特許第5814510号(P5814510)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5814510インバーターコンデンサモジュールの回路構成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5814510
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】インバーターコンデンサモジュールの回路構成方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20151029BHJP
   H02M 1/12 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   H02M7/48 M
   H02M1/12
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-26432(P2010-26432)
(22)【出願日】2010年2月9日
(65)【公開番号】特開2011-91988(P2011-91988A)
(43)【公開日】2011年5月6日
【審査請求日】2013年1月10日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0101514
(32)【優先日】2009年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 正 允
(72)【発明者】
【氏名】申 東 敏
(72)【発明者】
【氏名】全 禹 勇
(72)【発明者】
【氏名】ユ 仁 弼
(72)【発明者】
【氏名】張 基 永
(72)【発明者】
【氏名】申 相 哲
(72)【発明者】
【氏名】鄭 鎭 煥
(72)【発明者】
【氏名】朱 正 弘
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−252972(JP,A)
【文献】 特開2008−096391(JP,A)
【文献】 特開2006−287335(JP,A)
【文献】 特開平11−235016(JP,A)
【文献】 特開2002−078352(JP,A)
【文献】 特開2001−045767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0247770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の駆動モータを駆動させるためのインバーターでスイッチングノイズを抑制するためのYコンデンサを含むコンデンサモジュールの回路構成方法において、
a)前記Yコンデンサの容量を予備選定してコンデンサモジュールを構成した後、Yコンデンサで実際の電圧または電流波形を測定する段階と、
b)前記電圧波形または電流波形を周波数帯域によってフィルタリングして独立した細部周波数成分を抽出及び分離した後、分離された各周波数成分別にインピーダンスとしての抵抗及びインダクター予備選定された前記Yコンデンサが並列に組み合わされ、これと直列にダンピングインピーダンス抵抗が接続された等価回路を構成する段階と、
c)前記並列の等価回路で前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を段階的に変更しながら、各変更過程で得られるシミュレーション波形を実際に測定された前記電圧波形または電流波形と比較して前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を選定する段階と、
d)前記段階cで選定された前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を使用し、前記Yコンデンサの値を変化させながらシミュレーションを行ない、ノイズを低減させる前記Yコンデンサの値を求めると共に、さらに前記ダンピングインピーダンス抵抗を調整する段階と、
e)コンデンサモジュールの最終的な並列のインピーダンス等価回路が完成すると、前記段階dで選定された容量の前記Yコンデンサと調整された前記ダンピングインピーダンス抵抗を使用して実際のコンデンサモジュールを構成する段階と、
を含むことを特徴とするインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法。
【請求項2】
前記b)段階で、特定周波数帯域の成分のみを通過させる帯域通過フィルターを利用して周波数成分別に抽出及び分離することを特徴とする請求項1記載のインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法。
【請求項3】
前記c)段階で、前記シミュレーション波形は素子の値が変更された各可変段階で並列の等価回路から得ることができる電圧波形または電流波形であり、実際に測定された電圧波形または電流波形と同一のシミュレーション波形が得られた等価回路上の素子値が選定されることを特徴とする請求項1記載のインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法に係り、更に詳しくは、電気自動車の駆動モータを駆動させるためのインバーターにおけるインピーダンス整合法を利用したインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両は互いに異なる2種以上の動力源を効率的に組み合わせて車両を駆動させるもので、殆どの場合は、燃料(ガソリンなどの化石燃料)を燃焼させて回転力を得るエンジン(内燃機関)とバッテリー電力で回転力を得る電気モータにより駆動する車両を意味し、これを通常ハイブリッド電気車両(HEV)と呼んでいる。
【0003】
ハイブリッド車両は電気モータ(駆動モータ)の動力のみを利用するEVモード、エンジンの回転力を主動力としながら、駆動モータの回転力を補助動力として利用するHEVモード、車両の制動もしくは慣性による走行時、制動及び慣性エネルギーを駆動モータの発電を通して回収してバッテリーに充電する回生制動(RB)モードなどで走行する。
【0004】
ハイブリッド車両で駆動モータを駆動するためには、車両運行中に充放電を反復しながら駆動モータの駆動に必要な電力を供給するためのバッテリー(高電圧バッテリー)と、バッテリーの電力にて駆動モータを回転させるためのインバーターを具備している。
バッテリーは必要電力を供給しながら回生制動時には駆動モータにより生成された電力の供給を受けて充電され、インバーターはバッテリーから供給される電源を相変換させて駆動モータを駆動させる。
特に、インバーターは駆動モータの駆動及びバッテリーの充電のための電力変換装置として、バッテリーの電力を変換して動力補助のためのモータ駆動を行い、回生制動時に電力を変換してバッテリーに充電させる機能を果たす。
【0005】
図1は通常のハイブリッド車両でバッテリー1、インバーター、駆動モータ2の連結関係を示した概略図である。インバーターは電磁波性能及びバッテリー耐久性能と関係する複数のコンデンサCからなるコンデンサモジュール11、電力変換のためのスイッチング素子(IGBT)Sとダイオード(free wheeling diode、FWD)Dからなるパワーモジュール12、モータトルク及び速度制御のための制御部(図示せず)、そして制御に必要なU相、V相、W相の3相電流を測定するための電流センサー13を含む。
【0006】
一方、最近、電力変換スイッチング素子の技術が発展して阻止のオン、オフスイッチング速度が速くなり、駆動モータと合せてインバーターが固定ブラケットを通して車両シャーシにマウントされるため、インバーターが動作するときはスイッチングノイズが車両全体に拡散しながら車両制御ユニットに悪影響を及ぼし、更には車両ラジオ受信性能まで悪化させるため、ノイズ低減のための多様な方法が研究されている。
【0007】
インバーターで発生するスイッチングノイズはインバーターの固定ブラケットを通して、そして駆動モータを通して車両シャーシに伝達される。
従来のインバーターの電磁波スイッチングノイズの低減技術は、インバーターのコンデンサモジュールでYコンデンサの中性点を車両シャーシに連結してスイッチングノイズを抑制させる方法を利用している。
インバーターにYコンデンサを使用する先行技術として、特開2002−78352号にはコモンモードのノイズを低減するために、Yコンデンサを使用するインバーター装置の保護方法が開示されている。特開2001−45767号にはYコンデンサの交流中性点から変圧器の2次側巻線を介して相殺電流を流して漏洩電流を低減したインバーター装置が開示されている。更に、米国特許第7,561,389号にはYコンデンサを使用してノイズを低減させた電圧出力装置が開示されている。
【0008】
図2はインバーターで平滑コンデンサC3及びYコンデンサC1,C2からなるコンデンサモジュール11を示したもので、スイッチングノイズソースとなるパワーモジュール12も示している。
スイッチングノイズを抑制するためにYコンデンサC1,C2を使用するインバーターにおいて、図2を参照してコンデンサモジュール11の役割について説明する。
【0009】
まず、コンデンサモジュール11は、インバーターのスイッチング時に発生する高電力リップル電流を吸収(differential mode noise suppression)してインバーターDC入力端の急激な電圧、電流変動を抑制する平滑作用を行う。
もう一つはコモンモードのノイズを抑制する役割を行い、その機能はモジュール11内部のYコンデンサ(平滑コンデンサと並列に連結された2個のYコンデンサ)C1,C2が行う。
平滑コンデンサC3が吸収するリップル電流は50Arms以上の高電流であり、平滑コンデンサ内部で自体発熱により消尽される成分であり、車両シャーシとは電気的に絶縁されている。
【0010】
反面、インバータースイッチング時に発生してコンデンサモジュール11内部のYコンデンサC1,C2に流れるスイッチングノイズ成分の電流は1mA以下の極少量であるが、高周波成分を含んでいるため、インバーター及び車両電磁波性能に決定的な影響を及ぼす。通常は、Yコンデンサの容量を変化させたサンプルを製作して電磁波性能が優れた容量値にて仕様を選定している。
しかし、YコンデンサC1,C2の中性点を車両シャーシに連結してスイッチングノイズを抑制させる方法では次のような問題点がある。
【0011】
1)YコンデンサC1,C2の容量選定時、解釈及び予測による容量選定ではない実験的な仕様選定が行われる。従って、仕様選定による人力及び時間の損失が過多であり、サンプル製作費用が過多であるという問題点がある。
2)インバーター動作時、パワーモジュール12で発生するスイッチングノイズが駆動モータ2側にも流出し、駆動モータ2に流出したスイッチングノイズが車両シャーシに伝達されてスイッチングノイズの問題が発生しているが、現在、駆動モータ2側に流出するスイッチングノイズについては対策がないという実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−78352号
【特許文献2】特開2001−45767号
【特許文献3】米国特許第7,561,389号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、駆動モータを駆動させるためのインバーターのコンデンサモジュールを構成する方法において、インバーター動作時にパワーモジュールで発生するスイッチングノイズを効果的に低減することができ、特に、素子の仕様選定のために試験を通した従来の電磁波性能の検証方式が多大のサンプル製作費及び人力などを要する問題を改善できるコンデンサモジュールの回路構成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明によるインバーターコンデンサモジュールの回路構成方法は、電気自動車の駆動モータを駆動させるためのインバーターでスイッチングノイズを抑制するためのYコンデンサを含むコンデンサモジュールの回路構成方法において、a)前記Yコンデンサの容量を予備選定してコンデンサモジュールを構成した後、Yコンデンサで実際の電圧または電流波形を測定する段階と、b)前記電圧波形または電流波形を周波数帯域によってフィルタリングして独立した細部周波数成分を抽出及び分離した後、分離された各周波数成分別にインピーダンスとしての抵抗及びインダクター予備選定された前記Yコンデンサが並列に組み合わされ、これと直列にダンピングインピーダンス抵抗が接続された等価回路を構成する段階と、c)前記並列の等価回路で前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を段階的に変更しながら、各変更過程で得られるシミュレーション波形を実際に測定された前記電圧波形または電流波形と比較して前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を選定する段階と、d)前記段階cで選定された前記抵抗、前記ダンピングインピーダンス抵抗及び前記インダクターの値を使用し、前記Yコンデンサの値を変化させながらシミュレーションを行ない、ノイズを低減させる前記Yコンデンサの値を求めると共に、さらに前記ダンピングインピーダンス抵抗を調整する段階と、e)コンデンサモジュールの最終的な並列のインピーダンス等価回路が完成すると、前記段階dで選定された容量の前記Yコンデンサと調整された前記ダンピングインピーダンス抵抗を使用して実際のコンデンサモジュールを構成する段階と、を含むことを特徴とする。
【0016】
前記b)段階で、特定周波数帯域の成分のみを通過させる帯域通過フィルターを利用して周波数成分別に抽出及び分離することを特徴とする。
【0017】
前記c)段階で、前記シミュレーション波形は素子の値が変形された各可変段階で並列の等価回路から得ることができる電圧波形または電流波形であり、実際に測定された電圧波形または電流波形と同一のシミュレーション波形が得られた等価回路上の素子値が選定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコンデンサモジュールの回路構成方法によると、インバーターの動作時、パワーモジュールで発生するスイッチングノイズを効果的に低減することができ、特に、素子の仕様選定のために試験を通した従来の電磁波性能検証方式が多大のサンプル製作費及び人力などを必要とする問題点を改善することができる効果がある。
更に、電磁波ノイズのソースであるインバータースイッチングノイズに関し、従来はYコンデンサを通して流れる電流、電圧の大きさのみを減少させるという限界があったが、本発明ではノイズ成分の分析を通してダンピングインピーダンスまで解釈して回路構成に反映するため、ノイズの大きさだけでなく周波数の制御まで可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】通常のハイブリッド車両においてバッテリー、インバーター、駆動モータの連結関係を示した概略図である。
図2】平滑コンデンサ及びYコンデンサからなるインバーターのコンデンサモジュールを図示した構成図である。
図3】本発明による回路構成方法を説明するための図面である。
図4】本発明による回路構成方法を表す順序図である。
図5】従来のコンデンサモジュールの構造と本発明によるコンデンサモジュールの構造を比較して表したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について詳しく説明する。
本発明はハイブリッド車両のような環境に優しい電気自動車の駆動モータを駆動させるためのインバーターの回路を構成する方法に係り、詳しくは、インバーターの電磁波ノイズ、即ち、インバーターの動作時にパワーモジュールで発生するスイッチングノイズを抑制するためのYコンデンサを含むコンデンサモジュールの回路を構成する方法に関するものである。
特に、本発明の回路構成方法は、インバーターで発生するスイッチングノイズをより効果的に低減することができるコンデンサモジュール回路を構成することができ、併せて、素子の仕様選定のために試験を通した従来の電磁波性能検証方式において、多大のサンプル製作費及び人力などよ要した問題点を改善することができる方法を提供するものである。
【0021】
このために、本発明の回路構成方法では、スイッチングノイズを低減するためのYコンデンサなどのコンデンサモジュールを構成する素子の容量及び仕様選定時、従来の実験的方式を利用することに伴う問題点、即ち、多大なサンプル製作費及び人力を要する問題点を解決するために、シミュレーション解釈及び予測技法に素子の最適容量の選定が利用され、特に、解釈及び予測過程でスイッチングノイズ(電磁波ノイズ)の低減のためのインピーダンス整合法が利用される。
【0022】
図4は本発明による回路構成方法を示す順序図であり、図5は従来のコンデンサモジュール構造と本発明によるコンデンサモジュール構造を比較して表したものである。
図3はインバーター内のコンデンサモジュール11の構成と合せて、本発明による解釈過程でスイッチングノイズの周波数成分別に求められた等価回路及びダンピングインピーダンスの構成を表している。
【0023】
インバーター動作時、スイッチング素子(IGBT)SとダイオードDの組み合わせからなるパワーモジュール12で発生するスイッチングノイズを低減させるために、YコンデンサC1,C2の中性点を車両シャーシに連結する方式が適用される。本発明でも最終的にはYコンデンサC1,C2の最適容量及び仕様選定を目標とするが、従来の実験を通したYコンデンサの容量及び仕様選定(Yコンデンサの容量を異にして多数のコンデンサモジュールサンプルの製作及び実験を通して選定)方式ではない、シミュレーションを通した解釈及び予測の方法を通して所要費用及び人力を減らすと同時に、更に簡便にYコンデンサの容量及び仕様を選定する。
【0024】
更に、本発明では、YコンデンサC1,C2の容量(コンデンサ値)だけでなくダンピングインピーダンスまで解釈及びシミュレーションをして、YコンデンサC1,C2の容量の選定と合せて、必要時、ダンピング抵抗R及びインダクターLなどを組み合わせたダンピングインピーダンス回路(図5で‘Z’で示す)を追加するが、シミュレーションを通して選定されたYコンデンサの容量を考慮して最適なダンピングインピーダンス回路Zを構成する。
即ち、選定されたコンデンサ値(コンデンサC1,C2値)を考慮してダンピング抵抗とインダクターのうち必要な素子を組み合わせたダンピングインピーダンス回路Zを追加し、このとき抵抗とインダクター素子値、即ち、抵抗値及びインダクタンスはシミュレーション過程でYコンデンサC1,C2の容量と共に選定される。
【0025】
インバーター動作時、パワーモジュール12で発生したスイッチングノイズがコンデンサモジュール11のYコンデンサC1,C2を通して車両シャーシに拡散するとき、前記Yコンデンサにスイッチング電流が微小であるが流れるが、この電流には高調波周波数ノイズが重畳されている。
従って、高調波周波数ノイズが重畳されることを考慮して、本発明ではYコンデンサで実測された電流または電圧波形に対して独立的な細部周波数成分を抽出した後、そこから並列の等価回路を構成するが、この価値でダンピング抵抗成分を回路に更に反映及び可変してスイッチングノイズ電流が最小化され得るダンピング抵抗値を探し出す。
【0026】
以下に、このような本発明の過程を図3及び図4を参照して段階別に説明する。
まず、[Step1]では、YコンデンサC1,C2の容量を予備選定して図3に示したコンデンサモジュール11を構成した後、予備選定されたYコンデンサC1,C2で実際の電圧または電流波形を測定する。このとき、コンデンサ値を可変させない固定されたYコンデンサC1,C2の仕様で実際の電圧の波形または電流の波形を測定したり、電圧及び電流の実際の波形全てを測定して使用することができる。
【0027】
次に、[Step2]では、実測された電圧、電流波形に対して周波数成分別に抽出及び分離する過程を実施する。このとき、周波数のフィルタリング及び共振周波数の分析が実施されるが、実測された電圧、電流波形を周波数帯域によってフィルタリングし独立した細部周波数成分を抽出及び分離する。このために、特定周波数帯域の成分のみを通過させるフィルター、例えば、FFT(fast fourier transform)帯域通過(band−pass)フィルターを利用して周波数成分別に抽出及び分離することが可能である。
図4には実測された電流測定波形から抽出及び分離された細部周波数成分であるfc1、fc2、fc3の例を示した。前記のように周波数成分別の分離が行われれば、図3に示すように、分離された各周波数成分別に抵抗R1,R2,R3、インダクターL1,L2,L3、コンデンサC1,C2,C3、ダンピングインピーダンス抵抗Rdが組み合わされた並列の等価回路が構成される。
【0028】
次に、[Step3]では、ダンピングインピーダンスの解釈及びシミュレーションを進行する。[Step2]で構成された並列の等価回路上で各素子の値、即ち、抵抗値R1,R2,R3,Rd値とインダクタンスL1,L2,L3値を変更する方式によりインピーダンスを変化させながらシミュレーションをするが、各変化段階で得られたシミュレーション波形を[Step1]で得た実測電圧波形または電流波形と比較して、各素子の最適仕様を選定する。
【0029】
このとき、シミュレーション波形は、シミュレーション時に特定の抵抗値とインダクタンスとして選定された素子(R1〜R3,Rd,L1〜L3)の並列等価回路から得ることができる電圧波形または電流波形である。このようなシミュレーション波形を実測波形と比較するが、等価回路上の素子値(抵抗値及びインダクタンス値)を変化させながら段階的に比較して、実測波形と最大限同一のシミュレーション波形を最終的に獲得し、最終のシミュレーション波形が得られた等価回路上の素子値を最終的に選定する。
そして、[Step4]で最終選定された素子値が反映されたコンデンサモジュールの等価回路が完成される。
【0030】
前述した[Step3]と[Step4]の過程で、実測波形と最大限同一のシミュレーション波形を得るために、前述したとおり、シミュレーション回路(並列等価回路)上の抵抗値またはインダクタンス値を変更して最終の等価回路を完成する。このときYコンデンサC1,C2の容量(コンデンサC1,C2値)もやはり変化させてシミュレーションすることができる。
結局、[Step3]と[Step4]の過程を通して最終の等価回路が完成すると、これを基にして実際のコンデンサモジュールの単品が製作される。
【0031】
前述した本発明の過程において、[Step1]段階で構成された実際のコンデンサモジュール11のYコンデンサの容量値、即ち、C1、C2のコンデンサ値は設計者が既に分かっている値であり、分かっていない値はコンデンサモジュールシステムのインピーダンス値、即ち、抵抗値とインピーダンス値である。
この分かっていない値を探し出すために実際の電圧、電流波形を測定し、シミュレーション回路(並列等価回路)を構成した後、シミュレーション回路上の抵抗値とインピーダンス値を調整して、実際の波形と最大限同一のシミュレーション波形を得ることができるシミュレーション回路内の素子値を選定する。
【0032】
前記のように実際のシステムを模写したシミュレーション回路の構成が完成すると、シミュレーション過程でインピーダンスを反映して選定されたYコンデンサの容量を使用して実際のコンデンサモジュールの単品を製作する。設計者はノイズの最小化及び電磁波性能の改善のために解釈及び予測シミュレーションを通して選定された素子値の抵抗、インダクターを組み合わせて構成したダンピングインピーダンス回路Zを追加することで、実際のコンデンサモジュール単品を製作する。
【0033】
前記シミュレーション過程で、YコンデンサC1,C2の容量(コンデンサC1,C2値)が変形されて最終のコンデンサ仕様が選定されると、変形された容量のYコンデンサC1,C2を使用してコンデンサモジュール11が製作されるが、ダンピングインピーダンス回路Zを構成する抵抗、インダクターの場合、YコンデンサC1,C2の選定された容量値が考慮された素子値が選定されてダンピングインピーダンス回路が構成される。
このとき、ダンピングインピーダンス回路Zは、抵抗またはインダクターを使用したり、抵抗とインダクターを全て使用して構成される。
【0034】
このように本発明は、コンデンサモジュール11の構成において、試験を通した電磁波性能検証の仕様選定方式ではない、インピーダンス製合法、即ち、実際の測定波形から独立的な細部周波数成分を抽出して並列等価回路を構成した後、並列等価回路のインピーダンスを可変させて実際の測定波形と同一なシミュレーション波形を探し出す方法を利用してコンデンサ及び抵抗、インダクタンス値を選定することに主なる特徴がある。スイッチングノイズの電流が最小化され得るダンピングインピーダンス回路Zが追加されることで、より改善された電磁波性能及びノイズ低減性能を得ることができると同時に、より容易にYコンデンサC1,C2の容量を選定することができる。
【0035】
図5に示す通り、従来の場合、(a)電磁波性能の改善のためのコンデンサモジュール11の構成時にコンデンサC1,C2値のみ選定する水準であるため、スイッチングノイズの大きさのみ減少させるという限界があり、コンデンサC1,C2値の選定時、多数のサンプルを製作して実験的に選定しなければならないため、多大の人力及び製作費を要していた。
本発明の場合、(b)電磁波性能の改善のためのコンデンサモジュール11の構成時、コンデンサC1,C2値だけでなくダンピングインピーダンスまで解釈及びシミュレーションをした後、その結果を基にしてコンデンサモジュール11の内部にダンピングインピーダンス回路Zを挿入、構成する。これを以って、ノイズの大きさを低減させるだけでなく周波数の調節も可能となる。
このようなノイズの大きさ及び周波数の調節は、回路の時定数、即ち、コンデンサモジュール11を構成するYコンデンサC1,C2の容量、そしてダンピングインピーダンス回路Z内の素子(抵抗、インダクターなど)の構成及び配置、各素子の値(抵抗値、インダクタンス)の調整を通して可能となる。
【0036】
このようにハイブリッド車両などの電気自動車における電磁波ノイズのソースであるインバータースイッチングノイズの改善については、従来はYコンデンサを介して流れる電流、電圧の大きさのみ減少させるという限界があったが、本発明ではノイズの大きさだけでなく、ノイズ成分の分析を通して周波数の調節まで可能であるという利点を持つ。
更に、本発明では、素子の選定のためにシミュレーションを通した解釈及び予測技法が適用されるため、多大のサンプルの製作費及び人力を要するような従来の問題点を改善することができる。
【0037】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 バッテリー
2 駆動モータ
11 コンデンサモジュール
12 パワーモジュール









図1
図2
図3
図4
図5