(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816229
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】特に車両座席内で首部加温器として利用するための加熱送風器
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20151029BHJP
B60N 2/48 20060101ALI20151029BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20151029BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
B60N2/56
B60N2/48
A47C7/74 C
A47C7/38
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-154832(P2013-154832)
(22)【出願日】2013年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-24541(P2014-24541A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2013年7月25日
(31)【優先権主張番号】10 2012 014 679.5
(32)【優先日】2012年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2012 023 909.2
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】10 2013 012 033.0
(32)【優先日】2013年7月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100090343
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 百合子
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリード ヘルメンシュタイン
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−519564(JP,A)
【文献】
特表2007−517720(JP,A)
【文献】
特開2013−119345(JP,A)
【文献】
特開2007−106290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/44−2/56
A47C 7/38
A47C 7/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレスト装置(1)用加熱送風器(2)を備える首部加温器(2´)であって、
前記ヘッドレスト装置(1)用加熱送風器(2)は、少なくとも1つの空気吐出装置(20)と、少なくとも1つの加熱装置(40)と、を有し、
前記空気吐出装置(20)が、少なくとも1つの吸引口(24)を備えたラジアルベンチレータ(21)を有し、
前記吸引口(24)が、背もたれ(11)とヘッドレスト(105)との間の隙間(10)の方を向いており、
前記背もたれ(11)の上縁には、前記吸引口(24)に空気を供給する供給通路(16)が設けられ、
前記ヘッドレスト(105)が前記背もたれ(11)まで下降したときでも、前記供給通路(16)は前記吸引口(24)への空気供給を保証する
ことを特徴とする首部加温器(2´)。
【請求項2】
前記加熱装置(40)が、同時に、貫流する空気流を流入幅から比較的大きな吐出し幅へと扇状に広げるディフューザ(45)として働くことを特徴とする請求項1に記載の首部加温器(2´)。
【請求項3】
前記ラジアルベンチレータ(21)が回転軸線(28)を備えた羽根車(22)を有し、前記回転軸線に沿っておよび/または前記回転軸線と平行に空気がラジアルベンチレータ(21)に引き入れられることを特徴とする請求項1又は2に記載の首部加温器(2’)。
【請求項4】
前記回転軸線(28)が少なくとも1つの吸引口を貫通していることを特徴とする請求項3に記載の首部加温器(2’)。
【請求項5】
前記ヘッドレスト(105)には、前記吸引口(24)に空気を供給する少なくとも1つの供給通路(16’、16’’)が設けられ、
前記ヘッドレスト(105)に設けられる前記供給通路(16’、16’’)は通気口(24’、24’’)を有し、
前記ヘッドレスト(105)が前記背もたれ(11)まで下降したときでも、前記ヘッドレスト(105)に設けられる前記供給通路(16’、16’’)は前記通気口(24’、24’’)を介して空気吐出装置(20)の前記吸引口(24)を空気源と結合して空気を通過させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の首部加温器(2’)。
【請求項6】
前記空気吐出装置(20)と前記ヘッドレスト(105)に設けられる前記供給通路(16’、16’’)がモジュール部材として実施されていることを特徴とする請求項5に記載の首部加温器(2’)。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの首部加温器を備えた車両(1000)用座席。
【請求項8】
請求項7に記載の車両(1000)用座席を有する車両(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱送風器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱送風器は例えば首部加温器として車両座席および車室を空気調和するのに利用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の首部加温器はその機能が限定されているかまたは比較的高価である。それゆえに、効率が高く組付けが簡単でコンパクトな軽量構造様式の安価なシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのことを背景に、請求項1の特徴を有する技術構想が提案される。その他の有利な諸構成はその他の請求項と以下の明細書から読み取ることができる。
【0005】
本発明の詳細が以下で説明される。これらの実施例は本発明の理解を助けるためのものであるが、これらは例示的性質を有するにすぎない。記載される個々の特徴または幾つかの特徴は、当然ながら、本発明の枠内で省略し変更しまたは補足することもできる。また、異なる実施形態の諸特徴は、当然、相互に組合せることができる。決定的なことは、本発明の構想が実質的に実現されていることである。ある特徴が少なくとも部分的に実現できるとき、これは、この特徴が完全にまたは実質的に完全に実現されてもいることを含む。「実質的に」とは、特に、この実現が所望する利用の達成を顕著な程度に可能とすることを意味する。これは特に、当該特徴が少なくとも50%、90%、95%または99%実現されていることを意味することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1の自動車の座席上部と首部加温器とを縦断面図で示す。
【
図3】ハウジングを一部取り外した
図1の首部加温器のベンチレータの平面図である。
【
図4】第2実施形態の首部加温器を有する
図1の座席上側領域の正面図である。
【
図5】第3実施形態の首部加温器を有する
図1の座席上側領域の斜視図である。
【
図6】ヘッドレストを図示省略して第4実施形態の首部加温器を有する
図1の座席を上から見た図である。
【
図7a】第5実施形態の首部加温器を有する
図1の座席上側領域の斜視図である。
【
図7b】
図7aの実施形態の通風装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、本発明の考えられる利用分野としての車両1000を示す。問題となるのは、例えば航空機、鉄道車両、船舶、またはここでのように自動車である。
【0008】
車両は少なくとも1つのヘッドレスト装置1を有する。これには、明らかに、客室の利用者を支えるあらゆる部材、特に座席、ベンチ、ヘッドレスト、アームレスト等が含まれる。
【0009】
このようなヘッドレスト装置1には主に少なくとも1つの加熱送風器2が首部加温器2’の態様で付設されている。首部加温器2’は、ヘッドレスト装置1の背後および/または下方から空気を吸い込んで利用者に向けて放出するために単数または複数の空気吐出装置(Luftfordereinrichtung)20を有する。これに適しているのは特にここでのようにラジアルベンチレータ(ラジアルファン)21である。
【0010】
空気吐出装置20は
図2に示すようにヘッドレスト105の下方に、または背もたれ11内に配置しておくことができる。しかし、良好な振動減衰を達成するために、クッション13の利用者とは反対側のB側に空気吐出装置を配置しておくこともできる。応用事例に応じて、空気吐出装置をクッション13に一体化するのが目的にかなっていることもある。
【0011】
空気吐出装置20は主に、羽根車22と加熱装置40とを取り囲むハウジング30を有する。主に、空気吐出装置20のハウジング30は少なくとも部分的にシリコーン、ゴム等の弾性材料から成り、振動を減衰し、利用者の頭が意図することなくまたは無意識に激しく動くとき損傷を防止する。
【0012】
空気吐出装置20は吸引口24に吸込ノズルを有することができる。しかし主に空気吐出装置20の吸引口24は空気抵抗を最小にするためにノズルなしである。さらに吸引口は主に羽根車22の回転軸線28上にあり、もしくは回転軸線を通過させる。というのも、回転軸線と平行にまたは回転軸線に沿って空気がラジアルベンチレータに引き入れられるとき、それが望ましいからである。利用者に向かう空気排出方向を有するラジアルベンチレータをヘッドレスト105の下方に取り付けた場合、吸引口24は主に下方に背もたれ11および隙間10へと向けられている。これにより、空気は背もたれ11とヘッドレスト105との間の隙間10から吸い込まれる。
【0013】
ヘッドレストは一般に変位可能であるので、両方の部材11、105の間で隙間10の最低間隙幅を確保するために、背もたれ11の方へのヘッドレスト105の下降可能性を限定するのが望ましいことがある。
【0014】
付加的にまたは選択的に、供給通路16を通路状窪みの態様で背もたれ11の上縁に設けておくこともできる。窪みの位置は空気吐出装置20の吸引口24と対応している。ヘッドレスト105がその下端位置に下降して本来なら空気吐出装置20の吸引口24を閉鎖してしまうような場合でも吸引口24への空気供給を保証するために、窪み16は主に縦長である。主に、窪み16は背もたれ11の前面および/または裏面にまで達している。しかし、背もたれ11の裏面から新鮮空気の供給を強いるために、この窪み16は利用者側の前方を閉鎖しておくこともできる。選択的に、移送された空気の循環を強いるために、窪みは後方でも閉鎖しておくことができる。そのことで首部加温器2’の加熱効率が高まる。
【0015】
選択的にまたは付加的に空気吐出装置20が背もたれ11の上縁に取り付けられている場合、その吸引口24は主にヘッドレスト105の方もしくは上方に向けられている。ヘッドレスト内の対応する縦長窪みの作用原理は上記と同じである。
【0016】
吸引口24は主に羽根車と一直線に並びもしくはそれと同軸であり、ラジアルベンチレータの羽根車22の回転軸線上でずらして配置されている。
【0017】
空気吐出装置20は
図3に示すようにカタツムリの殻状の作動空間27内に少なくとも1つの羽根車22を有し、この羽根車はハウジング内で吸引口24から空気を吸い込む。このハウジングは空気流を主に約90°方向転換させ、引き続き加熱装置40と単数または複数の吹出し口50とを通して空気流を外部に放出する。
【0018】
通常のラジアルベンチレータもしくは加熱送風器では空気がベンチレータから接線に沿って案内され、作動空間の吐出し口は羽根車に対するこの接線に垂直である。
【0019】
本発明により優先される空気吐出装置20では空気流のこの接線方向集束が省かれる。その代わり、空気が(羽根車22の回転軸線28に関して)半径方向で作動空間27から進出できるように、羽根車22の作動空間27のハウジング32は周面部分に沿って開口されている。これにより作動空間の吐出し口29は、少なくとも部分的に、通常のラジアルベンチレータに比べて内方に移動した位置にある。つまり、作動空間27の吐出し口29がノズルなしであり、もしくは通常の吐出しノズルが加熱装置40とそのハウジングとに取り替えられている。そのことから、流れ損失、熱損失のきわめて少ないコンパクトな構造態様が得られる。
【0020】
空気吐出装置20は主に、例えばオーム抵抗の態様の少なくとも1つの加熱装置40を有する。この加熱装置40は主に多数の熱導入要素41を有する。これらの熱導入要素は、例えば、下記のものとすることができる。
‐熱源から流体流へと熱を伝達する多数の個々の平面的要素、例えば
図2の熱案内板、
‐熱を導入するまたは発生させるジグザグに屈折した平面的帯材の部分、
‐熱を直接発生させる多数の発熱体または単一発熱体の多数の部分、
‐熱を案内しかつ/または発生させ、同時に流体流へと誘導する多数の羽根、
‐発熱コイルのレジスタ
‐熱交換器付きまたは無しのPCT発熱素子、および/または
‐単数または複数のペルチェ素子。
【0021】
これらの熱導入要素41は主に、少なくとも部分的に、1つのレジスタブロックへとまとめられている。このレジスタブロックもしくは加熱装置は、少なくとも部分的に、到来する流体流の流れ方向に垂直ではなく流れ方向と平行または流れ方向に対して傾いている。主に、熱導入要素41の少なくとも一部は羽根車22から流出する流体流を方向転換させる。
【0022】
主に、レジスタブロックもしくは加熱装置がディフューザ45として働き、このディフューザはディフューザを貫流する流体流を流入幅から比較的大きな吐出し幅へと漏斗状に広げ、つまり扇状に広げる。加熱装置40の熱導入要素41は主に作動空間27の吐出し口29に沿って弧状に配置されており、こうして加熱装置40の外縁49は空気吐出装置20の吹出し口50の幅もしくは首部加温器2’の開口55の幅に一致している。すなわち、加熱装置の縁49が空気吐出装置20の吹出し口と少なくとも概ね同じ長さを有し、または比較的小さな加熱装置40から流出する空気はさしたる方向転換なしに空気吐出装置20の比較的大きな吹出し口50の全幅にわたって分布する。加熱装置の縁49が空気吐出装置20の吹出し口50と同一であるようにすることもできる。
【0023】
主に、熱案内要素を配置するための上記弧は円切片46に一致している。付属する円は主に作動空間27の吐出し口29の両方の縁を包囲する。この円の中心点23は主に、作動空間の吐出し口の流れの点で前側の縁25と羽根車の回転軸線28とを結ぶ直線上にある。中心点23は引き続き主に、作動空間27の吐出し口29の両方の縁25、26を結ぶ線の中心点上の垂線77上にある。この配置により、貫流する空気が最適な熱交換を保証することになり、また流出する空気がヘッドレストで空気吐出装置の吐出し口の横断面に最適に配分されることになる。
【0024】
空気吐出装置20のハウジング30が少なくとも1つの吹出し口50を有し、この吹出し口は羽根車22の回転軸線28を基準にこの羽根車22と少なくとも部分的に同じ高さにある。主に、羽根車22によって排出される空気流がその流れ方向を変更する必要もなしに、少なくとも回転軸線の縦方向で変更することなく通過できるように配置がなされている。
【0025】
主に、少なくとも1つの吹出し口50は開口55によって、例えば揺動可能な多板を備えた格子によって、施蓋されている。これにより、加熱装置40と一方で羽根車22、他方で利用者との間の接触は防止される。さらに、空気は利用者の要望に応じて向けることができ、また利用者の体格に合わせて調整することができる。
【0026】
つまりここで述べた構造では、ラジアルベンチレータの自然な吸込みと自然な吐出しが首部加温器の所望する作用様式と完全に等しく、こうして空気の方向転換が不可欠でないように、ラジアルベンチレータが配置されている。そのことから、投入された作動エネルギーの最適利用が可能となる。ラジアルベンチレータの羽根がその回転方向に関して後方に湾曲している場合、ベンチレータは比較的静かに低振動で作動させることができる。
【0027】
本発明に係る加熱送風器2、特に
図3の実施形態のものは、選択的応用にも利用することができ、例えば腹部加温器として座席の比較的低い箇所に配置しておくことができる。車両ドア、足元空間、インストルメントパネル、またはベッド、庭園用家具等における利用も考えられる。
【0028】
図4〜
図7bはこの構想の変更態様を示す。これらの変更態様は同じ原理を利用している。それゆえに、以下では違いにのみ言及する。しかしこれらの変更態様は特に加熱素子に関してすべて上記したように形成しておくことができる。
【0029】
図4の実施形態は、背もたれ11内の供給通路16を補足してまたはそれに代えてなおヘッドレスト105内に供給通路16’を設けておくことができることを示している。ヘッドレスト内の供給通路は主に窪みとしてヘッドレスト105の下面に沿って、空気吐出装置20の下方を延びている。その配置、整列および形状については、供給通路16について述べた原理が妥当する。
【0030】
図5によれば、空気吐出装置20と供給通路16’は共通部材として実施しておくこともでき、例えば矩形横断面の2つの平行な胴部を有するダイカストから成るプラスチック部品として実施しておくことができる。その際、空気吐出装置20の羽根車が空気を加熱素子を通して前方に利用者の首筋へと排出する上側平面に空気吐出装置20は配置されている。
【0031】
ベンチレータ21’の下向き吸引口24は供給通路16’に接続されており、そこから自己の空気補充を受ける。ヘッドレスト105が背もたれから距離を有する場合、供給通路16’はそれ自身、その場合開口した通気口24’を介して空気を供給される。通気口24’は主にベンチレータ21’の吸引口24と一直線に、主にベンチレータ21’の羽根車の回転軸線と同軸に、配置されている。通気口の面積は主にベンチレータ21’の吸引口24の面積よりも大きい。付加的に少なくとも1つの第2通気口24’’が供給通路16’内に設けられており、この通気口はヘッドレスト105が背もたれ上に完全に降下した場合でも空気補充を確保する。この第2通気口24’’は主にヘッドレスト105の利用者とは反対側の裏面に配置されており、例えば走行風の渦流を受ける。第2通気口24’’の代わりにまたはそれを補足して、ヘッドレスト105の利用者に向き合う前面に通気口を設けておくこともできる。その場合この通気口は吹出し口50の下方で供給通路16’の端面にある。
【0032】
図6の実施形態は
図5のものに殆ど一致している。ここでも、下向きの吸引口24を備えたベンチレータ21’が設けられており、この吸引口は低い平面にある供給通路16’から空気を受け取る。この供給通路16’も、
図5と同様に第1通気口24’を有する。しかしながら供給通路16’’は前方から後方へと背もたれ面に垂直に延びているのでなく、むしろU形状であり、その中間部がベンチレータ21’に接続されている。この供給通路の脚部は前方で利用者の方に湾曲し、利用者および吹出し口50の右横と左横で対称に2つの通気口24’’で空気を吸い込んでこの空気をベンチレータに供給する。こうして、吹き出されて加熱された空気の循環が得られ、そのことでシステムのエネルギー効率が改善される。主に、対向して隣接した面に通気口24’’がないと背もたれまたはヘッドレスト上に強い背圧が発生するような領域に通気口24’’は配置されている。
【0033】
供給通路16’’が
図7a、
図7bにおけるようにヘッドレスト内でヘッドレストの実質全幅にわたって単数または複数の通気口24’’を備えており、これらの通気口がヘッドレスト幅の少なくとも半分、主に実質的にヘッドレストの全幅を全体で覆うとき、循環作用はなお一層強めることができる。このため、供給通路16’とその通気口24’’が実質的にヘッドレストの最も下の平面を形成すると望ましいこともある。主に、付加的になお吹出し口50の横の諸領域が通気口24’’として構想されている。空気供給をさらに改善するために付加的にまたは選択的に、後方で座席の裏面に向けて通気口を設けておくこともできる。
【0034】
主に、空気吐出装置20は供給通路と一緒にモジュール部材として実施されている。このモジュール部材はその可視領域にカバーを備えておくことができ、このカバーは望ましくは背もたれまたはヘッドレストのカバーに一致している。
【0035】
本発明は以下の構成を有する。
[1] 少なくとも1つの空気吐出装置(20)と、少なくとも1つの加熱装置(40)と、を有することを特徴とするヘッドレスト装置(1)用加熱送風器(2)。
[2] 前記加熱装置(40)が、同時に、貫流する空気流を流入幅から比較的大きな吐出し幅へと扇状に広げるディフューザ(45)として働くことを特徴とする[1]に記載の加熱送風器(2)。
[3] 前記空気吐出装置(20)が少なくとも1つの吸引口(24)を備えたラジアルベンチレータ(21)を有し、前記吸引口が背もたれ(11)とヘッドレスト(105)との間の隙間(10)の方を向いていることを特徴とする[1]または[2]に記載の加熱送風器(2)を備えた首部加温器(2’)。
[4] 前記ラジアルベンチレータ(21)が回転軸線(28)を備えた羽根車(22)を有し、前記回転軸線に沿っておよび/または前記回転軸線と平行に空気がラジアルベンチレータ(21)に引き入れられることを特徴とする[3]に記載の首部加温器(2’)。
[5] 前記回転軸線(28)が少なくとも1つの吸引口を貫通していることを特徴とする[3]または[4]に記載の首部加温器(2’)。
[6] 首部加温器が少なくとも1つの供給通路(16、16’、16’’)を有し、前記ヘッドレスト(105)が前記背もたれ(11)まで下降したときでも前記供給通路は通気口(24’、24’’)を介して空気吐出装置(20)を空気源と結合して空気を通過させることを特徴とする[3]〜[5]のいずれかに記載の首部加温器(2’)。
[7] 前記空気吐出装置(20)と前記供給通路(16’、16’’)がモジュール部材として実施されていることを特徴とする[6]に記載の首部加温器(2’)。
[8] [1]または[2]に記載の少なくとも1つの加熱送風器および/または[3]〜[7]のいずれかに記載の少なくとも1つの首部加温器を備えた車両(1000)用座席。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の少なくとも1つの組立体を有する車両(1000)。
【符号の説明】
【0036】
1 ヘッドレスト装置
2 加熱送風器
2’ 首部加温器
10 隙間
11 背もたれ
13 クッション
16 背もたれ内の窪みとしての供給通路
16’ ヘッドレスト内の窪みとしての供給通路
16’’ ヘッドレスト内の空気通路としての供給通路
20 空気吐出装置
21 ラジアルベンチレータ
21’ ベンチレータ
22 羽根車
23 円の中心点
24 吸引口
24’ 第1通気口
24’’ 第2通気口
25、26 吐出し口の縁
27 作動空間
28 回転軸線
29 吐出し口
30 空気吐出装置のハウジング
32 作動空間のハウジング
40 加熱装置
41 熱導入要素
45 ディフューザ
46 円切片
49 加熱装置の縁
50 吹出し口
55 開口
77 垂線
105 ヘッドレスト
1000 車両