特許第5814725号(P5814725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5814725集光型太陽光発電モジュール及び集光型太陽光発電パネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5814725
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】集光型太陽光発電モジュール及び集光型太陽光発電パネル
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/042 20140101AFI20151029BHJP
【FI】
   H01L31/04 500
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-218863(P2011-218863)
(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公開番号】特開2013-80760(P2013-80760A)
(43)【公開日】2013年5月2日
【審査請求日】2014年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500400216
【氏名又は名称】住友電工プリントサーキット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 孝
(72)【発明者】
【氏名】鳥谷 和正
(72)【発明者】
【氏名】神頃 一寛
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05118361(US,A)
【文献】 特開2011−060857(JP,A)
【文献】 特開昭62−205670(JP,A)
【文献】 特開2010−016251(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/137695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04−31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面を有する器状の筐体と、
前記底面に接して設けられたフレキシブルプリント配線板と、
前記筐体に取り付けられ、太陽光を集光するレンズ要素が複数個並んで形成された1次集光部と、を備えた集光型太陽光発電モジュールであって、前記フレキシブルプリント配線板は、
絶縁性を有する絶縁基材及び導電性のパターンを有し、柔軟性を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板上に、前記レンズ要素の各々と対応して複数個設けられ、相互に前記パターンを介して電気的に接続された発電素子とを備え
前記フレキシブルプリント配線板は、所定の電圧を発生することが可能な複数の発電用配線板と、当該発電用配線板を電気的に相互に接続する接続用配線板とを含む、集光型太陽光発電モジュール。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント配線板は、リボン状の前記フレキシブル基板が前記底面に並べられていることにより、構成されている請求項1記載の集光型太陽光発電モジュール。
【請求項3】
前記接続用配線板は、前記筐体の内側面に設けられている請求項1記載の集光型太陽光発電モジュール。
【請求項4】
底面を有する器状の筐体と、
前記底面に接して設けられたフレキシブルプリント配線板と、
前記筐体に取り付けられ、太陽光を集光するレンズ要素が複数個並んで形成された1次集光部と、を備えた集光型太陽光発電モジュールであって、前記フレキシブルプリント配線板は、
絶縁性を有する絶縁基材及び導電性のパターンを有し、柔軟性を有するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板上に、前記レンズ要素の各々と対応して複数個設けられ、相互に前記パターンを介して電気的に接続された発電素子と、を備え、
前記底面及び前記フレキシブル基板には、位置決め用に、互いに嵌り合う部位が形成されている、集光型太陽光発電モジュール。
【請求項5】
前記フレキシブルプリント配線板は、リボン状の前記フレキシブル基板が前記底面に並べられていることにより、構成されている請求項4記載の集光型太陽光発電モジュール。
【請求項6】
請求項1又は請求項4に記載の集光型太陽光発電モジュールを複数個集合させて成る集光型太陽光発電パネル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を発電素子に集光させて発電する集光型太陽光発電(CPV)に関する。
【背景技術】
【0002】
集光型太陽光発電では、発電効率の高い小型化合物半導体からなる発電素子を太陽電池として、これに、レンズで集光させた太陽光を入射させる構成を基本としている。このような基本構成を複数備える集光型太陽光発電パネルを、常に太陽に向けるように追尾動作させることにより、所望の発電電力を得ることができる。具体的には、例えば、配線付きのセラミック等の絶縁基板に1つの発電素子を実装したものを複数個、集光位置に配置し、電線により各絶縁基板上の発電電力を集電するよう構成される(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Failure Modes of CPV Modules and How to Test for Them"、[online]、2010年2月19日、Emcore Corporation、[平成23年9月29日検索]、インターネット〈URL: http://www1.eere.energy.gov/solar/pdfs/pvrw2010_aeby.pdf#search='emcore Pointfocus Fresnel Lens HCPV System'〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の集光型太陽光発電パネルでは、多数のセラミック等の絶縁基板が必要である。これらの多数の絶縁基板を並べて、かつ、それぞれを電線で接続するとなると、製造工程が多くなり、時間がかかる。その結果、製造コストが高くなって、実用上適切な価格の製品とすることができない。大きな基板を作成すれば製造工程数は減るが、そもそも、太陽光発電パネルは大きな面積が必要であるため、基板も相当大きくしなければならない。しかし、そのような大基板を作ることは製造技術上困難である。
【0005】
以上のように、小基板を多数装着して相互に接続するのは時間がかかり、その一方で、大基板を作るのは製造技術上の困難性がある。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、集光型太陽光発電用の基板に関して、その製造及び装着を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、底面を有する器状の筐体と、前記底面に接して設けられたフレキシブルプリント配線板と、前記筐体に取り付けられ、太陽光を集光するレンズ要素が複数個並んで形成された1次集光部と、を備えた集光型太陽光発電モジュールであって、前記フレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有する絶縁基材及び導電性のパターンを有し、柔軟性を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に、前記レンズ要素の各々と対応して複数個設けられ、相互に前記パターンを介して電気的に接続された発電素子とを備えている。
【0007】
上記のように構成された集光型太陽光発電モジュールにおいては、製作しやすい適当な寸法のフレキシブル基板上に発電素子を設けることによって、集光型太陽光発電の機能を搭載したフレキシブルプリント配線板を、容易に製造することができる。また、フレキシブルプリント配線板は、所望の大きさ(面積)に張り巡らすことができるので、大型な集光型太陽光発電モジュールに好適である。
【0008】
また、フレキシブルプリント配線板は薄く、軽量であるため、集光型太陽光発電モジュール全体も軽量となり、取り扱いが容易になる。しかも、フレキシブルプリント配線板は薄く、柔軟性があるので、筐体の底面へ密着させた取り付けが容易である。さらに、密着と薄さとによって、発電素子その他フレキシブルプリント配線板の熱を、確実に筐体に放熱させることができる。
【0009】
(2)また、上記(1)の集光型太陽光発電モジュールにおいて、フレキシブルプリント配線板は、例えば、リボン状のフレキシブル基板が底面に並べられることにより構成されているものである。
この場合、フレキシブルプリント配線板の面積を必要最小限に抑制しつつ、所望の大きさに張り巡らすことができる。
【0010】
(3)また、上記(1)又は(2)の集光型太陽光発電モジュールにおいて、フレキシブルプリント配線板は、所定の電圧を発生することが可能な複数の発電用配線板と、当該発電用配線板を電気的に相互に接続する接続用配線板とを含むものであってもよい。
この場合、接続用配線板によって、複数の発電用配線板を、相互に、容易に接続することができる。
【0011】
(4)また、上記(3)の集光型太陽光発電モジュールにおいて、発電用配線板は、底面上で直線状に延びる形状又は、底面の中央から端部へ直線状に延びて中央へ戻る形状であってもよい。
この場合、発電用配線板の長さを十分に確保することができるので、所望の電圧を得るべく、発電素子を必要数配置して相互に直列に接続することが容易である。
【0012】
(5)また、上記(1)〜(4)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいて、絶縁基材の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。
この場合、耐電圧性能と、放熱性とを、両立させることができる。すなわち、10μm未満では耐電圧性能が不足する。100μmを超えると、筐体への放熱性が悪くなる。
【0013】
(6)また、上記(1)〜(5)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいて、発電素子が取り付けられる面とは反対側の、絶縁基材の下面に、当該絶縁基材を補強する補強板が設けられていてもよい。
この場合、補強板による補強により、柔軟性を失わせない程度に、フレキシブルプリント配線板に若干の固さを確保し、製造時の取り扱いを容易にすることができるほか、変形防止効果も得られる。また、補強板を例えばアルミニウム製とすることで、筐体の底面への熱伝導性(放熱性)を向上させることができる。
【0014】
(7)また、上記(1)〜(6)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいて、底面及びフレキシブル基板には、位置決め用に、互いに嵌り合う部位が形成されていてもよい
この場合、フレキシブルプリント配線板を筐体の底面に取り付ける際の位置決めが、容易、かつ、確実になる。
【0015】
(8)また、上記(3)の集光型太陽光発電モジュールにおいて、接続用配線板は、筐体の内側面に設けることも可能である。
すなわち、発電素子を有しない接続用配線板は、光の当たりにくい内側面にも取り付けることができる。これにより、筐体の内側面をも有効活用することができる。
【0016】
(9)また、上記(1)〜(8)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいて、筐体は金属製であることが好ましい。
この場合、筐体が良好な熱伝導性を有するので、フレキシブルプリント配線板からの放熱性が特に良い。
(10)また、上記(9)の集光型太陽光発電モジュールにおいて、筐体はアルミニウム製であることが好ましい。
この場合、筐体が軽量であり、集光型太陽光発電モジュール全体としても軽量となる。
【0017】
(11)また、上記(1)〜(8)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいて、筐体は樹脂製であってもよい。
この場合、筐体が特に軽量であり、集光型太陽光発電モジュール全体としても特に軽量となる。なお、樹脂であっても熱伝導性はあるので、一定の放熱性は得られる。特に、高熱伝導性を有する絶縁性フィラー(例えば、アルミナ、シリカ、炭化珪素、酸化マグネシウム等)を添加した樹脂は、熱伝導性に優れ、放熱性が向上するので、好適である。
【0018】
(12)また、上記(1)〜(11)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールにおいては、フレキシブル基板上に設けられ、レンズ要素の各々から入射された太陽光を前記発電素子上に集める2次集光部を設けてもよい。
この場合、2次集光部も、フレキシブルプリント配線板に含めて搭載することができる。
【0019】
(13)また、上記(1)〜(12)のいずれかの集光型太陽光発電モジュールを複数個集合させて、集光型太陽光発電パネルを構成することができる。
この場合、発電パネルとして所望の出力(定格出力)を確保することができる。
【0020】
(14)一方、本発明の集光型太陽光発電モジュール用フレキシブルプリント配線板は、絶縁性を有する絶縁基材及び導電性のパターンを有し、柔軟性を有するフレキシブル基板と、前記フレキシブル基板上に複数個並べて設けられ、相互に前記パターンを介して電気的に接続された発電素子とを備えている。
【0021】
上記のように構成された集光型太陽光発電モジュール用フレキシブルプリント配線板では、製作しやすい適当な寸法のフレキシブル基板上に発電素子及び集光部を設けることによって、集光型太陽光発電の機能を搭載したフレキシブルプリント配線板を、容易に製造することができる。また、フレキシブルプリント配線板は、所望の大きさ(面積)に張り巡らすことができるので、大型な集光型太陽光発電モジュール用の基板として好適である。
なお、フレキシブル基板の絶縁基材としては、例えば、耐熱性に優れたポリイミドが好適である。
【0022】
(15)また、上記(14)の集光型太陽光発電モジュール用フレキシブルプリント配線板においては、フレキシブル基板上に設けられ、入射された太陽光を発電素子上に集める集光部を設けてもよい。
この場合、集光部も、フレキシブルプリント配線板に含めて搭載することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の集合型太陽光発電モジュール及び集合型太陽光発電パネルによれば、集光型太陽光発電用の基板に関して、その製造及び装着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電装置を示す斜視図である。
図2】集光型太陽光発電モジュールを拡大して示す斜視図(一部破断)である。
図3図2におけるIII部の拡大図である。
図4】発電素子が設けられている部位での、集光型太陽光発電モジュールの部分断面の概要を示す図である。
図5】筐体の底面上に張り巡らされたフレキシブルプリント配線板の配置の一例を平面視した図である。
図6】発電用配線板の拡大図である。
図7図6におけるVII部の拡大図である。
図8】フレキシブルプリント配線板の配置の他の例を示す平面図である。
図9】接続用配線板を筐体の内側面に設ける一例を示す平面図である。
図10】接続用配線板を筐体の内側面に設ける他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る集光型太陽光発電装置を示す斜視図である。図において、集光型太陽光発電装置100は、集光型太陽光発電パネル1と、これを背面中央で支持する支柱2と、支柱2を取り付ける架台3とを備えている。集光型太陽光発電パネル1は、例えば、支柱2との接続用の中央部を除く、62個(縦7×横9−1)の集光型太陽光発電モジュール1Mを縦横に集合させて成る。1個の集光型太陽光発電モジュール1Mの定格出力は例えば約100Wであり、集光型太陽光発電パネル1全体としては、約6kWの定格出力となる。架台3は、図示しない回転機構により支柱2を軸として回転することができ、集光型太陽光発電パネル1を常に太陽の方向へ向けるように追尾させることができる。
【0026】
図2は、集光型太陽光発電モジュール(以下、単にモジュールとも言う。)1Mを拡大して示す斜視図(一部破断)である。図において、モジュール1Mは、底面11aを有する器状(バット状)の筐体11と、底面11aに接して設けられたフレキシブルプリント配線板12と、筐体11の鍔部11bに、蓋のように取り付けられた1次集光部13とを、主要な構成要素として備えている。
【0027】
1次集光部13は、フレネルレンズアレイであり、太陽光を集光するレンズ要素としてのフレネルレンズ13fがマトリックス状に複数個(例えば縦16×横12で、192個)並んで形成されている。このような1次集光部13は、例えば、ガラス板を基材として、その裏面(内側)にシリコーン樹脂膜を形成したものとすることができる。フレネルレンズは、この樹脂膜に形成される。筐体11の外面には、モジュール1Mの出力を取り出すためのコネクタ14が設けられている。
【0028】
図3は、図2におけるIII部の拡大図である。図3において、フレキシブルプリント配線板12は、リボン状のフレキシブル基板121と、その上に発電素子(太陽電池)122と、この発電素子122に被せるように設けられた2次集光部123とを備えている。発電素子122及び2次集光部123のセットは、1次集光部13の各フレネルレンズ13fに対応した位置に、同一の個数だけ設けられている。2次集光部123は、各フレネルレンズ13fから入射された太陽光を発電素子122上に集める。2次集光部123は、例えばレンズである。但し、光を乱反射しながら下方へ導く反射鏡であってもよい。
【0029】
図4は、発電素子122が設けられている部位での、モジュール1Mの部分断面の概要を示す図である。図において、発電素子122及び2次集光部123は、1次集光部13のフレネルレンズ13fと、互いの光軸を揃えるように、真下に位置している。フレキシブルプリント配線板12は、フレキシブル基板121と、その上に実装された電子部品・光学部品等(ここでは発電素子122及び2次集光部123)とによって構成されている。
【0030】
フレキシブル基板121は、例えば、耐熱性に優れたポリイミド製の絶縁基材121aと、銅箔からなる導電性のパターン121bとによって構成されている。絶縁基材121aによって、パターン121bは、筐体11から絶縁されている。絶縁基材121aの厚さは、10〜100μmであることが好ましく、これによって、耐電圧性能と、放熱性とを、両立させることができる。すなわち、10μm未満では耐電圧性能が不足する。100μmを超えると、筐体11への放熱性が悪くなる。パターン121bの厚さは、例えば35μm程度である。
従って、フレキシブル基板121全体としても非常に薄く、柔軟性を有している。
【0031】
また、絶縁基材121aの下面には、例えばアルミニウム製の補強板124が接着されている。補強板124の厚さは、例えば、0.5〜1.2mmである。この補強板124による補強により、柔軟性を失わせない程度に、フレキシブルプリント配線板12に若干の固さを確保し、製造時の取り扱いを容易にすることができるほか、変形防止効果も得られる。また、補強板124をアルミニウム製とすることで、筐体11の底面11aへの熱伝導性(放熱性)を向上させることができる。補強板124は、筐体11の底面11aに接着される。フレキシブルプリント配線板12は、補強板124を加えても、全体として非常に軽量である。
【0032】
但し、上記の補強板124は必須の構成ではなく、省略することも可能である。補強板124を省略した場合には、フレキシブル基板121が直接、底面11aに接着される。また、その場合には、フレキシブルプリント配線板12の変形防止や放熱性の機能は、筐体11が担保する。
【0033】
筐体11は、金属製であり、例えばアルミニウムが好適である。金属製であることによって、筐体11は良好な熱伝導性を有する。従って、フレキシブルプリント配線板12から筐体11への放熱性が特に良い。
また、フレキシブルプリント配線板12等が非常に軽量であることに加えて、筐体11をアルミニウム製とすることで、集光型太陽光発電モジュール1M全体としても、軽量となる。軽量であることにより、運搬が容易となる。この「軽量」の程度を一例として挙げると、モジュール1Mの縦、横、深さがそれぞれ840mm、640mm、85mmの場合で、8kg以下を実現することができる。
【0034】
図5は、筐体11の底面11a上に張り巡らされたフレキシブルプリント配線板12(但し、詳細は省略しているので、実質的にはフレキシブル基板121を示している。)の配置の一例を平面視した図である。このように、フレキシブルプリント配線板12は、基本的な形状(フレキシブル基板121の形状)は薄く細いリボン状であるが、底面11a上で縦横に並べることによって、所望の大きさ(面積)に張り巡らすことができるので、大型な集光型太陽光発電モジュール1Mに好適である。すなわち、このように張り巡らせて構成されたフレキシブルプリント配線板12全体は、同様な拡がりを持つ1枚基板や複数枚の基板の集合体に匹敵する。また、リボン状であることによって、フレキシブルプリント配線板12の面積を必要最小限に抑制しつつ、所望の大きさに張り巡らすことができる。
【0035】
図5に示すフレキシブルプリント配線板12は、例えば12組の発電用配線板12Aと、接続用配線板12Bとによって構成されている。発電用配線板12Aは、コの字状(若しくはU字状)に形成されている。このような形状は、直線状部分を繋いで形成してもよいし、一体で形成することも可能である。
【0036】
発電用配線板12Aにはそれぞれ同数の発電素子が搭載されており、所定の電圧を発生することが可能である。このように、発電用配線板12Aを、底面11aの中央から端部へ延びて中央へ戻る形状とすることによって、発電用配線板12Aの長さを十分に確保することができるので、所望の電圧を得るべく、発電素子を必要数配置して相互に直列に接続することが容易である。また、接続用配線板12Bを、発電用配線板12Aと交差するように中央に設けることにより、12組の発電用配線板12Aを、相互に、容易に接続することができる。
【0037】
図6は、発電用配線板12Aの拡大図である。発電用配線板12Aには、例えば16個の発電素子122が搭載される。1つの発電用配線板12Aに搭載されている発電素子122は全て互いに直列に接続されている。1個の発電素子122が発電する電圧は2.5Vであり、16個の直列体として40V(2.5V×16)の電圧を発生することができる。この電圧は、発電用配線板12Aの2つの端部に設けられた+側電極P及び−側電極Nに現れる。
【0038】
図7は、図6におけるVII部の拡大図である。図7において、斜線を付したパターン121bは、絶縁基材121a上に、エッチング等により、形成されている。互いに隣接するパターン121bの間には、発電素子122が直列に挿入されている。また、発電素子122のバイパスを形成するように、発電素子122と並列にダイオード125が設けられている。ダイオード125は、発電素子122が発電しないときに、隣接するパターン121b同士を短絡するために設けられている。これにより、故障等により局部的に発電しない発電素子122があっても、発電用配線板12A全体としての発電を妨げないようになっている。なお、発電素子122を除くフレキシブル基板121の表面には、絶縁保護膜がコーティングされる。
【0039】
また、絶縁基材121aには位置決め用の孔が形成されており、そのうちの1つとして孔Hを図7に示している。パターン121bは、この孔Hのエッジにまで達しないように、その周りで円形に除去されている。孔Hに、筐体11の底面11aに形成された円柱状の突起11pを通すことにより、発電用配線板12Aを、筐体11に対して所定の位置に位置決めすることができる。接続用配線板12Bについても、同様の位置決め構造を設けることができる。
【0040】
なお、絶縁基材121aの孔Hと、筐体11側の突起11pとが互いに嵌り合う構成は一例に過ぎず、その他、種々の、互いに嵌り合う部位の形成により、フレキシブルプリント配線板12を筐体11の底面11aに取り付ける際の位置決めが、容易、かつ、確実に行えるように構成することができる。
【0041】
図5に戻り、12組の発電用配線板12Aの出力は、+側電極P(図6)が相互に接続用電路12Bpによって接続され、−側電極N(図6)が相互に接続用電路12Bnによって接続される。これによって、例えば40Vの12並列回路が構成され、1モジュール1M全体として、前述の100W(2.5A)を供給することができる。
【0042】
以上のようにフレキシブルプリント配線板12を用いたモジュール1Mの構成によれば、フレキシブルプリント配線板12は薄く、軽量であるため、モジュール1M全体も軽量となり、取り扱いが容易になる。しかも、フレキシブルプリント配線板12は薄く、柔軟性があるので、筐体11の底面11aへ密着させた取り付けが容易である。さらに、密着と薄さとによって、発電素子122その他フレキシブルプリント配線板の熱を、確実に筐体11に放熱させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態において筐体11は金属製としたが、金属製に限定される訳ではなく、樹脂製とすることも可能である。この場合、筐体11が特に軽量となり、集光型太陽光発電モジュール1M全体としても特に軽量となる。なお、樹脂であっても熱伝導性はあるので、一定の放熱性は得られる。特に、高熱伝導性を有する絶縁性フィラー(例えば、アルミナ、シリカ、炭化珪素、酸化マグネシウム等)を添加した樹脂は、熱伝導性に優れ、放熱性が向上するので、好適である。また、樹脂の表面に金属コーティングを施すことにより、表面の熱伝導性を金属と同等に高めることもできる。
【0044】
また、図5に示したフレキシブルプリント配線板の配置は一例に過ぎず、同様な出力を確保しさえすれば、種々の変形が可能である。図8は、フレキシブルプリント配線板の配置の他の例を示す平面図である。この場合、発電用配線板12Aは単純な直線状とし、接続用配線板12Bを中央及び上下の端部に設ける。例えば、中央の接続用配線板12Bは、上段・下段の発電用配線板12Aの相互接続用、上下の端部の接続用配線板12Bは、+、−の出力用である。
【0045】
また、接続用配線板12Bには、そもそも、光が当たらなくてもよいのであるから、筐体11の内側面に設けてもよい。図9は、接続用配線板12Bを筐体11の内側面に設ける一例を示す平面図である。すなわちこれは、図8における上下の端部の接続用配線板12Bを、少し、側面(図の上下)に乗り上げるように延伸した例である。このようにすれば、筐体11の内側面も活用することができる。
【0046】
さらに、図10は、接続用配線板12Bを筐体11の内側面に設ける他の例を示す平面図である。すなわちこれは、図9における中央の接続用配線板12Bを省略し、発電用配線板12Aを縦方向に1本にした構成である。図の上下の側面上には接続用配線板12B(12Bp,12Bn)が設けられ、発電用配線板12Aの+側同士、−側同士が、相互に接続される。このようにすれば、筐体11の内側面を活用することができ、中央の接続用配線板12Bも省略できる。
【0047】
なお、上記実施形態において、2次集光部123は発電素子122と共にフレキシブル基板121上に実装したが、2次集光部123をフレキシブル基板121とは別に設けることも可能であり、また、2次集光部そのものを省略することもあり得る。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 集光型太陽光発電パネル
1M 集光型太陽光発電モジュール
11 筐体
11a 底面
11p 突起
12 フレキシブルプリント配線板
12A 発電用配線板
12B 接続用配線板
13 1次集光部
13f フレネルレンズ(レンズ要素)
121 フレキシブル基板
121a 絶縁基材
121b パターン
122 発電素子
123 2次集光部
124 補強板
H 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10