(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を処理する廃棄物処理設備(流動床炉等)に対して廃棄物を解砕しながら供給する廃棄物供給装置が知られている。例えば、特許文献1には、廃棄物処理設備としての流動床炉に向かって廃棄物を搬送するためのスクリューコンベアと、このスクリューコンベアの下流側の端部近傍に配置された解砕機と、を備える廃棄物供給装置が開示されている。前記解砕機は、ケーシングに片持ち状に支持された払い落とし軸と、この払い落とし軸の外周に当該軸の周方向に沿って間欠的に並ぶように接続されており廃棄物を解砕するための複数の払い落とし羽根と、を有している。払い落とし軸は、その中心軸がスクリューコンベアの回転中心軸と直交しかつ水平となる姿勢に保持されている。各払い落とし羽根は、平坦な板状であり、その板面が払い落とし軸を含む平面と平行となる姿勢で当該軸に接続されている。各払い落し羽根は、前記払い落とし軸の固定端側の基端部から自由端側の先端部に至るように延びるとともに、前記基端部から前記先端部に向かうにしたがって次第に当該払い落とし軸の外周面からの径方向の外向きへの突出量が小さくなる形状を有している。
【0003】
ここで、スクリューコンベアにより搬送される廃棄物に布や針金等の長尺のものが含まれている場合、その長尺の廃棄物が払い落とし羽根に巻き付き、適切な廃棄物の解砕を阻害する恐れがある。上記廃棄物供給装置は、そのような不具合の発生、すなわち、前記長尺の廃棄物が払い落とし羽根に巻き付いた状態で当該払い落とし羽根が回転し続けるのを防止するための多数の巻付きを防止突起を有している。具体的に、各巻付き防止突起は、ケーシングのうち払い落とし羽根と前記径方向に対向する壁面に設けられており、当該壁面から払い落とし羽根に向かって突出する形状を有する。各巻付き防止突起は、払い落とし軸の中心軸に対して傾斜しかつ互いに平行となる姿勢で前記壁面に設けられている。
【0004】
この廃棄物供給装置の運転中において前記長尺の廃棄物が払い落とし羽根に巻き付くと、この廃棄物は、払い落とし羽根とともに回転しながら各防止突起のうち前記払い落とし軸の軸方向について前記基端部側に位置するものから前記先端部側に位置するものに対して順次接触することによって払い落とし軸の先端部(自由端側の端部)に向かって移動し、払い落とし羽根から離脱して落下する。このため、払い落とし羽根に廃棄物が巻き付いた状態で当該払い落とし羽根が回転し続けることが防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるような廃棄物供給装置では、なるべく多くの廃棄物を適切に解砕しながら廃棄物処理設備に供給することが望まれている。しかしながら、特許文献1に記載の廃棄物供給装置では、廃棄物の供給量の増大と当該廃棄物の適切な解砕とを両立することが困難である。具体的に、廃棄物の供給量を増大させる手段として、スクリューコンベアを増設すること、つまり、複数の(例えば2つの)スクリューコンベアをその回転中心軸が互いに平行となりかつ互いに水平方向に所定距離だけ離間して並ぶように配置することが考えられるが、この場合、各スクリューコンベアによって搬送された廃棄物を解砕するために払い落とし軸及び払い落とし羽根の軸方向の寸法を大きくする必要がある。そうすると、特に前記払い落とし軸の自由端側の端部近傍での廃棄物の解砕が困難となる。具体的に、前記払い落し羽根は、前記払い落とし軸の基端部から先端部に向かうにしたがって次第に前記径方向の外向きへの突出量が小さくなる形状であることから、払い落とし軸の軸方向について先端部に近い位置ほど、払い落とし羽根のうち前記基端部側の端部の径方向の突出量と前記先端部側の端部の径方向の突出量との差、すなわち前記先端部近傍でのスクリューコンベアの下流側の端部と払い落とし羽根の径方向の外側の縁部との間に形成される隙間が大きくなる。このため、前記先端部近傍において、スクリューコンベアによって搬送された廃棄物が適切に払い落とし羽根によって解砕されることなく比較的大きな塊で落下するおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、解砕部材に廃棄物が巻き付いた状態で当該解砕部材が回転し続けることを抑制しながら、廃棄物の供給量の増加と適切な廃棄物との解砕との両立が可能な廃棄物供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理設備に対して前記廃棄物を解砕しながら供給する廃棄物供給装置であって、第1回転中心軸回りに回転可能でかつ当該軸回りに回転しながら前記廃棄物を搬送する第1スクリューコンベアと、前記第1回転中心軸と平行となるとともに当該第1回転中心軸と直交する方向でかつ水平方向にこの第1回転中心軸から所定距離だけ離間した位置に配置された第2回転中心軸回りに回転可能でかつ当該軸回りに回転しながら前記廃棄物を搬送する第2スクリューコンベアと、前記第1回転中心軸及び第2回転中心軸と直交しかつ水平に配置された第3回転中心軸回りに回転可能でかつ当該軸回りに回転しながら前記第1スクリューコンベア及び前記第2スクリューコンベアにより搬送された廃棄物を解砕する解砕部材と、前記廃棄物のうち前記解砕部材に巻き付いた長尺の巻付廃棄物に接触することにより当該巻付廃棄物が前記解砕部材と共回りするのを抑制する共回り抑制部材と、前記解砕部材を前記第3回転中心軸回りに回転可能に支持するとともに、前記共回り抑制部材が前記解砕部材の回転時に当該解砕部材に対してその回転方向と反対方向に相対回転しながら前記巻付廃棄物に接触するように当該共回り抑制部材を支持するケーシングと、を備え、前記解砕部材は、前記ケーシングに前記第3回転中心軸を中心軸として回転可能でかつ片持ち状に支持された第3シャフトと、前記第3シャフトの外周面に接続されており前記廃棄物を解砕するための複数の解砕羽根と、を有し、前記ケーシングは、前記共回り抑制部材が前記第3シャフトの径方向について前記解砕羽根と対向するとともに当該解砕羽根に巻き付いた巻付廃棄物と接触する位置に当該共回り抑制部材を支持しており、前記共回り抑制部材は、前記ケーシングに支持された状態において前記解砕羽根のうち前記第3シャフトの固定端側に位置する基端側端部から前記第3シャフトの自由端側に位置する先端側端部に至るように延びる形状を有し、前記解砕羽根は、前記第3シャフトの回転に伴って回転するときに当該解砕羽根に巻き付いた前記巻付廃棄物を前記共回り抑制部材に対して押し付けながら当該巻付廃棄物を前記第3シャフトの自由端側に向けて送ることができるように、当該解砕羽根のうち前記第3シャフトの径方向の外側の縁部である解砕縁部が前記基端側端部から前記先端側端部に向かうにしたがって当該第3シャフトの回転方向と反対方向に向かう螺旋状に形成されており、前記第3シャフトは、各スクリューコンベアの下流側の端部と前記複数の解砕羽根の前記解砕縁部を包絡する円筒面との間の距離を前記第3シャフトの軸方向の全域にわたって一定とする姿勢で前記ケーシングに支持されている、廃棄物供給装置を提供する。
【0009】
本発明では、2つのスクリューコンベアにより多くの廃棄物を搬送でき、しかも、各スクリューコンベアの下流側の端部と前記解砕縁部を包絡する円筒面との間の距離が第3シャフトの軸方向の全域にわたって一定であるので、従来に比べて廃棄物の搬送量を多くしながら解砕部材の固定端側及び自由端側の双方において解砕羽根によって適切に廃棄物を解砕することができる。さらに、廃棄物に布や針金等の長尺の廃棄物が含まれていてこれが解砕羽根に巻き付いた場合であっても、この巻付廃棄物は、第3シャフトの自由端側の端部から離脱して落下するので、解砕羽根に廃棄物が巻き付いた状態で当該解砕羽根が回転し続けることも抑制される。具体的に、各解砕羽根は、その解砕縁部が前記基端側端部から前記先端側端部に向かうにしたがって第3シャフトの回転方向と反対方向に向かう螺旋状に形成されているので、第3シャフトの回転に伴って回転することにより廃棄物の適切な解砕を行いながら、当該装置の運転中に当該解砕羽根に前記長尺の廃棄物が巻き付いた場合には、この解砕羽根は、共回り抑制部材に対して相対回転することによって当該解砕羽根に巻き付いた巻付廃棄物を共回り抑制部材に対して押し付けながら当該解砕羽根の解砕縁部と前記巻付廃棄物との接触箇所を前記基端側端部から前記先端側端部に向かって移動させるように当該巻付廃棄物を前記自由端側に向かって送り、これにより当該巻付廃棄物を第3シャフトの自由端側の端部から落下させることができる。
【0010】
この場合において、前記共回り抑制部材は、前記第3回転中心軸と平行な第4回転中心軸回りに回転可能で、かつ前記第4回転中心軸の軸方向の全域にわたって当該第4回転中心軸と直交する方向について前記解砕羽根と対向するとともに前記第4回転中心軸と直交する方向の断面が円形となる外周面を有し、この外周面は、前記第3シャフトの回転時に当該第3シャフトの回転方向と反対方向に前記解砕縁部の周速度よりも小さな周速度で回転することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、解砕部材の回転速度を大きくしながら、すなわち両スクリューコンベアによって搬送される廃棄物を適切に解砕処理しながら、解砕羽根に作用する負荷を低減することができる。具体的に、廃棄物の解砕処理量を多くするために解砕部材の回転速度を大きくした場合であっても、共回り抑制部材の外周面が第3シャフトの回転方向と反対方向に回転することによって前記解砕縁部の前記外周面に対する相対速度が小さくなるので、前記外周面が第3シャフトの回転方向と反対方向に回転しない場合(前記相対速度が大きい場合)に比べて、解砕羽根による巻付廃棄物の第3シャフトの自由端側への送り速度が低下し、これにより解砕羽根が巻付廃棄物を前記外周面に対して押し付けながら当該巻付廃棄物を前記自由端側へ送る際に当該解砕羽根が巻付廃棄物から受ける抵抗(負荷)が小さくなる。換言すれば、共回り抑制部材の外周面が第3シャフトの回転方向と反対方向に回転することにより、巻付廃棄物を前記自由端側に向かって送る際に解砕羽根が当該巻付廃棄物から受ける抵抗に起因する解砕部材の回転速度の制限が緩和される。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、解砕部材に廃棄物が巻き付いた状態で当該解砕部材が回転し続けることを抑制しながら、廃棄物の供給量の増加と適切な廃棄物との解砕との両立が可能な廃棄物供給装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態の廃棄物処理システムについて、
図1を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示されるように、廃棄物処理システムは、ホッパー100と、コンベア200と、シール部300と、廃棄物供給装置400と、流動床炉500と、を備えている。
【0016】
ホッパー100は、上方から投入された廃棄物Wを貯留するとともに、当該廃棄物Wを下方に落下させる。
【0017】
コンベア200は、ホッパー100から落下してきた廃棄物Wを所定の高さ位置まで搬送する。
【0018】
シール部300は、コンベア200の下流側に設けられている。シール部300は、空気の流動床炉500への流入を抑制する部位である。具体的に、シール部300は、コンベア200の下流側の端部から鉛直下向きに向かって長く延びる配管により構成される。このシール部300内に廃棄物Wが積み上げられる、あるいは仕切板を有するシール装置によって前記配管内が遮断されることにより流動床炉500の気密性が高まるので、空気の流動床炉500への流入が抑制される。
【0019】
廃棄物供給装置400は、シール部300の下部に接続されている。廃棄物供給装置400は、シール部300から落下してきた廃棄物Wを解砕しながら下流側の流動床炉500側に向かって供給する装置である。廃棄物供給装置400の構造の詳細については、後述する。
【0020】
流動床炉500は、炉本体510内において流動媒体が流動することによって形成される流動床520で廃棄物Wを加熱することにより当該廃棄物Wからガスを取り出す炉である。流動床炉500は、廃棄物処理設備の一部を構成する。なお、ここで発生したガスは、下流側の設備で適宜処理される。
【0021】
次に、
図2〜
図4を参照しながら、廃棄物供給装置400について詳細に説明する。
【0022】
廃棄物供給装置400は、シール部300から落下してきた廃棄物Wを下流側に搬送可能な複数のスクリューコンベアと、廃棄物Wを解砕する解砕機30と、共回り抑制装置40と、解砕機30及び共回り抑制装置40を支持するケーシング50と、を備えている。本実施形態では、複数のスクリューコンベアは、第1スクリューコンベア10と、第2スクリューコンベア20(
図2を参照)と、を有している。なお、
図2では、共回り抑制装置40の図示は省略されている。
【0023】
第1スクリューコンベア10は、第1回転中心軸10a回りに回転可能でかつ当該軸10a回りに回転しながら廃棄物Wを搬送する。第2スクリューコンベア20は、第2回転中心軸20a回りに回転可能でかつ当該軸20a回りに回転しながら廃棄物Wを搬送する。第2回転中心軸20aは、第1回転中心軸10aと平行となるとともに当該第1回転中心軸10aから水平方向(
図2の左右方向)に所定距離だけ離間した位置に配置されている。本実施形態では、両回転中心軸10a,20aは、水平に配置されている。第1スクリューコンベア10の下流側の端部12と第2スクリューコンベア20の下流側の端部22とは、両スクリューコンベア10,20の並び方向(
図2の左右方向)について同じ位置に設定されている。
【0024】
解砕機30は、両スクリューコンベア10,20の下流側の端部12,22から当該スクリューコンベア10,20の軸方向に離間した位置に配置されている。解砕機30は、両スクリューコンベア10,20により搬送されてきた廃棄物Wを解砕する(ほぐす)解砕部材31と、解砕部材31を駆動するモータ38と、を有する。
【0025】
解砕部材31は、第3回転中心軸30a回りに回転可能でかつ当該軸30a回りに回転しながら廃棄物Wを解砕する。第3回転中心軸30aは、第1回転中心軸10a及び第2回転中心軸20aと直交しかつ水平に配置されている。
図3に示されるように、第3回転中心軸30aの高さ位置は、第1及び第2回転中心軸10a,20aのそれよりも低い位置に設定されることが好ましい。解砕部材31は、第3回転中心軸30a回りに回転可能な第3シャフト32と、この第3シャフト32の外周面に接続されており廃棄物Wを解砕するための複数の解砕羽根34と、を有する。
【0026】
図2及び
図4に示されるように、第3シャフト32は、ケーシング50に片持ち状に支持されている。モータ38は、この第3シャフト32を第3回転中心軸30a回りに回転させる。本実施形態では、モータ38は、第3シャフト32を
図3において右回りに回転させる。
【0027】
複数の解砕羽根34は、第3シャフト32の外周面に当該第3シャフト32の周方向に沿って間欠的に並ぶように接続されている。なお、解砕羽根34の枚数は、特に限定されない。各解砕羽根34は、第3シャフト32の固定端側の端部から自由端側の端部に至るように延びる形状を有する。この解砕羽根34は、第3シャフト32の固定端側に位置する端部である基端側端部35から第3シャフト32の自由端側に位置する端部である先端側端部36に至る全域にわたって第3シャフト32の外周面からの当該第3シャフト32の径方向への突出量が一定となる形状を有している。解砕羽根34のうち前記径方向の外側の縁部である解砕縁部34aは、基端側端部35から先端側端部36に向かうにしたがって第3シャフト32の回転方向と反対方向に向かう螺旋状に形成されている。このため、解砕縁部34aのうち各スクリューコンベア10,20の下流側の端部12,22に最も近い点である最接近点は、第3シャフト32の回転に伴って基端側端部35側から先端側端部36側に向かって移動する。本実施形態では、前記最接近点が解砕縁部34aのうち基端側端部35側の端部に位置する状態から当該最接近点が先端側端部36側の端部に位置する状態となるまでこの最接近点を移動させるのに必要な第3シャフト32の回転角が180度となるように解砕羽根34の形状が設定されている。なお、本実施形態では、解砕縁部34aを含めた解砕羽根34全体が基端側端部35から先端側端部36に向かうにしたがって第3シャフト32の回転方向と反対方向に向かう螺旋状に形成されている。
【0028】
図2に示されるように、第3シャフト32は、各スクリューコンベア10,20の下流側の端部12,22と複数の解砕羽根34の各解砕縁部34aを包絡する円筒面34bとの間の距離Lを第3シャフト32の軸方向の全域にわたって一定とする姿勢でケーシング50に支持されている。また、第3シャフト32及び各解砕羽根34の前記軸方向(
図2の左右方向)の寸法は、第1スクリューコンベア10の前記並び方向の外側の端部と第2スクリューコンベア20の前記並び方向の外側の端部との間の距離と略等しくなるように設定されている。
【0029】
ここで、各スクリューコンベア10,20により搬送される廃棄物Wに布や針金等の長尺のものが含まれている場合、その長尺の廃棄物Wが解砕羽根34に巻き付き、当該解砕羽根34による適切な廃棄物Wの解砕を阻害する恐れがある。共回り抑制装置40は、解砕羽根34に巻き付いた廃棄物(以下、「巻付廃棄物」という)に接触することにより巻付廃棄物が解砕羽根34と共回りするのを抑制する装置である。本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、共回り抑制装置40は、第4シャフト42と、第4シャフト42回りに回転する共回り抑制部材44と、第4シャフト42を回転させるモータ46と、を有する。
【0030】
本実施形態では、第4シャフト42は、第3回転中心軸30aと平行な第4回転中心軸40a回りに回転可能となるようにケーシング50に支持されている。第4回転中心軸40aは、各スクリューコンベア10,20の軸方向について第3回転中心軸30aを基準として各スクリューコンベア10,20とは反対側でかつ第3回転中心軸30aよりも高い位置に配置されることが好ましい。
【0031】
共回り抑制部材44は、第4シャフト42とともに回転するように当該第4シャフト42に接続されている。本実施形態では、共回り抑制部材44は、第4回転中心軸40aと直交する方向の断面が円形となる外周面44aを有している。共回り抑制部材44の軸方向の寸法は、解砕羽根34の基端側端部35から先端側端部36までの寸法とほぼ等しくなるように設定されている。第4回転中心軸40aと共回り抑制部材44の外周面44aとの間の寸法は、第3回転中心軸30aと解砕縁部34aとの寸法よりも小さく設定されることが好ましい。
【0032】
第4シャフト42は、共回り抑制部材44の外周面44aが軸方向の全域にわたって解砕羽根34(円筒面34b)と第3シャフト32の径方向に対向するとともに解砕羽根34に巻き付いた巻付廃棄物と接触する位置にケーシング50に支持されている。
【0033】
モータ46は、第4シャフト42を回転させる。具体的に、モータ46は、共回り抑制部材44が解砕羽根34の回転方向(
図3の右回り)と反対方向(
図3の左回り)に回転するように第4シャフト42を回転させる。本実施形態では、モータ46は、共回り抑制部材44の外周面44aの周速度が解砕縁部34aの周速度よりも小さくなるように第4シャフト42を回転させる。つまり、共回り抑制部材44の外周面44aは、解砕羽根34に対して相対回転しながら巻付廃棄物に接触する。換言すれば、解砕羽根34は、第3シャフト32の回転に伴ってその解砕縁部34aを共回り抑制部材44の外周面44aに対して押し付けながら当該外周面44aに対して相対回転する。
【0034】
次に、本廃棄物供給装置400の動作について説明する。
【0035】
シール部300から廃棄物Wが落下してくると、両スクリューコンベア10,20はその廃棄物Wを下流側の解砕機30に向かって(
図2及び
図3の矢印F1に沿って)搬送する。
【0036】
両スクリューコンベア10,20によって搬送された廃棄物Wは、解砕機30によって解砕される。具体的に、モータ38が第3シャフト32を
図3における右回りに回転させることによって各解砕羽根34が同図の右回りに回転し、これにより各解砕羽根34の解砕縁部34aが廃棄物Wを順次解砕しながら(ほぐしながら)下方へ送る。
【0037】
ここで、本実施形態では、各スクリューコンベア10,20の下流側の端部12,22と各解砕縁部34aを包絡する円筒面34bとの間の距離Lが第3シャフト32の軸方向の全域にわたって一定であるので、2つのスクリューコンベア10,20によって多くの廃棄物Wを搬送しながら、解砕羽根34の固定端側の端部である基端側端部35から自由端側の端部である先端側端部36に至る全域にわたって解砕羽根34によって適切に廃棄物Wを解砕することができる。
【0038】
さらに、廃棄物Wに長尺上の布や針金等が含まれていて複数の解砕羽根34に巻き付いた場合であっても、この巻付廃棄物は、解砕羽根34の回転に伴って当該解砕羽根34の自由端側の先端側端部36に向かって(
図4の矢印F2に沿って)移動し、当該端部から離脱して落下するので、解砕羽根34に廃棄物Wが巻き付いた状態で当該解砕羽根34が回転し続けることも抑制される。具体的に、各解砕羽根34は、その解砕縁部34aが基端側端部35から先端側端部36に向かうにしたがって第3シャフト32の回転方向と反対方向に向かう螺旋状に形成されているので、第3シャフト32の回転に伴って回転することにより廃棄物Wの適切な解砕を行いながら、当該装置400の運転中に当該解砕羽根34に前記長尺の廃棄物が巻き付いた場合には、この解砕羽根34は、共回り抑制部材44に対して相対回転することによって当該解砕羽根34に巻き付いた巻付廃棄物を共回り抑制部材44の外周面44aに対して押し付けながら当該解砕羽根34の解砕縁部34aと巻付廃棄物との接触箇所を基端側端部35から先端側端部36に向かって(
図4の矢印F2に沿って)移動させるように当該巻付廃棄物を自由端側に向かって送り、当該巻付廃棄物を前記自由端側から落下させる。よって、解砕羽根34に廃棄物Wが巻き付いた場合であっても、解砕機30を停止することなく各スクリューコンベア10,20から搬送される廃棄物Wの解砕を継続することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、共回り抑制部材44の外周面44aは、第3シャフト32の回転時に解砕縁部34aの回転方向と反対方向に当該解砕縁部34aの周速度よりも小さな周速度で回転するので、解砕部材31の回転速度を大きくしながら、すなわち両スクリューコンベア10,20によって搬送される廃棄物Wを適切に解砕処理しながら、解砕羽根34に作用する負荷を低減することができる。具体的に、廃棄物Wの解砕処理量を多くするために解砕部材31の回転速度を大きくした場合であっても、共回り抑制部材44の外周面44aが解砕縁部34aの回転方向と反対方向に回転することによって解砕縁部34aの前記外周面44aに対する相対速度(解砕縁部34aのうち外周面44aと対向する対向部の速度の接線方向の成分の大きさと外周面44aのうち前記対向部と対向する部位の速度の接線方向の成分の大きさとの差)が小さくなるので、前記外周面44aが第3シャフト32の回転方向と反対方向に回転しない場合(前記相対速度が大きい場合)に比べて、解砕羽根34による巻付廃棄物の第3シャフト32の自由端側への送り速度が低下し、これにより解砕羽根34が巻付廃棄物を前記外周面44aに対して押し付けながら当該巻付廃棄物を前記自由端側へ送る際に当該解砕羽根34が巻付廃棄物から受ける抵抗(負荷)が小さくなる。換言すれば、共回り抑制部材44の外周面44aが第3シャフト32の回転方向と反対方向に回転することにより、巻付廃棄物を前記自由端側に向かって送る際に解砕羽根34が当該巻付廃棄物から受ける抵抗に起因する第3シャフト32の回転速度の制限が緩和される。
【0040】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0041】
例えば、上記実施形態では、共回り抑制部材44が第4回転中心軸40a回りに回転する円筒状に形成されている例が示されたが、共回り抑制部材44は、巻付廃棄物に接触可能でかつ複数の解砕羽根34に対して当該解砕羽根34の回転方向と反対方向に相対回転可能であれば上記の構造に限られない。例えば、共回り抑制部材44は、巻付廃棄物に接触可能でかつケーシング50に対して相対回転しないように当該ケーシング50に固定されていてもよい。この場合の共回り抑制部材44の形状は、円筒状に限らず、平板状等であってもよい。
【0042】
また、解砕羽根34の形状は、上記のものに限られない。例えば、
図5に示されるように、前記最接近点が解砕縁部34aのうち基端側端部35側の端部に位置する状態から当該最接近点が先端側端部36側の端部に位置する状態となるまでこの最接近点を移動させるのに必要な第3シャフト32の回転角が90度となるように解砕羽根34の形状が設定されてもよい。
【0043】
また、複数のスクリューコンベアは、3以上のスクリューコンベアを含んでもよい。この場合、第3シャフト32及び各解砕羽根34の軸方向の寸法は、各スクリューコンベアにより搬送された廃棄物Wを前記軸方向の全域にわたって解砕可能な大きさに設定される。
【0044】
また、第3回転中心軸30aと解砕縁部34aとのなす角は、5度〜35度の範囲に設定されることが好ましい。
【課題】解砕部材に廃棄物が巻き付いた状態で当該解砕部材が回転し続けることを抑制しながら、廃棄物の供給量の増加と適切な廃棄物との解砕との両立が可能な廃棄物供給装置を提供すること。
【解決手段】廃棄物供給装置(400)であって、第1及び第2スクリューコンベア(10,20)と、解砕部材(31)と、共回り抑制部材と、ケーシング(50)と、を備え、解砕部材(31)は、第3シャフト(32)と、複数の解砕羽根(34)と、を有し、共回り抑制部材は、基端側端部(35)から先端側端部(36)に至るように延びる形状を有し、解砕羽根(34)は、その解砕縁部(34a)が螺旋状に形成されており、第3シャフト(32)は、各スクリューコンベアの下流側の端部(12,22)と解砕縁部(34a)を包絡する円筒面(34b)との間の距離(L)を一定とする姿勢でケーシング(50)に支持されていること。