特許第5816691号(P5816691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816691
(24)【登録日】2015年10月2日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】コポリアミド
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/02 20060101AFI20151029BHJP
   C08L 77/00 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   C08G69/02
   C08L77/00
【請求項の数】25
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-527658(P2013-527658)
(86)(22)【出願日】2011年9月2日
(65)【公表番号】特表2013-536895(P2013-536895A)
(43)【公表日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】FR2011052011
(87)【国際公開番号】WO2012032249
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年9月2日
(31)【優先権主張番号】1057067
(32)【優先日】2010年9月6日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1057053
(32)【優先日】2010年9月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】513054934
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル デ シアンス アプリケ ドゥ リヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100092277
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100155446
【弁理士】
【氏名又は名称】越場 洋
(72)【発明者】
【氏名】ブリフォー, ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】ピノ,カンタン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンカルヴ,エミリ
(72)【発明者】
【氏名】デュピュイ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ルソ,アラン
【審査官】 繁田 えい子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−310925(JP,A)
【文献】 米国特許第05422418(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0032629(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/015785(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/015786(WO,A1)
【文献】 特開2010−111843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08G 69/00 − 69/50
C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
DB名 CA/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜()のモノマーの重縮合反応で得られる単位を含むコポリアミド:
(a)テレフタル酸、
(b)脂肪族ジアミン
(c)主鎖と少なくとも一つの直鎖または分岐したアルキル分岐鎖とを含む、全炭素原子数が12〜36個であるアミノカルボン酸および/またはラクタム
【請求項2】
(b)の脂肪族ジアミが6〜22個の炭素原子を含む直鎖の脂肪族ジアミンである請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
下記(d)〜(f)をさらに含む請求項1または2に記載のコポリアミド:
(d)(c)とは異なるアミノカルボン酸および/またはラクタム、
(e)(a)のテレフタル酸とは異なるジカルボン酸、
(f)(b)の脂肪族ジアミンとは異なるジアミン。
【請求項4】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムの全炭素原子数が15〜3である請求項1〜3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムの全炭素原子数が18〜24である請求項4に記載のコポリアミド。
【請求項6】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムの主鎖が6〜18個の炭素原子を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項7】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムの主鎖が10〜12個の炭素原子を含む請求項6に記載のコポリアミド
【請求項8】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムのアルキル分岐鎖が少なくとも5個の炭素原子を含む請求項1〜のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項9】
(c)のアミノカルボン酸および/またはラクタムのアルキル分岐鎖が少なくとも7個の炭素原子を含む請求項8項に記載のコポリアミド。
【請求項10】
(c)のアミノカルボン酸がN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸(18)、N−ヘプチル−12−アミノドデカン酸(19)、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸(23)、N−ドデシル−12−アミノドデカン酸(24)、N−オクタデシル−11−アミノウンデカン酸(29)およびN−オクタデシル−12−アミノドデカン酸(30)の中から選択される請求項1〜のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項11】
(b)の脂肪族ジアミンが6〜18個の炭素原子を含請求項1〜10のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項12】
(b)の脂肪族ジアミンがヘキサンジアミンまたはデカンジアミンである請求項11に記載のコポリアミド
【請求項13】
(d)のアミノカルボン酸および/またはラクタムの全炭素原子数が12以下である請求項12のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項14】
(d)のアミノカルボン酸が9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸および12−アミノドデカン酸から選択される請求項13に記載のコポリアミド。
【請求項15】
(d)のアミノカルボン酸が11−アミノウンデカン酸である請求項14に記載のコポリアミド
【請求項16】
(d)のラクタムがカプロラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウリルラクタムから選択される請求項13に記載のコポリアミド。
【請求項17】
d)のラクタムがラウリルラクタムである請求項16に記載のコポリアミド
【請求項18】
レフタル酸(a)および脂肪族ジアミン(b)が35〜85モル%で、
アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)が15〜65モル%である請求項1〜17のいずれか一項に記載のコポリアミド
【請求項19】
レフタル酸(a)および脂肪族ジアミン(b)が35〜85モル%
アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)およびアミノカルボン酸および/またはラクタム(d)が15〜65モル%
である請求項1〜17のいずれか一項に記載のコポリアミド
【請求項20】
35〜85モル%のテレフタル酸(a)
15〜65モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)およびジカルボン酸(e)と、
を含み、脂肪族ジアミン(b)のモル含有量は上記テレフタル酸(a)とジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である請求項1〜17のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項21】
35〜85モル%のテレフタル酸(a)
15〜65モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)
アミノカルボン酸および/またはラクタム(d)およびジカルボン酸(e)
を含み、脂肪族ジアミン(b)のモル含有量は上記テレフタル酸(a)とジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である請求項1〜17のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項22】
35〜85モル%のテレフタル酸(a)
15〜65モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)、アミノカルボン酸および/またはラクタム(d)、ジカルボン酸(e)およびジアミン(f)
を含み、脂肪族ジアミン(b)のモル含有量は上記テレフタル酸(a)のモル含有量以上で、脂肪族ジアミン(b)とジアミン(f)のモル含有量の合計は上記テレフタル酸(a)およびジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である請求項1〜17のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項23】
下記式に対応する請求項1〜22のいずれか一項に記載のコポリアミド:18/6.T、18/10.T、11/18/6.T、11/18/10.T、11/19/10.T、12/19/10.T、12/18/6.T、12/18/10.T、11/23/6.T、11/23/10.T、12/23/6.T、12/23/10.T、11/24/6.T、11/24/10.T、12/24/6.T、12/24/10.T、11/29/6.T、11/29/10.T、12/29/6.T、12/29/10.T、11/30/6.T、11/30/10.T、12/30/6.Tまたは12/30/10.T。
【請求項24】
請求項1に記載のモノマー(a)、(b)、(c)の重縮合段階を含む請求項1〜23のいずれか一項に記載のコポリアミドの製造方法。
【請求項25】
請求項1〜23のいずれか一項に記載の少なくとも一種のコポリアミドを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半芳香族コポリアミド、特に融点が高く、熱機械特性と可撓性とに優れた半芳香族コポリアミドと、その製造方法と、このコポリアミドを含む組成物とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記半芳香族コポリアミドは少なくとも2つの異なる単位を含み、その少なくとも一つの単位は芳香族先駆体、特に芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸から得られる芳香族環を有するポリアミドである。
【0003】
上記半芳香族コポリアミドとしては、x個の炭素原子を含む脂肪族ジアミン(Xで表す)とテレフタル酸(Tで表す)との重縮合で得られるX、T単位を含むものが15年ほど前から知られている。この半芳香族コポリアミドは融点が高く、機械特性および化学特性に優れ、加圧反応器での重縮合によって作ることができる。その一例としては特に特許文献1(欧州特許第0 550 314号公報)に記載のコポリアミドが挙げられる。
【0004】
このコポリアミドの特定の特性、特に可撓性(曲げ弾性率または引張弾性率を測定して特徴付けできる)、延性(破断点伸びを測定して特徴付けできる)および強靭性(ノッチ付き衝撃強度またはノッチなし衝撃強度を測定して特徴付けできる)を良くするために、特許文献2(米国特許第2006/0235190号明細書)では下記先駆体から得られるコポリアミドを提案している:
(1)テレフタル酸、
(2)式H2N−(CH2)x−NH2の少なくとも一種の直鎖脂肪族ジアミン(xは4〜18の整数)、
(3)44個以下の炭素原子を含む少なくとも一種のダイマー化脂肪酸、
(4)任意成分としての、その他の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸およびラクタムまたはアミノカルボン酸。
【0005】
この特許文献2ではコポリアミドとしてコポリアミド6.T/6.I/6.36、6.T/6.6/6.36および6.T/12/6.36(実施例1〜3)が挙げられ、比較例のコポリアミド6.T/6.I、6.T/6.6および6.T/12(比較例1〜比較例3)と比較されている。
【0006】
この実施例1〜3のコポリアミドは、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との反応で得られる6.T単位の他に、6.36単位を共通して有している。この6.36単位自体はヘキサメチレンジアミンと36個の炭素原子を含むダイマー化脂肪酸との反応で得られ、商品名Pripol(登録商標)1012で市販されている。
【0007】
特許文献2の[表3]を参照すると、同じ先駆体から得られる36個の炭素原子を含む脂肪酸ダイマーの非存在下で得られた比較例1〜3と比べて、6.36単位を導入することで伸びが高くなり、従って、延性および強靭に優れたコポリアミド(実施例1〜3のコポリアミド)が得られることが分かる。
【0008】
この観察結果からは、延性と強靭性の両方に優れたコポリアミドを得るためには、他の先駆体の比率に比べてダイマー化脂肪酸の比率を高くするのが必要であると考えるのが普通である。
【0009】
しかし、他の先駆体の比率に比べて36個の炭素原子を含むダイマー化脂肪酸の比率を高くすると、対応するコポリアミドを得るための重縮合反応が困難、さらには不可能になる。すなわち、反応混合物中に白い斑点が形成されることが肉眼で観察される。この白い斑点の数はダイマー化脂肪酸の含有量を増やすとともに増大し、多相混合物となり、もはや所望のコポリアミドを合成できなくなる。
【0010】
従って、延性と強靭性の両方に優れたコポリアミドが得られる可能性は選択する先駆体、例えば36個の炭素原子を含むダイマー化脂肪酸を選択することによって制限されることになる。
さらに、特許文献2に記載のように、市販されているダイマー化脂肪酸は、複数のオリゴマー化合物の混合物の形をしており、主として飽和または不飽和のダイマー(2つの脂肪酸分子の反応で得られる)と、残留モノマーと、トリマー(3つの脂肪酸分子の反応で得られる)とから成る。特許文献2ではダイマー化脂肪酸タイプの先駆体に含まれるトリマーは3重量%以下である。
【0011】
所望の特性を有するコポリアミドを得るためにはダイマー化脂肪酸混合物の純度が重要な基準である。すなわち、重縮合反応で最高の再現性を実現するためにはできるだけ純粋すなわち不飽和化合物、モノマーおよびトリマーの量が最も少ないダイマー化脂肪酸を用いる必要がある。すなわち、これらの化合物の存在は最終コポリアミドの特に特性、色および熱安定性に直接影響する。実際に、コポリアミドに要求される熱機械特性を得るためには、他の先駆体モノマーの各含有量を適合させることが必要である。従って、先駆体の一つがダイマー化脂肪酸を含む場合、異なる先駆体から所望のコポリアミドを得るためには、実際上、重縮合反応の再現性に問題がある。
【0012】
この再現性を高くする、従って、可撓性のある半芳香族コポリアミドを工業的に製造できるようにする可能性を上げるためには、極めて高純度のダイマー化脂肪酸を選択する必要がある。しかし、そうするとアミドの製造コストに影響がでる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許第0550314号公報
【特許文献2】米国特許公開第2006/0235190号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記の問題点を全て解決し、融点が200℃以上、有利には240〜330℃(DSCで測定)で、機械特性は従来技術のコポリアミド、特に特許文献1および特許文献2に記載のコポリアミドに匹敵し、可撓性特性は特許文献1に記載のコポリアミドより高いコポリアミドを提供することにある。本発明の可撓性半芳香族コポリアミドの製造方法は、特許文献2に記載のようにダイマー化脂肪酸タイプの先駆体の純度および含有量によって制限されることはい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の対象は、下記(a)〜(c)の先駆体の重縮合反応で得られる単位を含むコポリアミドにある:
(a)テレフタル酸、
(b)脂肪族ジアミン、好ましくはx個の炭素原子を含む(xは6〜22の整数である)直鎖の脂肪族ジアミン、
(c)アミノカルボン酸および/またはラクタム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明では上記アミノカルボン酸および/またはこのラクタム(c)が主鎖と少なくとも一つの直鎖または分岐したアルキル分岐鎖とを含み、このアミノカルボン酸および/またはこのラクタム(c)の全炭素原子数は12〜36である。このアミノカルボン酸および/またはこのラクタム(c)の最小炭素原子数は厳密に12以上であるのが有利である。
【0017】
特許文献2に記載の36個の炭素原子を含むダイマー化脂肪酸を選択するのではなく、脂肪族ジアミンと反応するものとしてアミノカルボン酸および/またはラクタムを選択することで、商用的に得られる純度に依存しない信頼できる出発材料の先駆体とすることができる。
この選択によって、二次的効果として半芳香族コポリアミドの単位の一つを形成するのに必要な先駆体の数を減らすこともできる。
【0018】
さらに、アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)が少なくとも一つのアルキル分岐鎖を有することによって、テレフタル酸およびジアミンである他の先駆体との相溶性をより良いものにすることができる。実際に、ジアミン(b)をヘキサンジアミンにした場合、上記3つの先駆体(a)、(b)、(c)の重縮合反応では、アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)の比率と無関係に、白い斑点は全く形成されないということが分かっている。
【0019】
既に述べたように、アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)は主鎖と少なくとも一つのアルキル分岐鎖とで形成される。先駆体(c)の全炭素原子数(主鎖の炭素原子数と分岐鎖の炭素原子数との合計に対応)は12〜36、有利には15〜30、好ましくは18〜24である。
【0020】
本明細書では「〜」という記載は特にことわらない限り両端の値を含むということを意味する。
【0021】
アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)の主鎖は6〜18個の炭素原子、好ましくは10〜12個の炭素原子を含むのが有利である。一つの例では主鎖はアミノデカン酸、アミノウンデカン酸またはアミノドデカン酸で形成できる。
【0022】
アミノカルボン酸および/またはラクタム(c)のアルキル分岐鎖は直鎖にすることができ、式:Cx2x+1(ここで、xは1以上の整数)に対応できる。このアルキル分岐鎖は分岐鎖でもよい。
先駆体(c)の主鎖が少なくとも一つの直鎖アルキル分岐鎖と少なくとも一つのアルキル分岐鎖とを含み、後者のアルキル分岐鎖自体がさらに分岐鎖を有することも十分可能である。
【0023】
この分岐鎖は少なくとも5個の炭素原子、有利には少なくとも6個の炭素原子、好ましくは少なくとも7個の炭素原子を含むのが有利である。例えばアルキル分岐鎖はn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルまたはn−オクタデシル鎖にすることができる。
【0024】
このアルキル分岐鎖は炭素原子または窒素原子の所で主鎖と結合できるということは明記しておく。
【0025】
先駆体(c)としてN−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸(主鎖に11個、n−ヘプチル分岐鎖に7個の、全部で18個の炭素原子を含むので18で表す)を使用するのが極めて有利である。他の有利な先駆体(c)はN−ヘプチル−12−アミノドデカン酸(19で表す)、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸(23で表す)、N−ドデシル−12−アミノドデカン酸(24で表す)、N−オクタデシル−11−アミノウンデカン酸(29で表す)およびN−オクタデシル−12−アミノドデカン酸(30で表す)である。
【0026】
本明細書でコポリアミドに使用される略記18、19、23、24、29、30は先駆体(c)から得られる単位に対応し、先駆体(d)から得られる単位に対応することは決してない。
【0027】
脂肪族ジアミン(b)自体はx個の炭素原子を含む(xは6〜22の整数である)。脂肪族ジアミン(b)は直鎖または分岐鎖にすることができる。
【0028】
脂肪族ジアミン(b)が分岐鎖の場合には主鎖と少なくとも一つのアルキル分岐鎖とで形成され、このアルキル分岐自体は直鎖または分岐鎖にすることができる。
【0029】
脂肪族ジアミン(b)は直鎖の脂肪族であるのが好ましい。このジアミンは特にヘキサンジアミン(ヘキサメチレンジアミンともよばれる)、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、オクタデセンジアミン、アイコサンジアミンおよびドコサンジアミンの中から選択できる。これらのジアミンは全てバイオベースであり、バイオマスに由来するASTM規格 D6866に従って決定される有機炭素を含むのが有利である。
【0030】
脂肪族ジアミン(b)はヘキサメチレンジアミン(ヘキサンジアミン)またはデカンジアミンであるのが好ましい。
【0031】
本発明の第1の変形例では重縮合反応を上記の先駆体(a)、(b)、(c)のみを用いて実施できる。この場合、2つの異なる単位(X、T単位および先駆体(c)から得られる単位)のみで構成されるコポリアミドが得られる。
【0032】
このコポリアミドは下記(1)〜(3)を含むことができる:
(1)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%のテレフタル酸(a)、
(2)15〜65モル%、有利には20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)、および
(3)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%の脂肪族ジアミン(b)。換言すれば、先駆体(b)のモル含有量は先駆体(a)のモル含有量に等しい。
【0033】
2つの異なる単位でのみ構成されるこれらのコポリアミドとしては特に下記(1)〜(4)が挙げられる:
(1)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド18/6.T、
(2)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド18/10.T、
(3)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ヘプチル−12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド19/6.T、
(4)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ヘプチル−12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド19/10.T。
【0034】
同様に、23/6.T、23/10.T、24/6.T、24/10.T、29/6.T、29/10.T、30/6.Tおよび30/10.Tも挙げられる。
【0035】
本発明の第2の変形例では、重縮合反応を、下記の他の先駆体の少なくとも一種の存在下で、先駆体(a)、(b)、(c)を用い実施することもできる:
(d)(c)とは異なるアミノカルボン酸および/またはラクタム、
(e)テレフタル酸(a)とは異なるジカルボン酸、
(f)脂肪族ジアミン(b)とは異なるジアミン。
【0036】
先駆体(d)は上記のアミノカルボン酸またはラクタム(c)とは必然的に異なるアミノカルボン酸またはラクタム(d)にすることができる。
先駆体(d)は炭素原子数が12以下であるのが有利である。
【0037】
アミノカルボン酸(d)は、例えば9−アミノノナン酸(9で表す)、10−アミノデカン酸(10で表す)、11−アミノウンデカン酸(11で表す)および12−アミノドデカン酸(12で表す)から選択できる。11−アミノウンデカン酸を用いるのが好ましい。これはバイオマスに由来するASTM規格 D6866に従って決定される有機炭素を含む点でバイオベースであるという利点がある。
【0038】
ラクタム(d)は特にカプロラクタム(6で表す)、デカノラクタム(10で表す)、ウンデカノラクタム(11で表す)およびラウリルラクタム(12で表す)から選択できる。ラウリルラクタムを用いるのが好ましい。
【0039】
先駆体(a)、(b)、(c)、(a)から得られるコポリアミドは下記(1)〜(3)を含むことができる:
(1)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%のテレフタル酸(a)、
(2)15〜65モル%、有利には20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)およびアミノカルボン酸および/またはラクタム(d)、
(3)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%の脂肪族ジアミン(b)、
ここで、先駆体(a)および(b)のモル含有量は等しい。
【0040】
先駆体(a)、(b)、(c)、(d)から得られるこれらのコポリアミドとしては、特に下記(1)〜(8)が挙げられる:
(1)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸と、11−アミノウンデカン酸または任意成分のウンデカノラクタムとの重縮合反応で得られるコポリアミド11/18/6.T、
(2)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸と、11−アミノウンデカン酸または任意成分のウンデカノラクタムとの重縮合反応で得られるコポリアミド11/18/10.T、
(3)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸と、ラウリルラクタムまたは任意成分の12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド12/18/6.T、
(4)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸と、ラウリルラクタムまたは任意成分の12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド12/18/10.T。
【0041】
(5)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸と、11−アミノウンデカン酸または任意成分のウンデカノラクタムとの重縮合反応で得られるコポリアミド11/23/6.T、
(6)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸と、11−アミノウンデカン酸または任意成分のウンデカノラクタムとの重縮合反応で得られるコポリアミド11/23/10.T、
(7)テレフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンと、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸と、ラウリルラクタムまたは任意成分の12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド12/23/6.T、
(8)テレフタル酸と、デカンジアミンと、N−ドデシル−11−アミノウンデカン酸と、ラウリルラクタムまたは任意成分の12−アミノドデカン酸との重縮合反応で得られるコポリアミド12/23/10.T。
【0042】
同様に、コポリアミド11/19/6.T、11/19/10.T、12/19/6.T、12/19/10.T、11/24/6.T、11/24/10.T、12/24/6.T、12/24/10.T、11/29/6.T、11/29/10.T、12/29/6.T、12/29/10.T、11/30/6.T、11/30/10.T、12/30/6.Tおよび12/30/10.Tも挙げられる。
【0043】
先駆体(e)はテレフタル酸(a)とは必ず異なるジカルボン酸である。このジカルボン酸(e)は4〜36個の炭素原子を含むのが有利である。
ジカルボン酸(e)は直鎖または分岐した脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸または芳香族ジカルボン酸にすることができる。
【0044】
ジカルボン酸(e)が直鎖の脂肪族である場合、それは琥珀酸、ペンタン二酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、アイコサン二酸、ドコサン二酸および36個の炭素原子を含むダイマー化脂肪酸の中から選択できる。このダイマー化脂肪酸は特に商品名Pripol(登録商標)で市販されている。
【0045】
上記脂肪族酸はジカルボン酸(e)を構成する少なくとも一種のアルキル分岐鎖を含むことができる。この場合、このジカルボン酸(e)は分岐した脂肪族カルボン酸に対応する。このアルキル分岐鎖はアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)のアルキル分岐鎖に関して上記で挙げたように直鎖または分岐したものすることができる。分岐した脂肪族カルボン酸(e)は少なくとも一つの直鎖アルキル分岐鎖および少なくとも一つの分岐したアルキル分岐鎖をさらに含むこともできる。
【0046】
脂環式ジカルボン酸(e)の場合、それはシクロヘキサン、ノルボルニルメタン、シシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパンおよびジ(メチルシクロヘキシル)プロパンのような炭素骨格鎖を有することができる。
【0047】
芳香族ジカルボン酸(e)の場合、それはイソフタル酸(Iで表す)およびナフタレン二酸から選択される。
最終コポリアミドの延性を最適化できる直鎖または分岐した脂肪族酸を選択するのが好ましい。
【0048】
先駆体(a)、(b)、(c)、(e)から得られるコポリアミドは下記から成ることができる:
(1)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%のテレフタル酸(a)、
(2)15〜65モル%、有利には20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)およびジカルボン酸(e)、
(3)脂肪族ジアミン(b)のモル含有量自体は上記テレフタル酸(a)とジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である。
【0049】
ジカルボン酸(e)がダイマー化脂肪酸である場合、この先駆体の純度が最終コポリアミドの特性に与える影響を制限するために、ジカルボン酸(e)のモル比は先駆体(c)と(e)の合計の40%を超えないのが好ましい。
【0050】
特に、ダイマー化脂肪酸(e)のモル比を先駆体(c)と(e)の合計の40%に制限することによって、特に、特許文献2に記載のダイマー化脂肪酸からのコポリアミドの合成時に観察される白い斑点の形成を避けることができる。この白い斑点はテレフタル酸塩およびヘキサメチレンジアミン塩を多く含む融点の高い(約360℃)ヘテロ成分に対応し、ダイマー化脂肪酸と他の先駆体、特にヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸との相溶性が悪いことを表している。
【0051】
先駆体(a)、(b)、(c)、(e)から得られるこれらのコポリアミドとしては、特に下記のコポリアミドが挙げられる:6.10/18/6.T、6.12/18/6.T、6.18/18/6.T、6.36/18/6.T、6,10/19/6.T、6.12/19/6.T、6.18/19/6.T、6.36/19/6.T、6.10/23/6.T、6.12/23/6.T、6.18/23/6.T、6.36/23/6.T、6.10/24/6.T、6.12/24/6.T、6.18/24/6.T、6.36/24/6.T、6.10/29/6.T、6.12/29/6.T、6.18/29/6.T、6.36/29/6.T、6.10/30/6.T、6.12/30/6.T、6.18/30/6.T、6.36/30/6.T、10.10/18/10.T、10.12/18/10.T、10.18/18/10.T、10.36/18/10.T、10.10/19/10.T、10.12/19/10.T、10.18/19/10.T、10.36/19/10.T、10.10/23/10.T、10.12/23/10.T、10.18/23/10.T、10.36/23/10.T、10.10/24/10.T、10.12/24/10.T、10.18/24/10.T、10.36/24/10.T、10.10/29/10.T、10.12/29/10.T、10.18/29/10.T、10.36/30/10.T、10.10/30/10.T、10.12/30/10.T、10.18/30/10.Tおよび10.36/30/10.T。
【0052】
また、下記(1)〜(3)の比率で全ての先駆体(a)、(b)、(c)、(d)および(e)から得られるコポリアミドを考えることもできる:
(1)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%のテレフタル酸(a)、
(2)15〜65モル%、有利には20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)、アミノカルボン酸および/またはラクタム(d)およびジカルボン酸(e)、
(3)脂肪族ジアミン(b)のモル含有量は上記テレフタル酸(a)とジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である。
【0053】
既に述べた理由により、ジカルボン酸(e)がダイマー化脂肪酸の場合、ジカルボン酸(e)のモル比は先駆体(c)、(d)および(e)の合計の40%を超えないのが好ましい。
【0054】
先駆体(a)、(b)、(c)、(d)および(e)から得られるこれらのコポリアミドとしては特に下記のコポリアミドが挙げられる:11/6.10/18/6.T、11/6.12/18/6.T、11/6.18/18/6.T、11/6.36/18/6.T、11/6.10/23/6.T、11/6.12/23/6.T、11/6.18/23/6.T、11/6.36/23/6.T、12/6.10/18/6.T、12/6.12/18/6.T、12/6.18/18/6.T、12/6.36/18/6.T、12/6.10/23/6.T、12/6.12/23/6.T、12/6.18/23/6.T、12/6.36/23/6.T、11/10.10/18/10.T、11/10.12/18/10.T、11/10.18/18/10.T、11/10.36/18/10.T、11/10.10/23/10.T、11/10.12/23/10.T、11/10.18/23/10.T、11/10.36/23/10.T、12/10.10/18/10.T、12/10.12/18/10.T、12/10.18/18/10.T、12/10.36/18/10.T、12/10.10/23/10.T、12/10.12/23/10.T、12/10.18/23/10.Tおよび12/10.36/23/10.T
このリストには、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸から得られる18単位またはN−ドデシル−11−アミノウンデカン酸から得られる23単位を、それぞれ、N−ヘプチル−12−アミノドデカン酸、N−ドデシル−12−アミノドデカン酸、N−オクタデシル−11−アミノウンデカン酸およびN−オクタデシル−12−アミノドデカン酸から得られる19、24、29および30単位、のいずれか一つで置換したコポリアミドを追加できるということは理解できよう。
【0055】
先駆体(f)は脂肪族ジアミンとは必ず異なるジアミンである。このジアミン(f)は4〜36個の炭素原子を含むのが有利である。このジアミン(f)は直鎖または分岐した脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンまたはアルキル芳香族ジアミンにすることができる。
【0056】
ジアミン(f)直鎖の脂肪族である場合、それは下記の中から選択するの有利である:ブタンジアミン、ペンタンジアミン、ヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、オクタデカンジアミン、オクタデセンジアミン、アイコサンジアミン、ドコサンジアミンおよびダイマー化脂肪酸から得られる36個の炭素原子を含むジアミン。ダイマー化脂肪酸から得られるこのジアミンは特に商品名Priamine(登録商標)で市販されている。
【0057】
ジアミン(f)が分岐した脂肪族の場合、それは主鎖上に一つ以上のメチルまたはエチル置換基を有することができる。例えば、ジアミン(f)は2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンから選択するのが有利である。
【0058】
脂環式ジアミン(f)の場合、それはイソホロンジアミン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジアルキル−4−アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACMまたはMACM)、p−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)から選択できる。また、脂環式の場合、このジアミン(f)はジカルボン酸(e)に関して上記で挙げた炭素骨格鎖を有することができる。
【0059】
ジアミン(f)がアルキル芳香族の場合、それは1,3−キシリレンジアミンおよび1,4−キシレンジアミンから選択できる。
【0060】
下記の有利な比率の下記(1)〜(3)の全ての先駆体(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)からのコポリアミドを考えることもできる:
(1)35〜85モル%、有利には45〜80モル%、好ましくは50〜75モル%のテレフタル酸(a)、
(2)15〜65モル%、有利には20〜55モル%、好ましくは25〜50モル%のアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)、アミノカルボン酸および/またはラクタム(d)、ジカルボン酸(e)およびジアミン(f)、
(3)脂肪族ジアミン(b)のモル含有量は上記テレフタル酸(a)のモル含有量以上であり、脂肪族ジアミン(b)とジアミン(f)のモル含有量の合計は上記テレフタル酸(a)およびジカルボン酸(e)のモル含有量の合計である。
【0061】
先駆体(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)から得られるこのコポリアミドとしては、特に下記のコポリアミドが挙げられる:10.36/18/6.T、12.36/18/6.T、36.36/18/6.T、10.36/23/6.T、12.36/23/6.T、36.36/23/6.T、11/10.36/18/6.T、11/12.36/18/6.T、11/36.36/18/6.T、11/10.36/23/6.T、11/12.36/23/6.T、11/36.36/23/6.T、12/10.36/18/6.T、12/12.36/18/6.T、12/36.36/18/6.T、12/10.36/23/6.T、12/12.36/23/6.T、12/36.36/23/6.T、6.36/18/10.T、12.36/18/10.T、36.36/18/10.T、6.36/23/10.T、12.36/23/10.T、36.36/23/10.T、11/6.36/18/10.T、11/12.36/18/10.T、11/36.36/18/10.T、11/6.36/23/10.T、11/12.36/23/10.T、11/36.36/23/10.T、12/6.36/18/10.T、12/12.36/18/10.T、12/36.36/18/10.T、12/6.36/23/10.T、12/12.36/23/10.Tおよび12/36.36/23/10.T。
上記と同様に、このリストには、N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸から得られる18単位またはN−ドデシル−11−アミノウンデカン酸から得られる23単位を、それぞれ、N−ヘプチル−12−アミノドデカン酸、N−ドデシル−12−アミノドデカン酸、N−オクタデシル−11−アミノウンデカン酸およびN−オクタデシル−12−アミノドデカン酸から得られる19、24、29および30単位のいずれか一つで置換したコポリアミドを追加できるということは理解できよう。
【0062】
本発明の他の対象は、上記定義の半芳香族コポリアミドの製造方法にある。
本発明方法は本明細書で既に挙げた先駆体すなわち下記の先駆体を重縮合する段階を含む:
(a)テレフタル酸、
(b)脂肪族ジアミン、
(c)主鎖と少なくとも一つの直鎖または分岐したアルキル分岐鎖とを含むアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)(このアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)の全炭素原子数は12〜36である)
以下、任意成分、
(d)(c)とは異なるアミノカルボン酸および/またはラクタム、
(e)上記テレフタル酸(a)とは異なるジカルボン酸、
(f)脂肪族ジアミン(b)とは異なるジアミン。
【0063】
このアミノカルボン酸および/またはこのラクタム(c)の最小炭素原子数は厳密に12以上であるのが有利である。
【0064】
本発明のさらに他の対象は、上記定義の少なくとも一種の半芳香族コポリアミドを含む組成物にある。
【実施例】
【0065】
下記の先駆体(a)、(b)、(c)、(d)から5つの半芳香族コポリアミドを調製した:
(a)テレフタル酸(Tで表す)
(b)ヘキサンジアミン(6で表す)
(c)N−ヘプチル−11−アミノウンデカン酸(18で表す)
(d)11−アミノウンデカン酸(11で表す)。
これらの5つのコポリアミドの反復単位のそれぞれのモル含有量を[表1]に示す。
【0066】
コポリアミド1〜5は1リットルのオートクレーブ中で塊重合によって合成した。先駆体(a)、(b)、(c)、(d)を[表1]に示すモル含有量で反応器に導入し、25重量%の水と、0.25重量%の酢酸と、2000ppmの次亜燐酸ナトリウム(触媒)と、10000ppmのイルガノックス(Irganox)1098(酸化防止剤)も一緒に導入する(重量%は先駆体(a)、(b)、(c)、(d)の全重量に対して示す)。混合物を撹拌下に262℃まで加熱し、45バールの自己圧力を90分間維持する。次いで、圧力を大気圧まで徐々に下げ、混合物の温度を60分かけて310℃まで上げる。次いで、窒素パージ下にさらに60分間重合を続けた後、ポリマーを出口弁から水中に排出し、ロッドの形に押出し、このロッドをペレット化する。
【0067】
【表1】
【0068】
コポリアミド2〜5は本発明の半芳香族コポリアミドであり、コポリアミド1は特許文献1(欧州特許第0550314号公報)に記載の半芳香族コポリアミドである。
融点およびガラス遷移温度(Tgで表す)は20℃/分で20℃から350℃までの加熱サイクルおよび冷却サイクルに従ってTA機器Q20 DSCを用いて示差走査熱量測定(DSC)で求めた。TmおよびTgは第2回加熱時に測定した。
【0069】
コポリアミド1〜5のそれぞれで得られたTg値およびTm値は[表1]に示してある。
ポリマーのガラス遷移温度の測定値はその剛性に関する第1の指標を与える。すなわち、単位18の含有量が多ければ多いほど、また、半芳香族単位6,Tの含有量も同じく多ければ多いほど、Tgのは大きく低下し、半芳香族コポリアミドの剛性が減少することが観察される。
【0070】
コポリアミド2〜5のTmはわずかな影響しか受けず、300℃近くに維持されるという結果はさらに重要である。
【0071】
さらに、コポリアミド2〜5の合成中に反応混合物中に白い斑点の形成が観察されなかったことも重要である。すなわち、高い可撓性を有するコポリアミド18/6.Tを合成することができることが分かる。
【0072】
本発明の半芳香族コポリアミドの可撓性特性に関する上記の予備的結論をさらに確認するために、(ISO規格527に従った)引張試験片を作り、マイクロ押出機で射出成形した。[表1]のコポリアミド1、2、3に引張試験片1、2、3の番号を付けた。
引張試験はISO規格527に従って実施し、試験片1〜3の各群ごとに弾性率またはヤング率、引張強度および破断点伸びの値を求めた。これらの値を[表2]に示す:
【0073】
【表2】
【0074】
コポリアミド中の単位18の含有量が多くなるほど、下記(1)および(2)が観察され、半芳香族コポリアミドの可撓性がより高くなることが分かった(半芳香族単位の含有量は一定であることは理解できよう):
(1)ヤング率値は大きく低下し、
(2)引張強度値は大きく増大する。
さらに、コポリアミド2および3の破断点伸びの値がコポリアミド1の破断点伸びより明らかに高い点が注目される。
【0075】
本発明の半芳香族コポリアミドの強靭性特性が従来法で作られた半芳香族コポリアミドの強靭性特性に匹敵することを確認するために、ISO規格179に従ってコポリアミド1〜3を射出成形してバーにし、各バーに1〜3の番号を付けた。これらのバー1〜3を50%の相対湿度下に2週間維持するコンディショニングをした。
【0076】
バー1〜3の半分をノッチ付きにし、7.5ジュールの振り子を用いたISO 179−1eAシャルピー振り子式衝撃試験を実施した。また、ノッチなしバーである残りの半分にも7.5ジュールの振り子を用いたISO 179−1eUシャルピー振り子式衝撃試験を実施した。いずれの場合も、バー1〜3が吸収したエネルギー(kJ/mイ)を23℃で測定した。対応する値は[表3]に示してある。
【0077】
【表3】
【0078】
バー3の強靭性の値は特許文献1(欧州特許第0 550 314号公報)に記載のコポリアミドから得られたバー1の強靭性の値に十分匹敵し、その値より少し高いことが観察された。
本発明のコポリアミドでは、主鎖と少なくとも一つの直鎖または分岐したアルキル分岐鎖とを含むアミノカルボン酸および/またはラクタム(c)の含有量を極めて正確に選択することができるので、工業的実現可能性(フェーザビリティー)を制限することなしに、融点が200℃以上で、従来のコポリアミドに匹敵する機械特性を有し、従来のコポリアミドより高い可撓性特性を有する半芳香族コポリアミドを得ることができる。