特許第5816561号(P5816561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5816561-基板処理装置 図000002
  • 特許5816561-基板処理装置 図000003
  • 特許5816561-基板処理装置 図000004
  • 特許5816561-基板処理装置 図000005
  • 特許5816561-基板処理装置 図000006
  • 特許5816561-基板処理装置 図000007
  • 特許5816561-基板処理装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816561
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20151029BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
   H05K13/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-4219(P2012-4219)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-143547(P2013-143547A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 利道
(72)【発明者】
【氏名】岡田 篤史
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−216614(JP,A)
【文献】 特開2007−201060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定の作業を行うヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを一軸方向に移動させる移動装置と、
を備え、
前記移動装置は、ガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動するスライド部とを有し、
前記ヘッドユニットは、少なくとも一部が前記スライド部のうちその移動方向の端面から外側に突出する位置に固定されている基板処理装置であって、
前記移動装置は、前記ガイドレールの端面が対向するようにして一対設けられ、
前記ヘッドユニットは、前記スライド部の端面から前記ガイドレールの端面が対向する側に突出する位置に固定されている基板処理装置
【請求項2】
前記ガイドレールの一端側には、前記ガイドレールと略直交するフレームが備えられ、
前記ガイドレールは、前記フレームの側面と交差して延びている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガイドレールの一端側には、前記ガイドレールと略直交するフレームが備えられ、
前記移動装置は、前記フレームに片持ち状に支持されており、
前記ヘッドユニットは、前記スライド部の端面から前記フレームとは反対側に突出する位置に固定されている請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記移動装置には、前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動領域に突出して前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動を規制する移動規制位置と、前記スライド部および前記ヘッドユニットの移動領域から退避して前記スライド部および前記ヘッドユニットの移動を許容する移動許容位置との間を移動可能な可動ストッパが備えられている請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記可動ストッパは、前記ガイドレールの端部に備えられ、
前記基板への所定の作業が停止されると、前記可動ストッパが前記移動規制位置に移動して前記ガイドレールの端部に位置する前記スライド部または前記ヘッドユニットに当接し、前記スライド部または前記ヘッドユニットが前記ガイドレールの中心側に押し戻される請求項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記可動ストッパのうち前記スライド部または前記ヘッドユニットに当接する当接部は、前記ガイドレールの中心側から端側に向かって、前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動領域への突出寸法が少しずつ増す傾斜面とされている請求項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して各種作業を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の電子部品を基板に実装する作業は、複数の作業(例えば基板にクリーム半田を印刷する半田印刷作業、基板に電子部品を装着する部品装着作業、電子部品が装着された基板を加熱することで半田付けを行う半田付け作業、各作業の作業結果を検査する検査作業等)によって構成されている。そして、これら基板に対して行われる各種の作業は、半田印刷機、部品装着機、リフロー炉、検査機等、各種の基板処理装置によってなされる。
【0003】
基板処理装置として、基板に所定の作業を行うヘッドユニットを、ガイドレールに沿って一軸方向に移動させる移動装置を備えたものが知られている。しかし、この移動装置では、ヘッドユニットの移動がガイドレールの敷設範囲内に制限されるので、その範囲外(ガイドレールの軸方向の端面よりも外側)がヘッドユニットのデッドスペースにならざるを得なかった。
【0004】
そこで、このようなヘッドユニットのデッドスペースをなくすべく、例えば、下記特許文献1に記載の基板処理装置は、2段式の移動装置を備えている。この2段式の移動装置は、X軸方向に延びるガイドレールをそれぞれ有する第1軌道形成部と第2軌道形成部とを備え、第1軌道形成部は、X軸方向には移動しないで所定の位置を保ち、第2軌道形成部は、第1軌道形成部に沿ってX軸方向に移動するものとされ、さらにヘッドユニットは、第2軌道形成部に沿ってX軸方向に移動するものとされている。この2段式の移動装置によれば、第2軌道形成部が第1軌道形成部のガイドレールの端面よりも外側に突出する位置まで移動し、さらに、ヘッドユニットが第2軌道形成部のガイドレールの端部に移動することで、ヘッドユニットが第1軌道形成部のガイドレールの端面よりも外側に到達できるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−111421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、第2軌道成形部とヘッドユニットとがそれぞれ移動する2段式の移動装置では、複雑な制御が必要であるため工夫が望まれていた。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、複雑な制御を要することなく、ヘッドユニットをガイドレールの端面よりも外側に突出する位置まで移動することが可能な基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の基板処理装置は、基板に所定の作業を行うヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを一軸方向に移動させる移動装置と、を備え、前記移動装置は、ガイドレールと、前記ガイドレールに沿って移動するスライド部とを有し、前記ヘッドユニットは、少なくとも一部が前記スライド部のうちその移動方向の端面から外側に突出する位置に固定されている。
【0009】
このような構成によれば、スライド部がガイドレールの端まで移動したときには、少なくともヘッドユニットの一部がガイドレールの端面よりも外側に突出する。また、移動装置はスライド部が移動する1段式のものであるから、複雑な制御を要することなく、ヘッドユニットをガイドレールの端面よりも外側に突出する位置まで移動することができる。
【0010】
また、前記移動装置は、前記ガイドレールの端面が対向するようにして一対設けられ、前記ヘッドユニットは、前記スライド部の端面から前記ガイドレールの端面が対向する側に突出する位置に固定されているものとしてもよい。
【0011】
このような構成によれば、スライド部がガイドレールの端まで移動したときには、少なくともヘッドユニットの一部が一対のガイドレールの端面の間に突出するから、この間がデッドスペースになることを防ぐことができる。
【0012】
また、前記ガイドレールの一端側には、前記ガイドレールと略直交するフレームが備えられ、前記ガイドレールは、前記フレームの側面と交差して延びているものとしてもよい。ここで、ガイドレールがフレームの側面と交差することなくその手前で止まっている場合には、ヘッドユニットの移動範囲はフレームの手前までに限られる。しかしながら、ガイドレールがフレームの側面と交差して延びているから、ヘッドユニットはより広い範囲で移動することができる。
【0013】
また、ガイドレールの一端側には、前記ガイドレールと略直交するフレームが備えられ、前記移動装置は、前記フレームに片持ち状に支持されており、前記ヘッドユニットは、前記スライド部の端面から前記フレームとは反対側に突出する位置に固定されているものとしてもよい。
【0014】
また、前記移動装置には、前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動領域に突出して前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動を規制する移動規制位置と、前記スライド部および前記ヘッドユニットの移動領域から退避して前記スライド部および前記ヘッドユニットの移動を許容する移動許容位置との間を移動可能な可動ストッパが備えられているものとしてもよい。
このような構成によれば、可動ストッパを移動させることで、ヘッドユニットの移動領域を適宜可変することができる。
【0015】
また、前記可動ストッパは、前記ガイドレールの端部に備えられ、前記基板への所定の作業が停止されると、前記可動ストッパが前記移動規制位置に移動して前記ガイドレールの端部に位置する前記スライド部または前記ヘッドユニットに当接し、前記スライド部または前記ヘッドユニットが前記ガイドレールの中心側に押し戻されるものとしてもよい。
【0016】
このような構成によれば、基板への所定の作業が停止されたときには、ヘッドユニットはガイドレールの中心側に引っ込むので、例えば作業員が手動で移動装置を動かした場合に、ヘッドユニットが周囲に衝突する事態を防ぐことができる。
【0017】
また、前記可動ストッパのうち前記スライド部または前記ヘッドユニットに当接する当接部は、前記ガイドレールの中心側から端側に向かって、前記スライド部または前記ヘッドユニットの移動領域への突出寸法が少しずつ増す傾斜面とされているものとしてもよい。
このような構成によれば、可動ストッパによって、スライド部またはヘッドユニットを、ガイドレールの中心側にスムーズに押し戻すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複雑な制御を要することなく、ヘッドユニットをガイドレールの端面よりも外側に突出する位置まで移動することが可能な基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態における部品実装装置を示す斜視図
図2】部品実装装置を示す平面図
図3】アームおよびヘッドユニットを示す部品実装装置の一部拡大斜視図
図4】アームおよびヘッドユニットを示す部品実装装置の一部拡大図
図5】可動ストッパが移動規制位置にある状態を示す断面図であって、図4のA−A位置における断面に相当する断面図
図6】ヘッドユニットがX方向レールの端に移動した状態を示す一部拡大断面図
図7】ヘッドユニットが可動ストッパによってX方向レールの中心側に押し戻された状態を示す一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1図7を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における基板処理装置は、所定の位置(実装作業位置)に搬送された基板(図示せず)に対し、部品供給部11から電子部品(図示せず)をピックアップして実装する部品実装装置10である。
【0021】
部品実装装置10は、部品供給部11から実装作業位置へ電子部品を移送して実装作業を行うヘッドユニット50を備えている。ヘッドユニット50は複数(本実施形態では4つ)が備えられており、例えば、基台12上にセットされた4枚の基板に対して各ヘッドユニット50が個別に実装作業を行ったり、基台12上にセットされた1枚または2枚の基板に対して複数のヘッドユニット50が同時に実装作業を行うことが可能とされている。以下、各構成部材において、基板の搬送方向と平行方向をX軸方向、基板の搬送方向と直角方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向として説明する。
【0022】
部品実装装置10の基台12には、基板を搬送するとともに所定の位置で停止させることが可能なコンベア13が備えられている(図2参照)。コンベア13は、基台12の幅方向(Y軸方向)の略中央に一対ずつ、計4つが設けられ、これにより基板の搬送路が1レーンまたは2レーン構成されるようになっている。すなわち大型の基板であれば、一対ずつあるコンベア13のうち一方の一対のコンベア13の幅を狭くするとともに他方の一対のコンベア13の幅を拡げ、この拡幅された側の一対のコンベア13に基板を配置することで基板を1列に並べて搬送することができ、小型の基板であれば、一対のコンベア13にそれぞれ基板を配置することで基板を2列に並べて搬送することができる。
【0023】
部品供給部11は、自在に移動可能とされた一括交換台車であり、コンベア13の両側(図2の左右両側)の着脱スペースSに着脱可能とされている。各部品供給部11には、IC、トランジスタ、コンデンサ等の電子部品を供給する部品フィーダー14が、多数セットされている。着脱スペースSに装着された部品供給部11の上方は、図示しない開閉カバーによって覆われる。そして、部品実装装置10の動作中に開閉カバーが開けられると、その動作が非常停止するようになっている。
【0024】
部品実装装置10は、コンベア13の上方においてY軸方向に延びる2本のフレーム20と、2本のフレーム20の間においてX軸方向に延びるアーム(移動装置)30とを備え、アーム30には、ヘッドユニット50が備えられている。
【0025】
アーム30は、フレーム20に沿ってY軸方向に移動可能とされ、ヘッドユニット50はアーム30に沿ってX軸方向に移動可能とされている。これにより、ヘッドユニット50は、XY方向に自在に水平移動可能とされている。
【0026】
アーム30は、フレーム20に片持ち状に支持され、各フレーム20に一対ずつ、計4つが備えられている。各アーム30は、フレーム20から基台12の中心に向かって延び、一方のフレーム20に支持されたアーム30と、他方のフレーム20に支持されたアーム30とが、基台12の中心を挟んで向き合うように配置されている。なお、一方のフレーム20に支持されたアーム30と、他方のフレーム20に支持されたアーム30とからなる一対のアーム30の組み合わせを一対の対向アーム30A,30Bと称する。
各アーム30のフレーム20からの突出寸法は、一対の対向アーム30A,30BがX軸方向に並んだ場合に、その自由端同士が接触しないように設定されている。
【0027】
アーム30は、リニアモータ駆動により、フレーム20に沿ってY軸方向に自在に移動可能とされている。リニアモータとして、フレーム20の内側面に、固定永久磁石で構成されたマグネットプレート21が取り付けられ、アーム30の基端側に、複数のコイルで構成された可動部31が取り付けられている。また、リニアガイドとして、各フレーム20には、その全長にわたり上下一対のY方向レール22が備えられ、アーム30には、Y方向レール22に嵌合した状態でY方向レール22に沿って移動可能なY方向スライダ32が備えられている。
【0028】
基台12の複数個所には、共通認識マークが印された円柱状をなすマーク部材(図示せず)を立設可能なマーク設置部15が設けられている。マーク設置部15は、円形状をなして凹み形成された凹部である。基台12に設けられた複数のマーク設置部15は、コンベア13の両外側に設けられ、基台12のX軸方向の中心に位置している(図2参照)。この基台12の中心に位置するマーク設置部15は、コンベア13に沿って3つずつ並んで設けられ、そのうちの一つ(真ん中に位置するマーク設置部15)は、一対の対向アーム30A,30Bの自由端の間に形成される隙間の真下に位置している。
【0029】
ヘッドユニット50は、電子部品をピックアップまたは装着し得る複数本の吸着ノズル51を備えている。吸着ノズル51は、電子部品をピックアップまたは装着する際に下降するとともに、電子部品をピックアップまたは装着する向きにあわせて垂直方向の軸線周りに回転する。吸着ノズル51は、X軸方向に複数本(本実施形態では6本)並べられた列が、Y軸方向に複数列(本実施形態では2列)並べられている。吸着ノズル51は、図4に示すように、ヘッドユニット50の幅方向の両端寄りの位置に、半数ずつに分かれて配置されている。なお、吸着ノズル51は、リニアモータ駆動により、個別に昇降可能とされている。
【0030】
ヘッドユニット50の背面側(アーム30側)には、ベースプレート52が備えられている。ベースプレート52は、ヘッドユニット50の背面側の略全体を覆う略長方形の板状とされ、その上下方向の寸法は、アーム30の略全高にわたる寸法とされている(図3参照)。
【0031】
また、ベースプレート52の背面側には、図5に示すように、一対のダンパ(第1ダンパ53Aおよび第2ダンパ53Bと称する)が設けられている。一対のダンパ53A,53Bは、ヘッドユニット50の幅方向の略中心に突設された突出部54を挟んでその両側に設けられている。一対のダンパ53A,53Bは、ともにウレタン製とされ、それぞれ後述する固定ストッパ36A,36Bに対応して備えられている。なお、一対のダンパ53A,53Bは、必ずしもウレタン製でなくてもよく、例えばゴム製やばね等であってもよい。
【0032】
また、ベースプレート52の背面側には、シャフト55が備えられている。シャフト55は、その両端がベアリングを介してベースプレート52に取り付けられ、回転可能に軸支されている。シャフト55は、ヘッドユニット50の幅方向の略中心に位置し、一対のダンパ53A,53Bよりもさらに背面側に設けられている。シャフト55は上下方向に延びる細長い円柱状とされ、その長さ寸法は、後述する上下のX方向レール34の間に収まる寸法とされている。そして、シャフト55は、上下のX方向レール34の間において、上下のX方向レール34と垂直方向に重なる位置に配される。
【0033】
ヘッドユニット50には、基台12の共通認識マーク、および基板の基準マーク(図示せず)を認識するマーク認識装置56が備えられている。マーク認識装置56は、図3に示すように、ヘッドユニット50の下端(ベースプレート52よりも下側)に固定され、ヘッドユニット50と共にX軸方向およびY軸方向に移動する。マーク認識装置56は、全体としてヘッドユニット50の幅方向に細長い箱型とされ、その一端はヘッドユニット50の側面からフレーム20側に突出し、他端はヘッドユニット50の側面と揃う位置に配されている。マーク認識装置56のフレーム20側の端部にはCCDカメラ57が備えられ、図示しない複数のミラーにより、マーク認識装置56の長手方向の両端部の真下の画像を撮像可能とされている。
【0034】
ヘッドユニット50は、ボールねじ駆動により、アーム30に沿ってX軸方向に自在に移動可能とされている。アーム30には、X軸方向に延びるボールねじ軸と、このボールねじ軸を駆動するサーボモータ33とが備えられている。
【0035】
また、アーム30には、X方向レール(ガイドレール)34と、X方向レール34に嵌合した状態でX方向レール34に沿って移動可能なX方向スライダ(スライド部)35とが備えられている。
【0036】
X方向レール34は、図4に示すように、上下に一対が設けられ、ともにアーム30のX軸方向の略全長にわたって延びている。上側のX方向レール34はフレーム20よりも上側に位置し、下側のX方向レール34はフレーム20よりも下側に位置しており、上下のX方向レール34はともにフレーム20の内側面(側面)と交差して延びている。また、上下のX方向レール34の他方の端面は、アーム30の自由端側の側面とX軸方向における位置が同等の位置に達している。
【0037】
X方向スライダ35は、上下のX方向レール34に対応して一対ずつ設けられている。各X方向スライダ35は、各X方向レール34に嵌合する断面略コの字状をなして、X方向レール34に沿って細長い形状に形成されている。そして、各X方向レール34に設けられた一対のX方向スライダ35は、X方向レール34の延び方向に接して配置されている。X方向スライダ35は、その移動方向の端面(長手方向の端面)がX方向レール34の端面から突出しない範囲内で、X方向レール34に沿ってその全長にわたり移動可能とされている。なお、連なって配置された一対のX方向スライダ35の長手方向の合計寸法は、ベースプレート52の幅寸法よりも若干大きい寸法とされている。
【0038】
そして、ヘッドユニット50は、図5に示すように、X方向スライダ35に対してアーム30の自由端側にずれた位置に固定されている。これにより、ヘッドユニット50の一部がX方向スライダ35の両端面のうちアーム30の自由端側に位置する端面35Aから外側に突出している。ヘッドユニット50は、その幅方向の略中心位置がX方向スライダ35の端部に固定されており、ヘッドユニット50の幅方向の半分弱(ヘッドユニット50の幅方向の一端寄りに配置された吸着ノズル51群が含まれる範囲)が、X方向スライダ35の端面35Aから突出している。
【0039】
アーム30には、図4に示すように、一対の固定ストッパ36A,36Bが備えられている。一対の固定ストッパ36A,36Bのうち一方(第1固定ストッパ36Aと称する)はアーム30の自由端側に設けられ、他方(第2固定ストッパ36Bと称する)はアーム30の基端側に設けられている。両固定ストッパ36A,36Bは、上下方向に長い略長方形の板状とされ、第2固定ストッパ36Bは第1固定ストッパ36Aよりもその長さ寸法が大きくされている。第1固定ストッパ36Aおよび第2固定ストッパ36Bの上端面の高さ位置はほぼ等しくされ、第1固定ストッパ36Aは、上側のX方向レール34に寄った位置に設けられている。第1固定ストッパ36Aの側面は、アーム30の側面およびX方向レール34の端面とほぼ面一(X軸方向における位置が同等)とされている。また、第2固定ストッパ36Bは、可動部31と隣接して設けられている。
【0040】
アーム30の自由端側には、アーム30に対してY軸方向に相対移動可能な可動ストッパ37が備えられている。可動ストッパ37は、第1固定ストッパ36Aの内側(基端側)に隣接して設けられ、全体としてY軸方向に長い形状とされている(図5参照)。
【0041】
可動ストッパ37は、アーム30に対してY軸方向に相対移動することにより、ヘッドユニット50の移動領域に突出してヘッドユニット50の移動を規制する移動規制位置(図5参照)と、ヘッドユニット50の移動領域から退避してヘッドユニット50の移動を許容する移動許容位置(図6参照)との間を移動する。
【0042】
可動ストッパ37のうち一端側は、可動ストッパ37が移動規制位置に至ると上下のX方向レール34の間に突出するストッパ部38とされている。ストッパ部38には、ダンパー(第3ダンパ39と称する)が備えられている。第3ダンパ39は、ウレタン製とされ、ストッパ部38の上下方向にわたる細長い柱状とされている。第3ダンパ39は、ストッパ部38の側面(第1固定ストッパ36Aとは反対側の側面)に備えられ、可動ストッパ37が移動規制位置にあるときには、ヘッドユニット50のシャフト55とX軸方向に並んで(対向して)配される(図5参照)。なお、第3ダンパ39は、第1ダンパ53Aおよび第2ダンパ53Bと同様、必ずしもウレタン製でなくてもよく、例えばゴム製やばね等であってもよい。
【0043】
可動ストッパ37のうちストッパ部38とは反対側(部品供給部11側)の端部には、ハンドル41が設けられている。このハンドル41を握ってY軸方向に押し引きすることで、アーム30を手動でY軸方向に移動させることができる。
【0044】
そして、可動ストッパ37が移動規制位置にあるときには、ストッパ部38が第1固定ストッパ36Aの内側に突出し、ストッパ部38の幅寸法分だけヘッドユニット50の移動範囲が狭まり、可動ストッパ37が移動許容位置にあるときには、ストッパ部38が第1固定ストッパ36Aの内側から退避し、ストッパ部38の幅寸法分だけヘッドユニット50の移動範囲が広くなる。
【0045】
そして、ヘッドユニット50の移動には予め規制値が設定されている。本実施形態の部品実装装置10においては、ヘッドユニット50の吸着ノズル51が電子部品をピックアップまたは装着する部品実装作業時には、可動ストッパ37が移動規制位置に配置され、ヘッドユニット50は第2固定ストッパ36Bと可動ストッパ37との間を移動するように設定されている。また、ヘッドユニット50のマーク認識装置56がマークを認識するマーク認識作業時には、可動ストッパ37が移動許容位置に配置され、ヘッドユニット50は第2固定ストッパ36Bと第1固定ストッパ36Aとの間を移動するように設定されている。なお、部品実装作業時のヘッドユニット50の移動範囲を通常移動範囲と称し、マーク認識作業時のヘッドユニット50の移動範囲を拡張移動範囲と称する。
【0046】
通常移動範囲および拡張移動範囲の一端側(アーム30の基端側)の位置は等しく、ヘッドユニット50が最も一端側に移動したときには、第1ダンパ53Aの側面が第2固定ストッパ36Bに近接して配される。このとき、X方向スライダ35は、フレーム20の上方および下方にそれぞれ突入し、ヘッドユニット50の側面は、フレーム20の内側面に近接して配される。
【0047】
通常移動範囲および拡張移動範囲の他端側(アーム30の自由端側)の位置は異なり、ヘッドユニット50が通常移動範囲の最も他端側に移動したときには、ヘッドユニット50のシャフト55が可動ストッパ37の第3ダンパ39に近接して配され、ヘッドユニット50が拡張移動範囲の最も他端側に移動したときには、ヘッドユニット50の第2ダンパ53Bが第1固定ストッパ36Aに近接して配される。なお、第2ダンパ53Bの角部には、後述する可動ストッパ37の当接部42の傾斜と同等の勾配の傾斜面が形成されている。
【0048】
可動ストッパ37は、移動規制位置に移動するとヘッドユニット50のシャフト55に当接する当接部42を有している。当接部42は、ストッパ部38の先端に設けられ、X方向レール34の中心側から自由端側に向かって、ヘッドユニット50の移動領域への突出寸法が少しずつ増す傾斜面とされている。
【0049】
次に、部品実装装置10による作業の一例を説明する。
まず、マーク認識作業を行う。
最初に、基台12の共通認識マークを認識する。ここでは、基台12の共通認識マークが基台12の中心に設置されている場合について説明する。
【0050】
一対の対向アーム30A,30Bに備えられたヘッドユニット50により、同一の共通認識マークを認識する。まず、一対の対向アーム30A,30Bのうちの一方のアーム30Aに備えられたヘッドユニット50により、共通認識マークの認識作業を行う。この共通マーク認識作業時には、図6に示すように、可動ストッパ37が移動許容位置に配置され、ヘッドユニット50は、拡張移動範囲内を移動可能となる。また、他方のアーム30Bにおいては、可動ストッパ37が移動規制位置に配置され、ヘッドユニット50は、通常移動範囲内に配される。
【0051】
そして、一方のアーム30Aのヘッドユニット50を拡張移動範囲の端まで移動させる。すると、アーム30Aに備えられた図示しないセンサにより、ヘッドユニット50が拡張移動範囲の端に配されたことが認識される。このとき、ヘッドユニット50の幅方向の一端側がX方向レール34の端面よりも外側に突出し、マーク認識装置56の端部が共通認識マークの真上に到達する。そして、マーク認識装置56により基台12の共通認識マークを撮像して認識する。
【0052】
共通認識マークの撮像が終了すると、この一方のアーム30Aにおいては、可動ストッパ37が移動規制位置に配され、ヘッドユニット50の移動が通常移動範囲内に制限される。
【0053】
こうして、一のヘッドユニット50によるマーク認識作業が終了したら、次のヘッドユニット50によるマーク認識作業を開始する。この次のヘッドユニット50によるマーク認識作業は、先に述べたのと同様の手順でなされる。このとき、先にマーク認識作業を終えたヘッドユニット50は、通常移動範囲内に配されているから、先にマーク認識作業を終えたヘッドユニット50と、次にマーク認識作業を行うヘッドユニット50との衝突が回避される。
【0054】
そして、各ヘッドユニット50に備えられたマーク認識装置56により、同一の共通認識マークが認識されたら、それぞれ算出された座標に基づいて、この座標が一致するよう、各ヘッドユニット50の座標系の補正がなされる。
【0055】
ところで、マーク認識作業の途中で、例えば開閉カバーが開けられることにより、部品実装装置10が非常停止する場合がある。すると、図7に示すように、マーク認識作業中のアーム30において可動ストッパ37が移動規制位置に飛び出し、拡張移動範囲の端に配されたヘッドユニット50のシャフト55に当接して、このシャフト55をX方向レール34の中心側に押し戻す。これにより、ヘッドユニット50が通常移動範囲内に配されるので、例えば作業員が手動でアーム30を動かした場合に、ヘッドユニット50が周囲に衝突する事態を防ぐことができる。なお、可動ストッパ37がシャフト55を押し戻す際には、シャフト55が回転し、押し戻しが容易になされる。
【0056】
次に、基板の基準マークを認識する。
各ヘッドユニット50は、基板の基準マークを認識することで基板の固定位置を認識する。なお、基板の基準マークが基台12の中心(通常移動範囲内のヘッドユニット50からデッドスペースとなる部分)に位置している場合には、共通マーク認識作業時と同様に、可動ストッパ37を移動許容位置に配置し、ヘッドユニット50を拡張可能範囲の端まで移動させて基準マークの認識作業を行う。
【0057】
その後、部品実装作業を行う。
各ヘッドユニット50は、基板の固定位置に基づき、電子部品の搭載位置を補正して電子部品を基板上に実装する。この部品実装作業時には、可動ストッパ37は移動規制位置に配置され、ヘッドユニット50は通常移動範囲内を移動する。なお、アーム30に備えられた図示しないセンサにより、可動ストッパ37が移動規制位置に配されていることが認識される。
【0058】
また、マーク認識作業中や部品実装作業中に、万が一ヘッドユニット50が第1固定ストッパ36A、第2固定ストッパ36B、または可動ストッパ37に衝突しそうになった場合には、アーム30に備えられたセンサがそれを察知し、サーボモータ33の電源が落とされるように設定されている。
【0059】
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の部品実装装置10は、基板に電子部品を実装する作業を行うヘッドユニット50と、ヘッドユニット50をX軸方向に移動させるアーム30と、を備え、アーム30は、X方向レール34と、X方向レール34に沿って移動するX方向スライダ35とを有し、ヘッドユニット50は、一部がX方向スライダ35のうちその移動方向の端面35Aから外側に突出する位置に固定されている。
【0060】
これにより、X方向スライダ35がX方向レール34の端まで移動したときには、ヘッドユニット50の一部がX方向レール34の端面よりも外側に突出する。また、アーム30は、X方向スライダ35がX方向レール34に対して移動する1段式のものであるから、複雑な制御を要することなく、ヘッドユニット50をX方向レール34の端面よりも外側に突出する位置まで移動することができる。
【0061】
また、アーム30は、X方向レール34の端面が対向するようにして一対設けられ、ヘッドユニット50は、X方向スライダ35の端面35AからX方向レール34の端面が対向する側に突出する位置に固定されている。これにより、X方向スライダ35がX方向レール34の端まで移動したときには、ヘッドユニット50の一部が一対のX方向レール34の端面の間に突出するから、この間がデッドスペースになることを防ぐことができる。
【0062】
また、X方向レール34の一端側には、X方向レール34と略直交するフレーム20が備えられ、X方向レール34は、フレーム20の内側面と交差して延びている。ここで、X方向レールがフレームの内側面と交差することなくその手前で止まっている場合には、ヘッドユニットの移動範囲はフレームの手前までに限られる。しかしながら、X方向レール34がフレーム20の内側面と交差して延びているから、ヘッドユニット50はより広い範囲で移動することができる。これにより、ヘッドユニット50がX方向スライダ35に対してフレーム20とは反対側にずれた位置に固定されていても、このずれによりフレーム20側にデッドスペースが広がることを防ぐことができる。
【0063】
また、アーム30には、ヘッドユニット50の移動領域に突出してヘッドユニット50の移動を規制する移動規制位置と、ヘッドユニット50の移動領域から退避してヘッドユニット50の移動を許容する移動許容位置との間を移動可能な可動ストッパ37が備えられている。これにより、可動ストッパ37を移動させることで、ヘッドユニット50の移動領域を適宜可変することができる。
【0064】
また、可動ストッパ37は、基板に対する作業が停止されると、移動規制位置に移動してX方向レール34の端部に位置するヘッドユニット50に当接し、ヘッドユニット50がX方向レール34の中心側に押し戻される。これにより、基板に対する作業が停止されたときに、例えば作業員が手動でアーム30を動かした場合に、ヘッドユニット50が周囲に衝突する事態を防ぐことができる。
【0065】
また、可動ストッパ37のうちヘッドユニット50のシャフト55に当接する当接部42は、X方向レール34の中心側から端側に向かって、ヘッドユニット50の移動領域への突出寸法が少しずつ増す傾斜面とされている。これにより、可動ストッパ37によってヘッドユニット50をX方向レール34の中心側にスムーズに押し戻すことができる。
【0066】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、本発明の基板処理装置を、基板に対して電子部品を実装する部品実装装置10に適用した例を示したが、本発明は、基板に対してヘッドユニット50により何らかの処理を行う各種の装置に広く適用することができる。
(2)上記実施形態では、本発明を、複数のヘッドユニット50が備えられた部品実装装置10に適用した例を示したが、本発明は、例えば一のヘッドユニットのみが備えられた部品実装装置にも適用することができる。
(3)上記実施形態では、アーム30は、フレーム20に片持ち状に支持されたものとされているが、これに限らず、例えばアームは、部品実装装置の天井部から吊り下げられたものであってもよい。
(4)上記実施形態では、ヘッドユニット50がX方向スライダ35の一方の端面35Aから突出しているが、これに限らず、ヘッドユニットがX方向スライダの両方の端面から両側に突出するものとしてもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、部品実装作業時には、可動ストッパ37が移動規制位置に配置され、ヘッドユニット50が通常移動範囲内を移動するように設定されているが、これに限らず、部品実装作業時においても可動ストッパを移動許容位置に配置し、ヘッドユニットを拡張移動範囲内で移動させるように設定してもよく、このように設定することで、例えば、基板のサイズ等によって基台の中心に位置する領域に電子部品を搭載したり、基台の中心に位置する領域から電子部品を吸着したりすることができる。
(6)上記実施形態では、基板に対する作業が停止されると、可動ストッパ37が移動規制位置に移動してX方向レール34の端部に位置するヘッドユニット50のシャフト55に当接し、ヘッドユニット50をX方向レール34の中心側に押し戻すものとされているが、これに限らず、可動ストッパがX方向スライダに当接し、X方向スライダをX方向レールの中心側に押し戻すことでヘッドユニットを押し戻すものとしてもよい。
(7)上記実施形態では、可動ストッパ37の当接部42が傾斜面とされているが、これに限らず、例えばヘッドユニット側に傾斜面を設けてもよく、また可動ストッパおよびヘッドユニットの両方に傾斜面を設けてもよい。
(8)上記実施形態では、可動ストッパ37はアーム30の端部のみに備えられているが、これに限らず、アームの複数箇所に可動ストッパを設けることで、ヘッドユニットの移動範囲を複数段階に可変できるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…部品実装装置(基板処理装置)
30…アーム(移動装置)
34…X方向レール(ガイドレール)
35…X方向スライダ(スライド部)
35A…X方向スライダの端面(スライド部のうちその移動方向の端面)
37…可動ストッパ
42…当接部
50…ヘッドユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7