特許第5815919号(P5815919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5815919エンジン構成要素を冷却するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5815919
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月17日
(54)【発明の名称】エンジン構成要素を冷却するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20151029BHJP
   F01D 5/08 20060101ALI20151029BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   F02C7/18 A
   F01D5/08
   F01D25/12 E
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2009-261461(P2009-261461)
(22)【出願日】2009年11月17日
(65)【公開番号】特開2010-127279(P2010-127279A)
(43)【公開日】2010年6月10日
【審査請求日】2012年11月7日
(31)【優先権主張番号】12/324,324
(32)【優先日】2008年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ラファル・ピオトル・ピエツカ
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ウィリアム・ヒギンス
(72)【発明者】
【氏名】ピオトル・エドワード・コベック
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・フランチシェク・シコルスキ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ドナルド・マイケルズ
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−002428(JP,A)
【文献】 特開2002−349287(JP,A)
【文献】 特開昭61−155630(JP,A)
【文献】 特開平04−265228(JP,A)
【文献】 実開平07−038641(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F01D 5/00−10
F01D 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンの回転部材であって、
長手方向軸線周りで回転可能であるほぼ円筒形シャフト(136)と、
円錐形シャフト部分(134)により前記シャフトに結合されたハブ(128、130)と、を含み、
前記円錐形シャフト部分が、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路(142)を含み、
前記複数の空気通路の少なくとも1つが、非円形断面を含み、
前記断面が、長軸(402)及び短軸(404)を含み、
前記長軸が、単一の軸方向位置において前記円錐形シャフト部分を囲む円周線に対して斜めになっており、
該回転部材が、半径方向デスワーラ(132)をさらに含み、
前記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、前記デスワーラ(132)のベーンに対してクロックされている
ことを特徴とする、回転部材。
【請求項2】
前記断面が、楕円形である、請求項1記載の回転部材。
【請求項3】
タービンエンジンの回転部材であって、
長手方向軸線周りで回転可能であるほぼ円筒形シャフト(136)と、
円錐形シャフト部分(134)により前記シャフトに結合されたハブ(128、130)と、を含み、
前記円錐形シャフト部分が、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路(142)を含み、
前記複数の空気通路の少なくとも1つが、非円形断面を含み、
前記断面が、長軸(402)及び短軸(404)を含み、
前記長軸が、単一の軸方向位置において前記円錐形シャフト部分を囲む円周線に対して斜めになっており、
該回転部材が、半径方向デスワーラ(132)をさらに含み、
前記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、前記デスワーラ(132)のベーンに対して約3度〜約15度クロックされている、
ことを特徴とする、記載の回転部材。
【請求項4】
記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、前記デスワーラ(132)のベーンに対して約5度〜約10度クロックされている、
請求項記載の回転部材。
【請求項5】
記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、前記半径方向デスワーラ(132)に対して約7度クロックされている、
請求項記載の回転部材。
【請求項6】
タービンエンジンの回転部材であって、
長手方向軸線周りで回転可能であるほぼ円筒形シャフト(136)と、
円錐形シャフト部分(134)により前記シャフトに結合されたハブ(128、130)と、を含み、
前記円錐形シャフト部分が、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路(142)を含み、
前記複数の空気通路の少なくとも1つが、非円形断面を含み、
前記断面が、長軸(402)及び短軸(404)を含み、
前記長軸が、単一の軸方向位置において前記円錐形シャフト部分を囲む円周線に対して斜めになっており、
該回転部材が、半径方向デスワーラ(132)をさらに含み、
前記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、前記デスワーラ(132)のベーンの半径方向内側開口部と半径方向に整列している、
ことを特徴とする、記載の回転部材。
【請求項7】
タービンエンジンの回転部材であって、
長手方向軸線周りで回転可能であるほぼ円筒形シャフト(136)と、
円錐形シャフト部分(134)により前記シャフトに結合されたハブ(128、130)と、を含み、
前記円錐形シャフト部分が、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路(142)を含み、
前記複数の空気通路の少なくとも1つが、非円形断面を含み、
前記断面が、長軸(402)及び短軸(404)を含み、
前記長軸が、単一の軸方向位置において前記円錐形シャフト部分を囲む円周線に対して斜めになっており、
該回転部材が、半径方向デスワーラ(132)をさらに含み、
前記複数の空気通路(142)の少なくとも1つが、ディスク(108、110)に送られる空気の圧力を増大させるのを可能にするように前記デスワーラ(132)と半径方向に整列している、
ことを特徴とする、記載の回転部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはタービンエンジンに関し、より具体的には、タービンエンジンの内部構成要素に対する冷却を維持するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも幾つかの公知のタービンエンジン高圧タービンディスクは、ダブテール継手を使用して複数のブレードをディスクに取付けるようになった半径方向外側リムスロットを含む。様々な運転負荷の間にリム上に作用する力と組合されたスロットの寸法により、ディスクの寿命が短縮される傾向がある。ディスクの寿命を制限する傾向があるリムの領域の強度を高めるために、スロットの寸法は、変更することができる。しかしながら、ディスクの強度を高めるようにダブテールスロット形状を変更することは、スロットにおいて取付けられたブレードに対するブレード冷却回路圧力及び冷却流量マージンを減少させる可能性がある。
【0003】
さらに、リムを改良することによってディスクの寿命を向上させることにより、ディスクの前方内側シャフト空洞内における粒子侵食が新たな寿命制限領域となる。ディスクの前方内側シャフト空洞内における粒子侵食を解消することは、シャフトとディスクとの間の深いポケットを排除することによって達成される。しかしながら、この変更により、孔が配置されるディスクハブとシャフトの領域との間における変位の減衰(軽減)の減少のために、シャフト空気孔の上部に過度の応力集中が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,331,763 B2号公報
【特許文献2】米国特許第6,860,722 B2号公報
【特許文献3】米国特許第6,749,400 B2号公報
【特許文献4】米国特許第6,561,758 B2号公報
【特許文献5】米国特許第5,143,512号公報
【特許文献6】米国特許出願公開第2007/0140864 A1号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0140856 A1号公報
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0191168 A1号公報
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0053460 A1号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態では、タービンエンジンの回転部材は、長手方向軸線周りで回転可能であるほぼ円筒形シャフトと、円錐形シャフト部分によりシャフトに結合されたハブとを含み、円錐形シャフト部分は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路を含み、また複数の空気通路の少なくとも1つは、非円形断面を含む。
【0006】
別の実施形態では、タービンディスクを形成する方法を提供する。タービンディスクは、シャフト部分に結合されたハブ、半径方向外側リム、及びそれらの間で延びるウェブを含む。本方法は、タービンディスク上にブレードを受ける第1のブレードスロット深さを決定するステップと、第1のブレードスロット深さよりも小さくかつリム内における応力を減少させるのを可能にする第2のブレードスロット深さを決定するステップと、第2のスロット深さを使用してリムを形成するステップと、非円形断面を有する少なくとも1つの空気通路を含むシャフト部分を形成するステップとを含む。
【0007】
さらに別の実施形態では、タービンエンジンシステムは、長手方向軸線周りで回転可能であるディスクを含む。ディスクは、円錐形シャフト部分に結合されたハブを含み、円錐形シャフト部分は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された空気通路を含み、複数の空気通路の少なくとも1つは、非円形断面を含む。
【0008】
以下の図は、本明細書に説明する方法及びシステムの例示的な実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の例示的な実施形態による高圧タービン組立体の高圧タービン第1段ディスク組立体及び第2段ディスク組立体の断面図。
図2図1に示す高圧タービン第1段ディスク組立体及び第2段ディスク組立体の拡大断面図。
図3】本発明の例示的な実施形態による高圧タービン第1段ディスク組立体の側面図。
図4】本発明の例示的な実施形態による、図1に示す空気通路の概略図。
図5A】円形状孔を備えた、図1に示す円錐形シャフト継手の後方向き斜視図。
図5B】本発明の例示的な実施形態による、図1に示す円錐形シャフト継手の後方向き斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、限定としてではなく実施例として本発明の実施形態を示している。本発明は、工業用、商業用及び住宅用用途におけるタービンエンジン構成要素の実施形態に対する一般的な用途を有することを意図している。
【0011】
本明細書で使用する場合に、数詞のない表現による要素又はステップは、そうでないことを明確に記載していない限り、複数の要素又はステップを排除するものではないと理解されたい。さらに、本発明の「1つの実施形態」という表現は、記載した特徴を同様に組入れた付加的な実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図していない。
【0012】
図1は、本発明の例示的な実施形態による高圧タービン組立体100の断面図である。この例示的な実施形態では、高圧タービン組立体100は、高圧タービン第1段ディスク組立体102及び第2段ディスク組立体104を含む。第1段ディスク組立体102及び第2段ディスク組立体104は、例えばGeneral Electric CF6−80型航空機ガスタービンエンジンのようなガスタービンエンジンのエンジン中心線106の周りを囲んで配置されている。第1及び第2段ディスク組立体102及び104は、第1及び第2のディスク108及び110を含み、これら第1及び第2のディスク108及び110は、それぞれ第1及び第2のタービンブレード116及び118をダブテール嵌合として受ける第1及び第2の溝付きリム112及び114を有する。第1及び第2のブレード116及び118は、それらのそれぞれの第1及び第2のリム112及び114内にそれぞれ第1の前方及び後方ブレードリテーナ120並びに第2の前方及び後方ブレードリテーナ122によって軸方向に保持される。第1及び第2のディスク108及び110は、それぞれ第1及び第2のリム112及び114から第1及び第2のハブ128及び130まで半径方向内向きに延びる第1及び第2のウェブ124及び126を含む。第1段ディスク組立体102は、ディスク108の第1のハブ128からほぼ円筒形のシャフト136に向かって軸方向前方に延びる円錐形シャフト継手134の半径方向外側に設置された冷却空気デスワーラ132を含む。冷却空気138の流れは、高圧圧縮機吐出口(図示せず)から空洞140、デスワーラ132を通してまた複数の空気通路142の少なくとも1つを通して送られ、空気通路142は、搭載ディスク組立体102及び104に冷却空気を送る。冷却空気138の流れの少なくとも一部分は、第1及び第2のリム112及び114内のスロット144及び146に送られる。冷却空気138の流れはさらに、スロット144及び146からブレード116及び118に送られる。スロット144及び146は、ブレード116及び118への冷却空気用の冷却空気回路の一部分を形成するので、スロット144及び146の寸法は、冷却回路を通しての損失水頭の少なくとも部分的決定要素となる。例えば、スロット144及び/又は146の断面積はその寸法が減少した場合には、ブレード116及び/又は118への冷却空気138の流れは、減少することになる。この例示的な実施形態では、スロット144及び/又は146の断面積は、その寸法を減少させて、第1及び第2のリム112及び114に対する応力損傷を減少させるのを可能にする。空気通路142もまた冷却回路の一部分を形成し、従って冷却通路142の断面積もまた、ブレード116及び/又は118への冷却空気回路における損失水頭に影響を与える。空気通路142の断面積を増大させることによって、冷却回路における損失水頭を減少させ、それによってスロット144及び146の寸法を減少させたことによる損失水頭の増大を補償することができる。しかしながら、空気通路142の直径を単に増大させるだけでは、空気通路142及びハブ128の領域における応力が増大することになることが確認された。
【0013】
図2は、高圧タービン第1段ディスク組立体102及び第2段ディスク組立体104(図1に示す)の拡大断面図である。円筒形シャフト136への円錐形継手134と第1のハブ128との間に環状空洞148が形成され、環状空洞148は、円錐形継手134及び第1のハブ128の交差部において閉鎖され、また該第1のハブ128の内径(ID)152において、冷却空気デスワーラ132を通過した冷却空気138の流れに開口しかつ露出される。冷却空気138の流れ内のダスト及びデブリは、連続エンジン運転による時間の経過と共に、空洞148内に捕捉された状態になりかつ堆積する可能性がある。冷却空気138の流れは、回転する第1のハブ128に対して軸方向及び円周方向の両方向の速度を有する。冷却空気138の流れ内に同伴されたデブリは、回転する第1のハブ128の回転内表面154を円周方向に擦過し、時間の経過と共に第1のハブ128及び第1のディスク108に対して損傷を生じさせるおそれがある。環状空洞148は深いポケットとして形成されて、空気通路142の位置においてディスクハブ膨張からの影響を大きく軽減させる。このポケットを取除いて内表面154の侵食を排除することは、空気通路142の位置(空気通路142の位置は、デスワーラ132の位置によって固定される)における影響の軽減を低下させる。空気通路142は、十分な影響の軽減を維持しかつ使用可能な応力を保証するような形状及び配向にされる。この例示的な実施形態では、空気通路142は、デスワーラ132の出口と整列した状態で配置されて、ディフューザ/インペラの延長部として作用して、孔の壁が流れに作用し、それによってディスク108に対する冷却空気138の流れの圧力を上昇させかつ該流れの旋回を減少させるのを可能にする。
【0014】
図3は、本発明の例示的な実施形態による高圧タービン第1段ディスク組立体102の側面図である。図3には、ディスク組立体102を第1の実施形態302として二点鎖線で表し、それに重ねた状態で第2の実施形態304として実線で表して、第2の実施形態304の輪郭と第1の実施形態302の輪郭との間の差異がより明確に判るようにしている。第1の実施形態302は、第1の深さ306を有するリムスロット144を含む。第2の実施形態304は、第2の深さ308を有するリムスロット144を含む。第1の実施形態302では、第1の深さ306は、ディスク組立体102の寿命を短縮させる傾向にあるスロット144内の応力の増大の少なくとも部分的な要因となる。より大きなスロット底面半径を可能にする第2の深さ308を使用してディスク組立体102を形成することによって、スロット144内の応力が大幅に減少する。しかしながら、より浅いスロット144の深さはまた、該スロット144内における冷却通路の断面積を減少させ、またブレード116(図1に示す)への冷却空気138の流量を低下させる。より浅いスロット144によって得られたディスク組立体102の寿命の向上の故に、空洞148における侵食が、より浅いスロット144以上の寿命制限領域となりかつ解決すべき新しい課題を引き起こす。
【0015】
侵食問題に対する解決策は、深い空洞148のポケットを排除することによって得られる。しかしながら、空洞148は、遠心的及び熱的負荷によるハブ128の膨張からの空気通路142への影響を軽減させる働きをする。影響の軽減の低下を補正しかつ適切なレベルまで応力を減少させるために、空気通路の形状、位置及び配向を変更しかつブレード116及び/又は118に対する適切な冷却空気圧力を回復させるために、空気通路の面積を増大させる。
【0016】
図4は、本発明の例示的な実施形態による空気通路142(図1に示す)の概略図である。この例示的な実施形態では、空気通路142は、それに限定されないが、例えば楕円形状のような非円形状を含む。空気通路142の楕円形状は、長軸402及び短軸404を含む。空気通路142は、長軸における幅406及び短軸404における深さ408を有する。空気通路142の楕円形状の中心を通る円周線410は、軸方向位置で円錐形シャフト継手134を囲む。円錐形シャフト継手134は、高圧タービン(HPT)から高圧圧縮機(HPC)に大きなトルクを伝達するので、空気通路142の短軸は、円周線410に対して角度αだけ傾いている。1つの実施形態では、角度αは、円周方向線410に対して5度〜20度の角度である。別の実施形態では、角度αは、長軸402の中心に近接して最大ピーク応力を維持するように約15度となっている。これにより、実施可能な最大半径上にかつ空気通路142の表面上の最も有利な位置内に位置させた状態でピーク応力を維持することによって、あらゆる運転において大幅な応力減少(トルクによる応力を含む)及び高い堅牢性が得られる。新規な形状の空気通路142により得られた応力減少は、シャフト前方内側ポケット空洞148の排除を可能にした。
【0017】
空気通路142の楕円形状により、該空気通路142に近接してピーク孔応力を許容不能に増大させない状態で、大きな直径を有する円形開口部よりも大きい開口面積を得ることができる。より大きな開口面積により、流れ回路圧力の向上が可能になる。深いポケット空洞148を排除することと組合せて、ハブ128に近接した円錐形シャフト継手134内には空間がないことにより、空気通路142を円形孔として拡大することは実施可能なものではなかった。さらに、デスワーラ132との関連で空気通路142のパターンのクロッキング(時計方向回転)位置を選択することにより、空気通路142から半径方向内向きの流れ接線方向マッハ数の制御を可能にしかつ圧力回復を可能にする点で、非円形状孔は、デスワーラ132のディフューザ延長部として機能するような寸法、形状及び配向にされる。
【0018】
図5Aは、円形状孔502を含む円錐形シャフト継手134(図1に示す)の後方向きに見た斜視図である。図5Aに示すように、孔502は、据付け時におけるデスワーラのベーンの位置を示すデスワーラクリップ504に対して約2度クロックされている(時計方向回転している)。図5Bは、本発明の例示的な実施形態による円錐形シャフト継手134(図1に示す)の後方向き斜視図である。この例示的な実施形態では、空気通路142は、円錐形シャフト継手134を貫通して延びる楕円形状通路である。空気通路142の長軸402は、円周線410に対して約15度傾いている。空気通路142は、据付け時におけるデスワーラ132内のベーンの位置に対して約7度クロックされている。複数の取付けクリップ504の位置は、デスワーラ132の所定の位置を示している。角度βは、デスワーラ132との関連での中心412のクロッキング位置の量を表している。1つの実施形態では、角度βは、約3度〜約15度である。別の実施形態では、角度βは、約5度〜約10度である。この例示的な実施形態では、角度βは、約7度である。角度βを約7度に設定することはまた、接線方向マッハ数を許容可能な値まで減少させた。
【0019】
タービンディスクを形成する方法及びシステムの上述した実施形態は、タービンエンジンの構成要素に対する冷却を行いかつそのような構成要素における応力を減少させるための費用効果がありかつ信頼性がある手段を提供する。より具体的には、本明細書に記載した方法及びシステムは、全体として高圧タービンディスク組立体の寿命が向上するように、該組立体の構成要素の寿命を向上させることを可能にする。その結果として、本明細書に記載した方法及びシステムにより、費用効果がありかつ信頼性がある方法でタービンエンジンを形成しかつ運転することが可能になる。
【0020】
以上、タービンディスクを形成しかつ保守するための例示的な方法及びシステムを詳細に記載している。この図示した装置は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、各々の構成要素は本明細書に記載したその他の構成要素から独立してかつ別個に利用することができる。各システム構成要素はまた、その他のシステム構成要素と組合せて使用することもできる。
【0021】
本開示は様々な特定の実施形態に関して説明してきたが、本開示が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは分るであろう。
【符号の説明】
【0022】
100 高圧タービン組立体
102 第1段ディスク組立体
104 第2段ディスク組立体
106 エンジン中心線
108 第1のディスク
110 第2のディスク
112 第1のリム
114 第2のリム
116 第1のブレード
118 第2のブレード
120 第1の前方及び後方ブレードリテーナ
122 第2の前方及び後方ブレードリテーナ
124 第1のウェブ
126 第2のウェブ
128 第1のハブ
130 第2のハブ
132 デスワーラ
134 円錐形シャフト継手
136 円筒形シャフト
138 冷却空気
140 空洞
142 空気通路
144 リムスロット
146 スロット
148 空洞
152 内径(ID)
154 内表面
302 第1の実施形態
304 第2の実施形態
306 第1の深さ
308 第2の深さ
402 長軸
404 短軸
406 幅
408 深さ
410 円周線
412 中心
502 孔
504 クリップ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B