特許第5815511号(P5815511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5815511セミアクティブな炭化物質及び可塑剤を生産するゴム粒状物質変換プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5815511
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】セミアクティブな炭化物質及び可塑剤を生産するゴム粒状物質変換プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20151029BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20151029BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   C08J11/12ZAB
   C08K3/04
   C08L101/00
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-513654(P2012-513654)
(86)(22)【出願日】2010年6月1日
(65)【公表番号】特表2012-528914(P2012-528914A)
(43)【公表日】2012年11月15日
(86)【国際出願番号】FR2010051055
(87)【国際公開番号】WO2010139888
(87)【国際公開日】20101209
【審査請求日】2013年3月14日
(31)【優先権主張番号】0953628
(32)【優先日】2009年6月2日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511294235
【氏名又は名称】アルフィマ・アンデュストリ
【氏名又は名称原語表記】ALFYMA INDUSTRIE
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】ブヅィン、スタニスワフ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァニツキ、ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】スマラ、アンドジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュムダ、ヴィエスワフ
(72)【発明者】
【氏名】デマル、クリスティアン
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05229099(US,A)
【文献】 国際公開第02/038658(WO,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第03523645(DE,A)
【文献】 特開昭54−056602(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02721692(FR,A1)
【文献】 特開昭56−041293(JP,A)
【文献】 特開昭50−102676(JP,A)
【文献】 特開2009−300006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 17/
C08J 11/
C10B 53/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム粒状物質を炭化物質へ連続的に変換するプロセスであって、下記工程:
a)熱分解中にゴム粒状物質及び液体の水を導入しながら、400℃〜500℃の温度かつ大気圧で前記ゴム粒状物質を熱分解して、それにより炭化物質及び気相が得られる、工程、
b)工程a)中に得られる前記炭化物質を回収する工程
を含
前記ゴム粒状物質のサイズが2mm〜10mmである、前記ゴム粒状物質を炭化物質へ変換するプロセス。
【請求項2】
下記工程:
c)300℃を超える沸点を有する工程a)中で得られる前記気相の化合物を、蒸留によって分離する工程であって、それにより液体組成物、いわゆる重油が得られる、工程、
d)工程c)で得られる前記重油を回収する工程
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程a)におけるゴム粒状物質の重量に対する水の重量%が、5%から20%で変化する、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程a)で得られる前記気相中に存在する前記水の全て又は一部が回収され、かつ該回収された水が工程a)で再使用される循環モードにより行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴム粒状物質変換プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に破砕した中古タイヤから得られるゴム粒状物質の変換プロセスに関し、それにより、ゴム部品を製造するのに役立つ混合物で使用することができる炭化物質及び場合によっては可塑剤を生産することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
ゴム産業は、大量の生産廃棄物及び使用廃棄物を発生する。製品に関する最終的な形状及び利用の特色は、不可逆的な硬化プロセス中に得られる。その理由で、ゴム物体の再利用には、費用のかかる操作を要し、かなりの時間及び労力が求められる。
【0003】
一般的に、再利用される材料は、低い物理特性及び機械特性を有し、元のゴムの原材料に匹敵しない。その理由で、ゴム廃棄物は、経済的にも、また生態的にも深刻な問題である。
【0004】
この問題の規模は、年間約3千5百万トンであるゴム産業の生産量に基づいて推定され得る。150年以上前、ゴム廃棄物に関して再利用試験が実行された。何年も経った今日では、その廃棄(elimination)に適した技術の開発が、ゴム産業において依然として主要な問題である。環境保護の観点から、タイヤの再利用は、それらがゴム産業の生産の60%〜70%に相当するため、極めて重要である。
【0005】
中古タイヤは燃焼させることができる(例えば、セメント工事、紙パルプ工場、工業用ボイラーで)。中古タイヤはまた、機械的に破砕し、ゴム残渣、繊維(テキスタイル)残渣及びスクラップ残渣を得ることができる。これらの中でも、ゴム残渣は、それらの粒度分布径に応じて、粉砕再生ゴム又は粒状物質と呼ばれ、粉砕再生ゴムは、2mmより小さい平均直径を有し、粒状物質は、2mm〜10mmの平均直径を有する。ゴム粒状物質は、特に競技用衣類、防音壁材料等で使用することができる。粉砕再生ゴムは、道路の塗装、絶縁コンクリート等で使用することができる。ゴム粒状物質は、高いゴム含有量を有するという利点を有する(仕様に応じて、例えば98%)。ゴム粒状物質の販売価格が低く、またゴム粒状物質は市場で販路が非常に少ないため、ゴム粒状物質を使用することは非常に有益である。
【0006】
タイヤの熱分解は、中古タイヤを加工処理するように開発された方法の1つである。熱分解の生成物は、一方では高温ガス(600℃を超える)であり、これらは概して、利用可能なエネルギーを回収するために燃焼され、他方では高い炭素含有量を有する固体残渣であり、これは、ごみ集積場に収納されるか、又は炭として使用される。
【0007】
ある特定の最近のプロセスでは、熱分解ガスの一部を濃縮して、燃料として役立ち得るか、又はディーゼル燃料と混合され得る熱分解オイルを得る。しかしながら、固体残渣は多くの場合、コンパウンド(繊維、スクラップ、砂、ゴムの無機充填剤)が混入しているため、その価値が低減して、プロセスの収益性に疑問を投げかけている。
【0008】
ゴムの熱分解は、特許文献1又は特許文献2に見られるように、一般的に500℃よりはるかに高い高温で実施される。減圧下での熱分解は、例えば特許文献3又は特許文献4で説明されるように、熱分解温度を低減させることが可能である。しかしながら、これらのゴム熱分解プロセスは、直接使用可能な固体残渣を得ることを可能にはさせない。実際に、得られる固体残渣は、非活性の炭の特徴を有しており、これはそれがゴム混合物における添加剤として使用される場合には存在しない強化力(reinforcing power)を有する。
【0009】
原材料としてゴム粒状物質から実施される熱分解方法が存在する。したがって、特許文献5は、400℃〜950℃、好ましくは500℃〜750℃の温度範囲内の熱分解によってタイヤ粒状物質を変換するプロセスについて記載する。しかしながら、記載のプロセスはゴム粒状物質を使用するが、特許文献5は、熱分解が水の存在下で行われることを明記していない。したがって、特許文献5で得られる固体残渣は、ゴム産業において直接的に利用可能であるとは記載されていない。
【0010】
本発明者らは驚くべきことに、ゴム粒状物質の熱分解が特定条件下で、特に低温にて水の存在下で行われる場合、熱分解から生じる生成物は全て、特にゴム産業で直接利用可能であることを発見した。
【0011】
本発明者らの知る限りでは、特許文献6のみが、熱分解から生じる固体残渣の利用について言及している。この固体残渣は、ゴム部品を製造するための混合物の不活性構成成分として使用することができる。しかしながら、得られる固体残渣がゴム産業において予め精製することなく使用するのに十分に純粋でないため、この熱分解プロセスは、タイヤ廃棄物を使用して、続いて利用の観点であまり興味深くない生成物を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4588477号明細書
【特許文献2】ベルギー国特許第820012号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0079664号明細書
【特許文献4】米国特許第5229099号明細書
【特許文献5】国際公開第02/38658号
【特許文献6】国際公開第2003/91359号
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的の1つは、ゴム粒状物質を変換するプロセスを提供することである。
【0014】
第1の態様によれば、本発明は、セミアクティブな(semi-active)炭化物質を生産するためのゴム粒状物質連続的変換プロセスであって、下記工程:
a)熱分解中にゴム粒状物質及び液体の水を導入することによって、400℃〜500℃の温度かつ大気圧で上記ゴム粒状物質を熱分解して、それにより炭化物質及び気相が得られる、工程、
b)工程a)中に得られる上記炭化物質を回収する工程
を含
前記ゴム粒状物質のサイズが2mm〜10mmである、前記ゴム粒状物質連続的変換プロセスに関する。
【0015】
上記プロセスは有益には、ゴム粒状物質を、直接利用可能な生成物へ変換することを可能にする。「利用可能な」は、本発明によるプロセスを使用して得られる生成物の精製(本出願で示されるもの以外、すなわち気相の分離)が、それらを使用することが可能であるために必要でないことを意味する。
【0016】
「熱分解」という用語は、その最も伝統的な意味で使用され、すなわち、酸素欠乏雰囲気中での熱の作用によるゴム粒状物質の化学的分解である。つまり、熱分解中の酸素、空気又は酸素を含有する任意の気体の導入は、最低限に抑えられる。しかしながら、熱分解は、必ずしも不活性雰囲気中で(例えば、窒素、アルゴン下で)行われるとは限らない。単に、熱分解中の空気の寄与を制限又は防止して、酸素の寄与を制限することで十分である。
【0017】
「ゴム粒状物質」は概して、2mm〜10mm、特に3mm〜9mm、好ましくは4mm〜8mmのサイズ、及び概して95%を上回る、好ましくは98%を上回るゴム純度を有するゴムフラグメントを称する。特に、本発明で使用されるゴム粒状物質は、鉄粒子を含まない。概して、ゴム粒状物質は、タイヤ、ゴムコンベヤベルト又はゴム部品の破砕に由来する。
【0018】
本発明によるプロセスは、熱分解中に液体の水を導入することによって実施される。したがって、上記プロセスは、熱分解中に熱媒体が過熱蒸気である従来技術のプロセスとは異なる。水は、100℃未満の温度で液体形態で熱分解エンクロージャへ導入される。熱分解中の温度は、400℃〜500℃であり、水は、熱分解中に蒸気へ変換され、その結果、この蒸気は、気相の構成成分の1つとなる。液体の水の蒸気への変換は、熱エネルギーを消費する。本発明の状況では、水は、熱分解に必要な熱を供給するのに導入されるのではない。
【0019】
本発明者らは、驚くべきことに、熱分解中に液体の水を導入することにより、より良い品質及び直接利用可能な熱分解生成物(炭化物質、重油)を得ることが可能であることを発見した。特に、上記プロセスは、必要とされる特性を有する炭化物質(特にゴム混合物における添加剤として使用されることが可能な強化力を有する)を得ること、特にゴム産業用のマスターバッチを調製することを可能にする。
【0020】
特定の理論によって拘束されるのを望まないが、熱分解中の液体の水の導入は、
熱分解エンクロージャの下部で炭化物質を冷却すること(これは、高品質の炭化物質を得ることにおそらく関与する)(反応の「クエンチング」)、
500℃未満の温度で熱分解を実行すること(これもまた、良品質の炭化物質を得ることにおそらく関与し、上記プロセスが消費するエネルギーを低くすることを可能にする)(経済的利点)、
反応媒体の外側の気体及び熱分解蒸気の排気を改善すること
を可能にする。より具体的には、注入された水は、概して熱分解エンクロージャの下部において、即時に蒸発して熱分解気体と混合し、これが、乱流を創出することによって熱分解エンクロージャの上部での多量の「接着される」ゴム粒状物質の形成を防止する。
【0021】
好ましくは、上記プロセスでは、工程a)中のゴム粒状物質の重量に対する水の重量パーセントは、5%〜20%、特に7%〜17%、好ましくは10%〜15%に及ぶ。
【0022】
工程a)における熱分解は、400℃〜500℃、特に425℃〜495℃、さらに好ましくは450℃〜480℃の温度で実施され得る。
【0023】
本発明によるゴム粒状物質変換プロセスは好ましくは、連続的に行われる。
【0024】
本発明によるゴム粒状物質変換プロセス、特に工程a)は好ましくは、大気圧下で、すなわち減圧又は過圧を実行することなく実施される。
【0025】
工程a)における熱分解を実行するためには、触媒及び/又は有機溶媒のような添加物をさらに付加する必要はない。とは言え、かかる様式は排除されない。特に、ゴム粒状物質は、偶然に触媒として当該技術分野で認識される少量物質(例えば、混入物)の形態での少量の材料を含むことができる。1つの好ましい実施の形態によれば、媒体に導入される唯一の構成成分は、ゴム粒状物質及び水である。この実施の形態は、特にゴム混合物中の強化充填剤として使用するのに特に適している炭化物質をもたらす。
【0026】
1つの実施の形態では、上述のゴム粒状物質変換プロセスは、工程a)で得られる気相中に存在する水の全て又は一部が回収され、かつ回収された水が工程a)で再使用される循環モードに従って実行される。
【0027】
この実施の形態は、水の再利用を可能にするという利点を有する。実際に、水は、熱分解中に液体形態で導入される。水は蒸発して、熱分解で生じる気相の構成成分となる。続いて、水は、気相の他の構成成分と分離されて、熱分解エンクロージャにおいて再利用及び再注入されることが可能となる。
【0028】
第2の態様によれば、本発明はまた、上述のゴム粒状物質変換プロセスを使用して得ることができる炭化物質に関する。
【0029】
この炭化物質は特定の特徴を有しており、本発明の別の目的を構成する。この炭化物質は、
セミアクティブなカーボンブラック、
二酸化チタン又は酸化亜鉛を含む1つ又は複数の金属酸化物、及び
硫黄を含有する。
【0030】
より具体的には、本発明による炭化物質は、
熱分解中に形成されるセミアクティブなカーボンブラック、
硬化触媒として使用される二酸化チタン又は酸化亜鉛を含む1つ又は複数の金属酸化物、及び
ゴムのシステイン架橋の分解で生じる硫黄
を含み、また概してそれらから構成される。
【0031】
一般的に、本発明による炭化物質は、
80%〜95%、通常約90%のセミアクティブなカーボンブラック、
4%〜8%、通常約6%の酸化チタン及び/又は酸化亜鉛、並びに
0.5%〜3%、通常1%〜2.8%の硫黄
を含む。
【0032】
パーセントは、炭化物質の総重量に対する重量パーセントで表わされる。
【0033】
本発明による炭化物質は概して、特に8%〜16%、好ましくは12%の高い灰分含有量を含む。「灰分」は、(主として炭素及び硫黄の排除を導く)炭化物質の焼却後に得られる残渣を指す。この灰分は通常、金属酸化物で構成されている。この灰分の約半分が、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛で構成されている。
【0034】
カーボンブラックは、非晶質炭素質材料であり、これは球体及びそれらの球体の凝集体の形態を取り、球体の寸法は概して、10nm〜250mmである。
【0035】
本発明によるプロセスで生じる炭化物質内に存在するカーボンブラックは、基準ASTM D1765−00の意義内で、特にその比表面積を鑑みて、「セミアクティブな」カーボンブラックである。「セミアクティブなカーボンブラックを含む炭化物質」又は「セミアクティブな炭化物質」は、硬化前にゴム混合物へ一旦導入されると、基準ASTM D1765−00の意義内でセミアクティブなカーボンブラックのように挙動する炭化物質を指す。
【0036】
概して、本発明による炭化物質は、25m2/g〜40m2/gの比表面積を有する。
【0037】
本発明による炭化物質は、特にゴム混合物を製造するための強化充填剤として、チャネル中で直接利用可能である、
【0038】
本発明による炭化物質はまた、二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛を含む。事実上、初期ゴム粒状物質中に見出された二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛は全て、熱分解反応で生じる炭化物質に見出される。二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛は、粒状物質を構成するゴムを硬化するのに使用された硬化触媒である。酸化物ZnO及び/又はTiO2は、ゴム混合物の調製中に一般的に使用される硬化触媒であるため、本発明による炭化物質がゴム混合物を製造するための強化充填剤として使用される場合、さらなる酸化亜鉛及び/又は二酸化チタンを必ずしも添加する必要はなく、これは使用の簡便さの観点だけでなく、これらの化合物が高価であることからも利点である。
【0039】
本発明による炭化物質はまた、硫黄を含む。しかしながら、硫黄は、ゴム部品を硬化するのに有用である。実際、硫黄は、エラストマーの高分子鎖間での硬化を実行することを可能にさせる。
【0040】
したがって、本発明による炭化物質は、ゴム混合物を製造するための強化充填剤としての使用に特に適している。
【0041】
「強化充填剤」は、混合物へ添加されて、その混合物を硬化した後に、より良好な機械強度、特に破壊及び摩耗に対するより良好な耐性を有する加硫物を得ることを可能にする充填剤を指す。
【0042】
第1の態様の実施の形態の1つでは、ゴム粒状物質を炭化物質へ変換するプロセスは、同様に熱分解中に生じる気相を利用しながら実行される。この実施の形態では、上記プロセスはまた、下記工程:
c)蒸留によって、300℃を超える沸点を有する工程a)中で得られる気相の化合物を分離する工程であって、それにより重油と呼ばれる液体組成物が得られる、工程、
d)工程cで得られる重油を回収する工程
を含む。
【0043】
(特に、実践的な理由で)最も頻繁に実行される1つの特定の実施の形態では、上記プロセスは、以下の工程:
c)蒸留によって、3つの留分の形態の工程a)中に得られる気相の化合物:
300℃を超える沸点を有する化合物(それにより、重油と呼ばれる第1の液体組成物が得られる)、
外気温より高くて300℃未満の沸点を有する化合物(それにより、軽油と呼ばれる第2の液体組成物が得られる)、
外気温未満の沸点を有する化合物(それにより、濃縮ガスと呼ばれる第3の液体組成物が得られる)
を分離する工程、
d)工程c)で得られる重油を回収する工程、
e)工程c)で得られる濃縮ガス及び軽油を潜在的に回収する工程
を含む。
【0044】
これらの実施の形態では、利用可能な炭化物質及び利用可能な重油は、有益には合同して生産される。
【0045】
「濃縮ガス」は、混合物の構成成分が外気温未満の沸点を有し、かつ下記構成成分:メタン、ブタン、エタン、エチレン、プロピレン、C4炭化水素(特に、C48、C410)、二水素(2原子水素)、窒素、二酸素(2原子酸素)、一酸化炭素及び二酸化炭素並びに水で主として構成される混合物を称し、その比率は、操作パラメータに依存して様々である。
【0046】
「軽油」は、気相で生じる液体組成物を称し、その構成成分は、約300℃未満の沸点を有する。
【0047】
「重油」は、気相で生じる液体組成物を称し、その構成成分は、約300℃を超える沸点を有する。
【0048】
「外気温」は、一般的に5℃〜35℃、特に15℃〜25℃の温度を指す。
【0049】
本発明によるプロセスは、特にゴム産業に関して直接利用可能な生成物を供給するという利点を有する。
【0050】
濃縮ガス及び軽油は回収することができる。それらは潜在的に、熱エネルギーを供給するために、例えば熱分解を実行するのに使用される熱分解エンクロージャを加熱するために燃焼され得る。
【0051】
第3の態様によれば、本発明はまた、上述のプロセスにより得ることができる重油に関する。
【0052】
重油は好ましくは、通常210℃を超える、例えば210℃〜300℃の範囲の高い引火点(基準ISO 2592に従って)、及び以下の表で示される好適な特徴の1つ又は複数を有する。
【0053】
【表1】
【0054】
本発明によるプロセスを使用して得られる重油は、特にゴム部品を製造するための可塑剤として使用することができる。上記プロセスを使用して得られる重油は、低い多環式芳香族炭化水素(PAH)含有量を有する可塑剤に相当し、その分野の法律における近年の展開に特に適していることに留意すべきである。
【0055】
可塑剤は、特に粘性及び流動特性を改善させることによって、それらの製造中のエラストマー混合物の実現を容易とするのに使用される。可塑剤はまた、硬化後のエラストマーの機械特性に寄与する。
【0056】
第4の態様によれば、本発明はまた、
上記で定義するような炭化物質、
少なくとも1つのエラストマー、
潜在的に上記で定義するような重油
を含む組成物に関する。
【0057】
本発明は、
上記で定義するような炭化物質、
少なくとも1つのエラストマー、
を含む組成物に関する。
【0058】
本発明は、
上記で定義するような炭化物質、
少なくとも1つのエラストマー、
上記で定義するような重油
を含む組成物に関する。
【0059】
これらの組成物は、ゴム産業用のマスターバッチを製造するのに有用である。
【0060】
「マスターバッチ」は、硬化によってゴム部品を製造するための最終的な配合物中で、それ自体で、又は構成成分として使用することができる混合物を指す。
【0061】
「エラストマー」は、合成ゴム及び天然ゴムの全てのタイプを指す。使用されるエラストマーは、好ましくはHEVEAから生じる天然ゴム及び/又はスチレンとブタジエンとのSBR共重合体である。
【0062】
上記で示されるように、本発明による炭化物質は、一般的にゴムの硬化を実行するのに十分な量の硫黄を含む。しかしながら、熱分解中に、ゴム粒状物質中に最初に含有される硫黄の一部は、種々の揮発性有機分子の形態で気相中にて排除され、多かれ少なかれ硫黄の大部分は炭化物質中に存在するに過ぎない。たいていの場合、炭化物質は、硬化を実行するのに十分な硫黄を含む。得られる硫黄含有量が不十分であるという、より稀な場合では、必要に応じて、硬化の直前に、特に通風された粉砕質の硫黄を添加することによって完成させてもよい。
【0063】
本発明による炭化物質を使用したマスターバッチでは、本質的に既知の技術に従って、硬化活性化剤として役立つステアリン酸を添加することは有益である。また、硫黄及び/又は酸化亜鉛若しくは二酸化チタンを添加することも可能である。
【0064】
1つの好ましい実施の形態では、本発明によるマスターバッチタイプの組成物は、
50重量部〜150重量部の炭化物質、
80重量部〜120重量部の少なくとも1つのエラストマー、及び
場合により25重量部〜75重量部の重油
を含む。
【0065】
1つの特に好ましい実施の形態では、本発明によるマスターバッチタイプの組成物は、
50重量部〜150重量部の炭化物質、
約100重量部の少なくとも1つのエラストマー
を含む。
【0066】
別の特に好ましい実施の形態では、本発明によるマスターバッチタイプの組成物は、
50重量部〜150重量部の炭化物質、
約100重量部の少なくとも1つのエラストマー、及び
25重量部〜75重量部の重油
を含む。
【0067】
エラストマーは、例えばSBRシリーズ1500又はシリーズ1700タイプであり得る。
【0068】
本発明はまた、上述の炭化物質、上述の重油、又はマスターバッチを調製するための上述の組成物の使用に関する。
【0069】
第5の態様によれば、本発明はまた、上記で定義されるプロセスによるゴム粒状物質の変換に適合した設備に関する。
【0070】
本発明は、400℃〜500℃の温度へエンクロージャを加熱するのを可能にする外部加熱手段を備えた熱分解エンクロージャを含む、ゴム粒状物質の炭化物質への変換のための設備に関し、
ゴム粒状物質を導入する手段を備えた第1の入口、
上記第1の入口の下流に位置する液体の水を導入する手段を備えた第2の入口、
熱分解の固体生成物を回収する手段に連結された熱分解の固体生成物を排出する手段を備えた第1の出口、及び
熱分解中に生じる気相を排出する手段を備えた第2の出口
を含む。
【0071】
「熱分解エンクロージャ」は、熱分解が行われる閉鎖媒体を指す。熱分解エンクロージャは好ましくは垂直であり、その結果、液体の水を導入する手段を備えた第2の入口は、ゴム粒状物質を導入する手段を備えた第1の入口よりも下部に位置する。したがって、ゴム粒状物質は、熱分解中に特に炭化物質へ変換されて、液体の水が到着し、かつ熱分解反応を「クエンチする」熱分解エンクロージャの第2の入口まで、炭化材料は反応器に沿って降下する。
【0072】
熱分解エンクロージャには、外部加熱手段が備えられている。熱は、エンクロージャへ導入される生成物(ゴム粒状物質及び水)によるものではない。
【0073】
熱分解エンクロージャは、外部加熱によって加熱され、それにより熱分解温度に到達することが可能である。熱分解エンクロージャは概して、中心軸を含み、これもまた一般的に加熱される。好ましくは、中心軸には攪拌ブレードが備えられている。
【0074】
1つの特定の実施形態では、外部加熱系の加熱は、少なくとも幾分は、本発明によるプロセスを使用して得られる濃縮ガス及び/又は軽油の燃焼によって生じる。
【0075】
好適には、熱分解エンクロージャの第1の入口が備わったゴム粒状物質を導入する手段は、ゴム粒状物質の導入と共同して水を導入する手段を含む(導入されたゴム粒状物質は「湿っている」)。「共同導入」は、ゴム粒状物質が水とともに導入されることを意味する。通常、ゴム粒状物質を導入する手段は、第1の入口に向かって水/粒状物質混合物を運ぶことを可能にする傾斜ウォームスクリュー(inclined worm screw)を含有する管状部を含む。
【0076】
熱分解エンクロージャは、液体の水を導入する手段を備えた第2の入口を含む。概して、水の大部分が、この第2の入口を通って導入される。
【0077】
したがって、水は2つの入口を通って(一方は、第1の入口を通ってゴム粒状物質と共同して(ゴム粒状物質は湿潤されながら熱分解エンクロージャへ導入される)、もう一方は、水専用の第2の入口を通って)熱分解エンクロージャへ導入される。
【0078】
熱分解エンクロージャは、過熱された蒸気のための特定の入口手段及び/又は出口手段を含まない。実際に、水は、液体形態で熱分解エンクロージャへ導入される。熱分解中、熱の影響下で蒸気へ変換される水は気相中で排除され、したがって、蒸気は、気相を排出する手段によって排出される。
【0079】
1つの実施形態では、上述の設備において、熱分解エンクロージャの第1の入口が備わったゴム粒状物質を導入する手段は、実質的に空気を含まない水とゴム粒状物質とのプレ混合物を得ることを可能にする、粒状物質と水とを予備混合するためのデバイスを含む。
【0080】
1つの特定の実施形態では、上述の設備において、熱分解エンクロージャの第1の入口が備わったゴム粒状物質を導入する手段は、空気を含まないプレ混合物を得ることを可能にする、粒状物質と水とを予備混合するためのデバイスを含む。
【0081】
予混合するデバイスは、図2に示されるように、特にゴム粒状物質及び水を含む円錐トレイであってもよく、その下端は、熱分解エンクロージャに粒状物質及び水を供給する傾斜ウォームスクリューに接続されている。
【0082】
このデバイスは好適には、熱分解エンクロージャへの空気、ひいては酸素の進入を防止することが可能であり、これにより、酸素欠乏雰囲気中での熱分解を実行することが可能となる。
【0083】
別の実施形態では、上述の設備は、重油の共同生産とともにゴム粒状物質を炭化物質へ変換するように適合されており、また気相の排出手段と液体連通している分留塔を含み、上記分留塔は、300℃未満の沸点を有する上記気相の化合物を分離することが可能であり、ここで上記分留塔は、上記重油を回収する手段を備えた出口を含む。
【0084】
この実施形態では、熱分解エンクロージャを離れた気相は、分留塔の方へ向かう。
【0085】
したがって、分留塔は、重油を気相の他の構成成分と分離させることを可能にする。
【0086】
1つの好ましい実施形態では、分留塔は、
300℃を超える沸点を有する上記気相の化合物(それにより、第1の液体組成物、いわゆる重油が得られる)、
外気温を超え、かつ300℃未満の沸点を有する上記気相の化合物(それにより、第2の液体組成物、いわゆる軽油が得られる)、及び
外気温未満の沸点を有する上記気相の化合物(それにより、気相組成物、いわゆる濃縮ガスが得られる)
を分離することが可能であり、上記分留塔は、上記重油を回収する手段を備えた第1の出口、上記軽油を回収する手段を備えた第2の出口、上記濃縮ガスを回収する手段を備えた第3の出口を含む。
【0087】
この実施形態では、分留塔は、気相の構成成分を分離して、3相に単離することを可能にする:塔の上部では濃縮ガス、塔の中央では軽油、及び塔の底部では重油。濃縮ガス、軽油及び重油は、使用前には保管リザーバ中に保管することができる。
【0088】
1つの好ましい実施形態では、設備は、濃縮ガスと液体連通している水冷却器を含み、上記水冷却器は、水を濃縮ガスの他の構成成分と分離することを可能にする。
【0089】
1つの特に好ましい実施形態では、設備は、液体形態で水を回収する手段、及び回収した水を熱分解エンクロージャへ再注入する手段も含む。
【0090】
この実施形態は、有益には水を再利用することが可能である。したがって、水は熱分解エンクロージャへ導入して、ここで蒸気へと変換する。この蒸気は、気相とともに反応器から流出する。分留塔における気相の分離後は、蒸気は、濃縮ガスの構成成分の1つとなる。水冷却器は、水を凝縮させて、水を濃縮ガスの他の構成成分と分離することが可能となる。次に、水は、水リサイクラーにより熱分解エンクロージャへ戻される。
【0091】
「分留塔」は、蒸留によって気相中に含有される構成成分を分離することを可能にする分離ユニットを指す。
【0092】
本発明による設備は、エネルギーに関して自足できるという利点を有する。すなわち、本発明による設備は、設備に電力を供給するのに(特に、熱分解エンクロージャを加熱するのに)必要とされるエネルギーと少なくとも同程度のエネルギーを生産することが可能である。
【0093】
設備の種々の興味深い特徴及び実施形態は、添付の図面を参照して以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】本発明による設備の図である。
図2】本発明による設備の図である。
図3】以下の実施例をもたらすのに実現されるデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
図1は、
外部加熱手段20を備え、かつ
ゴム粒状物質を挿入する手段40を備えた第1の入口30、
上記第1の入口の下流に位置する液体状態で水を導入する手段60を備えた第2の入口50、
熱分解の固体生成物を回収する手段90に連結された熱分解の固体組成物を排出する手段80を備えた第1の出口70、
熱分解中に生じる気相を排出する手段110を備えた第2の出口100
を含む、熱分解エンクロージャ10
を含む設備を示す。
【0096】
外部加熱手段20により、エンクロージャ10を400℃〜500℃の温度へ加熱することが可能となる。
【0097】
湿った粒状物質は、エンクロージャの第1の入口30を通って導入されて、水は、エンクロージャの第2の入口50を通って導入される。水導入手段を備えた第2の入口50は、粒状物質を導入する手段を備えた第1の入口30から下流に(第1の入口30よりも低く)位置する:ゴム粒状物質は熱分解反応を受けて、エンクロージャの底部に向かって移動することによって炭化物質へと変わる。次に、熱分解反応は、第2の入口を通って到達する液体の水の到着によって「クエンチ」される。
【0098】
熱分解は、熱分解エンクロージャ中で行われる。
【0099】
熱分解中に生じる気相は、第2の出口90を通ってエンクロージャから排出され、固体生成物(炭化物質)は、第1の出口70を通ってエンクロージャから排出されて、熱分解の固体生成物を回収する手段90、例えば熱分解の固体生成物のための保管リザーバ中に最終的には回収される。
【0100】
図2は、外部加熱手段20を備えた熱分解エンクロージャ10を含む設備を(横断面で)示し、それは、
傾斜ウォームスクリュー130を含有する管状部120、
粒状物質及び水を予備混合するためのデバイス140、特に円錐トレイ150(その下端が管状部120に接続されている)
を含むゴム粒状物質を導入する手段40を備えた第1の入口30、
上記第1の入口から下流に位置する液体状態の水を導入する手段60を備えた第2の入口50、
熱分解の固体生成物を回収する手段90と連結した熱分解の固体生成物を排出する手段80を備えた第1の出口70、
熱分解中に生産される気相を排出する手段110を備えた第2の出口100、
攪拌ブレード170を備えた中心軸160
を含む。
【0101】
傾斜ウォームスクリュー130を含有する管状部120は、水/粒状物質混合物を第1の入口30へと運ぶ。
【0102】
粒状物質及び水を予備混合するためのデバイス140は、ゴム粒状物質及び水を含み、これにより実質的に空気を含まない水及びゴム粒状物質のプレ混合物を得ることが可能になる。
【0103】
図3は、
・熱分解エンクロージャ10に接続された保管タブ(容器)180、
・外部加熱手段20を備えた熱分解エンクロージャ10であって、
ゴム粒状物質を導入する手段40を備えた第1の入口30、
上記第1の入口30から下流に位置する液体状態の水を導入する手段60を備えた第2の入口50、
熱分解の固体生成物を回収する手段90と連結した熱分解の固体生成物を排出する手段80を備えた第1の出口70、
熱分解中に生じる気相を排出する手段110を備えた第2の出口100
を含む、熱分解エンクロージャ10、
・熱分解エンクロージャの第2の出口100にあるゴム粒状物質の熱分解中に生じる気相を排出する手段110と液体連通している分留塔190であって、
上記重油を回収する手段210、特に重油を保管するためのリザーバを備えた第1の出口200、
上記軽油を回収する手段230、特に軽油を保管するためのリザーバを備えた第2の出口220、
第3の出口240
を含む分留塔190、
・液体形態で水を回収する手段、特に、
第3の出口240によって分留塔190の頭部と液絡しており、かつ濃縮ガスを回収する手段260、特に濃縮ガスのための保管リザーバを備えた水冷却器250、
水リサイクラー270、並びに
・回収された水を熱分解エンクロージャへ再注入する手段280
を含む設備を(横断面で)示す。
【0104】
保管タブ180は、ゴム粒状物質及び水を含有する。
【0105】
水冷却器250は、分留塔190の頭部から生じる濃縮ガスを冷却する。
【0106】
分留塔190は、熱分解により生じる気相の化合物を3つの相へ分離する:
300℃を超える沸点を有する上記気相の化合物(それにより、第1の液体組成物、いわゆる重油が得られ、この重油は、第1の出口200を通って分留塔から排出される)、
外気温を超え、かつ300℃未満の沸点を有する上記気相の化合物(それにより、第2の液体、いわゆる軽油が得られ、この軽油は、第2の出口220を通って分留塔から排出される)、
外気温未満の沸点を有する上記気相の化合物(それにより、気体組成物、いわゆる濃縮ガスが得られ、この濃縮ガスは、第3の出口240を通って分留塔から排出される)。
【0107】
水リサイクラー270は、水を濃縮ガスから熱分解エンクロージャ10へと再循環させる。
【実施例】
【0108】
実施例1
2kg/hのゴム粒状物質(1.0mm〜4.0mmの粒状物質(繊維%:≦1.5%−砂(sand):1%−金属≦0.1%)−ABC RECYCLING(登録商標))及び水 0.25リットル/時間を、495℃に加熱された熱分解エンクロージャへ導入する。1時間当たり0.8kgの炭化物質が回収される。熱分解中に形成される気相は、濃縮ガス(0.3kg/h)、重油(0.5kg/h)及び軽油(0.4kg/h)へ分離される。
【0109】
表2は、セミアクティブなカーボンブラックの品質を付与するASTM基準に従って特徴付けられるN−330(登録商標)煤(soot)の特徴と比較して得られるセミアクティブな炭化物質の特徴を示す。
【0110】
【表2】
【0111】
得られた炭化物質が、利用可能な材料という観点で有意な含有量レベルを含むと見ることができる。
【0112】
本発明による炭化物質は、高い灰分含有量:12%を有し、そのほぼ半分が、酸化亜鉛(ZnO)で構成されている(表3)。本発明による炭化物質はまた、相当量の硫黄を含有する。
【0113】
【表3】
【0114】
表4は、本発明によるプロセスを使用して得られる重油の2つのバッチの技術的特徴をまとめている。
【0115】
【表4】
【0116】
実施例2
実施例1で得られる炭化物質は、ゴム混合物を製造するための強化充填剤として使用した。より具体的には、混合物中で、強化充填剤としてゴムによって使用されるN−330(登録商標)煤の50%が、炭化物質に置き換えられた。
【0117】
表5は、比較として、混合物1及び混合物2の組成(同様に強化充填剤として、100% N−330(登録商標)煤を含む混合物1(対照)、及び同様に強化充填剤として、50% N−330(登録商標)煤/50% 実施例1の炭化物質の混合物を含む混合2)について詳述する。
【0118】
【表5】
【0119】
表6は、硬化後に得られるゴムの混合物の物理特性及び機械特性をまとめている。
【0120】
【表6】
【0121】
強化充填剤として50% N−330(登録商標)煤及び50%炭化物質を含むゴム混合物は、100% N−330(登録商標)煤を含むマスターバッチから得られるゴム混合物に類似した特性を有する。N−330(登録商標)煤が高価な製品であるため、N−330(登録商標)煤の全て又は一部を炭化物質に置換することは、経済的観点から非常に興味深い。
図1
図2
図3