(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記結合ユニットは、誘導結合のために構成されるとともに、一次結合インダクタを有し、前記第1のブリッジサブユニットが、第1の二次結合インダクタを有し、前記第2のブリッジサブユニットが、第2の二次結合インダクタを有する、請求項1に記載の装置。
前記結合ユニットは、容量結合のために構成され、前記駆動磁界信号発生器ユニットを、前記第1及び前記第3のブリッジサブユニットの間に配される第1の入力端子に及び前記第2及び前記第4のブリッジサブユニットの間に配される第2の入力端子に接続するスルー接続を有する、請求項1に記載の装置。
前記結合ユニット及び/又は前記ブリッジユニットは、U1/U2=Z1/Z2を得るように構成され、ここで、U1は、前記第1の誘導又は容量結合素子に誘起される電圧であり、U2は、前記第2の誘導又は容量結合素子に誘起される電圧であり、Z1は、前記第1及び前記第3のブリッジサブユニットの直列接続のインピーダンスであり、Z2は、前記第2及び前記第4のブリッジサブユニットの直列接続のインピーダンスである、請求項1に記載の装置。
前記結合ユニットは、前記一次結合インダクタと、前記第1及び/又は前記第2の結合インダクタとの結合レートを機械的に変更し又は設定するように構成される、請求項2に記載の装置。
前記第3及び/又は前記第4のブリッジサブユニットは、前記測定インダクタ及び前記駆動受信コイルに対し直列である1又は複数のブリッジキャパシタを有する、請求項1に記載の装置。
前記第3のブリッジサブユニットが、前記測定インダクタに直列に結合される第3の二次結合インダクタを有し、前記第4のブリッジサブユニットが、前記駆動受信コイルに直列に結合される第4の二次結合インダクタを有し、前記結合ユニットが、前記第1及び前記第2の二次結合インダクタと結合するための第1の結合サブユニットと、前記第3及び前記第4の二次結合インダクタと結合するための第2の結合サブユニットと、を有する、請求項1に記載の装置。
前記一次結合インダクタは、前記第1及び前記第2の二次結合インダクタにそれぞれ別個に結合される2つの一次結合インダクタを有し、前記2つの一次結合インダクタは、直列に又は並列に結合される、請求項2に記載の装置。
前記第1及び前記第3のブリッジサブユニットの直列接続、及び/又は前記第2及び前記第4のブリッジサブユニットの直列接続は、駆動磁界の駆動磁界周波数で共振する、請求項1に記載の装置。
視野内の磁性粒子に影響を与える及び/又は検出する装置の各部を制御手段が制御する方法であって、前記装置は、選択磁界生成手段、駆動受信コイル、ブリッジユニット、及び結合ユニットを有し、前記制御手段が、
磁性粒子の磁化が飽和しない、低い磁界強度を有する第1のサブゾーン、及び磁性粒子の磁化が飽和する、より高い磁界強度を有する第2のサブゾーン、が視野内に形成されるような磁界強度の空間パターンを有する選択磁界を生成するよう選択磁界生成手段を制御するステップと、
磁性材料の磁化が1又は複数の駆動受信コイルよって局所的に変化するように、駆動磁界によって前記視野内の2つのサブゾーンの空間位置を変えるよう駆動受信コイルを制御するステップと、
前記第1及び前記第2のサブゾーンの空間位置の変化によって影響を及ぼされる前記視野内の磁化に依存する検出信号を取得するよう駆動受信コイルを制御するステップと、
前記駆動磁界信号発生器ユニット及び前記信号受信ユニットの間に結合されたブリッジユニットに、エネルギーを結合するよう結合ユニットを制御するステップであって、前記ブリッジユニットが、第1の誘導又は容量結合素子を有する第1のブリッジサブユニット、第2の誘導又は容量結合素子を有する第2のブリッジサブユニット、前記第1のブリッジサブユニットに直列に結合され、測定インダクタを有する第3のブリッジサブユニット、及び前記第2のブリッジサブユニットに直列に結合され、前記駆動受信コイルを有する第4のブリッジサブユニットを有する、ステップと、
前記第1及び前記第2のブリッジサブユニットの間に配された第1の出力端子、及び前記第3及び前記第4のブリッジサブユニットの間に配された第2の出力端子に結合される検出信号を取得するよう信号受信ユニットを制御するステップと、
を実施する方法。
コンピュータプログラムがコンピュータにおいて実行されるとき、コンピュータに、請求項13に記載の方法の各ステップを実施するように請求項1に記載の装置を制御させるプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象は、磁性ナノ粒子又は他の磁性非線形材料を含まなければならない;対象が動物又は患者である場合、このような粒子を含むトレーサが、スキャンに先立って動物又は患者に投与される。データ取得の最中、MPIスキャナは、慎重に選ばれた軌道に沿ってFFPを移動させ、軌道は、スキャニングボリューム又は少なくとも視野をトレースする/カバーする。対象内の磁性ナノ粒子は、変化する磁界を経験し、それらの磁化を変えることによって応答する。ナノ粒子の変化する磁化は、受信コイルの各々に時間依存の電圧を誘起する。この電圧は、受信コイルに関連付けられた受信器においてサンプリングされる。受信器によって出力されるサンプルは、記録され、取得されたデータを構成する。データ取得の詳細を制御するパラメータは、「スキャンプロトコル」を与える。
【0005】
画像再構成と呼ばれる画像生成の第2のステップにおいて、画像は、第1のステップにおいて取得されたデータから計算され又は再構成される。画像は、視野内の、磁性ナノ粒子の位置依存の濃度についてのサンプリングされた近似を表すデータの離散的な3Dアレイである。再構成は、概してコンピュータによって実施され、コンピュータは、適切なコンピュータプログラムを実行する。コンピュータ及びコンピュータプログラムは、再構成アルゴリズムを実現する。再構成アルゴリズムは、データ取得の数学的モデルに基づく。再構成を用いるすべてのイメージング方法と同様に、このモデルは、取得されたデータに作用する積分演算子として表現されることができる;再構成アルゴリズムは、可能な限り、モデルのアクションを元通りにしようと試みる。
【0006】
このようなMPI装置及び方法は、それらが、非破壊的に及び高い空間解像度をもって、検査対象の表面の近くで及び検査対象の表面から遠くで、任意の検査対象(例えば、人間の身体)を検査するために使用されることができるという利点を有する。このような装置及び方法は、一般に知られており、独国特許出願公開第101 51 778A1号明細書及びGleich, B. and Weizenecker, J. (2005), "Tomographic imaging using the nonlinear response of magnetic particles" in Nature, vol. 435, pp. 1214-1217(再構成原理も概して記述されている)に、最初に記述されている。文献に記述される磁性粒子イメージング(MPI)の装置及び方法は、小さい磁性粒子の非線形磁化曲線を利用する。
【0007】
MPIは、外部のシヌソイド磁界励起を受ける磁性(ナノ)粒子によって生成される高調波を検出することに基づく。MRと異なり、励起及び受信は、同時に行われ、単に周波数ドメインで分離されるだけである。従来、分離は、ノッチフィルタ(LC共振器)によって実現される。患者に最も近いコイルのより高い感度のため、患者に非常に近い空間では、駆動(Tx−)コイルと受信(Rx−)コイルとの間に「競合」がある。更に、磁界生成器の中において、さまざまな不所望の信号が、装置の最大感度を制限する。
【0008】
本発明の目的は、視野内の磁性粒子に影響を与え及び/又は検出する装置及び方法であって、特に患者が配置される装置のボアのボアサイズのような視野のサイズを低減することなく、高調波バックグラウンド低減を達成する装置及び方法を提供することである。更に、ナノ粒子が装置に挿入されないときにさえ検出される検出高調波の「フロア(floor)」である「高調波バックグラウンド」を低減するための、軽量で、安価で、容易に実行可能な解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の見地において、視野内の磁性粒子に影響を与え及び/又は検出する装置であって、磁性粒子の磁化が飽和されない、低い磁界強度を有する第1のサブゾーン、及び磁性粒子の磁化が飽和される、より高い磁界強度を有する第2のサブゾーンが、視野内に形成されるような磁界強度の空間パターンを有する選択磁界を生成する、選択磁界信号発生器ユニット及び選択磁界素子と、駆動磁界信号発生器ユニット、信号受信ユニット、及び駆動受信コイルであって、磁性材料の磁化が局所的に変化するように、駆動磁界によって視野内の2つのサブゾーンの空間位置を変化させること、及び第1及び第2のサブゾーンの空間位置の変化によって影響を及ぼされる視野内の磁化に依存する検出信号を取得すること、の両方を行う駆動受信コイルと、前記駆動磁界信号発生器ユニットと前記信号受信ユニットとの間に結合されるブリッジユニットであって、第1の誘導又は容量結合素子を有する第1のブリッジサブユニット、第2の誘導又は容量結合素子を有する第2のブリッジサブユニット、前記第1のブリッジサブユニットに直列に結合され、測定インダクタを有する第3のブリッジサブユニット、及び前記第2のブリッジサブユニットに直列に結合され、前記駆動受信コイルを有する第4のブリッジサブユニット、を有するブリッジユニットと、ブリッジユニットへの結合のために、駆動磁界信号発生器ユニットとブリッジユニットとの間に結合される結合ユニットと、を有し、信号受信ユニットが、第1及び第2のブリッジサブユニットの間に配置される第1の出力端子と、第3及び第4のブリッジサブユニットの間に配置される第2の出力端子とに結合される、装置が提供される。
【0010】
本発明の他の見地において、対応する方法が提示される。
【0011】
更に本発明の他の見地において、コンピュータプログラムがコンピュータにおいて実行されるとき、コンピュータに、本発明により提案される方法の各ステップを実施するように本発明による装置を制御させるプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムが提示される。
【0012】
本発明の好適な実施形態は、従属請求項に規定される。請求項に記載の方法及び請求項に記載のコンピュータプログラムは、請求項に記載の装置及び従属請求項に規定されるものと同様の及び/又は同一の好適な実施形態を有することが理解されるべきである。
【0013】
正確にはパワーアンプから生成される高調波である、送信側から受信側へのクロストークがあるので、駆動磁界からの高調波が受信経路に入らないことを確実にするために従来使用されているバンドパスフィルタに、多くの努力が費やされる。しかしながら、この努力の成功は、結局、フィルタ自体のコンポーネントによって制限されることが分かった:特にキャパシタ(それだけでなく他のコンポーネント及び材料)は非線形の挙動を示す。それらが非線形である程度は、非常に小さいので、測定するのは難しく、他のアプリケーションにとって懸念でないようである。それでも、それは、最適キャパシタ技術を識別する努力にもかかわらず、この受信スキームを制限することになる。
【0014】
1つの解決策は、例えば磁性粒子の基本周波数応答を得るために、グラジオメータを利用する受信スキームを用いることである。これらのグラジオメータソリューションは、磁性粒子から高調波応答(所望の効果)だけでなく磁性粒子を励起する駆動信号(不所望の効果)をも受け取る専用の受信コイルに基づく。不所望の駆動信号を補償するために、第2のコイルである「平衡コイル」が用いられ、第2のコイルは、駆動信号を受け取るが、反転極性と接続される。ボア様の駆動磁界生成のために、専用の受信コイルは送信コイルの内部にある。これは、信号強度(それは磁性粒子に近いほどより高い感度を有する)に関して有益であるが、大きい不利益は、患者(動物、検査下の対象、..)のために残されるボアサイズが低減されることである。補償コイルは、駆動信号ににのみ結合すればよい。これは、2つのやり方で達成されることができる:それは、駆動磁界生成送信コイルの中に又はその近くにあり、又はそれは、駆動磁界コイルを流れるのと同じ電流が流れる別の外部インダクタに結合する。
【0015】
本発明によれば、受信経路における高調波バックグラウンドの抑制は、平衡ブリッジトポロジを使用することによって達成されるが、挿入されるコイルによって、患者の配置のための装置のボアサイズが低減されることはない。この目的で、4つのブリッジサブユニットを含むブリッジユニットが使用され、そのうちの1つは、測定インダクタを含み、他の1つは、駆動受信コイルを含む。前記駆動受信コイルは、組み合わされた駆動磁界及び受信コイルを表す(すなわち、従来の駆動磁界コイル及び受信コイルの両方の機能を果たす)。対称性によって、平衡ブリッジトポロジは、信号受信ユニットへの入力において、信号源(パワーアンプ及びTxバンドパスフィルタ)から発するノイズ及び高調波をキャンセルするが、実現するのに限られた努力及びコストしか必要としない。ブリッジユニット及び駆動磁界信号発生器ユニットは、具体的には誘導的に又は容量的に結合される。
【0016】
概して、提案される磁性粒子イメージング装置及び方法によれば、勾配磁界(すなわち選択磁場)は、視野が、より低い磁界強度(例えばFFP)をもつ第1のサブエリア及びより高い磁界強度をもつ第2のサブエリアを含むような磁界強度の空間分布によって生成され、より低い磁界強度は、第1のサブエリアに位置する磁性粒子の磁化が飽和しないように適応され、より高い磁界強度は、第2のサブエリアに位置する磁性粒子の磁化が飽和するように適応される。磁性粒子の磁化特性曲線の非線形性のため、磁性粒子によって生成される磁化及びゆえに磁界は、より高い高調波を示し、かかる高調波は、例えば検出コイルによって検出されることができる。評価された信号(信号のより高い高調波)は、磁性粒子の空間分布に関する情報を含み、かかる情報は、医用イメージングのために、磁性粒子の空間分布の可視化のために、及び/又は他のアプリケーションのために、再び使用されることができる。
【0017】
こうして、本発明による装置及び方法は、例えば核磁気共鳴(NMR)のような他の知られている従来の医用イメージング技法とは異なる新しい物理的な原理(すなわちMPIと呼ばれる原理)に基づく。具体的には、この新しいMPI原理は、NMRと異なり、プロトンの磁気共鳴特性への材料の影響を利用しないが、磁化特性曲線の非線形性を利用することによって磁性材料の磁化を直接的に検出する。具体的には、MPI技法は、磁化が不飽和状態から飽和状態に変化する領域における磁化特性曲線の非線形性から生じる生成される磁性信号のより高い高調波を利用する。
【0018】
好適な実施形態によれば、前記結合ユニットは、誘導結合のために構成され、一次結合インダクタを有し、前記第1のブリッジサブユニットが、第1の二次結合インダクタを有し、前記第2のブリッジサブユニットは、第2の二次結合インダクタを有する。誘導結合は、それが不所望の接地ループを回避するガルバニック絶縁を提供するという利点を有する。代替の実施形態において、前記結合ユニットは、容量結合のために構成され、第1及び第3のブリッジサブユニットの間に配置される第1の入力端子並びに第2及び第4のブリッジサブユニットの間に配置される第2の入力端子に前記駆動磁界信号発生器ユニットを接続するためのスルー接続を有し、前記第1のブリッジサブユニットは好適にはキャパシタを有し、前記第2のブリッジサブユニットは好適にはキャパシタを有する。
【0019】
有利な実施形態において、結合ユニット及び/又はブリッジユニットは、U1/U2=Z1/Z2を得るように構成され、ここで、U1は、第1の誘導又は容量結合素子に誘起される電圧であり、U2は、第2の誘導又は容量結合素子に誘起される電圧であり、Z1は、第1及び第3のブリッジサブユニットの直列接続のインピーダンスであり、Z2は、第2及び第4のブリッジサブユニットの直列接続のインピーダンスである。好適には、結合ユニット及び/又はブリッジユニットは、U1=U2及びZ1=Z2を得るように構成される。更に好適には、第1の結合素子及び/又は第2の結合素子の値は、U1/U2=Z1/Z2、特にU1=U2及びZ1=Z2を得るように選択される。これは、不所望の高調波及び信号源から発するノイズが最適に抑制されることができることを提供する。
【0020】
結合ユニットによる誘導結合の場合、結合ユニットは、好適には、一次結合インダクタの、第1及び/又は第2の二次結合インダクタとの結合レートを機械的に変更し又は設定するように構成される。これは、第1及び/又は第2の二次結合インダクタに対し1又は複数の方向において一次結合インダクタのロケーションを変えることによって、例えば第1及び/又は第2の二次結合インダクタに対し一次結合インダクタの距離を変えることによって、達成されることができる。結合レートを変更し又は設定することによって、高調波の抑制の程度に影響を与えることができる。
【0021】
有利には、前記第3及び/又は第4のブリッジサブユニットは、それぞれ、前記測定インダクタ及び前記駆動受信コイルに対して直列である1又は複数のブリッジキャパシタを有する。好適には、測定インダクタ及び駆動受信コイルの両側に、1又は複数のキャパシタが、それぞれ測定インダクタ及び駆動受信コイルに直列に配置される。こうして、個々のブリッジサブユニットの共振周波数は、ブリッジキャパシタの値を設定することによって制御されることができる。有利に、共振周波数は、例えば、(個々の駆動磁界チャネルの)駆動磁界周波数と同じに又はほぼ同じに設定され、従って、最小の印加電圧で最大の電流フロー(及びゆえに磁界強度)を与える。
【0022】
別の実施形態において、前記第3のブリッジサブユニットは、前記測定インダクタに直列に結合される第3の二次結合インダクタを有し、前記第4のブリッジサブユニットは、前記駆動受信コイルに直列に結合される第4の二次結合インダクタを有し、前記結合ユニットは、前記第1及び第2の二次結合インダクタと結合する第1の結合サブユニット、及び前記第3及び第4の二次結合インダクタと結合する第2の結合サブユニットを有する。このようにして、駆動磁界信号発生器ユニットとブリッジユニットとの間のより一層対称的な結合が達成されることができる。
【0023】
更に、一実施形態において、一次結合インダクタは、第1及び第2の二次結合インダクタに別々に結合する2つの一次インダクタ素子を有し、前記2つの一次インダクタ素子は、直列に又は並列に結合される。これは、二次インダクタへの結合を個別に制御し、従って不所望の高調波及びノイズの抑制に影響を与えることを可能にする。
【0024】
更に別の実施形態において、第1及び第3のブリッジサブユニットの直列接続及び/又は第2及び第4のブリッジサブユニットの直列接続は、駆動磁界の駆動磁界周波数と共振するように構成される。
【0025】
本発明のこれら及び他の見地は、以下に記述される実施形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の詳細が説明される前に、磁性粒子イメージングの基本が
図1乃至
図4を参照して詳しく説明される。特に、医用診断のためのMPIスキャナの4つの実施形態が記述される。データ取得の概略の記述が以下に与えられる。それぞれ異なる実施形態の間の類似性及び差異が示されるであろう。概して、本発明は、MPI装置のすべてのこれらの異なる実施形態において使用されることができる。
【0028】
図1に示されるMPIスキャナの第1の実施形態10は、同軸平行の円形コイルの3つのペア12、14、16を有し、これらのコイルペアは、
図1に示されるように配置される。これらのコイルペア12、14、16は、選択磁界並びに駆動磁界及びフォーカス磁界を生成する働きをする。3つのコイルペア12、14、16の軸18、20、22は互いに直交し、MPIスキャナ10のアイソセンタ24と称される1つの点で交わる。更に、これらの軸18、20、22は、アイソセンタ24に帰する3Dデカルトxyz座標系の軸として働く。垂直軸20はy軸として示され、従ってx軸及びz軸は水平である。コイルペア12、14、16は、それらの軸の名をとって名づけられる。例えば、yコイルペア14は、スキャナの上部及び下部におけるコイルによって形成される。更に、正の(負の)y座標を有するコイルは、y+コイル(y−コイル)と呼ばれ、残りのコイルについても同様である。より便利な場合、座標軸及びコイルは、x、y及びzではなくx1、x2及びx3と称される。
【0029】
スキャナ10は、予め決められた時間依存の電流を、これらのコイル12、14、16を通じていずれの方向にも導くように設定される。このコイルの軸に沿って見て電流がコイルを時計回りに流れる場合、それは正であり、他の場合は負であるとする。静止選択磁界を生成するために、一定の正の電流ISが、z+コイルを通って流れるようにされ、電流−ISが、z−コイルを通って流れるようにされる。zコイルペア16は、逆平行の円形コイルペアとして機能する。
【0030】
軸の配置及び本実施形態において軸に与えられる呼称は、単なる例示であり、他の実施形態において異なるものでもよいことに留意すべきである。例えば、実際の実施形態において、垂直軸は、しばしば、本実施形態のようなy軸ではなくz軸と考えられる。しかしながら、これは、概して本発明の装置の機能及び動作並びに効果を変えるものではない。
【0031】
概して勾配磁界である選択磁界は、
図2において磁力線50によって示される。選択磁界は、選択磁界を生成するzコイルペア16の(例えば水平の)z軸22の方向に、実質的に一定の勾配を有し、この軸22上のアイソセンタ24においてゼロの値になる。この磁界フリーなポイント(
図2に個別には示さず)から始まって、距離が磁界フリーなポイントから大きくなるにつれて、選択磁界50の磁界強度は、すべての3つの空間方向において増大する。アイソセンタ24の周りの破線によって示される第1のサブゾーン又は領域52では、磁界強度は、非常に小さいので、第1のサブゾーン52に存在する粒子の磁化は飽和せず、第2のサブゾーン54(領域52の外側)に存在する粒子の磁化は、飽和状態にある。第2のサブゾーン54(すなわち第1のサブゾーン52の外側のスキャナの視野28の残りの部分)において、選択磁界の磁界強度は、磁性粒子を飽和状態に保つのに十分強い。
【0032】
視野28内の2つのサブゾーン52、54(磁界フリーなポイントを含む)の位置を変えることによって、視野28内の(全体的な)磁化が変化する。視野28内の磁化又は磁化によって影響を及ぼされる物理的パラメータを測定することによって、視野28内の磁性粒子の空間分布に関する情報が取得されることができる。視野28内の2つのサブゾーン52、54(磁界フリーなポイントを含む)の相対的な空間位置を変えるために、他の磁界(すなわち駆動磁界)及び適用できる場合にはフォーカス磁界が、選択磁界50に重ねられる。
【0033】
駆動磁界を生成するために、時間依存の電流I
D1が、両方のxコイル12に流れるようにされ、時間依存の電流I
D2が、両方のyコイル14に流れるようにされ、時間依存の電流I
D3が、両方のzコイル16に流れるようにされる。従って、3つのコイルペアの各々が、平行な円形コイルの対として働く。同様に、フォーカス磁界を生成するために、時間依存の電流I
F1が、両方のxコイル12に流れるようにされ、電流I
F2が、両方のyコイル14を流れるようにされ、電流I
F3が、両方のzコイル16を流れるようにされる。
【0034】
zコイルペア16は特別であることに留意すべきである:zコイルペア16は、駆動及びフォーカス磁界の一部だけでなく、選択磁界も生成する(当然ながら、他の実施形態において、別個のコイルが提供されることもできる)。z
±コイルを流れる電流は、I
D3+I
F3±I
Sである。残りの2つのコイルペア12、14を流れる電流は、I
Dk+I
Fk、k=1、2である。それらのジオメトリ及び対称性のため、3つのコイルペア12、14、16は良好に減結合される。これは望ましいことである。
【0035】
選択磁界は、逆平行の円形コイルペアによって生成されるので、z軸に関して回転対称であり、そのz成分は、アイソセンタ24の周りのサイズ設定可能なボリュームにおいて、z方向においてほぼ線形であり、x及びy方向とは独立している。特に、選択磁界は、アイソセンタにおいて単一の磁界フリーなポイント(FFP)を有する。対照的に、平行な円形コイルペアによって生成される駆動及びフォーカス磁界への寄与は、アイソセンタ24の周りのサイズ設定可能なボリュームにおいて、空間的にほぼ一様であり、個々のコイルペアの軸に平行である。すべての3つの平行な円形コイルペアによって協働して生成される駆動及びフォーカス磁界は、空間的にほぼ一様であり、任意の方向及びある最大強度までの強度を与えられることができる。駆動及びフォーカス磁界は時間依存でもある。フォーカス磁界と駆動磁界の間の相違は、フォーカス磁界が時間的にゆっくり変化し、大きい振幅を有する一方で、駆動磁界が速く変化し、小さい振幅を有することである。これらの磁界を異なって扱うための物理的な及び生医学的な理由がある。大きい振幅を有する速く変化する磁界は、生成するのが難しく、患者にとって潜在的に危険である。
【0036】
実際の実施形態において、FFPは、磁界がゼロであるとみなされる数学的なポイントとして考えられることができる。磁界強度は、FFPからの距離が大きくなると共に増大し、増加レートは、それぞれの異なる方向において(例えば装置の特定のレイアウトに依存して)異なりうる。磁界強度が、磁性粒子を飽和状態にするために必要な磁界強度より低い限り、粒子は、装置によって測定される信号の信号生成に能動的に寄与する;そうでない場合、粒子は飽和し、任意の信号を生成しない。
【0037】
MPIスキャナの実施形態10は、平行な円形コイル(再びx軸、y軸及びz軸に沿って指向される)の少なくとも1つの他のペア(好適には3つの他のペア)を有する。これらのコイルペア(
図1に示さず)は、受信コイルとして機能する。駆動及びフォーカス磁界のためのコイルペア12、14、16と同様に、これらの受信コイルペアの1つに流れる一定の電流によって生成される磁界は、視野内で空間的にほぼ一様であり、個々のコイルペアの軸に平行である。受信コイルは、良好に減結合されることができる。受信コイルに誘起される時間依存の電圧は、このコイルに取り付けられる受信器によって増幅され、サンプリングされる。より正確には、この信号の巨大な動的レンジに対処するために、受信器サンプルは、受信信号と基準信号との間の差をサンプリングする。受信器の伝達関数は、ゼロヘルツ(「DC」)から、期待される信号レベルがノイズレベルを下回る周波数まで、非ゼロである。代替として、MPIスキャナは、専用の受信コイルを有しない。その代わりに、駆動磁界送信コイルは、組み合わされる駆動受信コイルを使用する本発明による例と同様に、受信コイルとして使用される。
【0038】
図1に示されるMPIスキャナの実施形態10は、z軸22に沿って、すなわち選択磁界の軸に沿って、円筒状ボア26を有する。すべてのコイルは、このボア26の外側に配置される。データ取得のために、イメージングされるべき患者(又は対象)は、ボア26内に配置され、それにより、患者の関心ボリューム−イメージングされる患者(又は対象)のボリューム−は、スキャナの視野28−スキャナのボリュームであり、そのコンテントを、スキャナはイメージングすることができる−によって囲まれる。患者(又は対象)は、例えば、患者テーブル上に配置される。視野28は、ボア26の内部の幾何学的に簡素な(例えば立方体、球、柱体又は任意の形状のような)アイソセントリックのボリュームである。立方体の視野28が
図1に示されている。
【0039】
第1のサブゾーン52のサイズは、選択磁界の勾配の強度、及び飽和のために必要とされる磁界の強度に依存し、飽和に必要な磁界強度は、磁性粒子に依存する。選択磁界の80A/mの磁界強度及び50x10
3A/m
2に達する磁界強度の(所与の空間方向における)勾配において、典型的な磁性粒子の十分な飽和のために、粒子の磁化が飽和しない第1のサブゾーン52は、(所与の空間方向において)約1mmの寸法を有する。
【0040】
患者の関心ボリュームは、磁性ナノ粒子を含むことが想定される。例えば、腫瘍の診断イメージングの前に、磁性粒子は、例えば磁性粒子を含む液体によって、関心ボリュームへ運ばれる。磁性粒子を含む液体は、患者(対象)の身体に注入され、又は他のやり方で患者に投与され、例えば経口で投与される。
【0041】
概して、磁性粒子を視野まで運ぶためのさまざまな方法が存在する。特に、磁性粒子が患者の身体に導入されることができる場合、磁性粒子は、外科的な方法及び非外科的な方法を用いて投与されることができ、(医療専門家のような)専門家を必要とする方法及び専門家を必要としない方法の両方があり、専門家は、素人、又は当業者、又は患者自身によって実施されることができる。外科的な方法の中には、例えばトレーサの血管への注入のような侵襲ステップを含む(このような注入が仮に外科的な方法と考えられるとして)、潜在的に危険でない及び/又は安全で日常的な介入があり、このような介入は、実施されるべき多くの専門的な医療技術が実施される必要がなく、重篤な健康リスクを伴わない。更に、嚥下又は吸気のような他の非外科的な方法が適用されることもできる。
【0042】
概して、データ取得における実際のステップが実施される前に、磁性粒子は事前に供給され、又は事前に投与される。しかしながら、実施形態において、他の磁性粒子が視野に供給され/投与されることも可能である。
【0043】
磁性粒子の一実施形態は、例えば軟磁性層を具備するガラスの球状基板を含み、軟磁性層は、5nmの厚さを有し、鉄−ニッケル合金(例えばパーマロイ)からなる。この層は、例えば、粒子を化学的に及び/又は物理的に攻撃的な環境(例えば酸)から保護するコーティング層によってカバーされることができる。このような粒子の磁化の飽和のために必要とされる選択磁界50の磁界強度は、例えば粒子の直径、磁性層のために使用される磁性材料及び他のパラメータのような、さまざまなパラメータに依存する。
【0044】
例えばこのような磁性粒子を有する10μmの直径の場合、約800A/m(およそ1mTのフラックス密度に対応する)の磁界が必要とされ、100μmの直径の場合、80A/mの磁界で十分である。より低い飽和磁化を有する材料のコーティングが選択される場合、又は層の厚さが低減される場合、一層小さい値が得られる。
【0045】
実際、商品名Resovist(又は、同様の磁性粒子)の下で市販される磁性粒子が、しばしば使用され、かかる磁性粒子は、磁性材料のコアを有する又は塊状の球体として形成され、例えば40又は60nmというナノメートルのレンジの直径を有する。
【0046】
概して使用できる磁性粒子及び粒子組成の他の詳細については、欧州特許第1224542号、国際公開第2004/091386号、国際公開第2004/091390号、国際公開第2004/091394号、国際公開第2004/091395号、国際公開第2004/091396号、国際公開第2004/091397号、国際公開第2004/091398号、国際公開第2004/091408号の対応する部分が参照され、それらの内容は、参照によってここに盛り込まれるものとする。これらの文書において、一般のMPI方法のより多くの詳細を同様に見つけることができる。
【0047】
データ取得の間、x、y及びzコイルペア12、14、16は、位置依存及び時間依存の磁界である印加される磁界を生成する。これは、適切な電流を磁界生成コイルに導くことによって達成される。事実、駆動及びフォーカス磁界は、選択磁界をあちこち動かし、それにより、FFPは、視野のスーパーセットであるスキャニングボリュームをトレースする予め選択されたFFP軌道に沿って移動する。印加される磁界は、患者の磁性ナノ粒子を方向付ける。印加される磁界が変化するとき、結果として得られる磁化も変化するが、それは、印加される磁界に非線形に応答する。変化する印加磁界及び変化する磁化の合計は、xk軸に沿って受信コイルペアの端子をまたいで時間依存の電圧Vkを誘起する。関連する受信器は、この電圧を信号Skに変換し、その信号は、更に処理される。
【0048】
図1に示される第1の実施形態10のように、
図3に示されるMPIスキャナの第2の実施形態30は、3つの円形の、互いに直交するコイルペア32、34、36を有するが、これらのコイルペア32、34、36は、選択磁界及びフォーカス磁界のみを生成する。ここでも選択磁界を生成するzコイル36は、強磁性材料37で満たされる。この実施形態30のz軸42は垂直に向けられており、x軸及びy軸38、40は水平に向けられる。スキャナのボア46は、x軸38に平行であり、ゆえに選択磁界の軸42に対し垂直である。駆動磁界は、x軸38に沿ったソレノイド(図示せず)によって、及び2つの残りの軸40、42に沿ったサドルコイル(図示せず)のペアによって、生成される。これらのコイルは、ボアを形成する管体に巻き付けられる。駆動磁界コイルは更に受信コイルとしても働く。
【0049】
このような実施形態の幾つかの一般的なパラメータを与えるために、選択磁界(G)のz勾配は、G/μ0=2.5T/mの強度を有し、ここで、μ0は、真空透磁率である。駆動磁界の時間周波数スペクトルは、25kHz(約250kHzまで)付近の狭い帯域に集中される。受信された信号の有用な周波数スペクトルは、50kHzと1MHzの間(結局は最大で約15MHz)にある。ボアは120mmの直径を有する。ボア46にフィットする最大の立方体28は、
のエッジ長を有する。
【0050】
磁界生成コイルの構造は、概して当技術分野において、例えば磁気共鳴イメージングの分野から、知られているので、このことについては、本願明細書で詳しく述べる必要はない。
【0051】
選択磁界の生成のための代替の実施形態において、永久磁石(図示せず)が使用されることができる。このような(対向する)永久磁石(図示せず)の2つの極の間の空間には、対向する局が同じ極性を有する場合、
図2に示されるものと同様の磁界が形成される。別の代替の実施形態において、選択磁界は、少なくとも1つの永久磁石及び少なくとも1つのコイルの混合体によって生成されることができる。
【0052】
図4は、MPI装置200、300の一般的な外側のレイアウトの2つの実施形態を示す。
図4Aは、2つの選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220を含む、提案されるMPI装置200の実施形態を示しており、それらのコイルユニットは、基本的に同一であり、それらの間に形成される検査領域230の両側に配置される。更に、駆動磁界コイルユニット240が、患者(図示せず)の関心領域の周りに配置される選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220の間に配置される。選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220は、上記で説明された選択磁界及びフォーカス磁界を表す組み合わされた磁界を生成するための幾つかの選択及びフォーカス磁界コイルを有する。特に、選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220の各々は、好適には、選択及びフォーカス磁界コイルの同一のセットを有する。前記選択及びフォーカス磁界コイルの詳細は以下に説明される。
【0053】
駆動磁界コイルユニット240は、駆動磁場を生成する幾つかの駆動磁界コイルを含む。これらの駆動磁界コイルは、駆動磁界コイルの幾つかのペアを含むことができ、具体的には、駆動磁界コイルの1つのペアが、空間の3方向の各々において磁界を生成する。一実施形態において、駆動磁界コイルユニット240は、空間の2つの異なる方向用のサドルコイルの2つのペア、及び患者の長手軸に磁界を生成する1つのソレノイドコイルを含む。
【0054】
選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220は、概して、保持ユニット(図示せず)又は部屋の壁に取り付けられる。好適には、選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220は、個々のコイルを保持するための磁極片を有し、保持ユニットは、選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220を機械的に保持するだけでなく、2つの選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220の磁極片を接続する磁束の経路を提供する。
【0055】
図4aに示されるように、2つの選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220の各々は、駆動磁界コイルユニット240の駆動磁界コイルによって生成される磁界から選択及びフォーカス磁界コイルを遮蔽する遮蔽層211、221を有する。
【0056】
図4Bに示されるMPI装置201の実施形態では、ただ1つの選択及びフォーカス磁界コイルユニット220が、駆動磁界コイルユニット240と共に提供される。概して、単一の選択及びフォーカス磁界コイルユニットは、必要とされる組み合わされた選択及びフォーカス磁界を生成するのに十分である。従って、前記単一の選択及びフォーカス磁界コイルユニット220は、患者が検査のために配置される患者テーブル(図示せず)に組み込まれることができる。好適には、駆動磁界コイルユニット240の駆動磁界コイルは、(例えば可撓性コイル素子として)、あらかじめ患者の身体の周りに配置されることができる。別の実現例において、駆動磁界コイルユニット240は、開かれることができ、例えば、
図4bに軸方向に示される分離ライン243、244によって示されるように、2つのサブユニット241、242に分離可能であり、それにより、患者は、2つのサブユニット241、242の間に配置されることができ、駆動磁界コイルサブユニット241、242が一緒に結合されることができる。
【0057】
MPI装置の他の実施形態において、検査領域230の周りの一様な分布に従って好適に配置されるより多くの選択及びフォーカス磁界コイルユニットが、提供されることもできる。しかしながら、より多くの選択及びフォーカス磁界コイルユニットが使用されるほど、医療助手又は医師が患者をそこに配置するとともに、検査中に患者自身にアクセスするための検査領域へのアクセスしやすさが、一層制限される。
【0058】
図5は、本発明によるMPI装置100の一般のブロック図を示す。特に明記しない限り、上で説明される磁性粒子イメージングの一般法則は、有効であり、この実施形態にも適用できる。
【0059】
図5に示される装置100の実施形態は、所望の磁界を生成するさまざまなコイルを含む。まず、MPIのコイル及びそれらの機能について説明する。
【0060】
組み合わされた選択及びフォーカス磁界を生成するために、選択及びフォーカス手段110が提供される。選択及びフォーカス磁界は、低い磁界強度を有する第1のサブゾーン(
図2の52)及びより高い磁界強度を有する第2のサブゾーン(
図2の54)が視野28内に形成されるようなその磁界強度の空間パターンを有し、第1のサブゾーンでは、磁性粒子の磁化が飽和せず、第2のサブゾーンでは、磁性粒子の磁化が飽和する。視野28は、検査領域230の小さい部分であり、これは従来は選択磁界を用いて達成される。更に、選択及びフォーカス磁界を用いることによって、検査領域230内の視野28の空間位置が変更されることができ、これは、従来はフォーカス磁界を用いて行われる。
【0061】
選択及びフォーカス手段110は、前記選択及びフォーカス磁界の生成を制御するために、選択及びフォーカス磁界コイル114の前記少なくとも1つの組に供給される選択及びフォーカス磁界電流を生成するために、選択及びフォーカス磁界コイル114及び選択及びフォーカスフィールド生成器ユニット112の少なくとも1つの組(
図4A、
図4Bに示される選択及びフォーカス磁界コイルユニット210、220のうちの1つを表す)を含む。好適には、別個の生成器サブユニットが、選択及びフォーカス磁界コイル114の少なくとも1つの組の各々のコイル素子(又はコイル素子の各々のペア)に提供される。前記選択及びフォーカス磁界生成器ユニット112は、選択及びフォーカス磁界への各コイルの寄与の勾配強度及び磁界強度を設定するように個々のコイル素子に磁界電流を供給する、制御可能な電流源(概して増幅器を含む)及びフィルタユニットを有する。フィルタユニット114が省かれることもできることに留意すべきである。更に、他の実施携帯では、別々のフォーカス及び選択手段が提供される。
【0062】
駆動磁界を生成するために、装置100は駆動手段120を更に有し、駆動手段120は、磁性材料磁化が局所的に変化するように駆動磁界によって視野内の2つのサブゾーンの空間位置及び/又はサイズを変更するために、駆動磁界信号発生器ユニット122及び駆動磁界コイル124の組(
図4A、
図4Bに示される駆動コイルユニット240を表す)を有する。上で述べたように、前記駆動磁界コイル124は、好適には、対向して配置されるサドルコイルの2つのペア125、126及び1つのソレノイドコイル127を有する。例えばコイル素子の3つのペアのような実現例も可能である。
【0063】
駆動磁界信号発生器ユニット122は、好適には、駆動磁界コイル124の前記組の各コイル素子(又は少なくともコイル素子の各ペア)ごとに、別個の駆動磁界信号生成サブユニットを有する。前記駆動磁界信号発生器ユニット122は、好適には、個々の駆動磁界コイルに時間依存の駆動磁界電流を供給するために、駆動磁界電流源(好適にはパワーアンプを含む)及びフィルタユニットを有する。
【0064】
選択及びフォーカス磁界信号発生器ユニット112及び駆動磁界信号発生器ユニット122は、好適には、制御ユニット150によって制御され、制御ユニット150は、好適には、選択磁界のすべての空間ポイントの磁界強度の合計及び勾配強度の合計が予め規定されたレベルに設定されるように、選択及びフォーカス磁界信号発生器ユニット112を制御する。このために、制御ユニット150は、MPI装置の所望のアプリケーションに従って、ユーザによって制御命令を提供されることもできるが、これは、好適には本発明に従って省かれる。
【0065】
MPI装置100を使用して検査領域(又は検査領域内の関心領域)における磁性粒子の空間分布を決定するために、特に前記関心領域の画像を取得するために、特に受信コイルである信号検出受信手段、及び前記受信手段によって検出された信号を受信する信号受信ユニット140が、提供される。従来、1乃至3の別個の受信コイルが、受信手段としてMPI装置に提供される。しかしながら、本発明によれば、前記駆動磁界コイル124(又は、駆動磁界コイルペア)の1乃至3は、(同時に又は代わる代わる)検出信号を受信する受信コイルとして働く。従って、これらの駆動磁界コイルは、ここで「駆動受信コイル」と呼ばれる。
【0066】
駆動磁界の生成及び検出信号の検出は、同時に又は交替で実施されることができる。好適には、すべての3つの駆動受信コイル(又はコイルペア)125、126、127が、コイルを受信するように働き、3つの受信ユニット140−駆動受信コイル(又はコイルペア)あたり1つ−が、実際に提供されるが、3より多い駆動受信コイル及び受信ユニットが使用されることもでき、その場合、取得される検出信号は、3次元でなく、K次元であり、ここでKは駆動受信コイルの数である。
【0067】
前記信号受信ユニット140は、受信した検出信号をフィルタリングするフィルタユニット142(Rxフィルタとも呼ばれる)を有する。このフィルタリングの目的は、2つの部分領域(52、54)の位置の変化によって影響を及ぼされる検査領域の磁化によってもたらされる測定値を、他の干渉信号(具体的には基本周波数のクロストーク)から分離することである。このために、フィルタユニット142は、例えば駆動受信コイルが動作される時間周波数より小さい又はこれらの時間周波数の2倍より小さい時間周波数を有する信号がフィルタにユニット142を通過しないように、設計されることができる。信号は、増幅器ユニット144(低雑音増幅器(LNA)とも呼ばれる)を通じてアナログ/デジタル変換器146(ADC)に送信される。
【0068】
アナログ/デジタル変換器146によって生成されるデジタル化された信号は、画像処理ユニット(再構成手段とも呼ばれる)152に供給され、画像処理ユニットは、これらの信号、及び個々の信号の受信中に検査領域内の第1の磁界の第1の部分領域52が占めた位置であって画像処理ユニット152が制御ユニット150から取得する個々の位置から、磁性粒子の空間分布を再構成する。磁性粒子の再構成された空間分布は、コンピュータ154に制御手段150を通じて最終的に送信され、コンピュータは、モニタ156上にそれを表示する。こうして、検査領域の視野の磁性粒子の分布を示す画像が表示されることができる。
【0069】
MPI装置100の他のアプリケーションにおいて、例えば磁性粒子に影響を与えるために(例えば温熱療法のため)、又は(例えばカテーテルを移動させるためにカテーテルに取り付けられる又は薬剤を特定のロケーションへ移動させるために薬剤に付される)磁性粒子を移動させるために、受信手段は省かれてもよく、又は単に使用されなくてもよい。
【0070】
更に、例えばキーボードのような入力ユニット158が任意に提供されることができる。従って、ユーザは、最も高い解像度の所望の方向を設定することが可能であり、次いで、モニタ156上で作用領域の個々の画像を受け取る。最も高い解像度が必要とされる重要な方向が、ユーザによって最初に設定された方向から逸脱する場合、ユーザは、改善されたイメージング解像度をもつ他の画像を生成するために、方向をなお手動で変えることができる。この解像度改善プロセスは、制御ユニット150及びコンピュータ154によって自動的に動作されることもできる。本実施形態における制御ユニット150は、勾配磁界を自動的に算定された第1の方向に設定し、又はユーザによる開始値として設定する。その後、(コンピュータ154によって比較される)受信される画像の解像度が、これ以上は改善されない最大となるまで、勾配磁界の方向は徐々に変更される。従って、最も重要な方向は、可能である最高解像度を受けるために、自動的に個々に適応されて見つけられることができる。
【0071】
更に、本発明によれば、前記駆動磁界信号発生器ユニット122と前記信号受信ユニット140との間に結合されるブリッジユニット160が提供される。前記ブリッジユニット160は、以下により詳しく説明されるように4つのブリッジサブユニットを有し、前記駆動受信コイル124は、前記ブリッジサブユニットのうちの1つのブリッジサブユニットの一部である。更に、結合ユニット170が、ブリッジユニット160への結合のために、駆動磁界信号発生器ユニット122とブリッジユニット160との間に結合される。
【0072】
図6は、MPI装置において使用される一般のフィルタリングスキーム300及び前記フィルタリングスキームの中の個々の異なる接続部において取得されるさまざまな信号のスペクトルを示すブロック図を示す。前述されるように、MPIは、(バンドパスフィルタ303と共に)
図5に示される駆動磁界信号発生器ユニット122を基本的に表現するシンセサイザ301及びパワーアンプ302を使用することによって、外部のシヌソイド磁界励起を受ける磁性粒子によって生成される高調波を検出することに基づく。励起及び受信は、(バンドストップフィルタ307と共に)
図5に示される信号受信ユニット140を基本的に表現する低雑音増幅器308及びADC309を使用することによって、同時に行われ、単に周波数ドメインにおいて分離される。古典的な分離は、ノッチフィルタ(例えばLC共振器)によって、すなわち送信コイル304(駆動磁界コイル)の前のバンドパスフィルタ303及び受信コイル306の後のバンドストップフィルタ307、によって実現され、前記送信コイル304及び前記受信コイル306は、検査のために患者が配置されるボア305の近くに配置される別個のコイルである。患者に最も近いコイルのより高い感度のため、患者に非常に近い空間において、送信コイル304と受信コイル306との間に競合がある。この「競合」は、本発明により、ジョイント送信/受信コイル、すなわち上述した駆動受信コイルを使用することによって、解決される。
【0073】
特にパワーアンプ302から生成される高調波のような送信側から受信側へのクロストークがあるので、駆動磁界からの高調波が受信経路に入らないことを確実にするために、多くの努力がバンドパスフィルタ303に費やされる。しかしながら、この努力の成功は、フィルタ303自体のコンポーネントによって最終的に制限されることが分かった:特にキャパシタ(のみならず他のコンポーネント及び材料)は非線形に振る舞う。それらが非線形である程度は、非常に小さいので測定するのが困難であり、他のアプリケーションには懸念がないようである。それでもなお、最適キャパシタ技術を識別する努力にもかかわらず、それは、この受信スキームの制限になる。
【0074】
MPI装置の感度は、概して以下によって制限される:
i.広帯域である及び損失コンポーネントから発するノイズ、主に熱のノイズ。低損失コンポーネント又は冷却が、これを最小にすることを助ける。
ii.一般に特有の周波数をもつ顕著なエネルギーを有する外部の干渉成分。スペクトル内のこのような目立つ妨害成分は、例えば、MPI受信周波数レンジで動作する長波ラジオ放送から生じうる。これを最小限にするために、遮蔽されるキャビネットが一般に用いられる。
【0075】
iii.高調波バックグラウンド、すなわち任意のナノ粒子が存在しない状況で生ずる高調波。高調波のさまざまなソースが存在する。
a)DFパワーアンプの非線形性。これを阻止するために、Txバンドパスフィルタが実現される。
b)フィルタリング成分の非線形性。これを最小にするために、キャパシタタイプがそれらの直線性のため選択され、インダクタは、好適には強磁性材料を用いずに実現される。これは、すべてのフィルタ(Tx及びRx)にとって重要である。
c)高電流共振器内のコンポーネントの非線形性。ここで、これは、それが最大電流及び電圧が生じる高電流共振器内にあるという理由で、特に重要である。残りの高調波バックグラウンドに対して重要な1つのコンポーネントは、同調コンデンサアセンブリの非線形性である。
【0076】
iv.駆動磁界増幅器によって生成される広帯域ノイズ。これは、本発明によれば特に関心のあるものであり、
図6を参照して説明された。両方とも共通しない特定の帯域幅を有するTxフィルタもRxフィルタも、例えば基本周波数150kHzの場合+/−20kHzの基本周波数付近のノイズを抑制することが可能でない。スペクトルにおいて、この側波帯ノイズは、抑制される基本周波数付近の対称的なショルダー部として現れる。
【0077】
知られている解決策の不利益は、例えば、1mより大きい直径を有するコアレストロイダルインダクタとして一般に実現される大きいグラジオメータを用いてそれを実現するための膨大な努力である。グラジオメータコイルのQファクタは、ノイズを生成する他の損失を実現しないように、非常に高いことを必要とする。従って、多くの特別なRFリッツ線が使用される必要があり、多くのコスト及び重量をもたらす。本発明は、実現するのがはるかに容易であり、大きなコストを与えない、軽量な代替物を提供する。それは、少なくとも制限iii.a)、iii.b)及びiv)を軽減することが可能である。
【0078】
図7乃至
図14は、本発明によるMPI装置のさまざまな実施形態の回路図を示す。
図5に示されるMPI装置100と同じ素子には、同様の参照番号が付されている。しかしながら、
図5に示されるすべて素子が、
図7乃至
図14に必ずしも示されているわけではない。
【0079】
図7は、MPI装置400の一般レイアウトの回路図を示す。MPI装置400は、駆動磁界信号発生器ユニット122と、信号受信ユニット140と、前記駆動磁界信号発生器ユニット122及び前記信号受信ユニット140の間に結合されるブリッジユニット160と、ブリッジユニット160に結合するために、駆動磁界信号発生器ユニット122及びブリッジユニット160の間に結合される結合ユニット170と、を有する。前記ブリッジユニット160は、4つのブリッジサブユニット410、420、430、440を有する。第1のブリッジサブユニット410は、第1の誘導又は容量結合素子411を有する。第2のブリッジサブユニット420は、第2の誘導又は容量結合素子421を有する。前記第1のブリッジサブユニット410と直列に結合される第3のブリッジサブユニット430は、測定インダクタ431を有する。前記第2のブリッジサブユニット420と直列に結合される第4のブリッジサブユニット440は、(ジョイント送信及び受信コイルとして働く)駆動受信コイル441を有する。信号受信ユニット140は、第1及び第2のブリッジサブユニット410、420の間に配置された第1の出力端子451と、第3及び第4のブリッジサブユニット430、440の間に配置された第2の出力端子452と、に結合される。
【0080】
図8は、誘導結合を使用する本発明によるMPI装置401の第2の実施形態の回路図を示す。この実施形態において、結合ユニット170は、誘導結合のために構成され、一次結合インダクタ171を有し、第1のブリッジサブユニット410が、第1の二次結合インダクタ412を有し、第2のブリッジサブユニット420が、第2の二次結合インダクタ422を有する。一次結合インダクタ171及び二次結合インダクタ412、422は、トランスのように誘導結合される(矢印175によって示される)。
【0081】
図9は、容量結合を使用する本発明によるMPI装置402の第3の実施形態の回路図を示す。この実施形態において、結合ユニット170は、容量結合のために構成され、前記駆動磁界信号発生器ユニット122を、第1及び第3のブリッジサブユニット410、430の間に配置された第1の入力端子453に、及び第2及び第4のブリッジサブユニット420、440の間に配置された第2の入力端子454に、接続するためのスルー接続172を有する。第1のブリッジサブユニット410は、第1の結合キャパシタ413を有し、第2のブリッジサブユニット420は、第2の結合キャパシタ423を有する。
【0082】
本発明に関係なく、高電流共振器は、U
LNAが測定される出力端子に関して常に対称性を有し、出力端子には、(好適には、帯域阻止フィルタとも呼ばれるRxフィルタを通じて)低雑音増幅器が接続される。基本的に高いQインダクタ及び高いQキャパシタ並びにいくらかの抵抗損失をもつループである全体としての高電流共振器(すなわちブリッジユニット160)だけでなく、その各々の半分(ブリッジサブユニット410、430を含む左半分及びブリッジサブユニット420、440を含む右半分)もが、駆動チャネルの周波数である共振周波数(基本周波数とも呼ばれる)に同調される。これは、基本周波数をキャンセルするために行われ、そうでない場合、基本周波数は、非常に強いので、それはLNAを飽和させる(次に、それは非線形になり、これは回避されなければならない)。しかしながら、キャンセルは、基本周波数に限られるものであり、他の周波数には及ばず、すなわち、それは広帯域でない。
【0083】
(最初に駆動磁界パワーアンプから生じて、プリフィルタ又はバンドパスフィルタと呼ばれるTxフィルタによってフィルタリングされた)入力信号を、高電流共振器(すなわちブリッジユニット160)に結合する標準的な方法は、それを誘導結合回路網(ICN)の一次側に接続することである。しかしながら、これは、信号を共振器の左半分(ブリッジサブユニット410、430)にのみ結合し、共振器の右半分(ブリッジサブユニット420、440)に結合しないので、対称性を壊す。
【0084】
本発明は、その代わりに、
図7乃至
図9に示されるように、高電流共振器(すなわちブリッジユニット160)への入力における平衡ブリッジに基づく。1つの結合素子にのみ入力信号を結合する代わりに、入力信号は、高電流共振器に対称に組み込まれた2つの結合素子411及び421に対称性をもって結合される。従って、信号は、共振器の左半分(410、430)及び右半分(420、440)の両方に結合され、対称性が保たれる。
【0085】
図10乃至
図13は、誘導結合を使用する本発明によるMPI装置の実施形態のより詳細な回路図を示し、ここで、駆動磁界信号発生器ユニット122及び信号受信ユニット140は図示されない。
【0086】
図10に示されるMPI装置403は、直列に結合される第1の一次結合インダクタ171a及び第2の一次結合インダクタ171bを有する誘導結合ユニット170を有し、それにより、並列の結合もまた動作することに留意すべきである。第3及び第4のブリッジサブユニット430、440の各々が、前記測定インダクタ431及び前記駆動受信コイル441にそれぞれ直列に結合される2つのブリッジキャパシタ432、433及び442、443を有する。この実施形態は、Tx対称性(左/右)及びRx対称性(上/下)を提供する。
【0087】
基本周波数、ノイズ及び高調波を含むいかなる周波数の信号も、駆動磁界信号発生器ユニット122から信号受信ユニット140に向かう途中で抑制されることを確実にするために満たされるべき条件が、
図10を参照して説明される。具体的には、U1/U2=Z1/Z2が達成され、ここで、U1は、第1の二次結合インダクタ412に誘起される電圧であり、U2は、第2の二次結合インダクタ422に誘起される電圧であり、Z1は、第1及び第3のブリッジサブユニット410、430のインダクタンスであり、Z2は、第2及び第4のブリッジサブユニット420、440のインダクタンスである。それゆえ、ループが基本周波数に完全に同調されることは、ブリッジが動作するためには必要とされない。しかしながら、この条件はすべての周波数において当てはまる必要があるので、それは、共振周波数が同じでありうることを示す。更に、ブリッジユニットの左半分及び右半分が同じである必要はない。Z1及びZ2が等しくない状況に対処することも可能である。この場合、一次結合インダクタ171から2つの二次結合インダクタ412、422への結合が好適に適応される。
【0088】
出力端子451、452の間で測定される電圧U
LNAについて、以下が保たれる:
U
LNA=U1−IZ1=U1−(U2+U2)/(Z1+Z2)*Z1=0
これは、上述の条件U1/U2=Z1/Z2につながる。理想的には、結合ユニットによる結合は、微調整され、及び/又はブリッジユニット(特にキャパシタ及び/又はインダクタ)のコンポーネントが、以下のように選択される:
U1=U2及びZ1=Z2
【0089】
実際、(2つの一次結合インダクタ171a、171bの間で識別されない)いくつかのフラット巻線として実現される結合ユニット170(すなわち一次側)を有することが考えられ、それは、好適には二次結合インダクタ412、422の2つの二次巻線(すなわち二次側)の幾何学的な対称軸を中心に、幾何学的に動かされることができる。それゆえ、位置を機械的に調整することによって、誘起される電圧U1を増大させ、U2を低減することが可能であり、それにより、必要とされる比Z1/Z2に適応する。
【0090】
これを実現する努力は最小である。事実、いかなる冷却要求もなく、一次側は、例えば0.2m
2の領域のまわりのリッツ線の5巻きのように簡単なものでありうる。二次側は、一層簡単である:専用のコンポーネントを構築する必要はない。その代わりに、ブリッジユニットの他の素子の間に開けられる領域が、十分である。従って、基本的に1つの簡単な新しいコンポーネントが、十分な誘導結合を得るために、既存の高電流共振器の近傍におかれる。それによって、追加のコスト及び冷却要求が回避される。
【0091】
図11に示されるMPI装置404は、MPI装置403と非常に似ているが、結合ユニットは、第1の結合サブユニット170'(上述された結合ユニット170に対応する)を有するとともに、更に、互いに直列に結合される第3の一次結合インダクタ171c及び第4の一次結合インダクタ171dを含む第2の結合サブユニット170''を有する。第4の一次結合インダクタ171a−171dは直列に結合される。更に、第3の二次結合インダクタ434及び第4の二次結合インダクタ444は、出力端子452に両方とも直接結合される第3及び第4のブリッジサブユニット430、440の一部として提供される。この実施形態は、Tx対称性(左/右及び上/下)及びRx対称性(上/下)を提供する。
【0092】
ここまで説明された及び
図10及び
図11に示されたMPI装置の実施形態は、電気的に完全に対称であり、又はグラウンドに対し「平衡」である。以下に記述される及び
図12乃至
図14に示される他の実施形態において、ブリッジユニットの非対称の又は「非平衡」の実現例が示される。
【0093】
図12に示されるMPI装置405は、第2の出力端子452がグラウンドに結合される構成を提供し、ここで、結合ユニットの2つの一次結合インダクタ171a、171bは直列に結合される。
図13に示されるMPI装置406は、第1の出力端子451がグラウンドに結合され、結合ユニットの2つの一次インダクタ171a、171bが並列に結合される構成を提供する。一次インダクタ171a、171bは、個々の二次インダクタ412、422と比較して反対の極性を有する1つのコイルとして好適には実現される。
【0094】
図14に示されるMPI装置407は、容量結合を使用するものであり、すなわち、ここで結合ユニットは、第1及び第2の入力端子453、454へのスルー接続172を有する。更に、結合キャパシタ413、423は、第1及び第2のブリッジサブユニットに提供される。容量結合を使用し、ブリッジへの対称な入力及び非対称の出力を有するこの実施形態は、誘導結合を使用する実施形態に関して上述されたものと同じ態様で又は同様の態様で更に変更されることができる。
【0095】
要するに、本発明は、対称性によってバックグラウンド高調波を抑制するために平衡ブリッジトポロジを提供し、これは、既知の解決策よりコストが低く、扱いにくさが少ない。高電流共振器は、平衡ブリッジの対称性を有し、すなわち、増幅器からの入力ポートは左/右の対称性を有し、LNAに向かう出力ポートは、上/下の対称性を有する。既知の解決策とは異なり、対称性は直交する。新しく導入された結合ユニットは、追加のコンポーネントであるが、それは非常に小さいインダクタンスを有するので、多くのサイズ/ボリューム/コストを付加していない。概して、ブリッジユニットの(左右の)半分(一方は第1の及び第3のブリッジサブユニット410、430であり、他方は第2及び第4のブリッジサブユニット420、440)は共に、駆動磁界周波数で共振し、それによって、(LNAへの)出力ポートに対する(増幅器からの)入力ポートの広帯域(すなわち周波数独立の)分離を確実にする。このように、増幅器(基本波、高調波、擬似の信号、ノイズ)から発するすべての信号は、LNAから分離される。
【0096】
本発明は、図面及び上述の説明において詳しく図示され記述されているが、このような図示及び記述は、制限的ではなく、説明的又は例示的なものであると考えられることができる。本発明は、開示された実施形態に制限されない。図面、開示及び添付の請求項の検討から、開示された実施形態に対する他の変更が、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
【0097】
請求項において、「有する、含む(comprising)」という語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外しない。単一の構成要素又は他のユニットは、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0098】
請求項における参照符号は、本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。
【解決手段】視野内の磁性粒子に影響を与える及び/又は検出する装置は、選択磁界を生成する選択手段と、駆動及び受信手段とを有し、駆動及び受信手段は、視野内の2つのサブゾーンの空間位置を変化させ、検出信号を取得するための1又は複数の組み合わされた駆動磁界及び選択コイル441を有する。高調波バックグラウンドを低減するための軽量で、安価で、容易に実行可能な誘導又は容量結合素子411、421を有する平衡ブリッジユニット160が、駆動磁界信号発生器ユニット122と信号受信ユニット140との間に提供される。