)を軸方向に押し出す、請求項に記載の薬用モジュール。
【請求項8】
事前に定義された回数の用量が1回の用量から4回の用量までの範囲にある、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項9】
下記の設計:
a)モジュール連結部材(220)はスリーブ(220)を含む、
b)回転部材(222)はロッキングカラー(222)を含む
少なくとも1つを有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項10】
近位ニードルカニューレ(208)が薬用モジュール(200)の近位端に取り付けられ、そして遠位ニードルカニューレ(210)が薬用モジュール(200)の遠位端に取り付けられる、請求項1〜のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬用モジュール(200)を含んでなる2つ又はそれ以上の薬剤を送達するための薬物送達システムであって、
薬用モジュール(200)のロッキング手段(220、222)に操作可能に連結される用量ボタン(113);
用量ボタン(113)をロッキング手段(220、222)に操作可能に連結するデバイス連結部材(400);及び
薬用モジュール(200)が一次リザーバと流体連通するように構成される、少なくとも1つの薬物作用物質を含む薬剤の一次リザーバ;
を更に含んでなる薬物送達システム。
【請求項12】
デバイス連結部材(400)はプッシュロッド(400)を含む、請求項11に記載の薬物送達システム。
【請求項13】
A)請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬用モジュール(200)を備える工程;
B)薬物送達デバイス(100)に薬物の用量を設定することがデバイス連結部材(400)を近位方向に動くように、用量ボタン(113)、薬剤の一次リザーバ、及び用量ボタン(113)に操作可能に連結されるデバイス連結部材(400)を含む薬物送達デバイス(100)に薬用モジュール(200)を取り付ける工程;
C)デバイス連結部材(400)が近位に動くように薬物送達デバイス(100)で薬剤の用量を設定する工程;
D)薬剤が薬物送達デバイス(100)の一次リザーバから薬用モジュール(220)のリザーバ(302)の周りに、そして針(210)を通して遠位方向に押し出されるように、プライミング操作を行うための用量ボタン(113)を起動する工程;
を含んでなる、薬物送達システムを試験するための方法。
【請求項14】
E)ニードルガード(216)を近位方向に動かし、それによりニードルガード(216)及びモジュール連結部材(220)の機械的協動によってモジュール連結部材(220)を近位方向に動かす工程;
F)デバイス連結部材(400)が近位に動くように薬物送達デバイス(100)で薬剤の更なる用量を設定する工程;
G)連結部材(400)を遠位に動かすために用量ボタン(113)を起動し、それによりモジュール連結部材(220)を遠位に動かし、そしてモジュール連結部材(220)及び回転部材(22)の機械的協動によって薬用モジュール(200)に配列された回転部材(222)を起動し、ここで回転部材(222)の起動は、事前に定義された回数の用量が送達された後、回転部材(222)及びニードルガード(216)の機械的協動によって、薬用モジュール(200)のニードルガード(216)が軸方向に動くことを防止するように構成される工程;
を更に含んでなる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
薬用モジュール(200)はリザーバ(302)中の第2の薬剤をバイパスするためのバイパス(702)を含む、
ニードルカニューレ(208、210)は、ニードルガード(216)が遠位方向に十分に伸びているとき、バイパス(702)と流体連通している、
プライミング操作を行なうために用量ボタン(113)を起動することにより、薬物が薬物送達デバイス(100)の一次リザーバから遠位方向に押し出され、薬用モジュール(220)のバイパス(702)を通ってリザーバの周りに、そしてニードル(210)を通って押し出される、
請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の具体的な実施態様は、少なくとも2つの薬物作用物質(drug agent)を、単回用量設定機構及び単回投与インターフェイスだけを有するデバイスを用いて、別々のリザーバから送達する医療デバイス及び方法に関する。使用者によって開始される単回送達手順は、第2の薬物作用物質の非使用者設定可能用量、及び第1の薬物作用物質(drug agent)の可変設定用量を患者に送達するようにさせ得る。薬物作用物質は、2つ又はそれ以上のリザーバ、容器又は包装にて利用可能で、各々は独立の(単一薬物化合物)又はプレミックスされた(共製剤化多剤薬物化合物(co-formulated multiple drug compounds))薬物作用物質を含む。具体的には、本開示の実施態様は、事前に定義された回数の用量が送達された後にロックアウトするニードルガードを有する薬用モジュールに関する。それにより、薬用モジュールの意図しない再使用が防止され得る。
【背景技術】
【0002】
特定の病状は1つ又はそれ以上の異なる薬剤を用いる処置を必要とする。幾つかの薬物化合物は、最適治療用量を送達するために、互いに特定の関連において送達する必要がある。今回提案のデバイス及び方法は、併用療法が望ましく、限定されるものではないが、安定性、不十分な治療効果及び毒性などの理由で単一製剤では可能でない場合に特に利点があり得る。
【0003】
例えば、ある場合には、長時間作用型インスリンで、及びプログルカゴン遺伝子の転写産物から由来する、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)で糖尿病患者を処置することは有利であり得る。GLP−1は体内に見出され、消化管ホルモンとして腸管L細胞により分泌される。GLP−1は、それ(及びそのアナログ)を糖尿病の有力な処置法として広範囲な検討の対象とする幾つかの生理学的性質を有する。
【0004】
2つの活性薬剤又は「作用物質類(agents)」を同時に送達するときに、多くの潜在的な問題がある。2つの活性作用物質は、製剤の長期、貯蔵期間保存中に互いに相互作用し得る。従って、活性成分を別々に保存すること、及び送達、例えば注射、無針注射、ポンプ、又は吸入の時点でそれらを組み合わせることは有利である。しかしながら、2つの作用物質を組み合わせる方法は、使用者が確実に反復してそして安全に実施できるように単純かつ簡便である必要がある。
【0005】
更なる問題は、併用療法を構成する各活性作用物質の量及び/又は割合は、各使用者で又はそれらの療法の異なる工程で変える必要があり得ることである。例えば1つ又はそれ以上の活性作用物質は、患者を「維持」用量まで徐々に導くのに調節期間(titration period)を必要とし得る。更なる例は、1つの活性作用物質が無調整固定用量を必要とする一方で、他の作用物質は患者の症状又は身体状況に応じて変わる場合である。この問題は、これらのプレミックス製剤が医療関係者又は使用者により変動することができない活性成分の固定比率を有する可能性があることから、複数の活性作用物質のプレミックス製剤は好適ではない可能性があることを意味する。
【0006】
更なる問題は、多くの使用者が1つの薬物送達システムよりも多くを使用しなければならず、又は所要用量組み合わせの必要な正確な計算をする必要があるのに対処することができないために、多剤化合物療法が必要な場合に生じる。これは特に器用さ又は計算困難な使用者に具体的に当てはまる。状況次第では、薬剤を投与する前にデバイス及び/又はニードルカニューレのプライミング手順を行うことも必要となり得る。同様に、場合によっては、1つの薬物化合物をバイパスして、別々のリザーバから単一の薬剤だけを投与することが必要となる可能性がある。
【0007】
従って、使用者が行うのに簡単な単回注射又は送達工程において、2つ又はそれ以上の薬剤送達のためのデバイス及び方法を提供する必要性が存在する。今回提案のデバイス及び方法の具体的な実施態様は、次いで単回送達手順中にただ組み合わせて及び/又は患者に送達される2つ又はそれ以上の活性作用物質用の別々の保存容器を備えることにより、上記の問題を克服する。1つの薬剤の用量設定は、第2の薬剤の用量を自動的に固定又は決定し得る(即ち非使用者設定可能)。今回提案のデバイス及び方法はまた、1つ又は両方の薬剤の量を変えるための機会を与え得る。例えば、1つの流体量は注射デバイスの性質を変えることにより変更し得る(例えば使用者可変用量をダイヤルするか又はデバイスの「固定」用量を変える)。第2の流体量は、第2の活性作用物質の異なる容積及び/又は濃度を含む各バリアントを備えた包装を含む種々の2次薬物を製造することにより変えられ得る。次いで使用者又は医療関係者は、最も適切な2次包装、又は特定の処置計画のための一連の異なる包装若しくはその一連の組み合わせを選択し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明によって解決されるべき問題は、薬剤の投与が改良されるような薬用モジュール、ニードル組立体、薬物送達システム及び薬剤を投与する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示薬用モジュール及び薬物送達デバイスは、単回薬物送達システム内で多剤薬物化合物の複合組み合わせを可能にし得る。具体的実施態様によれば、使用者は、1つの単回用量設定機構及び単回投与インターフェイスを通して多剤薬物化合物デバイスを設定及び投与するようにし得る。本単回用量設定器は、薬剤の1つの単回用量が単回投与インターフェイスを通して設定及び投与されるときに、個々の薬物化合物の事前に定義された組み合わせが送達されるように、デバイスの機構を適宜調節し得る。
【0010】
個々の薬物化合物間の治療的関係を規定することにより、提案送達デバイス及び送達法は、患者/使用者がデバイスを使用する毎に正確な用量組み合わせを算出し設定する必要がある場合、多回入力に伴う固有のリスクなしに多剤薬物化合物デバイスから最適な治療的組み合わせ用量を受け入れることを確実にするのに役立ち得る。薬剤は、その形状を変え易い力によって作動するとき、流れることができそして安定した速度で形状を変える、本明細書で液体又は気体又は紛体と定義される流体であってよい。あるいは、薬剤の1つ又は両方は、輸送され、溶解されるかさもなければ別の流体薬剤と併せて投与される固体であってよい。
【0011】
開示薬用モジュール及び薬物送達デバイスの具体的な実施態様は、単回入力及び関連の事前に定義された治療プロファイルは、使用者がデバイスを使用する毎に使用者がそれらの処方量を計算する必要性を除き、そして単回入力が組み合わせ化合物の非常に容易な設定及び投与を可能にするので、器用さ又は計算困難を有する使用者にとって特に有利であり得る。
【0012】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物は、2次薬剤の単回用量を含む単回使用、使用者交換可能モジュール、及び単回投与インターフェイスで使用することが可能である。一次デバイスに連結したときに、2次化合物は一次化合物の投与時に起動/送達され得る。本開示は、具体的にインスリンを記載するが、2つの可能な薬物組み合わせとして、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログ、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれの上記薬物の組み合わせを使用することも可能である。
【0013】
以下において、用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0014】
ここで使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0015】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0016】
ホルモンは、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0017】
1つの態様によれば、薬用モジュールが提供される。薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付け可能であり得る。薬物送達デバイスは第1の薬剤を保持するための一次リザーバを含んでよい。薬用モジュールは第2の薬剤を含んでよい。好ましくは、第2の薬剤は、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられる前に薬用モジュールに入れられる。薬物送達デバイス、特に一次リザーバは好ましくはモジュールがデバイスに取り付けられる前に第1の薬剤で満たされる。薬用モジュールは特に注射デバイス、例えばペン型注射デバイスに適合し得る。デバイスは、薬用モジュールがデバイスに取り付けられる前又は薬用モジュールがデバイスから取り除かれた後に、一次リザーバに保持された第1の薬剤の用量を設定及び投与するのに好適であり得る。従って、デバイスは、例えば薬用モジュールの不存在下でも作動するように構成される、独立型デバイスを形成するのに好適であり得る。このために、ニードルカニューレは、好ましくは取り除き可能で、デバイスの遠位端に取り付け可能であり得る。
【0018】
例として、薬用モジュールのリザーバは液状薬剤を含んでよい。薬剤は、GLP−1を含み、又はインスリン及びGLP−1のプレミックスを含んでよい。薬物送達デバイスは用量ボタンを含んでよい。用量ボタンは、第1の薬剤の用量がデバイスから投与されるようにするいずれのトリガー機構であり得る。用量ボタンは用量ダイヤルボタンであってよい。薬物送達デバイスはデバイス連結部材を含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結され得る。デバイス連結部材は、用量ボタンが起動するとき、特に用量ボタンが用量を送達するのに起動するとき軸方向に可動であってよい。ここでは、例えば用量ボタンは薬物送達デバイスの使用者により十分に押圧され得る。用量ボタンの動きは次に、デバイス連結部材及び用量ボタンの機械的協動により遠位方向においてデバイス連結部材の動きに伝達され得る。特に、デバイス連結部材は、用量ボタンが遠位に動くときにだけ起動し得る。デバイス連結部材は、薬用モジュールを用量ボタンの起動に操作可能に連結し得る。特に、連結部材は、後でより詳細に記載される用量ボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドを含んでよい。プッシュロッドは、用量ボタンが薬物送達デバイスの使用者によって十分に押圧されるとき軸方向に可動であってよい。
【0019】
薬用モジュールはハウジングを含んでよい。ハウジングは薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを含んでよい。ハウジングは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるとき、デバイス連結部材の一部分、例えばプッシュロッドを受け入れるように構成され得る。薬用モジュールは、薬剤の少なくとも1回の用量を含むハウジングにリザーバを更に含んでよい。リザーバは薬剤、例えば第2の薬剤の単回用量を含んでよい。薬用モジュールは薬用ニードルであってよい。薬用モジュールは第1の又は近位のニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールは第2の又は遠位のニードルカニューレを含んでよい。モジュールのリザーバは第1と第2の針の間で軸方向に配置されてよい。ニードルカニューレは、モジュールのリザーバとの流体連通を確立するように適合及び配置されてよい。第2のニードルカニューレの遠位端は注射部位に適用されるように構成され得る。第2のニードルカニューレの近位端はモジュールのリザーバ、特に第2のリザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。第1のニードルカニューレの遠位端は、モジュールのリザーバ、特に2次リザーバの近位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。第1のニードルカニューレの近位端は一次リザーバ、特に一次リザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するように構成され得る。薬用モジュールは、薬用モジュールの一部分に配置されるニードルカニューレの少なくとも1つに対して保護を提供するためのニードルガードを含んでよい。ニードルガードはニードルガード組立体であってよい。ニードルガードは注射部位への適用中に軸方向に動くように構成され得る。ニードルガードは薬用モジュールのハウジングに操作可能に連結され得る。
【0020】
尚更に、薬用モジュールはニードルガードの軸方向の動きを不可能にするためのロッキング手段を含んでよい。ロッキング手段は、薬物送達デバイスの用量ボタンの起動に操作可能に連結され、そしてニードルガードの軸方向運動に操作可能に連結されるように構成され得る。ロッキング手段は、用量送達操作の事前に定義された回数の後にだけ、ニードルガードを軸方向に動くことを不可能にするように構成され得て、ここで用量送達操作はニードルガードを軸方向に動かし、そして用量を送達するための用量ボタンを起動する工程を含む。ロッキング手段は、薬物送達デバイスのデバイス連結部材と係合可能であるように構成されるモジュール連結部材を含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結されてよく、そして特に用量ボタンの起動にロッキング機能を操作可能に連結してよい。モジュール連結部材は軸方向に可動なように構成され得る。モジュール連結部材は軸方向に動くように構成される薬用モジュールのハウジングに位置し得る、スリーブを含んでよく又は設計され得る。更に、ロッキング機能は回転して動くように構成される回転部材を含んでよい。特に、回転部材は、それが各用量送達操作、それによる送達用量の回数をカウンティング後に規定の回転運動を行うように構成され得る。回転部材は軸方向に及び回転していずれにも動くように構成され得る。回転部材はロッキングカラーとして設計し又は含んでよい。回転部材は、所与の用量が送達された後モジュール連結部材により回転するようにさせられてよい。特に、モジュール連結部材は第1の傾斜機能を含んでよく、そして回転部材は第2の傾斜機能を含んでよい。所与の用量が送達されるとき、第1の傾斜機能及び第2の傾斜機能は、送達された所与の用量のカウンティングを容易にするため、回転部材を回転させるように相互作用し得る。更に、薬用モジュールは第1のばねを含んでよく、ここで第1のばねはニードルガードに操作可能に連結される。第1のばねは、ニードルガードが近位方向に後退し、そして注射部位から取り除かれるときに、ニードルガードを軸方向に、特に遠位方向に押し出し得る。薬用モジュールは、回転部材、例えばロッキングカラーに操作可能に連結された第2のばねを更に含んでよい。第2のばねは、送達された所与の用量のカウンティングを容易にするため、回転部材を軸方向に押し出し得る。1つの実施態様では、用量の送達中、ニードルガードは後退位置にありそしてデバイス連結部材は起動し、例えばデバイス連結部材のプッシュロッドは陥凹位置にあってよい。ロッキング手段は、それが後退位置にあるニードルガードによって起動し、そして用量ボタンの起動に因る連結部材の起動であるように構成され得る。特に、ロッキング手段は当該用量送達操作の回数をカウントするように構成され得る。特に、ロッキング手段は、ニードルガードの後退位置における用量ボタンの起動だけが用量送達操作としてカウントされるように構成され得る。ロッキング機能、及び特に、ロッキング機能の回転部材は、事前に定義された回数の用量が薬用モジュールを介して送達された後、更にニードルガード組立体の軸方向運動を防止するように構成され得る。好ましくは、ニードルガードは、事前に定義された回数の用量送達操作が行われるまで軸方向に可動である。特に、ニードルガードは、用量ボタンが、そしてそれによりデバイス連結部材が起動して、但しニードルガードが、用量ボタンが起動したとき後退位置になかった後、後退位置に軸方向に動くようにされ得る。その上、ニードルガードは、用量ボタンが用量を送達するために起動する前に、後退位置に数回軸方向に動くようにされ得る。ニードルガードのロッキングを達成するために、ニードルガードは、ニードルガードの軸方向運動を不可能にするロッキング機能を含んでよく、ここで回転部材は事前に定義された回数の用量が送達された後、ロッキング機能と係合する。それにより、ニードルガードは回転部材にロックされ得る。特に、ロッキング機能は、用量を送達後カバーし又は十分に伸長した遠位位置にニードルガードがロックするように構成され得る。これはモジュールの意図しない再使用を防止し得る。
【0021】
薬用モジュール及び薬物送達デバイスの具体的な実施態様によれば、用量ボタンの単回起動により、ニードルガードが後退しているとき、一次リザーバからの薬剤及び薬用モジュールからの第2の薬剤は、モジュールの出力ニードルを通して排出することができる。送達手順の終了時に、実質的にすべての第2の薬剤は排出され得て、並びに第1の薬剤の選択用量は単回投与インターフェイスを通して排出され得る。「実質的にすべて」とは少なくとも約80%の第2の薬剤が薬物送達デバイスから排出され、好ましくは少なくとも約90%が排出されることを意味する。加えて、より多くの一次薬剤を注射する必要がある場合、ニードルガードがロックアウトする前に別の用量を設定及び注射することができる。
【0022】
具体的な実施態様によれば、薬用モジュールは第1及び第2のドニードルカニューレを含んでよく、ここでは第1のニードルカニューレはモジュールの近位端に取り付けられてよく、そして第2のニードルカニューレはモジュールの遠位端に取り付けられてよい。2つのニードルカニューレは、ニードルガードが十分に遠位方向に伸びているときモジュールのリザーバ中の薬剤と流体連通していなくてよい。2つのニードルカニューレは、ニードルガードが近位方向に後退しているとき薬剤と流体連通してよい。薬用モジュールはバイパス例えばバイパスチャンネルを含んでよく、リザーバ中の薬剤をバイパスする。ニードルカニューレは、ニードルガードが十分に遠位方向に伸びているときバイパスと流体連通してよい。
【0023】
1つの実施態様では、例えば図2に示される実施態様において、ロッキング機能はロッキングアウト前には単回のニードルガード後退をカウントするだけである。ここでは、ニードルガードは遠位方向におけるそれに続く伸長後にロックされる。特に、用量ボタンの起動は、モジュール連結部材でデバイス連結部材を、それにより回転部材でモジュール連結部材を押圧する結果をもたらし得る。例として、用量送達操作は、回転部材のロッキングカラー上で連結部材のスリーブを押圧する結果をもたらし得る。それにより、回転部材、例えばロッキングカラーは、ニードルガードが再度伸びるときに、ニードルガードがロックアウトされる位置で終わるように回転させられてよい。しかしながら、更なる実施態様によれば、ロッキング機能はロッキングアウト前に多回用量をカウントするように構成することができる。例として、事前に定義された回数の用量は1用量から4用量までの範囲であってよい。ロックアウト前に事前に定義された多回用量を可能にするために、ロッキング機能は、回転部材、例えばロッキングカラーが規定の回転運動、そして特に各用量送達操作後に事前に定義された量の回転運動を行い得るように構成され得る。それにより、ロッキング手段は送達用量の回数をカウントし、そして事前に定義された用量の数の後、例えば多回用量が送達された後にロックアウトする。モジュール連結部材例えばスリーブ、又は回転部材例えばロッキングカラーは、ニードルガードが後退して伸長し、そして用量ボタンが起動する度に回転部材を設計公知の距離に徐々に回転させるように設計された更なる歯を有してよい。規定数の増分(必要用量カウント)後に、ニードルガードは次いて伸長位置にロックし得る。例えば、ロックアウト前に2用量をカウントするために、ロッキングカラー及び/又はスリーブは2つの歯を有し得る;3用量をカウントするために、ロッキングカラー及び/又はスリーブは3つの歯を有し得るなどである。
【0024】
第1の具体的実施態様によれば、薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールが提供され、ここで薬物送達デバイスは第1の薬剤を保持するための一次リザーバを含み、そして薬用モジュールは第2の薬剤を含む。薬用モジュールは、薬用モジュールの一部分に配置され、そして注射部位へ適用中に軸方向に動くように構成される少なくとも1つの針に対して保護を提供するために、第2の薬剤を保持するリザーバ及びニードルガードを更に含む。薬用モジュールはニードルガードの軸方向運動を不可能にするためのロッキング手段を更に含み、ロッキング手段は薬物送達デバイスの用量ボタンの起動部に、そしてニードルガードの軸方向運動に操作可能に連結されるように構成されている。その上、ロッキング手段は、事前に定義された回数の用量送達操作後だけにニードルガードを軸方向に動くことを不可能にするように更に構成され、ここで用量送達操作は、ニードルガードを軸方向に動かし、そして用量を送達するための用量ボタンを起動する工程を含む。
【0025】
更なる具体的な実施態様によれば、薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュールが提供される。薬物送達デバイスは用量ダイヤルボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドを含み、ここでプッシュロッドは、用量ダイヤルボタンが薬物送達デバイスの使用者によって押し下げられるときに軸方向に可動である。薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付けのために構成されるコネクタを有するハウジングを含み、ここでハウジングは、薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられるときにプッシュロッドの一部分を受け入れるように構成される。更に、薬用モジュールは、薬剤の単回用量を含むハウジングにリザーバを含む。その上、薬用モジュールは、ハウジングで操作可能に連結されそして注射部位に適用中に軸方向に動くように構成されるニードルガード組立体、ハウジングで軸方向に動くように構成されるハウジングのスリーブ、及びハウジングで軸方向に及び回転して動くように構成されるハウジングのロッキングカラーを含み、ここで用量の送達中、ニードルガードは後退位置にありそしてプッシュロッドは陥凹位置にあり、そしてロッキングカラーは更に、事前に定義された回数の用量が薬用モジュールを介して送達された後、ニードルガード組立体が軸方向に動くことを防止するように構成される。
【0026】
更なる態様によれば、薬物送達デバイスに対するニードルガード組立体が提供される。ニードルガード組立体は上記のようにニードルガード及びロッキング手段を含む。特に、ロッキング手段は、事前に定義された回数の用量送達操作が行われている場合にだけ、ニードルガードが軸方向に動くことを不可能にするに構成され得る。ニードルガード組立体は、薬剤を保持するためのリザーバを含んでよく、又は当該リザーバはなくてもよい。ニードルガード組立体中のニードルガード及びロッキング手段の操作は薬用モジュールと関連して上記の操作と類似又は同一であってよい。
【0027】
更なる態様によれば、上記のように薬用モジュールを含み又はニードルガード組立体を含む薬物送達システムが提供される。薬物送達システムが薬用モジュールを含む場合には、それは少なくとも1つの作用物質を含む薬剤の一次リザーバを含んでよく、ここでは薬用モジュールは一次リザーバとの流体連通のために構成される。例として、一次リザーバ又は2次リザーバ又は両方のリザーバは液状薬剤を含んでよい。一次リザーバはインスリンを含んでよい。2次リザーバはGLP−1を含み、又はGLP−1及びインスリンのプレミックスを含んでよい。薬物送達デバイスは2つ又はそれ以上の薬剤を送達するように構成され得る。薬物送達デバイスは、薬用モジュールのロッキング手段に操作可能に連結された用量ボタン、及びロッキング手段に用量ボタンを操作可能に連結するデバイス連結部材を含む。薬物送達システムは、単回用量設定器及び単回投与インターフェイスを通して操作可能であり得る。それは、薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される単回用量設定器、及び薬剤の一次リザーバに操作可能に連結される用量ボタンを含むハウジングを含んでよい。デバイス連結部材は用量ボタンに操作可能に連結されるプッシュロッドとして設計されてよく、ここでプッシュロッドは、用量ボタンが薬物送達システムの使用者によって押し下げられるとき軸方向に可動である。
【0028】
用量を送達するために、上記の薬物送達システムは下記のように操作されてよい:
(i)所与の用量は、デバイス連結部材及びモジュール連結部材が第1の軸方向に動く場合に選択され、
(ii)ニードルガードは第1の軸方向に後退し、それにより回転部材を第1の方向に軸方向に動くようにさせ、
(iii)デバイス連結部材はその後第2の軸方向に動き、そしてモジュール連結部材を第2の軸方向に動くようにさせ、ここで第2の方向は実質的に第1の方向と反対側であり、そして
(iv)モジュール連結部材は回転部材と相互作用し、回転部材を周方向に回転させ、
(v)ニードルガードは第1の軸方向と反対位置に実質的に第2の軸方向に伸びると、それは、送達した所与の用量をカウントするために、回転部材が第2の方向に軸方向に動きそして周方向に回転することを可能にする。
【0029】
尚更なる態様によれば、薬剤を投与する方法に関する。方法は試験目的に使用されてよく、そして手術又は治療によるヒト又は動物体の処置を含まなくてよい。方法は:
a.薬物送達デバイスが用量ボタン及び用量ボタンに操作可能に連結されたデバイス連結部材を含む、上記の薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付けて;
b.デバイス連結部材が方向に動くように、薬物送達デバイスに薬剤の用量を設定し;
c.デバイス連結部材を軸方向に動くようにさせて設定用量を投与するための用量ボタンを起動し、それにより薬用モジュール中に配列した回転部材を起動し、ここで回転部材の起動は、薬用モジュールのニードルガードは事前に定義された回数の用量が送達された後に軸方向に動くことを防止する、という工程を含む。
【0030】
1つの態様は、薬物送達システムを試験するための方法に関し、方法は:
A)既述の薬用モジュールを提供すること。モジュールのリザーバは第2の薬剤の用量で満たされてよい。
B)薬用モジュールを薬物送達デバイスに取り付けること。薬物送達デバイスは用量ボタン、薬剤の一次リザーバ、及び用量ボタンに操作可能に連結されるデバイス連結部材を含んでよい。薬物送達デバイスの一次リザーバは、モジュールがデバイスに取り付けられる前に少なくとも部分的に薬剤で満たされてよい。好ましくは、一次リザーバは薬剤の複数の用量を含む。
C)デバイス連結部材が近位に動くように、薬剤の用量を薬物送達デバイスで設定すること。
D)薬剤が薬物送達デバイスの一次リザーバから遠位方向に押し出されるように、プライミング操作を行うために用量ボタンを起動すること。用量ボタンを起動するとき、デバイス連結部材は遠位に動き得る。薬剤は近位ニードルを通して押し出され得る。薬剤は次いで薬用モジュールのリザーバの周りに、そしてリザーバの遠位端に配置された針を通して押し出され得る、という工程を含む。
【0031】
更に、方法は:
E)薬用モジュールのニードルガードを近位方向に動かすこと。それにより、モジュール連結部材は、ニードルガード及びモジュール連結部材の機械的協動により近位方向に動き得る。
F)デバイス連結部材が近位に動くように、薬剤の更なる、好ましくは可変用量を薬物送達デバイスに設定すること。
G)連結部材を遠位に動かすために用量ボタンを起動すること。それにより、モジュール連結部材は、デバイス連結部材との機械的協動により遠位にあってよい。薬用モジュールに配列された回転部材は、それによりモジュール連結部材及び回転部材の機械的協動により起動し得る。回転部材の起動は、事前に定義された回数の用量が送達された後に回転部材及びニードルガードの機械的協動により、薬用モジュールのニードルガードが軸方向に動くことを防止するように構成され得る、という工程を含んでよい。
【0032】
デバイス連結部材はプッシュロッドであってよい。プッシュロッドはデバイスのハウジングに沿って、特にハウジングの内面に沿って軸方向に伸びてよい。プッシュロッド、特にプッシュロッドの遠位端セクションは、ハウジングの遠位端から突出するように構成され得る。薬用モジュールの取り付け中、プッシュロッドの遠位端は薬用モジュールのハウジングに配列され得る。特に、プッシュロッドの遠位端セクションは、プッシュロッド及びモジュール連結部材の機械的協動が可能になるように、薬用モジュールの近位端セクションに突出し得る。プッシュロッドの近位端は、薬物送達デバイスのハウジングの近位端にわたって伸びてよい。従って、用量ボタンが起動し、即ち遠位方向に動くとき、用量ボタンは、デバイス連結部材が遠位方向に動くようにデバイス連結部材と機械的協働し得る。従って、遠位方向における用量ボタンの動きは、遠位方向にデバイス連結部材の動きに伝達される。回転部材はロッキングカラーとして構成され得て、そして薬用モジュールのハウジングに配列され得る。薬用モジュールをデバイスに取り付ける代わりに、方法は上記のようにニードルガード組立体をデバイスに取り付ける工程を含んでよい、この場合、方法の操作工程は上記の操作工程と同じか又は類似してよい。
【0033】
薬用モジュールは、適切な適合性インターフェイスを備えたいずれかの薬物送達デバイスとともに使用するように設計することができる。しかしながら、不適合デバイスへの不適切薬用モジュールの取り付けを防止するために、限定された、専用又はコード化機構の利用を通して1つの限定的な一次薬物送達デバイス(又はデバイス群)にその使用を制限するように、モジュールを設計することが好ましいといえる。場合によっては、薬用モジュールが1つの薬物送達デバイスに限定されること、また一方でデバイスに対する標準薬物投与インターフェイスの取り付けを許容することを確実にすることも有利であり得る。これはモジュールが取り付けられるときに使用者が併用療法を送達することを可能にし、しかしまた、限定されるものではないが、一次化合物の用量分割又は補充などの状況において標準薬物投与インターフェイスを通して独立に一次化合物の送達を可能にし得る。
【0034】
特別な利点は、提案薬用モジュールが、必要なときに、特に調節期間が特定の薬物で必要になる場合、投薬計画を特注することを可能にすることである。薬用モジュールは、限定されるものではないが、患者に調節を容易にする特定の順序で供給薬用モジュールを使用するよう指示することができるように、機能又はグラフィックス、付番、触知機能、嗅覚弁別等の美的設計など明白な識別機能による調節レベルの数で供給することができる。あるいは、処方する医師は患者に「レベル1」調節薬用モジュールの回数を提供してよく、そして次いでこれらが終了又は使い切ったとき、医師は次のレベルを処方し得る。この調節プログラムの主たる利点は一次デバイスが終始変わらないことである。
【0035】
好ましい実施態様では、一次薬物送達デバイスは1回以上使用され、従って多回使用性であり、しかしながら、薬物送達デバイスはまた単回使用使い捨てデバイスであってもよい。当該デバイスは一次薬物化合物の交換可能なリザーバを有しても有さなくてもよい。また既に標準薬物送達デバイスを用いている患者に対して単発追加薬物として処方することができる、種々の状況に対して一連の異なる薬用モジュールを有することも可能である。患者が既使用の薬用モジュールを再使用しようとするならば、本モジュールは、使用者が薬用モジュールから用量を送達した後に起動するロッキングニードルガードを含んでよい。使用者に警告する他の手段は下記の幾つか(又は全部)を含んでよい:
一度、モジュールが使用され取り除かれている時点で一次薬物送達デバイスへの薬用モジュール再取り付けの物理的阻止。
一度、それが使用されている時点で薬物投与インターフェイスを通したその後の液体流の物理的/水圧的阻止。
一次薬物送達デバイスの用量設定器及び/又は用量ボタンの物理的ロック。
視覚的警告(例えば一度挿入及び/又は流体流が生じた時点でのモジュールに関する表示窓内の色及び/又は警告文/表示物(indicia)の変化)。
触知フィードバック(使用後のモジュールハブの外面における触知機能の存在又は不存在)。
【0036】
更なる提案特徴は、両方の薬剤が1つの注射針を介してそして1つの注射工程で送達されることである。これは2つの別々の注射剤を投与するのと比べて、使用者工程削減の観点から使用者に簡便な利点を提供する。この利便性はまた、特に注射を不快とし又は計算若しくは器用さ困難な使用者に対して、処方された療法でのコンプライアンス改善をもたらし得る。
【0037】
これら並びに本発明の種々態様の他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0038】
本発明の範囲は請求項の内容によって規定される。本発明は特定の実施態様に限定されるものではなく、種々の実施態様のエレメントのいずれの組み合わせをも含む。その上、本発明は請求項のいずれの組み合わせも及び請求項により開示される特徴のいずれの組み合わせをも含む。
【0039】
代表的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】薬用モジュールに関連して用いることができる1つの可能な薬物送達デバイスの透視図を図示する。
図2】代表的な薬用モジュールの透視図を図示する。
図3】代表的な薬用モジュールの透視断面図を図示する。
図4】薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられている図2の実施態様を図示する。
図5】薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられている図2の実施態様の断面図を図示する。
図6】薬用モジュールが薬物送達デバイスに取り付けられている図2の実施態様の透視断面図を図示する。
図7】ニードルガードが伸長位置にある図4の実施態様の断面図を図示する。
図8】ニードルガードが後退位置にある図4の実施態様の透視図を図示する。
図9】ニードルガードが後退位置にある図4の実施態様の透視断面図を図示する。
図10】ニードルガードが後退位置にある図4の実施態様の断面図を図示する。
図11】ニードルガードが後退位置にありそしてプッシュロッドが押し下げられている図4の実施態様の透視図を図示する。
図12】ニードルガードがロックアウトされる直前における図4の実施態様の透視図を図示する。
図13】ニードルガードがロックアウトされている図4の実施態様の透視図を図示する。
図14】ニードルガードロックアウトを示す薬用モジュールの透視図を図示する。
図15】ニードルガードロックアウトを示す薬用モジュールの透視図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
開示薬用モジュール及び薬物送達システムの具体的実施態様は、2次薬物化合物(薬剤)の固定所定用量及び1次の又は第1の薬物化合物の可変用量を、単一出力又は薬物投与インターフェイスを通して投与することを可能にする。使用者による一次薬剤の用量設定は、第2の薬剤の単回用量と独立していてよく、これは好ましくは薬物送達デバイスに取り付け可能な薬用モジュール中のリザーバに含まれる。
【0042】
好ましい実施態様では、薬物投与インターフェイスは、ニードルカニューレ(中空針)である。図1は、薬用モジュール200(図2〜15参照)が遠位端132の連結部材109に取り付けることができる薬物送達デバイス100の1つの例を図示する。各薬用モジュール200は、好ましくは内蔵型であり、そしてデバイス100の遠位端132に、取り付け部材109に適合性の取り付け部材を有する、密閉及び滅菌使い捨て品として提供される。示されてはいないが、薬用モジュール200は保護及び滅菌容器中に含まれて製造業者によって供給し得て、ここでは使用者が滅菌薬用モジュール200に利用できるようにシール又は容器自体を剥がし又は裂き開いてよい。ある場合には、薬用モジュール200の各端部に対して2つ又はそれ以上のシールを備えることが望ましいといえる。
【0043】
薬物送達デバイス100は好ましくは第1(又は1次)の薬剤を含む。図に示される実施態様は、環状リザーバ302内に完全に含まれている単回用量として第1の薬剤300の利点を有し、それ故第2の薬剤と、薬用モジュール200の構成に使用される材料、具体的には中心コア304又はモジュール200の構成に使用されるいずれの他の部材との間の材料不適合性のリスクを最小化する。
【0044】
投与操作の終わりにリザーバ302に残る可能性のある、再循環及び/又は停滞域によってもたらされる第2の薬剤の残存量を最小化するために、投与された薬剤の量を最大化するように構成され又は設計されたリザーバ302を有することが好ましい。可能性のある好ましい形状は図に示すように環形である。
【0045】
図2〜15に示される実施態様を参照して、薬用モジュール200及び薬用モジュール200の操作が詳細に記載される。図2は、薬物送達デバイス100などの薬物送達デバイスに取り付け可能である薬用モジュール200の好ましい配置を図示する。薬用モジュール200は近位端204及び遠位端206を有するハウジング202を含む。近位端204は、薬物送達デバイス100に取り付けのために構成される取り付け又は連結部材(示されず)を有する。いずれの公知の取り付け手段も、ねじ山、スナップロック、スナップフィット、ルアーロック、バヨネット、スナップリング、キードスロットなどあらゆるタイプの恒久的及び非恒久的な連結手段、及び当該連結材の組み合わせを含み、薬用モジュール200を選択された薬物送達デバイス100に取り付けるのに使用することができる。例えば、取り付け手段は、薬物送達デバイス100の遠位端132の類似のねじ山を係合し得るねじ山であってよい。
【0046】
薬用モジュール200は、モジュール200の近位端204に取り付けられ又は固定されている第1のニードルカニューレ208、及びモジュール200の遠位端206に取り付けられ又は固定されている第2のニードルカニューレ210を有する。ハウジング202はまた、第1及び第2の針208、210間に軸方向に位置するリザーバ302を含み、そしてこのリザーバ302は第2の薬剤300を含む。
【0047】
ニードルガード組立体216はハウジング202に位置し、そしてこのニードルガード組立体216は注射部位に適用中に軸方向(矢印218によって規定される)に動くように構成される。好ましくは、ニードルガード組立体216は管状であり、そして図2に図示されるように緩み(又は伸長)位置において実質的に第2の針210を隠蔽する。第2の針を実質的に隠蔽する間に、ニードルガード216も不注意な針刺しを防止するのに役立つ。
【0048】
薬用モジュール200は、更にハウジング202に配列されるスリーブ220及びロッキングカラー222を含む。スリーブ220は少なくとも1つの傾斜機能221を含み、そしてロッキングカラー222は補足的な数の傾斜機能223を含む。ロッキングカラー222及びスリーブ220での更なる傾斜機能は、使用者が注射の所定の回数を行うことができるように使用し得る。好ましくは、これらの傾斜機能は三角形機能であり、「歯」と称してもよい。しかしながら、当然のことながら、他の形状の傾斜機能も同様に可能である。
【0049】
薬用モジュール200はまた第1のばね224及び第2のばね226を含んでもよい。第1のばね224はニードルガード組立体216の近位端306に操作可能に連結され、そして第2のばね226はロッキングカラー222の近位端308に操作可能に連結される。両方のばね224、226が圧縮された後、例えばニードルガード組立体216が軸方向に上方に動くとき、そしてロッキングカラー222が軸方向218に下方に動くとき、ばね224、226は、ニードルガード216及びロッキングカラー222を反対の軸方向218に下方に動かす力を与え得る。ばね224はニードルガード216を後退位置から伸長位置へ動くのを容易にし、はね226はニードルガード216のロッキングアウトを容易にする。操作中のばね224、226の動作は、下記に詳細に記載される。
【0050】
薬用モジュール200は、送達されている用量をカウントするように、そしてその後用量が送達された後にニードルガード組立体216をロックアウトするように作動する。有利なこととして、薬用モジュール200は用量が実際に投与された後ロクアウトすることができ、そして使用者が注射過程を始めた後にではなくて実際に用量の投与を終了しない。これは複数の理由で有利である。例えば、当該ロックアウト機構は、使用者は注射過程を始めるが使用者が用量を投与するのを妨げる瘢痕組織に遭遇する場合に有利であり得る。薬用モジュール200の部材は、用量が投与された後だけモジュール200がロックアウトするように構成され、そしてこれらの部材の構成は下記に詳細に記載される。
【0051】
薬用モジュール200の薬物送達デバイス100への取り付けは図4〜6を参照して記載され、そして薬物送達デバイス100に取り付けられた薬用モジュール200の操作は図5〜15を参照して記載されている。
【0052】
使用者は、薬用モジュール200を上記の取り付け手段を用いて薬物送達デバイス100に取り付け得る。薬物送達デバイス100はプッシュロッド400を含む。プッシュロッド400はデバイス100のハウジングに沿って軸方向に伸びる(明確には示されず)。プッシュロッド400はハウジングの遠位端から突出することができる。プッシュロッド400、特にプッシュロッド400の遠位端セクションは、プッシュロッド400及びスリーブ220の機械的協動が可能なように、次いで薬用モジュール200のハウジング202に受け入れられる。プッシュロッド400、特にプッシュロッド400の遠位端セクションはスリーブ220と相互作用する。薬物送達デバイス100が薬用モジュール200に最初に取り付けられるとき、プッシュロッド400はスリーブ220を方向450に下方に押し出し、スリーブ220をロッキングカラー222に近接して動かす。図4に見られるように、スリーブ220の傾斜端221はロッキングカラー222の傾斜端223に隣接する。
【0053】
加えて、図4に見られるように、ロッキングカラー222は別の傾斜機能410を含み、そしてハウジングの内部は傾斜機能412を含む。図14〜15を参照してより詳細に記載するように、傾斜機能410及び412はニードルガード216のロッキングアウトを容易にする。取り付けられたとき、傾斜機能410は例えば傾斜機能412の右にある。この位置では、ニードルガード216はロックアウトされず、それ故に軸方向に自由に動ける。しかしながら、デバイス100が注射部位に挿入されるとき(ニードルガード216は後退する)、傾斜機能221はロッキングカラー222で傾斜機能と相互作用し、そしてこれがまたその結果傾斜機能410を左の上方傾斜機能412に回転させるので、ロッキングカラー222は上方に持ち上げられ回転する。用量が投与されてニードル210が注射部位から取り除かれた後にニードルガード216が拡大するとき、ロッキングカラー222は下方に動き、そして傾斜機能410及び412はデバイス100をロックアウトし始める。ロッキングカラーばね226は次いでロッキングカラー222及びニードルガード216を十分伸びた位置に戻させる。このばね226の力はロッキングカラー222が最終量を回転するようにさせる。ロッキングカラー222のロッキング機能416を、ニードルガード216のロッキング機能414により軸合わせへと動かすのはこの最終回転である。ニードルガード216が軸方向に動くことを防止するのはこの合わせである。ニードルガード216及びロッキングカラー222はこれで軸方向に係合し、そしてニードルガード216の軸方向運動はこれでロッキングカラー222の運動へ制約される。動きの制約は、ニードル210がロックアウト条件で実質的にカバーされ、その結果針刺し傷及び更なる針の使用を防止するようになるものである。
【0054】
使用者が薬用モジュール200を薬物送達デバイス100に取り付けた後、そして使用者が薬用用量を注射する前に、使用者は所望に応じて注射デバイス100をプライムし得る。選択的プライミング工程は図5〜7を参照して記載される。使用者はデバイス100をプライムするために、薬物送達デバイス100の用量設定器112を使用してよい。例えば、使用者はデバイス100をプライムするために、1〜3ユニットの小用量を選択してよい。注射の前には、第2の薬剤300は第1の針208か又は第2の針210と流体連通していない。しかしながら、第1及び第2の針208、210は、リザーバ302の周りの流路により互いに流体連通している。プライミング中、使用者が用量ボタン113を押圧するとき、第1の薬剤は、第1の針208を通して、リザーバ302の周りに、そして出力ニードル210を通して、薬物送達デバイス100のカートリッジから遠位方向に押し出され得る。用量ボタン113は、用量設定器112により設定された第1の薬剤用量を、デバイス100の遠位端132に向いて動くようにするいずれのトリガー機構であってよい。好ましい実施態様では、用量ボタン113は第1の薬剤の一次リザーバにおけるピストンを係合するスピンドルに操作可能に連結される。
【0055】
リザーバ302の周りのこの経路は、好ましくはリザーバ302の周りに位置するチャンネル702によって作り出される。このチャンネル702は、ニードルガード216が伸長位置にあるとき、第1の針208と第2の針210間の流体連通を可能にする。
【0056】
所望のプライミング後、使用者は用量を投与し得る。当然のことながら、用量を投与するとき、使用者は注射部位に抗して薬用モジュール200を押圧し得て、それがニードルガード組立体216を後退させ得て、そして使用者は用量を送達するために用量ボタン113を押し下げさせ得る。薬用モジュール200の部材(そして具体的にスリーブ220及びロッキングカラー222)は、使用者が(i)ただニードルガード216を後退させるか、又は(ii)ニードルガード216を後退させそして用量ボタン113を押し下げるかによって決まる異なる機械的操作を行うように構成される。
【0057】
明確にするために、ニードルガード216は後退してそして用量投与がない薬用モジュール200の操作が記載され、続いてニードルガード216は後退してそして用量が投与された薬用モジュール200の操作が記載されている。モジュール200の操作は必ずしも使用者に対する用量送達と関連して行われないことに注意すべきである。薬用モジュール200のヒト又は動物体との相互作用は行われる必要はない。特に、薬用モジュール200の操作は、例えば薬用モジュール200の機能性を試験するために行われてよい。
【0058】
ほとんどの場合、使用者は用量を投与するときに、ニードルガード216を押し下げそして投薬ボタン113を完全に押し下げてよい。しかしながら、場合によっては、使用者は投薬ボタン113を完全に押し下げないでニードルガード216を後退させ得る。そのような場合には、薬用モジュール200は送達されている用量をカウントせず、そして従ってその後デバイス100をロックアウトしない。
【0059】
図8は、ニードルガード216が後退位置にある場合の図4の実施態様の透視図を図示する。この図では、用量ボタン113は押し下げられていない。図に示すように、ニードルガード組立体216が軸方向802に後退しているとき、第2の針210はもはやガードされていない。好ましくは、ニードルガード216は使用者がモジュール100を注射部位へ適用するにつれて後退し、そして第2の針210はその結果皮下注射を可能にするように注射部位を穿孔し得る。ニードルガード216を後退させることはまた、ロッキングカラー222及びスリーブ220を方向802に軸方向に動かすことであることも明らかである。使用者が一次デバイス100のハウジングから用量セレクタをダイヤルすると、(ばねで作動する)プッシュロッド400が外に「急に出る」。図に示すように、この動きは、ポイント800で示されるように、ポイント404及び406(図4を比較のこと)間のギャップ402を取り除く。ニードルガード216は後退し、しかし用量ボタンはまだ十分に押し下げられていないこのポイントで、薬用モジュール200はまだ用量をカウントしていない。使用者はニードルガード216を伸長位置に戻すことが可能で、そして薬用モジュール200部材は図4に示すように戻り得る。ニードルガード216が後退しそして用量ボタン113は押し下げられていないとき、ロッキングカラー222はロッキング状態に動くほど十分に回転せず、その結果として機構は再度使用されるまでそのロック解除の開始位置に戻る。
【0060】
図9は、ニードルガード216が後退位置にある場合の実施態様の透視断面図を図示し、そして図10はリザーバ302の拡大図を図示する。図10に示すように、ニードルガード216の動きは針208がリザーバ302を穿孔するようにさせる。従って、針208、210はリザーバ302と流体連通している。更に、図10に示すように、針208及び210はもはやバイパスチャンネル702と流体連通していない。
【0061】
図11は、ニードルガード216が後退位置にあり、そしてプッシュロッド400が押し下げられた場合の実施態様の透視図を図示する。両方のニードルガード216は軸方向に動いて用量が送達されている(用量ボタン113が完全に押し下げられている)ことから、これは用量をカウントし、その結果として薬用モジュール200をロックアウトさせる。これは、(i)プッシュロッド400とスリーブ220、及び(ii)ロッキングカラー222とスリーブ220との相互作用を通して起こる。上記のように、投薬中、使用者はニードルガード216を第1の軸方向802に後退させる。この後退は、ロッキングカラー222及びスリーブ220が方向802に軸方向に動くようにさせる。用量ボタン113押し下げの終わりに使用者が用量ボタン113を押し下げると、用量ボタン113はプッシュロッドを第2の軸方向804に下方に押す。第2の方向804は実質的に第1の方向802と反対である。プッシュロッド400はスリーブ200を方向802に押す。
【0062】
スリーブ220が方向804へ押されると、スリーブ220はロッキングカラー222と相互作用し、そしてロッキングカラー222が方向808に回転するようにさせる(ロッキングカラー222はニードルガード216に取り付けられた機構に軸方向に制約される)。これは傾斜機能221及び223の相互作用に因り実現される。描述されたように、傾斜機能221、223はほぼ45度の傾斜を有してよい。しかしながら、当然のこととして、傾斜機能221、223は、少なくとも2つの機能が相互作用しロッキングカラー222を回転させ得る限りは、異なる角度の傾斜を有してよい。例えば、傾斜機能221は30度の傾斜を有してよく、傾斜機能223は30度の傾斜を有してよい。他の角度も同様に可能である。用量ボタン113を押し下げる必要があり、そしてニードルガード216をロッキングカラー222が軸方向に上方へ動くように後退させ、そして次にロッキング機能を係合させ始めるのに十分に回転させる必要があるという理由で、送達した用量をカウントするのは、プッシュロッド400及びニードルガード216からのこの組み合わせ軸方向運動及びロッキングカラー222のその後の回転運動である。
【0063】
送達されたこの用量をカウンティング後、薬用モジュール200薬物送達の部材は、それが伸長位置に戻った後に、ニードルガード216をロックアウトするように設計される。図12は薬用モジュール200がロックアウトされる直前の薬用モジュール200の透視図であり、そして図13はニードルガード216がロックアウトされる場合の図4の実施態様の透視図である。
【0064】
具体的に、ニードルガード216がばね224の力の下に伸びるにつれて、ロッキングカラー222はばね226の力の下に方向804に軸方向に動く。用量がデバイス100によってカウントされるとロッキングカラー222が回転したという事実に因り、傾斜機能410は傾斜機能412の上方に位置する。図12に見られように、これらの傾斜機能410、412は互いに隣接し、そして図13に見られるように、傾斜機能412はロッキングカラー222を方向806に周囲に回転するようにさせる。ニードルガード216でロッキングカラー222をロッキング機能414と係合させるのはこの最後の回転運動である。
【0065】
図14〜15は、本開示の実施態様に従ってニードルガード216がロッキングアウトされるときに、ロッキングカラー222及びニードルガード216を示すロッキングカラー222及びニードルガード216の近位端の詳細な透視図である。図14は、ニードルガード216が伸長位置にあるときの、しかしロッキングカラー222が適切にニードルガード216をロックするように回転する直前の、ロッキングカラー222及びニードルガード216を示す。図15は同じ機能を示すがしかし、ロッキング機能416はロッキング機能構414にロックすると、ロック位置へと回転したロッキングカラー222を備える。ロッキング機能「416は好ましくはロッキングカラー222からの突出部である。図14〜15に描出するように、この突出部は長方形であってよい。しかしながら、他の形状も同様に可能である。ロッキング機能414は好ましくはロッキング機能416が落ち込む凹部を含む。
【0066】
ニードルガード216上で傾斜機能412はロクアウトを容易にするのに有用である。ニードルガード216は回転制約されているが、しかし軸方向に動くのは自由である。上記のように、使用中ニードルガード216は軸方向に自由に動くことができる。図4を参照しての上記のように、ニードルガード216は針210の挿入中に後退し、ロッキングカラー222の機構223の傾斜端で作動する傾斜機能の作動に因り、ロッキングカラー222は部分的に回転する。ニードルガード216の解除の際(即ち、ニードルガード216がその残りの伸長状態に後方へ伸びる際)、それは軸方向に動く。同時に、ロッキングカラー222は軸方向に動く。ニードルガード216が十分に伸長位置にあるとき、ロッキングカラー222は軸方向圧縮ばねの力の下で機構412に隣接し始める。ばね226の作動の下に、ロッキングカラー222はニードルガード216で機構412の傾斜機能に対して作動する(これでその最も伸長位置にある)。この作動はロッキングカラー222の最終の量を回転させる。
【0067】
ニードルガード216が十分に伸びているとき、この最終回転はロッキングカラー222上の機構416を、それがニードルガード216上の三角形ロッキング機能414の進行をブロックするような位置に回転させる。このブロッキングはニードルガード216のいずれの更なる軸方向の動きも防止する。
【0068】
実施態様では、これらの嵌め合い機能414、416はデバイス100の直径周りを2回又はそれ以上の回数を繰り返してよく、有利に更なる安定性を備える。
【0069】
薬用モジュールは、1つの注射後ロックアウトする単回使用デバイスとして上記されている。しかしながら、当然のことながら、実施態様に記載の薬用モジュールは多回注射後にロックアウトする多回使用モジュールとして設計し得る。例えば、薬用モジュールは、送達された3用量をカウントしそして第3の用量が送達された後でロックアウトするように設計され得る。一般的に、システムは、2用量及び4用量間の多数の用量などいずれの事前に定義された回数の用量をカウントするように設計され得る。上述のように、ロックアウト前に事前に定義された多回用量を可能にするために、スリーブ及び/又はロッキングカラーは、ニードルガードが後退しそして伸長する毎にロッキングカラーを既知の距離に徐々に回転させるように設計される更なる歯を有してよい。規定の数の増分(要求用量数)後に、ニードルガードは次いで伸長位置でロックし得る。
【0070】
上記の実施態様のいずれかにおいて、薬用モジュール中の第2の薬剤は、粉末固体状態、リザーバ内に含まれ、又は薬物投与インターフェイスの内面へコーティングされたいずれかの流体状態であってよい。薬剤の高濃度の固形は低濃度を有する液体よりも小容積を占めるという利点を有する。これは順に薬用モジュールの目減りを減少させる。更なる利点は、第2の薬剤の固形が、薬剤の液体形態よりも2次リザーバにおいて密閉するのに場合によってはより簡潔になることである。デバイスは、投与中第1の薬剤によって溶解されている第2の薬剤による好ましい実施態様と同じように使用され得る。
【0071】
上記実施態様の薬用モジュール間の連結又は取り付けは、特定の薬用モジュールが適合する薬物送達デバイスだけに取り付け可能なことを確実にする、コネクタ、止め具、スプライン、リブ、溝、及び類似の設計機構などの、更なる機構(示されず)を含んでよい。当該の更なる機構は、不適合注射デバイスへの不適切な薬用モジュールの挿入を防止し得る。
【0072】
薬用モジュールの形状は、流体リザーバを画成するのに又は2次薬剤の別個の内蔵型リザーバを含むのに、そして1つ又はそれ以上のニードルカニューレを取り付けるのに好適な円筒体又はその他の幾何形状であってよい。薬用モジュールはガラス又は他の薬物接触好適材料から製作することができる。一体型注射針は皮下又は筋肉内注射に好適ないずれのニードルカニューレであってもよい。好ましくは、薬用モジュールは、無菌性を保持するために密閉されている独立型及び分離型デバイスとして製薬業者によって提供される。モジュールの滅菌シールは、薬用モジュールが前進し又は薬物送達デバイスに取り付けられるときに、好ましくは例えば切断し、引き裂き又は剥がすことによって自動的に開くように設計される。
【0073】
本開示の薬用モジュールは、多回使用注射デバイス、好ましくは図1で図示されるものと類似の、ペン型多回用量注射デバイスと連動して作動するように設計され得る。注射デバイスは再使用可能又は使い捨てデバイスであってよい。使い捨てデバイスとは、薬剤を予め充填した製造業者から得られ、そして初回の薬剤を使い切った後に新しい薬剤を再充填することができない注射デバイスを意味する。デバイスは固定用量又は設定可能用量及び好ましくは多回用量デバイスであってよいが、しかしながら、ある場合には単回用量、使い捨てデバイスを使用することが有利となり得る。
【0074】
典型的な薬物送達デバイスは薬剤のカートリッジ又は他のリザーバを含む。このカートリッジは、一般的に管状形であり、通常はガラスで製作される。カートリッジは一端においてゴム栓で、そして他端においてゴム製セプタムによって密閉され得る。注射デバイスは頻回注射剤を送達するように設計され得る。注射デバイスは更に用量設定器を含んでよい;用量設定器はリザーバに操作可能に連結されてよい。注射デバイスは用量ボタンを含む;用量ボタンはリザーバに操作可能に連結されてよい。用量ボタンは、用量設定器によって設定された薬剤の用量を、デバイスの遠位端に向いて遠位に動くようにさせるいずれのトリガー機構であってもよい。好ましい実施態様では、用量ボタンは、リザーバにおいてピストンを係合するスピンドルに操作可能に連結される。更なる実施態様では、スピンドルは2つの異なるねじ山を含む回転可能なピストンロッドである。送達機構は一般的に使用者の手動動作により作動する;しかしながら、注射機構は、ばね、圧縮気体又は電気エネルギーなどの他の手段によっても作動し得る。
【0075】
本発明の代表的な実施態様が記載されている。しかしながら、当業者には当然のことながら、変更又は修正は、特許請求の範囲によって規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなくこれらの実施態様で行われてよい。
【0076】
参照番号
100 薬物送達デバイス
109 連結手段
112 用量設定器
113 用量ボタン
132 デバイスの遠位端
200 薬用モジュール
202 薬用モジュールのハウジング
204 ハウジングの近位端
206 ハウジングの遠位端
208 第1のニードルカニューレ
210 第2のニードルカニューレ
216 ニードルガード組立体
218 軸方向
220 スリーブ/モジュール連結部材
221 スリーブの傾斜機能
222 ロッキングカラー/回転部材
223 ロッキングカラーの傾斜機能
224 第1のばね/ニードルガードのばね
226 第2のばね/ロッキングカラーのばね
300 第2の薬剤
302 薬用モジュールのリザーバ
304 中心コア
306 ニードルガード組立体の近位端
400 プッシュロッド/デバイス連結部材
402 ギャップ
404、 406 ポイント
410 ロッキングカラーの傾斜機能410
412 ハウジングの傾斜機能
414 ニードルガード上のロッキング機能
416 ロッキングカラー上のロッキング機能
450 軸に下向きの方向
702 バイパスチャンネル
800 ポイント
802 ニードルガードが後退する方向/第1の軸方向
804 第2の軸方向
806 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15