(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(c)工程の後、かつ、前記(d)工程の前に、前記第1封止体から露出する前記複数のリードのそれぞれの前記表面を洗浄する、請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
前記(b)工程で除去する前記第2封止体の前記一部の量は、前記(c)工程で除去する前記第2封止体の前記他部の量よりも多い、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0027】
更に、本願において、「半導体装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)を中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0028】
今日の半導体装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリ・メタル(Pre-metal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクト・ホール形成、タングステン・プラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナル・パッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハ・レベル・パッケージ・プロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。
【0029】
なお、「半導体装置」には、パワー・トランジスタ等の単体電子デバイスが含まれる。
【0030】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。
【0031】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0032】
4.同様に、実施の態様では、便宜上、複数の発明を単一の一連の実施の形態の中で説明するが、特に明示した場合を除き、各ステップは全ての発明について必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0033】
5.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0034】
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0035】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0036】
本実施の形態は、QFP(Quad Flat Package)型の半導体装置に適用したものであり、
図1はこのQFPの上面図、
図2は
図1のA−A線に沿った断面図、
図3は
図1のB部における拡大平面図である。
【0037】
<半導体装置について>
まず、本実施の形態の半導体装置1の構成について、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0038】
封止体(封止樹脂)2の平面形状は矩形状からなり、本実施の形態では、
図1に示すように、ほぼ四角形である。詳細には、各角部が面取り加工されており、これにより封止体の欠けを抑制している。また、
図2に示すように、封止体2は上面(表面)2aと、この上面2aとは反対側の下面(裏面、実装面)2bと、この上面2aと下面2bとの間に位置する側面2cとを有している。
【0039】
図1および
図2に示すように、外部端子として複数のリード3が封止体2の各側面2c(
図1でいう各辺)から露出している。詳細には、封止体2の各辺に沿って形成された複数のリード3のそれぞれの一部(アウタリード3b)は、
図1および
図2に示すように、封止体2の側面2c(辺)から外側に向かって突出しており、さらに封止体2の外側において、封止体2の上面2a側から下面2b側に向かって折り曲げられている。
【0040】
また、封止体2の上面2aには、
図1に示すように、複数のリード3のうちの一番目のリード3を認識するために、マーク(アライメントマーク、位置認識マーク)2dが形成されている。
【0041】
また、
図2に示すように、封止体2の内部には半導体チップ4が配置されており、この半導体チップ4は、同じく封止体2の内部に配置されたチップ搭載部(ダイパッド、タブ)5の上面(主面、表面)5aにダイボンド材(接着材)6を介して搭載されている。
【0042】
そして、半導体チップ4の主面(表面)4aに形成された複数の電極パッド(ボンディングパッド)4dは、封止体2の内部に位置する複数のリード3(リードの他部、インナリード3a)と、複数の導電性部材7を介してそれぞれ電気的に接続されている。なお、本実施の形態における導電性部材7は、金(Au)からなるワイヤである。また、この複数の導電性部材7も封止体2で封止されているため、半導体装置の信頼性の低下を抑制できる。さらに、封止体2から露出するリード3の表面には、
図2に示すように、めっき膜8が形成されている。
【0043】
また、封止体2の外側に位置する複数のリード3のそれぞれは、
図3に示すように、リード3の側面(
図3で言うリード3の長辺)に形成された突出部3fを有している。この突出部3fは、リードフレームに形成されていたダムバー(タイバー、ダム部)を切断することにより形成された残留ダムバーであるため、複数のリード3のそれぞれに形成された突出部(残留ダムバー)3fは、隣のリード3に形成された突出部3fと対向するように、形成されている。言い換えると、複数の突出部3fは、複数のリード3の配列方向(リード配列ライン)に沿った仮想線C上に形成されている。
【0044】
また、上記したように、複数のリード3のそれぞれは、封止体2の外側(詳細には、
図3においてハッチングを付した屈曲部形成領域3e内)において折り曲げられているが、本実施の形態では、
図3に示すように、突出部3fを基点として折り曲げている。ここで、折り曲げ加工では、折り曲げの基点となる部分に応力(曲げ応力)が集中する。しかしながら、本実施の形態では、封止体2から露出するリード3において、最も幅が太い部分である突出部3fを基点として、リード3を折り曲げているため、成形されるリード3の形状が安定(均一化)し易い。
【0045】
<半導体チップについて>
次に、半導体装置1の内部に搭載される半導体チップ4について、
図4〜
図6を用いて説明する。
【0046】
半導体チップ4の平面形状は矩形状からなり、本実施の形態では、
図4に示すように、四角形である。また、
図5に示すように、半導体チップ4は、主面(表面)4aと、この主面4aとは反対側の裏面4bと、この主面4aと裏面4bとの間に位置する側面4cとを有している。
【0047】
そして、
図4および
図5に示すように、半導体チップ4の主面4aには、複数の電極パッド(ボンディングパッド)4dが形成されており、本実施の形態では、複数の電極パッド4dが主面4aの各辺に沿って形成されている。
【0048】
また、図示しないが、半導体チップ4の主面4a(詳細には、
図6に示す基板層4eの主面)には、半導体素子(回路素子)が形成されており、複数の電極パッド4dは、半導体チップ4の内部(詳細には、
図6に示す基板層4eの主面上)に配置される配線層4jに形成された配線(図示は省略)を介して、この半導体素子と電気的に接続されている。
【0049】
なお、半導体チップ4の基板層4eは、例えばシリコン(Si)からなる。また、
図6に示すように、主面4aには絶縁膜4fが形成されており、複数の電極パッド4dのそれぞれの表面は、この絶縁膜4fに形成された開口部4gから露出している。
【0050】
また、この電極パッド4dは金属からなり、本実施の形態では、例えばアルミニウム(Al)からなる。さらに、この電極パッド4dの表面には、
図6に示すように、めっき膜4hが形成されており、本実施の形態では、例えばニッケル(Ni)膜を介して、金(Au)膜が形成された多層構造である。
【0051】
なお、電極パッド4dの表面にニッケル膜が形成されているため、電極パッド4dの腐食(汚染)を抑制することができる。また、本実施の形態における半導体チップ4の厚さ(半導体チップ4の主面4aと裏面との間隔)は、280μmである。なお、実施の形態におけるめっき膜4hの形成方法としては、電解めっき法を使用している。また、無電解めっき法を使用してもよいが、膜質を考慮すると、電解めっき法を使用してめっき膜4hを形成することが好ましい。
【0052】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態における半導体装置1の製造工程について、説明する。本実施の形態における半導体装置1は、
図7に示す組立てフローに沿って製造される。各工程の詳細については、
図8〜
図37を用いて、以下に説明する。
【0053】
1.リードフレームを準備する工程;
まず、
図7に示すリードフレーム準備工程S1として、
図8に示すようなリードフレーム10を準備する。本実施の形態で使用するリードフレーム10には、枠体(枠部)10bの内側に複数のデバイス領域10aが形成されており、本実施の形態では、4つのデバイス領域10aを備えている。なお、枠体10bには、リードフレーム10を搬送するための送り穴(スプロケットホール)10cが形成されている。
【0054】
また、各デバイス領域10aは、
図8の部分拡大図である
図9に示すように、デバイス領域10aのほぼ中央部に形成されたチップ搭載部(ダイパッド、タブ)5と、このチップ搭載部5と一体に形成された複数の吊りリード11とを有している。また、各デバイス領域10aは、この複数の吊りリード11の間に配置され、かつチップ搭載部5の周囲に配置された複数のリード3と、この複数のリード3のそれぞれと一体に形成されたダムバー(タイバー、ダム部)12とを有している。
【0055】
また、複数のリード3のそれぞれは、後の封止工程において形成される封止体2(
図1および
図2参照)で覆われ、かつダムバー12よりもチップ搭載部5側に位置するインナリード3aと、このインナリード3aとダムバー12を介して一体に形成され、このダムバー12よりもインナリード3aから遠い位置に形成されたアウタリード3bとを備えている。
【0056】
また、複数の吊りリード11のそれぞれは、
図9に示すように、ダムバー12よりもチップ搭載部5側に位置するインナ部11aと、このインナ部(インナ吊りリード)11aとダムバー12を介して一体に形成され、このダムバー12よりも外側に位置するアウタ部(アウタ吊りリード)11bとを備えている。
【0057】
このアウタ部11bは、複数のアウタリード3bよりも外側に位置している。言い換えれば、四角形の平面形状からなるデバイス領域10aにおいて、吊りリード11のアウタ部11bはアウタリード3bよりも角部の近くに配置される。また、インナ部11aは、ダムバー12の近傍において2つに分岐し、それぞれのアウタ部11bにダムバー12を介して繋がっている。
【0058】
そして、アウタリード3bは、枠体10bとも連結(一体に形成)されている。なお、本実施の形態で使用するリードフレーム10は、金型を用いたプレス加工により形成されたものである。そのため、リード3の側面(
図11に示すリード3の上面3cと下面3dとの間に位置する面)の平坦度は、リード3の上面3c(あるいは下面3d)の平坦度とほぼ同じである。
【0059】
また、
図9のG−G線に沿った断面図である
図10に示すように、吊りリード11は、
図2、および
図9のH−H線に沿った断面図である
図11に示すように、チップ搭載部5がリード3の上面(表面、主面)3cよりも封止体2の下面(裏面、実装面)2b側に位置するように、折り曲げられる部分(折り曲げ部、オフセット部)11cを有している。これにより、後の封止工程において、チップ搭載部5の上面(表面、主面)5aに半導体チップ4(
図2参照)が搭載されていたとしても、樹脂の流動性(半導体チップ4の主面4a側とチップ搭載部5の下面5b側とを流れる樹脂の流動性)を安定化させることができる。
【0060】
なお、
図8および
図9に示すように、デバイス領域10aの平面形状は四角形からなり、複数の吊りリード11のそれぞれは、デバイス領域10aの中央部からデバイス領域10aの角部に向かって形成されている。
【0061】
また、リードフレーム10は金属からなり、本実施の形態では、例えば銅(Cu)、または鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金からなる。また、本実施の形態におけるリードフレーム10の厚さ(リード3の上面3cと下面3dとの間隔)は、125μmである。
【0062】
さらに、インナリード3aの一部(後のワイヤボンディング工程においてワイヤが接続される領域)には、
図11に示すように、銀(Ag)からなるめっき膜13が形成されている。本実施の形態におけるめっき膜13の形成方法としては、電解めっき法を使用している。なお、無電解めっき法を使用してもよいが、膜質を考慮すると、電解めっき法を使用してめっき膜13を形成することが好ましい。
【0063】
2.ダイボンディング工程;
次に、
図7に示すダイボンディング工程S2について説明する。なお、ここからの説明で使用する図面については、
図8のF部を抜粋した図面を使用する。また、
図8のF部に対応する断面図では、見易さのため図面のアスペクト比を変更し、各部材の厚さを
図2と比較して厚く示している。
【0064】
まず、上記したリードフレーム10だけでなく、上記した半導体チップ4も準備しておく。
【0065】
そして、
図13に示すように、ピックアップ治具14を用いて半導体チップ4を保持した後、
図12、
図13に示すように、ダイボンド材(接着材)6を介して、複数の半導体チップ4を複数のデバイス領域10a(チップ搭載部5)のそれぞれに搭載する。
【0066】
このとき、半導体チップ4は、半導体チップ4の裏面4bがチップ搭載部5の上面5aと対向するように、チップ搭載部5に搭載される(フェイスアップ実装)。
【0067】
ここで、本実施の形態で使用するチップ搭載部5の外形サイズは、半導体チップ4の外形サイズよりも小さい、所謂、小タブ構造である。そのため、チップ搭載部5に搭載された半導体チップ4の裏面の一部は、チップ搭載部5から露出する。また、本実施の形態で使用するダイボンド材6はペースト状の接着材であり、例えばノズル(図示しない)を介してチップ搭載部5の上面(表面、主面)5aに配置(塗布)してから、半導体チップ4を搭載する。
【0068】
3.ワイヤボンディング工程;
次に、
図7に示すワイヤボンディング工程S3について説明する。
【0069】
まず、
図14および
図15に示すように、凹部15aが形成されたヒートステージ15を準備し、チップ搭載部5が凹部15a内に位置するように、半導体チップ4が搭載されたリードフレーム10をヒートステージ15に配置する。
【0070】
そして、半導体チップ4の電極パッド4dとリード3とを、導電性部材7を介して電気的に接続する。ここで、本実施の形態では、キャピラリ16を介してワイヤを供給し、超音波と熱圧着を併用する、所謂、ネイルヘッドボンディング方式によりワイヤを接続している。
【0071】
なお、本実施の形態で使用する温度は、170〜230℃である。また、上記したように、リード3の一部にはめっき膜13が形成されており、ワイヤの一部は、このめっき膜13を介してリード3と電気的に接続されている。
【0072】
また、ワイヤは金属からなり、本実施の形態では、例えば金(Au)からなる。そのため、上記したように、半導体チップ4の電極パッド4dの表面に金(Au)を形成しておくことで、ワイヤと電極パッド4dとの密着性を向上できる。
【0073】
また、本実施の形態では、半導体チップ4の電極パッド4dにワイヤの一部を接続した後、ワイヤの他部をリード3(インナリード3a)におけるワイヤ接続領域(リード3の上面において、めっき膜13が形成された部分)に接続する、所謂、正ボンディング方式によりワイヤを接続している。
【0074】
4.モールド工程;
次に、
図7に示す封止工程S4について説明する。
【0075】
まず、
図16に示すように、金型面(第1金型面)21a、およびこの金型面21aに形成された凹部(キャビティ)21bを有する上型(第1金型)21と、上型21の金型面21aに対向する金型面(第2金型面)22a、およびこの金型面22aに形成された凹部(キャビティ)22bを有する下型(第2金型)22とを備えた成形金型20を準備する。
【0076】
そして、
図16に示すように、半導体チップ4が上型21の凹部21b内、かつチップ搭載部5が下型22の凹部22b内にそれぞれ位置するように、ワイヤボンディング工程を施したリードフレーム10を成形金型20の内部(上型21と下型22との間)に配置する。
【0077】
次に、
図17に示すように、リードフレーム10を上型21と下型22とでクランプする。このとき、リードフレーム10をクランプする際には、少なくともリードフレーム10に形成されたダムバー(タイバー、ダム部)12をクランプしている。詳細には、
図18に示すように、複数のインナリード3aのそれぞれの一部(凹部21b、22bからの突出部3g)、ダムバー12、および複数のアウタリード3bのそれぞれの一部を上型21と下型22とでクランプする。
【0078】
この理由の一つは、以下である。樹脂の流出を防ぐためのダムバー12をクランプするように成形金型20を製造したとしても、成形金型20の加工精度の問題、あるいは熱の影響によるリードフレーム10の膨張または収縮により、クランプ位置がダムバー12からずれる場合がある。例えば、リードフレーム10をクランプした際には、成型金型20に形成された凹部21b、22bの端部K(言い換えると、
図16に示す金型面21a、21bの端部K)がダムバー12よりも外側(アウタリード3b側)に位置する虞がある。
【0079】
これにより、デバイス領域10aの角部に配置されたゲート部(図示しない)から凹部の内部に供給された樹脂が、比較例である
図50に示すように、凹部21b、22bの端部Kとダムバー12との間に形成された隙間を介して、複数のリード3のうちの隣り合うリード3間に流れ込み、上型21と下型22との間から成形金型20の外側に向かって樹脂が漏れる虞がある。
【0080】
また、もう一つの理由は、仮に凹部21b、22bの端部がダムバー12と平面的に重なるように、リードフレーム10をクランプすることができた場合である。すなわち、上記したように、複数のリード3はダムバー12を介して連結されているため、半導体装置が完成するまでに、複数のリード3のうちの一つリード3を、他のリード3と電気的に分離しなければならない。
【0081】
しかし、成型金型20に形成された凹部21b、22bの端部(端部K)がダムバー12と平面的に重なるように(凹部21b、22bの端部(端部K)が、ダムバー12におけるインナリード3a側の端部と平面的に重なるように)、リードフレーム10をクランプした場合、封止体2が以下のように形成される。すなわち、
図51に示すように、形成される封止体2の端部(側面)とダムバー12の端部(インナリード3a側の端部)が一致する(平面的に重なる)ように、封止体2が形成される。隣り合うリード3を電気的に分離するためには、確実にダムバー12を切断しなければならないが、
図51に示すように封止体2が形成されると、後のダムバー12を切断する工程において、封止体2の一部(側面)まで傷をつけてしてしまう虞がある。
【0082】
そこで、本実施の形態では、
図18に示すように、意図的にインナリード3aの一部(上面3c、下面3d)にも金型面21a、22aを接触させている。これにより、凹部21b、22bの内部に供給された樹脂25が成形金型20の外に漏れる問題を確実に抑制することができる。また、ダムバー12の端部(インナリード3a側の端部)が封止体2(
図20参照)の端部(側面)から離れるため、後のダムバー12を切断する工程において、封止体2(チップ封止用樹脂)の一部に傷をつけないように、ダムバー12を容易に切断(除去)することができる。
【0083】
次に、
図19に示すように、リードフレーム10を上型21と下型22とでクランプした状態で、上型21の凹部21bおよび下型22の凹部22bのそれぞれに樹脂25を供給し、半導体チップ4、複数の導電性部材7、チップ搭載部5、および複数のリード3(
図18に示す複数のインナリード3aのそれぞれの突出部3g以外の部分)をこの樹脂25で封止する。
【0084】
そして、供給された樹脂25を熱硬化することで、封止体(チップ封止用樹脂)2を形成する。ここで、本実施の形態における樹脂25は、熱硬化性のエポキシ系樹脂であり、複数のフィラー(シリカ)を含有している。また、本実施の形態における成形金型20の温度は、約180℃である。また、
図20に示すように、複数のインナリード3aのうちの隣り合うインナリード3aの間(インナリード3aの一部)にも樹脂25が供給される。
【0085】
次に、熱硬化工程を施した後、成形金型内からリードフレーム10を取り出すことで、
図21に示すような、各デバイス領域10aに封止体2が形成されたリードフレーム10を取得する。
【0086】
ここで、本実施の形態では、上記したように、金型面21a、21bがインナリード3aの一部に接触するように、リードフレーム10をクランプした状態で、樹脂を凹部21b、22b内に供給している。このため、
図21および
図22に示すように、複数のインナリード3aのうちの隣り合うインナリード3a間だけでなく、半導体チップ4を封止する封止体(チップ封止用樹脂)2eと、複数のインナリード3aのそれぞれの一部(金型でクランプされる部分)と、ダムバー12とで囲まれた領域(樹脂蓄積領域)にも、封止体(ダム内樹脂、リード間樹脂)2fが形成される。
【0087】
5.ベーク工程;
次に、
図7に示すベーク工程S5について説明する。
【0088】
まず、成形金型20から取り出したリードフレーム10をベーク炉(図示は省略)に搬送し、再びリードフレーム10を熱処理する。この理由は、上記の封止工程における熱硬化工程では、凹部内に供給された樹脂を硬化してはいるものの、樹脂が完全に硬化しきっていない状態である。これは、次に成形金型20に搬送される次のリードフレーム10に対して、いち早く封止工程を施すためである。そのため、本実施の形態では、樹脂25の硬化工程を、2回に分けている。そして、本ベーク工程S5において、封止工程により形成された封止体2を構成する樹脂25を、完全に硬化させる。これにより、封止工程は完了する。なお、本ベーク工程では、150℃の熱雰囲気中に封止体2が形成されたリードフレーム10を配置し、3〜3.5時間程度、熱を加えている。
【0089】
6.ダムバーカット工程;
次に、
図7に示すダムバーカット工程S6について説明する。
【0090】
この工程では、複数のリード3のうちの隣り合うリード3間に形成されたダムバー12を除去する。これにより、複数のリード3のうちの一方のリード3(
図23で言う真ん中のリード)と、他方のリード3(
図23で言う真ん中のリード3の隣のリード3)を電気的に分離することができる。なお、本実施の形態では、切断刃(金型、パンチ)26を用いてダムバー12の一部を切断する。
【0091】
ここで、ダムバーカット工程に搬送されてきたリードフレーム10には、
図22に示すように、先の工程(封止工程)において、半導体チップ4を封止する封止体(チップ封止用樹脂)2eと、この封止体2、複数のリード3(インナリード3aの一部(クランプされる領域))、およびダムバー12とで囲まれた領域(樹脂蓄積領域)に形成された封止体(ダム内樹脂)2fとが形成されている。そのため、ダムバー12に挿入させる切断刃26の位置がずれたとしても、半導体チップ4を封止する封止体2(チップ封止用樹脂)を傷つける虞はない。
【0092】
本願発明では、
図23(特に、下側)に示すように、切断刃26の一部が封止体(ダム内樹脂)2fと接触する(ダム内樹脂の一部も除去する)ように、切断刃26をダムバー12に接触させ、ダムバー12を切断している。これにより、
図23(特に、上側)に示すように、隣り合うリード3同士を連結する(繋ぐ)部分が存在しないように、ダムバー12(少なくともダムバー12の一部;
図22参照)を完全に除去することができる。
【0093】
なお、本実施の形態で使用する切断刃26は、隣り合うリード3間の距離(間隔)よりも細い(小さい)幅からなる切断刃26を使用しており、本実施の形態では、隣り合うリード3間の距離が0.45mmであるのに対し、0.39mm幅の切断刃26を使用している。これは、リードフレーム10に対する切断刃26の位置ずれを考慮しており、切断刃26の位置がずれたとしても、切断刃26の一部がリード3に接触するのを抑制できる。
【0094】
これにより、本ダムバーカット工程S6が施されたリード3の側面には、
図3および
図23に示すように、ダムバー12の残存物である突出部(残留ダムバー)3fが形成される。また、本実施の形態では、封止体(チップ封止用樹脂)2eに切断刃26が接触しないよう、封止体(チップ封止用樹脂)2eと切断刃26との間隔を設けており、本実施の形態では、ダムバー12から封止体(チップ封止用樹脂)2eまでの距離が0.3mmであるのに対し、封止体2(チップ封止用樹脂)と切断刃26との間隔を、0.1mm程度、設けている。
【0095】
また、
図23に示すような切断方法を適用することで、以下の問題も解決できる。すなわち、切断刃26の位置合わせが正確にできるのであれば、ダムバー12にのみ切断刃26を接触させ、ダムバー12を除去してもよい。しかしながら、このような切断方法では、全ての封止体(ダム内樹脂)2fが樹脂蓄積領域内に残ってしまう。そのため、後のダム内樹脂除去工程S7において、レーザ31を用いて除去すべき封止体(ダム内樹脂)2fの量(体積)が最大となる。
【0096】
ここで、レーザ31を用いて樹脂を除去する場合、レーザ31が照射された樹脂は粉砕される。しかし、この粉砕された樹脂は異物となって周囲(特に、レーザ31が照射された部分の近傍)に飛散する。そして、リード3の表面に煤(すす)となって付着する。このとき、レーザ31が照射される部分は高温となる。そして、このレーザ31が照射された部分の近傍も、ある程度、加熱された状態となる。そのため、リード3におけるダム内樹脂の近傍は加熱された状態となり、リード3の表面に付着した異物(すす)が固着してしまう。また、レーザ31にて除去する樹脂の量(体積)が多いと、リード3表面に堆積する異物(すす)の量も多くなる。この結果、後の洗浄工程において要する処理時間が長くなるだけでなく、場合によっては、リード3の表面に固着した異物(堆積された異物のうちのリード表面側(下層)に位置する異物)を完全に除去できない虞がある。
【0097】
しかしながら、本実施の形態では、このダムバーカット工程S6において、
図23に示すように、封止体(ダム内樹脂)2fの一部も除去している。そのため、後のダム内樹脂除去工程(レーザ照射工程)S7において発生する異物(すす)の量(飛散量)を低減することができる。これにより、洗浄工程において要する処理時間を低減できる。さらには、洗浄工程において、リード3の表面に付着した異物を容易に除去できるため、後のめっき工程S9において、リード3の表面に形成されるめっき膜8の信頼性を向上することができる。なお、本実施の形態におけるダムバーカット工程S6では、上記したように、切断刃26を用いているため、除去されるダム内樹脂の一部は、一つの塊として打ち落とされる。すなわち、レーザ31で除去する場合とは異なり、除去することで発生する異物は、煤(すす)のような微細な形状とならないため、リード3の表面に付着(残存)し難い。
【0098】
7.ダム内樹脂除去工程(レーザ照射工程);
次に、
図7に示すダム内樹脂除去工程(レーザ照射工程)S7について説明する。
【0099】
本工程では、上記したダムバーカット工程S6を施した後に、リードフレーム10のうちの樹脂蓄積領域内に形成された封止体(ダム内樹脂)2fを除去する。ここで、本実施の形態では、先の工程S6において、封止体(ダム内樹脂)2fの一部を除去しているため、本工程に搬送されてきたときには、封止体(ダム内樹脂)2fの他部(残留樹脂2g、残部)が樹脂蓄積領域内に残存した状態である。詳細には、
図23(特に、上側)および
図24に示すように、封止体(ダム内樹脂)2fの他部がリード3(インナリード3a)の側面に固着した状態である。
【0100】
そして、本実施の形態では、
図24に示すように、レーザ31をこの残留樹脂2gに照射することで、この残留樹脂2gを除去する。このとき、残留樹脂2gの体積は、封止工程S4(あるいはベーク工程S5)を施した直後の状態に比べて少なくなっているため、短時間でこの樹脂蓄積領域内に形成された封止体2fを除去することができる。詳細に説明すると、本実施の形態では、先のダムバーカット工程S6において、この樹脂蓄積領域内に形成された封止体(ダム内樹脂)2fの大半を除去している。そのため、本工程S7において除去すべき封止体(残留樹脂2g)の量(体積)は、ダムバーカット工程において除去する封止体(残留樹脂2g)の一部の量(体積)よりも少ない。この結果、短時間で本工程を処理できる。
【0101】
また、除去すべき残留樹脂の量(体積)が少ない状態で、本工程にリードフレーム10が搬送されてくるため、本工程において発生する異物(すす)の量を低減することもできる。
【0102】
なお、本実施の形態で使用するレーザ31の条件は、例えば電流値が18A、スキャンスピードが100mm/s、周波数が50kHz、出力が32Wである。
【0103】
また、本実施の形態では、
図25に示すように、この封止体(残留樹脂2g)の表面に対して、所定の角度(第1角度)を有するように、レーザ31を照射している。ここで、レーザ31を残留樹脂2gの表面(リード3の側面側)に対して所定の角度を有するようにレーザ31を照射することができる理由は、
図23に示すように、平面視においてダム内樹脂の中央部が、先の工程において既に除去されているためである。すなわち、この中央部には空間が形成されていることから、
図25に示すように、所定の角度を有するように、レーザ31を残留樹脂2gの表面(リード3の側面側)に照射させることができる。
【0104】
所定の角度(第1角度)を有するようにレーザ31を照射させる具体的な方法は、
図25に示すように、レーザ光源32から発せられたレーザ31を、レーザ照射装置30内に設置されたガルバノミラー33および集光レンズ34のそれぞれを介して残留樹脂2gに照射している。
【0105】
なお、所定の角度(第1角度)を有するようにレーザ31を照射させる理由は、照射されたレーザ31が、一般に指向性を有し、直線方向にしか飛ばないことにある。すなわち、
図24に示すように、残留樹脂2gはリード3の側面に固着しているため、リード3の上面(表面、主面)3cに対して垂直方向にレーザ31を照射した場合、リードフレーム10の上面側から残留樹脂2gを粉砕することになる。例えば、
図25において、中央に示すレーザ31およびリード3の位置関係がこれに相当する。このとき、使用するリードフレーム10の厚さが厚い場合には、残留樹脂2gの厚さも厚くなるため、垂直方向にレーザ31を照射する方法のみでは、全ての残留樹脂2gを除去するための時間を要する。そこで、本実施の形態では、
図24に示すように、封止体2の表面に対して鋭角方向からレーザ31を照射している。ここで、上記したように、本実施の形態におけるリードフレーム10の厚さ(リード3の上面と下面との距離)は125μmである。一方、上記した切断刃26の幅やリード3間の距離を考慮すると、残留樹脂の厚さ(リード3の幅方向における厚さ)は30μmである。そのため、封止体2の表面に対して鋭角方向からレーザ31を照射する方が、リード3の側面に固着した残留樹脂2gの除去が容易である。また、残留樹脂2gの広い範囲にレーザ31を照射することができるため、短時間で本工程を処理できる。
【0106】
また、残留樹脂2gは、
図24に示すように、リード3の両側面に形成されている。そこで、本実施の形態では、
図25に示すように、1つのレーザ照射装置30に対してリードフレーム10の位置を移動させ(変更し)、レーザ31を照射している。これにより、リード3の両側面に形成された残留樹脂2gを、1つのレーザ照射装置30で容易に除去できる。なお、本実施の形態のように、リードフレーム10を移動させてレーザ31を照射する場合には、リードフレーム10の位置に応じてレーザ31の照射角度は変化することとなる。この場合、
図25に示すように、変化する照射角度の一部に封止体2の上面2a(
図24参照)に対して垂直方向が含まれていても良い。
【0107】
そして、
図26に示すように、リード3の側面に固着されていた残留樹脂2gが除去された状態となる。このとき、図示しないが、リード3の表面には、残留樹脂2gを除去した際に発生した異物(すす)が付着した状態である。また、封止体2(チップ封止用樹脂)には傷がつかないようにレーザ31を照射するため、
図26に示すように、この封止体(チップ封止用樹脂)2eと残留樹脂2gとの界面付近には、残留樹脂2gが部分的に残る場合がある。
【0108】
8.洗浄工程;
次に、
図7に示す洗浄工程S8について説明する。
【0109】
本洗浄工程(デフラッシュ工程)では、封止体(チップ封止用樹脂)2eから露出するリード3の表面に付着した異物(すす)を除去する。
【0110】
まず、
図27に示すように、被加工物(本実施の形態では、
図26に示すリードフレーム10)を、電解液35が入った浴槽36内に配置する。このとき、被加工物を浴槽36内の陽極37に接続する。そして、この陽極37と、同じく浴槽36内に配置された陰極38との間に直流電圧をかけることによって、被加工物の表面(ここでは、リード3の表面)に付着した異物と被加工物との結合を解く。これにより、リード3の表面に付着した異物を除去できる。
【0111】
なお、上記したように、レーザ31の熱の影響で、リード3の表面に付着した異物は、結合力が強いものもある。そのため、この工程(電解バリ取り工程)だけでは、異物が完全に除去しきれない場合がある。このような場合には、さらに、圧力を加えた洗浄水(高圧水)を被加工物(リード3の表面)に吹き付ける、所謂、水圧バリ取り工程を行うことが好ましい。
【0112】
このとき、本実施の形態で使用する洗浄水は、例えば一般的な水であり、詳細には水道水(上水)を指す。また、圧力(水圧)は50〜150kgf/cm
2である。また、本実施の形態では、
図28に示すように、開口部を有するマスク40を準備し、開口部40aからリード3のみ露出させた状態、言い換えると、封止体2をマスク40で覆った状態で、
図29に示す高圧水41をリード3に吹き付ける。これにより、たとえ高圧水41を被加工物に吹きつけたとしても、封止体2の表面が傷つき難くなる。このとき、
図29に示すように、水圧でリードフレーム10が変形しないようにするために、本実施の形態では、リードフレーム10の下面側に支持部材42を配置した状態で、高圧水41を吹き付けている。
【0113】
なお、上記したように、水圧バリ取り工程で使用する圧力をより高くする、あるいは固体粒子を含有した洗浄水を使用すれば、この水圧バリ取り工程だけでも異物の除去はできるかもしれない。しかしながら、半導体装置の小型化、多ピン化、または薄型化などの影響により、リード3の厚さ、あるいは幅は小さくなる傾向にある。そのため、あまりにも高い圧力を加えた洗浄水、または長時間に亘って高圧水41をリード3に吹き付けると、リード3が変形する虞がある。リード3が変形すると、実装基板に完成した半導体装置を実装した際に、実装基板の電極パッドと接続されない虞があり、半導体装置の実装信頼性が低下する。
【0114】
これに対し本実施の形態では、2種類の洗浄工程(バリ取り工程)を適用している。すなわち、先に電解バリ取り工程を行うことで、リード3に応力を加えることなく、ある程度、異物を除去してから(浮き上がらせてから)、必要に応じて水圧バリ取り工程を行っている。そのため、リード3が変形することなく、リード3の表面に付着した異物を除去できる。
【0115】
ここで、
図24や
図26に示すように、リード3の表面には、先の封止工程によりレジンバリ2hが形成される場合がある。上記したように、封止工程で使用する樹脂は、液状の樹脂にフィラーが含まれたものであるが、このレジンバリ2hは、金型面とリード3の表面との隙間から染み出した液状の樹脂の一部が熱により硬化したものであり、フィラーを含んでいない。そのため、封止体2の厚さに比べると非常に薄く、例えば10〜20μm厚程度である。このようなレジンバリ(異物)2hがリード3の表面に形成されている場合においても、本洗浄工程を行うことにより、すす(異物)と合わせて除去することができる。
【0116】
9.めっき工程;
次に、
図7に示すめっき工程S9について説明する。
【0117】
本めっき工程では、封止体(チップ封止用樹脂)2eから露出するリード3の表面にめっき膜8(
図31参照)を形成する。
【0118】
まず、
図30に示すように、被加工物(本実施の形態では、
図26に示すリードフレーム10)を、めっき液45が入っためっき槽46内に配置する。このとき、被加工物をめっき槽46内の陰極47に接続する。そして、この陰極47と、同じくめっき槽46内に配置された陽極48との間に直流電圧をかけることによって、被加工物(リード3の表面)にめっき膜8(
図31参照)を形成する。つまり、本実施の形態では所謂、電解めっき法によりめっき膜8を形成する。
【0119】
本実施形態のめっき膜8は、Pb(鉛)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなり、例えばSn(錫)のみ、Sn(錫)−Bi(ビスマス)、またはSn(錫)−Ag(銀)−Cu(Cu)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHs(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0120】
このため、本めっき工程で使用するめっき液45には、例えばSn
2+、あるいはBi
3+などの金属塩が含まれている。なお、本実施の形態では、鉛フリー半田めっきの例としてSn−Biの合金化金属めっきについて説明するが、BiをCuやAgなどの金属に置き換えることができる。
【0121】
次に、
図30に示す陽極48と陰極47の間に電圧をかけると、両電極間(陽極48と陰極47の間)で通電する。めっき液45中のSn
2+、およびBi
3+が所定の割合でリード3の表面に析出し、めっき膜8が形成される。
【0122】
ここで、本実施の形態のように電解めっき法によりめっき膜8を形成する場合、陰極47と電気的に接続され、かつ、めっき液45に曝露している導電性部材の表面に金属塩が析出し、めっき膜8となる。本実施の形態では、
図26に示すようにインナリード3aの側面に形成された本めっき工程の前に残留樹脂2gを取り除いている。また、上記したように本めっき工程の前に洗浄工程を行うことにより、リード3の表面に付着した異物を除去している。したがって、本めっき工程では、
図26に示す突出部3fの周囲(例えば隣り合う突出部3fの対向面(切断面))にも密着してめっき膜8(
図31参照)が形成される。詳しくは、突出部3fの周囲の残留樹脂2gは取り除かれているので、突出部3fはめっき膜8に被覆されることとなる。
【0123】
本実施の形態のリードフレーム10は、例えば銅からなる下地材の表面にNiからなるめっき膜を形成している。上記したダムバーカット工程において、ダムバーを切断すると、その切断面では下地材が露出することとなる。このように下地材が露出した状態では、露出面からリード3の腐食が進行し、半導体装置の信頼性を低下させる原因となる。
【0124】
しかし、本実施の形態では、上記したように、ダムバーの切断面にもしっかりとめっき膜8を形成することができるので、リード3の腐食を防止して、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0125】
なお、本実施の形態によれば、リードフレーム10を構成する材料の種類によらず、突出部3fの周囲をめっき膜8で被覆することができるので、上記した材料の他、例えば鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金である、42Alloyと呼ばれる材料や、Niからなるめっき膜を形成しない銅フレームなど、種々の変形例に適用することができる。
【0126】
10.マーク工程:
次に、
図7に示すマーク工程S10について説明する。
【0127】
本マーク工程では、封止体2の上面2aに複数のリード3のうちの一番目のリード3を認識するためにマーク(アライメントマーク、位置認識マーク)2d(
図1参照)を形成する。
【0128】
本マーク工程では、例えば
図31に示すように封止体2の上面2a側にレーザ50を照射して封止体2の一部を取り除き、マーク2d(
図1参照)を形成する。本実施の形態で使用するレーザ50の条件は、上記したレーザ照射工程で照射したレーザ31と同じ条件、例えば電流値が18A、スキャンスピードが100mm/s、周波数が50kHz、出力が32Wである。したがって、例えば
図25に示すレーザ照射装置30を用いてマーク2d(
図1参照)を形成することができる。
【0129】
本実施の形態のように、レーザ50を照射してマーク2d(
図1参照)を形成する場合、取り除かれた封止体2の一部が異物となって飛散する場合がある。しかし、本実施の形態では、本マーク工程をめっき工程の後で行うので、リード3に対するめっき膜8の密着性や濡れ性の低下を防止することができる。
【0130】
また、本マーク工程では、アライメントマークを形成するが、これに加えて製品固有の識別マークなどを形成することもできる。
【0131】
また、本実施の形態では、マーク工程をめっき工程の後で行う実施態様について説明したが、上記したダム内樹脂除去工程(レーザ照射工程)と一緒に行うこともできる。つまり、ダム内樹脂除去工程(レーザ照射工程)S7において、リードフレーム10のうちの樹脂蓄積領域内に形成された封止体(ダム内樹脂)2fを除去するとともに、マーク(アライメントマーク、位置認識マーク)2d(
図1参照)を形成する。本実施の形態のようにレーザ31とレーザ50の条件を同じ条件とすることで、例えば、1台のレーザ照射装置30(
図25参照)により行うこともできる。
【0132】
このように、本マーク工程と、レーザ照射工程を一緒に行うことにより、製造工程を簡略化することができる。また、マーク2dを形成する際に、異物が飛散した場合であっても、その後の洗浄工程で、該異物を除去することができるので、リード3に対するめっき膜8の密着性や濡れ性の低下を防止することができる。また、この場合、めっき膜8の表面に異物が付着することを防止する事ができるので、めっき膜8に付着した異物に起因する信頼性の低下を防止することができる点から好ましい。
【0133】
11.リード成形工程
次に、
図7に示すリード成形工程S11について説明する。
【0134】
本リード成形工程では、リードフレーム10の枠体(枠部)10bに連結された複数のリード3の連結部を切断した後、リード3に曲げ加工を施して成形する。
【0135】
まず、
図32〜
図34に示すように、枠体10bにそれぞれ連結されて一体化している複数のリード3を連結部で切断し、それぞれ独立した部材とする(リードカット工程)。本リードカット工程では、例えば
図32に示すように、リードフレーム10の下面側にダイ(支持部材)51、上面側にパンチ(切断刃)52をそれぞれ配置してプレスすることでリード3を切断する。パンチ52はダイ51に形成された隙間と重なる位置に配置されており、パンチ52をダイ51の隙間に向かって押し下げると、リード3が切断される。このようにプレス加工により切断されたリード3の端部は、
図33に示すように、略平坦な切断面を有し、切断面において、リード3がめっき膜8から露出する。
【0136】
次に、
図35〜
図37に示すように切断された複数のリード3に曲げ加工を施して成形する(曲げ加工工程)。本実施の形態では、例えば、ガルウィング状に成形する。
【0137】
曲げ加工工程では、例えば
図35に示すように、リード3の上面側に配置するダイ(第1支持部材)53aおよびリード3の下面側に配置するダイ(第2支持部材)53bを備えるダイ(曲げ加工用支持部材、支持部材)53でリード3を挟み込んで固定する。本実施の形態では、
図35に示すように、リード3の突出部3fと重なる位置においてダイ53a、53bでリード3を挟み込んでいる。またダイ53bのリード3との対向面53cは、リード3を加工する形状に対応して(本実施の形態ではガルウィング形状)成形されている。
【0138】
このように、ダイ53によって固定されたリード3の上面側から、パンチ(押圧部材)54でプレスして曲げ加工を施す。パンチ54のリードとの対向面54aは、ダイ53bのリード3との対向面53cの形状に倣って成形されており、パンチ54をダイ53bに向かって押し下げると、
図35に示すようにリード3が屈曲し、所定形状(本実施の形態ではガルウィング形状)に成形される。
【0139】
ここで、本実施の形態では、
図3に示すように、突出部3fを基点として折り曲げている。これは、上記したように封止体2から露出するリード3において、最も幅が太い部分である突出部3fを基点として、リード3を折り曲げることにより、成形されるリード3の形状が安定(均一化)し易いからである。また、半導体装置の実装面積を小さくする観点から、リード3を折り曲げる基点は出来る限り封止体2に近付けることが好ましい。
【0140】
このように、リード3の形状の安定化の観点や、半導体装置の実装面積を小さくする観点からは、突出部3fを基点として曲げ加工を施すことが好ましいが、突出部3fの周囲に例えば
図24に示すような残留樹脂2gが残っていると以下のような問題が生じる。すなわち、曲げ加工を行う際の応力が残留樹脂2gに伝達し、残留樹脂2gが破壊する問題である。残留樹脂2gが破壊すると、破壊された残留樹脂2gの欠片が脱落しやすくなる。この脱落した残留樹脂2gの欠片が、例えばダイ53b上に落下した場合、次のリードを成形する際に、リード3の形状不良などを引き起こす原因となる。また、脱落した欠片がリード3に付着した場合、半導体装置の実装時に異物となって実装不良を引き起こす原因となる。
【0141】
しかし、本実施の形態によれば、上記したように突出部3f周囲の残留樹脂2gを確実に取り除くことができるので、リード3の形状不良や半導体装置の実装不良を防止することができる。
【0142】
また、この曲げ加工工程では、曲げ加工の安定性を図る観点から、リード3の長さを必要長よりも長くした状態で加工を施す。つまり、
図36、
図37に示すリード3の長さは、最終的に得られる半導体装置1(
図1参照)のリード3よりも長い。
【0143】
このため、次に、
図38〜
図40に示すようにリード3(アウタリード3b)の先端を切断し、リード3の長さを短くする(リード先端カット工程)。
【0144】
このリード先端カット工程では、例えば
図38に示すように、リード3の上面側に配置するダイ(第1支持部材)55aおよびリード3の下面側に配置するダイ(第2支持部材)55bを備えるダイ(曲げ加工用支持部材、支持部材)55でリード3を挟み込んで固定する。このように、ダイ55によって固定されたリード3の上面側から、パンチ(切断刃)56でプレスしてリード3の先端を切断する。パンチ56は、ダイ55bと重なる位置に配置され、リード3を挟み込んで固定する押さえ部56aと、封止体2に対して押さえ部56aよりも外側に配置される可動部56bを備え、切断刃56cは、可動部の先端に取り付けられている。
【0145】
このリード先端カット工程でも、プレス加工により切断するので、切断されたリード3の端部は、
図39に示すように、略平坦な切断面を有し、切断面において、リード3がめっき膜8から露出する。
【0146】
12.個片化工程;
次に、
図7に示す個片化工程S12について説明する。
【0147】
本工程では、枠体(枠部)10bに連結されている吊りリード11を切断し、デバイス領域10a毎に個片化して半導体装置1を取得する。吊りリード11を切断する手段は、例えば
図41、
図42に示すように、リードフレーム10の下面側にダイ(支持部材)57、上面側にパンチ(切断刃)58をそれぞれ配置してプレスすることで吊りリード11を切断する。パンチ58はダイ57に形成された隙間と重なる位置に配置されており、パンチ52をダイ57の隙間に向かって押し下げると、吊りリード11が切断される。
【0148】
なお、本実施の形態では上記したダムバーカット工程において、
図21に示す、隣り合って配置される吊りリード11の間に形成された封止体(ダム内樹脂)2fを取り除いている。しかし、吊りリード11の間に形成された封止体(ダム内樹脂)2fを取り除くタイミングはこれに限定されず、本個片化工程において、吊りリード11とともに切断することもできる。この場合、上記したレーザ照射工程、洗浄工程、めっき工程、マーク工程、リード成形工程の各工程において、吊りリード11による支持強度を向上させることができる。
【0149】
以上の各工程を行うことで、半導体装置1が完成する。
【0150】
<<電子装置について>>
次に、本実施の形態で説明した半導体装置1を実装した電子装置(電子機器)について説明する。
【0151】
本実施の形態における電子装置60は、完成した半導体装置1を、接合材61を介して実装基板62に搭載することで得られる。ここで、実装基板62の上面(主面、表面)62aには、
図43に示すように、複数の電極パッド(ランド)63が形成されている。そして、これらの表面には、予め(半導体装置1を搭載する前)、接合材61が形成(配置)されている。ここで、本実施の形態において使用する接合材61は、鉛(Pb)を排除したSn系の金属である(詳細には、鉛の含有量が実質1%以下である)、所謂、鉛フリーの半田からなる。そして、半導体装置1のリード3(アウタリード3b)がこの接合材61と接触するように、半導体装置1を実装基板62の上面62aに配置し、熱を加えて接合材61を溶融させる。これにより、溶融した接合材61がリード3の表面を濡れ上がり、再度、固化することで、半導体装置1のリード3は実装基板62の電極パッド63と電気的に接続される。これにより、電子装置60が完成する。
【0152】
このとき、本実施の形態では、上記したように、封止体(チップ封止用樹脂)2から露出するリード3(アウタリード3b)の表面にはめっき膜8が形成されているため、半田の濡れ上がり性が良く、半導体装置1の実装強度を向上することができる。また、本実施の形態では、予めダム内樹脂を除去しているため、実装基板62に半導体装置を実装した後に、ダム内樹脂がリードの表面から脱落(剥離)し、異物となって電子気装置内に飛散することはないため、電子装置60の信頼性を向上できる。さらに、本実施の形態では、ダム内樹脂を除去することで露出したリード3の表面だけでなく、ダムバー12(
図9参照)を切断することで形成された突出部3f(
図3参照)の切断面にもめっき膜8を形成しているため、リード3の腐食を抑制することができ、半導体装置1および電子装置60の信頼性を向上できる。
【0153】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0154】
例えば、前記実施の形態におけるリードフレーム準備工程S1では、インナリード3aの一部に銀からなるめっき膜13が形成されたリードフレーム10を準備し、封止工程の後に、アウタリード3bにめっき膜(外装めっき膜)8を形成することについて説明したが、予めパラジウム(Pd)からなるめっき膜が各部位(インナリード3a、アウタリード3b、チップ搭載部5など)の全面に形成されたリードフレーム(所謂、先付けめっき品)を用いてもよい。先付けめっき品であれば、リードフレームを準備する段階において、アウタリードにもめっき膜が形成された状態となるため、洗浄工程の後にめっき工程を行う必要が無く、製造工程を簡略化できる。しかしながら、先付けめっき品の場合、基本的には、洗浄工程の後にめっき工程を施さないため、ダムバー12を切断することで形成される突出部(残留ダムバー)3fの切断面にはめっき膜が形成されない。そのため、前記実施の形態よりも、アウタリードの腐食耐性が低下する虞がある。
【0155】
また、前記実施の形態におけるリードフレーム準備工程S1では、プレス加工により形成されたリードフレーム10を準備することについて説明したが、エッチング方式により形成されたリードフレームを用いても良い。なお、エッチング方式によりリードフレームを成形する場合、図示しないが、リードフレームの上下にマスクを配置し、マスクの開口部から露出した部分に対してエッチングをするため、
図44に示すように、リード3の側面は湾曲した面となる。言い換えると、側面の平坦度は、上面3c、または下面3dの平坦度よりも低くなる。そのため、この部分にダム内樹脂が形成されると、レーザ照射工程S7において、リードフレームの上面(または下面)に対して垂直方向にレーザを照射する方法では、リードフレームの一部がレーザの照射を妨げる虞がある。そこで、
図24及び
図25に示すように、リード3の表面(側面)に対して所定の角度を有するようにレーザ31を照射することで、この湾曲した側面にダム内樹脂が固着していたとしても、容易に除去することができる。
【0156】
また、前記実施の形態におけるダイボンディング工程S2では、チップ搭載部5の外形サイズが半導体チップ4の外形サイズよりも小さい、所謂、小タブ構造について説明したが、半導体チップ4の外形サイズよりも大きい外形サイズからなる、所謂、大タブ構造のリードフレームを用いてもよい。このとき、半導体チップ4の裏面4bの全ては、チップ搭載部5で覆われた状態となる。また、銅からなるリードフレームと封止体2との密着性は、シリコンからなる半導体チップ4と封止体2との密着性よりも低い。そのため、チップ搭載部5に孔を形成しておき、封止体2の一部を半導体チップの裏面4bの一部と接触させることが好ましい。
【0157】
また、前記実施の形態におけるダイボンディング工程S2では、ペースト状のダイボンド材6を介して半導体チップ4をチップ搭載部5に搭載することについて説明したが、半導体チップ4の裏面4bに予め接着層を貼り付けておき、この接着層を介してチップ搭載部5に搭載してもよい。
【0158】
また、前記実施の形態におけるワイヤボンディング工程S3では、導電性部材7として金(Au)からなるワイヤを使用することについて説明したが、銅(Cu)、あるいはアルミニウム(Al)からなるワイヤを使用してもよい。
【0159】
また、前記実施の形態におけるワイヤボンディング工程S3では、導電性部材7としてワイヤを用いることについて説明したが、バンプ電極を介して半導体チップ4の電極パッド4dとリードとを電気的に接続してもよい。この場合、半導体チップの主面がリードの上面と対向するように、このリード上に半導体チップを配置する、所謂、フリップチップ実装を行う。
【0160】
また、前記実施の形態におけるワイヤボンディング工程S3では、正ボンディング方式によりワイヤを接続することについて説明したが、リード3にワイヤの一部を接続した後、半導体チップ4にワイヤの他部を接続する、所謂、逆ボンディング方式によりワイヤを接続してもよい。この場合、半導体チップの電極パッドに、バンプ電極(突起状電極、スタッドバンプ)を形成しておき、このバンプ電極にワイヤの他部を接続することが好ましい。
【0161】
また、前記実施の形態におけるダムバーカット工程S6では、切断刃(金型、パンチ)26を用いてダムバーの一部を除去することについて説明したが、例えばレーザを用いてもよい。一例としては、
図7の組立てフローにおけるダム内樹脂除去工程S7で使用するレーザ31を用いて、ダム内樹脂だけでなく、ダムバー12も除去する手段である。これにより、一工程(ダムバーカット工程S6)を削除できる。すなわち、製造TAT(turnaround time)を短くすることができるため、半導体装置のコストを低減できる。しかしながら、レーザを用いてダムバーを除去する場合、切断刃26を用いてダムバーを除去する手段に比べ、突出部(残留ダムバー)3fの幅(体積)が不均一になり易い。そのため、例えば前記実施の形態のような半導体装置(QFP)1の場合、リード成形工程S11において、リード3(アウタリード3b)に生じる曲げ応力が不均一となり、成形されるリードの形状が不安定となる。以上のことから、前記実施の形態のような半導体装置(QFP)1の製造方法では、切断刃26を用いてダムバー12を除去することが好ましい。
【0162】
また、前記実施の形態におけるダムバーカット工程S6では、切断刃26の一部が封止体(ダム内樹脂)2fと接触するように、切断刃26をダムバー12に接触させ、ダムバーを除去することについて説明した。しかし、一回の切断工程で2つの部材(ダム内樹脂とダムバー12)を切断する手段ではなく、ダムバー用の切断刃と、ダム内樹脂用の切断刃を準備しておき、2回に分けて各部材を除去してもよい。これにより、異なる材質からなる部材を1つの切断刃で切断する手段に比べ、切断刃の磨耗を抑制、あるいは摩耗の進行度を管理し易くできる。
【0163】
また、前記実施の形態のダム内樹脂除去工程S7では、集光レンズを介してレーザ31の向きを変える手段について説明したが、リードフレームを、レーザ照射装置30の直下において、リードフレーム(リード)10の側面をレーザの照射方向に対して傾けて配置し、この状態でレーザ31を照射する手段を適用してもよい。この場合、レーザ照射装置30内に集光レンズ34を設けておく必要が無いため、安価なレーザ照射装置30を使用することができ、半導体装置のコストを低減できる。
【0164】
また、前記実施の形態の洗浄工程S8では、2種類の洗浄工程(バリ取り工程)を適用することについて説明したが、リード3の表面に付着した異物(すす)の量が少ない場合、あるいは異物とリード3との結合力が弱い場合には、水圧バリ取り工程のみ適用して、この異物を除去してもよい。これにより、本洗浄工程を簡略化することができる。また、
図24に示すように、リードの表面にレジンバリ2hが形成された場合には、前記実施の形態の洗浄工程S8において、このレジンバリ2hを除去することについて説明したが、先のレーザ照射工程S7において除去してもよい。この場合、上記したように、レジンバリ2hの厚さはダム内樹脂の厚さに比べて薄いことから、レジンバリ2hとリード3との密着性も、残留樹脂2gとリード3との密着性に比べて低い。そのため、レジンバリ2hを除去する際に使用するレーザの条件は、残留樹脂を除去する際に使用するレーザの条件と異ならせることが好ましく、例えばレジンバリを除去する際に使用するレーザの出力を、残留樹脂を除去する際に使用するレーザの出力よりも低くすることが好ましい。これにより、リードの表面温度の上昇を抑制することができるため、リードの表面に付着(堆積)した異物(すす)が固着するのを抑制できる。なお、このレジンバリの除去のために使用するレーザの条件は、例えば電流値が18A、スキャンスピードが100mm/s、周波数が50kHz、出力が12〜15Wである。
【0165】
また、レジンバリ2hを除去する際に使用するレーザの出力を、残留樹脂2gを除去するために使用するレーザの出力よりも低くすることに代えて、残留樹脂2gを除去する際のレーザの照射範囲(フォーカス)よりも広い照射範囲に設定したレーザを使用してもよい。これにより、一箇所に集中する熱を分散させることができる。他の手段としては、スキャンスピードを、残留樹脂2gを除去する際に使用するレーザのスキャンスピードよりも速くしてもよい。しかしながら、これらの手段の場合、封止体(チップ封止用樹脂)2eにもレーザ31の一部が照射される虞があるため、出力を変える手段の方が好ましい。
【0166】
また、前記実施の形態では、平面形状が四角形からなる封止体の各辺(4辺)からリードが露出(突出)するQFP型の半導体装置について説明したが、封止体の2辺からリードが露出(突出)するSOP(Small Outline Package)型の半導体装置、さらには封止体の下面(裏面、実装面)及び側面から露出(突出)するQFN(Quad Flat Non-Leaded Package)型の半導体装置やSON(Small Outline Non lead Package)型の半導体装置に適用しても良い。
【0167】
なお、QFN(またはSON)型の半導体装置の場合、QFP型の半導体装置の製造方法とは以下の点で異なる。
【0168】
図45〜
図47に示す半導体装置(QFN)70は、
図1、
図2に示す半導体装置(QFP)1と以下の点が相違する。まず、半導体装置70の、外部端子として複数のリード71は封止体2の下面2bから露出している。また、リード71は、封止体2の側面2cからも露出しているが、リード3と比較すると、封止体2の側面2cから延在する長さが短い。また、半導体装置70は、チップ搭載部5の下面5bが封止体2の下面2bから露出している。また、リード71およびチップ搭載部5の封止体2からの露出面には、めっき膜8が形成されている。
【0169】
QFNである半導体装置70とQFPである半導体装置1とは、上記のような構造上の相違があるため、その製造方法においても以下の点が相違する。
【0170】
まず、リードフレームを準備する工程で、準備するリードフレームの形状が相違する。
図48に示すように、半導体装置70の製造に使用するリードフレーム72は、ダムバー12の外側にはアウタリードが形成されていない。このため、リードフレーム72のデバイス領域10aは、ダムバー12に囲まれた領域として定義することができる。
【0171】
また、前記実施の形態で説明したモールド工程では、それぞれ凹部21b、22bが形成された上型21と下型22でリードフレーム10をクランプし、リードフレーム10の上面側および下面側に封止用の樹脂を供給した。しかし、半導体装置70を製造する際のモールド工程では、凹部(キャビティ)が形成された上型(金型)と、凹部が形成されていない下型(金型)をそなえた成型金型によりリードフレーム72をクランプする。なお、モールド工程の前にダイボンディング工程、ワイヤボンディング工程を行う点は前記実施の形態と同様である。また、封止用の樹脂は上型の凹部に供給し、リードフレーム72の上面側を封止する。
【0172】
このように半導体装置70の製造方法においては、リードフレーム72の上面側を封止するが、この場合であっても前記実施の形態と同様に、封止体(ダム内樹脂、リード間樹脂)2fが形成される。詳しくは、
図49に示すように、半導体チップ4を封止する封止体(チップ封止用樹脂)2eと、複数のリード71のそれぞれの一部(金型でクランプされる部分)と、ダムバー12とで囲まれた領域(樹脂蓄積領域)にも、封止体(ダム内樹脂、リード間樹脂)2fが形成される。したがって、前記実施の形態と同様に、レーザ照射工程および洗浄工程を適用することにより、リード71の表面に付着した異物を確実に取り除くことができる。
【0173】
なお、リードフレーム72は、上記したようにダムバー12の外側にアウタリードが形成されていない。したがって前記実施の形態で説明したダムバーカット工程は省略することができる。
【0174】
ただし、前記実施の形態で説明したように、ダムバーカット工程S6を施した後に、樹脂蓄積領域内に形成された封止体(ダム内樹脂)2fを除去することにより、樹脂蓄積領域内に形成された封止体(ダム内樹脂)2fの大半を除去することができる。このため、短時間でこの樹脂蓄積領域内に形成された封止体2fを除去することができる。
【0175】
また、除去すべき残留樹脂の量(体積)が少ない状態で、レーザ照射工程を行うことにより、レーザ照射工程において発生する異物(すす)の量を低減することもできる。
【0176】
また、ダムバーカット工程を施すことにより、平面視において封止体(ダム内樹脂)2fの中央部を除去することができる。このため、前記実施の形態で説明した
図25に示すように所定の角度を有するように、レーザ31を残留樹脂2gの表面(リード71の側面側)に照射させることができる。
【0177】
これらの観点から、半導体装置70の製造方法においても、ダムバーカット工程を施すことが好ましい。
【0178】
また、半導体装置70の製造方法においては、前記実施の形態で説明したリード成形工程において、曲げ加工工程およびリード先端カット工程を省略することができる。