(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5813594
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】制御棒駆動機構
(51)【国際特許分類】
G21C 7/12 20060101AFI20151029BHJP
G21C 7/14 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
G21C7/12 A
G21C7/14 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-168570(P2012-168570)
(22)【出願日】2012年7月30日
(65)【公開番号】特開2014-25891(P2014-25891A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】久 野 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】川 越 和 浩
(72)【発明者】
【氏名】徳 山 龍 俊
(72)【発明者】
【氏名】石 里 新 一
(72)【発明者】
【氏名】諏訪薗 司
(72)【発明者】
【氏名】青 木 裕 司
【審査官】
青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−190659(JP,A)
【文献】
特開平10−274688(JP,A)
【文献】
特開平10−010264(JP,A)
【文献】
特開平06−294882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 7/12
G21C 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御棒を駆動する制御棒駆動機構本体の少なくとも一部が収納された制御棒駆動機構ハウジングと、
前記制御棒駆動機構ハウジングに対して締結されたスプールピースと、
前記スプールピースにブラケットを介して取り付けられ、前記制御棒を駆動する動力を提供する電動機ユニットと、
を備える制御棒駆動機構であって、
前記ブラケットに取り付けられ、前記スプールピースの外周を覆うように設けられた保護カバーをさらに備え、
前記保護カバー又は前記ブラケットに、前記保護カバーと前記スプールピースとの隙間と外部とを連結する開口部が形成されていることを特徴とする制御棒駆動機構。
【請求項2】
前記スプールピースと前記ブラケットとの間に設置されたガスケットをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の制御棒駆動機構。
【請求項3】
前記保護カバーにおける前記ブラケットと接触する円環状の端面、又は前記ブラケットにおける前記保護カバーと接触する円環状の端面に、この円環状に形成された領域の中心から前記開口部に向かって下降する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御棒駆動機構。
【請求項4】
前記開口部は前記保護カバーに形成され、
前記保護カバーと前記ブラケットとの間に嵌め込まれ、前記保護カバーの下面に形成された円環状の領域の中心から前記開口部に向かって下降する傾斜面を前記保護カバーと接触する面に有するリングをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御棒駆動機構。
【請求項5】
前記ブラケットにおける前記保護カバーと接触する端面に、前記開口部と連結する溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御棒駆動機構。
【請求項6】
前記溝は、前記ブラケットの中心に対して同心円状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の制御棒駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、制御棒駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の沸騰水型原子炉(以下、BWRと記す)について、その縦断面構造を示した
図5を用いて説明する。
【0003】
原子炉圧力容器(以下、RPVと記す)1内には、減速材を兼ねる冷却水2が収容される一方で、中央下部には炉心3が配置されており、炉心シュラウド4によって囲まれている。
【0004】
炉心3には、図示されていない多数の燃料集合体が装荷されており、4体1組の燃料集合体間に制御棒5が出し入れ自在に収容されている。
【0005】
このようなBWRにおいて、冷却水2が炉心3内を上方に向かって流れ、その間に炉心3から核分裂連鎖反応により発生する熱が冷却水2に伝達し、冷却水2が加熱される。加熱された冷却水2は、水と蒸気の気液二相流となって炉心3上方へ移動し、炉心3から気水分離器6に案内される。
【0006】
気液二相流となった冷却水2は、気水分離器6で水と蒸気に分離された後、蒸気は図示されていない蒸気乾燥器を経て主蒸気配管から蒸気タービン系に送られて蒸気タービンを駆動する。
【0007】
蒸気タービン系で仕事をした蒸気は、図示されていない復水器で凝縮され復水となった後、原子炉復水系および給水系を経てRPV1に給水として再び戻される。
【0008】
一方、気水分離器6で分離された水は、ダウンカマ部7を流下し、原子炉復水系および給水系を経て送られてきた給水と混合した状態で炉心下部に案内され、再び炉心3に導かれる。
【0009】
また、RPV1の炉心3には、原子炉の起動・停止や炉出力調整のため、制御棒5が制御棒駆動機構(以下、CRDと記す)8により出し入れされる。
【0010】
CRD8は、RPV1の底部1aを貫通して延在しCRDハウジング9内に収容される構造物であり、CRDハウジング9の下部フランジ9aにボルト接合により固定される。
【0011】
従来の電動駆動式CRDが以下の特許文献1に開示されており、
図6に示されるような構造を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−132977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図6に示された電動駆動式CRDは、下部にスプールピース60および電動機ユニット10が取り付けられている。電動機ユニット10の延長軸11が、ギアカップリング機構12を介してアウタマグネットカップリング67に連結されている。
【0014】
インナマグネットカップリング68が、図示されていないキーにより駆動軸13と一体に回転する。駆動軸13がボールねじ軸14に連結され、このボールねじ軸14にはボールナット15が螺合している。
【0015】
ボールナット15には、対をなすローラ16がガイドチューブ17の内周面に形成された軸方向の取付板18を挟持するように設置されている。ボールナット15の上方には、ドライブピストン19aが設置されており、このドライブピストン19aは中空ピストン19上端に設置されたカップリング20を介して制御棒5に連結されている。
【0016】
そして、電動機ユニット10の駆動により、延長軸11および駆動軸13を介してボールねじ軸14が回転する。このボールねじ軸14の回転により、ボールナット15が上下動する。
【0017】
その際に、ボールナット15は取付板18により回転が規制されて上下動する。このボールナット15の上下動により、中空ピストン19を介して制御棒5が上下動する。この制御棒5の上下動により、炉心3への挿入・引抜量が調整されて、炉出力が制御される。
【0018】
ここで、BWRに緊急事態が発生して原子炉を緊急停止、いわゆるスクラムさせる場合、CRDハウジング9の下部フランジ9aに接続されたスクラム挿入配管25から、注水口としてのスクラム水入口サポート26を介して、ドライブピストン19aの下面側に高圧駆動水が供給される。この高圧駆動水の供給により、ボールナット15上に設置されている中空ピストン19が上方に押上げられ、制御棒5を炉心3内に高速で挿入させることで当該機能を達成する。
【0019】
スクラム動作時の制御棒5の挿入量を検出するために、ドライブピストン19aにマグネット62が取り付けられると共に、CRDハウジング9の外側に、図示されていない近接センサが配設されたスクラム位置検出プローブ(以下、PIPと記す)65が設けられている。中空ピストン19の移動に伴うマグネット62の移動が、PIP65に配設された近接センサ内の図示されていないリードスイッチの開閉状況により検出される。これにより、マグネット62の移動速度、即ち制御棒5の移動速度が検出される。
【0020】
また、CRD8には制御棒5が炉心3にスティックし、中空ピストン19がボールナット15から分離した場合に、この分離状態を検出する分離検出プローブ(以下、SIPと記す)66が設けられている。
【0021】
中空ピストン19がボールナット15から分離すると、制御棒5の重量が駆動部より除荷される。このため、分離マグネット63がスプリング64の力により持ち上がる。この時の分離マグネット63の動きが、SIP66内のリードスイッチの開閉状況により検知される。
【0022】
スプールピース60の外周には、PIP65およびSIP66を近接機器のケーブル等との接触から保護するため、
図7に示されたように、保護カバー69が設けられている。この保護カバー69は、
図7における点線Xで囲まれた部分を拡大する
図8に示されたように、モータブラケット23の外周面にねじ70によって固定されている。
【0023】
CRD8をRPV1から取り外す際は、PIP65およびSIP66を取り外した後、電動機ユニット10、スプールピース60、CRD本体8a、CRDハウジング9の順に取り外す。なお、CRD本体8aは、その少なくとも一部がCRDハウジング9に収納されている。さらにメンテナンス性の向上のため、CRD本体8aにおける消耗部品が集合した部位がスプールピース60に収納されている。CRDハウジング9とスプールピース60とは、CRD本体8aの一部分を間に介在させて相互にボルトにより連結されている。
【0024】
しかし、上述したような従来の制御棒駆動機構では、スプールピースおよびCRD本体を取り外す際に、炉水流出を低減させる構造となってはいるものの、飛散した炉水が近接するCRDの保護カバー内側に入る場合がある。この炉水が長時間滞留した場合には、スプールピース下部、電動機ユニット等に水が浸入する。これにより、電動機や回転制御系等の内部の電気部品、電子部品が発錆等により故障するおそれがあった。
【0025】
本発明は上記事情に鑑み、保護カバー内側に入った炉水を速やかに排出することで、電動機等の内部部品の発錆等による故障を防止することが可能な制御棒駆動機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の実施の形態による制御棒駆動機構によれば、
制御棒を駆動する制御棒駆動機構本体の少なくとも一部が収納された制御棒駆動機構ハウジングと、
前記制御棒駆動機構ハウジングに対して締結されたスプールピースと、
前記スプールピースにブラケットを介して取り付けられ、前記制御棒を駆動する動力を提供する電動機ユニットと、
を備える制御棒駆動機構であって、
前記ブラケットに取り付けられ、前記スプールピースの外周を覆うように設けられた保護カバーをさらに備え、
前記保護カバー又は前記ブラケットに、前記保護カバーと前記スプールピースとの隙間と外部とを連結する開口部が形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施の形態1による制御棒駆動機構の構成を示す左側面図、縦断面図及び下面図である。
【
図2】本発明の実施の形態2による制御棒駆動機構の構成を示す平面図、左側面図及び縦断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態3による制御棒駆動機構の構成を示す左側面図、縦断面図及び下面図である。
【
図4】本発明の実施の形態4による制御棒駆動機構の構成を示す平面図、左側面図及び縦断面図である。
【
図5】従来の沸騰水型原子炉の概略構成を示す縦断面図である。
【
図6】従来の沸騰水型原子炉における制御棒駆動機構の構成を示す縦断面図である。
【
図7】従来の沸騰水型原子炉における制御棒駆動機構で用いられていた保護カバーを示す縦断面図である。
【
図8】
図7の部分Xを拡大して示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態による制御棒駆動機構の構成について、図面を用いて説明する。
【0029】
(1)実施の形態1
本発明の実施の形態1による制御棒駆動機構について、保護カバーがモータブラケットに取り付けられた状態における保護カバー、モータブラケット周辺の構成を示した
図1を用いて説明する。なお、
図1に示された電動ユニット10、スプールピース60、並びに図示されていないCRD本体8a、CRDハウジング9等に関する構成は、
図6を用いて説明した制御棒駆動機構と同様のものであり、説明を省略する。ここで用いられている保護カバー169a、モータブラケット123aが、
図7〜
図8における保護カバー69、モータブラケット23と相違する構成を備える。
【0030】
図1(a)に保護カバー169aおよびモータブラケット123aの左側面、
図1(b)に保護カバー169aおよびモータブラケット123aの縦断面構造、
図1(c)に保護カバー169aの下面をそれぞれ示す。
図1(b)は、
図1(c)におけるA−A線に沿う縦断面図に相当する。
【0031】
本実施の形態1における保護カバー169aには、
図1(c)に示されたように、中心に対して90度ずつの角度間隔で点対称に4つの開口部71が、モータブラケット123aの上面と接触する下面においてスリット状に形成されている。
【0032】
また、保護カバー169aの下面と接触するモータブラケット123aの上面における円環状の領域には、中心から外縁に向かって下降する傾斜面72が形成されている。
【0033】
このような構成を備えたことにより、保護カバー169aの内部、即ち保護カバー169aとスプールピース60との隙間に炉水が入った場合、モータブラケット123aの傾斜面72を伝わって保護カバー169aの開口部71へ導水され、開口部71から外部へ排水される。
【0034】
これにより、本実施の形態1によれば保護カバー169a内に入った炉水を速やかに排出することで、モータブラケット123の下部に配置された電動機ユニット10等の内部部品の発錆等による故障を防止することができる。
【0035】
なお、本実施の形態1では、保護カバー169aにスリット状の開口部71が中心に対して90度の角度間隔で4箇所形成されている。しかし、開口部71の数や相対的な位置関係、その形状等は限定されず、様々に変形することができる。
【0036】
(2)実施の形態2
本発明の実施の形態2による制御棒駆動機構について、その構成を示した
図2を用いて説明する。なお、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
図2(a)にモータブラケット123bの平面、
図2(b)に保護カバー169bおよびモータブラケット123bの左側面、
図2(c)に保護カバー169bおよびモータブラケット123bの縦断面構造をそれぞれ示す。
図2(c)は、
図2(a)におけるB−B線に沿う縦断面図に相当する。
【0038】
上記実施の形態1では、保護カバー169aに開口部71が形成されている。これに対し本実施の形態2では、スリット状の開口部71がモータブラケット123bの上面における端部に、中心に対して90度の角度間隔で点対称に4箇所形成されている。また、保護カバー169bの下面と接触するモータブラケット123bの上面における円環状の領域には、中心から外縁に向かって下降する傾斜面72が形成されている。
【0039】
さらに、スプールピース60の下面とモータブラケット123bの上面との間に、ガスケット75が設置されている。このガスケット75は円環状の形状を有し、例えばエチレンプロピレンゴム等から成っている。
【0040】
このような構成を備えたことにより、本実施の形態2によれば、保護カバー169bの内部、即ち保護カバー169bとスプールピース60との隙間に炉水が入った場合、モータブラケット123bの傾斜面72を伝わってモータブラケット123bの開口部71へ導水され、開口部71から外部へ排水される。また、ガスケット75が設置されたことにより、スプールピース60内部への水の浸入が防止される。
【0041】
これにより、本実施の形態2によれば保護カバー169b内に入った炉水を速やかに排出することで、モータブラケット123の下部に配置された電動機ユニット10等の内部部品の発錆等による故障を防止することができる。
【0042】
本実施の形態2では、モータブラケット123bにスリット状の開口部71が中心に対して90度の角度間隔で4箇所形成されている。しかし、開口部71の数や相対的な位置関係、その形状等は限定されず、様々に変形することができる。
【0043】
また、本実施の形態2においてスプールピース60の下面とモータブラケット123bの上面との間に設置されたガスケット75を、上記実施の形態1において同様に設置してもよい。
【0044】
(3)実施の形態3
本発明の実施の形態3による制御棒駆動機構について、その構成を示した
図3を用いて説明する。なお、上記実施の形態1、2と同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0045】
図3(a)に保護カバー169cおよびモータブラケット123cの左側面、
図3(b)に保護カバー169cおよびモータブラケット123cの縦断面構造、
図3(c)に保護カバー169cの下面をそれぞれ示す。
図3(b)は、
図3(c)におけるC−C線に沿う縦断面図に相当する。
【0046】
本実施の形態3では、上記実施の形態1と同様に保護カバー169cにおけるモータブラケット123cの上面と接触する下面において、中心に対して90度ずつの角度で対称に4つのスリット状の開口部71が点対称に形成されている。
【0047】
また、上記実施の形態1ではモータブラケット123aの上面に傾斜面72が形成されているが、本実施の形態3では保護カバー169cの下面とモータブラケット123cとの間にリング73が設けられている。このリング73は、保護カバー169cの下面における円環状の領域に、中心から外縁に向かって下降する傾斜面を有する。リング73の材質は限定されないが、例えばモータブラケット123cがステンレスから成る場合、リング73も同様にステンレスで形成してもよい。
【0048】
このような構成を備えた本実施の形態3によれば、保護カバー169cの内部、即ち保護カバー169cとスプールピース60との隙間に炉水が入った場合に、リング73の傾斜面72を伝わって保護カバー169cの開口部71へ導水され、開口部71から外部へ排水される。
【0049】
これにより、保護カバー169c内に入った炉水を速やかに排出することで、モータブラケット123の下部に配置された電動機ユニット10の内部部品の発錆等による故障を防止することができる。
【0050】
本実施の形態3では、保護カバー169cにスリット状の開口部71が中心に対して90度の角度間隔で4箇所形成されているが、開口部71の数や相対的な位置関係、その形状等は限定されず、様々に変形することができる。
【0051】
また、上記実施の形態2においてスプールピース60の下面とモータブラケット123bの上面との間に設置されたガスケット75を、本実施の形態3においても同様に設置することができる。
【0052】
(4)実施の形態4
本発明の実施の形態4による制御棒駆動機構について、その構成を示した
図4を用いて説明する。なお、上記実施の形態1〜3と同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0053】
図4(a)にモータブラケット123dの平面、
図4(b)に保護カバー169dおよびモータブラケット123dの左側面、
図4(c)に保護カバー169dおよびモータブラケット123dの縦断面構造をそれぞれ示す。
図4(c)は、
図4(a)におけるD−D線に沿う縦断面図に相当する。
【0054】
本実施の形態4では、
図4(b)、(c)に示されたように、モータブラケット123dの外周部において中心から90度間隔で4つのスリット状の開口部71が点対称に形成されている。さらに、
図4(a)に示されたように、モータブラケット123dの上面において、中心に対して同心円状に円環状の溝74が形成され、この溝74と4つの開口部71とが連結されている。
【0055】
本実施の形態4によれば、保護カバー169dの内部、即ち保護カバー169dとスプールピース60との隙間に炉水が入った場合に、モータブラケット123dの上面における溝74から開口部71へ導水され、開口部71から外部へ排水される。
【0056】
これにより、保護カバー169d内に入った炉水を速やかに排出することで、モータブラケット123dの下部に配置された電動機ユニット10の内部部品の発錆等による故障を防止することができる。
【0057】
なお、本実施の形態4ではモータブラケット123dの上面にスリット状の開口部71が中心に対して90度の角度間隔で4箇所形成されているが、開口部71の数や相対的な位置関係、その形状等は限定されず、様々に変形することができる。また、モータブラケット123dの上面に円環状に1つの溝74が形成されているが、同心円状の溝が複数形成され、それぞれが連結された構成でもよく、その形状や数は任意に設定することができる。
【0058】
また、上記実施の形態2においてスプールピース60の下面とモータブラケット123bの上面との間に設置されたガスケット75を、本実施の形態4においても同様に設置してよい。
【0059】
本発明の幾つかの実施の形態について説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の技術的範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の技術的範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 原子炉圧力容器
8 CRD
8a CRD本体
9 CRDハウジング
10 電動機ユニット
60 スプールピース
71 開口部
72 傾斜面
73 リング
74 溝
75 ガスケット
123a、123b、123c、123d モータブラケット
169a、169b、169c、169d 保護カバー