特許第5816983号(P5816983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816983
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】モリブデン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 39/02 20060101AFI20151029BHJP
   C01G 39/00 20060101ALI20151029BHJP
   C02F 1/62 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   C01G39/02
   C01G39/00 C
   C02F1/62 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-20656(P2012-20656)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-159497(P2013-159497A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100092495
【弁理士】
【氏名又は名称】蛭川 昌信
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100095980
【弁理士】
【氏名又は名称】菅井 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094787
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100097777
【弁理士】
【氏名又は名称】韮澤 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 正彦
【審査官】 相田 悟
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭36−021505(JP,B1)
【文献】 特開2003−012325(JP,A)
【文献】 特開2011−088766(JP,A)
【文献】 特開2011−088767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 39/00〜39/06
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モリブデンが溶解された硝酸溶液を調整する調整工程と、
前記硝酸溶液をマイクロ波によって加熱するマイクロ波加熱工程と、
前記マイクロ波加熱工程により生成したモリブデン化合物の固体を分離する分離工程と、を有することを特徴とするモリブデン化合物の製造方法。
【請求項2】
前記硝酸溶液にはジルコニウムが添加されることを特徴とする請求項1に記載のモリブデン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モリブデン(以下、Moと称す。)を含有する強酸溶液からMoを三酸化モリブデン(以下、MoO3と称す。)の形で分離、回収に関する。詳しくは、Moを含有する強酸溶液に、ジルコニウム(以下。Zrと称す。)を添加してマイクロ波を照射することで、高結晶性のMoO3を、簡潔に分離、回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療の分野で放射線やラジオアイソトープ(以下、RIと称する)は、病気の診断、治療に欠かすことができないものとなっている。その中で、放射性Mo(以下、99Moと称す。)から製造される放射性テクネチウム(以下、99mTcと称す。)はガンや内臓疾患あるいは内臓の機能検査などの診断に用いられており、RIの中で放射性医薬品全体の80%以上で利用されている。
【0003】
ただ、放射性テクネチウム(99mTc)の原料となる99Moの日本の需要は、米国に次ぎ世界第2位であるにも関わらず、全量を輸入に頼っている。しかし、近年輸出国における製造用原子炉のトラブルなどにより、99Moを安定的に供給することが困難となったこともあり、我が国で99Moを製造することが重要な課題となっている。
【0004】
そのため、99Moの製造方法として、核分裂法と中性子放射化法の両面からの研究がなされている。
【0005】
核分裂法は、濃縮ウランを中性子照射し、核分裂を起こさせることで発生する核分裂生成物(FP)中より99Moを抽出するものである。しかし、ウラン濃縮度を20%以下にした低濃縮ウランを99Mo製造用の原料に用いると、核分裂反応に伴って生成する多量の放射性廃棄物が発生し、特にプルトニウムの生成量が約25倍に増えてしまうという問題が新たに提起されている。
【0006】
中性子放射化法は、天然Mo中に存在する98Mo(存在比24%)を原料として、原子炉内で中性子による照射を行い、生成された99Moを利用する方法である。放射化法は核分裂法に比べ99Moの比放射能は低いが、安価で放射性廃棄物の発生が少ないなどのメリットがある。
【0007】
一方、産業界において、Moは、特殊鋼、潤滑油、点火プラグ、電子材料、色素顔料、蛍光灯のフィラメント等の製造に幅広く使用されているが、それらから発生する廃液については、人の健康の保護のため、全国の公共用水域でモニタリングが必要な要監視項目となっている。ただ、Moは水質汚濁防止法及び各都道府県の生活環境の保全等に関する条例等で排水規制項目となっておらず、使用工場では十分な処理が施されていないのが現状である。
そのため、Mo含有廃液に塩化カルシウムを添加し、不溶性のモリブデン酸カルシウムを生成させる凝集沈殿法の研究が行われているが、その処理形態が、カルシウムイオンとモリブデン酸イオンとの化学反応によるため、処理条件の制御が複雑、さらに処理時間が大きい等の問題があった。
【特許文献1】特開2008−102078号公報
【非特許文献1】C.V. Ramana, V.V. Atuchin, I.B. Troitskaia, S.A. Gromilov, V.G. Kostrovsky, G.B. Saupe, “Low−temperature synthesis of morphology controlled metastable hexagonal molybdenum trioxide (MoO3), “ Solid State Communications, 149, 6−9 (2009).
【非特許文献2】論文「カルシウム添加の凝集沈殿処理法によるMo含有排水の処理効果」神奈川県水質環境部。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、RI製造におけるMoの確保ならびに産業回で発生する廃液からMoを回収するに際して、その後のMo利用に対する利便性を確保するために、高質いわゆる高結晶性のMoO3を回収、製造を行うことを課題とする。
【0009】
また、その回収、製造過程において、副次的な物質を発生させない簡便かつ安価な回収、製造の方法を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のMo化合物の製造方法の特徴は、Moが溶解された硝酸溶液を調整する調整工程と、前記硝酸溶液をマイクロ波によって加熱するマイクロ波加熱工程と、前記マイクロ波加熱工程により生成したMo化合物の固体を分離する分離工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記Moが溶解された硝酸溶液には、Zrが添加されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のMo化合物の製造方法によれば、高質いわゆる高結晶性のMoO3の結晶を回収、製造することができる。高結晶性のMoO3は、ウニのような形状の六方晶系結晶である。
【0013】
また、その回収、製造プロセスにおいて、マイクロ波照射による加熱と、その時間の制御によって高結晶性のMoO3を回収、製造することができるため、一般的な加熱のような高温を必要としない製造プロセスを実現できる。
【0014】
また、その回収、製造過程において、副次的な物質を発生させることがなく、簡便かつ安価な回収、製造の方法を実現することができる。
【0015】
さらに、上記のように、高結晶性のMoO3の結晶を回収、製造することによって、円滑なMoの回収ならびにRI製造に必須となる国産素材の確保を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るMo化合物の製造方法のフローを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るMo化合物の製造方法の加熱工程で用いられる装置の概略を説明する図である。
図3】SEM観察の結果を示す図である。
図4】X線回折試験の結果を示す図である。
図5】Zr添加調整溶液から製造されたMo化合物のSEM観察の結果を示す図である。
図6】Zr添加調整溶液から製造されたMo化合物のX線回折試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のMo化合物の製造方法について適宜図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係るMo化合物の製造方法のフローを示す図である。
【0018】
図1において、まずステップS100では、Moが溶解された硝酸溶液を調整する。なお、このステップで、調整される調整溶液であるMoが溶解された硝酸溶液は、使用済み燃料から得られる溶液あるいは一般産業から排出されるMo含有の廃液を想定したものである。
【0019】
ステップS200では、Moが溶解された硝酸溶液を、マイクロ波によって加熱する。ここで、本発明のMo化合物の製造方法の加熱工程(ステップS200)で用いる装置の一例について説明する。図2は本発明の実施形態に係るMo化合物の製造方法の加熱工程で用いられる装置の概略を説明する図である。図2において、10は加熱室、11は制御部、13は温度検出部、15は反応容器、20はマグネトロン、21はマイクロ波導入口、25は磁気式攪拌機をそれぞれ示している。
【0020】
本実施形態における加熱工程では、マイクロ波による加熱を採用する。このため本実施形態における加熱装置には、マイクロ波が周囲に漏洩することを防止する目的として加熱室10が設けられている。この加熱室10内には、Moが溶解された硝酸溶液を収容する反応容器15が設けられている。また、マグネトロン20によって発生されたマイクロ波は不図示の導波管からマイクロ波導入口21に導かれ、このマイクロ波導入口21から加熱室10に導入される。
【0021】
反応容器15内の溶液には、温度検出部13が配設され、Moが溶解された硝酸溶液の温度を計測するようになっている。この計測値は制御部11に入力され、制御部11は溶液の温度に対応してマグネトロン20の出力を制御することができるようになっている。
【0022】
また、加熱室10内において、Moが溶解された硝酸溶液がマイクロ波により加熱される間に、マグネチックスターラーなどからなる磁気式攪拌機25により、反応容器15内の硝酸溶液が攪拌される。
【0023】
ステップS200におけるマイクロ波加熱工程が実施されると、硝酸溶液中に固体成分が沈殿する。これが、MoO3を主成分とするMo化合物である。ステップS300の分離工程では、このMo化合物の固体を、硝酸溶液から分離する。この分離工程では、例えば、遠心分離機を利用することができる。
【0024】
上記のようなステップS300を経て、本発明の製造方法によるMo化合物を得ることができる。
【0025】
以上のような本発明のMo化合物の製造方法により、回収、製造されるMoO3の結晶度及び結晶構造を制御でき、良好な結晶形態のMo化合物を効率的に生成することが可能となる。
【0026】
また、ステップS100で硝酸溶液を調整する際に、微量のZrを添加することで、ウニのような形状の六方晶系のMo化合物を安定的に生成することができる。
【0027】
さらに、本発明の加熱工程はマイクロ波によるものであり、一般的な抵抗加熱等の外部加熱ではないため、製造プロセス中に高圧を必要とすることがないのでエネルギー効率に優れている。
【0028】
(実施例1)
実施例1として、Moの金属粉(株式会社アライドマテリアル製 型番;TM−A07/05;純度99.95%、平均粒径3μm)を3モルの硝酸溶液に溶解し、硝酸溶液におけるMoの含有量は0.077g/mlとなるように硝酸溶液を調整した。まず、このような調整溶液を用いて、各試験を行った。
【0029】
さらに、Moが溶解された硝酸溶液にZrが添加された場合の挙動に関する試験を行う場合には、Zrとして硝酸ジルコニル水和物(関東化学株式会社製、純度99%)を、上記の調整溶液に溶解した。Zrのモル濃度の比率は、Zr+Moのモル濃度に対して、5%とした。
【0030】
上記のような調整溶液から本発明に係る方法(マイクロ波加熱法)によってMo化合物を得た。
【0031】
また、本発明に係る方法(マイクロ波加熱法)では、温度制御ユニット(株式会社 アミル社製、型番;NWS−2AR)及びマルチモードマイクロ波加熱装置(株式会社 アミル社製、型番;AMIL−MTMW700−F3)を、図2の模式図に示すような形態で用いた。
【0032】
調整溶液の温度のモニターに、光学ファイバープローブ(安立計器株式会社製、型番;FS−100−2M)を用いた。また、試験中、調整溶液は磁気式の攪拌機により攪拌を行った。
【0033】
マイクロ波の周波数は2.45GHzであり、出力は最高で700Wであった。加熱温度としては80℃に維持し、加熱時間を30分、及び15分の2通りとした。
【0034】
加熱工程後に、調整溶液中に沈殿したMo化合物の粉末は遠心分離機により分別された。遠心分離機により分別し、集めた粉末は、イオン交換水により洗浄し、減圧された雰囲気下、80℃で8時間にわたり乾燥した。
【0035】
乾燥したMo化合物の粉末については、X線回折試験と、SEMによる観察を行った。X線回折試験では、株式会社リガク製のRAD−Cシステムを用い、40kVのX線によるCuKα線を用いた。
【0036】
また、SEM観察には、試料に真空蒸着によりAu−Pd薄膜を施し、その後、株式会社テクネックス工房のTiny−SEM Mighty−8モデルを使用しSEM観察を行った。
【0037】
図3(a)、図3(b)は本発明に係る方法(マイクロ波加熱法)に基づいて製造されたMo化合物のSEM写真を示している。図3(a)のMo化合物を製造する際の加熱温度は80℃、加熱時間は15分であった。また、図3(b)のMo化合物を製造する際の加熱温度は80℃、加熱時間は30分であった。
【0038】
一方、本発明の比較例として、前記ステップS200におけるマイクロ波加熱工程に代えて外部加熱による方法での比較試験を行った。具体的には、温度制御された湯浴中で調整溶液(Moが溶解された硝酸溶液)を加熱した。加熱温度は80℃、加熱時間は30分であった。
図3(c)に、比較例に係る方法(外部加熱法)に基づいて製造されたMo化合物のSEM写真を示す。
【0039】
以上の本発明と比較例の結果から、
1)本発明に係る方法(マイクロ波加熱法)においては、加熱温度80℃で15分以上の加熱時間において多量の沈殿(Mo化合物)が生成したことから、マイクロ波加熱法は比較例に係る方法(外部加熱法)に比べて、沈殿生成速度を大幅に高める効果があることがわかった。
【0040】
2)また、図3に示されるように、本発明に係る方法で製造されたMo化合物の結晶形状と、比較例に係る方法で製造されたMo化合物の結晶形状とは、全く異なることがわかる。
本発明に係る方法で製造されたMo化合物の結晶は、一方向に伸びるように結晶成長したこと確認できるが、比較例に係る方法で製造されたMo化合物の結晶ではそのようなことは確認できない。
【0041】
3)また、Mo化合物の結晶度を比較するために、本発明と比較例とをX線回折試験で確認した。図4(a)、(b)に、本発明のマイクロ波加熱で加熱時間15分、30分を示したものを示すが、本発明に係る方法で製造されたMo化合物の結晶は、MoO3、六方晶系のMoO3及びMoO3・1/2H2Oの混合物であることがわかる。この図のX線回折試験の回折パターンのピークによれば、六方晶系のMoO3の生成量は、加熱時間が15分のものより、加熱時間が30分のもの方が少ない。このことにより、本発明に係る方法で製造する上では、MoO3・1/2H2Oが六方晶系のMoO3より安定的であることがわかる。一方、比較例として図4(a)に示すように、比較例に係る方法で製造されたMo化合物のX線回折試験では、回折パターンのピークが明瞭ではなく、比較例に係る方法で製造されたMo化合物は結晶度が低いことがわかる。
【0042】
図4(a)、(b)、(c)で試験されたMo化合物は、いずれも図3(a)、(b)、(c)で観察したMo化合物にそれぞれ対応している。
【0043】
上記のように本発明に係る製造方法によれば、Mo化合物の結晶形態の制御が可能となると共に、生成される粒子分布の均一性などを期待することができる。また、本発明に係る方法で製造されたMo化合物において、結晶の長さは、加熱時間が30分のもの方が、加熱時間が15分のものより長いことから、結晶の長さは加熱時間を調整することで、制御することが可能である。
【0044】
(実施例2)
実施例2として、前記Mo含有溶液にZrを添加した調整溶液からMo化合物を製造する例について説明する。
実施例1との相違点は、取り扱うMo含有硝酸溶液のZrを添加したことにあり、加熱等の他の条件は実施例1と同等の条件で行った。Mo含有硝酸溶液へのZr添加量は、(Mo硝酸溶液+Zr)に対しmol比で5%とした。
【0045】
図5(a)に、Zr添加調整溶液から本発明に係る方法(加熱温度80℃、加熱時間15分)によって製造されたMo化合物のSEM写真を示す。この図からわかるように、実施例2で製造されたMo化合物では、ウニのような形状の結晶の生成が確認された。また、図6(a)に、本実施例2で製造されたMo化合物のX線回折試験の回折パターンを示すが、ほぼ、実施例1と同様のパターンを示している。
【0046】
一方、本発明の参考例として、Zrを添加したMo含有硝酸溶液による実施例2の条件で、加熱のみ温度制御された湯浴中で調整溶液(Moが溶解された硝酸溶液)を加熱してMo化合物を製造した例を示す。
【0047】
図5(b)に、そのMo化合物のSEM写真であり、図6(b)のX線回折試験の回折パターンを示す。
【0048】
この結果から、Mo含有硝酸溶液に微量のZrを添加することで、MoO3の結晶化は進むが、さらに、マイクロ波による加熱を行うことでMoO3の高結晶化を促進できることが判った。
【0049】
ここで、Mo含有硝酸溶液として使用済核燃料の溶液を使用する場合には、ある程度のZrが含有されていることが多い。この場合には、Zrを含有させるときに、使用済核燃料の溶液のZr含有量を事前に計測し調整することで実行できる。
【0050】
以上、本発明のMo化合物の製造方法によれば、結晶度及び結晶構造を制御でき、良好な結晶形態のMo化合物を効率的に生成することが可能となる。
【0051】
また、本発明のMo化合物の製造方法において、微量のZrを添加することで、ウニのような形状の六方晶系のMo化合物を安定的に生成することができる。
【0052】
さらに、本発明のMo化合物の製造方法によれば、製造プロセス中に、マイクロ波による加熱であるため、高温高圧を必要とすることがないのでエネルギー効率に優れたプロセスを実現できる。
【符号の説明】
【0053】
10・・・加熱室
11・・・制御部
13・・・温度検出部
15・・・反応容器
20・・・マグネトロン
21・・・マイクロ波導入口
25・・・磁気式攪拌機
図1
図2
図3
図4
図5
図6