特許第5816179号(P5816179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816179
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】接合体の解体方法及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/00 20060101AFI20151029BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20151029BHJP
   C09J 4/06 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   C09J5/00
   C09J4/02
   C09J4/06
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-531865(P2012-531865)
(86)(22)【出願日】2011年8月29日
(86)【国際出願番号】JP2011069477
(87)【国際公開番号】WO2012029718
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年7月15日
(31)【優先権主張番号】特願2010-195342(P2010-195342)
(32)【優先日】2010年9月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】栗村 啓之
(72)【発明者】
【氏名】市川 勇
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶次
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−127292(JP,A)
【文献】 特開2003−286464(JP,A)
【文献】 特開2006−111716(JP,A)
【文献】 特開平07−082544(JP,A)
【文献】 特開平01−085209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリレートと(B)重合開始剤を含有する接着剤により基材を接合してなる接合体を150℃〜300℃に加熱しながら波長280nm以上の光を、照射エネルギーが365nm波長において1000〜5000000mJ/cm2になるように照射することにより解体する接合体の解体方法。
【請求項2】
接合体に用いられる接着剤が(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖骨格がポリブタジエン、ポリイソプレン、前二者の水素添加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の(メタ)アクリレート、(A−2)イソボルニル(メタ)アクリレート、(A−3)水酸基含有(メタ)アクリレート及び(B−1)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型アクリル接着剤である請求項1に記載の接合体の解体方法。
【請求項3】
接合体に用いられる接着剤が(A−4)多官能(メタ)アクリレート及び(B−1)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型アクリル接着剤である請求項1に記載の接合体の解体方法。
【請求項4】
接合体に用いられる接着剤が(A−5)ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、(A−6)アルキル(メタ)アクリレート、(A−7)水酸基含有(メタ)アクリレート、(B−2)ラジカル重合開始剤及び(C)分解促進剤を含有する常温硬化型アクリル接着剤である請求項1に記載の接合体の解体方法。
【請求項5】
基材の少なくとも一つが280nm以上の光を透過する透明基材である請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【請求項6】
基材の少なくとも一つが280nm以上の光を透過しない請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【請求項7】
照射光源が水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ及びキセノンガス封入のフラッシュランプからなる群のうちの1種又は2種以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【請求項8】
照射する光のピーク波長が400nm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【請求項9】
照射する光のピーク波長が280〜400nmである請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【請求項10】
解体時の光の照度が365nm波長において10〜1000mW/cm2である請求項1〜のいずれか1項に記載の接合体の解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤により接着した接合体の解体方法に関する。また、本発明は本発明に係る接合体の解体方法に適した接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学レンズ、プリズム、アレイ、シリコンウエハ、半導体実装部品等の固定は、ねじやボルトにより機械的に固定されてきた。しかしながら、近年、部材の縮小、薄膜化の潮流により、歩留まり等の生産性の向上、歪みの改善を目的として、接着剤により部品を固定することが増加している。
【0003】
接着剤による部品固定の増加に伴い、接着強度が強く、熱や湿度等に対し耐性のある、高信頼性の接着剤が市場にラインナップされてきている。その一方で、一度接着してしまうと解体し難いという課題が近年クローズアップされてきている。特に光学レンズ、プリズム、アレイ、シリコンウエハ、半導体実装部品等は、一つ一つの部品が高価であるため、接着時に位置ズレを生じると、大幅な歩留まり低下に繋がってしまう。接着剤の解体には有機溶剤、強酸、強アルカリといった溶剤を用いる例がある。これらは大量の溶剤を長時間使用するために、人体及び環境への負荷が大きいという問題があった。
【0004】
これらを解決するために、部品接着の固定精度技術の向上と共に、耐久性に優れた接着剤を、容易に解体、剥離できる解体性接着剤及び解体方法が求められている。
【0005】
このような背景から、UV光を照射し解体、剥離する方法及び接着剤(特許文献1〜7)が開示されている。
【0006】
100℃〜280℃の加熱処理により被着体から簡単に剥離できる粘着シート及びそれを用いた電子部品の製造方法が開示されている(特許文献8〜10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−188586号公報
【特許文献2】特開平6−264033号公報
【特許文献3】特開2001−212900号公報
【特許文献4】特開2003−286464号公報
【特許文献5】特開2006−111716号公報
【特許文献6】特開2003−313510号公報
【特許文献7】特開2011−125949号公報
【特許文献8】特開2001−323228号公報
【特許文献9】特開2004−253612号公報
【特許文献10】特開2006−152308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術は、解体性、剥離性を付与するために、接着剤や粘着シートの接着性を犠牲にしており、近年の部品固定に要求される耐熱性、耐湿性、耐光性を満足することができない。より具体的には加熱やUVによる解体・剥離では、接着剤中に加熱やUVにより発泡する発泡剤が配合されたり、熱や光に弱い官能基が導入されたりしているため、耐熱性や耐光性を大きく犠牲にする。水や温水で解体、剥離できる接着剤は、高温多湿の条件下では容易に剥離してしまうので、耐熱性や耐湿性が小さくなる。
【0009】
本発明は、例えば、かかる課題に対し、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた接着剤であっても、接合体を容易に解体、剥離できる汎用的な方法を提供するものである。また、本発明は、本発明に斯かる接合体の解体方法への使用に適した接着剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一側面において、接着剤により基材を接合してなる接合体を150℃〜300℃に加熱しながら波長280nm以上の光を、照射エネルギーが365nm波長において1000〜5000000mJ/cm2になるように照射することにより解体する接合体の解体方法である。
【0011】
本発明に係る接合体の解体方法の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤がアクリル接着剤及び/又はエポキシ接着剤である。
【0012】
本発明に係る接合体の解体方法の別の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤が(A)(メタ)アクリレートと(B)重合開始剤を含有する。
【0013】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤が(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖骨格がポリブタジエン、ポリイソプレン、前二者の水素添加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の(メタ)アクリレート、(A−2)イソボルニル(メタ)アクリレート、(A−3)水酸基含有(メタ)アクリレート及び(B−1)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型アクリル接着剤である。
【0014】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤が(A−4)多官能(メタ)アクリレート及び(B−1)光重合開始剤を含有する紫外線硬化型アクリル接着剤である。
【0015】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤が(A−5)ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、(A−6)アルキル(メタ)アクリレート、(A−7)水酸基含有(メタ)アクリレート、(B−2)ラジカル重合開始剤及び(C)分解促進剤を含有する常温硬化型アクリル接着剤である。
【0016】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、接合体に用いられる接着剤がエポキシ接着剤である。
【0017】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、基材の少なくとも一つが280nm以上の光を透過する透明基材である。
【0018】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、基材の少なくとも一つが280nm以上の光を透過しない。
【0019】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、照射光源が水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ及びキセノンガス封入のフラッシュランプからなる群のうちの1種又は2種以上である。
【0020】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、照射する光のピーク波長が400nm以下である。
【0021】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、照射する光のピーク波長が280〜400nmである。
【0022】
本発明に係る接合体の解体方法の更に別の一実施形態においては、解体時の光の照度が365nm波長において10〜1000mW/cm2である。
【0023】
本発明は別の一側面において、本発明に係る上記記載の接合体の解体方法に使用してなる接着剤である。
【0024】
本発明に係る接着剤の一実施形態においては、接着剤がアクリル接着剤である。
【0025】
本発明に係る接着剤の別の一実施形態においては、アクリル接着剤が(A)(メタ)アクリレートと(B)重合開始剤を含有する。
【0026】
本発明に係る接着剤の別の一実施形態においては、接着剤がエポキシ接着剤である。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、例えば、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた接着剤であっても、接合体を容易に解体、剥離できるという効果を有する。従って、接着剤の種類によらずに接合体を解体できるため、極めて汎用性が高い方法といえる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明では、接着剤により基材を接合した接合体を150℃〜300℃に加熱しながら波長280nm以上の光を照射し、接着性を低下させることにより、接合体を解体する。
【0029】
接合体の温度としては解体性及び加熱による基材の劣化の観点から150℃〜300℃の範囲にあることが好ましく、180℃〜290℃の範囲にあることがより好ましく、200℃〜280℃の範囲にあることが最も好ましい。
【0030】
照射光による輻射熱を利用するためには基材の少なくとも一つは、280nm以上の光を透過しないことが好ましい。280nm以上の光を基材が吸収することによって接合体が効果的に加熱される。そのような基材としては、限定的ではないが、例えば、ガラスや石英、シリコン、各種金属および金属酸化物等の無機基材、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、オレフィン等の有機基材、木材等が挙げられる。ガラスや石英、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、オレフィン等は、表面に印刷が施されていても良い。
【0031】
照射する光の波長、望ましくはピーク波長は、280nm以上が好ましく、280nmを超えることがより好ましい。280nm以上だと透過する基材が安価かつ多量であるため実用性が大きい。実用性の観点から照射する光の波長、望ましくはピーク波長は300nm以上がより好ましい。ただし、照射する光の波長が長すぎると光エネルギーが小さくなるため、照射する光のピーク波長は400nm以下が好ましく、380nm以下がより好ましい。
【0032】
本発明の解体方法に用いられる基材の少なくとも一つは、280nm以上の光を透過する透明基材が好ましい。透明基材としては、ガラス、石英、フッ化カルシウム等の無機基材、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、オレフィン等の有機基材が挙げられる。これらの中では、光照射により劣化しにくい点で、ガラス、石英、フッ化カルシウムからなる群のうちの1種又は2種以上からなる無機基材が好ましい。
【0033】
本発明の解体方法に用いられる接着剤としては、アクリル接着剤、エポキシ接着剤、ウレタン接着剤、ポリエステル接着剤、シリコン接着剤、ポリイミド接着剤、エン・チオール接着剤、オレフィン等のホットメルト接着剤、シアノアクリレート接着剤、変成シリコン接着剤、フッ素系接着剤等が挙げられる。これらの中では、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れ、従来方法では容易に解体できない接合体を解体できる点で、アクリル接着剤及び/又はエポキシ接着剤が好ましい。アクリル接着剤やエポキシ接着剤は、高信頼性構造用接着剤として幅広く用いられる。本発明は、解体が困難とされるアクリル接着剤やエポキシ接着剤の接合体を解体できることを特徴とする。
【0034】
高信頼性構造用接着剤は、例えば、弾性率、接着強度が高く、耐熱、耐湿、耐光等の耐久試験で接着強度低下が少ない接着剤である。高信頼性構造用接着剤は、貯蔵弾性率1000MPa以上が好ましく、各種耐久試験後の接着強度保持率50%以上がより好ましい。
【0035】
アクリル接着剤としては、加熱硬化型アクリル接着剤、紫外線硬化型アクリル接着剤、常温硬化型アクリル接着剤等が挙げられる。エポキシ接着剤としては、二剤加熱硬化型エポキシ接着剤、一剤加熱硬化型エポキシ接着剤、紫外線硬化型エポキシ接着剤等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、アクリル接着剤が好ましい。アクリル接着剤の中では、効果が大きい点で、紫外線硬化型アクリル接着剤及び/又は常温硬化型アクリル接着剤が好ましい。
【0036】
アクリル接着剤は、(A)(メタ)アクリレートと(B)重合開始剤を含有することが好ましい。(B)(メタ)アクリレートを重合させる重合開始剤としては、(B−1)光重合開始剤や(B−2)ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0037】
<紫外線硬化型アクリル接着剤>
紫外線硬化型アクリル接着剤は、(A)(メタ)アクリレートと(B−1)光重合開始剤を含有することが好ましい。(A)(メタ)アクリレートの中では、効果が大きい点で、下記の(I)及び(II)うちのいずれかが好ましい。
(I)(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖骨格がポリブタジエン、ポリイソプレン、前二者の水素添加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の(メタ)アクリレート、(A−2)イソボルニル(メタ)アクリレート、(A−3)水酸基含有(メタ)アクリレートを併用する(メタ)アクリレート。
(II)(A−4)多官能(メタ)アクリレートを含有する(メタ)アクリレート。
また、(I)及び(II)を併用することも可能である。
【0038】
成分(A−1)は、(A−1)分子の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖骨格がポリブタジエン、ポリイソプレン、前二者の水素添加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上の(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレートの主鎖骨格は、ポリブタジエン、ポリイソプレン、前2者の水素添加物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である。(メタ)アクリレートは、上記主鎖骨格の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する。これらの中では、主鎖骨格の両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。ポリブタジエンの主鎖骨格としては、1,4−cis体ユニット割合の少ないlow−cisポリブタジエン骨格、1,4−cis体ユニット割合の多いhigh−cisポリブタジエン骨格、1,2−ポリブタジエン骨格等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、1,2−ポリブタジエン骨格が好ましい。
【0039】
成分(A−1)の分子量は500〜5000が好ましく、800〜2800がより好ましい。なお、ここで言う分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量が好ましく用いられる。
【0040】
成分(A−1)としては、日本曹達社製NISSO−PB TEAI−1000(水素添加1,2−ポリブタジエン骨格ウレタンアクリレート、両末端に(メタ)アクリロイル基を有する)、日本曹達社製NISSO−PB TE−2000(両末端メタクリレート変性ブタジエン系オリゴマー)等が挙げられる。
【0041】
成分(A−2)は、イソボルニル(メタ)アクリレートである。成分(A−2)は単独で使用しても組み合わせて使用しても良い。
【0042】
成分(A−3)は、水酸基含有(メタ)アクリレートである。成分(A−3)は単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用しても良い。水酸基含有(メタ)アクリレートは、分子内に水酸基を少なくとも一つ以上有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。成分(A−3)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種又は2種以上が好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0043】
成分(A−1)、成分(A−2)、成分(A−3)の使用割合は、成分(A−1)、成分(A−2)及び成分(A−3)の合計100質量部中、質量比で、成分(A−1):成分(A−2):成分(A−3)=30〜70:20〜60:1〜30が好ましく、40〜60:30〜50:5〜15がより好ましい。
【0044】
(A−4)多官能(メタ)アクリレートとしては、1、3−アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群のうちの1種以上が好ましい。これらの中では、効果が大きい点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
(B−1)光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1―プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、カンファーキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド、2−メチル―1―(4−(メチルチオ)フェニル)―2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル―2−ジメチルアミノ−1―(4−モルフォリノフェニル)―1−ブタノン−1、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)―2,4,4―トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−オキソ−2−フェニル−アセトキシ−エトキシ]−エチルエステル、オキシ−フェニル−アセチックアシッド2−[2−ヒドロキシ−エトキシ]−エチルエステル、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。光重合開始剤は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、効果が大きい点で、ベンジルジメチルケタール及び/又は2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンが好ましい。
【0046】
(B−1)光重合開始剤の使用量は、硬化性、低アウトガス性、耐熱性の点で、(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましく、0.5〜2質量部が最も好ましい。光重合開始剤の使用量が0.01質量部以上だと十分な硬化性が得られ、5質量部以下だと低アウトガス性及び耐熱性が優れる。
【0047】
紫外線硬化型アクリル接着剤は、密着性を一層向上させるために、シランカップリング剤を使用することが好ましい。
【0048】
シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0049】
シランカップリング剤の使用量は、(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0050】
<常温硬化型アクリル接着剤>
常温硬化型アクリル接着剤は、(A)(メタ)アクリレート、(B−2)ラジカル重合開始剤及び(C)分解促進剤を含有することが好ましい。(メタ)アクリレートの中では、効果が大きい点で、(A−5)ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレート、(A−6)アルキル(メタ)アクリレート、(A−7)水酸基含有(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。成分(A−5)、成分(A−6)、成分(A−7)の使用割合は、成分(A−5)、成分(A−6)及び成分(A−7)の合計100質量部中、質量比で、成分(A−5):成分(A−6):成分(A−7)=5〜35:45〜75:5〜35が好ましく、10〜30:50〜70:10〜30がより好ましい。
【0051】
成分(A−5)は、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレートである。ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。成分(A−5)は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、効果が大きい点で、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0052】
成分(A−6)は、アルキル(メタ)アクリレートである。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。成分(A−6)は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、効果が大きい点で、メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0053】
成分(A−7)は、水酸基含有(メタ)アクリレートである。成分(A−7)は、成分(A−3)と同一である。
【0054】
(B−2)ラジカル重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド及びターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物が好ましく、これらの1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、効果が大きい点で、クメンハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0055】
(B−2)ラジカル重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.5〜10質量部が好ましく、1〜7質量部がより好ましい。
【0056】
(C)分解促進剤は、常温にてラジカル重合開始剤と反応し、ラジカルを発生するものが好ましい。分解促進剤としては、第3級アミン、チオ尿素誘導体及び金属塩等が挙げられる。第3級アミンとしては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン及びN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。チオ尿素誘導体としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、メチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素及びエチレンチオ尿素等が挙げられる。金属塩としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅及びバナジルアセチルアセトネート等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を使用してもよい。これらの中では、効果が大きい点で、金属塩が好ましく、バナジルアセチルアセトネートがより好ましい。
【0057】
(C)分解促進剤の使用量は、(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.05〜5質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
【0058】
アクリル接着剤は、貯蔵安定性向上のために、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾール等が挙げられる。これらの中では、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)が好ましい。
【0059】
重合禁止剤の使用量は、(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.001〜3質量部が好ましく、0.1〜2質量部がより好ましい。
【0060】
常温硬化型アクリル接着剤は、二剤常温硬化型アクリル接着剤として使用することが好ましい。二剤常温硬化型アクリル接着剤の実施態様としては、二剤型の接着剤として使用することが挙げられる。二剤型については、本発明の接着剤の必須成分全てを貯蔵中は混合せず、接着剤をA剤及びB剤に分け、A剤に少なくともラジカル重合開始剤を、B剤に少なくとも分解促進剤を別々に貯蔵する。この場合、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化することにより、二剤型の常温硬化型アクリル接着剤として使用できる。
【0061】
<エポキシ接着剤>
エポキシ接着剤の中では、効果が大きい点で、紫外線硬化型エポキシ接着剤及び/又は二剤加熱硬化型エポキシ接着剤が好ましい。
【0062】
<紫外線硬化型エポキシ接着剤>
紫外線硬化型エポキシ接着剤は、エポキシ樹脂と光重合開始剤を含有する。
【0063】
エポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートや水添ビスフェールA型エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ樹脂、及び、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのポリグリシジルエーテル、ネオデカン酸のグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。脂肪族エポキシ樹脂とは、脂環式エポキシ樹脂に含まれない脂肪族基を主骨格に有するエポキシ樹脂をいう。
【0064】
光重合開始剤は、紫外線の照射によって、カチオンを発生し、エポキシ基の重合を開始するものである。光重合開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びジアゾニウム塩が挙げられる。これらの中では、スルホニウム塩が好ましい。スルホニウム塩の中では、トリアルキルスルホニウム塩やトリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。これらの中では、トリアリールスルホニウム塩が好ましい。塩の対アニオンとしては、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる。これらの中では、ヘキサフルオロリン酸イオンが好ましい。
【0065】
光重合開始剤の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、0.7〜2質量部が最も好ましい。
【0066】
紫外線硬化型エポキシ接着剤は、密着性を一層向上させるために、シランカップリング剤を使用することが好ましい。
【0067】
シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中では、効果が大きい点で、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0068】
シランカップリング剤の使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0069】
<二剤加熱硬化型エポキシ接着剤>
二剤加熱硬化型エポキシ接着剤は、A剤に少なくとも主剤を、B剤に少なくとも硬化剤を別々に貯蔵する。この場合、両剤を同時に又は別々に被着体に塗布して接触、硬化することにより、二剤加熱硬化型のエポキシ接着剤として使用できる。
【0070】
二剤加熱硬化型エポキシ接着剤で使用するエポキシ樹脂としては、前述と同様の、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中では、芳香族エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂を併用することが好ましい。芳香族エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂を併用した場合、芳香族エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂の混合割合は、芳香族エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂の合計100質量部中、芳香族エポキシ樹脂:脂環式エポキシ樹脂=5〜45質量部:55〜95質量部が好ましく、15〜35質量部:65〜85質量部がより好ましい。
【0071】
硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させうる成分である。硬化剤としては、アミン化合物、メルカプタン化合物及び酸無水物等が挙げられる。これらの中では、アミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド、末端アミノ化ポリプロピレン等が挙げられる。これらの中では、末端アミノ化ポリプロピレンが好ましい。
【0072】
硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性水素当量が0.5〜1.5当量が好ましく、0.8〜1.3当量がより好ましい。
【0073】
紫外線硬化型アクリル接着剤や紫外線硬化型エポキシ接着剤に、可視光線又は紫外線を照射して硬化させる場合、硬化性状が良く、十分な接着強度が得られる点で、波長365nmにおいて1〜10000mJ/cm2で接着剤に照射することが好ましく、100〜8000mJ/cm2で照射することがより好ましく、300〜6000mJ/cm2で照射することが最も好ましい。
【0074】
本発明の解体方法は、接着剤により接合した接合体の透明基材側から、280nm以上の波長の光を一定エネルギー以上照射する。良好な剥離性が得られる場合は、手で容易に接合体を剥離できる。
【0075】
解体時の光の照射エネルギーは365nm波長において1000〜5000000mJ/cm2が好ましく、10000〜3000000mJ/cm2がより好ましく、28000〜2000000mJ/cm2が最も好ましい。1000mJ/cm2以上であれば解体しやすくなるし、5000000mJ/cm2以下であれば非生産性になることもない。
【0076】
解体時の光の照度は365nm波長において10〜1000mW/cm2が好ましく、50〜900mW/cm2がより好ましく、100〜800mW/cm2が最も好ましく、200m〜500mW/cm2が更に好ましい。10mW/cm2以上であれば解体しやすくなるし、1000mW/cm2以下であれば非生産性になることもない。
【0077】
照射光源は、発光波長が280nm以上であれば、ランプ光源、レーザー光源等、特に限定されない。照射光源としては、重水素ランプ、水銀ランプ(105Pa以上の水銀蒸気を使用する高圧水銀ランプ、106Pa以上の水銀蒸気を使用する超高圧水銀ランプ、100Pa以下の水銀蒸気を使用する低圧水銀ランプを含む)、キセノンランプ、キセノン−水銀混成ランプ、ハロゲンランプ、エキシマランプ、インジュームランプ、タリウムランプ、LEDランプ、無電極放電ランプ等公知のエネルギー照射源であれば使用することができる。これらの中では、接合体の解体性の観点から、照射エネルギーの大きい高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、キセノンガス封入のフラッシュランプが好ましい。
【0078】
接合体を加熱する方法は接合体が150℃〜300℃に加熱できるのであれば特に限定されない。熱源としては、ホットプレートやオーブン等を用いても良いし、照射光による輻射熱により接合体を加熱しても良い。所定以上のエネルギーを有する照射光による輻射熱により接合体を加熱した場合、ホットプレートやオーブン等が不要となり、効率的であり、好ましい。
【実施例】
【0079】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明を更に詳細に説明する。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特記しない限り、23℃で実施した。
【0080】
(接着剤の作製)
評価には下記に記す手順により接着剤を作製した。
【0081】
接着剤(A)紫外線硬化型アクリル接着剤
(メタ)アクリレートとして、イソボルニルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルIB」)40質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルHO」)10質量部、水素添加1,2−ポリブタジエン骨格ウレタンアクリレート(日本曹達社製「TEAI−1000」、GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量1200)50質量部、密着性付与剤として、γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ社製「シルクエストA−174」)2.5質量部、光ラジカル重合開始剤として、ベンジルジメチルケタール(チバ・ジャパン社製「IRGACURE651」)0.5質量部を各々溶解するまで十分に攪拌し、樹脂組成物を作製した。
【0082】
接着剤(B)紫外線硬化型エポキシ接着剤
エポキシ化合物として、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学社製「セロキサイド2021P」)100質量部、光カチオン重合開始剤として、トリアリールスルホニウム塩ヘキサフルオロアンチモネート(ADEKA社製「アデカオプトマーSP−170」)1.0質量部、密着性付与剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコン社製 「KBM−403」)3.0質量部各々溶解するまで十分に攪拌し、樹脂組成物を作製した。
【0083】
接着剤(C)二剤常温硬化型アクリル接着剤
〔A剤〕(メタ)アクリレートとして、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ロームアンドハース社製「QM−652」)20質量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「メタクリル酸メチル」)57.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルHO」)20質量部、重合開始剤として、クメンハイドロパーオキサイド(日本油脂社製「パークミルH−80」)2.5質量部を各々溶解するまで十分に攪拌し、樹脂組成物を作製した。
〔B剤〕(メタ)アクリレートとして、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(ロームアンドハース社製「QM−652」)20質量部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「メタクリル酸メチル」)57.5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(三菱レイヨン社製「アクリエステルHO」)20質量部、分解促進剤として、バナジルアセチルアセトネート(新興化学工業社製「バナジルアセチルアセトネート」)0.6質量部を各々溶解するまで十分に攪拌し、樹脂組成物を作製した。
【0084】
接着剤(D)二剤加熱硬化型エポキシ接着剤
〔A剤〕エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製「YD−6020」)24質量部、水添ビスフェールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製「EXA−7015」)76質量部を各々溶解するまで十分に攪拌し、樹脂組成物を作製した。
〔B剤〕硬化剤として、末端アミノ化ポリプロピレン(三井化学社製「D400」)を、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性水素当量が1当量になるように使用した。
【0085】
接着剤(E)紫外線硬化型アクリル接着剤
(A)多官能(メタ)アクリレートとして、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成社製「アロニックスM−309」、以下「M−309」と略す)100質量部、(B)光重合開始剤として2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モリフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(チバ・ジャパン社製「IRGACURE379」、以下「IRGACURE379」と略す)1質量部、(C)重合禁止剤として2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)(住友化学工業社製「スミライザーMDP−S」、以下「MDP」と略す)0.1質量部を使用して樹脂組成物を作製した。
【0086】
(接着剤の硬化条件)
評価には下記に記す手順により接着試験体を作製した。
【0087】
接着剤(A)紫外線硬化型アクリル接着剤
無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量4000mJ/cm2の条件にて硬化させた。
【0088】
接着剤(B)紫外線硬化型エポキシ接着剤
無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量4000mJ/cm2の条件にて硬化させた。
【0089】
接着剤(C)二剤常温硬化型アクリル接着剤
A剤:B剤=1:1で混合し、23℃、50%RHの雰囲気下24時間静置の条件にて硬化させた。
【0090】
接着剤(D)二剤加熱硬化型エポキシ接着剤
A剤:B剤=10:3で混合し、150℃、30minの条件にて硬化させた。硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の活性水素当量で0.97当量である。
【0091】
接着剤(E)紫外線硬化型アクリル接着剤
ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量500mJ/cm2の条件にて照射した後、180℃、2時間オーブンにて加熱し、硬化させた。
【0092】
(貯蔵弾性率評価)
前記の接着剤を、前記に述べる硬化条件にて硬化させ、20mm×5mm×1mmの試験片を調製した。この試験片を用いて、セイコー電子工業社製テンションモジュールDMS210を使用し、周波数1Hz、歪み0.05%の条件で温度をスウィープして、引っ張りモードで動的粘弾性スペクトルを測定し、23℃における貯蔵弾性率E’の値を求めた。
【0093】
(引張剪断接着強さ評価)
JIS K 6850に従い測定した。具体的には被着材としてホウケイ酸ガラス(SCHOTT社製「テンパックスフロート」)25mm×25mm×2.0mm)と単結晶シリコン(25mm×25mm×0.7mm)を用いて、接着部位を直径25mm×25mmとして、作製した樹脂組成物にて、ホウケイ酸ガラスと単結晶シリコンを貼り合わせ、前記の接着剤を、前記に述べる硬化条件にて硬化させ、引張剪断接着強さ試験片を作製した。作製した試験片は、引張試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。評価結果を表1に示す。
【0094】
(耐熱性評価)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作成し、200℃雰囲気のオーブンに試験片を2時間暴露した。暴露後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。評価結果を表1に示す。
【0095】
(耐湿性評価)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作成し、プレッシャークッカー(PCT)温度121℃、湿度100%、2気圧の条件下に24時間暴露した。暴露後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。評価結果を表1に示す。
【0096】
(耐光性評価)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作成し、耐光試験機(フェードメーター,カーボンアークランプ)に100時間暴露した。暴露後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。評価結果を表1に示す。
【0097】
実施例1:剥離・解体試験(1)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側から高圧水銀灯(使用装置:アイグラフィックス社製アイグランテージECS−401GX)を使用し、365nmの波長の照度340mW/cm2にて積算算光量を表1に示す条件にて照射した。この際、高圧水銀灯の輻射熱によって試験片を加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0098】
実施例2:剥離・解体試験(2)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側からメタルハライドランプ(使用装置:アイグラフィックス社製アイグランテージECS−401GX)を使用し、365nmの波長の照度340mW/cm2にて積算光量を表1に示す条件にて照射した。この際、メタルハライドランプの輻射熱によって試験片を加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0099】
実施例3:剥離・解体試験(3)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側から水銀キセノンランプ(使用装置:HOYA社製EXECURE4000)を使用し、365nmの波長の照度100mW/cm2にて表1に示す条件にて照射した。又、単結晶シリコン側からホットプレートの温度を200℃として加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0100】
実施例4:剥離・解体試験(4)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側から超高圧UVランプ(使用ランプ:ウシオ電機社製:USH−1005D)を使用し、更に380nm以下の紫外線のほとんどを遮蔽するフィルターを試験体上に載せて、365nmの波長の照度10mW/cm2にて表1に示す条件にて照射した。この際、フラッシュランプの輻射熱によって試験片を加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0101】
比較例1:剥離・解体試験(5)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側から水銀キセノンランプ(使用装置:HOYA社製EXECURE4000)を使用し、365nmの波長の照度100mW/cm2にて積算光量を表1に示す条件にて照射した。この際、水銀キセノンランプの輻射熱によって試験片を加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0102】
比較例2:剥離・解体試験(6)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体単結晶シリコン側からホットプレートの温度を200℃として2時間加熱した。加熱後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0103】
比較例3:剥離・解体試験(7)
前記引張剪断接着強さ評価と同じ試験片を作製し、得られた試験体に、ホウケイ酸ガラス側から185nmと254nmの波長を強力に照射する低圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製低圧水銀ランプ:QGL400U−3A)を使用し、更に280nm以上の紫外線を遮蔽するフィルターを試験体上に載せて、254nmの波長の照度200mW/cm2にて積算光量を表1に示す条件にて照射した。又、単結晶シリコン側からホットプレートの温度を200℃として加熱した。照射後の試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張剪断接着強さを測定した。剥離・解体試験時の接合体の最高温度は単結晶シリコン側に熱電対を、カプトンテープを用いて貼り合わせることにより、測定した。測定及び評価結果を表1に示す。
【0104】
尚、引張剪断接着強さが2.5MPa以下のものを剥離可能性有として評価し、0.5MPa以下のものを剥離可能として評価した。
【0105】
【表1-1】
【0106】
【表1-2】
【0107】
表1から以下のことが判る。本発明は、耐熱性、耐湿性、耐光性に優れた接着剤であっても、その接合体を容易に解体、剥離することができる。本発明は、発泡剤を必要としなくても、接合体を容易に解体、剥離することができる。実施例4は、照射する光のピーク波長が400nmを超えているので、解体試験後の引張剪断接着強さが大きくなり、実施例1〜3より接合体を解体、剥離しにくい。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、光学レンズ、プリズム、アレイ、シリコンウエハ、半導体実装部品等の接合体の解体に好適に用いることができ、さらに本発明の方法を部品加工の仮固定方法に適用することもできる。
【0109】
波長280nm以上を透過する基材は安価かつ多量に存在するために、波長280nm以上を透過する基材を使用した接合体を解体する可能性が大きい。本発明は、前述した接合体の解体や部品加工の仮固定方法に適用することが容易に可能となる。