(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
両端に折曲部を有し該両折曲部を互いに接近させてホルダの装着により離間規制することで拡径された板バネからなるリング状のホースクランプをホースに遊嵌した状態で、該ホースを上記ホースクランプで緊締保持するために上記ホルダを上記両折曲部から取り外すホルダ取外工具であって、
上記両折曲部の両側に離れた位置で上記ホースクランプが押し付けられる一対の押付部を先端に、貫通孔を基端にそれぞれ有する押付部材と、
一対の爪部を先端に、上記貫通孔にスライド可能に嵌挿されたスライド軸を基端にそれぞれ有する取外部材と、
回転軸心が上記スライド軸の軸心と同軸上にあり、一端が該スライド軸の基端にその軸心周りに回動可能に取り付けられた回転軸と、
上記スライド軸と交差する方向に延び、該スライド軸に対する位置がその周方向に可変可能に上記押付部材の基端側に設けられた第1ハンドルと、
上記スライド軸と交差する方向に延び、上記回転軸の他端に先端が枢結されるとともに回動支点を先端寄りに有する第2ハンドルとを備え、
上記ホルダを上記両折曲部から取り外す際、上記第1ハンドルを作業態勢となる位置に移動させるとともに上記第2ハンドルを上記第1ハンドルに対応する位置まで回動させ、且つ、上記両爪部を上記両折曲部基端両側に位置させた状態で上記第1及び第2ハンドルの基端側を互いに接近させることにより、上記第2ハンドルが回動支点回りに回動することで上記スライド軸が回転軸と共に基端側にスライドして、上記両爪部が上記ホルダを両折曲部先端側に引っ張り、この引張動作に追従して上記ホースクランプが上記ホルダを引っ張る方向と同方向に移動することで上記両押付部に押し付けられ、上記ホルダが上記両折曲部から取り外されるように構成されていることを特徴とするホルダ取外工具。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般的なホースクランプの一つに、長尺状のバネ板を両端部分が交差するように曲げ加工によりリング状に形成したクランプ本体と、該クランプ本体の各端部を外側方に折り曲げて形成した折曲部とを有するものが知られている。このホースクランプは、上記両折曲部を互いに接近させて上記クランプ本体を縮径方向の付勢力に抗して拡径させ、上記両折曲部をホルダの装着により離間規制した状態で上記クランプ本体をホースに遊嵌し、上記ホルダを上記両折曲部から取り外すことにより、上記クランプ本体が縮径してホースを緊締保持するように構成されている。
【0003】
ところで、上記両折曲部に上記ホルダを装着した状態で当該ホルダの両内側面には上記クランプ本体の縮径方向の付勢力によって上記両折曲部から大きな力が加わっているため、上記ホルダを上記両折曲部からペンチ等の工具で取り外す際、大きな力を要する。したがって、取外作業の際にホルダを工具で引っ張ると、ホルダとともにホースクランプも作業者側に引き寄せてしまい、ホルダを取り外す途中の段階でホースクランプがホースの正しい締付位置に対してずれてしまうという問題がある。
【0004】
これを回避するために、クランプ本体をホースに押し付けた状態でホルダを取り外すことが考えられる。例えば、特許文献1に開示されているホルダ取外工具は、板状の工具本体を備え、該工具本体の一端側には、作業者が把持する一対の棒状ハンドルが上記工具本体の一端から外側方に延びるように設けられる一方、上記工具本体の他端側には、上記ホルダを両側から挟持する一対の挟持部材が上記工具本体の他端から外側方に延びるように設けられている。上記工具本体には、上記両ハンドル及び上記両挟持部材を連結する連結機構が設けられ、該連結機構は、上記両ハンドルを互いに接近させると、上記両挟持部材を互いに接近させるとともに上記両ハンドル側に移動させる一方、上記両ハンドルを離間させると、上記両挟持部材を互いに離間させるとともに上記両ハンドルの反対側に移動させるようになっている。
【0005】
そして、上記工具本体の他端側には、上記ホースクランプをホースに押し付ける押付部材が上記工具本体の他端から外側方に延びるように設けられ、作業者は、上記両ハンドルがホルダからホースクランプ径方向外側に延びるようにホルダの両側に両挟持部材を位置させ、上記押付部材でクランプ本体をホースに押し付けた状態で上記両ハンドルを互いに接近させることにより、上記両挟持部材が上記ホルダを側方から挟持するとともに上記両ハンドル側に移動して上記ホースクランプからホルダが取り外されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のホルダ取外工具は、ホルダの取外作業時において、両ハンドルがホルダからホースクランプ径方向外側に延びているので、ホルダのホースクランプ径方向外側のスペースが作業者の手が入らない程に狭いとホルダの取外作業が困難となってしまう。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホルダをホースクランプから取り外す際に、ホースクランプがホースの正しい締付位置からずれるのを防ぎ、しかも、ホルダの取外作業が簡単で使い勝手の良いホルダ取外工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、ホースクランプが押付部材に押し付けられた状態でホルダを取り外すようにし、しかも、作業者が把持するハンドルの位置を可変にしたことを特徴とする。
【0010】
具体的には、両端に折曲部を有し該両折曲部を互いに接近させてホルダの装着により離間規制することで拡径された板バネからなるリング状のホースクランプをホースに遊嵌した状態で、該ホースを上記ホースクランプで緊締保持するために上記ホルダを上記両折曲部から取り外すホルダ取外工具において、次のような解決手段を講じた。
【0011】
すなわち、第1の発明では、上記両折曲部の両側に離れた位置で上記ホースクランプが押し付けられる一対の押付部を先端に、貫通孔を基端にそれぞれ有する押付部材と、一対の爪部を先端に、上記貫通孔にスライド可能に嵌挿されたスライド軸を基端にそれぞれ有する取外部材と、回転軸心が上記スライド軸の軸心と同軸上にあり、一端が該スライド軸の基端にその軸心周りに回動可能に取り付けられた回転軸と、上記スライド軸と交差する方向に延び、該スライド軸に対する位置がその周方向に可変可能に上記押付部材の基端側に設けられた第1ハンドルと、上記スライド軸と交差する方向に延び、上記回転軸の他端に先端が枢結されるとともに回動支点を先端寄りに有する第2ハンドルとを備え、上記ホルダを上記両折曲部から取り外す際、上記第1ハンドルを作業態勢となる位置に移動させるとともに上記第2ハンドルを上記第1ハンドルに対応する位置まで回動させ、且つ、上記両爪部を上記両折曲部基端両側に位置させた状態で上記第1及び第2ハンドルの基端側を互いに接近させることにより、上記第2ハンドルが回動支点回りに回動することで上記スライド軸が回転軸と共に基端側にスライドして、上記両爪部が上記ホルダを両折曲部先端側に引っ張り、この引張動作に追従して上記ホースクランプが
上記ホルダを引っ張る方向と同方向に移動することで上記両押付部に押し付けられ、上記ホルダが上記両折曲部から取り外されるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、上記押付部材は、上記貫通孔を有する板状の基部を備え、該基部には、上記貫通孔に連通し上記スライド軸が嵌挿されて該スライド軸の軸心周りに回転可能な回転板が設けられ、該回転板の外周縁には、上記第1ハンドルの先端が固定され、該第1ハンドルの位置変更は、上記回転板が回転することにより行われることを特徴とする。
【0013】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、上記貫通孔は、多角形状をなし、上記スライド軸の横断面は、上記貫通孔の形状に対応していることを特徴とする。
【0014】
第4の発明では、第2又は第3の発明において、上記回転板外周縁の一箇所には、磁性体が設けられ、上記基部外周縁の少なくとも一箇所には、上記回転板を上記スライド軸の軸心周りに回転させる際、上記磁性体を吸着して上記押付部材に対する上記回転板の回転を止める磁石が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第5の発明では、第1の発明において、上記押付部材は、上記貫通孔を有する板状の基部を備え、該基部の外周縁には、上記スライド軸の軸心周りに所定の間隔をあけて複数の取付孔が形成され、上記第1ハンドルの位置変更は、上記複数の取付孔に上記第1ハンドルの先端を抜き差しして上記基部に対して上記第1ハンドルを脱着することにより行われることを特徴とする。
【0016】
第6の発明では、第5の発明において、上記取付孔は、上記貫通孔にまで繋がっており、上記スライド軸外面には、スライド方向に延びる溝部が上記各取付孔に対応する位置にそれぞれ設けられ、上記第1ハンドルの先端は、上記取付孔に差し込んだ状態で上記溝部に嵌入するようになっていることを特徴とする。
【0017】
第7の発明では、第5又は第6の発明において、上記第2ハンドルの先端寄りには、突出部が上記基部に向かって突設され、上記第2ハンドルは、上記突出部先端が上記基部板面に摺接することにより上記突出部先端を回動支点として回動するようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明では、両押付部にホースクランプが押し付けられた状態でホルダを取り外すので、ホルダを取り外す途中の段階でホースクランプが作業者側に引き寄せられず、ホースクランプをホースの正しい締付位置に取り付けることができる。しかも、ホースクランプをホースに締め付ける締付位置周辺に狭い空間があっても、その空間を避けるように第1及び第2ハンドルの位置を可変させることができるので、作業者は無理な姿勢を取ることなくホルダの取外作業を行うことができる。
【0019】
第2の発明では、第1ハンドルは、回転板の回転動作によりスライド軸の軸心周りに回転するので、第1ハンドルの作業態勢となる位置までの移動を簡単に行うことができる。
【0020】
第3の発明では、スライド軸がスライドする際に押付部材に対して回転しなくなるので、スライド軸の先端に設けられた爪部がホルダの取外作業時に押付部材に対して回転しなくなり、ホルダの取外作業を安定した状態で行うことができる。
【0021】
第4の発明では、ホルダの取外作業の際、磁石の吸着力により回転板に対して両押付部の位置がずれなくなるので、ホルダの取外作業時に第1ハンドルが両押付部に対して回転しなくなり、ホルダの取外作業をさらに安定した状態で行うことができる。
【0022】
第5の発明では、押付部材の基部に設けられた複数の取付孔に第1ハンドルを抜き差しするという簡単な構造で上記第1ハンドルの向きを作業者の作業し易い位置に変更することができ、ホルダ取外工具の構造を低コストなものにできる。
【0023】
第6の発明では、スライド軸がスライドする際に押付部材に対して回転しようとすると、溝部を形成する溝部形成面に第1ハンドルの先端が接触する。したがって、スライド軸の先端に設けられた両爪部がスライド軸のスライド時に回転しないので、ホルダの取外作業を安定した状態で行うことができる。
【0024】
第7の発明では、第2ハンドルを回動可能とする突出部は押付部材と繋がっていないシンプルな構造なので、第2ハンドルの回動構造を複雑なものとした場合とは異なり、経年変化等の影響による操作感の悪化を心配する必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
《発明の実施形態1》
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るホルダ取外工具1、及びホース10を緊締保持するホースクランプ2を示す。
【0027】
該ホースクランプ2は、図示しないパイプとホース10とを繋ぐ際にパイプからホース10が外れないようにするために使用する一般的なものであり、長尺状のバネ板を両端部分が交差するように曲げ加工によりリング状に形成したクランプ本体21と、該クランプ本体21の各端部を外側方に折り曲げて形成した折曲部22とを有している。そして、両折曲部22を互いに接近させて上記クランプ本体21を縮径方向の付勢力に抗して拡径させ、上記両折曲部22を外側方から金属製ホルダ9を装着して離間規制し、その状態で上記クランプ本体21をホース10に遊嵌し、上記ホルダ9を上記両折曲部22から取り外すことにより、上記クランプ本体21が縮径してホース10を緊締保持するように構成されている。尚、上記ホルダ9は、断面略U字状をなし、当該ホルダ9の反開放側には、突出片9aが突設されている。
【0028】
上記ホルダ取外工具1は、
図2乃至
図5にも示すように、略門型状をなす押付部材4を備え、該押付部材4は、略円板状の基部41と該基部41の外周縁から同一方向に延出する一対の押付部42とを有している。
【0029】
上記両押付部42は、それぞれ矩形環状のフレームで形成され、各々の先端側が端部に行くにつれて次第に接近するように正面視で略への字状に折れ曲がっている。
【0030】
上記基部41の中央には、断面正方形状の貫通孔41aが形成され、上記基部41の外周縁には、当該基部41外周縁に沿って延びる線状の凹条溝41bが形成されている。
【0031】
また、上記基部41外周縁の90度離れた2箇所、すなわち、上記基部41外周縁における両押付部42の一方側近傍と、上記基部41外周縁における両押付部42間中央の一方側近傍とには、
図5に示すように、円板状の磁石46が上記凹条溝41bの底部に臨むようにそれぞれ埋設されている。
【0032】
上記押付部材4の内側には、上記両折曲部22から上記ホルダ9を取り外すための取外部材3が配置されている。
【0033】
該取外部材3は、二股に分岐した略U字状の係止部32と、該係止部32の各先端に一体に設けられ、上記係止部32に対して交差するように延びる爪部33と、上記両係止部32の基端に一体に設けられた棒状のスライド軸31とで構成されている。
【0034】
上記各爪部33の互いに対向する面は、上記係止部32における二股部分の互いに対向する面より内側に位置していて、その対向面の間には、スリットSが形成されている(
図3、
図4参照)。
【0035】
上記スライド軸31の先端から基端寄りは、上記貫通孔41aに対応するように横断面が正方形状をなし、上記貫通孔41aにスライド可能に嵌挿されるとともに、上記基部41に対してスライド軸31の軸心周りに回転しないようになっている。
【0036】
一方、上記スライド軸31の基端側は、横断面が円形状をなし、その外周面には、
図3及び
図4に示すように、上記スライド軸31に沿って延びる線状の凹条溝31aが形成されている。
【0037】
上記基部41の反押付部42側には、円板状の回転板44が重ねられ、該回転板44の中央には、断面が円形状で上記貫通孔41aに連通する連通孔44aが形成されている。
【0038】
該連通孔44aには、上記スライド軸31がスライド可能に挿通する一方、上記回転板44は、上記スライド軸31の軸心周りに回転可能となっている。
【0039】
上記回転板44外周縁の一箇所には、細棒状の第1ハンドル6が上記スライド軸31と交差する方向に延びるようにその先端が取り付けられ、上記第1ハンドル6の位置変更は、上記回転板44が上記スライド軸31の軸心周りに回転することにより行われるようになっている。すなわち、上記第1ハンドル6は、上記スライド軸31に対する位置がその周方向に可変可能に上記押付部材4の基端側に設けられている。
【0040】
上記回転板44外周縁における上記連通孔44aを挟んだ上記第1ハンドル6の反対側には、鉄製の断面略L字状の突片(磁性体)45が上記基部41側に突設されている。
【0041】
そして、上記突片45の先端は、上記凹条溝41bにスライド可能に嵌合していて、上記回転板44を上記スライド軸31の軸心周りに回転させる際、上記各磁石46は、上記突片45を吸着して上記基部41に対する上記回転板44の回転を所定の位置で止めるようになっている。
【0042】
また、上記第1ハンドル6先端が固定されている部分に対応する上記回転板44の外周縁寄りの位置には、支持部材8が突設され、該支持部材8の突出端には、細棒状の第2ハンドル7が上記スライド軸31と交差する方向に延びるようにその先端寄りが回動可能に軸支されている。
【0043】
上記スライド軸31の基端には、回転軸心が上記スライド軸31の軸心と同軸上にある回転軸5が設けられている。
【0044】
該回転軸5は、一端に開口し、横断面が上記スライド軸31の基端側に対応するように円形状をなす凹部51を備え、該凹部51を形成する側壁には、螺子52がねじ込まれている。
【0045】
上記凹部51には、上記スライド軸31の基端側が収容され、上記螺子52の先端を上記スライド軸31の凹条溝31aに嵌入し、上記螺子52の先端が上記凹条溝31aに沿って移動することにより、上記回転軸5は、上記スライド軸31の軸心周りに回転するようになっている。
【0046】
上記回転軸5の他端には、上記第2ハンドル7の先端が支軸7aにより枢結され、上記第2ハンドル7におけるスライド軸31の軸心周りの位置変更は、上記回転軸5が回転することにより行われるようになっていて、上記第2ハンドル7は、
図6に示すように、上記支持部材8により、上記第1ハンドル6と共にスライド軸31の軸心周りの位置変更を行うようになっている。
【0047】
上記第1及び第2ハンドル6、7の基端側を互いに接近させると上記第2ハンドル7が先端寄りを回動支点として回動することにより、当該第2ハンドル7の先端が上記基部41から離間して上記スライド軸31が回転軸5と共に基端側に移動するようになっている。
【0048】
一方、上記第1及び第2ハンドル6、7の基端側を互いに離間させると上記第2ハンドル7が先端寄りを回動支点として回動することにより、当該第2ハンドル7の先端が上記基部41に接近して上記スライド軸31が回転軸と共に先端側に移動するようになっている。
【0049】
そして、上記ホルダ9を上記両折曲部22から取り外す際、上記第1及び第2ハンドル6、7を共に作業態勢となる位置まで上記スライド軸31の軸心周りに回動させ、且つ、上記両爪部33を上記両折曲部22基端両側に位置させた状態で上記第1及び第2ハンドル6、7の基端側を接近させると、上記第2ハンドル7が回動支点周りに回動し、且つ、上記スライド軸31が回転軸5と共に基端側にスライドして、上記両爪部33が上記ホルダ9を両折曲部22先端側に引っ張るようになっている。
【0050】
また、上記ホースクランプ2は、上記両爪部33の上記ホルダ9を引っ張る動作に追従して上記ホルダ9を引っ張る方向と同方向に移動して上記両折曲部22の両側に離れた位置で上記両押付部42に押し付けられ、それ以上の移動が規制されるようになっている。
【0051】
さらに、上記ホルダ9は、上記ホースクランプ2が上記両押付部42に押し付けられた状態で、上記両爪部33によって上記両折曲部22先端側に引っ張られ、上記両折曲部22から取り外されるようになっている。
【0052】
次に、上記ホルダ取外工具1を用いて、ホースクランプ2の両折曲部22からホルダ9を取り外す方法について説明する。
【0053】
まず、作業者は、図示しないパイプにホース10を繋ぎ、当該部分にホースクランプ2のクランプ本体21を遊嵌させる。
【0054】
次に、作業者は、ホースクランプ2の取付場所に応じて作業し易くなるように、第1及び第2ハンドル6、7を押付部材4に対して作業態勢となる位置までスライド軸31の軸心周りに回動させる。
【0055】
そして、作業者は、一方の手で上記ホルダ取外工具1の第1及び第2ハンドル6、7の基端側を持ち、当該第1及び第2ハンドル6、7の基端側を互いに離間させて上記スライド軸31を先端側に移動させておく。
【0056】
しかる後、作業者は、他方の手で上記ホースクランプ2を持ち、両折曲部22の位置が変化しないようにした状態で上記両折曲部22基端に上記スリットSの開放部分を対応させる。
【0057】
その後、作業者は、上記両折曲部22基端側に向かって両爪部33を押し込んで、
図1に示すように、上記スリットSに上記両折曲部22基端を挿入させる。
【0058】
そして、作業者は、一方の手で上記第1及び第2ハンドル6、7の基端側を握り、当該第1及び第2ハンドル6、7の基端側を互いに接近させる。すると、
図2に示すように、上記第2ハンドル7が回動支点回りに回動することで上記スライド軸31が回転軸5と共に基端側にスライドする。
【0059】
そして、上記スライド軸31のスライド動作により上記両爪部33が上記ホルダ9を両折曲部22先端側に引っ張る。すると、上記ホースクランプ2は、上記両爪部33の上記ホルダ9を引っ張る動作に追従して上記ホルダ9を引っ張る方向と同方向に移動して上記両押付部42に押し付けられ、それ以上の移動が規制される。
【0060】
さらに、上記ホースクランプ2が上記両押付部42によってそれ以上の移動を規制された状態で、上記ホルダ9は上記両爪部33により上記両折曲部22先端側に引っ張られて上記両折曲部22から取り外される。
【0061】
その後、上記ホースクランプ2のクランプ本体21が付勢力により縮径し、上記ホース10を緊締保持する。
【0062】
しかる後、作業者は、上記ホルダ取外工具1を上記ホースクランプ2から離間させて作業を終了する。
【0063】
以上より、本発明の実施形態1によると、両押付部42にホースクランプ2が押し付けられた状態でホルダ9を取り外すので、ホルダ9を取り外す途中の段階でホースクランプ2が作業者側に引き寄せられず、ホースクランプ2をホース10の正しい締付位置に取り付けることができる。しかも、ホースクランプ2をホース10に締め付ける締付位置周辺に狭い空間があっても、その空間を避けるように第1及び第2ハンドル6、7の位置を可変させることができるので、作業者は無理な姿勢を取ることなくホルダ9の取外作業を行うことができる。
【0064】
また、第1ハンドル6は、回転板44の回転動作によりスライド軸31の軸心周りに回転するので、第1ハンドル6の作業態勢となる位置までの移動を簡単に行うことができる。
【0065】
さらに、スライド軸31の横断面が正方形で、且つ、該スライド軸31が嵌挿する貫通孔41aがスライド軸31の断面に対応しているので、スライド軸31がスライドする際に押付部材4に対して回転しなくなる。したがって、スライド軸31の先端に設けられた両爪部33がホルダ9の取外作業時に押付部材4に対して回転しなくなり、ホルダ9の取外作業を安定した状態で行うことができる。
【0066】
それに加えて、ホルダ9の取外作業の際、磁石46の吸着力により回転板44に対して両押付部42の位置がずれなくなるので、ホルダ9の取外作業時に第1ハンドル6が両押付部42に対して回転しなくなり、ホルダ9の取外作業をさらに安定した状態で行うことができる。
【0067】
尚、本発明の実施形態1では、回転板44の回転を所定の位置で止める磁石46を上記基部41外周縁の90度離れた2箇所に設けているが、これに限らず、1箇所だけに設けてもよいし、2箇所以上に設けるようにしてもよい。
《発明の実施形態2》
図7乃至
図11は、本発明の実施形態2に係るホルダ取外工具1を示す。この実施形態2では、取外部材3のスライド軸31、押付部材4の基部41、第1及び第2ハンドル6、7の一部構造が実施形態1と異なるだけで、その他の構造は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と異なる部分のみを説明する。
【0068】
実施形態2の基部41は、中央に断面が円形状の貫通孔41aを有する直方体形状をなしていて、その各辺の中央部分には、
図11に示すように、上記貫通孔41aにまで繋がる断面円形状の取付孔41cがそれぞれ形成されている。
【0069】
実施形態2のスライド軸31の横断面は円形状をなし、その外面には、
図9に示すように、当該スライド軸31のスライド方向に延びる溝部31bが上記各取付孔41cに対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0070】
そして、実施形態2の第1ハンドル6先端には、ピン6aが突設され、上記各取付孔41cに上記第1ハンドル6の先端を抜き差しして上記基部41に対して上記第1ハンドル6を脱着することにより、上記第1ハンドル6の位置を変更するようになっている。
【0071】
また、上記第1ハンドル6のピン6aは、上記各取付孔41cに差し込んだ状態で上記各溝部31bに嵌入するようになっている。
【0072】
実施形態2の第2ハンドル7先端寄りには、先端が緩やかに湾曲する突出部7bが上記基部41に向かって突設され、上記第2ハンドル7は、当該第2ハンドル7の基端側を上記第1ハンドル6の基端側に接近させると、上記突出部7b先端が上記基部41板面に摺接することにより、上記突出部7b先端を回動支点として回動するように構成されている。
【0073】
尚、実施形態2のホルダ取外工具1を用いてホースクランプ2の両折曲部22からホルダ9を取り外す方法は、押付部材4に対する第1ハンドル6の位置の変更のさせ方が実施形態1と異なるだけで、その他は実施形態1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0074】
以上より、本発明の実施形態2によると、押付部材4の基部41に設けられた複数の取付孔41cに第1ハンドル6を抜き差しするという簡単な構造で上記第1ハンドル6の向きを作業者の作業し易い位置に変更することができ、ホルダ取外工具1の構造を低コストなものにできる。
【0075】
また、スライド軸31がスライドする際に押付部材4に対して回転しようとすると、溝部31bを形成する溝部形成面に第1ハンドル6のピン6aが接触する。したがって、スライド軸31の先端に設けられた両爪部33がスライド軸31のスライド時に回転しないので、ホルダ9の取外作業を安定した状態で行うことができる。
【0076】
さらに、第2ハンドル7を回動可能とする突出部7bは押付部材4と繋がっていないシンプルな構造なので、第2ハンドル7の回動構造を複雑なものとした場合とは異なり、経年変化等の影響による操作感の悪化を心配する必要がない。
【0077】
尚、本発明の実施形態2では、基部41に4つの取付孔41cを形成しているが、これに限らず、上記取付孔41cを上記スライド軸31の軸心周りに所定の間隔をあけて複数形成すればよい。
【0078】
また、本発明の実施形態1では、貫通孔41aが正方形をなし、スライド軸31断面が上記貫通孔41aの形状に対応しているが、これに限らず、例えば、貫通孔41aが六角形で、スライド軸31断面がそれに対応する形状であってもよく、貫通孔41aが多角形状をなし、スライド軸31断面がそれに対応する形状であればよい。
【0079】
さらに、本発明の実施形態1では、突片45を鉄製のものとしたが、磁性体であれば、鉄製のものでなくてもよい。