特許第5816405号(P5816405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5816405酸化還元電位水溶液を使用する第二度及び第三度熱傷の治療方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816405
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】酸化還元電位水溶液を使用する第二度及び第三度熱傷の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/00 20060101AFI20151029BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20151029BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20151029BHJP
   A61K 33/20 20060101ALI20151029BHJP
   A61K 33/40 20060101ALI20151029BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20151029BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   A61K33/00
   A61K9/08
   A61K9/12
   A61K33/20
   A61K33/40
   A61P17/00 101
   A61P17/02
【請求項の数】7
【全頁数】57
(21)【出願番号】特願2008-503290(P2008-503290)
(86)(22)【出願日】2006年3月23日
(65)【公表番号】特表2008-534516(P2008-534516A)
(43)【公表日】2008年8月28日
(86)【国際出願番号】US2006011251
(87)【国際公開番号】WO2006102680
(87)【国際公開日】20060928
【審査請求日】2009年3月23日
【審判番号】不服2014-9683(P2014-9683/J1)
【審判請求日】2014年5月26日
(31)【優先権主張番号】60/664,361
(32)【優先日】2005年3月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/667,101
(32)【優先日】2005年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/676,883
(32)【優先日】2005年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/730,743
(32)【優先日】2005年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/760,635
(32)【優先日】2006年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/760,567
(32)【優先日】2006年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/760,645
(32)【優先日】2006年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/760,557
(32)【優先日】2006年1月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505234465
【氏名又は名称】オキュラス イノヴェイティヴ サイエンシズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】アライミ、ホジャブル
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 安藤 倫世
【審判官】 前田 佳与子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−58848(JP,A)
【文献】 特開平2−111708(JP,A)
【文献】 特開2004−121607(JP,A)
【文献】 特開2001−259640(JP,A)
【文献】 特許第5528657(JP,B2)
【文献】 北本誉志子,透析施設における電解強酸性水の使用,大阪透析研究会会誌,(1997.9),Vol.15,No.2,p.183−186
【文献】 中永士師明,熱傷モデルにおける強酸性電解水,ハイドロコロイド系創傷被覆材の有用性について,熱傷,(2000.6.15),Vol.26,No.2,p.100(#7)
【文献】 Nagamatsu Y,Durability of Bactericidal Activity in Electrolyzed Neutral Water by Storage,Dental Materials Journal,(2002),Vol.21,No.2,p.93−104
【文献】 愛知県病院薬剤師会雑誌,1999年,Vol.27,No.2,p.3−7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K35/00-35/76
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化還元電位水溶液を含む第二度又は第三度熱傷の治療剤であって、
溶液は6.4から7.8のpHを有しており且つ少なくとも2ヶ月間安定であり、
溶液の遊離塩素種の総量は50ppmから80ppmであり、
溶液はアノード水およびカソード水を含み
液は少なくとも1種の遊離塩素種を含み、該少なくとも1種の遊離塩素種は、次亜塩素酸、次亜塩素酸イオン、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸イオン、塩化物イオン、溶解塩素気体、およびそれらの混合物からなる群から選択されるものであり、且つ、
溶液は15ppmから35ppmの量の次亜塩素酸及び25ppmから50ppmの量の次亜塩素酸ナトリウムを含む
治療剤。
【請求項2】
溶液が少なくとも1年間安定である、請求項1記載の治療剤。
【請求項3】
pHが7.4から7.6である、請求項1〜2のいずれか1項記載の治療剤。
【請求項4】
カソード水が溶液の10体積%から50体積%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の治療剤。
【請求項5】
カソード水が溶液の20体積%から40体積%の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の治療剤。
【請求項6】
溶液が熱傷に溶液をスプレーすることによって患者に投与されるものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の治療剤。
【請求項7】
溶液が高圧力洗浄器具を用いて熱傷に溶液をスプレーすることによって患者に投与されるものである、請求項1〜5のいずれか1項記載の治療剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2006年1月20日に出願された米国仮特許出願第60/760,635号;2006年1月20日に出願された同第60/760,567号;2006年1月20日に出願された同第60/760,645号;2006年1月20日に出願された同第60/760,557号;2005年10月27日に出願された同第60/730,743号;2005年5月2日に出願された同第60/676,883号;2005年3月31日に出願された同第60/667,101号;及び2005年3月23日に出願された同第60/664,361号の利益を主張しており;それらのそれぞれは参照によって全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、酸化還元電位水溶液を投与することによる、熱傷、好ましくは第二度及び第三度熱傷の治療方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
酸化還元電位(ORP)水(超酸化水としても知られる)は、細菌、ウイルス及び胞子を含む微生物を根絶するための無毒性の殺菌剤として様々な場面で使用され得る。例えば、ORP水は、保健医療及び医療器具の分野において、表面及び医療機器を殺菌するために適用され得る。都合が良いことに、ORP水は環境的に安全であり、従って、コストのかかる廃棄手順の必要性を回避する。ORP水は、創傷のケア、医療器具の消毒、食品の消毒、病院、消費者家庭及びバイオテロリズム対策においても適用される。
【0004】
ORP水は有効な殺菌剤であるが、極度に限られた品質保持期限を持っており、通常わずか数時間である。この短い寿命の結果、ORP水の製造は、ORP水が殺菌剤として使用される場所の近くで行われなければならない。これは、病院のような保健医療施設がORP水を製造するために必要な設備を購入し、保管し、維持しなければならないことを意味する。更には、従来の生産技術は、保健医療施設での殺菌剤としての広まった使用を可能にするのに充分な商業規模の量のORP水を製造することができなくなってきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、長期間にわたって安定であるORP水、及びそのようなORP水を使用する方法に対する必要性が存在している。また、商業規模の量のORP水を調製するコスト効率の良い方法に対する必要性も存在している。本発明は、そのようなORP水ならびにそのようなORP水を調製及び使用する方法を提供する。
【0006】
米国特許出願公開2002/0160053 A1に記載されたように、ORP水は患者の組織細胞成長促進物としても使用されてきた。感染症は、特に多抗生物質耐性細菌の発生が伴う創傷ケアにおいて未だ問題である。そのような感染症には、例えば、Acinetobacter baumannii、Staph aureus、Ps. aeruginosa、E. coliなどが含まれる。従って、感染症を予防する熱傷治療における使用のためのORP水を含有する組成物に対する必要性が存在している。これら及びその他の本発明の利点は、更なる発明の特徴とともに、本明細書で提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明は、少なくとも24時間安定である酸化還元電位(ORP)水溶液を投与することによる患者の熱傷を治療する方法を提供する。本発明は、アノード水及びカソード水を含む酸化還元電位水溶液を投与することによる患者の熱傷を治療する方法をも対象としている。一つの実施態様において、本発明の方法で使用されるORP水溶液は1以上の塩素種を含有する。
【0008】
本発明は、更に、障害のある又は損傷した組織を治療する方法を提供し、該方法は、障害のある又は損傷した組織を、少なくとも24時間安定である治療有効量のORP水溶液と接触させることを含む。該方法は、手術によって障害を持った又は損傷した組織、或いは必ずしも手術とは関連しない原因(例、熱傷、切り傷、擦り傷、こすれ、発疹、潰瘍、刺創、感染症など)によって障害を持った又は損傷した組織を治療することを含む。
【0009】
本発明は更に、表面を殺菌する方法を提供し、該方法は、表面を、少なくとも24時間安定である抗感染量のORP水溶液と接触させることを含む。表面は生物のもの又は無生物のものであり得、或いはそのような表面の組み合わせが本発明に従って殺菌され得る。生物表面は、例えば、筋肉組織、骨組織、臓器組織、粘膜組織、及びそれらの組み合わせを含み、本発明に従って殺菌され得る。無生物表面は、例えば、外科的に移植可能な器具、人工装具、及び医療器具を含む。
【0010】
本発明の別の局面は、酸化還元電位水溶液及び増粘剤を含む、少なくとも24時間安定な局所投与のための製剤を含む。
【0011】
本発明はまた、(1)酸化還元電位水溶液及び増粘剤を含む局所投与のための製剤、及び(2)密封容器を備える医薬剤形に関し、ここで該製剤は少なくとも24時間安定である。
【0012】
更に、本発明は、少なくとも約24時間安定な、酸化還元電位溶液及び増粘剤を含む治療有効量の製剤を患者に局所投与することを含む、患者の状態を治療する方法を対象としている。
【0013】
本発明は更に、酸化還元電位水溶液及び増粘剤を含む製剤を創傷に適用することを含む、患者の創傷治癒を促進する方法を提供し、ここで該製剤は、創傷の治癒を促進するのに充分な量で投与され、また該製剤は少なくとも約24時間安定である。
【0014】
本発明は更に、治療有効量の、酸化還元電位水溶液及び増粘剤を含む製剤を患者に局所投与することを含む、患者の状態を予防する方法を提供し、ここで該製剤は少なくとも約24時間安定である。
【0015】
本発明の別の局面は、少なくとも二つの電解セルを含む、酸化還元電位水溶液を製造するための装置を含み、ここで各セルはアノード室、カソード室、及びアノード室とカソード室との間に位置する塩溶液室を含み、アノード室はアノード電極及び第一の膜によって塩溶液室から分離されており、カソード室はカソード電極及び第二の膜によって塩溶液室から分離されている。この装置は塩溶液室に供給される塩溶液のための再循環システムを含んでも良く、塩イオン濃度が制御され維持されるのを可能にする。
【0016】
本発明は更に、酸化還元電位水溶液を製造するための製法を提供し、この方法は、少なくとも二つの電解セルを提供すること(ここで各セルはアノード室、カソード室、及びアノード室とカソード室との間に位置する塩溶液室を含み、アノード室はアノード電極及び第一の膜によって塩溶液室から分離されており、カソード室はカソード電極及び第二の膜によって塩溶液室から分離されている)、アノード室及びカソード室を通る水の流れを与えること、塩溶液室を通る塩溶液の流れを与えること、アノード室及びカソード室を通る水の流れ並びに塩溶液室を通る塩溶液の流れと同時にアノード電極及びカソード電極に電流を与えること、そして電解セルによって製造された酸化還元電位水溶液を回収することを含む。
【0017】
本発明はまた、酸化還元電位水溶液の製造方法に関し、この方法は、少なくとも一つの電解セルを提供すること(ここでセルはアノード室、カソード室、及びアノード室とカソード室との間に位置する塩溶液室を含み、アノード室はアノード電極及び第一の膜によって塩溶液室から分離されており、カソード室はカソード電極及び第二の膜によって塩溶液室から分離されている)、アノード室及びカソード室を通る水の流れを与えること、塩溶液室を通る塩溶液の流れを与えること、アノード室及びカソード室を通る水の流れ並びに塩溶液室を通る塩溶液の流れと同時にアノード電極及びカソード電極に電流を与えること、そして電解セルによって製造された酸化還元電位水を回収すること(ここで溶液はアノード水及びカソード水を含む)を含む。
【発明の効果】
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、患者の状態を予防又は治療する方法を提供し、該方法は治療有効量の酸化還元電位(ORP)水溶液を患者に投与することを含み、ここで溶液は少なくとも24時間安定である。状態としては、例えば、病状、病気、負傷、アレルギーなどが挙げられ、これらは本発明のORP水溶液で治療可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の文脈において、患者(例、動物、特にヒト)に投与される治療有効量は、適当な時間枠にわたって患者において治療的又は予防的な反応をもたらすのに充分でなければならない。投与量は、当該分野で周知の方法を使用して容易に決定され得る。当業者は、任意の特定の患者に対する具体的な投薬量レベルは様々な因子に依存することを認識するであろう。例えば、投与量は、使われる特定のORP水溶液の強度、状態の重篤度、患者の体重、患者の年齢、患者の肉体的及び精神的状態、全般的な健康、性別、食事などに基づいて決定され得る。投与量の規模はまた、特定のORP水溶液の投与に付随し得るあらゆる副作用の存在、性質、及び程度に基づいて決定され得る。可能であれば常に、副作用を最小に維持することが望ましい。
【0020】
具体的な投薬量のために考慮され得る因子としては、例えば、生物学的利用能、代謝プロファイル、投与時間、投与経路、排出率、特定の患者における特定のORP水溶液と関連する薬力学などが含まれ得る。他の因子としては、例えば、治療される特定の状態に関するORP水溶液の効力又は有効性、治療過程前又は治療過程中に現れる症状の重篤度などが含まれ得る。場合によっては、治療有効量を構成するものは、部分的に、1種以上のアッセイ(例、特定の状態の治療又は予防のための特定のORP水溶液の有効性を、合理的に、臨床的に予測するバイオアッセイ)の使用によっても決定され得る。
【0021】
本発明のORP水溶液は、患者(例、ヒト)に対して、例えば既存の状態を治療するために、単独で、又は1種以上のほかの治療剤との組み合わせで、治療的に投与され得る。本発明のORP水溶液はまた、状態と関連する1種以上の原因因子に曝露された患者(例、ヒト)に対して、単独で、又は1種以上のほかの治療剤との組み合わせで、予防的に投与され得る。例えば、本発明のORP水溶液は、1種以上の感染症原因微生物(例、ウイルス、細菌及び/又は真菌)に曝露された患者に対して好適に投与され得、患者における感染症の可能性を予防的に阻害又は低減し、或いはそのような曝露の結果として発症する感染症の重篤性を低減する。
【0022】
当業者は、本発明のORP水溶液を投与する好適な方法が利用可能であり、そして、一つより多い投与経路が使用され得るが、特定の経路が他の経路よりもより即時的でより効果的な反応を提供し得ることを理解するであろう。治療有効量は、個々の患者においてORP水溶液の「有効レベル」を達成するために必要な投与量であり得る。治療有効量は、例えば、患者における状態を予防又は治療するために、本発明のORP水の血中レベル、組織内レベル、及び/又は細胞内レベルを達成するために個々の患者に投与される必要がある量として定義され得る。
【0023】
投薬の好ましいエンドポイントとして有効レベルが使用される場合、実際の投与量及び投与計画は、例えば、薬物動態、分布、代謝などにおける個体差によって変化し得る。有効レベルはまた、本発明のORP水溶液が本発明のORP水溶液以外の1種以上の治療剤(例、1種以上の抗感染剤、1種以上の「緩和剤」、「調節剤」又は「中和剤」(例、米国特許第5,334,383号及び同第5,622,848号で記載されたようなもの)、1種以上の抗炎症剤など)との組み合わせで使用される場合、変化し得る。
【0024】
適当な指標が、有効レベルを決定し、及び/又はモニターするために使用され得る。例えば、有効レベルは、適当な患者サンプル(例、血液及び/又は組織)の直接的な分析(例、分析化学)又は間接的な分析(例、臨床化学的指標を用いる)によって決定され得る。有効レベルはまた、例えば、尿代謝産物の濃度、状態と関連するマーカー(例、ウイルス感染の場合のウイルスの数)の変化、状態と関連する症状の低減などのような直接的又は間接的な観察によっても決定され得る。
【0025】
本発明のORP水は、当該分野で公知の任意の好適な投与方法を使用して投与され得る。本発明のORP水は、当該分野で知られる、1種以上の医薬的に許容される担体、ビヒクル、アジュバント、賦形剤、又は希釈剤との組み合わせで投与され得る。当業者は、本発明に従ったORP水の投与のための適当な製剤及び投与方法を容易に決定出来る。投与量におけるいかなる必要な調整も当業者によって容易になされ得、例えば、副作用、患者の全体的な状態の変化などのような他の因子を考慮して、治療されている状態の性質又は重篤度に対処する。
【0026】
本発明のORP溶液は、スチーム又はスプレーとして上気道に投与され得る。更に、本発明のORP水溶液は、エアロゾル化、ネブライゼーション、又はアトマイゼーションによって投与され得る。本発明のORP水溶液が、エアロゾル化、ネブライゼーション、又はアトマイゼーションによって投与される場合、約1ミクロンから約10ミクロンの範囲の直径を持つ液滴の形態で好適に投与される。
【0027】
エアロゾル化、ネブライゼーション、及びアトマイゼーションに有用な方法及び器具は、当該分野で周知である。例えば、医療用ネブライザーが、定投与量の生理学的に活性な液体を、レシピエントによる吸入のために吸気気流へ送達するために使用されてきた。例えば米国特許第6,598,602号を参照されたい。医療用ネブライザーは、吸気気体と共にエアロゾルを形成する液滴を生み出すように機能し得る。別の状況において、医療用ネブライザーは、水滴を吸気気流に注入するために使用されて、レシピエントに好適な水分含有量の気体を提供し得るが、これは、吸気気流がレスピレータ、ベンチレータ、又は麻酔送達システムのような機械的呼吸補助によって提供される場合に特に有用である。
【0028】
例示的なネブライザーは、例えば、WO95/01137に記載されており、これは、医療用液体の液滴を、マウスピースを通じてレシピエントの吸入によって生み出される通過気流(吸気気流)中に排出するように機能する、携帯用の器具を記載している。別の例は、米国特許第5,388,571号に見られ得、これは、呼吸不全の患者に呼吸の制御及び増強を提供し、液剤粒子を患者の気道及び肺胞に送達するネブライザーを含む、陽圧ベンチレータシステムを記載している。米国特許第5,312,281号は超音波ネブライザーを記載しており、これは、水又は液体を低温で霧化し、霧のサイズを調整することが出来ると報告されている。更に、米国特許第5,287,847号は、医薬のエアロゾルを新生児、子供、及び成人に送達するための、測量可能な流速及び排出体積を有する気体ネブライジング装置を記載している。更には、米国特許第5,063,922号は超音波アトマイザーを記載している。
【0029】
本発明の方法はまた、本発明のORP水溶液で治療可能な感染症の予防又は治療のために使用され得る。該感染症は、例えば、感染性微生物のような1以上の感染性病原体によって引き起こされうる。このような微生物には、例えば、ウイルス、細菌、及び真菌が含まれ得る。ウイルスには、例えば、アデノウイルス、HIV、ライノウイルス、及びインフルエンザ・ウイルスからなる群から選択される1以上のウイルスが含まれ得る。細菌には、例えば、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、及びMycobaterium tuberculosisからなる群から選択される1以上の細菌が含まれ得る。真菌には、例えば、Candida albicans、Bacillus subtilis、及びBacillus athrophaeusからなる群から選択される1以上の真菌が含まれ得る。本発明の方法はまた、炎症状態又はアレルギー反応の予防又は治療にも使用され得、これらは本発明のORP水溶液で治療可能である。
【0030】
更に、本発明に従って使用されるORP水溶液での治療によって制御され、減少され、殺され、又は根絶され得る生物には、例えば、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Acinetobacterスピーシズ、Bacteroides fragilis、Enterobacter aerogenes、Enterococcus faecalis、バンコマイシン耐性Enterococcus faecium(VRE,MDR)、Haemophilus influenzae、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Micrococcus luteus、Proteus mirabilis、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus saprophyticus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Salmonella choleraesuis、Shigella dysenteriae、及び他の感受性細菌、並びに酵母(例、Trichophyton mentagrophytes、Candida albicans、及びCandida tropicalis)が含まれる。ORP水溶液はまた、例えば、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ライノウイルス、インフルエンザ(例、A型インフルエンザ)、肝炎(例、A型肝炎)、コロナウイルス(例えば重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因となる)、ロタウイルス、鳥インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、単純疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、風疹ウイルス、及び他の感受性ウイルスを含むウイルスを制御し、減少し、殺し、又は根絶するために、本発明に従って使用され得る。
【0031】
別の実施態様において、本発明の方法は、本発明のORP水溶液を非経口的に投与することを含む。非経口投与は、本発明のORP水溶液を、静脈内、皮下、筋肉内、又は腹腔内に投与することを含み得る。好ましい実施態様において、本発明のORP水溶液は静脈内に投与されて、本発明の方法に従って、状態を予防又は治療する。好適な状態には、例えば、ウイルス性心筋炎、多発性硬化症、及びAIDSが含まれ得る。ORP水溶液の静脈内投与を通じてウイルス性心筋炎、多発性硬化症、及びAIDSを治療する方法を記載している米国特許第5,334,383号及び同第5,622,848号を参照されたい。
【0032】
本発明は更に、障害のある又は損傷した組織を治療する方法を提供し、該方法は、障害のある又は損傷した組織を、治療有効量の本発明のORP水溶液と接触させることを含む。任意の好適な方法が、障害のある又は損傷した組織を接触させるために使用され得、本発明に従って障害のある又は損傷した組織を治療する。例えば、障害のある又は損傷した組織は、該組織を本発明のORP水溶液で洗浄して、障害のある又は損傷した組織をORP水と接触させることにより、本発明に従って治療され得る。或いは(そして更には)、本発明のORP水溶液は、スチーム又はスプレーとして、或いはエアロゾル化、ネブライゼーション、又はアトマイゼーションによって、本明細書で記載する通りに、投与され得、障害のある又は損傷した組織をORP水と接触させる。
【0033】
本発明の方法は、例えば手術によって障害を持った又は損傷した組織の治療において使用され得る。例えば、本発明の方法は、切開によって障害を持った又は損傷した組織を治療するために使用され得る。更に、本発明の方法は、口腔外科手術、グラフト手術、インプラント手術、トランスプラント手術、焼灼、切断、放射線照射、化学療法、およびそれらの組み合わせによって障害を持った又は損傷した組織の治療のために使用され得る。口腔外科手術は、例えば、例として根管手術、抜歯、歯肉手術などのような歯科外科手術を含み得る。
【0034】
本発明の方法はまた、必ずしも手術によって引き起こされたものではない、1種以上の熱傷、切り傷、擦り傷、こすれ、発疹、潰瘍、刺創、及びそれらの組み合わせなどにより障害を持った又は損傷した組織を治療することも含む。本発明の方法はまた、感染した、障害のある又は損傷した組織、或いは感染症によって障害を持った又は損傷した組織を治療するためにも使用され得る。このような感染症は、例えば、本明細書で記載したような、ウイルス、細菌、及び真菌からなる群から選択される1種以上の微生物のような1種以上の感染性病原体によって引き起こされ得る。
【0035】
本発明は更に、表面を殺菌する方法を提供し、該方法は、表面を、抗感染量の本発明のORP水溶液と接触させることを含む。本発明の方法に従って、表面は、任意の好適な方法を使用して接触され得る。例えば、表面は、表面を本発明のORP水溶液で洗浄することにより接触され、本発明に従って表面を殺菌し得る。更に、表面は、本発明のORP水溶液を、本明細書に記載したようにスチーム又はスプレーとして、或いはエアロゾル化、ネブライゼーション、又はアトマイゼーションによって、表面に塗布することによって接触され、本発明に従って表面が殺菌され得る。更には、本発明のORP水溶液は、本明細書に記載するようなクリーニングワイプで表面に塗布され得る。本発明に従って表面を殺菌することにより、表面から感染性微生物がクレンジングされ得る。或いは(又は更に)、本発明のORP水溶液は、感染症に対する障壁を提供して、それにより本発明に従って表面を殺菌し得るように表面に塗布される。
【0036】
本発明の方法は、生物の、無生物の、又はそれらの組み合わせである表面を殺菌するために使用され得る。生物表面には、例えば、例として口腔、洞腔、頭蓋腔、腹腔、及び胸腔のような1種以上の体腔内の組織が含まれ得る。口腔内の組織には、例えば、口組織、歯肉組織、舌組織、及び咽喉組織を含む。生物組織には、筋肉組織、骨組織、臓器組織、粘膜組織、及びそれらの組み合わせも含まれ得る。無生物表面には、例えば、外科的に移植可能な器具、人工装具、及び医療器具が含まれる。本発明の方法に従って、手術中に露出され得る内部器官、内臓、筋肉などの表面は殺菌されて、例えば、手術環境の無菌性を維持し得る。
【0037】
本発明はまた、増強した効力及び安定性を与えるために調製される、酸化還元電位(ORP)水溶液及び増粘剤を含む局所投与のための製剤を提供する。
【0038】
本発明の製剤に存在している水の量は、通常、製剤の重量に基づいて、約10重量%から約95重量%である。好ましくは、存在している水の量は、約50重量%から約90重量%である。
【0039】
本発明の製剤は、好ましくは、アノード水及びカソード水を含むORP水溶液を含む。アノード水は、本発明で使用される電解セルのアノード室で製造される。カソード水は、電解セルのカソード室で製造される。
【0040】
本発明に従う局所投与のための製剤は更に、増粘剤を含む。任意の好適な増粘剤が使用されて、通常ORP水溶液単独よりも大きい所望の粘度を有する製剤を提供し得る。利用される増粘剤は、ORP水溶液及び製剤中の他の任意の成分と適合する。好適な増粘剤には、これらに限定されないが、ポリマー及びヒドロキシエチルセルロースが含まれる。好適なポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得、また任意で架橋されている。他の好適な増粘剤は、当該分野で一般に知られている(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives,第2版,Ashe他編(2002)、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,第4版,Rowe他編(2003)を参照)。
【0041】
好ましい増粘剤はアクリル酸ベースのポリマーである。より好ましくは、増粘剤は、高分子量の、架橋された、アクリル酸ベースのポリマーである。これらのポリマーは下記の一般構造:
【0042】
【化1】
【0043】
を有する。
【0044】
そのようなポリマーは、ノベオン社によりCarbopol(登録商標)という商標名で販売されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、通常、様々なパーソナルケア製品、医薬品、及び家庭用クリーナーにおいて、増粘剤、懸濁化剤、及び安定剤として使用されるレオロジー調節剤として供給されている。Carbopol(登録商標)ポリマーは、固体(例、粉末)又は液体のいずれかの形態で使用され得る。
【0045】
本発明での使用に好適なアクリル酸ベースのポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであり得る。好適なホモポリマーは、好ましくはアリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで、架橋され得る。好適なアクリル酸のコポリマーは、長鎖(C10〜C30)アルキルアクリレートによって修飾され、また、好ましくはアリルペンタエリスリトールで、架橋され得る。
【0046】
Carbopol(登録商標)ポリマーは、最大の粘度を達成するために中和される。供給時、Carbopol(登録商標)ポリマーは、水素結合によってコイル構造で保持された、乾燥した、きついコイル状の酸性分子である。いったん水又は別の溶媒中に分散すると、Carbopol(登録商標)ポリマーは、水和して部分的にコイルを解き始める。Carbopol(登録商標)ポリマーから最大の増粘性を達成する最も一般的な方法は、酸性ポリマーを塩に変換することによる。これは水酸化ナトリウム(NaOH)又はトリエタノールアミン(TEA)のような一般的な塩基で中和することにより、容易に達成される。この中和は、長鎖ポリマーの「コイルを解き」、分子を効果的な増粘形態に膨潤させる。
【0047】
好適な増粘剤は、製剤にとって所望の粘度、並びに外観、せん断抵抗性、イオン抵抗性、及び熱安定性のような他の特徴をもたらす。例えば、Carbopol(登録商標)934は、3000センチポアズ(cps)より大きい粘度の(透明ゲルではなく)懸濁液又は乳濁液のいずれかの製剤にとって好ましい。Carbopol(登録商標)974Pは、代わりに、その利点である生体接着性のために使用され得る。
【0048】
任意の好適な量の増粘剤が本発明の製剤中に存在して、該製剤の所望の粘度をもたらす。通常、増粘剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%から約50重量%である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1重量%から約10重量%である。
【0049】
別の表現では、ORP水溶液の体積に基づく増粘剤の量は、通常約0.1%重量/体積(mg/mL)から約50%重量/体積(mg/mL)である。好ましくは、増粘剤の量は、約0.1% w/vから約10% w/vである。
【0050】
増粘剤の量は通常、ORP水溶液250mLあたり約0.1gから約50mgである。好ましくは、存在する増粘剤の量は、ORP水溶液250mLあたり約1mgから約20mgであり、より好ましくは約3mgから約15mgである。
【0051】
アクリル酸ベースのポリマーが低濃度で使用される場合、製剤は滑るような感覚で容易に流れる。高濃度では、本発明の製剤は、高い粘度を持ち、偽塑性であって流れにくい。せん断力がミキサー又はポンプによって適用される場合、見かけ上の粘度は減少して、製剤は膨張し得る。
【0052】
本発明の製剤は、任意で中和剤を含み得る。任意の好適な中和剤が使用されて、製剤の所望のpHをもたらし得る。好適な中和剤には、例えば、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、アンモニア、水酸化カリウム、L−アルギニン、AMP−95、ニュートロールTE(Neutrol TE)、トリスアミノ(Tris Amino)、エソミン(Ethomeen)、ジ−イソプロパノールアミン、及びトリ−イソプロパノールアミンが含まれ得る。他の中和剤は、当該分野で一般に知られている(例えば、Handbook of Cosmetic and Personal Care Additives,第2版,Ashe他編(2002)、及びHandbook of Pharmaceutical Excipients,第4版,Rowe他編(2003)を参照)。好適な中和剤は、液体又は固体の形態のいずれであっても良い。
【0053】
増粘剤がCarbopol(登録商標)のようなアクリル酸ベースのポリマーであるとき、好ましくは中和剤トリエタノールアミンが使用される。中和剤は、製剤をゲルに変換する。
【0054】
任意の好適な量の中和剤が本発明の製剤に含まれ得る。通常、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%から約50重量%である。好ましくは、中和剤の量は、製剤の重量に基づいて、約0.1重量%から約10重量%である。体積に基づくと、中和剤の量は、ORP水溶液の体積に基づいて、約1体積%から約50体積%の量で存在する。
【0055】
液体形態で添加される場合、中和剤は、ORP水溶液250mLあたり約1mLから約100mLの量で添加され得る。好ましくは、中和剤の量は、ORP水溶液250mLあたり約10mLから約90mgである。更に、固体形態の場合、中和剤は、これらの液体の量に相当する固体の量で添加され得る。
【0056】
製剤は着色料、香料、緩衝液、生理学的に許容される担体及び/又は賦形剤などのような更なる成分を更に含有しても良い。好適な着色料の例には、これらに限定されないが、二酸化チタン、酸化鉄、カルバゾールバイオレット、酸化クロム−コバルト−アルミニウム、4−ビス[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−9,10−アントラセンジオンビス(2−プロペン酸)エステルコポリマーなどが含まれる。任意の好適な香料が使用され得る。
【0057】
本発明の製剤は、任意の好適な手段によって調製され得る。ORP水溶液及び増粘剤のような製剤の成分は、任意の形式で共に混合されて均質な混合物をもたらし得る。好ましくは、これらの成分は電動混合又は他の好適な器具を用いて数分間共に混合されて、均一性を確実にする。製剤の成分は、通常約400rpmから約1000rpm、好ましくは約500rpmから約800rpm、より好ましくは約500rpmから約600rpmで混合される。
【0058】
製剤は、均質な混合物をもたらすのに充分な時間混合されるが、通常は全ての成分を合わせてから約1分から約10分である。
【0059】
増粘剤が粉末(power)形態の場合、まず篩過されて大きな塊を粉砕し、均質な製剤の調製を可能にし得る。
【0060】
トリエタノールアミンのような中和剤は、ORP水溶液及び増粘剤を含有する製剤に引き続き添加され得る。上記のように、トリエタノールアミンの添加は、Carbopol(登録商標)のような増粘剤がコイルを解いて所望の粘度を有する製剤をもたらすのを可能にし得る。
【0061】
着色料又は香料はまた、Carbopol(登録商標)のような増粘剤がORP水に溶解される前又は後のいずれかであるが、中和工程の前に、混合物に添加され得る。
【0062】
本発明の製剤の物理的性質は、典型的には、製剤中に存在するORP水溶液のそれと同じである。ORP水溶液の性質は、増粘剤及び任意の中和剤の添加後でさえ、残ったままである。例えば、ORP水溶液自体及びORP水溶液を含有する製剤の安定性及びpHは、通常同じである。従って、本明細書に記載するORP水溶液の全ての特徴は、本発明の製剤に当てはまる。
【0063】
例えば、本発明の製剤は、通常、少なくとも20時間、典型的には少なくとも2日間、安定である。より典型的には、製剤は、少なくとも約1週間(例、1週間、2週間、3週間、4週間など)、好ましくは少なくとも約2ヶ月安定である。より好ましくは、製剤は、調製後少なくとも6ヶ月安定である。さらにより好ましくは、製剤は、少なくとも1年間、最も好ましくは少なくとも3年間安定である。
【0064】
製剤のpHは通常、約6から約8である。好ましくは、製剤のpHは約6.2から約7.8であり、より好ましくは約7.4から約7.6である。
【0065】
本発明の製剤は、患者に局所投与するために好適な任意の形態で使用され得る。好適な形態には、これらに限定されないが、ゲル、ローション、クリーム、ペースト、軟膏などが含まれ、これらの形態は当該分野で公知である(例えば、Modern Pharmaceutics,第3版,Banker他編(1996)を参照)。ゲルは典型的に、3次元構造を有する半固体の乳濁物又は懸濁物である。好ましくは、製剤はゲル形態である。
【0066】
ペーストは通常、水性又は脂性ビヒクル中に分散した大部分の固体(例、約20%から約50%)を大抵含有する半固体の懸濁物である。ローションは典型的に、水ベースのビヒクル及び揮発物(50%より多い)を含有する液体乳濁物であり、注ぐのに十分低い粘度(30,000cps未満)を有する。軟膏及びクリームは通常、他の揮発性成分とともに担体の一部として炭化水素又はポリエチレングリコールを含有し得る半固体の乳濁物又は懸濁物である。
【0067】
本発明の製剤がゲルの形態である場合、ゲルの粘度は、およそ室温(例、約25℃)において、約10,000から約100,000センチポアズ(cps)の範囲(例、約15,000cps、約20,000cps、約25,000cps、約30,000cps、約35,000cps、約40,000cps、約45,000cps、約50,000cps、約55,000cps、約60,000cps、約65,000cps、約70,000cps、約75,000cps、約80,000cps、約85,000cps、約90,000cps、約95,000cps、又はそれらの範囲)内である。
【0068】
ゲルのpHは典型的に、約6.0から約8.0である。このpHを超えると、Carbopol(登録商標)ポリマーのような増粘剤の粘度は低下して、満足のいかない局所製剤の原因となり得る。好ましくは、ゲルのpHは約6.4から約7.8であり、より好ましくは約7.4から約7.6である。
【0069】
本発明の製剤は、様々な状態を治療するために、ヒト及び/又は動物を含む患者への局所投与に好適である。具体的には、製剤は、動物(例、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、トリ)及びヒトに適用され得る。局所投与は、皮膚への適用、並びに経口、鼻腔内、気管支内、及び直腸の投与経路を含む。
【0070】
別の実施態様において、本発明は、ORP水溶液及び増粘剤を含む製剤を局所的に投与することによる患者の状態を治療する方法を対象としている。
【0071】
本発明に従って治療され得る患者の状態には、例えば、手術/開放創傷クレンジング剤;皮膚病原体の殺菌(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオンに対して);創傷の殺菌(例、戦闘の創傷);創傷治癒の促進;熱傷治癒の促進;皮膚真菌の治療;乾癬;水虫;耳の感染症(例、外耳炎);外傷性創傷;急性、亜慢性及び慢性の感染症(例、後者の例である糖尿病性足感染症)、褥瘡、皮膚剥削術、清拭された創傷、レーザー・リサーフェシング、ドナー部位/移植片、滲出性の部分層創傷及び全層創傷、表層の負傷(裂傷、切り傷、擦り傷、軽い皮膚過敏)、及びヒト又は動物の身体の上又は身体中の他の医療用途が含まれる。本発明に従って治療される潰瘍には、膿瘍又は壊死組織が存在していても良く、していなくても良い。
【0072】
更に、本発明は、酸化還元電位水溶液及び増粘剤を含む製剤を創傷に適用することにより患者の創傷治癒を促進する方法を対象としている。治療される創傷は、任意の手術、潰瘍、又は他の手段によって引き起こされうる。治療され得る潰瘍には、例えば、糖尿病性足潰瘍が含まれる。
【0073】
本発明は更に、ORP水溶液及び増粘剤を含む製剤を局所的に投与することによって患者の状態を予防する方法に関する。例えば、製剤(例えば、ゲル形態)は、開放創傷上の障壁として使用されて感染症を予防し得る。具体的には、製剤(例えば、ゲル形態)は、神経系合併症及び血管合併症に罹患しやすい糖尿病患者における足潰瘍のような創傷の表面に塗布され得る。これらの創傷は糖尿病患者にとって感染症の主要な入り口であるため、そのように塗布される製剤は、感染症に対する障壁を提供し得る。
【0074】
製剤は、患者における、例えば感染症を含む性病を予防するために使用され得る。予防され得るこのような感染症には、疱疹、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及び膣感染症が含まれる。製剤がゲル形態である場合、殺精子剤として使用され得る。
【0075】
本発明の製剤は、治療有効量で使用又は塗布されて、細菌、ウイルス、及び/又は病原菌に対する所望の治療効果を提供し得る。本明細書で使用される場合、治療有効量とは、治療中又は予防される状態の改善をもたらす製剤の量を意味する。例えば、感染症を治療するために使用される場合、治療有効量の製剤は、感染症の程度を減少させる及び/又は更なる感染症を予防する。当業者に理解されるように、製剤を投与することに由来する本発明の製剤の効力は、短期間(例、数日)及び/又は長期間(例、数ヶ月)であり得る。
【0076】
製剤は、患者への所望の効果が観察されるまで、充分な時間(例、1日、2日、数日、約1週間、又は数週間)にわたって更に塗布され得る。
【0077】
製剤は任意の好適な形式で塗布され得る。例えば、一定量の製剤が治療される患者の表面に塗布されて、それから患者自身の指を使用してむらなく広げられ得る。或いは、保健医療提供者が製剤を患者の組織に塗布し得る。好適な手段(例えば、使い捨てワイプ又は布)が製剤を塗布するために使用され得る。
【0078】
本発明のORP水は、電解反応又は酸化還元反応と呼ばれ得る酸化還元法によって製造され、そこでは電気エネルギーが水溶液中で化学変化を引き起こすために使用される。電気エネルギーは、電流形態での一点から別の点への電荷の伝導によって、水中に導入され、水を通じて運搬される。電流が生じて存続するためには、水中に電荷担体が存在しなければならず、また、担体を動かす力が存在しなければならない。金属及び半導体の場合のように、電荷担体は電子であり得、又は、溶液の場合は陽イオン及び陰イオンであり得る。
【0079】
本発明に従うORP水溶液を調製する方法において、還元反応がカソードで起こり、酸化反応がアノードで起こる。起こる具体的な還元及び酸化反応は、国際出願WO03/048421 A1に記載されている。
【0080】
本明細書で使用される場合、アノードで製造される水をアノード水といい、カソードで製造される水をカソード水という。アノード水は電解反応で製造される酸化種を含有し、カソード水は該反応からの還元種を含有する。
【0081】
アノード水は通常、典型的には約1から約6.8の低pHを有する。アノード水は通常、例えば塩素気体、塩化物イオン、塩酸、及び/又は次亜塩素酸を含む様々な形態の塩素を含有する。例えば酸素気体、過酸化物、及び/又はオゾンを任意で含む様々な形態の酸もまた存在し得る。カソード水は通常、典型的には約7.2から11の高pHを有する。カソード水は通常、水素気体、ヒドロキシルラジカル、及び/又はナトリウムイオンを含有する。
【0082】
本発明のORP水溶液は、酸性であっても、中性であっても、塩基性であっても良く、通常、約1から約14のpHを有する。このpHでは、ORP水溶液は、ORP水溶液と接触する表面又は傷害対象(例、ヒトの皮膚)を損傷することなく、硬い表面へ好適な量で安全に塗布され得る。典型的には、ORP水溶液のpHは約3から約8である。より好ましくは、ORP水溶液のpHは、約6.4から約7.8であり、最も好ましくは、pHは約7.4から約7.6である。
【0083】
本発明のORP水溶液は、通常、約−1000ミリボルト(mV)から約+1350ミリボルト(mV)の酸化還元電位を有する。この電位は、金属電極によって感知されて同溶液中の参照電極と比較される、溶液が電子を受容又は受け渡すいずれかの傾向(即ち、可能性)の尺度である。この電位は、例えば、標準参照銀/塩化銀電極に対するORP水溶液のミリボルト単位での電位を測定することを含む、標準的な技術によって測定され得る。ORP水は、通常、約−400mVから約+1300mV又は約+1150mVの電位を有する。好ましくは、ORP水溶液は、約0mVから約+1250mVの電位を有し、より好ましくは、約+500mVから約+1250mVの電位を有する。更により好ましくは、本発明のORP水は、約+800mVから約+1100mVの電位を有し、最も好ましくは、約+800mVから約+1000mVの電位を有する。
【0084】
様々なイオン種及び他の種が、本発明のORP水溶液中に存在し得る。例えば、ORP水溶液は、塩素(例、遊離塩素及び結合塩素)、及び任意でオゾン及び過酸化物(例、過酸化水素)を含有し得る。1種以上のこれらの種の存在は、細菌及び真菌、並びにウイルスのような様々な微生物を殺すORP水溶液の殺菌能に寄与すると考えられている。
【0085】
遊離塩素には、典型的に、これらに限定されないが、次亜塩素酸(HClO)、次亜塩素酸イオン(ClO)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、塩化物イオン(Cl)、亜塩素酸イオン(ClO)溶解塩素気体(Cl)、及び他のラジカル塩素種が含まれる。次亜塩素酸の次亜塩素酸イオンに対する割合は、pHに依存する。pH7.4では、次亜塩素酸レベルは、約25ppmから約75ppmである。温度もまた遊離塩素成分の割合に影響を与える。
【0086】
結合塩素は、アンモニア又は有機アミン(例、クロラミン)と化学結合した塩素である。結合塩素は、通常、約20ppmまでの量で存在する。
【0087】
塩素、並びに任意でオゾン及び過酸化水素が、任意の好適な量で、本発明のORP水溶液中に存在し得る。これらの成分のレベルは、当該分野で公知の方法によって測定され得る。
【0088】
典型的に、遊離塩素及び結合塩素の両方を含む、総塩素含有量は、約50パーツ・パー・ミリオン(ppm)から約200ppmである。好ましくは、総塩素含有量は、約80ppmから約150ppmである。
【0089】
塩素含有量は、DPD比色法(Lamotte社、チェスタータウン、メリーランド州)、又はEnvironmental Protection Agencyによって確立された他の公知の方法のような、当該分野で公知の方法によって測定され得る。DPD比色法においては、遊離塩素のN,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン(DPD)との反応によって黄色が形成され、その強度が、パーツ・パー・ミリオンでの出力を与える目盛り付きの熱量計で測定される。ヨウ化カリウムの更なる添加により、溶液がピンク色に転じ、総塩素値が得られる。次いで存在する結合塩素の量は、総塩素から遊離塩素を引くことによって決定される。
【0090】
オゾンは、約0.03ppmから約0.2ppmの量、好ましくは約0.10ppmから約0.16ppmの量で、任意で存在する。
【0091】
過酸化水素は、約0.01ppmから約200ppm、好ましくは0.05ppmから約100ppmの範囲のレベルで、ORP水溶液中に任意で存在する。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmから約40ppm、最も好ましくは約1ppmから約4ppmの量で存在する。過酸化物は、0.12ミリモル濃度(mM)未満の濃度で任意に存在する(例、H、H、及びHO)。
【0092】
ORP水溶液中に存在する酸化化学種の総量は、約2ミリモル濃度(mM)の範囲内であり、前記の塩素種、酸素種、並びにCl、ClO、Cl、及びClOのような測定が難しい可能性がある更なる種が含まれる。存在する酸化化学種のレベルはまた、ESR分光法(スピントラップ分子としてTempone Hを使用する)によっても測定され得る。
【0093】
本発明のORP水溶液は、通常、少なくとも約24時間、典型的には少なくとも約2日間、安定である。より典型的には、この水溶液は、少なくとも約1週間(例、1週間、2週間、3週間、4週間など)、好ましくは少なくとも約2ヶ月間安定である。より好ましくは、ORP水溶液は、その調製後少なくとも約6ヶ月間安定である。更により好ましくは、ORP水溶液は、少なくとも約1年間、最も好ましくは少なくとも約3年間安定である。
【0094】
本明細書で使用される場合、安定という用語は、調製後、通常の保存条件(即ち、室温)で、特定の時間の間、ORP水溶液がその意図される使用(例、汚染除去、殺菌、消毒、抗菌クレンジング、及び創傷クレンジング)に好適なままでいる能力を通常意味する。
【0095】
本発明のORP水溶液はまた、加速条件(典型的には、約30℃から約60℃)で保存された場合、少なくとも約90日間、好ましくは約180日間安定である。
【0096】
イオン種又は他の種が溶液中に存在する濃度は、通常、ORP水溶液の品質保持期限の間、維持される。典型的には、遊離塩素、並びに任意でオゾン及び過酸化水素の濃度は、ORP水溶液の調製後少なくとも約2ヶ月間、初期濃度の約70%以上に維持される。好ましくは、それらの濃度は、ORP水溶液の調製後少なくとも約2ヶ月間、初期濃度の約80%以上に維持される。より好ましくは、それらの濃度は、ORP水溶液の調製後少なくとも約2ヶ月間、初期濃度の約90%以上に、最も好ましくは、初期濃度の約95%以上である。
【0097】
本発明のORP水溶液の安定性は、ORP水溶液への曝露後にサンプル中に存在する生物の量の減少に基づいて決定され得る。生物濃度の減少の測定は、細菌、真菌、酵母、又はウイルスを含む任意の好適な生物を用いて実行され得る。好適な生物には、これらに限定されないが、Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Candida albicans、及びBacillus athrophaeus(かつてのB. subtilis)が含まれる。ORP水溶液は、生きた微生物の濃度を約4log(10)減少させることが出来る低レベル殺菌剤、及び生きた微生物の濃度を約6log(10)減少させることが出来る高レベル殺菌剤の両方として有用である。
【0098】
本発明の一つの側面において、ORP水溶液は、溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、1分間の曝露後の総生物濃度において、少なくとも約4log(10)の減少をもたらすことが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、溶液の調製の少なくとも6ヶ月後の測定で、生物濃度のそのような減少が可能である。より好ましくは、ORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも約1年後の測定で、そして最も好ましくは、ORP水溶液の調製の少なくとも約3年後の測定で、生物濃度のそのような減少が可能である。
【0099】
本発明の別の側面において、ORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus及びCandida albicansからなる群から選択される生きた微生物のサンプルの濃度を、1分間以内の曝露で、少なくとも約6log(10)減少させることが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも1年後の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus及びCandida albicans生物のこの減少を達成することが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、1分間以内の曝露で、そのような生きた微生物の濃度を少なくとも約7log(10)減少させることが可能である。
【0100】
本発明のORP水溶液は、通常、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus及びCandida albicansを含むが、これらに限定されない、生きた微生物サンプルを、1分間以内の曝露で、約1×10から約1×10生物/mlの初期濃度から、約0生物/mlの最終濃度へ減少させることが可能である。これは、生物濃度の約6log(10)から約8log(10)の間の減少である。好ましくは、ORP水溶液は、調製後少なくとも6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも1年後の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus又はCandida albicans生物のこの減少を達成することが可能である。
【0101】
或いは、ORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、Bacillus athrophaeus胞子の胞子懸濁液の濃度を、約5分間以内の曝露で、約6log(10)減少させることが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、Bacillus athrophaeus胞子の濃度のこの減少を達成することが可能である。
【0102】
ORP水溶液は更に、Bacillus athrophaeus胞子の胞子懸濁液の濃度を、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、約30秒以内の曝露で、約4log(10)減少させることが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、Bacillus athrophaeus胞子の濃度のこの減少を達成することが可能である。
【0103】
ORP水溶液はまた、Aspergillis niger胞子のような真菌胞子の濃度を、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、約5分から約10分間以内の曝露で、約6log(10)減少させることが可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、真菌胞子の濃度におけるこの減少を達成することが可能である。
【0104】
一つの実施態様において、本発明のORP水溶液は、過酸化水素(H)及び1種以上の塩素種を任意で含む。好ましくは、存在する塩素種は、遊離塩素種である。遊離塩素種は、次亜塩素酸(HOCl)、次亜塩素酸イオン(OCl)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、亜塩素酸イオン(ClO)、塩化物イオン(Cl)、溶解した塩素気体(Cl)、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0105】
過酸化水素は、通常約0.01ppmから約200ppm、好ましくは約0.05ppmから約100ppmの範囲で、ORP水溶液中に任意で存在する。より好ましくは、過酸化水素は、約0.1ppmから約40ppm、より好ましくは約1ppmから約4ppmの量で存在する。
【0106】
遊離塩素種の総量は、通常約10ppmから約400ppm、好ましくは約50ppmから約200ppm、最も好ましくは約50ppmから約80ppmである。次亜塩素酸の量は、通常、約15ppmから約35ppmである。次亜塩素酸ナトリウムの量は、通常、約25ppmから約50ppmの範囲内である。二酸化塩素のレベルは、通常、約5ppm未満である。
【0107】
通常、ORP水溶液は、少なくとも約1週間安定である。好ましくは、ORP水溶液は、少なくとも約2ヶ月間安定であり、より好ましくは、ORP水溶液は、調製後少なくとも約6ヶ月間安定である。更により好ましくは、ORP水溶液は、少なくとも約1年間安定であり、最も好ましくは少なくとも約3年間安定である。
【0108】
この実施態様におけるORP水溶液のpHは、通常、約6から約8である。好ましくは、ORP水溶液のpHは、約6.2から約7.8であり、より好ましくは、約7.4から約7.6である。
【0109】
本発明を決して限定するものではないが、pHの制御は、一例として次亜塩素酸及び次亜塩素酸イオンのような塩素種が共存する安定なORP水溶液を可能にすると考えられている。
【0110】
調製後、本発明のORP水溶液又は製剤は、例えば、病院、養護施設、医院、外来外科センター、歯科医院などを含む保健医療施設のようなエンドユーザーへの配給及び販売のために密封容器に移され得る。本発明に従う医薬剤形は、本明細書に記載したような局所投与のための製剤及び該製剤が入れられる密封容器を含む。
【0111】
容器に入ったORP水溶液又は製剤の無菌性及び安定性を維持する任意の好適な密封容器が使用され得る。容器は、例えばORP水溶液及び増粘剤のような、ORP水溶液又は製剤の成分と適合する任意の材料から構成され得る。容器は、通常、ORP水溶液中に存在するイオンがいかなる感知される程度でも容器と反応しないよう、非反応性でなければならない。
【0112】
好ましくは、容器はプラスチック又はガラスから構成される。プラスチックは、容器が棚に保存されることが可能であるよう、硬質であり得る。或いは、プラスチックは、柔軟な袋のように柔軟であっても良い。
【0113】
好適なプラスチックには、ポリプロピレン、ポリエステル・テレフタラート(PET)、ポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、及びそれらの混合物が含まれる。好ましくは、容器は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる群から選択されるポリエチレンを含む。最も好ましくは、容器は高密度ポリエチレンである。
【0114】
容器は開口部を有し、患者への投与のためのORP水溶液又は製剤の分配を可能にしている。容器の開口部は、任意の好適な形式で密封され得る。例えば、容器は、ネジ切りキャップ又は栓で密封され得る。任意で、開口部はホイルの層で更に密封され得る。
【0115】
密封容器の上部の気体は、空気、或いはORP水溶液又はORP水溶液を含有する製剤の他の成分と反応しない他の好適な気体であり得る。好適な上部の気体には、窒素、酸素、及びそれらの混合物が含まれる。
【0116】
本発明は更に、アノード水及びカソード水を含むORP水溶液を提供する。アノード水は本発明で使用される電解セルのアノード室で製造される。カソード水は電解セルのカソード室で製造される。
【0117】
カソード水は通常、溶液の約10体積%から約90体積%の量で、溶液のORP水溶液中に存在する。好ましくは、カソード水は、約10体積%から約50体積%の量で、より好ましくは溶液の約20体積%から約40体積%の量で、最も好ましくは溶液の約20体積%から約30体積%の量で、ORP水溶液中に存在する。更に、アノード水は、溶液の約50体積%から約90体積%の量で、ORP水溶液中に存在し得る。
【0118】
本明細書中で言及したように、アノード水及びカソード水の両方を含有するORP水溶液は、酸性であっても、中性であっても、又は塩基性であっても良く、通常約1から約14のpHを有する。典型的には、ORP水溶液のpHは約3から約8である。好ましくは、pHは約6.4から約7.8であり、より好ましくは約7.4から約7.6である。
【0119】
本発明のORP水溶液は、殺菌剤、クレンザー、クリーナー、防腐剤などとしての多種多様の用途を有し、環境に存在する望まない物質又は有害な物質の活性を制御する。ORP水溶液で処理され得る物質には、例えば、生物及びアレルゲンが含まれる。
【0120】
ORP水溶液は、殺菌剤、消毒剤、除染剤、防腐剤、及び/又はクレンザーとして使用され得る。本発明のORP水溶液は、以下の代表的な用途:医療用、歯科用、及び/又は獣医用の機器及び器具;食品産業(例、硬い表面、果実類、野菜類、食用肉);病院/保健医療施設(例、硬い表面);化粧品産業(例、皮膚のクリーナー);家庭(例、床、調理台、硬い表面);電子産業(例、回路のクリーニング、ハードドライブ);及びバイオテロリズム(例、炭疽菌、感染性微生物)における使用に好適である。
【0121】
ORP水溶液はまた、ヒト及び/又は動物に塗布されて、例えば、手術/開放創傷クレンジング剤、皮膚病原体の殺菌(例えば、細菌、マイコプラズマ、ウイルス、真菌、プリオンに対して);戦闘の創傷の殺菌;創傷治癒の促進;熱傷治癒の促進;胃潰瘍の治療;創傷の洗浄;皮膚菌;乾癬;水虫;結膜炎及び他の眼の感染症;耳の感染症(例、外耳炎);肺/鼻/洞感染症;及びヒト又は動物の身体上又は身体中の他の医療用途を含む様々の状態を治療し得る。組織細胞成長促進物としてのORP水溶液の使用は、更に米国特許出願公開2002/0160053 A1に記載されている。
【0122】
本発明を決して限定するものではないが、ORP水溶液は、それが接触する細菌を根絶し、且つタンパク質及びDNAを含む細菌の細胞成分を破壊すると考えられている。
【0123】
例えば、ORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Acinetobacterスピーシズ、Bacteroides fragilis、Enterobacter aerogenes、Enterococcus faecalis、バンコマイシン耐性Enterococcus faecium(VRE、MDR)、Haemophilus influenzae、Klebsiella oxytoca、Klebsiella pneumoniae、Micrococcus luteus、Proteus mirabilis、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus hominis、Staphylococcus saprophyticus、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Candida albicans及びCandida tropicalisからなる群から選択される生きた微生物サンプルの濃度を、30秒以内の曝露で、少なくとも約5log(10)減少させることが可能である。
【0124】
一つの実施態様において、本発明に従って投与されるORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも約2ヶ月後の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、及びCandida albicansを含むがこれらに限定されない生きた微生物サンプルを、約1分間以内の曝露で、約1×10から約1×10生物/mlの初期濃度から、約0生物/mlの最終濃度へ減少させ得る。これは、生物濃度の約6log(10)乃至約8log(10)の減少に相当する。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、又はCandida albicans生物の約10〜約10の減少を達成し得る。
【0125】
或いは、本発明に従って投与されるORP水溶液は、ORP水溶液の調製の少なくとも約2ヶ月後の測定で、約5分間以内の曝露で、Bacillus athrophaeus胞子の胞子懸濁液の濃度において約6log(10)の減少を生じ得る。好ましくは、本発明に従って投与されるORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、Bacillus athrophaeus胞子の濃度において約10の減少を達成し得る。ORP水溶液は更に、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、約30秒以内の曝露で、Bacillus athrophaeus胞子の胞子懸濁液の濃度において約4log(10)の減少が可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、Bacillus athrophaeus胞子の濃度において、この減少を達成することが可能である。
【0126】
ORP水溶液はまた、ORP水溶液の調製の少なくとも2ヶ月後の測定で、約5分から約10分以内の曝露で、Aspergillis niger胞子のような真菌胞子の濃度において約6log(10)の減少が可能である。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも6ヶ月後、より好ましくは調製の少なくとも1年後の測定で、真菌胞子の濃度においてこの減少を達成することが可能である。
【0127】
本発明に従って投与されるORP水溶液は更に、ORP水溶液の調製の少なくとも約2ヶ月後の測定で、約5分から約10分の曝露後、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)及びアデノウイルスのようなウイルスの濃度において3log(10)を上回る減少を生じ得る。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、ウイルスの濃度において>10の減少を達成し得る。
【0128】
本発明に従って投与されるORP水溶液は更に、ORP水溶液の調製の少なくとも約2ヶ月後の測定で、約5分間の曝露で、Mycobacterium bovisの増殖を完全に阻害し得る。好ましくは、ORP水溶液は、調製の少なくとも約6ヶ月後の測定で、より好ましくは調製の少なくとも約1年後の測定で、マイコバクテリウムの濃度において完全な阻害を達成し得る。
【0129】
従って、ORP水溶液での処理によって制御され、減少され、殺され、又は根絶され得る生物には、これらに限定されないが、細菌、真菌、酵母、及びウイルスが含まれる。感受性細菌には、これらに限定されないが、Escherichia coli、Staphylococcus aureus、Bacillus athrophaeus、Streptococcus pyogenes、Salmonella choleraesuis、Pseudomonas aeruginosa、Shingella dysenteriae、及び他の感受性細菌が含まれる。ORP水溶液で処理され得る真菌及び酵母には、例えば、Candida albicans及びTrichophyton mentagrophytesを含む。ORP水溶液は、例えば、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ライノウイルス、インフルエンザ(例、A型インフルエンザ)、肝炎(例、A型肝炎)、コロナウイルス(重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因)、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、単純疱疹ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、風疹ウイルス、及び他の感受性ウイルスを含むウイルスに対しても適用され得る。
【0130】
好ましい実施態様において、本発明のORP水溶液は、第一度、第二度、又は第三度熱傷の患者を治療するために投与され得る。第二度及び第三度熱傷のような熱傷の組み合わせを有する患者もまた、ORP水溶液で治療され得る。第一度熱傷は、表皮、又は皮膚表面を侵す。第二度熱傷は表皮及び下にある真皮を侵す。第三度熱傷は表皮、真皮、及び皮下組織を侵す。より好ましくは、ORP水溶液は、第二度又は第三度熱傷の患者を治療するために投与される。本発明に従って治療するのに好適な熱傷は、例えば、火、沸騰した液体(例、水、牛乳など)、又は電気との接触を含む様々な負傷によって引き起こされ、通常患者組織の約0%から約69%にまで及ぶ。
【0131】
ORP水溶液は、任意の好適な形式で熱傷患者に投与され得る。ORP水溶液は、熱傷をスプレーし、浴し、浸し、拭き、又は他の方法で湿潤させることによって局所的に投与され得る。ORP水溶液は、熱傷を治療するのに充分な量で投与される。ORP水溶液は、少なくとも1日に1度、好ましくは1日あたり1度より多く、熱傷に投与される。より好ましくは、ORP水溶液は、1日あたり3度、熱傷に投与される。
【0132】
ORP水溶液は、例えば、容器から注ぐ、又はリザーバーからスプレーすることによって、熱傷領域に直接塗布され得る。熱傷は、任意の好適な器具を使用してスプレーされ得る。好ましくは、高圧洗浄器具を使用して熱傷にORP水溶液をスプレーする。
【0133】
熱傷は、部分的又は完全にのいずれかで熱傷をORP水溶液中に沈めることによって浸され得る。熱傷は、任意の好適な時間の間、浸り得る。通常、熱傷はORP水溶液中に少なくとも約1分間浸される。好ましくは、熱傷は、約5分から約15分間浸される。
【0134】
或いは、ORP水溶液は、例えば、ORP水を染み込ませたガーゼのような素地を使用して、熱傷に塗布され得る。好ましくは、ORP水溶液は、スプレーを含む複数の方法によって塗布され、熱傷はスプレーされ且つ浸される。
【0135】
熱傷は、ORP水溶液を染み込ませて湿った創傷ドレッシングを適用することによって、任意でドレッシングされ得る。湿った創傷ドレッシングに加えて、熱傷は、乾いたガーゼ及び粘着性のカバーで、任意でドレッシングされ得る。任意の好適なスアーブ(suave)、クリーム、ゲル、及び/又は軟膏もまた、ORP水溶液の投与後、熱傷表面に塗布され得る。
【0136】
一つの実施態様において、治療を必要とする熱傷を有する患者は、本発明のORP水溶液を使用した洗う手順に供される。ORP水溶液は最初に、高圧洗浄器具を使用して、熱傷にスプレーされる。次に、熱傷は、好適な時間の間、ORP水溶液に浸される。浸した後、熱傷は、次いでORP水溶液で再度スプレーされる。熱傷はその後、少なくとも約5分間、湿潤状態のまま放置される。この手順が、1日に少なくとも1度、好ましくは1日に2度、より好ましくは1日に3度、患者の熱傷に行われる。この実施態様において、好ましくは、熱傷の表面は、ORP水溶液の投与の間、ドレッシングされない。
【0137】
ORP水溶液の投与に先立って、熱傷は、好ましくは清拭治療に供されて、過角化した、壊死した、そうでなければ健康的でない組織を健康的に見える組織になるまで除去する。熱傷の清拭において、創傷の縁は健康的な出血組織にまで切除される。熱傷は、清拭後に残屑のクリーニングをされ得る。本発明に従って投与されるORP水溶液はまた、皮膚潰瘍を清拭するために使用される水手術(hydrosurgery)器具のための洗浄溶液としても使用され得る。好適な水手術器具には、例えば、Smith and Nephewによって合衆国で販売されているVersaJet器具、Medaxisによって欧州で販売されているDebritom、DeRoyalによって合衆国及び欧州で販売されているJetOx、又はイタリアで販売されているPulsaVacが含まれ得る。ORP水溶液は、創傷中の微生物負荷を減少すること、及び清拭手順の間の感染性の霧の形成を回避することによって、該器具と相乗的に作用し得ると考えられている。従って、該器具を使用して、本発明に従って、連続的な洗浄で熱傷を清拭し、感染プロセスを減少し、感染性の霧の形成を回避し得る。
【0138】
本発明に従って投与されるORP水溶液はまた、浮腫を減少し血流を増大させるために使用される陰圧器具の洗浄溶液としても使用され得る。好適な陰圧器具には、例えば、Kinetic Concepts社によって合衆国で販売されているV.A.C.(登録商標)及びV.A.C.(登録商標) Instill(商標)器具のような、1種以上の持続陰圧吸引(vacuum assisted wound closure)の器具が含まれ得る。ORP水溶液は、微生物負荷を減少しながら炎症−アレルギーのプロセスを制御することにより器具と相乗的に作用し得ると考えられる。従って、器具は、断続的又は連続的な洗浄によって開放の火傷に適用されて、本発明に従って組織感染又は壊死を治療又は予防し得る。
【0139】
生体工学皮膚(Apligraf,Organogenesis社,カントン)、無細胞の皮膚代替物(Oasis Wound Matrix,Healthpoint)、ORP水溶液の超音波適用、及び局所酸素補充又は高圧酸素治療(例、高圧ブーツ、Vent−Ox System)を含むいくつかの補助療法が、本発明に従って任意で利用され得る。
【0140】
必要ならば、ORP水溶液の投与は、植皮片との組み合わせで使用され、熱傷の治癒を促進し得る。
【0141】
ORP溶液の投与は、局所的及び/又は全身の抗生物質の投与と任意で組み合わせられる。好適な抗生物質には、限定するものではないが、ペニシリン、セファロスポリン又は他のβ−ラクタム、マクロライド(例、エリスロマイシン、6−O−メチルエリスロマイシン、及びアジスロマイシン)、フルオロキノロン、スルホンアミド、テトラサイクリン、アミノグリコシド、クリンダマイシン、キノロン、メトロニダゾール、バンコマイシン、クロラムフェニコール、それらの抗菌的に有効な誘導体、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。好適な抗感染剤にはまた、例えば、アンホテリシンB、フルコナゾール、フルシトシン、ケトコナゾール、ミコナゾール、それらの誘導体、及びそれらの組み合わせのような抗真菌剤も含まれ得る。好適な抗炎症剤には、例えば、1種以上の抗炎症薬(例、1種以上の抗炎症性ステロイド、又は1種以上の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID))が含まれ得る。例示的な抗炎症薬には、例えば、シクロフィリン、FK結合タンパク質、抗サイトカイン抗体(例、抗TNF)、ステロイド、及びNSAIDが含まれ得る。
【0142】
本発明の別の実施態様において、患者の第二度及び/又は第三度熱傷は最初に清拭され、それから高圧洗浄器具でORP水溶液をスプレーされる。熱傷を洗うために使用されるORP水溶液の量は、好ましくは、残屑を除去するのに充分である。熱傷はその後、好適な時間の間、ORP水溶液に浸される。患者の熱傷は次にORP水溶液でスプレーされ、好適な時間の間、好ましくは約5分から約15分、溶液で熱傷を湿潤させる。スプレー及び湿潤は、1日に約3回繰り返される。ORP水溶液の投与の間は、熱傷の表面はドレッシングされない。
【0143】
熱傷を高圧でスプレーし、任意で浸し、スプレーし、そして湿潤させるプロセスは、適切な間隔で繰り返される。好ましくは、熱傷が高圧でスプレーされ、任意で浸され、スプレーされ、そして湿潤される手順は、週に約1回、より好ましくは日に約1回、繰り返される。ORP水溶液を使用する熱傷の治療は、熱傷が充分治癒するまで継続され得、典型的には数日にわたる手順の繰り返しを必要とする。通常、ORP水溶液は、少なくとも3日間毎日塗布される。典型的には、ORP水溶液は、少なくとも約5日間、好ましくは少なくとも約7日間、より好ましくは少なくとも約10日間、毎日塗布される。熱傷の治癒は、典型的に、瘢痕収縮率及び上皮化率によって測定される。
【0144】
本発明のORP水はまた、環境中に存在するアレルゲンの活性の制御における使用にも好適である。本明細書で使用するとき、アレルゲンには、罹患性のヒト又は動物における有害な免疫応答、即ちアレルギーを誘発し得る、細菌、真菌、酵母、又はウイルス以外の任意の物質が含まれ。喘息は、1種以上のアレルゲンの曝露後の一般的な生理反応である。アレルゲンは、生存能力のあるもの(即ち、生きた又は死んだ生物由来)、又は生存能力のないもの(例、繊維製品のような非生命)のいずれであっても良く、また、例えば家庭及び/又は職場といった環境中に存在し得る。
【0145】
ORP水で治療され得るタンパク質ベースの家庭のアレルゲンには、例えば、動物の毛皮、皮膚、及び排泄物、家庭のほこり、雑草、草、木、ダニ、及び花粉が含まれる。動物アレルゲンには、例えば、猫の上皮、犬の上皮、馬のふけ、牛のふけ、犬のふけ、モルモットの上皮、ガチョウの羽毛、マウスの上皮、マウスの尿、ラットの上皮、及びラットの尿が含まれる。
【0146】
職業性アレルゲンには、例えば、植物又は動物タンパク質に通常由来する天然タンパク質のような高分子量の剤、並びにジイソシアネートのような低分子量の化学物質、及び一部の繊維製品中に見られる他の物質が含まれる。職場に存在し得る他の化学アレルゲンには、例えば、無水物、抗生物質、木材粉塵、及び染料が含まれる。植物ガム、酵素、動物性タンパク質、昆虫、植物性タンパク質、及びマメを含む多数のタンパク質が職業性アレルゲンであり得る。
【0147】
ORP水溶液による治療に好適な更なるアレルゲンは、Korenblat and Wedner,Allergy Theory and Practice(1992)並びにMiddleton,Jr.,Allergy Principles and Practice(1993)に記載されている。
【0148】
本発明に従って投与されるORP水溶液は、実質的に、正常な組織及び正常な哺乳動物細胞への毒性を持たないことが見出されている。本発明に従って投与されるORP水溶液は、真核細胞の生存能力の有意な減少、哺乳動物細胞におけるアポトーシスの有意な増加、細胞加齢の有意な加速、及び/又は有意な酸化的DNA損傷を引き起こさない。無毒性は特に有利であって、また、本発明に従って投与されるORP水溶液の殺菌力は過酸化水素とおおよそ同等であるが、正常な組織及び正常な哺乳動物細胞への毒性が過酸化水素よりもかなり低いことを考えると、恐らくそれは驚くべきことである。これらの知見は、本発明に従って投与されるORP水溶液が、例えばヒトを含む哺乳動物における使用にとって安全であることを示している。
【0149】
本発明に従って投与されるORP水溶液において、細胞の生存率は、約30分間のORP水溶液への曝露後に、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約70%、更により好ましくは少なくとも約75%である。更に、本発明に従って投与されるORP水溶液は、最大で約30分以下のORP水溶液との接触で(例えば、ORP水溶液との、約30分又は約5分の接触後)、好ましくは細胞の最大でわずか約10%まで、より好ましくは細胞の最大でわずか約5%まで、更により好ましくは細胞の最大でわずか約3%までに、アネキシンVを細胞表面に露出させる。更には、本発明に従って投与されるORP水溶液は、ORP水溶液への慢性的な曝露後に、好ましくは細胞の約15%未満、より好ましくは細胞の約10%未満、更により好ましくは細胞の約5%未満に、SA−β−ガラクトシダーゼ酵素を発現させる。本発明に従って投与されるORP水溶液は、好ましくは、生理食塩水溶液によって引き起こされるのと同じ割合の酸化的DNA付加物形成(例えば、同等の条件下で処理された細胞において過酸化水素によって通常引き起こされる酸化的DNA付加物形成の約20%未満、酸化的DNA付加物形成の約10%未満、又は酸化的DNA付加物形成の約5%以下)を引き起こす。
【0150】
本発明に従って投与されるORP水溶液は、有意なRNA分解を生じない。従って、ORP水溶液への約30分間の曝露後、又は約30分間の曝露から約3時間後にヒトの細胞培養物から抽出されて変性ゲル電気泳動によって分析されるRNAは、典型的には有意なRNA分解を示さず、また典型的には真核生物のリボソームRNA(即ち、28S及び18S)に対応する2本の別個の(discreet)バンドを示し、これは、本発明に従って投与されるORP水溶液がRNAを実質的に無傷のままにすることを示している。同様に、ORP水溶液への、約30分の曝露後、又は曝露から約3時間後にヒトの細胞培養物から抽出されたRNAは、構成的なヒトGAPDH(グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)遺伝子の逆転写及び増幅(RT−PCR)に供されて、RT−PCR産物のゲル電気泳動で強いGAPDHバンドを生じ得る。対照的に、同様の時間の間HPで処理された細胞は、有意なRNA分解を示し、GAPDHのRT−PCR産物はあったとしてもごくわずかである。
【0151】
本発明のORP水溶液は、任意の好適な量で使用又は塗布されて、所望の抗細菌、抗ウイルス、殺菌、及び/又は抗アレルゲン効果を与え得る。
【0152】
ORP水溶液は、殺菌及び消毒するために、任意の好適な形式で塗布され得る。例えば、医療設備又は歯科用設備を殺菌及び消毒するために、その設備は、充分な時間の間ORP水溶液との接触を維持されて、設備上に存在する生物のレベルを所望のレベルへ減少させる。
【0153】
硬い表面の殺菌及び消毒のために、ORP水溶液は、ORP水溶液が保存されている容器から直接硬い表面へ塗布され得る。例えば、ORP水溶液は、硬い表面へ、注がれ、スプレーされ、又は他の方法で直接塗布され得る。ORP水溶液はその後、例えば、布、織物、又は紙タオルのような好適な素地を使用して、硬い表面上に広げられ得る。病院の適用においては、素地は好ましくは無菌である。或いは、ORP水溶液は、最初に、布、織物、又は紙タオルのような素地に塗布され得る。湿った素地はその後、硬い表面と接触される。或いは、ORP水溶液は、本明細書で記載したようにして、空気中に溶液を分散させることによって硬い表面に塗布され得る。ORP水溶液は、同様の形式で、ヒト及び動物へ塗布され得る。
【0154】
本発明は更に、水不溶性の素地及び本明細書で記載したORP水溶液を含むクリーニングワイプを提供し、ここでORP水溶液は素地上に分配される。ORP水溶液は、素地へ、浸み込まされ、コートされ、覆われ、又は他の方法で塗布され得る。好ましくは、素地は、クリーニングワイプのエンドユーザーへの配給前にORP水溶液で前処理される。
【0155】
クリーニングワイプ用の素地は、任意の好適な水不溶性の吸収素材又は吸着素材であり得る。多種の素材が素地として使用され得る。それは、充分な湿潤強度、磨耗性、ロフト(loft)、及び多孔性を有しているべきである。更に、素地はORP水溶液の安定性に悪影響を与えてはならない。例としては、不織素地、織素地、ハイドロエンタングル素地、及びスポンジが含まれる。
【0156】
素地は、1以上の層を持っても良い。各層は、同じ又は異なる構成及び磨耗性を持ち得る。異なる構成は、異なる組み合わせの素材の使用、又は異なる製造プロセスの使用、或いはそれらの組み合わせから生じ得る。素地は、水中で分解又は分裂してはならない。素地は、ORP水溶液を治療される表面へ送達するためのビヒクルを提供する。
【0157】
素地は、単一の不織シート又は複合的な不織シートであり得る。不織シートは、木材パルプ、合成繊維、天然繊維、及びそれらの混合から作られ得る。素地に使用するために好適な合成繊維には、限定するものではないが、ポリエステル、レーヨン、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、他のセルロースポリマー、及びそのような繊維の混合物が含まれる。不織物には、メルトブローン、コフォーム(coform)、エアレイド、スパンボンド、ウェットレイド、ボンデッド−カーデッド(bonded−carded)織物素材、ハイドロエンタングル(スパンレースとしても知られる)素材、及びそれらの組み合わせを含む、不織繊維シート素材が含まれ得る。これらの素材には、合成繊維若しくは天然繊維、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。結合剤が素地中に任意で存在し得る。
【0158】
好適な不織の水不溶性素地の例には、Little Rapids Corporationのセルロース100%のWadding Grade 1804、American Non−wovens Corporationのポリプロピレン100%のニードルパンチ素材NB 701−2.8−W/R、Ahlstrom Fibre Compositesのセルロースと合成繊維との混合のHydraspun 8579、及びPGI Nonwovens Polymer Corpの70%ビスコース/30%PESのCode 9881が含まれる。クリーニングワイプに使用するのに好適な不織素地の更なる例は、米国特許第4,781,974号、第4,615,937号、第4,666,621号、及び第5,908,707号、並びに国際特許出願公開WO98/03713号、WO97/40814号、及びWO96/14835号に記載されている。
【0159】
素地は、コットン繊維、コットン/ナイロンの混合、又は他の繊維製品のような織素材から作られても良い。スポンジを作る際に使用される再生セルロース、ポリウレタンフォームなどもまた使用に好適であり得る。
【0160】
素地の液体負荷容量は、その乾燥重量の少なくとも約50%〜1000%、最も好ましくは少なくとも約200%〜800%であるべきである。これは素地の重量の1/2倍から10倍の負荷として表される。素地の重量は、非制限的に、1平方メートルあたり約0.01から約1000グラムまで、最も好ましくは25から120グラム/m2まで(「基本重量」と呼ぶ)変化し、適当な形状及び寸法に切られ、打ち抜かれ、又は他の方法で寸法化されたシート又は織物として典型的に製造される。クリーニングワイプは、非限定的に、好ましくは約25から約250ニュートン/m、より好ましくは約75〜170ニュートン/mの特定の湿潤引っ張り強さを持つ。
【0161】
ORP水溶液は、任意の好適な方法により、素地に分配され、浸み込まされ、コートされ、覆われ、又は他の方法で塗布される。例えば、素地の各部分は、個別の量のORP水溶液で処理され得る。好ましくは、ORP水溶液による素地素材の連続織物の一括処理がなされる。素地素材の織物全体がORP水溶液に浸されても良い。或いは、素地織物が巻かれるとき、又は不織素地の作製中でさえも、ORP水溶液は織物上にスプレー又は定量される。多量の個別に切断及び寸法化された素地の部分は、製造者によって、容器中でORP水溶液を染み込まされ、又はコートされ得る。
【0162】
クリーニングワイプは、ワイプの特性を向上させるために、任意で更なる成分を含んでも良い。例えば、クリーニングワイプは、ワイプの特性を向上させるために、更に、ポリマー、界面活性剤、多糖、ポリカルボン酸塩、ポリビニルアルコール、溶媒、キレート剤、緩衝液、増粘剤、染料、着色料、香料、及びそれらの混合物を含んでも良い。これらの任意成分は、ORP水溶液の安定性に悪影響を与えてはならない。クリーニングワイプに任意で含まれ得る様々な成分の例は、米国特許第6,340,663号、第6,649,584号、及び第6,624,135号に記載されている。
【0163】
本発明のクリーニングワイプは、ヒートシール可能又は接着可能な熱可塑性上包(例、ポリエチレン、マイラー(Mylar)など)で個別シールされ得る。ワイプは、より経済的な分配のために、多数の個別シートとしても詰められ得る。クリーニングワイプは、まず素地の複数のシートをディスペンサー中に置き、それから素地シートを本発明のORP水溶液と接触させることにより調製され得る。或いは、クリーニングワイプは、製造プロセス中にORP水溶液を素地に塗布し、それから湿った素地をディスペンサー中に装填することによって、連続織物として形成され得る。
【0164】
ディスペンサーには、これらに限定されないが、ふた付きのキャニスター、又はふた付きのタブが含まれる。ディスペンサーのふたは、湿ったワイプを外部環境から密封するため、及び液体成分の早過ぎる蒸発を防ぐためである。
【0165】
ディスペンサーは、素地とORP水溶液との両方と適合する任意の好適な素材から作られ得る。例えば、ディスペンサーは、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又は他の硬質プラスチックのようなプラスチックから作られ得る。
【0166】
ワイプの連続織物は、ディスペンサーの最上部の細い開口部、最も好ましくはふたを通り抜け得る。次いで、織物から所望の長さ又は寸法のワイプを寸法化する手段が必要になる。非限定的な例として、ナイフの刃、鋸歯状の縁、又は所望の寸法に織物を切断する他の手段が、ディスペンサーの最上部に備えられ得、切断縁としての細い開口部の役目を現実的に倍加する。或いは、ワイプの連続織物は、均一又は不均一な寸法又は長さに、切り込み線を入れられ、折りたたまれ、分割され、ミシン目を入れられ、又は部分的に切断され得、ひいては鋭い切断縁の必要性を取り除く。更に、ワイプは交互配置されても良く、1枚のワイプの取り出しが次のワイプを推進する。
【0167】
或いは、本発明のORP水溶液は、空気のような気体状の媒体を通じて環境中に分散され得る。ORP水溶液は、任意の好適な手段によって空気中に分散され得る。例えば、ORP水溶液は、任意の好適な寸法の液滴に形成されて室内に分散され得る。
【0168】
小規模用途のために、ORP水溶液は、スタンドパイプ及びポンプを含むスプレーボトルを通じて分配され得る。或いは、ORP水溶液は、エアロゾル容器中に詰められ得る。エアロゾル容器は通常、分配される製品、推進剤、容器、及びバルブを備える。バルブは、アクチュエータ及び浸漬チューブの両方を備える。容器の内容物は、アクチュエータを下に押すことによって分配される。エアロゾル容器の様々な成分は、ORP水溶液と適合する。好適な推進剤には、液化されたハロカーボン、炭化水素、又はハロカーボン−炭化水素混合、或いは二酸化炭素、窒素、又は亜酸化窒素のような圧縮気体が含まれ得る。エアロゾルシステムは、典型的に、寸法が約0.15μmから約5μmの範囲の滴をもたらす。
【0169】
ORP水溶液は、肺及び/又は気道の感染症の治療、或いはそのような身体部分における創傷の治癒のための吸入システムの部分としてエアロゾル形態で分配され得る。
【0170】
大規模用途のために、これらに限定されないが、加湿器、噴霧器(mister)、噴霧器(fogger)、バポライザー、アトマイザー、ウォータースプレー、及び他のスプレー器具を含む任意の好適な器具が使用されて、ORP水溶液を空気中に分散し得る。そのような器具は、継続的なORP水溶液の分配を可能にする。ノズル中で空気と水を直接的に混合する排出装置が採用され得る。ORP水溶液は、低圧蒸気のような蒸気へ変換されて気流中に放出され得る。超音波加湿器、蒸気加湿器(stream humidifier)又はバポライザー、及び気化式加湿器のような様々な種類の加湿器が使用され得る。
【0171】
ORP水溶液を分散するために使用される特定の器具は、換気システムに組み込まれて、家又は保健医療施設(例、病院、養護施設など)の全体にわたるORP水溶液の広い適用を提供し得る。
【0172】
本発明は更に、アノード室、カソード室、及びアノード室とカソード室との間に位置する塩溶液室を含む少なくとも一つの電解セルを使用するORP水溶液の製造方法を提供し、ここでORP水溶液はアノード水及びカソード水を含む。本発明に有用な典型的な3室の電解セルの図を図1に示す。
【0173】
電解セル100は、アノード室102、カソード室104、及び塩溶液室106を有する。塩溶液室は、アノード室102とカソード室104との間に位置する。アノード室102は、流入口108及び流出口110を有し、アノード室102を通る水の流れを可能にしている。カソード室104は同様に、流入口112及び流出口114を有し、カソード室104を通る水の流れを可能にしている。塩溶液室106は、流入口116及び流出口118を有する。電解セル100は、好ましくはハウジングを含み、全ての構成要素をひとまとめに保つ。
【0174】
アノード室102は、アノード電極120及びアノードイオン交換膜122によって塩溶液室から分離されている。アノード電極120は、アノード電極120と塩溶液室106との間に位置する膜122と共に、アノード室102に隣接していても良い。或いは、膜122は、膜122と塩溶液室106との間に位置するアノード電極120と共に、アノード室102に隣接していても良い。
【0175】
カソード室104は、カソード電極124及びカソードイオン交換膜126によって塩溶液室から分離されている。カソード電極124は、カソード電極124と塩溶液室106との間に位置する膜126と共に、カソード室104に隣接していても良い。或いは、膜126は、膜126と塩溶液室106との間に位置するカソード電極124と共に、カソード室104に隣接していても良い。
【0176】
電極は、通常、金属から構成され、電位がアノード室とカソード室との間に印加されるのを可能にする。金属電極は、通常平面的であり、イオン交換膜と同様の寸法及び断面積を持つ。電極は、イオン交換膜の表面のかなりの部分がそれぞれのアノード室及びカソード室中で水に露出されるように構成されている。これは、イオン種の塩溶液室とアノード室とカソード室との間の移動を可能にする。好ましくは、電極は、電極表面にわたって均等に配置された複数の通路又は開口部を有する。
【0177】
電位源は、アノード電極120及びカソード電極124に接続され、アノード室102で酸化反応を、カソード室104で還元反応を引き起こす。
【0178】
電解セル100で使用されるイオン交換膜122及び126は、任意の好適な素材で構成されて、塩溶液室106とアノード室102との間での塩化物イオン(Cl−)のようなイオンの交換、及び塩溶液塩溶液室106とカソード室104との間でのナトリウムイオン(Na+)のようなイオンの交換を可能にし得る。アノードイオン交換膜122及びカソードイオン交換膜126は、同一又は異なる構成素材から造られていても良い。好ましくは、アノードイオン交換膜は、フッ素化ポリマーを含む。好適なフッ素化ポリマーには、例えば、ペルフルオロスルホン酸ポリマー、並びにペルフルオロスルホン酸/PTFEコポリマー及びペルフルオロスルホン酸/TFEコポリマーのようなコポリマーが含まれる。イオン交換膜は、素材の単層又は複数層から構成され得る。
【0179】
電解セル100のアノード室102及びカソード室104のための水源は、任意の好適な給水であり得る。水は、都市の上水道からであっても良く、或いはその代わりに電解セルでの使用に先立って前処理されても良い。好ましくは、前処理された水は、軟水、精製水、蒸留水、及び脱イオン化水からなる群から選択される。より好ましくは、前処理された水源は、逆浸透精製機器を使用して得られた超純水である。
【0180】
塩溶液室106で使用される塩水溶液は、ORP水溶液を製造するために好適なイオン種を含む任意の塩水溶液であり得る。好ましくは、塩水溶液は、塩化ナトリウム(NaCl)塩水溶液(一般的に生理食塩水溶液とも呼ばれる)である。他の好適な塩溶液は、塩化カリウム、塩化アンモニウム、及び塩化マグネシウムのような他の塩化物塩、並びにカリウム塩及び臭素塩のような他のハロゲン塩を含む。塩溶液は、塩の混合物を含有しても良い。
【0181】
塩溶液は、任意の好適な濃度を有していて良い。塩溶液は、飽和又は高濃度であっても良い。好ましくは、塩溶液は、飽和塩化ナトリウム溶液である。
【0182】
本発明で有用な3室の電解セルにおいて製造される様々なイオン種を図2に示す。3室の電解セル200は、アノード室202、カソード室204、及び塩溶液室206を含む。アノード208及びカソード210への好適な電流の印加時に、塩溶液室206を通って流れる塩溶液中に存在するイオンは、アノードイオン交換膜212及びカソードイオン交換膜214を通じて、アノード室202及びカソード室204を通って流れる水中にそれぞれ移動する。
【0183】
陽イオンは、塩溶液室206を通って流れる塩溶液216から、カソード室204を通って流れるカソード水218へ移動する。陰イオンは、塩溶液室206を通って流れる塩溶液216から、アノード室202を通って流れるアノード水220へ移動する。
【0184】
好ましくは、塩溶液216は、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl−)イオンとの両方を含有する塩化ナトリウム(NaCl)水溶液である。陽イオンNa+は、塩溶液216からカソード水218へ移動する。陰イオンCl−は、塩溶液216からアノード水220へ移動する。
【0185】
ナトリウムイオン及び塩化物イオンは、アノード室202及びカソード室204において、更なる反応を受け得る。例えば、塩化物イオンは、アノード水220中に存在する様々な酸素イオン及び他の種(例、酸素フリーラジカル、O2、O3)と反応してClOn−及びClO−を産生し得る。酸素フリーラジカル、水素イオン(H+)、酸素(O2など)、オゾン(O3)、及び過酸化物の形成を含む他の反応も、アノード室202で起こり得る。カソード室204において、水素気体(H2)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化物イオン(OH−)、ClOn−イオン、及び他のラジカルが形成され得る。
【0186】
本発明は更に、少なくとも2つの3室の電解セルを使用するORP水溶液の製造方法及び製造装置を提供する。2つの本発明の電解セルを使用するORP水溶液の製造方法の図を図3に示す。
【0187】
方法300は、2つの3室の電解セル、具体的には第一電解セル302及び第二電解セル304を含む。水は、水源305から第一電解セル302のアノード室306及びカソード室308へ、並びに第二電解セル304のアノード室310及びカソード室312へ、移送され、ポンプされ、又は他の方法で分配される。典型的には、本発明の方法は、約1リットル/分から約50リットル/分のORP水溶液を製造し得る。製造容量は、更なる電解セルを使用することによって増加され得る。例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の3室の電解セルが、本発明のORP水溶液の生産量を増加するために使用され得る。
【0188】
アノード室306及びアノード室310で生産されるアノード水は、混合タンク314に集められ集められる。カソード室308及びカソード室312で生産されるカソード水の一部は、混合タンク314に集められてアノード水と合わさる。この方法で生産されるカソード水の残りの部分は廃棄される。カソード水は、混合タンク314への添加前に、任意でガス分離器316及び/又はガス分離器318に供され得る。ガス分離器は、製造プロセス中にカソード水中で形成される水素気体のような気体を除去する。
【0189】
混合タンク314は、循環ポンプ315に任意で連結されて、電解セル302及び304からのアノード水とカソード水の一部との均一な混合を可能にする。更に、混合タンク314は、ORP水溶液のレベル及びpHをモニターするのに好適な器具を任意で含み得る。ORP水溶液は、混合タンクの場所又はその近くでの殺菌又は消毒に適用するために、ポンプ317を通じて混合タンク314から移送され得る。或いは、ORP水溶液は、遠い場所(例、倉庫、病院など)への出荷のために好適な容器に分配され得る。
【0190】
方法300は、塩溶液循環システムを更に含み、第一電解セル302の塩溶液室322へ、及び第二電解セル304の塩溶液室324へ、塩溶液を提供する。塩溶液は塩タンク320で調製される。塩溶液は、ポンプ321を通じて塩溶液室322及び324へ移送される。好ましくは、塩溶液は、最初に塩溶液室322、続いて塩溶液室324を通って順番に流れる。或いは、塩溶液は、同時に両方の塩溶液室へポンプされ得る。
【0191】
塩タンク320へ戻る前に、塩溶液は、混合タンク314中の熱交換器326を通って流れて、必要に応じてORP水溶液の温度を制御し得る。
【0192】
塩溶液中に存在するイオンは、第一電解セル302及び第二電解セル304において、時間と共に枯渇する。更なるイオン源が混合タンク320に定期的に加えられて、アノード水及びカソード水へ移送されるイオンを置換し得る。更なるイオン源は、時間と共に下がる(即ち、酸性化する)傾向がある塩溶液のpHを一定に保つために使用され得る。更なるイオン源は、例えば塩化ナトリウムのような塩を含む任意の好適な化合物であり得る。好ましくは、水酸化ナトリウムが混合タンク320へ添加されて、アノード水及びカソード水へ移送されるナトリウムイオン(Na+)を置換する。
【0193】
別の実施態様において、本発明は、酸化還元電位水溶液を製造するための、少なくとも2つの3室の電解セルを含む装置を提供する。各電解セルは、アノード室、カソード室、及びアノード室とカソード室とを分離する塩溶液室を含む。装置は、電解セルで製造されるアノード水及び1以上の電解セルで製造されるカソード水の一部を集めるための混合タンクを含む。好ましくは、装置は、塩循環システムを更に含み、電解セルの塩溶液室に供給される塩溶液の再利用を可能にする。
【0194】
以下の実施例は本発明を更に明らかにするが、当然ながら、決して本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0195】
実施例1〜3
これらの実施例は、本発明のORP水溶液の独特な特徴を示している。実施例1〜3におけるORP水溶液サンプルを本明細書に記載した方法に従って分析し、各サンプル中に存在するイオン種及び他の化学種の物理的特性及びレベルを決定した。二酸化塩素、オゾン、及び過酸化水素について得られた結果は、そのような種を測定するために使用される標準試験に基づいているが、これらの結果は、肯定的な試験結果を生じることもあり得る様々な種を示すものであり得る。更に、二酸化塩素、オゾン、及び過酸化水素は、次亜塩素酸塩と反応して、それらの消費及び他の種(例、HCl及びO)の産生をもたらすことが報告されている。pH、酸化還元電位(ORP)及び存在するイオン種を、各ORP水溶液サンプルについて、表1に記した。
【0196】
【表1】
【0197】
ORP水溶液は、殺菌、消毒、及び/又はクリーニングに使用するために好適な物理的特徴を有する。
【0198】
実施例4〜10
これらの実施例は、本発明に従う、ORP水溶液への様々な量での漂白剤の添加について示している。特に、これらの実施例は、組成物の抗菌活性及び織物を漂白する能力を示している。
【0199】
10%のClorox(登録商標)漂白溶液を、蒸留水を使用して調製した。それから以下の溶液を10%漂白溶液を使用して調製した:80%ORP水溶液/20%漂白剤(実施例4);60%ORP水溶液/40%漂白剤(実施例5);40%ORP水溶液/60%漂白剤(実施例6);20%ORP水溶液/80%漂白剤(実施例7);及び0%ORP水溶液/100%漂白剤(実施例8)。比較のため、100%ORP水溶液/0%漂白剤(実施例9)、及び0.01%Tween20界面活性剤を含むORP水溶液(実施例10)を含む2つのコントロール溶液も使用した。これらのサンプルの物理的特徴、特にpH、酸化還元電位(ORP)、全塩素(Cl)含有量、次亜塩素酸(HClO)含有量、二酸化塩素含有量、及び過酸化物含有量を決定し、表2に記した。
【0200】
【表2】
【0201】
漂白剤の一部として添加した塩化物イオンの大きなボーラスは、n.d.記号で示したとおり、二酸化塩素及び過酸化物のレベルの正確な測定を妨げた。また、二酸化塩素及び過酸化物について得られた結果は、そのような種を測定するために使用される標準試験に基づいているが、これらの結果は、肯定的な試験結果を生じることもあり得る様々な種を示すものであり得る。更に、二酸化塩素、オゾン、及び過酸化水素は、次亜塩素酸塩と反応して、それらの消費及び他の種(例、HCl及びO)の産生をもたらすことが報告されている。これらの実施例が示すように、ORP水溶液の次亜塩素酸レベルは、漂白剤の添加の有り無しで同様である。
【0202】
実施例4〜10のサンプルを、Bacillus subtilis var. niger胞子(SPS Medical of Rush,New Yorkから入手したATCC #9372)を使用する高胞子カウント試験に供した。胞子の懸濁液を(無菌フード中での蒸発によって)100マイクロリットルあたり4×10胞子まで濃縮した。胞子の懸濁液サンプル100マイクロリットルを、実施例4〜10の各サンプル900マイクロリットルと混合した。サンプルを、表3に記すように1から5分間、室温で培養した。示した時間に、100マイクロリットルの培養サンプルを個々のTSAプレート上にプレートし、35℃±2℃で24時間培養した後、各プレート上に生じたコロニー数を決定した。コントロールプレートは、開始時の胞子濃度が>1×10胞子/100マイクロリットルであることを示していた。様々なサンプルについての様々な培養時間でのバチルス胞子の濃度(2度の決定の平均として)を表3に記す。
【0203】
【表3】
【0204】
これらの結果が示すように、漂白剤(10%の漂白剤水溶液として)の濃度が上昇するにつれて、殺されるバチルス胞子の量は2〜3分間培養したサンプルについて減少する。しかしながら、5分間培養したサンプルについては、漂白剤の濃度はバチルス胞子を殺すのに影響しない。更に、結果は、ORP水溶液へ0.01%界面活性剤を添加しても、胞子を殺すのが減らないことを示している。
【0205】
実施例4〜10のサンプルを織物の漂白試験に供した。サンプルを試験した織物は、紺色の染みの斑点の付いた100%レーヨンの子供用Tシャツであった。染みの付いた織物の2インチ四方の切れ端を50mLプラスチックチューブ中に置いた。織物の各切れ端を実施例4〜10の溶液のサンプルで覆った。完全な漂白が得られるまでの経過時間(織物の白色化によって決定した)を表4に記す。
【0206】
【表4】
【0207】
これらの実施例が示すように、組成物中のORP水溶液の濃度が上昇するにつれ、完全な漂白が達成されるまでの時間が増加する。
【0208】
実施例11
この実施例は、本発明のORP水溶液の毒物学プロファイルに関連している。本発明の例示的なORP水溶液であるMicrocyn 60(即ちM60)をこれらの研究で使用した。
【0209】
安全性に関して、国際基準(AAMI 1997;NV SOP 16G−44;PFEUM 2000)に従って試験したところ、M60はウサギの皮膚又は結膜(conjuctiva)に対して刺激性ではなかった。更に、ラットでの急性吸入毒性の研究は、この経路でのMycrocyn 60の投与が安全であることを示した。
【0210】
Mycrocyn 60の潜在的な刺激効果をウサギでの眼一次刺激研究で評価した。0.1mL容量のMicrocyn 60を3匹のニュージーランド白ウサギの右目に点眼した。各動物の左目は、コントロールとして未処理のままにした。角膜の潰瘍形成若しくは混濁、虹彩の炎症、並びに結膜の赤み若しくは結膜浮腫について、眼を1、24、48、及び72時間の時点で観察し記録した。全ての動物を毎日1度、死亡及び不健康の兆候についても観察した。
【0211】
研究中のいずれの時点でも、処理した眼又はコントロールの眼のいずれにおいても、眼刺激の兆候は観察されなかった。研究の継続期間にわたり、全ての動物は臨床的に健康であるように見えた。これらの知見は、Mycrocyn 60が正の刺激反応を引き起こさないことを示している。
【0212】
急性吸入毒性の研究もまたラットで行い、Microcyn 60の潜在的な吸入毒性を決定した。10匹のSprauge−Dawleyアルビノラットを無希釈のMicrocyn 60から作り出したエアロゾルに4時間曝露した。Microcyn 60の濃度は2.16mg/Lであると決定された。全ての動物を、死亡及び毒性の臨床的/行動上の兆候について、曝露の日、及びその後14日間毎日一度、頻繁に観察した。全ての動物を14日目に安楽死させ、巨視的な検死を行った。
【0213】
全ての動物は、曝露の開始から4時間及び6時間後に、非常にわずか〜わずかな立毛及び非常にわずかな活動性の減少を示したが、明くる日までには無症候性であって、研究の継続期間にわたって臨床的に正常であるように見えた。1匹の雄は0日目と7日目との間に体重を増やすことが出来なかった。死亡はなく、また巨視的な検死において、観察出来る異常は見られなかった。この研究から見積もられる急性吸入LD50は2.16mg/Lより大きい。
【0214】
更なる毒性の研究をウサギで行った。15、30、45、及び60日の間にわたり1日3回、エアロゾル超酸化水(1mL)を陽圧機器を通じて20匹のニュージーランドウサギの右鼻孔に送達する。コントロールである左の鼻孔はいかなる処理もしないでそのままにする。非処理及びM60で処理した鼻孔からの鼻粘膜のバイオプシーを各時点で5匹の動物から得る。これらの組織をその後、光学顕微鏡及び電子顕微鏡で観察する。完全な身体検査を各動物で1日おきに行い、鼻閉塞、顔面痛、圧力、粘液膿性鼻漏、及び倦怠感を報告する。副作用はまれで、軽度で、且つ一時的であると報告されよう。
【0215】
60日間の鼻腔内M60塗布後に鼻粘膜に変化が現れた。60日目には全てのサンプルにおいて、上皮の軽度の破壊、上皮下領域の不連続な炎症浸潤、並びに腺及び血管の過形成があった。微細構造の観察で、様々な嚢胞様の変化が上皮細胞内に現れ、ミトコンドリアは凝縮して変形し、膜の一部が分解していることを本発明者らは検出した。一部の上皮細胞は剥離し、上皮の繊毛はほとんど消失し、その膜は分解し、細胞間隙は広がっていた。基底膜から剥離した細胞もあった。固有層は軽い水腫であった。
【0216】
この研究は、60日間の鼻腔内投与後、M60が鼻粘膜を軽く刺激し得ることを示している。しかしながら、この損傷は最低限且つ回復可能であり、従って鼻腔内経路でのM60の投与は安全であるとみなすことができる。これは、数年間血管収縮剤を塗布した後、鼻粘膜は深刻なほど傷付き得るが、それでもまだそれらの薬をやめた後で正常に回復するという事実に基づいている。これは、基底細胞及び基底膜が、傷害後でも損なわれていないままであるかどうかに依存する、鼻粘膜の再生プロセスによる可能性がある。隣接する基底細胞は、基底膜に沿って障害へ移動し障害を覆い得る。それゆえ、M60処理の後で一部の領域において上皮細胞の軽い剥離が存在していてさえも、基底膜は生き延び、また病気領域の近くの生き延びた上皮細胞は上皮が無い領域に向かって成長した。更に、局所ステロイドも鼻粘膜の構造及び機能の回復を促進するために適用されてきた。
【0217】
結論として、5日間のM60の鼻腔内投与は、このコホートにおいて安全であった。病気の粘膜の変化は軽度且つ回復可能であった。それゆえ、M60の鼻腔内投与は広く使用され得る。
【0218】
実施例12
この実施例は、例示的なORP水の活性、安定性、及び毒性の無さを示している。
【0219】
この研究に使用されるそのようなORP水溶液の一つは、「Microcyn」として知られ、最近消毒剤としてメキシコ市場に導入された。Microcynは、メキシコ保健事務局(the Secretariat of Health of Mexico)から得た認可に従う、殺菌、消毒、及び創傷消毒活性を持つ中性pHの超酸化溶液である。Micirocynは、純水及び塩(NaCl)から調製され、低濃度のナトリウム(<55ppm)及び塩素(<80ppm)、7.2から7.8の範囲のpH、及び840mVから960mVの範囲の酸化還元電位を有する。Microcynは、一つの濃度のみで生産され、活性化したり希釈したりする必要はない。
【0220】
この溶液は、逆浸透によって得られる水から生産され、それから高電圧及び塩化ナトリウムによって生み出される電気化学勾配にさらされる。この方法中、電気化学勾配が生み出される複数の室で形成する反応性種が制御された方法で選択され、Microcynを作り出す。その結果は、高い酸化還元電位(+840mVから+960mV)及びその結果として高い抗菌活性を与える制御されたフリーラジカル含有量を有する溶液である。
【0221】
次亜塩素酸及び次亜塩素ナトリウムがMicrocyn中に含まれる最も豊富な成分であり、とりわけ過酸化水素、オゾン、塩化物イオン、水素化物、及び水酸化ナトリウムのような他のものは微量濃度である。出願人は特定の理論に縛られることを望んでいないが、Microcyn中のナトリウム及び塩素レベルはそれぞれ50及び60パーツ・パー・ミリオン未満であるため、殺菌効果は必ずしも塩素量ではなくてむしろフリーラジカル含量に依存すると考えられている。また、文献で報告された他の超酸化溶液と比較して、Microcynは中性pH(6.4〜7.8)であり、また腐食性でなく、2年までの保存中安定である。これらの全ての特徴が、高水準の殺菌剤として有効であって、且つ無生物表面及び組織内の両方での使用に適合する超酸化溶液の製造を可能にした。
【0222】
Microcynは、2年間の間その殺菌活性を失うことなく、4から65℃という広く変動する範囲の温度条件で保存できることを、加速安定試験は示した。棚上での長期安定性というこの特性もまた、製造後すぐに使用される場合のみ有効である既に報告された超酸化溶液との違いである。換言すれば、Microcynは抗菌活性を失うことなく極端な条件でさえも保存され分配され得るが、他の溶液は、その溶液を使用しようと試みる全ての病院において専門的且つ高価な機械によって製造されなければならない。それにもかかわらず、製造者は、一度Microcynの容器を開封したら、同一の活性及び一貫性のある結果を保証するために30日以内に使用することを推奨している。
【0223】
Microcynは、たった一つの濃度で製造されるため、Microcynの用量は皮膚の単位面積当たりに塗布される容量の変化のみによって変化し得る。毒物学的研究において、無傷の皮膚に局所的に塗布されるMicrocynの用量は、0.05と0.07mL/cmとの間で変化し、急性皮膚毒性の研究及び皮膚刺激の調査においては、8.0mL/cmまでであり、そして深い創傷におけるその塗布を調査したものでは、Microcynは0.09mL/cmという用量で塗布された。
【0224】
4から24時間の曝露での単回塗布を使用した、Microcynを無傷の皮膚に局所的に塗布する毒物学的研究を行った。1日に1回又は2回、7日間のMicrocynの複数回塗布をラットの深い創傷について判定した。
【0225】
Microcynの急性刺激及び皮膚毒性に関する影響を評価する2つの研究をウサギの無傷の皮膚で行った。死体解剖時の皮膚における臨床的兆候、皮膚刺激、又は異常は、Microcynに曝露された動物のいずれにも見られなかった。
【0226】
深い創傷に局所的に塗布したMicrocynからの局所的及び全身の毒性の特徴付けをラットで評価した。異常も、血液化学又は血液細胞学のパラメータの有意な差異も観察されず、死体解剖において異常性も観察されなかった。皮膚刺激類別、並びに創傷及び塗布した場所の周囲の組織の組織病理は、Microcynで処理した創傷と生理食塩水溶液で処理したコントロール群の創傷とでいかなる差異も示さなかった。
【0227】
Microcynの全身毒性も、マウスにおける腹腔内注射を用いて評価した。このために、5匹のマウスに腹腔内経路で単回用量のMicrocyn(50mL/kg)を注射した。同様にして、5匹のコントロールのマウスに単回用量の生理食塩水溶液(0.9%の塩化ナトリウム)(50mL/kg)を注射した。この調査において、単回腹腔内用量のMicrocyn(そのLD50は50mL/kgを上回っている)を受けたいずれの動物においても、死亡も全身毒性のいかなる証拠も観察されなかった。
【0228】
Mycrocynを、その吸収を可能とし、また、製品のあらゆる内在性の毒性効果を特徴付けるために、ラットに経口経路で投与した。このために、単回用量(4.98mL/kg)をSprague−Dawley株の3匹のアルビノラットに食道管経路で投与した。死亡も無く、また、単回経口用量のMicrocynに曝露されたいずれの動物の死体解剖においても、臨床的症状も異常も無かった。
【0229】
局所的に塗布したMicrocynの眼刺激の可能性についても、ウサギで評価した。眼球経路を通じた局所投与によるMicrocynに曝露したいずれの動物においても、眼刺激も他のいかなる臨床的徴候も観察されなかった。
【0230】
Microcynをラットに吸入経路で適用し、吸入による潜在的な急性毒性を決定した。全ての動物は、曝露後の活動性及び立毛において、非常にわずか又はわずかの減少を示したが、全ての動物は翌日には無症候性であった。吸入によってMicrocynに曝露された動物の死体解剖では、死亡も異常も観察されなかった。
【0231】
Microcynでの皮膚感作の可能性の評価を、改変した閉塞パッチ法(Buehler)を使用してモルモットで行った。簡易処理のチャレンジ後のコントロール群の動物においても、当該処理でのチャレンジ後に評価(誘導によって処理)される動物においても、刺激は観察されなかった。従って、Microcynは感作反応を引き起こさない。
【0232】
このように、経口及び吸入経路、又は腹腔内注射によって、無傷の皮膚、深く開いた皮膚の創傷、結膜嚢内に適用されたとき、Microcynは製品と関連する副作用を示さなかった。また、優れた消毒及び美容の結果で、皮膚及び粘膜における非常に多様な性質の創傷を持った500人を超える患者を治療した実験もある。従って、局所的に塗布されたMicrocynは、この臨床試験において、有効且つ良好な耐容性のはずである。
【0233】
Microcynは、透明な240mLのPETボトルに詰められる。この製品は環境温度で保存され、ボトルが開封されなければ、2年間まで棚上で安定なままである。開封された場合、全ての製品を90日未満に使用することが推奨される。その高い生物学的安全性のプロファイルから、Microcynは汚染又は腐食の危険性無しで流しに空けられ得る。
【0234】
Microcynを用いた複数の微生物試験が合衆国及びメキシコの両方において行われてきた。90%を超える細菌の根絶が曝露の最初の数秒において起こる。この基準に従ってMicrocynが示す抗細菌及び抗真菌活性を表5にまとめた。
【0235】
【表5】
【0236】
殺胞子活性試験をPAHO[汎米保健機構]/WHOのプロトコールに従って行った。
【0237】
抗ウイルス活性に関して、Microcynはヒト免疫不全ウイルス(SF33株)のウイルス負荷を5分間で3logを超えて減少させることが分かった。これを、Microcynで処理したウイルスの試験において、細胞変性効果及び抗原Agp24が無いことによって確かめた。これらの試験は、米国環境保護庁の殺ウイルス剤プロトコール(DIS/TSS−7/1981年11月12日)に従って行った。
【0238】
Microcynの殺ウイルス活性は、米国でHIV及びポリオウイルスに対して行われた研究で最近確認され、またListeria monocytogenes、MRSA、及びMycobacterium tuberculosisに対するその活性もまた実証されている。このように、Microcynは、推奨される通りに投与される場合、1分から15分の曝露で、細菌、真菌、ウイルス、及び胞子を根絶し得ることが示されている。
【0239】
実施例13
この実施例は、例示的なORP水溶液であるMicrocynの有効な抗菌性溶液としての使用を示している。
【0240】
Microcyn酸化還元電位水を使用して、インビトロでの時間−殺菌評価を行った。Microcynを、Tentative Final Monograph,Federal Register,17 June 1994,vol.59:116,pg.31444に記載されたようにして、50の異なる微生物株− −25のAmerican Type Culture Collection(ATCC)の株及び25のそれらと同種の臨床分離株−のチャレンジ懸濁液に対して評価した。各チャレンジ株の初期集団からのパーセント減少率及びLog10減少率を、30秒間、1分間、3分間、5分間、7分間、9分間、11分間、13分間、15分間、及び20分間のMicrocynへの曝露後に決定した。全ての寒天プレートを重複して行い、Microcynを99%(v/v)濃度で評価した。全ての試験は、米国連邦規則第21条第58章に定められた通り、優良試験所基準に従って行った。
【0241】
以下の表に、5.0Log10を上回って減少した、試験した全ての集団についての30秒の曝露指標での上述したインビトロでの時間−殺菌評価の結果をまとめた。
【0242】
【表6-1】
【0243】
【表6-2】
【0244】
【表6-3】
【0245】
【表6-4】
【0246】
これらの微生物の減少を5.0Log10未満で測定したが、Microcynはまた、表6に含まれない残りの3種に対する抗菌活性も示した。より具体的には、Microcynへの30秒の曝露により、Streptococcus pneumoniae (臨床分離株; BSLI #072605Spn1)の集団は、4.5Log10(これはこの種に対する検出限度である)を超えて減少した。更に、Candida tropicalis (ATCC #750)でのチャレンジにおいて、Microcynは、30秒の曝露後、3.0Log10を超える微生物の減少を示した。それに加えて、Candida tropicalis (BSLI #042905Ct)でのチャレンジにおいて、Microcynは、20分の曝露後、3.0Log10を超える微生物の減少を示した。
【0247】
このインビトロの時間−殺菌評価の例示的な結果は、Microcyn酸化還元電位水が、広い範囲のチャレンジ微生物に対して急速な(即ち、殆どの場合、30秒未満)抗菌活性を示すことを示している。評価した50のグラム陽性、グラム陰性、及び酵母種のうちの47の微生物集団は、製品への30秒以内の曝露で、5.0Log10を超えて減少した。
【0248】
実施例14
この実施例は、例示的なORP水溶液であるMicrocynの、HIBICLENS(登録商標)グルコン酸クロルヘキシジン溶液4.0%(w/v)及び0.9%塩化ナトリウム洗浄液(USP)に対する抗菌活性の比較を示している。
【0249】
インビトロの時間−殺菌評価を、参照製品としてHIBICLENS(登録商標)グルコン酸クロルヘキシジン溶液4.0%(w/v)及び無菌性0.9%塩化ナトリウム洗浄溶液(USP)を使用して実施例13で述べたようにして行った。各参照製品を、Tentative Final Monographに具体的に示された10のAmerican Type Culture Collection(ATCC)株の懸濁液に対して評価した。収集したデータをその後、実施例13で記録されたMicrocynの微生物減少活性に対して分析した。
【0250】
Microcyn酸化還元電位水は、チャレンジ株のうち5つの微生物集団を、HIBICLENS(登録商標)グルコン酸クロルヘキシジン溶液で観察されるのと遜色無い水準まで減少させた。MicrocynとHIBICLENS(登録商標)との両方とも、以下の種:Escherichia coli (ATCC #11229及びATCC #25922)、Pseudomonas aeruginosa (ATCC #15442及びATCC #27853)、及びSerratia marcescens (ATCC #14756)への30秒の曝露後、5.0Log10を超える微生物の減少を与えた。更に、上記表5に示したように、Microcynは、Micrococcus luteus (ATCC #7468)に対して、30秒の曝露後に5.8420Log10の減少を与えることによる優れた抗菌活性を示した。しかしながら、30秒の曝露後、HIBICLENS(登録商標)は試験の検出限度(この具体的ケースにおいては、4.8Log10を上回る)まで集団を減少させたため、Micrococcus luteus (ATCC #7468)の活性のHIBICLENS(登録商標)との直接的な比較は不可能であった。なお、無菌性0.9%塩化ナトリウム洗浄溶液は、上述した6つのチャレンジ株のそれぞれの微生物集団を、全20分の曝露後に0.3Log10未満減少させた。
【0251】
Microcyn酸化還元電位水は、試験した4つのチャレンジ株:Enterococcus faecalis (ATCC #29212)、Staphylococcus aureus (ATCC #6538及びATCC #29213)、及びStaphylococcus epidermidis (ATCC #12228)について、HIBICLENS(登録商標)と塩化ナトリウム洗浄液の両方よりも強い抗菌活性を与えた。以下の表にこれら4種についてのインビトロの時間−殺菌評価の微生物減少結果をまとめた。
【0252】
【表7-1】
【0253】
【表7-2】
【0254】
この比較のインビトロの時間−殺菌評価の結果は、Microcyn酸化還元電位水が、Escherichia coli (ATCC #11229及びATCC #25922)、Pseudomonas aeruginosa (ATCC #15442及びATCC #27853)、Serratia marcescens (ATCC #14756)、及びMicrococcus luteus (ATCC #7468)に対してHIBICLENS(登録商標)と遜色ない抗菌活性を示すだけでなく、Enterococcus faecalis(ATCC #29212)、Staphylococcus aureus (ATCC #6538及びATCC #29213)及びStaphylococcus epidermidis (ATCC #12228)に対してより有効な治療を与えることを示している。表7に示したように、Microcynは、一部の種において、より急速な抗菌反応(即ち、30秒未満)を実証している。更に、Microcynへの曝露は、表7に記載した全ての種において全微生物のより大きな減少をもたらす。
【0255】
実施例15
この実施例は、患者への局所投与に好適な本発明の製剤を提供する。製剤は以下を含有する:
成分
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0256】
実施例16
この実施例は、患者への局所投与に好適な本発明の製剤を提供する。製剤は以下を含有する:
成分
ORP水溶液 1000mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 15g
トリエタノールアミン(中和剤) 80mL
【0257】
実施例17
この実施例は、患者への局所投与に好適な本発明の製剤を提供する。製剤は以下を含有する:
成分
ORP水溶液 250mL
Carbopol(登録商標)ポリマー粉末(増粘剤) 7g
トリエタノールアミン(中和剤) 12mL
【0258】
実施例18
この実施例は、ORP水溶液及び増粘剤を含む本発明の製剤の製造を記載する。
【0259】
ORP水溶液を、ガラスビーカーやビンなどの好適な容器に入れる。Carbopol(登録商標)974Pポリマーは粗い篩(又はざる)を通過させ、それにより急速な散布が可能になり、それと同時にあらゆる大きな凝集体が壊れる。ポリマーCarbopol(登録商標)974Pをそれから、増粘剤として添加する。Carbopol(登録商標)ポリマーをゆっくり添加して、凝集塊の形成を防止し、こうして過度に長い混合サイクルを回避する。
【0260】
この溶液をCarbopol(登録商標)ポリマーの添加中に急速に混合し、その結果、粉末は室温で溶解する。それから中和剤トリエタノールアミンを溶液に加え、均一なゲルが得られるまで電動ミキサー又は他の好適な器具を使って混合する。Carbopol(登録商標)ポリマー組成物への中和剤の添加は、製剤をゲルに変換する。
【0261】
実施例19
この実施例は、小児熱傷患者における熱傷、特に第二度及び第三度熱傷の治療のための、本発明に従うORP水溶液の使用を記載する。
【0262】
合計64人のヒトの小児熱傷患者をORP水溶液で治療した。研究群を、従来の熱傷治療で処理されたこれもまた64人の患者からなるコントロール群と比較した。研究群は以下から構成された:1人の第一度熱傷患者、6人の第一度と第二度熱傷との組み合わせの患者、38人の第二度熱傷患者、4人の第三度熱傷患者、及び15人の第二度と第三度熱傷との組み合わせの患者。更に、研究群は、その身体の以下のパーセントにわたる熱傷(即ち、熱傷の広がり)を持つ患者から構成された:0から9%の熱傷の広がりを持つ10人の患者、10から19%の熱傷の広がりを持つ27人の患者、20から29%の熱傷の広がりを持つ11人の患者、30から39%の熱傷の広がりを持つ8人の患者、40から49%の熱傷の広がりを持つ4人の患者、50から59%の熱傷の広がりを持つ1人の患者、及び60から69%の熱傷の広がりを持つ3人の患者。それぞれの熱傷を最初に清拭した。溶液を高圧洗浄器具でスプレーすることによって塗布した。次に、溶液をスプレーすることによって塗布し、5分から15分間熱傷を湿潤させたままにしておき、これを1日に3回繰り返した。溶液の投与の間は、熱傷をドレッシングしなかった。
【0263】
熱傷表面の微生物の存在を決定するために採取した培養物において、コントロール群では22人の患者であったのと比べ、ORP水溶液で処理された患者のわずか6人のみが病院での7〜15日間の後に陽性培養であった。研究群(58人)及びコントロール群(42人)の残りの患者は陰性培養であった。研究群及びコントロール群からの陽性培養物に存在した微生物を表8に記載した。
【0264】
【表8】
【0265】
ORP水溶液塗布の頻度は、各患者の創傷の性質に従って変動した。研究群及びコントロール群について、熱傷グレード別の平均入院期間を表にした。第一度熱傷については、平均病院滞在は、コントロール群(45患者)の19.2日と比べ、研究群(6患者)については4.6日であった。第二度熱傷については、平均入院期間は、コントロール群(9患者)の26.9日と比べ、研究群(44患者)については10.6日であった。第三度熱傷については、平均入院期間は、コントロール群(10患者)の39.8日と比べ、研究群(14患者)については29.5日であった。全体としては、平均入院期間の長さは、本発明のORP水溶液の小児熱傷患者への投与により、28.6日から14.9日へと48%減少した。熱傷の広がりに基づく、コントロール群対(v.)研究群についての病院における平均入院日数を表9に記載した。
【0266】
【表9】
【0267】
この実施例から明らかなように、本発明のORP水溶液は、小児熱傷患者に有利に投与されて入院の減少をもたらし得る。
【0268】
実施例20
この実施例は、抗生物質の投与無しでの小児熱傷患者への本発明のORP水溶液の投与を記載する。
【0269】
上記実施例19で記載した、病院での7〜15日間の後の測定で微生物培養陰性であった研究群の58患者の誰も、抗生物質で治療しなかった。この患者群の平均入院期間は12.3日であった。研究群について、46患者にORP水溶液の投与に加えて抗生物質を使用した。微生物の陽性培養がこれらの患者のうちで22人から観察され、抗生物質を使用した患者の平均入院期間は28.6日であった。
【0270】
この実施例から明らかなように、本発明のORP水溶液は、抗生物質の常用無しで小児熱傷患者に有利に投与され得る。
【0271】
実施例21
この実施例は、過酸化水素(HP)に対する例示的なORP水溶液の、ヒト2倍体繊維芽細胞(HDF)の生存能力に対する影響を示している。この潜在的な毒性を調べるために、HDFをインビトロでORP水溶液及び過酸化水素(HP)に曝露した。HPは真核細胞に対して毒性であることが知られており、アポトーシス及び壊死を増加させ、且つ細胞の生存能力を減少させる。この実施例において、細胞の生存能力、アポトーシス、及び壊死を、5分及び30分間純粋なORP水溶液及び880mM HP(HPの清毒用途で採用される濃度)に曝露したHDFで測定した。
【0272】
HDFの培養物を、この調査の目的でプールし、一緒に冷凍保存した3つの異なる包皮から得た。全ての実験について、2倍体細胞のみを使用した。細胞周期の分析において、DNAの2倍性を、少なくとも20,000の合計事象から収集したCV 7%未満の単一G0−G1ピーク及び対応するG2/Mピークの存在として定義した。図4A〜4Cは、曝露時間5分及び30分をそれぞれ白棒及び黒棒で表した結果を開示している。これらのパラメータの同時分析を、同じ細胞集団中で、A)7−アミノアクチノマイシンD(7AAD)、B)アネキシンV−FITC、及びC)ヨウ化プロピジウムを使用するフローサイトメトリーによって行った。図8A〜8Cは、平均±SD(n=3)で表したパーセント値を開示している。
【0273】
細胞の生存率は、5分間のORP水溶液及びHPへの曝露後、それぞれ75%及び55%であった(図4A)。曝露を30分に延長した場合、細胞の生存率は、それぞれ60%及び5%にまで更に減少した。15%の細胞がフローサイトメトリー分析において両方の時間でヨウ化プロピジウムを取り込んだため、明らかにORP水溶液は壊死による細胞死を引き起こした(図4C)。いかなる特定の理論に縛られることも望んでいないが、細胞は、成長因子又はイオンの添加無しでORP水溶液のみの中に保たれたため、この結果はMicrocynの低張性(13mOsm)によって引き起こされた浸透圧効果が原因であり得る。ORP水溶液で処理された細胞の3%しか細胞表面にアネキシンV(アポトーシスマーカー)を露出させなかったため(図4B)、アポトーシスはORP水溶液が細胞死を引き起こすメカニズムでは無いようである。このパーセンテージは、コントロール群で測定されたものと実質的に同様であった。一方、HPは、5分及び30分の曝露後、処理した細胞の20%及び75%で壊死を、15%及び20%でアポトーシスをそれぞれ引き起こした。つまり、これらの結果は、(未希釈の)ORP水溶液はHDFに対して、清毒的な濃度のHPと比べてはるかに低い毒性であることを示している。
【0274】
実施例22
この実施例は、HDFにおける酸化的DNA損傷及びDNA付加物8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)の形成への、過酸化水素(HP)と比較した例示的なORP水溶液の影響を示している。細胞内での8−OHdG付加物の産生は、DNAの特定残基での酸化損傷のマーカーであることが知られている。加えて、この付加物の高い細胞内のレベルは変異誘発、発癌、及び細胞の老化と相関している。
【0275】
図5は、30分間のコントロール処理、ORP水溶液処理、及びHP処理後のHDF由来のDNAサンプル中に存在する8−OHdG付加物のレベルを示している。DNAを、曝露後直ちに(T0,白棒)又はチャレンジ期間から3時間後(T3,黒棒)に抽出した。DNAを消化し、製造者の使用説明書のとおりにELISAキットによって8−OHdG付加物を測定した。値は平均±SD(n=3)で示した(ng/mL)。30分間のORP水溶液への曝露は、処理した細胞における付加物の形成を、30分間のインキュベーション後のコントロール細胞と比較して増加させなかった。一方、高希釈HP−致死未満の非治療的なHP濃度(500μM HP)まで下げた−での処理、30分間の500μM HPでの処理は、8−OHdG付加物の数を、コントロール処理又はORP水溶液処理した細胞と比べて約25倍増加させた。
【0276】
ORP水溶液で処理した細胞は、ORP水溶液への曝露後3時間にわたり、補充DMEM中に入れたままにしておいた場合、8−OHdG付加物のレベルを減少させることが可能であった。同じ3時間の回復期間を与えたにも関わらず、HP処理した細胞はそれでもまだ、コントロール処理又はORP水溶液処理した細胞よりも約5倍多い付加物を示した。つまり、これらの結果は、ORP水溶液への急性曝露は有意なDNA酸化損傷を誘導しないことを示している。これらの結果はまた、ORP水溶液は、インビトロ又はインビボでの変異誘発又は発癌を引き起こさないらしいことを示している。
【0277】
実施例23
この実施例は、HPと対比した、低濃度の例示的なORP水溶液への慢性曝露の、HDFへの影響を示している。慢性の酸化ストレスは細胞の早期老化を引き起こすことが知られている。長期の酸化ストレスを模倣するために、20集団の倍増の間、初代HDF培養物を低濃度のORP水溶液(10%)又は非致死性のHP濃度(5μM)に慢性的に曝露した。SA−β−ガラクトシダーゼ酵素の発現及び活性は、以前からインビボ及びインビトロでの老化過程と関連付けられてきた。この実施例においては、SA−β−ガラクトシダーゼ酵素の発現を、ORP水溶液又はHPへのHDFの1ヶ月の連続的な曝露後に分析した。結果を図6に示している。酵素SA−β−ガラクトシダーゼの発現は、20の顕微鏡視野における青色の細胞の数をカウントすることにより分析した。(染色パターンの例については、パネルAを参照されたい。)パネルBは、SA−β−ガラクトシダーゼを過剰発現した細胞の数が示すように(n=3)、HP処理のみが細胞老化を加速させたことを示している。低用量のHPでの慢性的な処理は、SA−β−Galの発現を86%の細胞で増加させたが、一方でORP水溶液での処理はこのタンパク質の過剰発現を引き起こさなかった。この実施例から、ORP水溶液は細胞の早期老化を引き起こすものではないことが結論付けられ得る。
【0278】
実施例24
この実施例は、例示的なORP水溶液を使用した毒性調査の結果を示している。
【0279】
急性の全身毒性調査をマウスで行い、例示的なORP水溶液であるMicrocyn60の潜在的な全身毒性を決定した。単回用量(50mL/kg)のMicrocyn60を5匹のマウスに腹腔内注射した。5匹のコントロールのマウスに単回用量(50mL/kg)の生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)を注射した。全ての動物を、注射後すぐ、注射から4時間後、及び以後7日間毎日1回、死亡及び有害反応について観察した。全ての動物の体重も、注射前及び7日目に再度計量した。調査の間には、死亡はなかった。全ての動物は、調査を通じて臨床的に正常であるように見えた。全ての動物は体重が増加した。この調査から見積もられたMicrocyn60の急性腹腔内LD50は、50mL/kgより大きい。この実施例は、Microcyn60は有意な毒性を持たず、本発明に従った治療的な使用について安全であるはずであることを示している。
【0280】
実施例25
この実施例は、例示的なORP水溶液の潜在的な細胞遺伝毒性を決定するために行った調査を表している。
【0281】
例示的なORP水溶液(Microcyn 10%)を使用して微小核試験を行い、マウスへのORP水溶液の腹腔内注射の変異誘発の可能性を評価した。哺乳動物でのインビボの微小核試験は、マウスの多染性赤血球の染色体又は分裂装置への損傷を引き起こす物質の同定のために使用されている。この損傷は、ラギング染色体の断片又は分離した染色体全体を含有する細胞内構造である「微小核」の形成をもたらす。ORP水溶液の調査は、各10匹(オス5匹/メス5匹)のマウスの3つの群を含んだ:試験群、ORP水溶液を投与する;ネガティブコントロール群、0.9% NaCl溶液を投与する;及びポジティブコントロール群、変異原性のシクロホスファミド溶液を投与する。試験群及びネガティブコントロール群に、それぞれORP水溶液又は0.9% NaCl溶液の腹腔内注射(12.5ml/kg)を連続2日間(1日目及び2日目)与えた。ポジティブコントロールのマウスに、シクロホスファミド(8mg/mL,12.5ml/kg)の単回の腹腔内注射を2日目に与えた。何らかの有害反応について、全てのマウスを注射後すぐに観察した。全ての動物は、調査を通じて臨床的に正常であるように見え、いずれの群においても毒性の兆候は見られなかった。3日目に全てのマウスの体重を量り殺した。
【0282】
殺したマウスから大腿を摘出し、骨髄を抽出し、各マウスについて二重で塗抹標本を行った。各動物の骨髄のスライドを倍率40倍で読み取った。骨髄毒性の指標である、多染性赤血球(PCE)の正染性赤血球(NCE)に対する割合を、各マウスについて少なくとも合計200の赤血球をカウントすることにより決定した。それから、マウス1匹あたり最低2000の記録可能な(scoreble)PCEを微小核化多染性赤血球の発生について評価した。データの統計解析は、統計ソフトウェアパッケージ(Statview 5.0,SAS Institute Inc.,USA)のマン・ホイットニー検定(5%のリスク閾値)を使用して行った。
【0283】
ポジティブコントロールのマウスは、それらの各ネガティブコントロールと比較して、統計的に有意に低いPCE/NCE比を有したが(雄:0.77対0.90、及び雌:0.73対1.02)、これは処理した骨髄へのシクロホスファミドの毒性を示している。しかしながら、ORP水溶液で処理したマウスとネガティブコントロールとの間には、PCE/NCE比に統計的に有意な差異は無かった。同様に、ポジティブコントロールのマウスは、ORP水溶液で処理したマウス(雄:11.0対1.4/雌:12.6対0.8)及びネガティブコントロール(雄:11.0対0.6/雌:12.6対1.0)の両方と比較して、微小核を有する多染性赤血球を統計的に有意に多く持っていた。ORP水溶液で処理したマウスとネガティブコントロールのマウスとの間には、微小核を有する多染性赤血球の数に統計的に有意な差異は無かった。
【0284】
この実施例は、10%のMicrocynは、マウスへの腹腔内注射後に毒性効果も変異原性効果も引き起こさなかったことを示している。
【0285】
実施例26
この調査は、例示的なORP水溶液Dermacynには毒性がないことを示している。
【0286】
この調査はISO 10993−5:1999基準に従って行い、例示的なORP水溶液Dermacynが細胞毒性を引き起こす可能性を決定した。0.1mLのDermacynを含むフィルターディスクをアガロース表面に置き、マウス繊維芽細胞(L−929)の単層に直接重層した。調製したサンプルを、5% COの存在下37℃での24時間のインキュベーション後、細胞傷害性の損傷について観察した。観察結果をポジティブ及びネガティブコントロールのサンプルと比較した。Dermacynを含有するサンプルは細胞溶解又は毒性のいかなる証拠も示さず、一方ポジティブ及びネガティブコントロールは予想された通りであった。
【0287】
この調査に基づき、Dermacynはマウス繊維芽細胞に対して細胞毒性効果を生じないと結論付けた。
【0288】
実施例27
この調査は16匹のラットで行い、例示的なORP水溶液Dermacynの局所耐容性、及び全層皮膚創傷治癒のモデルにおける創傷床の組織病理へのその影響を評価した。創傷を対象ラットの両側に作った。治癒プロセスの間、皮膚切片を左側又は右側のいずれかに置いた(例、それぞれDermacyn処理及び生理食塩水処理)。
【0289】
Dermacyn及び生理食塩水処理した外科創傷部位のマッソントリクローム染色切片及びII型コラーゲン染色切片を有資格の獣医病理学者によって評価した。結合組織の増殖の現れとしての2型コラーゲンの発現量、繊維芽細胞の形態及びコラーゲンの形成、横断面における新表皮の存在、炎症及び皮膚潰瘍化の程度について、切片を判定した。
【0290】
知見は、Dermacynはラットにおいて十分な耐容されたことを示す。いずれかの側の創傷(それぞれDermacyn処理及び生理食塩水処理)からの皮膚切片において、処理に関連する組織病理学的な病変は無かった。生理食塩水処理及びDermacyn処理した創傷部位の間に、関連性のある組織病理学的な差異は無く、Dermacyn処理は十分な耐容性であることを示していた。生理食塩水処理及びDermacyn処理した創傷部位の間に、2型コラーゲン発現の有意な差異は無く、Dermacynは創傷治癒の間、繊維芽細胞又はコラーゲンの同化に副作用を及ぼさないことを示している。
【0291】
実施例28
この調査は、踝より遠位の壊死組織(潰瘍)の治療においてVersajet(商標)(Smith & Nephew)ジェット洗浄システムの交換溶液として本発明に従って使用される例示的なORP水溶液であるDermacynの、標準レジメンと比較した安全性及び有効性を説明するために実施され得る。
【0292】
これは、前向きランダム化二重盲検対照研究である。約30人の患者(Dermacyn群は約20人/コントロール群は約10人)をこの研究に登録する。この研究の集団は下肢潰瘍(例、糖尿病性足潰瘍、静脈うっ滞性潰瘍)の患者である。患者が研究への登録に適格であるためには、全ての研究包含基準及び除外基準を0日目までに満たしていなければならない。包含基準は以下である:患者は18歳以上である;患者の下肢潰瘍には壊死組織が存在し、ジェット洗浄システムによる機械的な清拭の候補である;患者の潰瘍は踝より遠位に位置している;患者の潰瘍表面積は1.0cm以上である;患者の潰瘍は真皮を通って皮下組織にまで広がっており(肉芽組織が存在しても良い)、筋肉又は腱の露出があり得るが骨及び/又は関節包の関与は無い;及び患者のドップラー足関節−上腕指数は、0.8以上のABIであるか、又は患者のつま先の圧力は40mmHg以上である。
【0293】
除外基準は以下である:患者は治療肢のいずれかの部分に壊疽の臨床上の証拠がある;患者の潰瘍は研究期間中に切除又は切断されることが見込まれている;患者は全身性炎症反応症候群(SIRS)に付随する兆候を有している;患者の潰瘍は1cm未満の総表面積である;研究員の意見では、患者をこの研究の候補として不適当にする1種以上の病状(腎臓、肝臓、血液、神経、又は免疫の病気を含む)を患者は有している;患者は既知の能動的なアルコール及び薬物の乱用を有する;患者は副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤又は細胞毒性剤を経口又は非経口で受けているか、又は研究の過程中にそのような剤を必要とすることが予期される;患者は塩素に対する既知のアレルギーを持っている;患者の潰瘍は骨髄炎を伴っている;及び患者は、患者がこの研究を完了する能力を著しく危うくする何らかの状態を有している。
【0294】
インフォームド・コンセントを得た後、包含基準及び除外基準にかなえば、患者を以下の治療の一つに任意抽出する(2:1の任意抽出):治療−ジェット洗浄システムとDermacyn、及びヒドロゲル創傷ドレッシングレジメンの使用;コントロール−生理食塩水(ジェット洗浄システムでの標準的な治療)、及びヒドロゲル創傷ドレッシングレジメンの使用。
【0295】
Dermacynに任意抽出された各患者は、患者の創傷の機械的な清拭中に、Versajetジェット洗浄システムを用いた研究製品Dermacynの適用を受ける。Versajetの標準的な圧力設定を糖尿病性足潰瘍(踝よりも遠位である)に使用する。清拭後、Dermacynを残屑のない創傷床をすすぐのに充分な量で創傷に塗布する。創傷をヒドロゲルドレッシングで覆う。ドレッシングを変える度に、創傷をDermacynで洗い流し、新たなヒドロゲルドレッシングで覆う。研究員による特別な定めの無い限り、ドレッシングは3日毎に変える。臨床反応因子(CFR)((1)創傷における細菌の減少、(2)創傷面積の減少、及び(3)肉芽組織の発達)を週に1度の来診中に決定する。
【0296】
コントロールの各患者は、患者の創傷の機械的な清拭の間、Versajetジェット洗浄システムによるコントロール製品(生理食塩水溶液)の塗布を受ける。清拭後、生理食塩水を、残屑のない創傷床をすすぐのに充分な量で創傷に塗布する。創傷をヒドロゲルドレッシングで覆う。ドレッシングを変える度に、創傷を生理食塩水で洗い流し、新たなヒドロゲルドレッシングで覆う。研究員による特別の定めが無い限り、ドレッシングは3日毎に変える。週に1度の来診中に臨床反応因子を決定する。
【0297】
創傷の清拭を週に1度の各来診時に行っても良い。あらゆる壊死組織を創傷判定前にジェット洗浄で清拭する。潰瘍からの残屑をDermacyn又は生理食塩水のいずれか(任意抽出に依存する)ですすぐ。訪問の間、患者は、ドレッシングを変える度に、Dermacyn又は生理食塩水(任意抽出に依存する)で創傷をすすぐ。創傷の写真を訪問毎、清拭後に撮る。
【0298】
主要な効力エンドポイントは:(1)創傷における細菌の減少、(2)創傷面積の減少、及び(3)肉芽組織の発達である。安全性を、この研究で任意抽出された全ての患者で判定する。突発的で重篤な有害事象の処置を記録する。
【0299】
実施例29
この研究は、Jet−Ox NDシステムで使用される標準レジメンと比較した、下肢潰瘍における壊死組織の治療におけるJet−Ox ND洗浄システムの交換溶液としての、例示的なORP水溶液Dermacynの安全性及び効力を示す。
【0300】
Jet−Ox NDシステムは、無菌生理食塩水の制御されたスプレー洗浄を通じて、その下の正常組織を損傷することなく、慢性創傷から壊死組織を取り除く。この研究は生理食塩水をDermacynに交換するが、それは同等のスプレー洗浄効果を与え、創傷が閉じるのを妨げ得る創傷の細菌負荷を更に減少させることが見込まれる。
【0301】
20人の患者を研究する(任意抽出して、10人のDermacyn患者及び10人のコントロール患者を得る)。包含基準は以下である:患者は18歳より上である;患者は、膝よりも下に壊死組織が存在する下肢潰瘍を有し、Jet−Ox洗浄システムでの機械的な清拭の候補である;患者の潰瘍は適格審査の来診の30日よりも前に存在していた;潰瘍の表面積は、1cm2よりも大きく、潰瘍は真皮を通じて皮下組織にまで広がっており(肉芽組織が存在しても良い)、筋肉、腱の露出があり得るが骨又は包の露出は無い;患者のドップラーによる足関節/上腕指数は0.8よりも大きく、且つ/又は患者のつま先の圧力は40mmHgよりも高い;及び患者は足背動脈及び/又は後脛骨動脈に触診可能な脈拍を有している。
【0302】
以下の除外基準がある:腎臓、肝臓、血液、神経、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)若しくは後天性免疫不全症候群(AIDS)を有するものを含む免疫不全患者;研究者の意見では、患者を研究には不適切な候補とするもの;感染後の臨床的徴候を有する創傷;治療肢のいずれかの部分の壊疽;潰瘍は露出した骨を表に出している(骨のポジティブなプローブ)か、又は下にある骨髄炎の他の証拠を潰瘍部位に有している;感染潰瘍が研究期間中に切断又は切除されるという予期;アルブミンが2.0よりも低いことで明らかな重篤な栄養失調;既知のアルコール又は薬物乱用;経口又は非経口で、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤又は細胞毒性剤、クマジン、ヘパリンを受けている患者、或いは患者は研究の過程中にそのような剤が必要とすることが予想される;及び患者は塩素に対する既知のアレルギーを持っている。
【0303】
各個体を、2つの治療群;Dermacyn又は生理食塩水のうち1つに任意抽出する。標的潰瘍は機械的な清拭を受け、続いてDermacyn又は生理食塩水のいずれかで創傷を洗浄し、ヒドロゲルドレッシングで包帯をする。実験室での研究(血液学、血清生化学、及び必要に応じて妊娠テスト)、非侵襲的な末梢血管の研究、病歴及び身体検査、潰瘍のトレース、並びに潰瘍の写真撮影と共に定量培養用の中心の創傷生検を採る。
【0304】
Jet−Ox ND洗浄システムを、Dermacyn又は生理食塩水、ヒドロゲル及び包帯素材と共に分配する。家庭での使用のための説明書が提供される。来診は、適正審査、任意抽出を伴う登録[0日目]、清拭、写真撮影、及び判定を伴う毎週の来診を含む。有効性は、(1)創傷における細菌の減少、(2)創傷面積の減少、及び(3)研究の過程中の肉芽組織の発達によって決定する。この研究で任意抽出される全ての患者において、安全性を判定する。突発的で重篤な有害事象の処置を記録する。
【0305】
出版物、特許出願、及び特許を含む本明細書で挙げた全ての文献は、各文献が個別且つ具体的に参照によって組み込まれると表示され、その全体が本明細書に示されたのと同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0306】
本発明を説明する文脈(特に添付の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」及び「an」及び「the」並びに同様の指示対象の使用は、本明細書に別段の指示がないか又は明らかに文脈に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は、別段の記載が無ければ、オープンエンドの用語(即ち、「含むが、それに限定されない」ということを意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個別に言及する簡易な方法としての役目を持つことを単に意図しており、各個別の値は、それが個別に本明細書に引用されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で記載した全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、或いは明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書で与えた、任意及び全ての例、又は例示的な言葉使い(例、「のような(such as)」の使用は、本発明をより良く明らかにすることを単に意図しており、別段の請求が無ければ、本発明の範囲を制限しない。本明細書中の言葉使いは、あらゆる非請求の要素が本発明の実施に不可欠であることを指示していると解釈されてはならない。
【0307】
本発明の好ましい実施態様を、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて本明細書で記載している。これらの好ましい実施態様の変形は、上述の記載を読めば当業者には明らかとなり得る。発明者らは、当業者がそのような変形を好適に採用することを予期しており、また、発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載したのとは別の方法で実施されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲に列挙した対象の、適用法によって認められるあらゆる修正及び同等物を含む。更に、上述の要素のあらゆる可能な変形でのあらゆる組み合わせが、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0308】
図1】本発明の酸化還元電位水溶液を製造するための3室の電解セルの概略図である。
図2】3室の電解セルを示し、そこで生み出されるイオン種を表す。
図3】本発明の酸化還元電位水を製造する方法の模式的フローダイヤグラムである。
図4A】過酸化水素(HP)と対比した、例示的なORP水溶液(MCN)で処理したヒト皮膚繊維芽細胞(HDF)における細胞の生存、アポトーシス、及び壊死の図式的な比較を表す。
図4B】過酸化水素(HP)と対比した、例示的なORP水溶液(MCN)で処理したヒト皮膚繊維芽細胞(HDF)における細胞の生存、アポトーシス、及び壊死の図式的な比較を表す。
図4C】過酸化水素(HP)と対比した、例示的なORP水溶液(MCN)で処理したヒト皮膚繊維芽細胞(HDF)における細胞の生存、アポトーシス、及び壊死の図式的な比較を表す。
図5】500μM過酸化水素(HP)と対比した、例示的なORP水溶液(MCN)で処理したHDFにおける8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)付加物量の図式的な比較である。
図6A】過酸化水素(HP)と対比した、低濃度の例示的なORP水溶液(MCN)への慢性曝露後のHDFにおけるβ−ガラクトシダーゼと関連する老化の発現を示す。
図6B】過酸化水素(HP)と対比した、低濃度の例示的なORP水溶液(MCN)への慢性曝露後のHDFにおけるβ−ガラクトシダーゼと関連する老化の発現を示す。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B