特許第5814897号(P5814897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000002
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000003
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000004
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000005
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000006
  • 特許5814897-エンジンのギヤ伝動装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5814897
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】エンジンのギヤ伝動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20151029BHJP
   F16H 1/20 20060101ALI20151029BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20151029BHJP
   F01M 9/10 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   F16H57/04 Z
   F16H1/20
   F01M1/06 L
   F01M1/06 Q
   F01M9/10 M
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-215617(P2012-215617)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-70661(P2014-70661A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】小山 秀行
(72)【発明者】
【氏名】小村 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 達也
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 学
(72)【発明者】
【氏名】山本 信裕
【審査官】 瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−123862(JP,U)
【文献】 特開2007−170540(JP,A)
【文献】 実開平03−019162(JP,U)
【文献】 実開平06−056556(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F01M 1/06
F01M 9/10
F16H 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクギヤ(1)とこのクランクギヤ(1)で駆動される従動ギヤ(2)とこれらの間に配置されたアイドルギヤ(3)からなるギヤトレイン(4)を備え、
アイドルギヤ(3)はエンジン機壁(5)に取り付けられた枢軸(6)に枢支され、アイドルギヤ(3)のボス部(7)は、枢軸(6)の基端側に設けられた受座(8)と枢軸(6)の先端側に取り付けられた抜止板(9)との間に挟まれ、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との間のボス部内隙間(10)にオイル圧送通路(11)からエンジンオイル(12)が供給されるように構成され、ギヤトレイン(4)を構成するギヤがはすば歯車で構成され、アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力でアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)にかかるスラスト力(3b)により、このアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で、アイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接されるように構成された、エンジンのギヤ伝動装置において、
上記アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通され、
抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の切欠き(17)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【請求項2】
クランクギヤ(1)とこのクランクギヤ(1)で駆動される従動ギヤ(2)とこれらの間に配置されたアイドルギヤ(3)からなるギヤトレイン(4)を備え、
アイドルギヤ(3)はエンジン機壁(5)に取り付けられた枢軸(6)に枢支され、アイドルギヤ(3)のボス部(7)は、枢軸(6)の基端側に設けられた受座(8)と枢軸(6)の先端側に取り付けられた抜止板(9)との間に挟まれ、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との間のボス部内隙間(10)にオイル圧送通路(11)からエンジンオイル(12)が供給されるように構成され、ギヤトレイン(4)を構成するギヤがはすば歯車で構成され、アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力でアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)にかかるスラスト力(3b)により、このアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で、アイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接されるように構成された、エンジンのギヤ伝動装置において、
上記アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通され、
抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)とボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の長孔(18)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【請求項3】
クランクギヤ(1)とこのクランクギヤ(1)で駆動される従動ギヤ(2)とこれらの間に配置されたアイドルギヤ(3)からなるギヤトレイン(4)を備え、
アイドルギヤ(3)はエンジン機壁(5)に取り付けられた枢軸(6)に枢支され、アイドルギヤ(3)のボス部(7)は、枢軸(6)の基端側に設けられた受座(8)と枢軸(6)の先端側に取り付けられた抜止板(9)との間に挟まれ、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との間のボス部内隙間(10)にオイル圧送通路(11)からエンジンオイル(12)が供給されるように構成され、ギヤトレイン(4)を構成するギヤがはすば歯車で構成され、アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力でアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)にかかるスラスト力(3b)により、このアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で、アイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接されるように構成された、エンジンのギヤ伝動装置において、
上記アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通され、
抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた相互に隣合う孔(19)(19)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載されたエンジンのギヤ伝動装置において、
枢軸(6)の中心軸線(6a)と平行な向きに見て、オイル逃がし口(14)は、枢軸(6)の先端面(6b)と重なる箇所と、ボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と重なる箇所に亘って設けられ、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていない、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載されたエンジンのギヤ伝動装置において、
枢軸(6)の中心軸線(6a)と平行な向きに見て、オイル逃がし口(14)は、枢軸(6)の先端面(6b)と重なる箇所と、ボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と重なる箇所と、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所に亘って設けられ、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、オイル逃がし口(14)の総開口面積の10%未満とされている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのギヤ伝動装置に関し、詳しくは、枢軸の外周面とボス部の内周面との磨耗を低減することができるエンジンのギヤ伝動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クランクギヤとこのクランクギヤで駆動される従動ギヤとこれらの間に配置されたアイドルギヤからなるギヤトレインを備え、アイドルギヤはエンジン機壁に取り付けられた枢軸に枢支され、アイドルギヤのボス部は、枢軸の基端側に設けられた受座と枢軸の先端側に取り付けられた抜止板との間に挟まれ、枢軸の外周面とボス部の内周面との間のボス部内隙間にオイル圧送通路からオイルが供給されるように構成され、ギヤトレインがはすば歯車で構成され、アイドルギヤに噛合された噛合ギヤからの反力でアイドルギヤの噛合箇所にかかるスラスト力により、アイドルギヤのボス部の先端面が抜止板に圧接されるように構成された、エンジンのギヤ伝動装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種のギヤ伝動装置によれば、オイル圧送通路からのエンジンオイルが、枢軸の外周面とボス部の内周面との間のボス部内隙間に供給され、このエンジンオイルが受座とボス部基端面との間のボス部基端隙間、並びに、抜止板とボス部の先端面との間のボス部先端隙間に供給され、アイドルギヤの潤滑性が高いという利点がある。
また、ギヤトレインがはすば歯車で構成されているので、静粛なギヤ伝動を行うことができる利点がある。
しかし、この従来技術では、ボス部内隙間の先端開口部から流出するエンジンオイルは、抜止板とボス部先端面との間のボス部先端隙間のみを通過するため、問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−19162号公報(第4図参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
《問題》 枢軸外周面とボス部内周面とが磨耗しやすい。
ボス部内隙間の先端開口部から流出するエンジンオイルは、抜止板とボス部先端面との間のボス部先端隙間のみを通過するため、アイドルギヤに噛合された噛合ギヤからの反力でアイドルギヤの噛合箇所に強いスラスト力がかかり、アイドルギヤのボス部の先端面が抜け止め板に圧接されると、噛合箇所側で、ボス部先端隙間が狭くなり過ぎ、その流路抵抗で、噛合箇所側のボス部内隙間を通過するエンジンオイルの流量が不足し、枢軸の外周面とボス部の内周面とが磨耗しやすい。
【0006】
本発明の課題は、枢軸の外周面とボス部の内周面との磨耗を低減することができるエンジンのギヤ伝動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(請求項1〜3に係る発明に共通する発明特定事項)
図2に例示するように、クランクギヤ(1)とこのクランクギヤ(1)で駆動される従動ギヤ(2)とこれらの間に配置されたアイドルギヤ(3)からなるギヤトレイン(4)を備え、
図1(A)、図3(A)〜図6(A)に例示するように、アイドルギヤ(3)はエンジン機壁(5)に取り付けられた枢軸(6)に枢支され、アイドルギヤ(3)のボス部(7)は、枢軸(6)の基端側に設けられた受座(8)と枢軸(6)の先端側に取り付けられた抜止板(9)との間に挟まれ、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との間のボス部内隙間(10)にオイル圧送通路(11)からエンジンオイル(12)が供給されるように構成され、ギヤトレイン(4)を構成するギヤがはすば歯車で構成され、アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力でアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)にかかるスラスト力(3b)により、このアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側でアイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接されるように構成された、エンジンのギヤ伝動装置において、
図1(A)(C)、図3(A)(C)〜図6(A)(C)に例示するように、上記アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
(請求項1に係る発明に固有の発明特定事項)
図1(A)(C)に例示するように、抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の切欠き(17)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
(請求項2に係る発明に固有の発明特定事項)
図3(A)(C)または図4(A)(C)に例示するように、抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)とボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の長孔(18)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
(請求項3に係る発明に固有の発明特定事項)
図5(A)(C)または図6(A)(C)に例示するように、抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた相互に隣合う孔(19)(19)で構成されている、ことを特徴とするエンジンのギヤ伝動装置。
【発明の効果】
【0008】
(請求項1〜3に係る発明に共通する効果)
《効果》 枢軸外周面とボス部内周面との磨耗を低減することができる。
図1(A)(C)、図3(A)(C)〜図6(A)(C)に例示するように、上記アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通されているので、アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力でアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)に強いスラスト力(3b)がかかり、噛合箇所(3a)側で、抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との間のボス部先端隙間(32)が狭くなった場合でも、噛合箇所(3a)側のボス部内隙間(10)を通過するエンジンオイル(12)は、ボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)からオイル逃がし口(14)を介してスムーズに流出する。このため、噛合箇所(3a)側のボス部内隙間(10)を通過するエンジンオイル(12)の流量が十分に確保され、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との磨耗を低減することができる。
【0009】
(請求項1に係る発明に固有の効果)
《効果》 オイル逃がし口と取付ボルト挿通口の形成を容易に行うことができる。
図1(A)(C)に例示するように、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の切欠き(17)で構成されているので、抜止板(9)の打ち抜き加工時に、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とを一連の切欠き(17)として打ち抜くことができ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)の形成を容易に行うことができる。
【0010】
(請求項2に係る発明に固有の効果)
《効果》 オイル逃がし口と取付ボルト挿通口の形成を容易に行うことができる。
図3(A)(C)または図4(A)(C)に例示するように、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の長孔(18)で構成されているので、抜止板(9)の打ち抜き加工時に、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とを一連の長孔(18)として打ち抜くことができ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)の形成を容易に行うことができる。
【0011】
(請求項3に係る発明に固有の効果)
《効果》 オイル逃がし口の形成を容易に行うことができる。
図5(A)(C)または図6(A)(C)に例示するように、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた相互に隣合う孔(19)(19)で構成されているので、抜止板(9)の打ち抜き加工時に、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とを相互に隣合う孔(19)(19)として打ち抜くことができ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)の形成を容易に行うことができる。
【0012】
(請求項4に係る発明)
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》抜止板とボス部先端面との磨耗を抑制することができる。
図3(A)(C)または図5(A)(C)に例示するように、枢軸(6)の中心軸線(6a)と平行な向きに見て、オイル逃がし口(14)は、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていないので、抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との間のボス部先端隙間(32)にオイル逃がし口(14)によるオイル切れの箇所が形成されず、抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との磨耗を抑制することができる。
【0013】
(請求項5に係る発明)
請求項5に係る発明は、請求項2または請求項3に係る発明の効果に加え、次の効果を奏する。
《効果》抜止板とボス部の先端面との磨耗を抑制することができる。
図4(A)(C)または図6(A)(C)に例示するように、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、オイル逃がし口(14)の総開口面積の10%未満とされているので、抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との間のボス部先端隙間(32)にオイル逃がし口(14)によるオイル切れの箇所が形成されにくく、抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との磨耗を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図で、図1(A)はアイドルギヤとその周辺部分の横断平面図、図1(B)はアイドルギヤと噛合ギヤの平面図、図1(C)はアイドルギヤの正面図である。
図2図1のギヤ伝動装置を備えたエンジンの縦断正面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図で、図3(A)〜(C)は図1(A)〜(C)相当図である。
図4】本発明の第3実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図で、図4(A)〜(C)は図1(A)〜(C)相当図である。
図5】本発明の第4実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図で、図5(A)〜(C)は図1(A)〜(C)相当図である。
図6】本発明の第5実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図で、図6(A)〜(C)は図1(A)〜(C)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図、図3は本発明の第2実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図、図4は本発明の第3実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図、図5は本発明の第4実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図、図6は本発明の第5実施形態に係るエンジンのギヤ伝動装置を説明する図である。各実施形態では、立形の直列多気筒ディーゼルエンジンのギヤ伝動装置について説明する。
【0016】
まず、第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係るギヤ伝動装置を備えたエンジンの構成は、次の通りである。図2に示すように、シリンダブロック(20)の上部にシリンダヘッド(21)が組み付けられ、シリンダブロック(20)の下部にオイルパン(22)が組み付けられ、シリンダブロック(20)の前側にギヤケース(23)が組み付けられている。
ギヤケース(23)内にはギヤ伝動装置が収容されている。
【0017】
このギヤ伝動装置は、燃料噴射カム軸(24)や動弁カム軸(25)を駆動するギヤトレイン(4)である。
図2に示すように、ギヤトレイン(4)は、クランクギヤ(1)とこのクランクギヤ(1)で駆動される従動ギヤ(2)とこれらの間に配置されたアイドルギヤ(3)等からなる。
クランクギヤ(1)には第1アイドルギヤ(26)が噛合され、第1アイドルギヤ(26)には第2アイドルギヤ(3)と動弁カムギヤ(27)がそれぞれ噛合され、第2アイドルギヤ(3)には燃料噴射カムギヤ(28)と出力取り出しギヤ(29)が噛合されている。出力取り出しギヤ(29)には出力取り出し用のオイルポンプの入力軸が取り付けられる。
前側正面から見て、クランクギヤ(1)は矢印(1a)で示す通り、時計廻りに回転し、第1アイドルギヤ(26)は矢印(26a)で示す通り、反時計廻りに回転し、動弁カムギヤ(25)は矢印(25a)で示す通り、時計廻りに回転し、第2アイドルギヤ(3)は矢印(3c)の通り、時計廻りに回転し、燃料噴射カムギヤ(28)は矢印(28a)の通り、反時計廻りに回転し、出力取り出しギヤ(29)は矢印(29a)の通り、反時計廻りに回転する。
【0018】
第2アイドルギヤ(3)について説明する。
図1(A)に示すように、第2アイドルギヤ(3)はエンジン機壁(5)に取り付けられた枢軸(6)に枢支され、第2アイドルギヤ(3)のボス部(7)は、枢軸(6)の基端側に設けられた受座(8)と枢軸(6)の先端側に取り付けられた抜止板(9)との間に挟まれ、枢軸(6)の外周面とボス部(7)の内周面との間のボス部内隙間(10)にオイル圧送通路(11)からエンジンオイル(12)が供給されるように構成され、ギヤトレイン(4)を構成するギヤがはすば歯車で構成され、第2アイドルギヤ(3)に噛合された噛合ギヤ(13)からの反力で第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)にかかるスラスト力(3b)により、この第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で、第2アイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接されるように構成されている。
【0019】
図1(A)に示すように、エンジン機壁(5)はシリンダブロック(5)の前壁である。
オイル圧送通路(11)はエンジン機壁(5)から枢軸(6)に亘って形成され、オイルパン(22)のエンジンオイル(12)がオイルポンプ(30)で圧送される。
ボス部(7)には内周にブッシュ(31)が内嵌され、枢軸(6)の外周面とブッシュ(31)の内周面との間がボス部内隙間(10)となる。
第2アイドルギヤ(3)は左ねじれのはすば歯車であり、これに噛合する噛合ギヤ(13)すなわち出力取り出しギヤ(29)は、右ねじれのはすば歯車である。出力取り出しギヤ(29)にかかる負荷が大きくなると、出力取り出しギヤ(29)からの反力で第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)には大きなスラスト力(3b)がかかり、この第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で、第2アイドルギヤ(3)のボス部(7)の先端面(7a)が抜止板(9)に圧接される。
【0020】
図1(A)(C)に示すように、上記第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)側で抜止板(9)にオイル逃がし口(14)が設けられ、このオイル逃がし口(14)がボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と連通されている。
図1(A)(C)に示すように、抜止板(9)はボルト挿通口(15)(15)を貫通させた取付ボルト(16)(16)で枢軸(6)に取り付けられ、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の切欠き(17)で構成されている。
【0021】
図1(A)(C)に示すように、ボルト挿通口(15)(15)は一対設けられ、一方のボルト挿通口(15)は噛合箇所(3a)と枢軸(6)の中心軸線(6a)との間に配置され、他方のボルト挿通口(15)は、枢軸(6)の中心軸線(6a)を挟んで、一方のボルト挿通口(15)と反対側に配置されている。
オイル逃がし口(14)はボルト挿通口(15)から第2アイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)に向かって伸びている。
取付ボルト(16)(16)も一対設けられている。
図2に示す第1アイドルギヤ(26)は右ねじれのはすば歯車であり、その取り付け構造とオイル供給構造は、第2アイドルギヤ(3)と同じ構造にし、第2アイドルギヤ(3)との噛合箇所(26b)で、抜け止め板(9)にオイル逃がし口(14)を設ける。
第1アイドルギヤ(26)も第1アイドルギヤ(26)に噛合された第2アイドルギヤ(3)からの反力で第1アイドルギヤ(26)の噛合箇所(26b)にかかるスラスト力により、この第1アイドルギヤ(26)の噛合箇所(26b)側で、第1アイドルギヤ(26)のボス部の先端面が抜止板(9)に圧接されるように構成されている。
【0022】
図3に示す第2実施形態は、図3(A)(C)に示すように、オイル逃がし口(14)と取付ボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた一連の長孔(18)で構成され、枢軸(6)の中心軸線(6a)と平行な向きに見て、オイル逃がし口(14)は、枢軸(6)の先端面(6b)と重なる箇所と、ボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と重なる箇所に亘って設けられ、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていない。
図4に示す第3実施形態は、第2実施形態の変形例で、第2実施形態では、オイル逃がし口(14)がボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていないのに対し、オイル逃がし口(14)は、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所にも設けられているが、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、オイル逃がし口(14)の総開口面積の10%未満とされている。
抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との間のボス部先端隙間(32)にオイル逃がし口(14)によるオイル切れの箇所をできるだけ形成しないようにするため、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、できるだけ小さい方がよく、オイル逃がし口(14)の総開口面積の5%未満とするのが望ましい。
第2実施形態と第3実施形態の他の構成は、第1実施形態と同じであり、図3図4中、第1実施形態と同一の要素には、図1と同一の符号を付しておく。
【0023】
図5に示す第4実施形態は、図5(A)(C)に示すように、オイル逃がし口(14)とボルト挿通口(15)とは抜止板(9)を打ち抜いた相互に隣合う孔(19)(19)で構成され、枢軸(6)の中心軸線(6a)と平行な向きに見て、オイル逃がし口(14)は、枢軸(6)の先端面(6b)と重なる箇所と、ボス部内隙間(10)の先端開口部(10a)と重なる箇所に亘って設けられ、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていない。一対の孔(19)(19)はいずれも丸孔である。
オイル逃がし口(14)は、一方のボルト挿通口(15)とアイドルギヤ(3)の噛合箇所(3a)との間に配置されている。
図6に示す第5実施形態は、第4実施形態の変形例で、第4実施形態では、オイル逃がし口(14)がボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所には設けられていないのに対し、オイル逃がし口(14)は、ボス部(7)の先端面(7a)と重なる箇所にも設けられているが、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、オイル逃がし口(14)の総開口面積の10%未満とされている。
抜止板(9)とボス部(7)の先端面(7a)との間のボス部先端隙間(32)にオイル逃がし口(14)によるオイル切れの箇所をできるだけ形成しないようにするため、ボス部(7)の先端面(7a)と重なるオイル逃がし口(14)の開口面積は、できるだけ小さい方がよく、オイル逃がし口(14)の総開口面積の5%未満とするのが望ましい。
第4実施形態と第5実施形態の他の構成は、第1実施形態と同じであり、図5図6中、第1実施形態と同一の要素には、図1と同一の符号を付しておく。
【符号の説明】
【0024】
(1) クランクギヤ
(2) 従動ギヤ
(3) 第2アイドルギヤ
(3a) 噛合箇所
(3b) スラスト力
(4) ギヤトレイン
(5) エンジン機壁
(6) 枢軸
(6a) 中心軸線
(6b) 先端面
(7) ボス部
(7a) 先端面
(8) 受座
(9) 抜止板
(10) ボス部内隙間
(10a) 先端開口部
(11) オイル圧送通路
(12) エンジンオイル
(13) 噛合ギヤ
(14) オイル逃がし口
(15) ボルト挿通口
(16) 取付ボルト
(17) 切欠き
(18) 長孔
(19) 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6