特許第5816320号(P5816320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816320
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】MEMS素子
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/09 20060101AFI20151029BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20151029BHJP
   G01P 15/18 20130101ALI20151029BHJP
   G01P 15/12 20060101ALI20151029BHJP
   G01P 15/125 20060101ALI20151029BHJP
   G01C 19/5712 20120101ALI20151029BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   G01P15/09 D
   B81B3/00
   G01P15/18
   G01P15/12 Z
   G01P15/125 Z
   G01C19/56 212
   H01L29/84 Z
   H01L29/84 A
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-75926(P2014-75926)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-215294(P2014-215294A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2014年4月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0047452
(32)【優先日】2013年4月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100089347
【弁理士】
【氏名又は名称】木川 幸治
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク,フン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジョン ション
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−296293(JP,A)
【文献】 特開平07−280829(JP,A)
【文献】 特開2008−190931(JP,A)
【文献】 特開2002−243450(JP,A)
【文献】 特開2010−107394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/09
G01P 15/12
G01P 15/125
G01P 15/18
G01C 19/5712
H01L 29/84
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに一定間隔が離隔されるように一方向に平行に具備され、両端部は開放された一対の支持部;
第1質量体と、一端が前記第1質量体連結され、弾性変形される可撓性ビームとを含む加速度検出部;及び
第2質量体と、一端が前記第2質量体の一方向端部に連結され、弾性変形される第1可撓部と、一端が前記第2質量体の他方向端部に連結され、弾性変形される第2可撓部を含む角速度検出部とを含み、
前記可撓性ビームと前記第1可撓部の他端は前記支持部に連結されるように形成され、
前記角速度検出部は、前記第2質量体の両端部に形成された突出結合部をさらに含み、
前記第2可撓部は、一端が前記突出結合部に連結されるように形成されるMEMS素子。
【請求項2】
前記支持部は、前記第2質量体の方向に突出されるように形成された突出部をさらに含み、
前記第2可撓部は、他端が前記突出部に連結されるように形成される、請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項3】
前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成され
前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されたことを特徴とする、請求項に記載のMEMS素子。
【請求項4】
前記第1可撓部は、Z軸方向を基準に前記第2質量体の重量中心(C)より上側に結合されたことを特徴とする、請求項に記載のMEMS素子。
【請求項5】
前記第2可撓部は、他端が前記第1可撓部に連結されるように形成される、請求項1に記載のMEMS素子。
【請求項6】
前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成され、
前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されたことを特徴とする、請求項5に記載のMEMS素子。
【請求項7】
前記第1可撓部は、Z軸方向を基準に前記第2質量体の重量中心(C)より上側に結合されたことを特徴とする、請求項6に記載のMEMS素子。
【請求項8】
互いに一定間隔が離隔されるように一方向に平行に具備され、両端部は開放された一対の支持部;
第1質量体と、一端が前記第1質量体に連結され、弾性変形される可撓性ビームとを含む加速度検出部;及び
第2質量体と、一端が前記第2質量体の一方向端部に連結され、弾性変形される第1可撓部と、一端が前記第2質量体の他方向端部に連結され、弾性変形される第2可撓部を含む角速度検出部とを含み、
前記可撓性ビームと前記第1可撓部の他端は前記支持部に連結されるように形成され、
前記第2質量体は、一側質量体と、他側質量体と、連結質量体とからなり、
前記一側質量体と前記他側質量体は、互いに一定間隔が離隔された空間部が形成されるように互いに平行に形成され、
前記連結質量体は、前記一側質量体と前記他側質量体の両端に連結されるように形成されるMEMS素子。
【請求項9】
前記角速度検出部は、前記空間部にアンカーを含むことを特徴とする、請求項8に記載のMEMS素子。
【請求項10】
前記第2可撓部は、一端が前記連結質量体に連結され、他端が前記アンカーに連結されるように形成される、請求項に記載のMEMS素子。
【請求項11】
前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成され、
前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されたことを特徴とする、請求項10に記載のMEMS素子。
【請求項12】
前記第1可撓部は、Z軸方向を基準に前記第2質量体の重量中心(C)より上側に結合されたことを特徴とする、請求項11に記載のMEMS素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS素子に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;微小電気機械システム)とは、シリコン、水晶、ガラスなどを加工して超高密度集積回路、センサー、アクチュエータ(Actuator)などの超微細機械構造物を製造する技術である。MEMS素子はマイクロメートル(100万分の1メートル)以下の精密度を持ち、構造的には蒸着とエッチングなどの過程を繰り返す半導体微細工程技術を適用して安い費用でマイクロ製品の大量生産が可能である。
【0003】
MEMS素子の中で、センサーは人工衛星、ミサイル、無人航空機などの軍需用からエアバッグ(Air Bag)、ESC(Electronic Stability Control)、車両用ブラックボックス(Black Box)、キャムコーダの手の震え防止用、携帯電話やゲーム機のモーション検出用、ナビゲーション用などの多様な用途に使われている。
【0004】
このようなセンサーは、加速度、角速度または力などを測定するために、一般的にメンブレイン(Membrane)などの弾性基板に質量体を接着させた構成を採用している。前記構成によって、センサーは質量体に印加される慣性力を測定して加速度を算出するか、あるいは質量体に印加されるコリオリの力を測定して角速度を算出し、質量体に直接印加される外力を測定して力を算出する。
【0005】
具体的に、センサーを用いて加速度と角速度を測定する方式を説明すれば次のようである。まず、加速度はニュートンの運動法則“F=ma”式によって求めることができる。ここで、“F”は質量体に作用する慣性力、“m”は質量体の質量、“a”は測定しようとする加速度である。このうち、質量体に作用する慣性力(F)を感知し、一定値の質量体の質量(m)で割れば、加速度(a)を求めることができる。また、角速度はコリオリの力(Coriolis Force)“F=2mΩ×v”式によって求めることができる。ここで、“F”は質量体に作用するコリオリの力、“m”は質量体の質量、“Ω”は測定しようとする角速度、“v”は質量体の運動速度である。このうち、質量体の運動の速度(v)と質量体の質量(m)はもう認知している値なので、質量体に作用するコリオリの力(F)を感知すれば角速度(Ω)を求めることができる。
【0006】
一方、従来技術によるセンサーは、特許文献1に開示されたように、質量体を駆動させるか質量体の変位を感知するために、X軸方向及びY軸方向に伸びたビーム(Beam)を備える。
【0007】
しかし、従来技術によるセンサーは、質量体の変位が大きくなるほどビームに作用する張力(Tension、張力)が急激に増加する。このように、ビームの張力が増加すれば、それによってビームの剛性も増加し、質量体の駆動変位や感知変位が制限される問題点が発生する。また、ビームの剛性が増加するにつれて、共振周波数が変化してノイズ(Noise)が増加する問題点も発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0282918号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するためのもので、本発明の第1側面は、慣性を検出するために変位する質量体に連結される可撓ビームの長さをX字形に配置して限定空間内でビームの長さを最大化することによって小型化が可能であり、感度が向上したMEMS素子を提供するためのものである。
【0010】
本発明の第2側面は、角速度検出部及び加速度検出部を含み、平行に配置された二つの支持部によって連結され、加速度検出部と角速度検出部を区画する隔壁部も不要になって小型化したワンチップ化が可能なMEMS素子を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1実施例によるMEMS素子は、質量体;前記質量体の両端部に連結され、X字形に配置され、感知手段が形成された可撓性ビーム;及び前記可撓性ビームが結合され、前記質量体の両側に互いに平行に配置された一対の支持部を含む。
【0012】
本発明の第1実施例によるMEMS素子において、前記質量体は、菱形の中心質量体;及び前記中心質量体の角部にそれぞれ連結された複数の周辺質量体を含み、前記周辺質量体は隣接した周辺質量体との間に空間部が形成されるように前記中心質量体に連結され、前記空間部には可撓性ビームが配置されることができる。
【0013】
本発明の第1実施例によるMEMS素子において、前記支持部には、前記可撓性ビームの一端に向かって突出し、前記可撓性ビームの端部に対応する突出結合部が両端部にそれぞれ形成されることができる。
【0014】
本発明の第2実施例によるMEMS素子は、第1質量体と、前記第1質量体が連結され、X字形に配置され、感知手段が形成された可撓性ビームとを含む加速度検出部;及び第2質量体と、前記第2質量体が連結され、感知手段及び駆動手段が形成された可撓部とを含む角速度検出部を含み、前記加速度検出部及び角速度検出部は平行な一対の支持部に連結される。
【0015】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記角速度検出部の可撓部は、前記第2質量体の中心部両側にそれぞれ一端が連結され、他端が支持部に連結された第1可撓部と、前記第2質量体の両端部に一端が結合され、他端が支持部に連結された第2可撓部とを含むことができる。
【0016】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第1可撓部と前記第2可撓部は直交方向に配置されることができる。
【0017】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記角速度検出部は、前記第1可撓部が第2質量体の中心部にY軸方向に結合され、前記第2可撓部が第2質量体の両端部に結合され、前記第2質量体がY軸方向を基準に回転することができる。
【0018】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部には感知手段及び駆動手段が形成されることができる。
【0019】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部は前記第2質量体の両端部にX軸方向に結合されることができる。
【0020】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0021】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0022】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記支持部は、第1可撓部が結合される結合部と、前記第2可撓部が結合される突出部とが形成され、前記突出部は前記第2質量体に向かって突出することができる。
【0023】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第2質量体は、両端部に突出結合部が形成され、前記第2可撓部の一端は前記第2質量体の突出結合部に結合され、他端は前記支持部の突出部に結合されることができる。
【0024】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記支持部に結合された前記第2可撓部の一端が、前記第2質量体に連結された第2可撓部の他端に比べ、前記第2質量体の回転軸(Y軸)に近く位置することができる。
【0025】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記第1可撓部は、Z軸方向を基準に前記第2質量体の重量中心(C)より上側に結合されることができる。
【0026】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記加速度検出部の第1質量体は、菱形の中心質量体と、前記中心質量体の角部にそれぞれ連結された複数の周辺質量体とを含み、前記周辺質量体は、隣接した周辺質量体との間に空間部が形成されるように前記中心質量体に連結され、前記空間部には可撓性ビームが配置されることができる。
【0027】
本発明の第2実施例によるMEMS素子において、前記支持部には、前記加速度検出部の前記可撓性ビームの一端に向かって突出し、前記可撓性ビームの端部に対応する突出結合部が両端部にそれぞれ形成されることができる。
【0028】
本発明の第3実施例によるMEMS素子は、第1質量体と、前記第1質量体が連結され、X字形に配置され、感知手段が形成された可撓性ビームとを含む加速度検出部;及び第2質量体と、前記第2質量体が連結され、感知手段及び駆動手段が形成された可撓部とを含む角速度検出部を含み、前記加速度検出部及び角速度検出部は平行な一対の支持部に連結され、前記角速度検出部の可撓部は、前記第2質量体の中心部両側にそれぞれ一端が連結され、他端が支持部に連結された第1可撓部と、前記第2質量体の両端部に一端が結合され、他端が前記第1可撓部に連結された第2可撓部とを含み、前記第1可撓部と前記第2可撓部は直交方向に配置される。
【0029】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記角速度検出部は、前記第1可撓部が第2質量体の中心部にY軸方向に結合され、前記第2可撓部が第2質量体の両端部にX軸方向に結合され、前記第2質量体はY軸方向を基準に回転することができる。
【0030】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部には感知手段及び駆動手段が形成されることができる。
【0031】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0032】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0033】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記加速度検出部の第1質量体は、菱形の中心質量体と、前記中心質量体の角部にそれぞれ連結された複数の周辺質量体とを含み、前記周辺質量体は、隣接した周辺質量体との間に空間部が形成されるように前記中心質量体に連結され、前記空間部には可撓性ビームが配置されることができる。
【0034】
本発明の第3実施例によるMEMS素子において、前記支持部には、前記加速度検出部の前記可撓性ビームの一端に向かって突出し、前記可撓性ビームの端部に対応する突出結合部が両端部にそれぞれ形成されることができる。
【0035】
本発明の第4実施例によるMEMS素子は、第1質量体と、前記第1質量体が連結され、X字形に配置され、感知手段が形成された可撓性ビームとを含む加速度検出部;及び第2質量体と、前記第2質量体が連結され、感知手段及び駆動手段が形成された可撓部と、前記第2質量体と可撓部を連結し、前記第2質量体の内部に位置したアンカーとを含む角速度検出部を含み、前記加速度検出部及び角速度検出部は平行な一対の支持部に連結される。
【0036】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記第2質量体は、一側質量体と、他側質量体と、連結質量体とからなり、前記連結質量体は前記一側質量体と他側質量体が互いに離隔して空間部が形成されるように連結され、一側質量体と他側質量体は可撓部によって支持部に連結されることができる。
【0037】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記可撓部は、前記一側質量体及び他側質量体の中心部にそれぞれ一端が連結され、前記支持部に他端が連結された第1可撓部;及び前記連結質量体に一端が結合され、他端がアンカーに結合された第2可撓部を含み、前記第1可撓部と第2可撓部は直交方向に配置されることができる。
【0038】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記第1可撓部は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0039】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記第2可撓部は、Y軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0040】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記加速度検出部の第1質量体は、菱形の中心質量体と、前記中心質量体の角部にそれぞれ連結された複数の周辺質量体とを含み、前記周辺質量体は、隣接した周辺質量体との間に空間部が形成されるように前記中心質量体に連結され、前記空間部には可撓性ビームが配置されることができる。
【0041】
本発明の第4実施例によるMEMS素子において、前記支持部には、前記加速度検出部の前記可撓性ビームの一端に向かって突出し、前記可撓性ビームの端部に対応する突出結合部が両端部にそれぞれ形成されることができる。
【0042】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0043】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、慣性を検出するために変位する質量体に連結される可撓ビームの長さをX字形に配置して限定空間内でビームの長さを最大化することによって小型化が可能であり、感度が向上したMEMS素子を得ることができ、角速度検出部及び加速度検出部を含み、平行に配置された二つの支持部によって連結され、加速度検出部と角速度検出部を区画する隔壁部も不要になって小型化したワンチップ化が可能なMEMS素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の第1実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図である。
図2図1に示すMEMS素子のA−A線についての概略断面図である。
図3図1に示すMEMS素子のB−B線についての概略断面図である。
図4】本発明の第1実施例によるMEMS素子製造工程の一部工程を概略的に示す説明図である。
図5】本発明の第2実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図である。
図6図5に示すMEMS素子において角速度検出部のC−C線についての概略断面図である。
図7図5に示すMEMS素子において角速度検出部のD−D線についての概略断面図である。
図8図5に示すMEMS素子において角速度検出部の駆動についての概略的な説明図である。
図9図5に示すMEMS素子の角速度検出部において質量体の回転角度による張力の変化を示すグラフである。
図10A図5に示すMEMS素子において角速度検出部の駆動を概略的に示す使用状態図である。
図10B図5に示すMEMS素子において角速度検出部の駆動を概略的に示す使用状態図である。
図11】本発明の第3実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図である。
図12】本発明の第4実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図である。
図13図12に示すMEMS素子において角速度検出部の概略構成図である。
図14図12に示すMEMS素子において角速度検出部のE−E線についての概略断面図である。
図15図5に示す本発明の第2実施例によるMEMS素子製造工程の一部工程を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、「第1」、「第2」、「一面」、「他面」などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。以下、本発明を説明するにあたり、本発明の要旨をあいまいにする可能性がある係る公知技術についての詳細な説明は省略する。
【0047】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0048】
図1は、本発明の第1実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図、図2は、図1に示すMEMS素子のA−A線についての概略断面図、図3は、図1に示すMEMS素子のB−B線についての概略断面図である。
【0049】
図示のように、前記MEMS素子100は、質量体110、可撓性ビーム120及び支持部130を含み、前記可撓性ビーム120に感知手段140が形成され、前記支持部130には電極パッド150が形成される。そして、前記支持部130は、前記質量体の両側に互いに平行に一対が配置される。
【0050】
より具体的に、前記質量体110は、慣性力、コリオリの力、外力、駆動力などによって変位が発生し、中心質量体110a及び複数の周辺質量体110b、110c、110d、110eでなる。また、前記中心質量体110aは菱形に形成され、前記周辺質量体110b、110c、110d、110eは前記中心質量体110aの角部から伸びるように一体的になり、三角形に形成される。
【0051】
また、図示のように、前記周辺質量体110b、110c、110d、110eは、それぞれ隣接した周辺質量体から離隔するように中心質量体に連結されて空間部が形成され、前記空間部に可撓性ビーム120が配置される。
【0052】
前述したように構成されることにより、前記中心質量体110aと前記周辺質量体110b、110c、110d、110eによる前記質量体110は、全体的に四角形になる。
【0053】
ついで、前記可撓性ビーム120は、一端が前記中心質量体110aに連結され、他端が支持部130に連結される。これにより、前記質量体110は、可撓性ビーム120及び支持部130によって変位可能となるように浮遊状態で支持される。
【0054】
より具体的に、前記可撓性ビーム120は、前記中心質量体110aの四面にそれぞれ結合されてX字形に配置される。
【0055】
これにより、曲げ剛性は長さの三乗に反比例するので、前記可撓性ビーム120は、X字形に配置されることで、+字形に配置される場合に比べ、長さが√2倍増加して剛性の2√2倍減少の効果を得ることができ、感度が約3倍向上する。
【0056】
また、前述したように、前記可撓性ビーム120の一面には、感知手段140が形成される。そして、前記感知手段140は、前記質量体110の変位を感知するためのものとして圧電体、圧抵抗体、静電容量検出電極などを用いるように形成できる。
【0057】
また、前記可撓性ビーム120には、前記感知手段140だけでなく、質量体110の変位を発生させる駆動手段(図示せず)を備えることもできる。この際、駆動手段は、圧電方式または静電容量方式などを用いるように形成することができる。
【0058】
ついで、前記支持部130は、前記質量体110の両側に互いに対向するように一対が平行に配置される。また、前記支持部130には、前記可撓性ビーム120が結合され、X字形に配置された可撓性ビーム120がより安定的に結合できるように可撓性ビームの一端に向かって突出し、前記可撓性ビーム120の端部に対応する突出結合部131が両端部にそれぞれ形成される。
【0059】
このように構成されることにより、本発明の第1実施例によるMEMS素子100は、質量体110がX字形に配置された可撓性ビーム120に連結されることで、ビームの長さを最大に確保することによって感度が向上し、支持部130が質量体110の両側に一対で平行に配置されることにより小型化が具現される。
【0060】
そして、本発明の第1実施例によるMEMS素子は、加速度センサー、及び角速度センサーでなることができる。
【0061】
図4は、本発明の第1実施例によるMEMS素子製造工程の一部工程を概略的に示す説明図である。
【0062】
図示のように、前記MEMS素子100は、複数が整列された状態で、点線で示すように、ダイシング(dicing)した場合、図1に示す個別MEMS素子を得ることができる。
【0063】
このために、素子ウエハー(wafer)と下部キャップウエハー(図示せず)をウエハーレベルボンディングした後にダイシングする。また、下部キャップは、ASICまたは他のセンサーチップに取り替えることができる。この場合、ハーフダイシング(half dicing)することで、素子とハブチップの間にウエハーボンディングで電気的接続を成すことができる。また、TSV(Through Silicon Via technology)を用いれば、支持部を貫通して電気的接続がなされるので、フルダイシング(Full dicing)の適用も可能である。
【0064】
図5は、本発明の第2実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図、図6は、図5に示すMEMS素子において角速度検出部のC−C線についての概略断面図、図7は、図5に示すMEMS素子において角速度検出部のD−D線についての概略断面図である。
【0065】
図示のように、前記MEMS素子200は、第1質量体211の変位検出のための加速度検出部210と第2質量体221の駆動及び変位検出のための角速度検出部220でなり、前記加速度検出部210と角速度検出部220は両側に平行に連結された支持部230によってワンチップ化したMEMS素子200でなる。
【0066】
すなわち、前記角速度検出部210と加速度検出部220は、平行な一対の支持部230に連結される。
【0067】
より具体的に、前記加速度検出部210は、第1質量体211、可撓性ビーム212及び支持部230を含み、前記可撓性ビーム212はX字形に配置されるように前記第1質量体211と支持部230に連結され、感知手段213が形成され、前記支持部230には電極パッド231が形成される。
【0068】
また、前記加速度検出部210は、図1に示すMEMS素子と同様であり、詳細な技術構成、形状及びこれらの有機的結合も同様であるので、その説明は省略する。
【0069】
ついで、前記角速度検出部220は、第2質量体221、第1可撓部222、第2可撓部223及び支持部230を含む。そして、前記支持部230は、結合部232と突出部233が形成される。
【0070】
また、前記第2可撓部223には感知手段224及び駆動手段225が形成され、前述したように、前記支持部230には電極パッド231が形成される。
【0071】
より具体的に、前記第2質量体221は、慣性力、コリオリの力、外力、駆動力などによって変位が発生し、中心部にはY軸方向の両側に第1可撓部222が結合され、X軸方向の両端部には第2可撓部223が結合される。
【0072】
また、前記第2質量体221の両端部に突出結合部221aをさらに形成することができる。そして、前記突出結合部221aは、第2可撓部222と第2質量体221を結合させるためのもので、前記第2質量体221と一体的に形成されるかあるいは別個に形成されて第2質量体221に結合させることができる。そして、前記質量体221は、六面体として示したが、これに限定されるものではなく、本発明の技術分野に知られたすべての形状に形成させることができるのは明らかである。
【0073】
ついで、前記第1可撓部222は、図6及び図7の断面図に示すように、X軸方向に所定厚さを持ち、Y軸及びZ軸によって面が形成されたヒンジである。
【0074】
そして、第2可撓部223は、Z軸方向に所定厚さを持ち、X軸及びY軸によって形成された面でなったビームである。
【0075】
また、前記第1可撓部222及び第2可撓部223は、互いに直交方向に配置される。
【0076】
以下、本発明の第2実施例によるMEMS素子200において角速度検出部220の第1可撓部222及び第2可撓部223の形状、有機的結合及び技術の具現についてより詳細に説明する。
【0077】
前記第1可撓部222は、支持部230の結合部232を基準に質量体221が変位を引き起こすように第2質量体221と結合部232を連結する。
【0078】
すなわち、前記第1可撓部222は、一端が質量体221の中心部両側にY軸方向に結合され、他端が支持部230の結合部232に結合される。このように構成されることにより、前記質量体221が支持部230の結合部232に固定されてY軸方向を基準に回転運動し、前記第1可撓部222は、このためのヒンジの役目をする。
【0079】
ついで、前記第2可撓部223は、一端が質量体221に連結され、他端が支持部230の突出部233に連結される。より具体的に、前記第2可撓部223は、前記質量体221の両端部に形成された突出結合部221aにそれぞれ一端が結合され、X軸方向の他端は前記突出部233にそれぞれ結合される。すなわち、図5に示すように、平行に配置された前記支持部230において第2質量体221に向かってそれぞれ突出した一対の突出部233に前記第2可撓部223の一端が結合され、他端は前記突出結合部221aにそれぞれ結合される。
【0080】
この際、前記突出部233に連結された第2可撓部223の他端は、質量体221の突出結合部221aに連結された第2可撓部223の一端に比べ、質量体221の回転軸(Y軸)に近く形成される。すなわち、第2可撓部223の固定された突出部233が質量体110の回転軸(Y軸)にもっと近く位置する。第2可撓部223の固定された突出部233が前記第2質量体221の回転軸(Y軸)とまったく一致すれば、前記第2質量体221が回転しても第2可撓部223の長くは変わらない。
【0081】
したがって、本発明の第2実施例によるMEMS素子200の角速度検出部220のように、第2可撓部223が固定された突出部233が前記第2質量体221の回転軸(Y軸)に近く形成されれば、前記第2質量体221が回転するとき、第2可撓部223の長さの変化を最小化することができる。
【0082】
すなわち、図9に示すように、前記突出部233に連結された第2可撓部223の一端が、第2質量体221に連結された前記第2可撓部223の他端に比べ、第2質量体の回転軸から遠く位置する場合、A線のように質量体の回転角度によって急激に張力が増加したことを確認することができる。
【0083】
一方、前記突出部233に連結された第2可撓部223の一端が、前記第2質量体221に連結された第2可撓部223の他端に比べ、質量体221の回転軸(Y軸)に近く位置する場合、つまり図5に示すMEMS素子200の角速度検出部220のように具現される場合、図9のB線のように、前記第2質量体221の回転角度によって緩く張力が増加する。
【0084】
結局、本発明の第2実施例によるMEMS素子200において、角速度検出部の第2質量体221が回転するとき、第2可撓部223に作用する張力が急激に増加しない。よって、第2可撓部223の剛性も急激に増加しないので、前記第2質量体221の駆動変位や感知変位が制限されることを防止することができる効果を得ることができる。
【0085】
また、前記第2可撓部223の張力が急激に変化しないので、共振周波数が急激に変化しながらノイズ(Noise)が増加することを防止することができる利点がある。
【0086】
図8は、図5に示すMEMS素子において角速度検出部の駆動についての概略説明図である。
【0087】
図7及び図8に基づき、前記角速度検出部の第2質量体の駆動について詳細に説明する。
【0088】
図示のように、第2可撓部223はY軸方向の幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく、第1可撓部222はZ軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きく形成されることができる。
【0089】
このように、第1可撓部222のZ軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きいので、前記第2質量体221はX軸を基準に回転するか、Z軸方向に並進することが制限される一方、Y軸を基準に相対的に自由に回転することができる。
【0090】
より具体的に、第1可撓部222がY軸を基準に回転するときの剛性に比べ、X軸を基準に回転するときの剛性が大きいほど、第2質量体221はY軸を基準に自由に回転することができる一方、X軸を基準に回転することが制限される。
【0091】
これと同様に、第1可撓部222がY軸を基準に回転するときの剛性に比べ、Z軸方向に並進するときの剛性が大きいほど、前記第2質量体221はY軸を基準に自由に回転することができる一方、Z軸方向に並進することが制限される。よって、第1可撓部222の(X軸を基準に回転するときの剛性またはZ軸方向に並進するときの剛性)/(Y軸を基準に回転するときの剛性)値が増加するほど、前記第2質量体221はY軸を基準に自由に回転する一方、X軸を基準に回転するかあるいはZ軸方向に並進することが制限される。
【0092】
また、第1可撓部222のZ軸方向の幅(W)、Y軸方向の長さ(L)及びX軸方向の厚さ(t)と方向別剛性間の関係を整理すれば次のようである。
【0093】
(1)第1可撓部222のX軸を基準に回転するときの剛性またはZ軸方向に並進するときの剛性∝t×W/L
【0094】
(2)第1可撓部222のY軸を基準に回転するときの剛性∝t×W/L
【0095】
前記二つの式によれば、第1可撓部222の(X軸を基準を回転するときの剛性またはZ軸方向に並進するときの剛性)/(Y軸を基準に回転するときの剛性)値は(W/(tL))に比例する。
【0096】
ところが、本実施例による第1可撓部222は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きいので、(W/(tL))が大きく、それにより第1可撓部222の(X軸を基準を回転するときの剛性またはZ軸方向に並進するときの剛性)/(Y軸を基準に回転するときの剛性)値が増加するようになる。
【0097】
前述したように、第1可撓部222の特性によって、前記第2質量体221は、Y軸を基準に自由に回転する一方、X軸を基準に回転するとかZ軸方向に並進することが制限される。
【0098】
一方、第2可撓部223は、長手方向(X軸方向)の剛性が相対的に非常に高いので、前記第2質量体221がZ軸を基準に回転するとかX軸方向に並進することを制限することができる。また、第1可撓部222は長手方向(Y軸方向)の剛性が相対的に非常に高いので、前記第2質量体221がY軸方向に並進することを制限することができる。
【0099】
結局、前述した第1可撓部222と第2可撓部223の特性によって、前記第2質量体221は、Y軸を基準に回転することができるが、X軸またはZ軸を基準に回転するとかZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。すなわち、前記第2質量体221の運動可能な方向を整理すれば、表1のようである。
【0100】
【表1】
【0101】
このように、前記第2質量体221は、Y軸を基準に回転することが可能である一方、残りの方向に運動することが制限されるので、質量体221の変位を所望方向(Y軸を基準に回転)の力に対してだけ発生するようにすることができる。結局、本発明の第2実施例によるMEMS素子200の角速度検出部220は、加速度または力の測定の際、クロストーク(Crosstalk)が発生することを防止することができ、角速度測定の際、共振モードの干渉を除去することができるようになる。
【0102】
図10A及び図10Bは、図5に示すMEMS素子において角速度検出部の駆動を概略的に示す使用状態図である。
【0103】
図示のように、前記第2質量体221がY軸を回転軸として回転するので、第2可撓部223には、圧縮応力と引張応力が組み合わせられた曲げ応力が発生し、第1可撓部222にはY軸を基準にねじり応力が発生する。この際、質量体221にトーク(Torque)を大きく発生させるために、第1可撓部222は、Z軸方向を基準に質量体221の重量中心(C)より上側に備えることができる。
【0104】
一方、X軸及びY軸によって形成された平面を基準に見たとき、前記第2可撓部223は第1可撓部222に比べて相対的に広く形成されることにより、第2可撓部223には前記第2質量体221の変位を感知する感知手段224などを備えることができる。ここで、感知手段224は、Y軸を基準に回転する第2質量体221の変位を感知するためのものである。そして、感知手段224は、特に限定されるものではなく、圧電方式、圧抵抗方式、静電容量方式、光学方式などを用いるように形成させることができる。
【0105】
また、前記第2可撓部223には、第2質量体221の変位を発生させる駆動手段225を備えることもできる。この際、駆動手段は、圧電方式または静電容量方式などを用いるように形成させることができる。
【0106】
ついで、前記支持部230の結合部232及び突出部233は、それぞれ第1可撓部222と第2可撓部223を支持して、第2質量体221が変位を引き起こすことができる空間を確保し、前記第2質量体221で変位が発生するとき、基準となる役目をする。
【0107】
また、前記結合部232と突出部233の位置は、前記第2質量体221の外側に備えられれば、特に制限されるものではない。ただ、質量体221がY軸を基準に回転するとき、第2可撓部223に作用する張力が急激に増加することを防止するために、第2可撓部223は、Y軸に対して第2質量体221に隣接するように位置し、前記第2可撓部223の一端が結合された前記突出部233は、Y軸に対して前記第2質量体221と隣接するように配置することができる。
【0108】
このように構成されることにより、本発明の第2実施例によるMEMS素子200は、加速度検出部210と角速度検出部220を同時に含み、平行に配置された二つの支持部によって連結され、加速度検出部210と角速度検出部220を区画する隔壁部も不要になって小型化したワンチップ化の可能なMEMS素子を得ることができるようになる。
【0109】
図11は、本発明の第3実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図である。
【0110】
図示のように、前記MEMS素子300は、図5に示す第2実施例によるMEMS素子200と比較して、角速度検出部だけが違う。
【0111】
より具体的に、前記MEMS素子300は、第1質量体311の変位検出のための加速度検出部310と第2質量体321の駆動及び変位検出のための角速度検出部320でなり、前記加速度検出部310と角速度検出部320は、両側に平行にそれぞれ連結された支持部330によってワンチップ化したMEMS素子でなる。
【0112】
すなわち、前記角速度検出部310と加速度検出部320は、平行な一対の支持部330に連結される。
【0113】
より具体的に、前記加速度検出部310は第1質量体311、可撓性ビーム312及び支持部330を含み、前記可撓性ビーム312はX字形に配置されるように前記第1質量体311に連結され、感知手段313が形成され、前記支持部330には電極パッド331が形成される。
【0114】
また、前記加速度検出部310は、図1に示すMEMS素子と同様であり、詳細な技術構成、形状及びこれらの有機的結合も同様であるので、その説明は省略する。
【0115】
ついで、前記角速度検出部320は、第2質量体321、第1可撓部322、第2可撓部323及び支持部330を含む。そして、前記支持部330は、電極パッド331及び結合部332が形成される。
【0116】
また、前記第2可撓部323には、感知手段324及び駆動手段325が形成される。
【0117】
また、前記角速度検出部320は、図5に示す第2実施例によるMEMS素子200の角速度検出部220と比較して、支持部と第1可撓部及び第2可撓部の有機的結合関係が違う。
【0118】
より具体的に、前記角速度検出部320は、第2質量体321の中心部にはY軸方向の両側に第1可撓部322が結合され、X軸方向の両端部に第2可撓部323が結合される。また、前記第1可撓部322は支持部330の結合部333に連結され、前記第2可撓部323は一端が第1可撓部322に結合され、他端が第2質量体321に結合される。
【0119】
すなわち、第1可撓部に第2可撓部323が結合されることにより、第2可撓部323の一端は、第2質量体321の回転軸(Y軸)とほぼ一致するようになる。
【0120】
したがって、第2質量体321がY軸を基準に回転しても、第2可撓部323の長さは、ほとんど変わらない。すなわち、前記第2質量体321が回転するとき、第2可撓部323の長さの変化を最小化すれば、第2可撓部323に作用する張力が急激に増加しない。よって、第2可撓部323の剛性も急激に増加しないので、前記第2質量体321の駆動変位や感知変位が制限されることを防止することができる効果がある。
【0121】
また、前記第2可撓部323の張力が急激に変化しないので、共振周波数が急激に変化しながら、ノイズ(Noise)が増加することを防止することができる利点がある。一方、第2可撓部323は、前述したように、前記第2質量体321に形成された突出結合部321aに連結することができる。
【0122】
そして、本発明の第3実施例によるMEMS素子の角速度検出部320の詳細な技術構成、形状、これらの有機的結合及びこれによる技術具現は第2実施例によるMEMS素子の角速度検出部320と同様であるので、その説明は省略する。
【0123】
図12は、本発明の第4実施例によるMEMS素子を概略的に示す平面図、図13は、図12に示すMEMS素子において角速度検出部のE−E線についての概略断面図である。
【0124】
図示のように、前記MEMS素子400は、図5に示す第2実施例によるMEMS素子200と比較して、角速度検出部だけが違う。
【0125】
より具体的に、前記MEMS素子400は、第1質量体411の変位検出のための加速度検出部410と第2質量体421の駆動及び変位検出のための角速度検出部420からなり、前記加速度検出部410と角速度検出部420は両側に平行にそれぞれ連結された支持部430によってワンチップ化したMEMS素子400でなる。
【0126】
すなわち、前記角速度検出部410と加速度検出部420は、平行な一対の支持部230に連結される。
【0127】
より具体的に、前記加速度検出部410は第1質量体411、可撓性ビーム412及び支持部430を含み、前記可撓性ビーム412はX字形に配置されるように前記第1質量体411に連結され、感知手段413が形成され、前記支持部430には電極パッド431が形成される。
【0128】
また、前記加速度検出部410は、図1に示すMEMS素子と同様であり、詳細な技術構成、形状及びこれらの有機的結合も同様であるので、その説明は省略する。
【0129】
ついで、前記角速度検出部420は、前述した第2及び第3実施例によるMEMS素子の角速度検出部220、320と比較して、アンカー426の有無に相違点が存在する。
【0130】
より具体的に、前記角速度検出部420は、第2質量体421、第1可撓部422、第2可撓部423、アンカー426及び支持部430を含む。そして、前記支持部430には前述したように、電極パッド431が形成され、これに加えて前記第1可撓部422が結合されるための結合部432が形成される。
【0131】
また、前記第2可撓部423には、感知手段424及び駆動手段425が形成される。
【0132】
そして、前記第2質量体421は、一側質量体421a、他側質量体421b及び連結質量体421cでなる。また、前記一側質量体421aと他側質量体421bは同一の大きさ及び形状でなり、X軸方向に平行に配置させることができる。
【0133】
また、前記連結質量体421cは、前記一側質量体421aと他側質量体421bが離隔して空間部が形成されるように連結され、図12は、一実施例として前記一側質量体421aと他側質量体421bの両端にそれぞれ連結されたものを示すものである。
【0134】
また、前記第2質量体421の一側質量体421a、他側質量体421b及び連結質量体421cは、内部に中空部を持つように一体的に構成されることができる。
【0135】
そして、前記一側質量体421a及び他側質量体421bの中心部には、それぞれ支持部430に向かってY軸方向に前記第1可撓部422が結合される。そして、前記第1可撓部422は、前記支持部430の結合部432に結合されることにより、前記第2質量体421は、変位可能となるように浮遊状態で支持される。
【0136】
ついで、前記アンカー426は、前記第2質量体421が変位を引き起こすように第2可撓部423を支持し、前記第2質量体421で変位が発生するとき、基準となる役目をする。ここで、アンカー426の位置は、前記第2質量体421の内側の空間部に位置するように備えられれば、特に制限されるものではない。例えば、前記アンカー426は、前記一側質量体421aと他側質量体421bの間の空間部に備えることができる。また、前記アンカー426は、X軸方向に対して第2質量体421の中間部に位置し、両端部に前記第2可撓部423が連結される。
【0137】
また、前記第2可撓部423は、アンカー426を基準に、第2質量体421が変位を引き起こすように、前記第2質量体421と前記アンカー423を連結する役目をする。
【0138】
より具体的に、前記第2可撓部423はX軸方向に伸びるように形成され、一端は第2質量体421の連結質量体421cに連結され、他端は前記アンカー426に連結される。
【0139】
この際、前記アンカー426に連結された第2可撓部423の一端は、前記第2質量体421の連結質量体421cに連結された第2可撓部423の他端に比べ、前記第2質量体421の回転軸(Y軸)に近く位置する。
【0140】
すなわち、前記第2可撓部423の固定された部分(第2可撓部423の一端)が前記第2質量体421の回転軸(Y軸)に近いものである。前記第2可撓部423の固定された部分(第2可撓部423の一端)が前記第2質量体421の回転軸(Y軸)と一致すれば、前記第2質量体421が回転しても前記第2可撓部423の長さは変わらない。
【0141】
したがって、本発明の第4実施例によるMEMS素子の角速度検出部420のように、前記第2可撓部423の固定された部分(第2可撓部423の他端)が前記第2質量体421の回転軸(Y軸)に近く形成されれば、前記第2質量体421が回転するとき、第2可撓部423の長さの変化を最小化することができる。このように、前記第2質量体421が回転するとき、前記第2可撓部423の長さの変化を最小化すれば、第2可撓部423に作用する張力が急激に増加しない。
【0142】
結局、前記第2可撓部423の剛性も急激に増加しないので、前記第2質量体421の駆動変位や感知変位が制限されることを防止することができる効果がある。また、前記第2可撓部423の張力が急激に変化しないので、共振周波数が急激に変化しながらノイズ(Noise)が増加することを防止することができる利点がある。
【0143】
また、前記第1可撓部422は、アンカー426または支持部430の結合部432を基準に、前記第2質量体421が変位を引き起こすように、前記第2質量体421と支持部430を連結する役目をする。
【0144】
また、第1可撓部422と第2可撓部423は、互いに直交方向に配置される。
【0145】
すなわち、第1可撓部422は、Y軸に対応するように形成される一方、前記第2可撓部423は、X軸方向に伸びるように形成され、幅(W)がZ軸方向の厚さ(t)より大きく、第1可撓部422は、Z軸方向の幅(W)がX軸方向の厚さ(t)より大きくなることができる。
【0146】
このような前記第1可撓部422及び第2可撓部423の特性によって、前述した第1実施例によるMEMS素子200の角速度検出部220と同様に、前記第2質量体421は、Y軸を基準に回転可能であり、X軸またはZ軸を基準に回転するとかZ軸、Y軸またはX軸方向に並進することが制限される。
【0147】
そして、本発明の第4実施例によるMEMS素子の角速度検出部420の詳細な技術構成、形状、これらの有機的結合及びこれによる技術具現は、第2実施例によるMEMS素子の角速度検出部220と同様であるので、その説明は省略する。
【0148】
また、本発明によるMEMS素子は、多様な分野に活用されることができる。例えば、本発明によるMEMS素子は、角速度センサー、加速度センサーまたはアクチュエータ(Actuator)などを含むワンチップに具現されることができる。
【0149】
15は、本発明の第2実施例によるMEMS素子製造工程の一部工程を概略的に示す説明図である。
【0150】
図示のように、前記MEMS素子200は、複数が整列された状態で、点線で示すように、ダイシング(dicing)を行った場合、図5に示す個別MEMS素子を得ることができる。
【0151】
このために、素子ウエハー(wafer)と下部キャップウエハー(図示せず)をウエハーレベルボンディングした後、ダイシングを行う。また、下部キャップは、ASICまたは他のセンサーチップに取り替えることができる。この場合、ハーフダイシング(half dicing)することで、素子とハブチップの間にウエハーボンディングで電気的接続を成すことができる。また、TSV(Through Silicon Via technology)を使えば、支持部を貫通して電気的接続がなされることによって、フルダイシング(Full dicing)の適用も可能である。
【0152】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0153】
本発明の単純な変形乃至変更はいずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、人工衛星、ミサイル、無人航空機などの軍需用からエアバッグ、ESC、車両用ブラックボックス、キャムコーダの手の震え防止用、携帯電話やゲーム機のモーション検出用、ナビゲーション用などの多様な用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
100 MEMS素子
110 質量体
110a 中心質量体
110b,110c,110d,110d,110e 周辺質量体
120 可撓性ビーム
130 支持部
131 突出結合部
140 感知手段
200 MEMS素子
210 加速度検出部
211 第1質量体
212 可撓性ビーム
220 角速度検出部
221 第2質量体
221a 突出結合部
222 第1可撓部
223 第2可撓部
224 感知手段
225 駆動手段
230 支持部
231 電極パッド
232 結合部
233 突出部
300 MEMS素子
310 加速度検出部
311 第1質量体
312 可撓性ビーム
320 角速度検出部
321 第2質量体
322 第1可撓部
323 第2可撓部
324 感知手段
325 駆動手段
330 支持部
331 電極パッド
332 結合部
400 MEMS素子
410 加速度検出部
411 第1質量体
412 可撓性ビーム
420 角速度検出部
421 第2質量体
421a 一側質量体
421b 他側質量体
421c 連結質量体
422 第1可撓部
423 第2可撓部
424 感知手段
425 駆動手段
426 アンカー
430 支持部
431 電極パッド
432 結合部
図1
図2
図3
図4
図5
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図10A
図10B
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