【文献】
DAISUKE UEMURA,ISOLATION AND STRUCTURES OF IRRITANT SUBSTANCES OBTAINED FROM EUPHORBIA SPECIES (EUPHORBIACEAE),TETRAHEDRON LETTERS,1973年 1月 1日,V14 N11,P881-884
【文献】
H.J.Opferkuch ET.AL.,ZUR CHEMIE DES INGENOLS, I Ingenol und einige seiner Derivate,ZEITSCHRIFT FUER NATURFORSCHUNG, TEIL B: ANORGANISCHE CHEMIE, ORGANISCHE CHEMIE,1981年,36b,P878-887
【文献】
BERND SORG,ZUR CHEMIE DES INGENOLS, II [1] ESTER DES INGENOLS UND DES DELTA7,8-ISOINGENOLS,ZEITSCHRIFT FUER NATURFORSCHUNG, TEIL B: ANORGANISCHE CHEMIE, ORGANISCHE CHEMIE,ドイツ,VERLAG DER ZEITSCHRIFT 以下備考,1982年 1月 1日,V37B,P748-756,FUER NATURFORSCHUNG. TUEBINGEN
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Dがイソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン、ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンおよびイソプロポキシメチレンからなる群から選択される、請求項1または3に記載の方法。
Dがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン、ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンまたはイソプロポキシメチレンである、請求項22または23に記載の化合物。
Dがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン、ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンまたはイソプロポキシメチレンである、請求項27または28に記載の化合物。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、インゲノールから出発してインゲノール−3−アンゲラート(PEP005)を合成するための大規模に実現可能な方法を提供することである。
本発明は、インゲノールからのインゲノール−3−アンゲラートの新規な製造方法を提供する。さらに本発明は、インゲノール−3−アンゲラートの製造における新規な中間体を提供する。
【0008】
それゆえ、ある面として、本発明は、インゲノール(II)からインゲノール−3−アンゲラート(I)を製造する方法に関連する。
【0009】
異なる面において、本発明は、インゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II)
【化1】
から製造する方法に関連し、それは次の:
(a) インゲノールの5位および20位の一方または両方のヒドロキシル基を同一または異なる適切なヒドロキシ保護剤で保護して一般式(III)または(IV)の化合物を得て、すなわち、インゲノールの5位および20位の一方または両方のヒドロキシル基を保護基で保護して、一般式(III)または(IV)
【化2】
〔式中、
R
1は水素またはヒドロキシル保護基であり、R
2は水素またはヒドロキシル保護基であるか、またはR
1はヒドロキシル保護基であり、R
2は水素またはヒドロキシル保護基であるか、またはDはジヒドロキシル保護基である。〕
の化合物を得て、
【0010】
(b) 化合物(III)または(IV)をエステル化して、一般式(V)または(VI)の化合物を得て、すなわち、化合物(III)または(IV)を3位のヒドロキシル基でエステル化して、一般式(V)または(VI)
【化3】
〔式中、R
1、R
2およびDは上述したとおりである。〕
の化合物を得て、そして
【0011】
(c) 化合物(V)または(VI)からヒドロキシル保護基R
1、またはR
1とR
2、またはDを除去してインゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0012】
他の面において、本発明は、インゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II)
【化4】
から製造する方法に関し、それは次の:
(d) インゲノール(II)をエステル化して式(VII)
【化5】
〔式中、R
3は水素またはアンゲロイルである。〕
の化合物を得て、すなわち、インゲノール(II)の3−および20−ヒドロキシル基をエステル化し、そして場合により5−ヒドロキシル基をエステル化して式(VII)の化合物を得て、そして
【0013】
(e) 化合物(VII)の20位、または5位と20位のアンゲラートエステルを開裂して、インゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0014】
更なる面において、本発明は、インゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II):
【化6】
から製造する方法する方法に関連し、それは次の:
(f) 化合物(II)の3−ヒドロキシ基を選択的エステル化して、インゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0015】
異なる面において、本発明は、
R
1は、水素またはヒドロキシル保護基であり、R
2は水素またはヒドロキシル保護基であるが;
ただし、R
1およびR
2の両方が水素で
ある場合はなく
;
R
1およびR
2が、アセチルではなく;
R
1およびR
2が、2−[(2−アミノベンゾイル)アミノ]ベンゾイルではなく;
R
1がデカノイルではなく;
R
1が3−フェニル−2−プロペノイルではない、
一般構造(V)の化合物に関連する。
【0016】
異なる面としては、本発明は、Dがジヒドロキシル保護基であるが;ただし、Dは、イソプロピリデンではない、一般構造(VI)の化合物に関する。
【0017】
異なる面としては、本発明は、
R
1およびR
2が独立して水素、またはエーテル、アセタール、ケタール、シリルエーテル、またはスルフェナート誘導ヒドロキシル保護基であるが;
ただし、R
1およびR
2の両方が水素で
ある場合はなく;
R
1はトリフェニルメチルではなく;
R
1はt−ブチルジメチルシリルではない、
一般式(III)の化合物に関する。
【0018】
異なる面において、本発明は、
Dがジヒドロキシル保護基であるが;
ただし、Dは、イソプロピリデンではない、
一般式(IV)の化合物に関する。
【0019】
定義
全ての用語は、当業者に理解されるであろうとおりに、理解されることを意図する。
【0020】
用語“ヒドロキシル保護剤”は、適切な条件下、ヒドロキシル保護基を形成するために、ヒドロキシル基と反応する薬剤を意図する。
【0021】
用語“ヒドロキシル保護基”は、後に該ヒドロキシル保護基が場合により選択的に除去できる、計画される反応に安定である、ヒドロキシル基の誘導体を形成するあらゆる基を含むことを意図する。該ヒドロキシル誘導体は、ヒドロキシル保護剤とヒドロキシル基の選択的反応により得ることができる。
用語“ヒドロキシル保護性基(hydroxyl protecting group)”は、用語“ヒドロキシル保護基(hydroxyl protective group)”と同じ意味を有することを意図する。
【0022】
エーテル誘導体、例えば、アリルエーテル、プレニルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、トリフェニルメチルエーテル、2−トリメチルシリルエチルエーテル、tert−ブチルエーテル、シンナミルエーテル、プロパルギルエーテル、p−メトキシフェニルエーテル、ベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、2,6−ジメトキシベンジルエーテル、o−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、4−(トリメチルシリルメチル)−ベンジルエーテル、2−ナフチルメチルエーテル、ジフェニルメチルエーテル、(4−メトキシフェニル)−フェニルメチルエーテル、(4−フェニル−フェニル)−フェニルメチルエーテル、p,p’−ジニトロベンズヒドリルエーテル、5−ジベンゾスベリルエーテル、トリス(4−tert−ブチルフェニル)メチルエーテル、(α−ナフチル)−ジフェニルメチルエーテル、p−メトキシフェニルジフェニルメチルエーテル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチルエーテル、トリ(p−メトキシフェニル)メチルエーテルまたは9−(9−フェニル)キサンテニルエーテルは、ヒドロキシル保護基の例である。
【0023】
エーテル
誘導ヒドロキシル保護基はまたアルコキシアルキルエーテル(アセタールおよびケタール)も含み、例えば1−エトキシエチルエーテル、1−メチル−1−メトキシエチルエーテル、[(3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチルエーテル、グアイアコールメチルエーテル、2−メトキシエトキシメチルエーテル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、テトラヒドロフラニルエーテル、メトキシメチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、p−メトキシベンジルオキシメチルエーテル、p−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、o−ニトロベンジルオキシメチルエーテル、(4−メトキシフェノキシ)メチルエーテル、tert−ブトキシメチルエーテル、4−ペンテニルオキシメチルエーテル、シロキシメチルエーテル、1−メトキシシクロヘキシルエーテル、4−メトキシテトラヒドロピラニルエーテル、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1−(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテル、1−(4−クロロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イルエーテルまたは1−メチル−1−ベンジルオキシエチルエーテルがある。
【0024】
エーテル
誘導ヒドロキシル保護基はまたチオアセタールおよびチオケタールも含み、例えば、テトラヒドロチオピラニルエーテル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルエーテル、テトラヒドロチオフラニルエーテルまたは1,3−ベンゾジチオラン−2−イルエーテルがある。
【0025】
ヒドロキシル保護基はまたシリルエーテル誘導体も含み、例えば、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、tert−ブチルジメチルシリルエーテル、ジメチルイソプロピルシリルエーテル、ジエチルイソプロピルシリルエーテル、ジフェニルメチルシリルエーテル、トリフェニルシリルエーテル、ジメチルtヘキシルシリルエーテル、2−ノルボロニルジメチルシリルエーテル、tert−ブチルジフェニルシリルエーテル、(2−ヒドロキシスチリル)ジメチルシリルエーテル、(2−ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリルエーテル、tert−ブチルメトキシフェニルシリルエーテルまたはtert−ブトキシジフェニルシリルエーテルがある。
【0026】
ヒドロキシル保護基はまたヒドロキシル基のエステルも含み、例えば、酢酸エステル、クロロ酢酸エステル、トリフルオロ酢酸エステル、フェノキシ酢酸エステル、ギ酸エステル、ベンゾイルギ酸エステル、ジクロロ酢酸エステル、トリクロロ酢酸エステル、メトキシ酢酸エステル、p−クロロフェノキシ酢酸エステル、フェニル酢酸エステル、3−フェニルプロピオン酸エステル、4−ペンテン酸エステル、4−オキソペンタン酸エステル、ピバル酸(pivaloate)エステル、クロトン酸エステル、4−メトキシクロトン酸エステル、アンゲリカ酸エステル、安息香酸エステルまたはp−フェニルベンゾエート安息香酸エステルがある。
【0027】
ヒドロキシル保護基は、ヒドロキシル基の炭酸エステルも含み、例えば、メトキシメチル炭酸エステル、9−フルオレニルメチル炭酸エステル、メチル炭酸エステル、エチル炭酸エステル、2,2,2−トリクロロエチル炭酸エステル、2−(トリメチルシリル)エチル炭酸エステル、ビニル炭酸エステル、アリル炭酸エステルまたはp−ニトロフェニル炭酸エステルがある。
【0028】
ヒドロキシル保護基は、ヒドロキシル基のスルフェナートも含み、例えば、2,4−ジニトロフェニルスルフェナートがある。
【0029】
ジヒドロキシル保護基は、該ジヒドロキシル保護基をその後場合により選択的に除去できる計画される反応に安定である、ジオールの誘導体を形成するあらゆる基を含むことを意図する。該ジヒドロキシル誘導体は、ジヒドロキシル保護剤とジオールの選択的反応により得られる。
【0030】
ケタール誘導体、例えば、イソプロピリデンケタール(アセトニド)、シクロペンチリデンケタール、シクロヘキシリデンケタール、シクロヘプチリデンケタール、ベンゾフェノンケタール、1−tert−ブチルエチリデンケタールまたは1−フェニルエチリデンケタール、3−ペンチリデンケタール、2,4−ジメチル−3−ペンチリデンケタール、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデンケタール、3,3−ジメチル−2−ブチリデンケタール;およびアセタール誘導体、例えば、ベンジリデンアセタール、2,4−ジメトキシベンジリデンアセタール、4−ニトロベンジリデンアセタール、2,4,6−トリメチルベンジリデンアセタール、2,2−ジメチル−1−プロピリデンアセタール、メチレンアセタール、エチリデンアセタール、p−メトキシベンジリデンアセタール、tert−ブチルメチリデンアセタール、3−(ベンジルオキシ)プロピリデンアセタール、アクロレインアセタール、2−ニトロベンジリデンアセタール、メシチレンアセタールまたは2−ナフトアルデヒドアセタールは、ジヒドロキシル保護基の例である。
【0031】
他のジヒドロキシル保護基は、環状オルトエステルまたはオルトエステルを含み、例えば、メトキシメチレンアセタール、エトキシメチレンアセタール、2−オキサシクロペンチリデンオルトエステルまたはイソプロポキシメチレンアセタールがある。
【0032】
他のジヒドロキシル保護基は、ビスアセタール誘導体を含み、例えば、ブタン2,3−ビスアセタールまたはシクロヘキサン−1,2−ジアセタール;またはジスピロケタール、例えばオクタヒドロ[2,2’]−ビピラニルケタールがある。
【0033】
他のジヒドロキシル保護基は、シリル誘導体を含み、例えば、ジ−tert−ブチルシリレン、ジアルキルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシルオキシラニデン)、1,1,3,3−テトラ−tert−ブトキシジシルオキシラニデン、メチレン−ビス−(ジイソプロピルシラノキサニリデン、または1,1,4,4−テトラフェニル−1,4−ジシルオキシラニデン誘導体がある。
【0034】
ジヒドロキシル保護基は、環状炭酸エステルも含む。
他のジヒドロキシル保護基は、環状ボロン酸誘導体、例えば、フェニルボロナート、メチルボロナートまたはエチルボロナートを含む。
【0035】
ヒドロキシル保護基およびジヒドロキシル保護基は、固相支持保護基も含む。固相支持保護基の導入のための固相支持反応材は、例えば、
固相支持トリチル保護基の導入にはポリマー結合−2−クロロトリチルクロライドを含み、または固相支持ケタール保護基の製造にはアセチルポリスチレン樹脂または4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン−ベースの樹脂を含み得る。
【0036】
すべて本発明の範囲に含まれるヒドロキシル保護基およびジヒドロキシル保護基の非限定的な例は、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis”, 4
th ed.P.G.M.Wuts;T.W.Greene, John Wiley, 2007, page 16-366, およびP.J.Kocienski,“Protecting Groups”, 3
rd ed.G.Thieme, 2003に見ることができ、これはここに参照として組み込まれる。
【0037】
アンゲリカ酸は2−メチル−2(Z)−ブテン酸である。
チグリン酸は、2−メチル−2(E)−ブテン酸である。
【0038】
用語“アルキル”は、炭化水素から1個の水素原子を除去したときに得られる基を示すことを意図する。該アルキルは、1−20個、好ましくは1−12個、例えば1−6個の炭素原子を含む。本用語は、サブクラスである、ノルマルアルキル(n−アルキル)、二級および三級アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチルおよびイソペンチルを含む。
【0039】
用語“アルケニル”は、少なくとも1個のC=C二重結合を含む炭化水素から1個の水素原子を除去したときに得られる基を示すことを意図する。該アルケニルは、3−12個、好ましくは3−6個の炭素原子、例えばアリルを含む。
【0040】
用語アルキルハライドは、一般式R−X(ここで、Rは上に定義した場合により置換されていてよいアルキル基であり、Xはクロロ、ブロモまたはヨードのようなあらゆるハロゲン置換基である)の分子を示すことを意図する。
【0041】
用語アルケニルハライドは、一般式R−X(ここで、Rは上に定義した場合により置換されていてよいアルケニル基であり、Xはクロロ、ブロモまたはヨードのようなあらゆるハロゲン置換基である)の分子を示すことを意図する。用語“アルコキシ”は、式−OR’(ここで、R’は、上に定義したアルキルである)の基を示すことを意図し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどである。
【0042】
用語“アルコキシアルキル”は、上に定義したアルコキシ基で置換されている、上に定義したアルキル基を示すことを意図し、すなわち、R’−O−R’−(ここで、各R’は同一または異なる上に定義したアルキルである)、例えば、メトキシメチル、エトキシメチルである。
【0043】
用語“アルコキシアルキルハライド”は、一般式R’−O−R’−X(ここで、各R’は同一または異なる上に定義したアルキルであり、Xはクロロ、ブロモまたはヨードのようなあらゆるハロゲン置換基である)の分子を示すことを意図し、例えば、メトキシメチルクロライド、エトキシメチルクロライドである。
【0044】
用語“アルキルカルボニル”は、式−C(O)−R’(ここで、R’は上に定義したアルキル、例えばアセチルである)の基を示すことを意図する。
【0045】
用語“アルケニルカルボニル”は、式−C(O)−R’(ここで、R’は上に定義したアルケニルる)の基を示すことを意図し、例えばアンゲロイルである。
【0046】
用語“アリール”は、非局在(4n+2)π電子系を有する化合物を含有する環状炭素から1個の水素原子を除去したときに得られる式Ar−の基を示すことを意図する。nは>0の整数であり、好ましくは1または2である。Ar−の例は、フェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−ニトロフェニルである。
【0047】
用語“アリールアルキル”は、式Ar−R”−(ここで、Ar−R”−は芳香族性基で置換された、上に定義したアルキル基である)の基を示すことを意図し、例えばベンジルである。
【0048】
用語“酸ハライド”は、一般式R’−C(O)−XまたはAr−C(O)−X(ここで、R’は上に定義した場合により置換されていてよいアルキルまたはアルケニルであり、Arは上に定義した場合により置換されていてよいアリールであり、Xはここに定義するクロロ、ブロモまたはヨードのようなハロゲンである)の分子を示すことを意図する。酸ハライドの例は、アセチルクロライド、クロロアセチルクロライド、フェノキシアセチルクロライド、ベンゾイルクロライド、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロライド、4−ニトロベンゾイルクロライドまたはアンゲロイルクロライドである。
【0049】
用語“酸無水物”は、一般式R’−C(O)−O−C(O)−R’またはAr−C(O)−O−C(O)−Ar(ここで、R’は上に定義した場合により置換されていてよいアルキルまたはアルケニルであり、Arは上に定義した場合により置換されていてよいアリールである)の分子を示すことを意図する。酸無水物の例は、酢酸無水物、アンゲリカ酸無水物、安息香酸無水物または2,4,6−トリクロロ安息香酸無水物である。
【0050】
用語“混合無水物”は、一般式R−C(O)−O−C(O)−R”またはAr−C(O)−O−C(O)−R’(ここで、R−およびR’−は異なり、R’およびR”は上に定義した場合により置換されていてよいアルキルまたはアルケニルであり、Arは上に定義した場合により置換されていてよいアリールである)の分子を示すことを意図する。“混合無水物”の例は、アンゲロイル2,4,6−トリクロロベンゾイル無水物またはアンゲロイル4−ニトロベンゾイル無水物である。
【0051】
用語“アルコキシカルボニル”は、式R’−O−C(O)−(ここで、R’は上に定義したアルキルである)の基を示すことを意図し、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニルなどがある。
【0052】
用語“アリールスルフェニル”は、式Ar−S(O)−(ここで、Ar−は上に定義したとおりである)の基を示すことを意図し、例えば2,4−ジニトロフェニルスルフェニルがある。
【0053】
用語“ジオール”は、2個以上のヒドロキシル基を含有し、ここで、その2個のヒドロキシル基が同じ炭素原子に結合していない分子を示すことを意図する。一般に、ジオール保護基は、1,2−ジオールおよび/または1,3−ジオールの保護のために用いられる。“ジオール”の例は、インゲノールまたはインゲノール−3−アンゲラートである。
【0054】
用語“活性酸誘導体”は、選択された反応条件下、アルコールと対応する酸よりも容易に反応してエステルを形成する、酸の誘導体を示すことを意図する。“活性酸誘導体”の例は、酸ハライド、酸無水物、“混合無水物”、メチルアンゲラートまたはビニルアンゲラートである。
【0055】
用語“カップリング剤”は、水の形式的な結合により酸とアルコールからのエステルの形成を促進する反応材を示すことを意図する。“カップリング剤”の例は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−メチル−2−クロロ−ピリジニウムアイオダイド、HBTU(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、DMTMM(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライド)、HATU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、EDCI(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド)である。
【0056】
用語“アクティベーター”は、反応混合物から酸を除去することにより、酸または活性酸誘導体とアルコールからエステルの形成を促進する反応材を示すことを意図する。“アクティベーター”の例は、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたはルチジンである。
【0057】
用語“触媒”は、準化学量論または化学量論量、または過剰量で、それ自体が消費されることなく反応を促進する化合物を示すことを意図する。触媒の例は、DMAP(4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン)または1−ヒドロキシベンゾトリアゾールである。
【0058】
用語“酵素的触媒”は、酵素と呼ばれる特殊なタンパク質による化学反応の触媒を示すことを意図する。酵素の例は、リパーゼ、エステラーゼ、プロテアーゼまたはクチナーゼである。
【0059】
用語“エステラーゼ”は、エステルを酸およびアルコールに開裂を触媒することのできる酵素を示すことを意図する。
【0060】
用語“リパーゼ”は、脂質の加水分解を触媒することのできる酵素を示すことを意図する。リパーゼは、しばしば脂質でないエステルを加水分解することができる。リパーゼの例は、カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)リパーゼBである。
【0061】
用語“アンゲラート”は、アンゲリカ酸のエステルを示すことを意図する。
【0062】
用語“エステル化”は、適切な反応条件下、ヒドロキシル基を適切な反応剤と組み合わせて、すなわち、カルボン酸またはカルボン酸誘導体と組み合わせてエステルを形成する反応を示すことを意図する。
【0063】
用語“エーテル
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がエーテル基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0064】
用語“エステル
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がエステル基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0065】
用語“アセタール
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がアセタール基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0066】
用語“ケタール
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がケタール基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0067】
用語“シリルエーテル
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がシリルエーテル基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0068】
用語“スルフェナート
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がスルフェナート基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0069】
用語“ボロナート
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がボロナート基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0070】
用語“カルボナート
誘導ヒドロキシル保護基”は、保護されるヒドロキシル基がカルボナート基の一部
となるヒドロキシル保護基を示すことを意図する。
【0071】
態様
一つの態様において、本発明は、1個以上のヒドロキシル基がヒドロキシル保護基またはジヒドロキシル保護基により保護されたインゲノール(II)からのインゲノール−3−アンゲラート(I)の製造方法に関する。
【0072】
一つの態様において、本発明は、インゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II)
【化7】
から製造する方法する方法に関連し、それは次の:
(a) インゲノールの5位および20位の一方または両方のヒドロキシル基を保護して、一般式(III)または(IV)
【化8】
〔式中、R
1は、ヒドロキシル保護基であり、R
2は、水素またはヒドロキシル保護基であるか、またはDは、ジヒドロキシル保護基である。〕
の化合物を得て、
【0073】
(b) 化合物(III)または(IV)をエステル化を得て、一般式(V)または(VI)
【化9】
〔式中、R
1、R
2およびDは、上に示したとおりである。〕
の化合物を得て、そして
(c) 化合物(V)または(VI)からヒドロキシル保護基R
1、またはR
1およびR
2、またはDを除去してインゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0074】
異なる態様において、本発明はインゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II)
【化10】
から製造する方法する方法に関連し、それは次の:
(d) インゲノール(II)をエステル化して式(VII)
【化11】
〔式中、R
3は、水素またはアンゲロイルである。〕
の化合物を得て、そして
(e) 化合物(VII)の20位、または5位と20位のアンゲラートエステルを開裂して、インゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0075】
異なる態様において、本発明は、インゲノール−3−アンゲラート(2−メチル−2(Z)−ブテン酸(1aR,2S,5R,5aS,6S,8aS,9R,10aR)−5,5a−ジヒドロキシ−4−(ヒドロキシメチル)−1,1,7,9−テトラメチル−11−オキソ−1a,2,5,5a,6,9,10,10a−オクタヒドロ−1H−2,8a−メタノシクロペンタ[a]シクロプロパ[e]シクロデセン−6−イルエステル)(I)をインゲノール(II)
【化12】
から製造する方法する方法に関連し、それは次の:
(f) 化合物(II)の3−ヒドロキシ基を選択的エステル化して、インゲノール−3−アンゲラート(I)を得る
工程を含む。
【0076】
一つの態様において、R
1は、水素であっても、またはR
1は、エーテル、アセタール、ケタール、シリルエーテル、エステル、カルボナート、またはスルフェナート
誘導ヒドロキシル保護基であり、R
2は、水素またはエーテル、アセタール、ケタール、シリルエーテル、エステル、カルボナート、またはスルフェナート
誘導ヒドロキシル保護基であってもよい。
【0077】
例えば、R
1は、水素、[(3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチル、グアイアコールメチル、2−メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、アリル、プレニル、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、アセチル、クロロアセチル、フェノキシアセチルまたはアンゲロイルからなる群から選択される。
【0078】
R
2は、例えば、水素または[(3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチル、グアイアコールメチル、2−メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、アリル、プレニル、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、アセチル、クロロアセチル、フェノキシアセチルまたはアンゲロイルからなる群から選択され得る。
【0079】
異なる態様において、Dは、アセタール、ケタール、ジアセタール、ジケタール、オルトエステル、シリル、ボロナートまたはカルボナート
誘導ジヒドロキシル保護基であり得る。例えば、Dは、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン,ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンまたはイソプロポキシメチレンからなる群から選択され得る。
特定の態様において、R
1は、ヒドロキシル保護基であり、R
2は、水素である。
【0080】
異なる特定の態様において、R
3は、水素である。
異なる態様において、本発明は、工程(b)が、R
1、R
2およびDが上に定義したとおりである化合物(III)または(IV)を、カップリング剤または酵素の存在下、アンゲリカ酸と反応させることを含む方法に関する。
【0081】
異なる態様において、本発明は、工程(b)が、R
1、R
2およびDが上に定義したとおりである。化合物(III)または(IV)を、カップリング剤の存在下、アンゲリカ酸と反応させることを含む方法に関する。
【0082】
一つの態様において、カップリング剤は、DCC、HATU、EDCIまたは2−クロロ−1−メチル−ピリジニウムアイオダイドからなる群から選択される。
【0083】
異なる態様において、本発明は、工程(b)が、R
1、R
2およびDが上に定義したとおりである化合物(III)または(IV)を、アンゲリカ酸の活性化誘導体と反応させることを含む方法に関する。
【0084】
一つの態様において、アンゲリカ酸の活性化誘導体は、メチルアンゲラート、アンゲロイルクロライド、アンゲリカ酸無水物、[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエートまたはアンゲロイル4−ニトロベンゾイル無水物からなる群から選択される。
【0085】
異なる態様において、本発明は、工程(b)が、R
1、R
2およびDが上に定義したとおりである化合物(III)または(IV)とアンゲリカ酸ハライドまたはアンゲリカ酸無水物または混合アンゲリカ酸無水物と反応させることを含む方法に関する。
一つの態様において、アンゲリカ酸ハライドはアンゲロイルクロライドである。
【0086】
一つの態様において、混合アンゲリカ酸無水物は、[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエートまたはアンゲロイル4−ニトロベンゾイル無水物である。
【0087】
一つの態様において、本発明は、R
1が水素またはエーテル、アセタール、ケタール、シリルエーテル、エステル、カルボナート、またはスルフェナート
誘導ヒドロキシル保護基であり、R
2が水素またはエーテル、アセタール、ケタール、シリルエーテル、エステル、カルボナート、またはスルフェナート
誘導ヒドロキシル保護基である一般式(V)の化合物に関する。
【0088】
一つの態様において、本発明は、R
1およびR
2が独立して、水素または[(3,4−ジメトキシベンジル)オキシ]メチル、グアイアコールメチル、2−メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、アリル、プレニル、p−メトキシベンジル、トリフェニルメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、クロロアセチルまたはフェノキシアセチルである一般式(V)の化合物に関する。
【0089】
一つの態様において、本発明は、R
1がヒドロキシル保護基であり、R
2が水素である一般式(V)の化合物に関する。
【0090】
一つの態様において、本発明は、インゲノール−20−(tert−ブチルジメチルシリル)−エーテル−3−アンゲラートからなる群から選択される化合物に関する。
【0091】
一つの態様において、本発明は、Dがアセタール、ケタール、ジアセタール、ジケタール、オルトエステル、シリル、ボロナートまたはカルボナートジヒドロキシル保護基である一般式(VI)の化合物に関する。
【0092】
一つの態様において、本発明は、Dがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン,ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンまたはイソプロポキシメチレンである一般式(VI)の化合物に関する。
【0093】
一つの態様において、インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル−3−アンゲラートからなる群から選択される化合物に関する。
【0094】
一つの態様において、本発明は、Dがアセタール、ケタール、ジアセタール、ジケタール、オルトエステル、シリル、ボロナートまたはカルボナート
誘導ジヒドロキシル保護基である一般式(IV)の化合物に関する。
【0095】
一つの態様において、本発明は、Dがシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、p−メトキシベンジリデン、メトキシメチレン、2−オキサシクロペンチリデン、2,3−ジメトキシブタン−2,3−ジ−イル、1,2−ジメトキシシクロヘキサン−1,2−ジ−イル、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラン−2,2’−ジ−イル、ジ−tert−ブチルシリレン、1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)、フェニルボロナート、3−ペンチリデン、2,4−ジメチル−3−ペンチリデン、2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン、3,3−ジメチル−2−ブチリデン、1−フェニル−1−エチリデン,ベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、2,4,6−トリメチルベンジリデン、2,2−ジメチル−1−プロピリデン、エトキシメチレンまたはイソプロポキシメチレンである一般式(IV)の化合物に関する。
【0096】
一つの態様において、本発明は、
インゲノール−5,20−(3−ペンチリデン)−ケタール、
インゲノール−5,20−(2,4−ジメチル−3−ペンチリデン)−ケタール、
インゲノール−5,20−(2,6−ジメチル−4−ヘプチリデン)−ケタール、
インゲノール−5,20−シクロペンチリデン−ケタール、
インゲノール−5,20−シクロヘキシリデン−ケタール、
インゲノール−5,20−(3,3−ジメチル−2−ブチリデン)−ケタール、
インゲノール−5,20−(1−フェニル−1−エチリデン)−ケタール、
インゲノール−5,20−ベンジリデン−アセタール、
インゲノール−5,20−(4−メトキシベンジリデン)−アセタール、
インゲノール−5,20−(2,4−ジメトキシベンジリデン)−アセタール、
インゲノール−5,20−(4−ニトロベンジリデン)−アセタール、
インゲノール−5,20−(2,4,6−トリメチルベンジリデン)−アセタール、
インゲノール−5,20−(2,2−ジメチル−1−プロピリデン)−アセタール、
インゲノール−5,20−メチル−オルトホルメート、
インゲノール−5,20−エチル−オルトホルメート、
インゲノール−5,20−(プロパ−2−イル)−オルトホルメート、または
インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル
からなる群から選択される化合物に関する。
【0097】
一つの態様において、本発明は、R
3が水素またはアンゲロイルである一般構造(VII)の化合物に関する。
一つの態様において、インゲノール−3−アンゲラートの製造における中間体としての一般式(III)、(IV)、(V)または(VI)の化合物の使用に関する。
【0098】
合成方法
一般式(III)および(IV)の化合物は、例えば、化合物(II)と、ヒドロキシル保護剤またはジヒドロキシル保護剤を反応させることにより、当業者によく知られた方法、例えば“Protective Groups in Organic Synthesis”, 4
th ed.P.G.M.Wuts;T.W.Greene, John Wiley, 2007またはP.J.Kocienski, “Protecting Groups”, 3
rd ed.G.Thieme, 2003、およびそこに引用されている参考文献に記載されている方法により合成できる。
【0099】
例えば、R
1がトリフェニルメチルであり、R
2が水素またはトリフェニルメチルである化合物(III)は、化合物(II)と、トリフェニルメチル反応材、例えば、トリフェニルメチルピリジニウムフルオロボレートまたはトリフェニルメチルクロライドを、適切な溶媒、例えばピリジン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジクロロメタン中、塩基の存在下または非存在下で反応させることにより合成できる[例えば、Opferkuch et.al., Z.Naturforschung, (1981), 36B, 878]。
【0100】
R
1がアリールアルキルまたはアルケニル、例えばp−メトキシベンジルまたはアリルであり、R
2は、が水素またはアリールアルキルまたはアルケニルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、アルキルハライドまたはアルケニルハライド、例えば、p−メトキシベンジルハライドまたはアリルハライドを、適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフラン中、場合により適切な塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で反応させることにより合成できる。
【0101】
R
1がアルコキシアルキル、例えば、メトキシメチルまたは2−メトキシエトキシメチルであり、R
2が水素またはアルコキシアルキル、例えば、メトキシメチルまたは2−メトキシエトキシメチルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、アルコキシアルキルハライド、例えば、メトキシメチルクロライドまたは2−メトキシエトキシメチルクロライドを、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン中、場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミンの存在下で反応させることにより合成できる。
【0102】
R
1が2−テトラヒドロピラニルであり、R
2が水素または2−テトラヒドロピラニルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、ジヒドロピランを、適切な溶媒、例えばジクロロメタンまたはアセトニトリル中、適切な酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下で反応させることにより合成できる。
【0103】
R
1がシリルであり、R
2が水素またはシリルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、シリルクロライド、例えば、tert−ブチルジメチルシリルクロライド、tert−ブチルジフェニルシリルクロライドまたはトリイソプロピルシリルクロライドを、適切な溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリル中、場合により適切な塩基、例えばイミダゾール、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンまたは2,6−ルチジンの存在下で反応させることにより、または化合物(II)と、シリルトリフラート、例えばtert−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートを、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタン中、場合により適切な塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で反応させることにより、合成できる。
【0104】
R
1がアルキルカルボニルまたはアルケニルカルボニル、例えば、アセチル、クロロアセチルまたはフェノキシアセチルまたはアンゲロイルであり、R
2が水素またはアルキルカルボニルまたはアルケニルカルボニルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、対応する酸クロライド、例えば、アセチルクロライド、クロロアセチルクロライドまたはフェノキシアセチルクロライドまたはアンゲロイルクロライドを反応させることにより、または化合物(II)と、酸無水物、例えば酢酸無水物、クロロ酢酸無水物またはフェノキシ酢酸無水物またはアンゲリカ酸無水物を、適切な溶媒、例えば、ピリジンまたはジクロロメタン中、場合により適切な塩基、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンの存在下反応させることにより、または化合物(II)をアシル供与体、例えば、ビニルアセテートまたはクロロ酢酸無水物またはビニルアンゲラートと、場合により触媒として酵素の存在下で反応させることにより合成できる。
【0105】
R
1がアルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニルまたは9−フルオレニルメトキシカルボニルであり、R
2は、が水素またはアルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニルまたは9−フルオレニルメトキシカルボニルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、対応するアルキルクロロホルメートを、適切な溶媒、例えば、ピリジンまたはジクロロメタン中、場合により適切な塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン存在下反応させることにより合成できる。
【0106】
R
1がアリールスルフェニル、例えば、2,4−ジニトロフェニルスルフェニルであり、R
2が水素またはアリールスルフェニル、例えば2,4−ジニトロフェニルスルフェニルである化合物(III)は、例えば、化合物(II)と、場合により置換されていてよいスルフェニルクロライド、例えば2,4−ジニトロフェニルスルフェニルクロライドを、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタン中、場合により適切な塩基、例えばピリジンの存在下で反応させることにより合成できる。
【0107】
Dがアセタール、例えば、ベンジリデンアセタールである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)と、アルデヒド、例えばベンズアルデヒドまたはジメトキシアセタール、例えばベンズアルデヒドジメチルアセタールを、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドまたはTHF中、適切な酸、例えばp−トルエンスルホン酸存在下反応させることにより合成できる;またはベンジリデンアセタールは、例えば、化合物(II)を、α,α−ジ−ハロ−トルエン誘導体、例えば、α,α−ジブロモトルエンまたはα,α−(ビスピリジニウム)トルエンジブロマイドと、適切な溶媒、例えばピリジン、DMFまたはTHF中、適切な塩基、例えばK
2CO
3またはLiHMDS存在下で反応させることにより合成できる。
【0108】
Dがケタール、例えば、イソプロピリデンケタールである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、ケトン、例えば、アセトンまたはジメトキシケタール、例えば2,2−ジメトキシプロパンと、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドまたはTHF中、適切な酸、例えば、p−トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸の存在下で反応させることにより合成できる。アセトンおよび2,2−ジメトキシプロパンは、溶媒としても作用できる。
【0109】
Dがビス−アセタール、例えば、ブタン2,3−ビスアセタールまたはシクロヘキサン−1,2−ジアセタールまたはジスピロケタール、例えば、オクタヒドロ[2,2’]−ビピラニルケタールである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、2,2,3,3−テトラメトキシブタンまたはシクロヘキサン−1,2−ジオンおよびトリメチルオルトホルメートと、適切な酸、例えばp−トルエンスルホン酸存在下、適切な溶媒、例えば、メタノール中反応させることにより、またはビスジヒドロピランと、適切な酸、例えばp−トルエンスルホン酸存在下、適切な溶媒、例えばジクロロメタン中反応させることにより合成できる。
【0110】
Dが環状オルトエステル、例えば、メトキシメチレンアセタールまたは2−オキサシクロペンチリデンオルトエステルである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、オルトエステル、例えばトリメチルオルトホルメートと、適切な溶媒、例えばジクロロメタン中、酸、例えばp−トルエンスルホン酸存在下反応させることにより;または化合物(II)をジハロメチルアルコキシエーテル、例えば、ジクロロメチルメチルエーテルと、適切な溶媒、例えばDMFまたはTHF中、適切な塩基、例えばLiHMDSまたはK
2CO
3存在下で反応させることにより合成できる。
【0111】
Dがシリル、例えばジ−tert−ブチルシリレンである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、ジアルキルシリルジクロライドまたはジアルキルシリルジトリフラート、例えばジ−tert−ブチルシリルジトリフラートと、溶媒、例えば、アセトニトリル、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミド中、場合により、塩基、例えばトリエチルアミンまたは2,6−ルチジン存在下反応させることにより合成できる。
【0112】
Dがカルボニルである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、ホスゲンまたはN,N’−カルボニルジイミダゾールと、ピリジン中で反応させることにより合成することができる。
【0113】
Dがボロナート、例えばフェニルボロナートである化合物(IV)は、例えば、化合物(II)を、フェニルボロン酸と、ピリジン中で反応させることにより合成することができる。
【0114】
化合物(II)からの一般式(III)および(IV)の化合物の合成は、バッチ式反応装置およびフロー式反応装置のいずれにおいても行われ、例えば、Alfa Laval ART
(登録商標) Plate Reactor 37において行われる。
【0115】
ヒドロキシル保護基R
1、R
2またはDを導入するための反応材は、固相支持反応材、例えば、ポリマー結合2−クロロトリチルクロライド、アセチルポリスチレン樹脂または4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン−2−オン−ベースの樹脂であり得る。
【0116】
一般式(III)および(IV)の化合物を、一般式(V)および(VI)の化合物を得るために、化合物(III)または(IV)を、アンゲリカ酸とカップリング剤の存在下または活性化アンゲリカ酸誘導体と反応させることにより、3位をエステル化できる。化合物(II)は、一般式(VII)の化合物を得るために、化合物(II)を、アンゲリカ酸とカップリング剤の存在下または活性化アンゲリカ酸誘導体と反応させることによりエステル化できる。本化合物は、本明細書に組み込む“Esterification” by J. Otera, Wiley-VCH, 2003およびそこに引用された参考文献に記載されたエステル化法により、製造され得る。
【0117】
例えば、化合物(V)、(VI)または(VII)は、化合物(III)、(IV)または(II)を、活性化アンゲリカ酸誘導体、例えばアンゲロイルハライド、例えばアンゲロイルクロライドと反応させることにより合成できる。アンゲロイルクロライドとの反応によるエステル化は、アクティベーターなしで、または塩基、例えばピリジンまたはトリエチルアミン、LiHMDSまたはDMAPの存在下、適切な溶媒、例えばピリジンまたはTHF中で行うことができる。アンゲロイルクロライドを用いたアンゲリカ酸エステルの合成の例は、例えば、Beeby, P.J., Tetrahedron Lett., (1977), 38, 3379-3382に見ることができる。
【0118】
化合物(V)、(VI)または(VII)は、例えば、化合物(III)、(IV)または(II)を活性化アンゲリカ酸誘導体、例えば、アンゲリカ酸無水物と反応させることにより合成できる。アンゲリカ酸無水物との反応によるエステル化は、触媒なしに、または例えば過塩素酸またはルイス酸、例えばスカンジウム(III)トリフラートまたはビスマス(III)トリフラートを用いた酸触媒の存在下、または塩基、例えば炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミン、LiHMDS、NaHMDS、KHMDS、ピリジン、炭酸セシウムまたはDMAPの存在下、適切な溶媒、例えばTHF、MeCN、ピリジンまたはMTBE中で行われる。アンゲリカ酸無水物を用いたアンゲリカ酸エステルの合成の例は、Hartmann, B.et. al.;Tetrahedron Lett., (1991), 32, 5077-5080または特開第2008−127287号公報に見ることができる。
【0119】
化合物(V)、(VI)または(VII)は、例えば、化合物(III)、(IV)または(II)を、活性化アンゲリカ酸誘導体、例えば、混合無水物、例えば、アンゲロイルトリクロロベンゾイル無水物、例えば、アンゲロイル2,4,6−トリクロロベンゾイル無水物と反応させることにより合成できる。混合無水物との反応によるエステル化は、触媒なしで、または酸、例えば過塩素酸またはルイス酸、例えば、スカンジウム(III)トリフラートまたはビスマス(III)トリフラートを用いた酸触媒の存在下、または塩基、例えば炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミンの存在下、溶媒、例えばトルエン中で行われる。アンゲロイルトリクロロベンゾイル無水物を用いたアンゲリカ酸エステルの合成の例は、例えばHartmann, B.et. al.;Tetrahedron Lett.(1991), 32, 5077-5080またはBall, B., Org.Lett., (2007), 9, 663-666に見ることができる。
【0120】
化合物(V)、(VI)または(VII)は、例えば、化合物(III)、(IV)または(II)を、アンゲリカ酸とカップリング剤の存在下で反応させることにより合成できる。アンゲリカ酸は、カップリング剤、例えば、カルボジイミド、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドまたはEDCI(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド)存在下、触媒、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下または非存在下、エステル化できる。触媒の存在下または非存在下における、ジシクロヘキシルカルボジイミドを用いたアンゲリカ酸エステルの合成の例は、Hoskins, W.M., J.Chem.Soc.Perkin Trans.1, (1977), 538-544に見ることができる。エステル化のための他のカップリング剤は、例えば、2−ハロ−1−アルキルピリジニウム塩類、例えば1−メチル−2−クロロ−ピリジニウムアイオダイド、またはヒドロキシ−ベンゾトリアゾール誘導体、例えば、HBTU(O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、またはHATU(N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、またはトリアジン誘導体、例えばDMTMM(4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロライドがある。適切な溶媒は、塩化メチレン、トルエン、DMFまたはTHFである。また、固相支持カップリング剤も、エステル化工程に用いることができる[ここに参照として組み込まれるNam, N.-H., Journal of Combinatorial Chemistry, (203), 5, 479-545または“Esterification”J.Otera, Wiley-VCH, 2003]。
【0121】
化合物(V)、(VI)、(VII)または(I)は、例えば、化合物(III)、(IV)または(II)を、アンゲロイル供与体、例えば、アンゲリカ酸無水物、アンゲリカ酸エステル、例えば、ビニルアンゲラート、またはアンゲリカ酸チオエステルと、酵素、例えばリパーゼまたはエステラーゼ存在下に反応させることにより合成できる。リパーゼにより触媒されるインゲノール誘導体のエステル化は、ここに参照として組み込まれるTeng, R.W., Fitoterapia, (2009), 80, 233-236に見ることができる。
【0122】
一般式(III)および(IV)の化合物からの一般式(V)および(VI)の化合物の合成は、バッチ式反応装置およびフロー式反応装置のいずれにおいても行われ得る。
【0123】
一般式(III)および(IV)の化合物からの一般式(V)および(VI)の化合物の合成のための反応材は、固相支持反応材であり得る。
【0124】
インゲノール−3−アンゲラート(I)は、本明細書に組み込む“Protective Groups in Organic Synthesis”, 4
th ed.P.G.M.Wuts;T.W.Greene, John Wiley, 2007, またはP.J.Kocienski,“Protecting Groups”, 3
rd ed.G.Thieme, 2003およびそこに引用される参考文献に記載された方法のような、ヒドロキシルまたはジヒドロキシル保護基の脱保護について当業者によく知られた方法に従い、一般構造(V)または(VI)の化合物からの保護基、R
1およびR
2またはDの選択的除去により合成できる。
【0125】
インゲノール−3−アンゲラート(I)は、一般構造(VII)の化合物の20位、または5位と20位からのアンゲロイル基の選択的除去により合成できる。
【0126】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはアルキル、例えば、トリフェニルメチルであり、R
2が水素またはトリフェニルメチルである化合物(V)から、化合物(V)を適切な酸、例えばギ酸またはトリフルオロ酢酸と、適切な溶媒、例えばエーテル、メタノールまたはジクロロメタン中で反応させることにより合成できる。
【0127】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはアルキル、例えばp−メトキシベンジルメチルまたはアリルであり、R
2が水素またはp−メトキシベンジルメチルまたはアリルである化合物(V)から、化合物(V)を、2,5−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)とジクロロメタン中で反応させることにより合成される。またアリル基は、遷移金属触媒、例えばウィルキンソン触媒(ロジウム(I)トリス(トリフェニルホスフィン)クロライド)との反応による、オレフィンからビニルエーテルへの異性化、続く水存在下でのビニルエーテルの開裂により除去することができる。
【0128】
化合物(I)は、例えばR
1が水素またはアルコキシアルキル、例えば、2−メトキシエトキシメチルであり、R
2が水素またはアルコキシアルキル、例えば、2−メトキシエトキシメチルである化合物(V)から、溶媒、例えばジクロロメタン中、例えば、ルイス酸、例えば臭化亜鉛(II)または塩化チタニウム(IV)による酸触媒開裂によるR
1および/またはR
2のアセタール部分の開裂により合成できる。
【0129】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはアルコキシアルキル、例えば、2−テトラヒドロピラニルであり、R
2が水素またはアルコキシアルキル、例えば、2−テトラヒドロピラニルである化合物(V)から、R
1および/またはR
2のアセタール部分の開裂により、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール中、適切な酸、例えばp−トルエンスルホン酸の存在下、酸触媒開裂により合成される。
【0130】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはシリル、例えば、tert−ブチルジメチルシリルであり、R
2が水素またはシリル、例えば、tert−ブチルジメチルシリルである化合物(V)から、化合物(V)を、適切な酸、例えば、塩化水素と、適切な溶媒、例えばメタノール中で、またはフルオライド源、例えば、テトラn−ブチルアンモニウムフルオライドまたはテトラフルオロシランと、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフランまたはアセトニトリル中で反応させることにより合成できる。
【0131】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはアルキルカルボニル、例えば、アセチルまたはクロロアセチルであり、R
2が水素またはアルキルカルボニル、例えば、アセチルまたはクロロアセチルである化合物(V)から、R
1および/またはR
2のエステル部分を酵素、例えばリパーゼを用いた酵素触媒により加水分解することにより、またはR
1および/またはR
2のエステル部分を適切な溶媒、例えば、メタノールまたは水中で、適切な塩基、例えば炭酸カリウムまたは適切な酸、例えば塩化水素の存在下で、加水分解することにより合成できる。
【0132】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素またはアルコキシカルボニル、例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニルであり、R
2が水素またはアルコキシカルボニル、例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニルである化合物(V)から、R
1および/またはR
2のカルボナート部分を、適切な塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下、適切な溶媒、例えばピリジン中で開裂することにより合成できる。
【0133】
化合物(I)は、例えば、R
1が水素または2,4−ジニトロフェニルスルフェニルであり、R
2が水素または2,4−ジニトロフェニルスルフェニルである化合物(V)から、R
1および/またはR
2のスルフェナート部分を、求核剤、例えば、シアン化ナトリウムにより、適切な溶媒、例えばメタノール中で開裂することにより合成できる。
【0134】
化合物(I)は、例えば、Dがアセタール、例えば、ベンジリデンアセタールである化合物(VI)から、適切な酸、例えば酢酸、トリフルオロ酢酸またはp−トルエンスルホン酸の存在下、適切な溶媒、例えば水、ジクロロメタンまたはメタノール中で、アセタール部分を開裂することにより合成できる。
【0135】
化合物(I)は、例えば、Dがケタール、例えば、イソプロピリデンケタールである化合物(VI)から、適切な酸、例えば塩化水素水溶液、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、固相支持p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、リン酸またはギ酸の存在下、適切な溶媒、例えばメタノール、THFまたはイソプロパノール中、ケタール部分の開裂により合成できる。
【0136】
化合物(I)は、例えば、Dが環状オルトエステル、例えばメトキシメチレンアセタールである化合物(VI)から、適切な酸、例えば塩化水素水溶液または酢酸の存在下、適切な溶媒、例えば、ジオキサンまたは水中で、オルトエステル部分を開裂することにより合成できる。
【0137】
化合物(I)は、例えば、Dがシリル、例えば、ジ−tert−ブチルシリレンである化合物(VI)から、化合物(VI)を、フルオライド源、例えば、テトラn−ブチルアンモニウムフルオライドまたはテトラフルオロシランと、適切な溶媒、例えば、テトラヒドロフランまたはアセトニトリル中で反応させることにより合成できる。
【0138】
化合物(I)は、例えば、Dがカルボニルである化合物(VI)から、適切な塩基、例えばピリジン存在下、適切な溶媒、例えば水中で、カルボナート部分を開裂することにより、または酵素、例えば、リパーゼまたはエステラーゼの存在下、酵素触媒加水分解により合成できる。
【0139】
化合物(I)は、例えば、Dがボロナート、例えば、フェニルボロナートである化合物(VI)から、ジオール、例えば、1,3−プロパンジオールを用いるトランスエステル化により合成できる。
【0140】
化合物(I)の合成は、一般式(V)および(VI)の化合物から、バッチ式反応装置およびフロー式反応装置のいずれにおいても行われ得る。
【0141】
一般式(V)および(VI)の化合物からの化合物(I)の合成の反応材は固相支持反応材であり得る。
【0142】
化合物(I)は、R
3がアンゲロイルまたは水素である化合物(VII)から、酵素、例えばリパーゼまたはエステラーゼの存在下、20位、または5位と20位のエステル部分の酵素触媒加水分解により合成できる。
【0143】
更なる面において、本発明は、R
1がヒドロキシル保護基であり、R
2は、水素またはヒドロキシル保護基である一般構造(V)の化合物、またはDがジヒドロキシル保護基である一般構造(VI)の化合物、またはR
3が水素またはアンゲロイルである一般構造(VII)の化合物に関する。
【実施例】
【0144】
一般
すべての出発物質は、特に記載しない限り、市販されている。プロトン核磁気共鳴(
1H NMR)スペクトルについては、化学シフト値(δ)(ppm)は、内部標準テトラメチルシラン(δ=0.00)と対比して引用される。二重項(d)、三重項(t)、四重項(q)または範囲(m)により規定する多重項の値を記載する。すべての有機溶媒は特に断らない限り無水である。
【0145】
フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルを用いて行った。特に断らない限り、酢酸エチル、ジクロロメタン、メタノール、石油エーテル(沸点40−60℃)、およびヘプタンの適切な混合物を溶離剤として用いた。
【0146】
略語
Bu
3N:トリブチルアミン
CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール
Cs
2CO
3:炭酸セシウム
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
EDCI:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロライド
HATU:N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウ
ロニウムヘキサフルオロホスフェート
HCl:塩酸
HOAt:3H−[1,2,3]−トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−オール
K
2CO
3:炭酸カリウム
KHMDS:カリウムヘキサメチルジシラジド
LiHMDS:リチウムヘキサメチルジシラジド
MSA:メタンスルホン酸
NaHMDS:ナトリウムヘキサメチルジシラジド
TEA:トリエチルアミン
CDCl
3:ジュウテロクロロホルム
DCM:ジクロロメタン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
IPA:2−プロパノール(イソプロピルアルコール)
MeCN:アセトニトリル
MeTHF:2−メチルテトラヒドロフラン
MTBE:メチルtert−ブチルエーテル
PhMe:トルエン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
I:インゲノール
I−3−Ang:インゲノール−3−アンゲラート
I−3−Tig:インゲノール−3−チグラート
I−3,4−A:インゲノール−3,4−アセトニド
I−5,20−A:インゲノール−5,20−アセトニド
I−3,4:5,20−A:インゲノール−3,4:5,20−ジアセトニド
I−5,20−A−3−Ang:インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート
I−5,20−A−3−Tig:インゲノール−5,20−アセトニド−3−チグラート
I−3,4−X:インゲノール−3,4−アセタール/ケタール
I−5,20−X:インゲノール−5,20−アセタール/ケタール
I−3,4:5,20−X:インゲノール−3,4:5,20−ジアセタール/ジケタール
AngOH:アンゲリカ酸
Ang
2O:アンゲリカ酸無水物
AngOMe:メチルアンゲラート
AngCl:アンゲロイルクロライド
AngIm:アンゲロイルイミダゾリド
AngOAt:アンゲロイルHOAtエステル
AngOTig:アンゲロイルチグラート
TigOH:チグリン酸
Tig
2O:チグリン酸無水物
TigOMe:メチルチグラート
TigCl:チグロイルクロライド
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
TLC:薄層クロマトグラフィー
Equiv.:当量
N/A:該当なし
【0147】
【化13】
インゲノール−5,20−アセトニド(化合物1)の製造
【0148】
実施例1
インゲノール(1.00g、2.30mmol)を、アセトン中のp−トルエンスルホン酸一水和物溶液(0.47mg/mL、22.5mL)に溶解した。溶液を室温で25分撹拌した。この溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.2mL)を加えた。得られた混合物を、真空下濃縮した。残渣を塩水に取り込み、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル19:1→ヘプタン/酢酸エチル0:1)で精製し、表題化合物を白色固体として得た(616mg、69%)。
Opferkuch, H.J.et al., Z.Naturforsch.1981, 36b, 878-887(化合物4)も参照されたい。
1H NMR(300 MHz, CDCl
3) δ 5.91(q, J=1.5 Hz, 1H), 5.82-5.77 (m, 1H), 4.25 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.20-4.07 (m, 3H), 3.93 (s, 1H), 3.51 (s, 1H), 2.57-2.41 (m, 2H), 2.25 (ddd, J=15.7, 8.4, 2.9 Hz, 1H), 1.85 (d, J=1.5 Hz, 3H), 1.77 (dt, J=15.8, 5.9 Hz, 1H), 1.41 (s, 3H), 1.35 (s, 3H), 1.13 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.00-0.87 (m, 4H), 0.70 (td, J=8.4, 6.4 Hz, 1H)。
【0149】
実施例2
インゲノール(7.0g、20.1mmol)を、アセトン中のp−トルエンスルホン酸一水和物溶液(0.2mg/mL、200mL)に溶解した。溶液を、室温で1.5時間撹拌した(TLCコントロール)。この溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.0mL)を加えた。得られた混合物をろ過した。濾液を真空下濃縮した。残渣を酢酸エチル(20mL)に取り込んだ。この溶液に、石油エーテル(40mL)を加えた。混合物を2時間静置した。結晶を濾過し、乾燥させ、表題化合物4.5gを得た。母液をクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル2:1〜0:1)により精製し、さらに表題化合物1.2gおよび未反応インゲノール0.6gを得た。総収率は73%、または回収インゲノールに基づき81%であった。
【0150】
実施例3
乾燥インゲノール(15.00g、90%、38.75mmol)を、撹拌下、アセトン(630mL)に溶解し、溶液を45℃に加熱した。メタンスルホン酸(0.745g、7.75mmol)のアセトン溶液(10mL)を5秒かけて加えた。溶液を45℃で、さらに95秒撹拌し、トリエチルアミン(1.35mL、0.98g、9.69mmol)のアセトン溶液(10mL)を5秒かけて加えた。混合物を20℃に冷却し、酢酸エチル(500mL)を加えた。ほとんどの反応溶媒(650mL)を、真空下蒸発させた。残った溶液に水(200mL)を加え、混合物を2分間撹拌した。水層を除去し、水による洗浄をもう1回繰り返し、有機相を真空下濃縮した。粗生成物は、
1H NMR分光学により決定して、表題化合物84%を含有した。残渣を、トルエン(75mL)中還流温度で加熱し、続いて、ゆっくりと5℃に冷却した。4時間静置した後、生成した結晶を濾過し、5℃のトルエン(2×5mL)で洗浄し、定常重量になるまで20℃で真空下濃縮した。18時間後、インゲノール−5,20−アセトニド(8.97g)を得た。
【0151】
【化14】
実施例4
[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエートの製造
アルゴン雰囲気下、アンゲリカ酸(601mg、6.0mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(1.23mL、7.20mmol)を、5−10℃で、1分で加えた。この溶液に、2,4,6−トリクロロベンゾイルクロライド(1.12mL、7.20mmol)を、3−6℃で、4分かけて加えた。反応溶液を、2℃で45分撹拌した後、石油エーテル(9.0mL)を加えた。得られた懸濁液を、フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/ジクロロメタン3:1)により精製し、表題化合物を白色固体として得た(605mg、33%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 7.40 (s, 2H), 6.42 (qq, J=7.4, 1.5 Hz, 1H), 2.09 (dq, J=7.4, 1.5 Hz, 3H), 1.97 (p, J=1.5 Hz, 3H (
1H NMRデータ:Matthew, B et al.;Org Lett.2007, 9, 663-666も参照)。
【0152】
【化15】
実施例5
アンゲリカ酸無水物の製造
アンゲリカ酸(5g、50mmol)のジクロロメタン溶液(100mL)に、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(8.6mL、60%キシレン中、25mmol)を室温で加えた。反応混合物を、この温度で1時間撹拌した。沈殿を濾過した。濾液を真空下濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル10:1)により精製し、表題化合物4.3gを油状物として得た(94%)。
1H NMR(300 MHz, CDCl
3) δ 6.37-6.25 (m, 2H), 2.06 (dq, J=7.4, 1.5 Hz, 6H), 1.97-1.93 (m, 6H)。
【0153】
【化16】
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(化合物2)の製造
【0154】
実施例6
インゲノール−5,20−アセトニド(233mg、0.60mmol)、[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエート(231mg、0.75mmol)、および炭酸水素ナトリウム
*(75.6mg、0.90mmol)のトルエン(2.5mL)中の混合物を、100℃で22時間撹拌した。続いて混合物を濾過し、トルエンで洗浄した。濾液を真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル19:1→ヘプタン/酢酸エチル3:2)で精製し、表題化合物を白色固体として得た(215mg、収率76%)。
*炭酸水素ナトリウムの非存在下では、得られた生成物は、インゲノール−5,20−アセトニド−3−チグラートを2−3%含有した。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.13-6.03 (m, 2H), 5.81-5.75 (m, 1H), 5.66 (s, 1H), 4.27-4.08 (m, 3H), 4.02 (s, 1H), 3.19 (s, 1H), 2.68-2.53 (m, 1H), 2.27 (ddd, J=15.8, 9.1, 3.0 Hz, 1H), 2.02-1.95 (m, 3H), 1.94-1.87 (m, 3H), 1.81-1.68 (m, 4H), 1.47 (s, 3H), 1.43 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 0.98 (d, J=7.1 Hz, 3H), 0.90 (dd, J=11.9, 8.4 Hz, 1H), 0.69 (td, J=8.7, 6.4 Hz, 1H)。
【0155】
実施例7
インゲノール−5,20−アセトニド(1.32g、3.40mmol)、アンゲリカ酸無水物(0.72g、3.94mmol)、および炭酸セシウム(1.66g、5.10mmol)のアセトニトリル(26mL)中の混合物を室温で2時間撹拌した。混合物は、ジクロロメタン(30mL)に取り込み、水で洗浄した。水相を3回ジクロロメタン(3×4mL)で抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル8:1)により精製し、表題化合物1.46g(91%)を白色固体として得た。
【0156】
実施例8
インゲノール−5,20−アセトニド(10.00g、25.74mmol)を、撹拌下、テトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、溶液を10−15℃に冷却した。リチウムヘキサメチルジシラジドのテトラヒドロフラン溶液(1.0M、29.6mL、29.6mmol)を、10分間かけて加えた。続いて、アンゲリカ酸無水物(5.51mL、5.62g、30.8mmol)のテトラヒドロフラン溶液(70mL)を15分間かけて加えた。酢酸エチル(200mL)を加え、反応溶媒(200mL)のほとんどを、真空下留去した。残存溶液に水(75mL)を加え、混合物を2分間撹拌した。水層を除去し、水による洗浄を1回繰り返し、有機相を真空下濃縮した。残渣をメタノール(61mL)に還流温度で溶解し、続いてゆっくりと5℃に冷却した。4時間静置した後、生成した結晶を濾過し、5℃のメタノール(2×5mL)で洗浄し、定常重量になるまで、20℃で真空下乾燥させた。18時間後、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(8.78g)を得た。
【0157】
【化17】
インゲノール−3−アンゲラート(化合物3)の製造
【0158】
実施例9
1%濃塩化水素水溶液を含有する、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(7mg、0.015mmol)のメタノール溶液を、室温で1時間撹拌した。溶液をエチルエーテルで希釈した。水を加えた。相分離後、水相をエチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル1:1)により精製し、目的物を得た(4mg、収率63%)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.17 (qq, J=7.3, 1.4 Hz, 1H), 6.08-6.02 (m, 2H), 5.54 (s, 1H), 4.29 (d, J=4.5 Hz, 1H), 4.22-4.01 (m, 4H), 3.48 (s, 1H), 2.60-2.46 (m, 1H), 2.40-2.17 (m, 2H), 2.02 (dq, J=7.2, 1.4 Hz, 3H), 1.95-1.91 (m, 3H), 1.83-1.68 (m, 4H), 1.09 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.01-0.82 (m, 4H), 0.77-0.61 (m, 1H)。
【0159】
実施例10
0.5%濃塩化水素水溶液を含有する、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(1.46g、3.10mmol)のメタノール(30mL)溶液を、室温で1時間撹拌した。続いて、溶液をトルエンで希釈し、水で洗浄した。水相を、エチルエーテルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル/酢酸エチル1:1〜0:1)、2%インゲノール−3−チグラートを含有する、生成物を得た(1.20g、90%)。
分取用HPLC/MSによるインゲノールアンゲラートとインゲノールチグラートの分離:
分取用HPLC/MSは、2個のPP150分取用ポンプおよびThermo MSQ Plus質量分光計を有するDionex APS-systemで行った。
カラム:XTerra C-18、150×19mm、5μm;
負荷:アセトニトリル0.35mL中、インゲノールアンゲラート50mg;
溶媒系:溶離剤A:0.1%HCOOHのH
2O溶液、溶離剤B:0.1%HCOOHのアセトニトリル溶液
流速:18mL/分;ラン:40%A/60%B;定組成で20分。
分画は、関連するイオンのイオン追跡(MS-detector:DionexのMSQ)およびPDAシグナル(240−400nm;検出器:DionexのUVD 340 U)に基づいて集めた。
【0160】
実施例11
アルゴン雰囲気下、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(47.1 mg、0.10mmol)を、テトラヒドロフラン(0.47mL)に溶解した。氷冷下、塩化水素水溶液(4M、4.7μL)を加えた。溶液を室温で24時間撹拌した。溶液を真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーで(ヘプタン/酢酸エチル5:1→ヘプタン/酢酸エチル1:1)精製し、出発物質(6.1mg、13%)以外に、表題化合物(30.8mg、収率72%)を得た。
【0161】
実施例12
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(6.00g、12.75mmol)を2−プロパノール(152mL)に懸濁させ、20℃で撹拌した。リン酸(15.00g、153mmol)の水溶液(8mL)を加え、懸濁液を30−35℃に加熱した。生成した透明な溶液を7日間撹拌した。反応混合物を20℃に冷却し、メチルtert−ブチルエーテル(500mL)で希釈した。水(100mL)を加え、混合物を2分間撹拌した。水層を除去し、水による洗浄を4回繰り返し、有機相を真空下濃縮した。メチルtert−ブチルエーテル(200mL)を加え、続いて濃縮した。粗生成物は、>95%のインゲノール−3−アンゲラートを含有した。残渣をアセトニトリル(20mL)中、還流温度で加熱することにより溶解した。溶液を5℃に冷却した。24時間、5℃で静置し、沈殿した生成物を濾過し、5℃のアセトニトリル(2×5mL)で洗浄し、真空下、20℃で、定常重量になるまで乾燥させた。18時間後、インゲノール−3−アンゲラート(3.91g)を得た。
【0162】
インゲノールからの一般式(IV)の化合物の製造:
実施例13
対称性ケタールの製造
インゲノール−5,20−アセトニドの合成について実施例1に記載した工程を、アセトンを、3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、シクロペンタノンまたはシクロヘキサノンに置き換えて、インゲノール25−50mgの規模、対称性ケタールの製造に用いた。
生成物の分布を表1Aに示す。
生成物を表1Bに示す。
【0163】
【表1】
a 生成物分布は、
1H NMRおよび/またはTLCデータから推定した。
【0164】
【表2】
【0165】
実施例14
非対称性ケタールの製造
実施例15に記載の一般工程を用いて、アセタール/アルデヒドを3,3−ジメチル−2−ブタノン、アセトフェノンまたは(1,1−ジメトキシエチル)ベンゼンに置き換えて、インゲノール25−50mgの規模で非対称性ケタールを製造した。
生成物分布を、表2Aに示す。
生成物を、表2Bに示す。
【0166】
【表3】
a 生成物分布は、
1H NMRおよび/またはTLCデータから推定した。
【0167】
【表4】
【0168】
実施例15(一般工程)
アセタールの製造
インゲノール(25mg、72μmol)を20℃でテトラヒドロフラン(622μL)に溶解した。p−トルエンスルホン酸一水和物のテトラヒドロフラン溶液(50mg/mL、0.26M、96μL、25μmol)を、撹拌下加えた。アルデヒド/アセタール(86μmol)を加え、反応の進行をTLCでモニターした。提供するデータは、反応から21時間後に得られた。
生成物分布を、表3Aに示す。
生成物を、表3Bに示す。
【0169】
【表5】
a 生成物分布は、
1H NMRおよび/またはTLCデータから推定した。
【0170】
【表6】
【表7】
【0171】
実施例16(一般工程)
ベンジリデンアセタールの合成
インゲノール(25mg、72μmol)を、20℃において、撹拌下、溶媒(622μL)に溶解した。ピリジン中で行った反応については、更なる塩基を加えなかった。アセトンまたはN,N−ジメチルホルムアミド中で行った反応については、炭酸カリウム(158μmol)を加えた。テトラヒドロフランまたは2−メチルテトラヒドロフラン中で行った反応については、リチウムヘキサメチルジシラジド(158μmol)を、テトラヒドロフラン溶液(1.0M)として加えた。溶媒(96μL)中、反応材(79μmol)の溶液/懸濁液を滴下した。反応の進行をTLCでモニターした。遅い反応については、温度を20℃から50℃および最終的には、溶媒の沸点まで上昇させた。インゲノールとα,α−ジブロモトルエンのピリジン中での反応は、100℃で3時間行われた。インゲノールとα,α−ビス(ピリジニウム)トルエンジブロマイドのテトラヒドロフラン中での反応は、50℃で1時間行われた。
生成物分布を、表4Aに示す。
生成物を、表4Bに示す。
【0172】
【表8】
a 生成物分布は、
1H NMRおよび/またはTLCデータから推定した。
b 製造:Acta Chem. Scand. 1972, 26, 3895-3901およびJ. Org. Chem. 2007, 72, 9854-9856(スキーム2における化合物1)を参照
c アセトン(20mL)中、還流下1時間、α,α−ジブロモトルエン(10g、0.04mmol)を、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(10.78g、0.088mmol)で処理することにより製造。
【0173】
実施例17
オルトホルメートの合成
実施例15に記載の一般工程を用いて、アルデヒド/アセタールをトリメチルオルトホルメート、トリエチルオルトホルメートまたはトリ(プロパ−2−イル)オルトホルメートに置き換えて、インゲノール25−100mgの規模でオルトホルメートを製造した。
生成物分布を、表5Aに示す。
生成物を、表5Bに示す。
【0174】
【表9】
a 生成物分布は、
1H NMRおよびTLCデータから推定した。
【0175】
【表10】
【0176】
実施例18
メチルオルトホルメート(メトキシメチレンアセタール)の合成
実施例16に記載の工程を用い、ジクロロメチルメチルエーテルを反応材として、およびリチウムヘキサメチルジシラジドをテトラヒドロフラン中で用いた。反応は、テトラヒドロフラン中、20℃で30分間行った。
【0177】
【表11】
a 生成物分布は、TLCデータから推定した。
【0178】
一般式(VI)の化合物の合成
アンゲリカ酸(AngOH)を用いたインゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成
実施例19A(一般工程)
インゲノール−5,20−アセトニド(10.0mg、26μmol)およびアンゲリカ酸(2.6mg、26μmol)を、20℃において撹拌下、溶媒(175μL)に溶解した。塩基の存在下に行われる反応については、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(6.3mg、52μmol)またはN,N−ジイソプロピルエチルアミン(9μL、6.7mg、52μmol)を加え、溶媒(75μL)中のカップリング剤の溶液/懸濁液(26−52μmol)を滴下した。反応の進行をTLCおよび
1H NMR分光学によりモニターした。
【0179】
実施例19B
インゲノール−5,20−アセトニド(25.0mg、64μmol)、アンゲリカ酸(6.4mg、64μmol)および2−クロロ−1−メチル−ピリジニウムアイオダイド(19.7mg、77μmol)(向山試薬)をトルエン(108μL)に懸濁させた。トリブチルアミン(37μL、29mg、155μmol)を加え、混合物を60℃で18時間撹拌した。反応の進行をTLCおよび
1H NMR分光学によりモニターした。
実施例19Aおよび19Bの生成物の分布および反応条件を表7Aに示す。
生成物を表7Bに示す。
(E)/(Z)比は、チグラート/アンゲラート比である。
【0180】
【表12】
a,b 収率および(E)/(Z)比は、
1H NMRおよびTLCデータから推定した。
b AngOHにおいて0.5−1 % TigOHを含有するため(E)/(Z)≧1:99である。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
【0181】
【表13】
【0182】
アンゲリカ酸無水物を用いたインゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成
実施例20A
実施例8に記載した
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成のための工程を、メチルtert−ブチルエーテル中リチウムヘキサメチルジシラジド、テトラヒドロフラン中リチウムヘキサメチルジシラジド、テトラヒドロフラン中ナトリウムヘキサメチルジシラジド、およびテトラヒドロフラン中カリウムヘキサメチルジシラジドで、インゲノール−5,20−アセトニド25mg−10gの規模で使用した。
【0183】
実施例20B
炭酸セシウムを用いた
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成のための実験工程が実施例7に記載されている。
【0184】
実施例20C(一般工程)
インゲノール−5,20−アセトニド(15.0mg、39μmol)を、20℃で撹拌下、ピリジン(386μL)またはテトラヒドロフラン(386μL)に溶解した。ピリジン中で行う反応には、アンゲリカ酸無水物(10.6mg、58μmol)を加えた。テトラヒドロフラン中で行う反応には、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(7.1mg、58μmol)を加え、アンゲリカ酸無水物(10.6mg、58μmol)を加えた。反応の進行をTLCおよび
1H NMR分光学によりモニターした。
実施例20Aおよび20Bの生成物の分布および反応条件を表8Aに示す。
生成物を表7Bに示す。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
【0185】
【表14】
a,b 収率および(E)/(Z)比は、
1H NMRおよびTLCデータから推定した。
b Ang
2O中1.5−2% AngOTig含量のため(E)/(Z)≧2:98である。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
【0186】
アンゲロイルクロライドを用いたインゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成
実施例21A
アンゲリカ酸無水物について実施例8に記載された工程を、テトラヒドロフラン中リチウムヘキサメチルジシラジドを用いて、アンゲロイルクロライドとインゲノール−5,20−アセトニドの反応に用いた。実験はインゲノール−5,20−アセトニド25mgの規模で行った。
【0187】
実施例21B
アンゲリカ酸無水物のために実施例20Cに記載された工程を用い、アンゲリカ酸無水物をアンゲロイルクロライドに置き換え、アンゲロイルクロライドとインゲノール−5,20−アセトニドの反応では、エチルエーテル中で塩基なしで、テトラヒドロフラン中で塩基なしで、ピリジンおよびテトラヒドロフラン中で4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.5当量)を加えて行った。実験はインゲノール−5,20−アセトニド15−50mgの規模で行った。
実施例21Aおよび21Bの生成物の分布および反応条件を表9Aに示す。
生成物を表7Bに示す。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
【0188】
【表15】
a,b 収率および(E)/(Z)比は、
1H NMRおよびTLCデータから推定した。
b 保存中にAngClからTigClへ異性化するため(E)/(Z)≧3:97である。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
c 製造:Tetrahedron Letters 1977, 38, 3379-3382(化合物2)を参照。
【0189】
メチルアンゲラートを用いたインゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートの合成
実施例22
アンゲリカ酸無水物について実施例8に記載された工程を、テトラヒドロフラン中リチウムヘキサメチルジシラジドを用いて、メチルアンゲラートとインゲノール−5,20−アセトニドの反応に用いた。本実験はインゲノール−5,20−アセトニド25mgの規模にて行った。
【0190】
【表16】
a,b 収率および(E)/(Z)比は、
1H NMRおよびTLCデータから推定した。
b AngOMe中に0.5−1 % TigOMeを含有するため(E)/(Z)=1:99。
(E)/(Z)比は、I−5,20−A−3−Tig/I−5,20−A−3−Ang比である。
c (トリメチルシリル)ジアゾメタンのエチルエーテル溶液(2.0M、18.8mL、38mmol)を、175分かけて20℃で、撹拌下、アンゲリカ酸(3.0g、30.0mmol)のジクロロメタン/メタノール=3:2溶液(30mL)に滴下することにより製造した。反応混合物を濃縮し、メチルアンゲラートを真空蒸留により精製した。J. Org. Chem. 1950, 15, 680-684も参照。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.06 (qq, 1H), 3.74 (s, 3H), 1.98 (dq, 3H), 1.89 (quintet, 3H)。
【0191】
実施例23(一般工程)
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートからのインゲノール−3−アンゲラートの製造
インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラート(15mg、35μmol)を20℃で有機溶媒(331μL)に溶解/懸濁した。触媒の水溶液(17μL)を、撹拌下加え、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートに関して0.1Mの濃度とした。ギ酸/水(95:5)、酢酸/水(95:5)およびトリフルオロ酢酸/水(95:5)については、インゲノール−5,20−アセトニド−3−アンゲラートは、溶媒混合物に溶解した。反応の進行をTLCおよび
1H NMR分光学でモニターした。
実施例23の生成物の分布および反応条件を表11Aに示す。
生成物を表11Bに示す。
【0192】
【表17】
a (E)/(Z)比は、
1H NMR分光学により推定した。
a I−5,20−A−3−Ang中1−2%I−5,20−A−3−Tig含量のために(E)/(Z)≧2:98。
b I−5,20−A−3−Angに対する触媒のモル数。
c 触媒とインゲノール20位におけるエステル形成。
d 分解
(E)/(Z)比は、I−3−Tig/I−3−Ang比である。
【0193】
【表18】
【0194】
【化18】
【0195】
実施例24
インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル(化合物20)
インゲノール(50.4mg、0.145mmol)および2,6−ルチジン(46.7mg、0.436mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(0.25mL)にジ(tert−ブチル)シリルビス(トリフルオロメタンスルホネート)(76.6mg、0.174mmol)を0℃で加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応停止させた。続いて、混合物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機相を、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル1:0→1:1)で精製し、表題化合物(35.7mg、50%)を白色泡状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.02 (d, J=5.1 Hz, 1H), 5.96 (q, J=1.5 Hz, 1H), 4.47 (d, J=12.5 Hz, 1H), 4.33-4.18 (m, 4H), 3.89 (s, 1H), 2.57-2.30 (m, 2H), 1.87 (d, J=1.5 Hz, 3H), 1.76 (ddd, J=15.8, 6.3, 3.9 Hz, 1H), 1.11 (s, 3H), 1.05 (s, 3H), 1.02-0.95 (m, 22H), 0.90 (dd, J=11.8, 8.4 Hz, 1H), 0.75-0.61 (m, 1H)。
【0196】
C
28H
44O
5Si
【化19】
【0197】
実施例25
インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル−3−アンゲラート(化合物21)
インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル(35.5mg、0.073mmol)、[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエート(29.7mg、0.097mmol)、および炭酸水素ナトリウム(10.2mg、0.12mg)のトルエン混合物(0.3mL)を、アルゴン雰囲気下、100℃で20時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、トルエンで洗浄した。濾液を真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル1:0→4:1)で精製し、表題化合物(23.4mg、56%)を白色泡状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.10-5.96 (m, 3H), 5.67 (s, 1H), 4.49 (d, J=12.5 Hz, 1H), 4.35-4.21 (m, 3H), 3.64 (s, 1H), 2.64-2.52 (m, 1H), 2.46-2.27 (m, 1H), 2.01-1.93 (m, 3H), 1.91 (dq, J=3.0, 1.5 Hz, 3H), 1.82-1.65 (m, 4H), 1.10-1.04 (m, 15H), 1.03-0.95 (m, 12H), 0.94-0.84 (m, 1H), 0.67 (ddd, J=10.1, 8.4, 6.4 Hz, 1H)。
【0198】
C
33H
50O
6Si
【化20】
【0199】
実施例26
インゲノール−3−アンゲラート
インゲノール−5,20−(ジ(tert−ブチル)シリレン)−エーテル−3−アンゲラート(10.3mg、0.018mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.1mL)にテトラブチルアンモニウムフルオライド(1Mテトラヒドロフラン中、0.054mmol)をアルゴン雰囲気下、−20℃で加えた。溶液を同じ温度で15分撹拌した。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル4:1→1:1)により精製し、表題化合物(2.2mg、29%)を得た。
【0200】
【化21】
【0201】
実施例27
インゲノール−20−(tert−ブチルジメチルシリル)−エーテル(化合物22)
インゲノール(66.2mg、0.15mmol)および2,6−ルチジン(48.2mg、0.45mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(0.25mL)にtert−ブチルジメチルシリルクロライド(27.1mg、0.18mmol)を加えた。溶液を同じ温度で30分撹拌した。反応は完全ではなかった。2,6−ルチジン(16.1mg、0.15mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(18.1mg、0.12mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、炭酸水素ナトリウム水溶液に取り込み、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル3:1)で精製し、不純生成物を得た。この不純生成物をさらにクロマトグラフィー精製(ジクロロメタン/酢酸エチル19:1→10:1)に付し、表題化合物を白色泡状物として得た(65.8mg、95%)。
以下も参照:Opferkuch, H.J.et al., Z.Naturforsch.1981, 36b, 878-887(化合物10)
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.11-5.94 (m, 1H), 5.96-5.84 (m, 1H), 4.44 (broad s, 1H), 4.32 (s, 1H), 4.29-4.07 (m, 3H), 4.01 (s, 1H), 3.86 (s, 1H), 2.57-2.39 (m, 1H), 2.32 (ddd, J=15.6, 9.1, 3.0 Hz, 1H), 1.85 (d, J=1.4 Hz, 3H), 1.75 (ddd, J=15.7, 6.2, 4.8 Hz, 1H), 1.11 (d, J=7.1 Hz, 3H), 1.06 (s, 3H), 0.96 (dd, J=7.6, 5.3 Hz, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.88-0.80 (m, 1H), 0.78-0.60 (m, 1H), 0.08 (d, J=1.3 Hz, 6H)。
【0202】
C
36H
42O
5Si
【化22】
【0203】
実施例28
インゲノール−20−(tert−ブチルジメチルシリル)−エーテル−3−アンゲラート(化合物23)
インゲノール−20−(tert−ブチルジメチルシリル)−エーテル(61.6mg、0.133mmol)、[(Z)−2−メチルブト−2−エノイル]2,4,6−トリクロロベンゾエート(54.4mg、0.177mmol)、および炭酸水素ナトリウム(16.8mg、0.20mmol)のトルエン混合物(0.55mL)をアルゴン雰囲気下、100℃で17時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を濾過し、トルエンで洗浄した。濾液を真空下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル89:11→78:22)で精製し、表題化合物(14.4mg、23%)を白色泡状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 6.08 (qd, J=7.2, 1.4 Hz, 1H), 6.03 (q, J=1.5 Hz, 1H), 5.96 (d, J=4.6 Hz, 1H), 5.69 (s, 1H), 4.76 (s, 1H), 4.29-4.07 (m, 3H), 4.01 (s, 1H), 3.65 (s, 1H), 2.69-2.51 (m, 1H), 2.33 (ddd, J=15.6, 9.6, 3.0 Hz, 1H), 2.03-1.95 (m, 3H), 1.97-1.85 (m, 3H), 1.82-1.65 (m, 4H), 1.07 (s, 3H), 1.03 (s, 3H), 0.96 (d, J=7.2 Hz, 3H), 0.93-0.80 (m, 10H), 0.67 (td, J=9.4, 6.4 Hz, 1H), 0.07 (s, 6H)。
【0204】
C
31H
48O
6Si
【化23】
【0205】
実施例29
インゲノール−3−アンゲラート
インゲノール−20−(tert−ブチルジメチルシリル)−エーテル−3−アンゲラート(14.4mg、0.026mmol)をテトラヒドロフラン(0.07mL)に溶解した。この溶液に塩酸メタノール(12.5mM、0.07mL)を0℃で加えた。溶液を室温で6.5時間撹拌し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/酢酸エチル2:1→1:1)に付し、表題化合物(4.6mg、40%)および出発物質を得た(4.4mg)。