(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5815912
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】低密度製品のためのビーズ発泡体圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20151029BHJP
B29K 75/00 20060101ALN20151029BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20151029BHJP
【FI】
B29C67/22
B29K75:00
B29K105:04
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-521682(P2015-521682)
(86)(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公表番号】特表2015-523251(P2015-523251A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】US2013049561
(87)【国際公開番号】WO2014011537
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】13/545,532
(32)【優先日】2012年7月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314006455
【氏名又は名称】ナイキ イノヴェイト シーヴィー
(74)【代理人】
【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【弁理士】
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】バグダディ ホセイン エー
(72)【発明者】
【氏名】シラー デニス
(72)【発明者】
【氏名】ユー スイ−チー ジェイ
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−246826(JP,A)
【文献】
特開2010−058388(JP,A)
【文献】
特開平04−218540(JP,A)
【文献】
特開平03−173631(JP,A)
【文献】
特開2007−326329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00
B29K 75/00
B29K 105/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成形品を型成形する方法であって、
物品の形状に形成された圧縮型内に、0.01g/cm3〜0.3g/cm3の密度を有する所望の量の熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズを配置する工程と、
前記圧縮型を閉鎖する工程と、
前記圧縮型の温度を、300秒間〜1500秒間の時間をかけて130℃〜180℃のピーク温度に至らせる工程と、
前記ピーク温度に達してから30秒以内の後に、300秒間〜1500秒間の時間をかけて5℃〜80℃の温度にまで前記圧縮型を冷却する工程と、
成形品を取り出す工程と、
を含む方法。
【請求項2】
型成形の前記ピーク温度が、140℃〜170℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、0.01g/cm3〜0.1g/cm3の密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、ASTM D1238に準拠した測定で(190℃、21.6kgで)少なくとも160グラム/10分のメルトフローインデックスを有する熱可塑性ポリウレタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、ASTM D1238に準拠した測定で(190℃、21.6kgで)180グラム/10分〜250グラム/10分のメルトフローインデックスを有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、熱可塑性ポリエステル−ポリウレタン、熱可塑性ポリエーテル−ポリウレタンおよび熱可塑性ポリカーボネート−ポリウレタンからなる群から選択される熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、熱可塑性ポリエステル−ポリウレタンエラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、熱可塑性ポリエーテル−ポリウレタンエラストマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリエーテル−ポリウレタンエラストマーは、ジフェニルメタンジイソシアネートの反応生成物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、0.5mm〜1.5cmの直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、緻密な外被を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記配置する工程における前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズおよび前記圧縮型の温度がそれぞれ、80℃未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
0.1g/cm3〜0.45g/cm3の密度を有する発泡成形品を提供できるように、前記圧縮型内に配置される前記熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズの量が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記圧縮型の温度を、300秒間〜1200秒間の時間をかけて前記ピーク温度に至らせる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
9マイクロメートル〜200マイクロメートルの外被厚さを有する成形品を生成するように、前記ピーク温度が選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記圧縮型が、300秒間〜1200秒間の時間をかけて冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記圧縮型を冷却する工程が、前記ピーク温度に達した直後に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記圧縮型が、0.09℃/秒〜0.55℃/秒の冷却速度で冷却される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、履物用の発泡物品の成形に関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、本発明を理解するのに役立つ情報を提供するが、この情報は、必ずしも先行技術であるとは限らない。
【0003】
熱可塑性樹脂は、リサイクル可能な材料として望ましい。しかしながら、熱硬化性材料は、ある用途に適した特性を有し得る。
【0004】
Brantらの米国特許第6,759,443号明細書には、ビニルポリマーグラフト化ポリオキシアルキレンポリエーテルから作製されるポリウレタンを発泡させることによって作製されるポリウレタン発泡体の靴底が記載されている。ポリエチレンワックスおよびポリテトラフルオロエチレンが、耐摩耗性を向上させるために加えられる。
【0005】
Takemuraらの米国特許第6,878,753号明細書には、熱硬化性ポリウレタン発泡体で作製される靴底およびミッドソールが記載されている。この発泡体は、ポリオールを、触媒、水および尿素と混合することによって予め調製されるポリオール溶液、連鎖延長剤、および必要に応じて添加剤を、成形機中で撹拌しながらポリイソシアネート化合物と混合する工程と;得られた混合物を型に注入し、混合物を発泡させる工程とを含む方法によって作製される。ポリウレタン発泡体の成形品の密度は、0.15〜0.45g/cm
3であることが記載されている。
【0006】
Fischerらの国際公開第94/20568号パンフレットには、1〜20ミリメートルの平均直径を有する熱可塑性ポリウレタンミニペレットまたはビーズ発泡体が記載されている。ポリウレタンは、ポリエステル系およびポリエーテル系材料である。ビーズ発泡体は、圧力下で成形され、加圧蒸気を導入することによって加熱される。
【0007】
Prissokらの米国特許出願公開第2010/0047550号明細書には、ポリウレタンのマトリックスおよびマトリックス中に埋め込まれた熱可塑性ポリウレタンの発泡粒子を含むハイブリッド材料が記載されている。ハイブリッド材料は、靴底を作製するのに使用され得る。マトリックスポリウレタンは、成形中に発泡され得る。
【0008】
Prissokらの米国特許出願公開第2010/0222442号明細書には、発泡剤を含み、かつA44〜A84のショア硬度を有する発泡性熱可塑性ポリウレタンが記載されている。発泡体は、ポリウレタンの発泡ビーズを、熱に曝露しながら密閉型中で互いに融合させることによって、ポリウレタンの発泡ビーズから生成され得る。Prissokらは、ビーズが型に充填され、型が閉鎖され、蒸気または熱風が型に導入されて、ビーズをさらに発泡させ、それらを互いに融合することを教示している。このように作製される発泡体は、8〜600g/Lの範囲の密度を有することが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、発泡ビーズまたはミニペレットを成形するその先行する方法は、ビーズを部分的に圧縮させることがあり、これは、より低い密度が望ましい用途に望ましくないことが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この項は、本発明の完全な範囲および本発明の全ての特徴の包括的な開示ではなく、一般的な概要を提供する。
【0011】
履物用のミッドソールなどの発泡物品を成形するための方法が開示され、ここで、所望の量の熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズが、物品の形状の圧縮型に入れられ、型が、約300〜約1500秒間の期間にわたって、約130℃〜約180℃のピーク温度にされ、次に、ピーク温度に達してから約30秒以内に、約300〜約1500秒間の期間にわたって、約5℃〜約80℃に冷却される。発泡体ビーズは、約0.01〜約0.3g/cm
3の密度を有していてもよく、成形品は、約0.1〜約0.45g/cm
3の密度を有し得る。
【0012】
この方法は、ミッドソールなどの履物物品の構成要素、クッションパッド、または中敷などのミッドソールの構成要素を作製するのに使用され得る。
【0013】
「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、および「1つ以上の」は、物品の少なくとも1つが存在することを示すために同義的に使用され;文脈上明らかに他の記載がない限り、複数のこのような物品が存在し得る。添付の特許請求の範囲を含め、本明細書におけるパラメータの(例えば、量または条件の)全ての数値は、「約」が数値の前に実際にあるか否かにかかわらず、全ての場合において、「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。「約」は、記載される数値が多少の不正確さを許容することを示す(精密な値にある程度近似して;値に対しておおよそまたは合理的に近接して;ほぼ)。「約」によって示される不正確さが、当該技術分野においてこの通常の意味と別の意味で理解されない場合、本明細書において使用される際の「約」は、少なくとも、このようなパラメータの通常の測定および使用方法から生じ得る変動を示す。さらに、範囲の開示は、全範囲内の全ての値およびさらに分割される範囲の開示を含む。
【0014】
さらなる適用範囲は、本明細書において提供される説明から明らかになるであろう。説明および特定の例が、あくまでも例示を目的としたものであり、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0015】
図面は、本開示に記載される選択された実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズを、履物物品の構成要素などの物品へと成形するための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
例示的な非限定的な実施形態の詳細な説明が以下に続く。
【0018】
熱可塑性ポリウレタン発泡体ミニペレットまたはビーズは、約0.01〜約0.3g/cm
3の密度を有し得る。一般に、熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズのより低い密度は、ビーズから成形される製品のより低い密度を可能にする。様々な実施形態において、発泡体ビーズは、約0.3g/cm
3以下または約0.1g/cm
3以下の密度を有し得る。例えば、熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、約0.03〜約0.1g/cm
3の密度を有し得る。熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、熱可塑性ポリウレタンから作製される。ビーズは、1つの熱可塑性ポリウレタンのみを用いて作製されてもよく、または、2つ以上の熱可塑性ポリウレタンのポリマーブレンドから作製され得る。ビーズは、統合発泡体であり得る。
【0019】
発泡体ビーズを作製する熱可塑性ポリウレタンは、ASTM D1238に準拠して測定した際に(190℃、21.6kgで)少なくとも約160グラム/10分のメルトインデックス(メルトフローインデックスまたはメルトフローレートとも呼ばれる)を有し得る。様々な実施形態において、メルトインデックスは、それぞれASTM D1238に準拠して測定した際に、(190℃、21.6kgで)約160〜約250グラム/10分または(190℃、21.6kgで)約160〜約220グラム/10分であり得る。
【0020】
熱可塑性ポリウレタンは、(a)イソシアネートに対して反応性の二官能性化合物とジイソシアネートの反応によって生成され得る。一般に、二官能性化合物は、2つのヒドロキシル基(ジオール)を有し、62(エチレングリコールのモル質量)〜約10,000のモル質量を有し得るが、他のイソシアネート基(例えば、第二級アミン)を有する二官能性化合物が、一般に少量で使用されてもよく、限られたモル分率の三官能性および単官能性イソシアネート反応性化合物が使用され得る。好ましくは、ポリウレタンは直鎖状である。約400以上のモル質量を有する二官能性化合物を含むことにより、ソフトセグメントをポリウレタン中に導入する。ポリウレタン中のハードセグメントに対するソフトセグメントの比率の増加により、ポリウレタンが、ますます可撓性になり、最終的にはエラストマーになる。成形品が履物物品用のアウトソールである場合などの特定の実施形態において、ビーズは、剛性熱可塑性ポリウレタンまたは熱可塑性ポリウレタンの組合せを用いて有利に作製され得る。成形品が履物用のミッドソールである場合などの様々な他の実施形態において、ビーズは、エラストマー熱可塑性ポリウレタンまたはエラストマー熱可塑性ポリウレタンの組合せを用いて有利に作製され得る。
【0021】
好適なエラストマー熱可塑性ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、およびポリカーボネート−ポリウレタンが挙げられる。これらの非限定的な好適な例としては、限定はされないが、ジオール反応剤として、ジオールおよびジカルボン酸または無水物から調製されるポリエステルジオール、ポリラクトンポリエステルジオール(例えばポリカプロラクトンジオール)、1つのヒドロキシル基を含有するモノカルボン酸であるヒドロキシ酸から調製されるポリエステルジオール、ポリテトラヒドロフランジオール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組合せから調製されるポリエーテルジオール、ならびにポリヘキサメチレンカーボネートジオールおよびポリ(ヘキサメチレン−コ−ペンタメチレン)カーボネートジオールなどのポリカーボネートジオールを用いて重合されるポリウレタンが挙げられる。エラストマー熱可塑性ポリウレタンは、これらのポリマージオール(ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリラクトンジオール、ポリテトラヒドロフランジオール、またはポリカーボネートジオール)のうちの1つ、1つ以上のポリイソシアネート、および、任意に、1つ以上のモノマー連鎖延長化合物の反応によって調製され得る。連鎖延長化合物は、イソシアネート基と反応性の、2つ以上の官能基、好ましくは、2つの官能基を有する化合物である。好ましくは、エラストマー熱可塑性ポリウレタンは、実質的に直鎖状である(すなわち、反応剤の実質的に全てが二官能性である)。
【0022】
エラストマー熱可塑性ポリウレタンを形成するのに使用されるポリエステルジオールの非限定的な例としては、ジカルボン酸化合物、それらの無水物、およびそれらの重合性エステル(例えばメチルエステル)およびジオール化合物の縮重合によって調製されるものが挙げられる。好ましくは、反応剤の全ては二官能性であるが、少量の単官能性、三官能性、およびより高い官能性の材料(おそらく、数モルパーセント以下)が含まれ得る。好適なジカルボン酸としては、限定はされないが、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、マレイン酸、これらの無水物、およびこれらの混合物が挙げられる。好適なポリオールは、限定はされないが、連鎖延長剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの組合せからなる群から選択される。トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールなどの、少量のトリオールまたはより高い官能性のポリオールが場合により含まれる。好ましい実施形態において、カルボン酸としては、アジピン酸が挙げられ、ジオールとしては、1,4−ブタンジオールが挙げられる。エステル化重合のための典型的な触媒は、プロトン酸、ルイス酸、チタンアルコキシド、およびジアルキルスズオキシドである。
【0023】
12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシカルボン酸化合物も、ポリエステルジオールを生成するために重合され得る。このような反応は、既述のジオールの1つなどの開始ジオールを用いてまたは用いずに行われ得る。
【0024】
ポリラクトンジオール反応剤も、エラストマー熱可塑性ポリウレタンを調製するのに使用され得る。ポリラクトンジオールは、ジオール開始剤、例えば、エチレンまたはプロピレングリコールまたは既述のジオールの別のものなどのジオールを、ラクトンと反応させることによって調製され得る。限定はされないが、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、β−ブチロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−デカノラクトン、δ−デカノラクトン、γ−ノナン酸ラクトン、γ−オクタン酸ラクトン、およびこれらの組合せなどの、活性水素によって開環され得るラクトンが重合され得る。ラクトン環は、1〜7個の炭素原子のアルキル基で置換され得る。好ましい一実施形態において、ラクトンはε−カプロラクトンである。有用な触媒としては、ポリエステル合成について上述されるものが挙げられる。あるいは、反応は、ラクトン環と反応する分子上にヒドロキシル基のナトリウム塩を形成することによって開始され得る。
【0025】
ポリエーテルジオールを調製する際、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、または上記のジオールの別のものなどのジオール開始剤が、オキシラン含有化合物と反応されて、ポリエーテルジオールが生成される。オキシラン含有化合物は、好ましくは、アルキレンオキシドまたは環状エーテルであり、より好ましくは、オキシラン含有化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、テトラヒドロフラン、およびこれらの組合せから選択される化合物である。重合され得る他の有用な環状エーテルとしては、限定はされないが、1,2−シクロヘキセンオキシド、2−ブテンオキシド、1−ヘキセンオキシド、tert−ブチルエチレンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、1−デセンオキシド、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、1−ペンテンオキシド、およびこれらの組合せが挙げられる。ポリエーテル重合は、典型的に、塩基で触媒される。重合は、例えば、ヒドロキシル官能性開始剤および、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、またはカリウムtert−ブトキシドなどの触媒量の苛性アルカリを充填し、モノマーを反応に利用可能に保つのに十分な速度でアルキレンオキシドを加えることによって行われ得る。2つ以上の異なるアルキレンオキシドモノマーが、同時の添加によってランダム共重合され、連続添加によってブロックで重合され得る。
【0026】
テトラヒドロフランは、SbF
6-、AsF
6-、PF
6-、SbCl
6-、BF
4-、CF
3SO
3-、FSO
3-、およびClO
4-などの対イオンを用いたカチオン開環反応によって重合され得る。開始は、第三級オキソニウムイオンの形成による。ポリテトラヒドロフランセグメントは、「リビングポリマー」として調製され、上記のもののいずれかなどのジオールのヒドロキシル基との反応によって終端され得る。
【0027】
脂肪族ポリカーボネートは、アルカリ金属、スズ触媒、またはチタン化合物または炭酸ジフェニルのような触媒の存在下における、炭酸ジアルキル(炭酸ジエチルなど)、環状グリコールカーボネート(五員および六員環を有する環状カーボネートなど)、または炭酸ジフェニルと脂肪族ジオールの重縮合によって調製され得る。脂肪族ポリカーボネートを作製するための別の方法は、有機金属触媒によって触媒される環状脂肪族カーボネートの開環重合による。ポリカーボネートジオールはまた、二酸化炭素とエポキシドの共重合によって作製され得る。脂肪族ポリカーボネートジオールは、アルカリ金属、スズ触媒、またはチタン化合物のような触媒の存在下で、炭酸ジアルキル(炭酸ジエチルなど)、炭酸ジフェニル、またはジオキソラノン(dioxolanone)(五員および六員環を有する環状カーボネートなど)とジオールの反応によって調製される。有用なジオールとしては、限定はされないが、既述のもののいずれかが挙げられる。芳香族ポリカーボネートは、通常、ホスゲンまたは炭酸ジフェニルとビスフェノール、例えば、ビスフェノールAの反応から調製される。
【0028】
エラストマー熱可塑性ポリウレタン合成を行うのに使用される上記のポリマーポリエステルジオールおよびポリエーテルジオールなどのポリマージオールは、好ましくは、約300〜約8,000、または約300〜約5000、または約300〜約3000の数平均分子量(例えば、ASTM D−4274方法によって測定される)を有する。
【0029】
エラストマー熱可塑性ポリウレタンの合成は、ポリマージオールのうちの1つ以上、少なくとも2つ(好ましくは、2つ)のイソシアネート基を有する1つ以上の化合物、および、任意に、1つ以上の連鎖延長剤を反応させることによって行われ得る。エラストマー熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは、直鎖状であるため、ポリイソシアネート成分は、好ましくは、実質的に二官能性である。エラストマー熱可塑性ポリウレタンを調製するのに使用される有用なジイソシアネート化合物としては、限定はされないが、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m−TMXDI)、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(p−TMXDI)、エチレンジイソシアネート、1,2−ジイソシアナトプロパン、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(ヘキサメチレンジイソシアネートまたはHDI)、1,4−ブチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−メチレンビス−(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4−トリレン(「トルエン」)ジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、o−、m−、およびp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,2−ナフチレンジイソシアネート、1,3−ナフチレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、および2,6−ナフチレンジイソシアネートを含むナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、4,5’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジベンジル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトベンゼン、1,4−ジイソシアナトベンゼン、およびそれらの組合せが挙げられる。ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が特に有用である。
【0030】
有用な活性水素含有連鎖延長剤は、一般に、少なくとも2つの活性水素基、例えば、ジオール、ジチオール、ジアミン、または特に、アルカノールアミン、アミノアルキルメルカプタン、およびヒドロキシアルキルメルカプタンなどの、ヒドロキシル、チオール、およびアミン基の混合物を有する化合物を含有する。連鎖延長剤の分子量は、約60〜約400g/モルの範囲であり得る。アルコールおよびアミンが、ある実施形態において好ましい。ポリウレタン連鎖延長剤として使用される有用なジオールの典型例としては、限定はされないが、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(Eastman Chemical Co.によってCHDMとして販売されている)、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールを含むエチレングリコールの低級オリゴマー;プロピレングリコールならびにジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコールを含むプロピレングリコールの低級オリゴマー;1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノンおよびレゾルシノールのビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルなどのジヒドロキシアルキル化芳香族化合物;p−キシレン−α,α’−ジオール;p−キシレン−α,α’−ジオールのビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル;m−キシレン−α,α’−ジオールおよびビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル;3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロパノエート;およびそれらの混合物が挙げられる。好適なジアミン連鎖延長剤としては、限定はされないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ベンジジン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)、エチレンジアミン、およびこれらの組合せが挙げられる。他の典型的な連鎖延長剤は、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、およびこれらの組合せなどのアミノアルコールである。好ましい連鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0031】
上記の二官能性連鎖延長剤に加えて、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオールおよびグリセロールなどの少量の三官能性連鎖延長剤、および/またはブタノールまたはジメチルアミンなどの単官能性活性水素化合物も存在し得る。用いられる三官能性連鎖延長剤および/または単官能性化合物の量は、好ましくは、用いられる反応生成物および活性水素含有基の総重量を基準にして、数当量パーセント以下であろう。
【0032】
ポリイソシアネート、ポリマージオール、および、任意に、連鎖延長剤の反応は、一般に、触媒の存在下で、成分を加熱することによって典型的に行われる。この反応のための典型的な触媒としては、オクタン酸第一スズまたはジブチルスズジラウレートなどの有機スズ触媒が挙げられる。一般に、連鎖延長剤に対する、ポリエステルジオールなどのポリマージオールの比率は、主に、エラストマー熱可塑性ポリウレタンの所望の硬度に応じて、比較的広い範囲内で変化され得る。例えば、連鎖延長剤に対するポリエステルジオールの当量比は、1:0〜1:12、より好ましくは、1:1〜1:8の範囲内であり得る。好ましくは、用いられるジイソシアネートは、活性水素含有材料の当量に対するイソシアネートの当量の全比率が、0.95:1〜1.10:1、より好ましくは、0.98:1〜1.04:1の範囲内であるように釣り合わされる。ポリマージオールセグメントは、典型的に、エラストマー熱可塑性ポリウレタンの約25重量%〜約65重量%、好ましくは、エラストマー熱可塑性ポリウレタンの約25重量%〜約50重量%である。
【0033】
熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズを作製するのに好適な(190℃、21.6kgで)約160〜約220グラム/10分のメルトフローインデックスを有する市販のエラストマー熱可塑性ポリウレタンの1つの非限定的な例は、BASF Polyurethanes GmbHから入手可能なElastollan(登録商標)SP9213((190℃、21.6kgで)200g/10分のメルトフローインデックス)である。
【0034】
より剛性の熱可塑性ポリウレタンが、より低い含量のポリマージオールセグメントを用いる以外は同じ方法で合成され得る。剛性熱可塑性ポリウレタンは、例えば、約0〜約25重量パーセントのポリエステル、ポリエーテル、またはポリカーボネートジオールセグメントを含み得る。剛性ポリウレタンの合成は、当該技術分野において周知であり、多くの参照文献に記載されている。ASTM D1238に準拠して測定した際に(190℃、21.6kgで)少なくとも約160グラム/10分のメルトインデックスを有する剛性熱可塑性ポリウレタンが、市販されており、Lubrizol Corp.(Wickliffe,Ohio)によってIsoplast(登録商標)ETPUの商標で販売されているものを含む。
【0035】
熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、それぞれ全体が参照により本明細書に援用されるFischerらの国際公開第94/20568号パンフレットおよびPrissokらの米国特許出願公開第2010/0222442号明細書および同第2010/0047550号明細書に開示される方法によってエラストマー熱可塑性ポリウレタンから作製され得る。このような方法によって作製される可撓性ポリウレタン発泡体は、好ましくは、85%を超える、特に好ましくは、90%を超える、DIN ISO 4590に準拠した連続気泡の比率を有する。
【0036】
熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、円形、楕円形、方形、矩形または他の多角形断面外周形状または軸に沿って均一な幅または直径を有するかまたは有さない不規則な断面形状を有するものを含め、ほぼ球形、楕円柱(cylindrical ellipsoidal)、立方体、矩形、および他のほぼ多面体形状ならびに不規則なまたは他の形状を含む様々な形状を有し得る。「ほぼ」は、突出、凹み、不完全に位置合わせされた縁部、角隅部、または辺などの不完全性および不規則性を有し得る全体的な形状を示すのに、本明細書において使用される。様々な実施形態において、熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、好ましくは、ほぼ球形または楕円形であり得る。非球形ビーズ、例えば、楕円形ビーズの場合、楕円の長軸(最長軸)に垂直に取った断面の最大外径。熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズは、好ましくは、約0.5mm〜約1.5cmの直径を有し得る。楕円形ビーズは、長さが約2mm〜約20mmおよび直径が約1〜約20mmであり得る。各個々のビーズは、例えば、重量が約20〜約45mgであり得る。発泡粒子は、好ましくは、緻密な(compact)外皮を有する。本明細書において、緻密な外皮への言及は、発泡粒子の外側領域の発泡気泡(foam cell)が内部の発泡気泡より小さいことを意味する。細孔を有さない発泡粒子の外側領域が特に好ましい。
【0037】
ここで、図を参照すると、熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズから成形品を作製するプロセス10は、所望の量の熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズが圧縮型に入れられる工程12を含む。発泡ビーズは、型および発泡ビーズの両方が約80℃未満の温度である場合、型に入れられ得る。好ましくは、型および発泡ビーズの温度は、両方とも周囲温度(約5〜27℃)であるが、記載されるように、それぞれの温度は、より高くてもよく、最高でおそらく80℃であり得る。工程14において、型が閉鎖される。型が閉鎖された後、型を閉鎖したままにするために止めピンが挿入され得る。型を閉鎖した状態で、例えば、型をプレスの高温側に移動する(shuttle)ことによって型は加熱され得る。型を閉鎖する(および閉鎖したままにする)ための最小圧力は、例えば、型の表面積および型穴で圧縮されるビーズの容積に応じて決まる。型に挿入されるビーズの量は、成形物の密度を変更するように変化され得る。非限定的な例として、70グラムのビーズが、0.25g/cm
3の密度を有する成形品を得るために、175cm
3の容積を有する型で成形され得る一方、100グラムの同じビーズが、0.3g/cm
3の密度を有する成形品を得るために、175cm
3の容積を有する型で成形され得る。
【0038】
工程16において、型が、約300〜約1500秒間の期間にわたって、約130℃〜約180℃の範囲のピーク温度にされる。一般に、より長い時間が、より厚い部分を成形するためにその部分を加熱するのに使用され得る。したがって、より厚い部分は、より薄い部分がピーク成形温度にされる時間と比較して、より長い期間にわたって、ピーク成形温度にされ得る。様々な実施形態において、ピーク成形温度は、約140℃〜約170℃の範囲である。様々な実施形態において、型は、約300〜約1200秒間または約300〜約900秒間の期間にわたって、ピーク温度にされる。所望の外皮厚さが、温度範囲内の最高加熱温度の選択によって達成され得る。外皮厚さは、履物物品に使用される成形されたミッドソールのクッション性および感触を変更するように選択され得る。ビーズの外皮厚さは、約10マイクロメートルであり得る。成形品の外皮厚さは、少なくとも約20マイクロメートルであり得る。約130℃の成形温度では、約180℃の成形温度で生じるより薄い外皮が生じる。様々な実施形態において、ピーク温度は、約10〜約200マイクロメートルの外皮厚さを生じるように選択される。
【0039】
工程18において、次に、型は、約300〜約1500秒間の期間にわたって、約5℃〜約80℃の温度に冷却される。冷却は、典型的に、2つのコールドプレート間の圧縮成形プレスの低温側に型を移動することによって行われる。一般に、より長い時間が、より厚い部分を冷却するのに使用され得る。したがって、より厚い部分は、より薄い部分が同じ温度に冷却される時間と比較して、より長い期間にわたって冷却され得る。様々な実施形態において、この部分は、約300〜約1200秒間の期間にわたってまたは約300〜約900秒間の期間にわたって冷却され得る。様々な実施形態において、冷却工程18は、工程16においてピーク温度に達するとすぐに開始される。冷却工程18は、工程16においてピーク温度に達してから30秒以内、または10秒以内、または約0〜約5秒で、または達した直後に開始され得る。型および成形品は、約0.09〜約0.55℃/秒の速度で冷却され得る。この範囲の冷却速度により、成形品がこの範囲の速度で冷却されない場合より低い密度を有するように、成形品の収縮が回避される。
【0040】
工程20において、成形品は、型から取り出される。
【0041】
成形品は、約0.45g/cm
3未満、好ましくは、約0.4g/cm
3未満、より好ましくは、約0.35g/cm
3未満の密度を有し得る。様々な実施形態において、成形品は、約0.1〜約0.45g/cm
3の密度、または約0.1〜約0.4g/cm
3の密度、または約0.1〜約0.35g/cm
3の密度を有し得る。
【0042】
開示される方法によって成形される物品は、型の内容物を加熱するのに蒸気を用いて熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズから成形される物品と比較して、より低い密度を有する。熱風も型中の熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズを加熱するのに使用され得る一方、熱風による加熱は、熱風による熱伝達が大幅にゆっくりであるため、大幅に長い時間がかかるであろう。
【0043】
成形品は、型の内容物を加熱するのに蒸気を用いて熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズから成形される物品と比較して、キャラクターライン(character line)または成形されたデザインのより良好な鮮明度(definition)も有する。キャラクターラインおよびデザインの例は、文字、記号、アンダーカット、および咬合線(bite line)である。このようなキャラクターラインは、約0.1cm〜約10cmの深さを有し得る。
【0044】
成形品は、クッション材料として他の物品中に組み込まれ得る。非限定的な例として、成形品は、縁部(collar)の発泡体要素などの、履物のアッパーの一部、ミッドソールもしくはミッドソールの一部、またはアウトソールもしくはアウトソールの一部などの、履物の発泡体要素;すね当て、肩パッド、胸当て、マスク、ヘルメットもしくは他のヘッドギア、膝当て、および他の保護具における発泡体詰物;衣料品の織物層間に設置される要素であり得;または保護または快適性のための他の公知の詰物用途、特に、詰物の重量が問題になる用途に使用され得る。
【0045】
様々な実施形態において、成形品は、履物物品用のミッドソールである。ミッドソールは、履物のクッション性を提供する。ミッドソールは、耐久性であるべきであるが、所望の程度にクッション性を保ちながら履物にできる限り軽い重量を付与することも好ましい。また、ミッドソールは、アウトソール、アッパー、または履物物品を作製する際の任意の他の構成要素(例えば、シャンク、エアバッグ、または装飾構成要素)に結合可能であるべきである。
【0046】
他の実施形態において、成形品は、履物物品用のアウトソールである。アウトソールは、剛性熱可塑性ポリウレタンで作製される熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズを用いて成形され得る。
【0047】
本発明が、以下の実施例においてさらに説明される。実施例は、様々な実施形態の例示に過ぎない。全ての部は、特に断りのない限り、重量部である。
【実施例】
【0048】
本発明の実施例1〜3
実施例1〜3のそれぞれにおいて、履物のミッドソール用の型を備えた圧縮型に、BASF Corporation(Wyandotte,Michigan)から入手した熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズ(長さ10mm±2mm、0.5mm±0.2mmの直径、0.28〜0.3g/cm
3の密度)の表1に示される量を充填した。型を閉鎖し、次に、型を、ホットプレート間で、600秒間で、約18〜22℃から、160℃の温度に加熱した。型を、コールドプレート間で、600秒間の期間にわたって、8℃の温度にすぐに冷却した。成形されたミッドソールを、測定のために型から取り出した。このように成形された3つのミッドソール実施例1〜3のそれぞれについて密度および弾性を測定し、値を表1に記録する。
【0049】
【表1】
【0050】
本発明の実施例4および5
実施例4および5のそれぞれにおいて、20mmの厚さを有する矩形スラブ用の型を備えた圧縮型に、実施例1〜3に使用されるもののような熱可塑性ポリウレタン発泡体ビーズの表2に示される量を充填した。型を閉鎖し、次に、型を、ホットプレート間で、所定の期間にわたって、約18〜22℃から表2に示される温度まで加熱した。型を、コールドプレート間で、600秒間の期間にわたって、8℃の温度にすぐに冷却した。成形されたスラブを、測定のために型から取り出した。このように成形されたミッドソール実施例のそれぞれについて密度を測定し、値を表2に記録する。
【0051】
【表2】
【0052】
比較例
Prissokらの米国特許出願公開第2010/0222442号明細書に開示されるように蒸気加熱を用いて比較例を調製した。この実施例において、実施例1〜3に使用されるもののようなビーズを、実施例1〜3と同様のミッドソール型を備えた圧縮型に入れ、型を閉鎖した。ビーズを、型に注入される蒸気を用いて、1〜2分間で、室温(約22℃)から約120℃に加熱し、次に、約2〜3分間で約22℃に冷却する。成形されたミッドソールの密度は、0.35g/cm
3であった。
【0053】
実施例は、ここで開示される方法に係るビーズ発泡体からの約0.10〜0.45g/cm
3の密度を有する成形されたミッドソール物品が、ASTM D2632によって試験した際に、約45〜65%の弾性を提供することを示す。比較例の蒸気成形品と比較して、本発明の実施例4および5は、より低い密度ならびに表面に成形されたキャラクターラインおよびデザインのより良好な鮮明度を有していた。
【0054】
実施形態の上記の説明は、例示および説明のために提供された。それは、排他的でも本発明を限定するものでもない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、該当する場合、取り換え可能であり、特に示されるかまたは記載されていなくても、選択される実施形態において使用され得る。これらの要素または特徴はまた、多くの方法で変化され得る。このような変形形態は、本発明からの逸脱とみなされず、全てのこのような変更形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。