【実施例】
【0023】
図面を参照しながら、実施例の給湯暖房装置10について説明する。
図1に示すように、給湯暖房装置10は、コージェネレーションシステム12(以下、コジェネシステムと略す)と、ガス燃焼ユニット20と、複数の低温暖房端末70と、複数の高温暖房端末72とを備える。
【0024】
給湯暖房装置10は、給湯機能及び暖房機能に加えて、浴槽2への湯張り機能を有している。なお、ここでいう湯張りとは、空の浴槽2に風呂水を溜めることに限られず、残り湯のある浴槽2へ必要に応じて給湯(又は給水)し、それを沸き上げることも含まれる。即ち、予め浴槽2に十分な残り湯が存在する場合のように、給湯(又は給水)を行うことなく、風呂水の沸き上げのみを行うことも含まれる。以下の説明では、湯張り機能に係る構成及び動作についてのみ説明し、給湯運転や暖房運転に係る構成及び動作については適宜省略する。
【0025】
給湯暖房装置10は、コジェネシステム12及びガス燃焼ユニット20で加熱した熱媒を用いて、湯張り機能に係る動作を行う。
図1に示すように、給湯暖房装置10は、コジェネシステム12からガス燃焼ユニット20へ熱媒を送る第1熱媒管路60と、ガス燃焼ユニット20からコジェネシステム12へ熱媒を送る第2熱媒管路62とを備える。これらの管路60、62は、コジェネシステム12とガス燃焼ユニット20との間で熱媒を循環させる熱媒の循環経路を構成している。なお、第2熱媒管路62にはコジェネバルブ66が設けられており、第2熱媒管路62の中間位置は、バイパスバルブ64を介して、第1熱媒管路60の中間位置に接続されている。このような構成により、例えばコジェネシステム12が運転を中止しているときは、両バルブ64、66の開閉を切り替えることにより、コジェネシステム12をバイパスして、熱媒をガス燃焼ユニット20へ直接的に戻すことができる。
【0026】
二つの熱源12、20で加熱される熱媒は、浴槽2への湯張りのみでなく、暖房端末70、72でも共用される。
図1に示すように、給湯暖房装置10は、ガス燃焼ユニット20から暖房端末70、72へ熱媒をそれぞれ送る暖房熱媒管路80、82を備える。暖房熱媒管路80、82には、各々の暖房端末70、72に対して暖房熱媒バルブ84、86が設けられており、運転中にある一又は複数の暖房端末70、72へ熱媒が選択的に供給される。各々の暖房端末70、72は、床暖房パネル、浴室暖房乾燥機、ファンコンベクタ等であり、熱媒の熱を放熱することによって暖房を行う。暖房端末70、72で熱が消費された熱媒は、第2熱媒管路62を通って、コジェネシステム12へ送られる。
【0027】
コジェネシステム12は、電気と熱を供給する電熱併給システムであって、循環する熱媒を加熱する第1の熱源の一例である。コジェネシステム12は、電気を発電した時に発生する熱(排熱)によって熱媒を加熱する。コジェネシステム12の具体的な構造については、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例のコジェネシステム12は、エンジン14と、エンジン14によって駆動される発電機16と、エンジン14の排熱によって熱媒を加熱する熱交換器18を備えている。エンジン14の燃料は、一例ではあるが、可燃性ガスである。本実施例におけるコジェネシステム12は、熱需要に応じて運転される。そのことから、コジェネシステム12による排熱を確実に回収するため、コジェネシステム12は熱媒の循環経路上に設けられた排熱回収ポンプを備えている(図示省略)。
【0028】
ガス燃焼ユニット20は、熱媒用バーナ32と、熱媒循環ポンプ40と、シスターン34を備える。シスターン34には、コジェネシステム12から伸びる第1熱媒管路60が接続されている。シスターン34内の熱媒は、低温熱媒管路36を通じて、熱媒用バーナ32に送られる。熱媒用バーナ32は、熱媒を加熱する第2の熱源の一例であり、可燃性ガスを燃焼し、その燃焼熱によって熱媒を加熱する。熱媒用バーナ32の内部には、吸熱フィン32aが設けられている。吸熱フィン32aは、熱媒が流れる管路に固定されており、燃焼熱を吸収して熱媒へ伝達する。熱媒循環ポンプ40は、低温熱媒管路36上に設けられており、前述した熱媒循環経路に沿って熱媒を循環させる。なお、熱媒循環ポンプ40の位置は、熱媒の循環経路上であればよく、特に限定されない。熱媒用バーナ32及び熱媒循環ポンプ40は、後述するコントローラ100(
図2参照)によって制御される。
【0029】
ガス燃焼ユニット20は、熱媒の温度を測定する低温熱媒温度センサ38と、高温熱媒温度センサ42を備える。低温熱媒温度センサ38は、低温熱媒管路36に配置されており、熱媒用バーナ32による加熱前の熱媒の温度を測定する。高温熱媒温度センサ42は、高温熱媒管路44に配置されており、熱媒用バーナ32による加熱後の熱媒の温度を測定する。両温度センサ38、42による測定値は、コントローラ100へ教示される。
【0030】
ガス燃焼ユニット20は、風呂水熱交換器50と、風呂水循環経路58を備えている。風呂水熱交換器50は、熱媒と風呂水との間で熱交換を行う熱交換器である。風呂水熱交換器50の具体的な構造は特に限定されない。風呂水熱交換器50には、高温熱媒管路44を通って、熱媒用バーナ32から熱媒が送られる。高温熱媒管路44には、コントローラ100によって開閉される沸き上げバルブ45が設けられている。風呂水循環経路58は、浴槽2と風呂水熱交換器50との間で風呂水を循環させる。風呂水循環経路58には、風呂水ポンプ54が設けられている。風呂水ポンプ54は、コントローラ100によって制御され、風呂水循環経路58に沿って風呂水を循環させる。それにより、浴槽2の風呂水は、風呂水熱交換器50において加熱され、浴槽2へ戻される。
【0031】
風呂水循環経路58には、風呂水温度センサ52と、風呂水位センサ56が設けられている。風呂水温度センサ52は、風呂水熱交換器50の上流側に配置されており、浴槽2の風呂水の温度を測定する。風呂水位センサ56は、浴槽2の風呂水の水位を測定する。風呂水温度センサ52及び風呂水位センサ56による測定値は、コントローラ100へ教示される。
【0032】
ガス燃焼ユニット20は、給湯用バーナ22を備えている。給湯用バーナ22は、可燃性ガスを燃焼して、給水経路24から送られる上水を加熱する。加熱後の温水は、出湯経路26を通って出湯される。また、加熱後の温水は、風呂給湯経路30を通って、浴槽2にも給湯可能となっている。出湯経路26と風呂給湯経路30の共通区間には、三方混合弁28と給湯温度センサ29が設けられている。三方混合弁28には給水経路24が接続されている。給湯用バーナ22と三方混合弁28は、コントローラ100よって制御される。また、給湯温度センサ29の測定温度は、コントローラ100へ教示される。風呂給湯経路30には、風呂給湯バルブ46と、風呂流量センサ48が設けられている。風呂給湯バルブ46は、コントローラ100によって開閉され、風呂給湯経路30を導通/遮断する。風呂流量センサ48は、風呂給湯経路30を流れる温水の流量、即ち、浴槽2への給湯量を測定する。風呂流量センサ48による測定結果はコントローラ100へ教示される。
【0033】
図2は、給湯暖房装置10が備えるコントローラ100の構成を示す。
図2に示すように、コントローラ100は、メインコントローラ102とインターフェースユニット104とコジェネコントローラ106とを備える。メインコントローラ102は、ガス燃焼ユニット20に搭載されており、主に、ガス燃焼ユニット20の動作を制御する。コジェネコントローラ106は、コジェネシステム12に搭載されており、主に、コジェネシステム12の動作を制御する。メインコントローラ102とコジェネコントローラ106は、インターフェースユニット104を介して接続されており、互いに通信可能となっている。
【0034】
コントローラ100はさらに、複数の低温暖房端末コントローラ112と、複数の高温暖房端末コントローラ114とを備える。これらのコントローラ112、114は、メインコントローラ102に通信可能に接続されている。各々の暖房端末コントローラ112、114は、メインコントローラ102と共に、対応する一又は複数の暖房端末70、72を制御する。また、各々の暖房端末コントローラ112、114は、ユーザのための操作パネルでもあり、対応する一又は複数の暖房端末70、72の運転/停止、暖房温度の設定、及びその他の機能(例えばタイマー機能)の設定のために用いられる。
【0035】
コントローラ100はさらに、浴室操作パネル108と台所操作パネル110とを備える。浴室操作パネル108と台所操作パネル110は、メインコントローラ102に通信可能に接続されているとともに、インターフェースユニット104を介してコジェネコントローラ106にも接続されている。通常、浴室操作パネル108は浴室に設置され、台所操作パネル110は台所に設置される。ユーザは、浴室操作パネル108又は台所操作パネル110を操作することによって、コジェネシステム12及びガス燃焼ユニット20の主電源のオン/オフ、運転モードの選択、給湯温度の設定、浴槽2への湯張り、湯張りの水位、温度、予約時刻の設定、追い焚き、足し湯、ぬる湯の指示等を行うことができる。
【0036】
本実施例の給湯暖房装置10は、ユーザの操作に応じて、「通常湯張り」と、「エコ湯張り」とのいずれかを、選択的に実行することができる。通常湯張りは、風呂の設定温度又はそれに近い温度の温水を浴槽2へ供給し、風呂水の沸き上げを行う際には、熱媒用バーナ32を運転して、風呂水を設定温度に沸き上げるものである。通常湯張りによると、ガス燃焼ユニット20の能力を最大限に使用して、湯張りを短時間で行うことができる。一方、「エコ湯張り」とは、風呂の設定温度よりも大幅に低い温度の温水(ここでは給湯可能な最低温度)を浴槽2へ供給し、第1熱源を運転するとともに第2熱源の運転は原則的に禁止して、風呂水を設定温度に沸き上げるものである。エコ湯張りによると、湯張りに要する所要時間は長くなるが、コジェネシステム12を優先的に使用することで、エネルギー効率を高めることができる。以下では、本実施例の特徴的な機能である「エコ湯張り」について詳細に説明する。
【0037】
図3は、エコ湯張り動作において、コントローラ100が実行する処理の流れを示すフローチャートである。コントローラ100は、ユーザによってエコ湯張りが指示されたときに、エコ湯張り動作に係る処理を実行する。前述したように、給湯暖房装置10は、湯張り動作の予約運転が可能であり、湯張りの完了を希望する時刻として、予約時刻が設定可能となっている。ユーザは、エコ湯張りを指示する際に、必要に応じて予約時刻を設定することができる。
【0038】
ユーザがエコ湯張りを指示すると、コントローラ100は、湯張りを完了する目標時刻を設定する(S10)。この処理では、ユーザによって予約時刻が設定されている場合、その予約時刻が目標時刻として設定される。一方、予約時刻が設定されてない場合は、エコ湯張りが指示された時点から90分後の時点が目標時刻として設定される。以下、設定された目標時刻を、単に設定時刻という。この90分という時間は、エコ湯張りの通常の所要時間に基づいて定められており、当該所要時間以上に設定されている。なお、本実施例の給湯暖房装置10は、通常、エコ湯張りによる湯張りを60分以内で完了することができる。
【0039】
コントローラ100は、設定時刻の90分前の時点(第2の時点)になるまで待機する(S12)。なお、予約運転でない場合は、直ちに次の処理(S14)へ進むことになる。この90分という時間(第2所定時間)は、先に説明したのと同様に、エコ湯張りの通常の所要時間に基づいて定められており、当該所要時間以上に設定されている。設定時刻の90分前の時点になると(S12でYES)、コントローラ100は、暖房端末70、72が運転中であるのか否かを判別する(S14)。暖房端末70、72が運転中でない場合(NO)、コントローラ100は、ステップS16の処理へ進み、エコ湯張り動作を開始する。一方、暖房端末70、72が運転中である場合は(YES)、ステップS32の処理へ進み、通常湯張りを実施する。
【0040】
給湯暖房装置10は、原則として、設定
時刻の90分前の時点で、エコ湯張り動作を開始する。それにより、通常であれば、設定時刻までに湯張りを完了することができる。しかしながら、給湯暖房装置10は、暖房端末70、72を備えており、熱媒がそれらの暖房端末70、72との間で共用されている。従って、暖房端末70、72が運転中であると、熱媒の熱が暖房端末70、72でも消費され、湯張りに使用できる熱量が通常よりも少なくなる。この場合、湯張りに要する所要時間が予定より長引くことが予想される。そのことから、給湯暖房装置10では、エコ湯張りを開始すべき時点で暖房端末70、72が運転中のときは、エコ湯張りに代えて通常湯張りを実施して、湯張りの完了が設定
時刻に対して遅れることを防止する。
【0041】
なお、通常湯張りは、コジェネシステム12だけでなく、給湯用バーナ22や熱媒用バーナ32を使用するので、エコ湯張りに比べて短時間で湯張りを完了することができる。そのことから、通常湯張りを実施する場合は、設定時刻の30分前の時点(第3の時点)まで待機し、その後に通常湯張りを実施する(S32)。この30分という時間は、通常湯張りの通常の所要時間に基づいて定められており、当該所要時間以上に設定されている。
【0042】
先ず、暖房端末70、72が運転中でないとして、エコ湯張りについて説明する。エコ湯張りでは、熱源としてコジェネシステム12を主に使用し、給湯用バーナ22や熱媒用バーナ32の使用を控えて、エネルギー効率の高い湯張りを行う。先ず、風呂水位センサ56の測定値に基づいて、浴槽2の水位が設定水位以上であるのか否かが判別し(S16)、浴槽2の水位が設定水位未満であれば(NO)、浴槽2の水位が設定水位となるまで浴槽2に温水を供給する(S18)。このときの給湯温度は、風呂の設定温度よりも大幅に低く設定され、本実施例では33℃に設定される。浴槽2への給湯は、給湯用バーナ22を運転し、風呂給湯バルブ46を開くことによって行われる。さらに、給湯温度センサ29による測定温度に基づいて、給湯用バーナ22の出力と三方混合弁28の開度(即ち、上水の混合量)を調節し、温水の温度を当該給湯温度に調節する。なお、給湯温度は33℃に限られず、他の温度であってもよい。あるいは、給湯用バーナ22を運転することなく、未加熱の水を浴槽2へ給水してもよい。また、浴槽2に設定水位以上の残り湯が存在する場合は、給湯を行う必要はない。即ち、給湯を伴わない湯張り動作が実施される。
【0043】
浴槽2に設定水位以上の風呂水が溜まると(S16でYES)、風呂水の沸き上げが開始される(S20)。この沸き上げでは、コジェネシステム12を運転する一方で、熱媒用バーナ32の運転は禁止される。即ち、コジェネシステム12のみを熱源として、風呂水の沸き上げが行わる。風呂水の沸き上げは、風呂水の温度が設定温度となるまで継続される(S28)。但し、コジェネシステム12からの排熱量は、熱媒用バーナ32の発熱量に比べて大幅に少ないので、風呂水の沸き上げに要する所要時間は比較的に長くなり、様々な影響を受けて当該所要時間が変動する幅も大きくなる。
【0044】
例えば、気温が低いときは、外部への放熱量が増大することによって、風呂水の沸き上げに要する所要時間は長くなる。従って、このような場合は、湯張りの完了が設定時刻に間に合わないことが想定される。そこで、コントローラ100は、設定時刻の30分前の時点(第1の時点)において、沸き上げが完了していないとき(即ち、風呂水の温度が設定温度に達していないとき)は、熱媒用バーナ32を使用する通常湯張りの動作へ移行する(S22でYES)。それにより、風呂水の沸き上げを早期に完了させ、設定時刻までの湯張りの完了を図る。ここで、30分という時間(第1所定時間)は、通常湯張りの通常の所要時間に基づいて定められており、当該所要時間以上に設定されている。あるいは、風呂水の沸き上げがある程度まで進行していることを考慮して、当該第1所定時間を通常湯張りの所要時間よりも短い時間としてもよい。
【0045】
あるいは、エコ湯張りの動作中に、暖房端末70、72の運転が開始されることもある。暖房端末70、72の運転が開始されると、湯張りに使用できる熱量が通常よりも少なくなり、風呂水の沸き上げに要する所要時間は長くなる。従って、このような場合も、湯張りの完了が設定時刻に間に合わないことが想定される。そこで、コントローラ100は、風呂水の沸き上げ中に暖房端末70、72の運転が開始されたときは、熱媒用バーナ32を使用する通常湯張りの動作へ移行する(S24でYES)。それにより、不足する熱量を補完して、設定時刻までの湯張りの完了を図る。
【0046】
上記に加え、コントローラ100は、ユーザから次のような操作が行われた時にも、エコ湯張りを中止して、通常湯張りへ移行する(S26でYES)。例えば、「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」といった、浴槽2の湯量又は湯温を調節する動作を指示する操作が行われると、コントローラ100は、エコ湯張りを中止して、通常湯張りへ移行する。それらの操作がなされた場合、ユーザは速やかに入浴することを望んでいると推定される。従って、そのような場合には、加熱能力に優れる熱媒用バーナ32を使用し、風呂水を速やかに沸き上げて、湯張りを早期に完了させる。あるいは、ユーザが通常湯張りへの変更を指示する操作をした場合も、コントローラ100は、エコ湯張りを中止して、通常湯張りへ移行する。
【0047】
図3では図示されていないが、上記したS22、S24、S26の各処理は、浴槽2へ温水を給湯する工程中(S16、S18)においても、同様に実行することができる。即ち、コントローラ100は、エコ湯張りの動作中に上記した事象が発生した場合に、エコ湯張りを中止して、通常湯張りへ移行するとよい。この場合、給湯用バーナ22を運転して、高温の温水を浴槽2へ給湯することによって、湯張りをより短時間で完了することができる。
【0048】
次に、通常湯張りの動作について説明する。上述した様々な理由によって、エコ湯張りから通常湯張りへ移行すると、コントローラ100は、浴槽2の水位が設定水位以上であるのか否かを判別し(S36)、浴槽2の水位が設定水位未満であれば(NO)、浴槽2の水位が設定水位となるまで浴槽2に温水を供給する(S38)。このときの給湯温度は、エコ湯張りにおける給湯温度(S18)よりも高く、湯張りの設定温度又はそれに近い温度に設定される。なお、ステップS22、S24、S26の処理から移行した場合は、これらのステップS36、S38の処理をスキップして、次のステップS40の処理から開始してもよい。
【0049】
浴槽2に設定水位以上の風呂水が溜まると(S36でYES)、風呂水の沸き上げが開始される(S40)。この沸き上げでは、コジェネシステム12と熱媒用バーナ32の両者が同時に運転される。即ち、コジェネシステム12と熱媒用バーナ32の両者を熱源として、風呂水の沸き上げが行わる。なお、熱媒用バーナ32のみを運転してもよい。風呂水の沸き上げは、風呂水の温度が設定温度となるまで継続され(S48)、風呂水の温度が設定温度となると(YES)、湯張りが完了する。ここで、エコ湯張りから通常湯張りへ移行した場合、設定時刻に対して比較的に早く湯張りが完了する場合がある。この場合は、コジェネシステム12を使用して、風呂水を保温する運転を設定時刻まで適宜行うとよい。熱媒用バーナ32を使用してもよいが、コジェネシステム12のみを使用することで、エネルギー効率を高めることができる。ここで、コントローラ100は、風呂水の沸き上げの開始(S40)に先立って、浴槽2の風呂水の温度を確認し、風呂水の温度が設定温度であれば、そのまま湯張りの動作を終了してもよい。このような場合は、通常湯張りであっても、熱媒用バーナ32は運転されない。
【0050】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0051】
例えば、給湯暖房装置10は、コジェネシステム12に代えて、ヒートポンプ又はその他の種類の熱源を採用することもできる。この場合、エネルギー効率に優れた熱源や、再生可能エネルギーを使用する熱源を採用することが有効である。本技術によると、長時間に亘る風呂水の沸き上げを行うことができるので、加熱能力が非常に低い熱源であっても採用することができる。
【0052】
湯張りに要する所要時間は、通常湯張りとエコ湯張りのいずれであっても、例えば気温、水温、浴槽のサイズ等といった様々な条件に応じて変動する。そのことから、給湯暖房装置10が気温の測定センサを備え、コントローラ100は、
図3のステップS22で用いる第1所定時間、ステップS12で用いる第2所定時間、ステップS32で用いる第3所定時間の少なくとも一つを、測定された気温に応じて調整することも好ましい。あるいは、湯張りに要する所要時間は、給水経路24から供給される水温によっても変動し得るので、給湯暖房装置10が給水経路24を流れる水温の測定センサを備え、コントローラ100は、第1所定時間、第2所定時間、及び第3所定時間を、測定された水温に応じて調整することも好ましい。あるいは、コントローラ100が浴槽のサイズを記憶しており、記憶している浴槽のサイズに応じて第1〜第3所定時間を調整することも好ましい。これらの場合、コントローラ100は、気温又は水温が低いときほど、また、浴槽のサイズが大きいときほど、第1〜第3所定時間を長くすることが好ましい。なお、具体的な調整の態様については、給湯暖房装置10の構造等にもよることから、実験又はシミュレーションの結果に基づいて適宜定めることが好ましい。
【0053】
エコ湯張りでは、風呂水の沸き上げを行う工程の全てにおいて、熱媒用バーナ32(第2熱源)の運転を禁止してもよいし、風呂水の沸き上げを行う工程の一部において、熱媒用バーナ32(第2熱源)の運転を禁止してもよい。例えば、風呂水の温度がある温度未満のときは熱媒用バーナ32(第2熱源)の運転を許可し、風呂水の温度がある温度未以上のときは熱媒用バーナ32(第2熱源)の運転を禁止してもよい。
【0054】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。