特許第5816984号(P5816984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5816984移動局装置、基地局装置、無線通信方法および集積回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816984
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】移動局装置、基地局装置、無線通信方法および集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/06 20090101AFI20151029BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20151029BHJP
【FI】
   H04W28/06 110
   H04W72/04 136
【請求項の数】6
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2012-156970(P2012-156970)
(22)【出願日】2012年7月12日
(62)【分割の表示】特願2011-551723(P2011-551723)の分割
【原出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2012-253781(P2012-253781A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年6月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-152565(P2010-152565)
(32)【優先日】2010年7月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100129115
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(74)【代理人】
【識別番号】100131473
【弁理士】
【氏名又は名称】覚田 功二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔一
(72)【発明者】
【氏名】秋元 陽介
(72)【発明者】
【氏名】相羽 立志
【審査官】 深津 始
(56)【参考文献】
【文献】 Panasonic,ACK/NACK multiplexing schemes on PUSCH,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61bis,R1-103760,2010年 6月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局装置から受信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を送信する移動局装置であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を受信し、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列を符号化し、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行し、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行し、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットを連結することによって、ビット系列を生成し、
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を送信し、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局から通知される1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする移動局装置。
【請求項2】
移動局装置に送信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を、前記移動局装置から受信する基地局装置であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を送信し、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列は、前記移動局装置によって符号化され、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施され、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施され、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットを連結することで、前記移動局装置によって、ビット系列が生成され、
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を受信し、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局が通知する1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする基地局装置。
【請求項3】
基地局装置から受信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を送信する移動局装置に用いられる無線通信方法であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を受信するステップと、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列を符号化するステップと、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行するステップと、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行するステップと、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットを連結することによって、ビット系列を生成するステップと、
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を送信するステップとを有し
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局から通知される1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする無線通信方法。
【請求項4】
移動局装置に送信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を、前記移動局装置から受信する基地局装置に用いられる無線通信方法であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を送信するステップと、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列は、前記移動局装置によって符号化するステップと、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施されるステップと、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施されるステップと、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットを連結することで、前記移動局装置によって、ビット系列が生成されるステップとを有し
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を受信するステップと、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局が通知する1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする無線通信方法。
【請求項5】
基地局装置から受信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を送信する移動局装置に用いられる集積回路であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を受信する機能と、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列を符号化する機能と、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行する機能と、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行する機能と、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットを連結することによって、ビット系列を生成する機能と、
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を送信する機能と、の一連の機能を、前記移動局装置に発揮させ、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理を実行して得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局から通知される1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする集積回路。
【請求項6】
移動局装置に送信したトランスポートブロックに対する複数のACK/NACK系列を、前記移動局装置から受信する基地局装置に用いられる集積回路であって、
物理上りリンク共用チャネルに対する変調次数を示す、変調方式及び符号化率に関する情報を送信する機能と、
前記複数のACK/NACK系列は、第1のACK/NACK系列と、前記第1のACK/NACK系列とは異なる第2のACK/NACK系列を含み、
前記第1のACK/NACK系列と、前記第2のACK/NACK系列は、前記移動局装置によって符号化され、
前記第一のACK/NACK系列の符号化ビット数が第一の値になるまで、前記第一のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施され、
前記第二のACK/NACK系列の符号化ビット数が第二の値になるまで、前記第二のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実施され、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットと、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットを連結することで、前記移動局装置によって、ビット系列が生成され、
あるサブフレームにおいて、物理上りリンク共用チャネルを用いて、前記ビット系列を受信する機能と、の一連の機能を、前記基地局装置に発揮させ、
前記第1のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第一の値及び、前記第2のACK/NACK系列の符号化ビットに繰り返し処理又は切り取り処理が実行されて得られたビットのビット数である前記第二の値は、前記変調次数の正の整数倍であり、基地局が通知する1つのオフセット値によって算出されること、
を特徴とする集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、移動局装置、基地局装置、無線通信方法および集積回路
に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワークの進化(以下、「Long Term Evolution (LTE)」、または、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(EUTRA)」と称する)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project: 3GPP)において検討されている。LTEでは、基地局装置から移動局装置への無線通信(下りリンク)の通信方式として、マルチキャリア送信である直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)方式が用いられる。また、移動局装置から基地局装置への無線通信(上りリンク)の通信方式として、シングルキャリア送信であるSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。
【0003】
LTEでは、移動局装置が物理下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel: PDSCH)で受信した下りリンクデータの復号に成功したか否かを示すACK(Acknowledgement)/NACK(Negative Acknowledgement)は、物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel: PUCCH)または物理上りリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared Channel: PUSCH)を用いて送信される。移動局装置がACK/NACKを送信する時にPUSCHの無線リソースを割り当てられていない場合は、ACK/NACKはPUCCHで送信される。移動局装置がACK/NACKを送信する時にPUSCHの無線リソースを割り当てられている場合は、ACK/NACKはPUSCHで送信される。
【0004】
LTEより広帯域な周波数帯域を利用して、さらに高速なデータの通信を実現する無線アクセス方式および無線ネットワーク(以下、「Long Term Evolution-Advanced (LTE-A)」、または、「Advanced Evolved Universal Terrestrial Radio Access (A-EUTRA)」と称する)では、LTEとの後方互換性(backward compatibility)を持つことが検討されている。つまり、LTE−Aの基地局装置はLTE−AおよびLTE両方の移動局装置と同時に無線通信を行ない、また、LTE−Aの移動局装置はLTE−AおよびLTE両方の基地局装置と無線通信を行なうことができ、LTE−AはLTEと同一のチャネル構造を用いる。
【0005】
LTE−Aでは、LTEと同一のチャネル構造の周波数帯域(以下、「キャリア要素(Carrier Component: CC)」、または、「コンポーネントキャリア(Component Carrier: CC)」と称する)を複数用いて、1つの周波数帯域(広帯域な周波数帯域)として使用する技術(周波数帯域集約: Spectrum aggregation、Carrier aggregation、Frequency aggregation等とも称される)が提案されている。例えば、周波数帯域集約を用いた通信では、基地局装置は下りリンクコンポーネントキャリア(Downlink Component Carrier: DL CC)それぞれに1つのPDSCHを配置し、移動局装置に複数のPDSCHを同時に送信する。
【0006】
周波数帯域集約では、1つのプライマリーセル(Primary cell: Pcell)と1つまたは複数のセカンダリーセル(Secondary cell: Scell)が構成される。プライマリーセルは、下りリンクプライマリーコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier: DL PCC)と上りリンクプライマリーコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier: UL PCC)により提供されるセルである。プライマリーセルはLTEのセルと同等の機能を持つセルである。DL PCCとUL PCCは、移動局装置毎に1つずつ設定される。
【0007】
セカンダリーセルは、下りリンクセカンダリーコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier: DL SCC)と上りリンクセカンダリーコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier: UL SCC)により提供されるセルである。セカンダリーセルは、DL SCCのみで提供されてもよい。セカンダリーセルはプライマリーセルよりも機能が制限されたセルである。DL PCCを除いた全てのDL CCは、DL SCCである。UL PCCを除いた全ての上りリンクコンポーネントキャリア(Uplink Component Carrier: UL CC)は、UL SCCである。
【0008】
LTE−Aでは、移動局装置が同時に受信した複数のPDSCHそれぞれに対する複数のACK/NACKを基地局装置に送信する際に、移動局装置が送信する複数のPUSCHのうち1つのPUSCHを用いて上りリンクデータ(上位レイヤにおける情報チャネル)(Uplink Shared Channel: UL-SCH)と複数のACK/NACKをともに送信することが検討されている(非特許文献1)。
【0009】
非特許文献2には、複数のPDSCHに対する複数のACK/NACKを同一のPUSCHで送信する際に、全てのACK/NACKをともに符号化する方法および、ACK/NACKが対応するセル(DL CC)毎に符号化することが記載されている。また、非特許文献2には、移動局装置が複数のDL CCを割り当てられていたとしても、移動局装置がプライマリーセルのPDSCHの割り当てを示す下りリンク制御情報(Downlink Control Information: DCI)のみを受信した場合は、移動局装置はLTEの送信方法を利用して上りリンクデータとACK/NACKをともにPUSCHで送信することが記載されている。PDSCHの割り当てを示す下りリンク制御情報を下りリンクアサインメント(DL assignment)と称する。
【0010】
LTE−Aの上りリンクでは、LTEからの更なるスループット向上のためMIMOSM(Multiple Input Multiple Output Spatial Multiplexing)による空間多重を利用することが議論されている。つまり、上りリンクデータでは2以上の空間多重数(以下ではランクもしくはRankと呼称する)での送信が実現される。
【0011】
それに対し、ACK/NACKやRI(Rank Indicator)などの高い品質が要求される上りリンク制御情報については、空間多重される領域(以下ではレイヤもしくはLayerと呼称する)のすべてに対して送信系列を複製することにより、仮想的にランク1での通信を実現することが提案されている。つまり、ランク2以上の上りリンクデータ通信と、ランク1のACK/NACK、RI送信が混在した通信が行なわれる。これについて、非特許文献3では、制御情報の複製作成方法として、チャネル符号化後のビット列を各レイヤに割り当てることを提案している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】"UCI Transmission in the Presence of UL-SCH Data", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61, R1-103067, May 10-14, 2010.
【非特許文献2】"ACK/NACK multiplexing schemes on PUSCH", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61bis, R1-103760, 28 June-2 July, 2010.
【非特許文献3】"Performance evaluation of UCI multiplexing schemes on PUSCH in case of SU-MIMO", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61, R1-102962, May 10-14, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来の技術では、移動局装置が複数のDL CCで受信した複数のPDSCHに対するACK/NACKを1つの物理上りリンクチャネルで送信する際に、移動局装置が効率的にACK/NACKを符号化して送信することができないという問題がある。
【0014】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、移動局装置が複数のDL CCで受信した複数のPDSCHに対するACK/NACKを1つの物理上りリンクチャネルで送信する際に、移動局装置が効率的にACK/NACKを符号化して送信し、基地局装置が移動局装置によって送信されたACK/NACKの受信処理を行なうことができる移動局装置、基地局装置、無線通信システム、無線通信方法および集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の移動局装置は、基地局装置によって複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記基地局装置に送信する移動局装置において、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを別々に符号化し、前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで前記第一のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで前記第二のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記繰り返し処理を実行した第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理を実行した第二のACK/NACKの符号化ビットとを連結させ、前記第一のACK/NACKと前記第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記基地局装置に送信することを特徴としている。
【0016】
(2)また、本発明の移動局装置において、前記物理上りリンクチャネルは物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【0017】
(3)また、本発明の移動局装置において、前記繰り返し処理は、前記第一のACK/NACKの符号化ビットが前記第一の値よりも小さい場合には、前記第一のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から繰り返して連結する処理であることを特徴としている。
【0018】
(4)また、本発明の移動局装置において、前記繰り返し処理は、前記第二のACK/NACKの符号化ビットが、前記第二の値よりも小さい場合には、前記第二のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から繰り返して連結する処理であることを特徴としている。
【0019】
(5)また、本発明の移動局装置において、前記繰り返し処理は、前記第一のACK/NACKの符号化ビットが前記第一の値よりも大きい場合には、前記第一のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から前記第一の値まで切り取る処理であることを特徴としている。
【0020】
(6)また、本発明の移動局装置において、前記繰り返し処理は、前記第二のACK/NACKの符号化ビットが前記第二の値よりも大きい場合には、前記第二のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から前記第二の値まで切り取る処理であることを特徴としている。
【0021】
(7)また、本発明の基地局装置は、移動局装置へ複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記移動局装置から受信する基地局装置において、別々に符号化された第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記移動局装置から受信し、前記第一のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記第二のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記繰り返し処理が実行された第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理が実行された第二のACK/NACKの符号化ビットとは、前記移動局装置によって連結されることを特徴としている。
【0022】
(8)また、本発明の基地局装置において、前記物理上りリンクチャネルは物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【0023】
(9)また、本発明の基地局装置において、前記繰り返し処理は、前記第一のACK/NACKの符号化ビットが前記第一の値よりも小さい場合には、前記第一のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から繰り返して連結する処理であることを特徴としている。
【0024】
(10)また、本発明の基地局装置において、前記繰り返し処理は、前記第二のACK/NACKの符号化ビットが、前記第二の値よりも小さい場合には、前記第二のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から繰り返して連結する処理であることを特徴としている。
【0025】
(11)また、本発明の基地局装置において、前記繰り返し処理は、前記第一のACK/NACKの符号化ビットが前記第一の値よりも大きい場合には、前記第一のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から前記第一の値まで切り取る処理であることを特徴としている。
【0026】
(12)また、本発明の基地局装置において、前記繰り返し処理は、前記第二のACK/NACKの符号化ビットが前記第二の値よりも大きい場合には、前記第二のACK/NACKの符号化ビットを、先頭から前記第二の値まで切り取る処理であることを特徴としている。
【0027】
(13)また、本発明の無線通信システムは、移動局装置が、基地局装置によって複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記基地局装置に送信する無線通信システムにおいて、前記移動局装置は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを別々に符号化し、前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで前記第一のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで前記第二のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記繰り返し処理を実行した第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理を実行した第二のACK/NACKの符号化ビットとを連結させ、前記第一のACK/NACKと前記第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記基地局装置に送信し、前記基地局装置は、前記第一のACK/NACKと前記第二のACK/NACKとを前記1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記移動局装置から受信することを特徴としている。
【0028】
(14)また、本発明の無線通信方法は、基地局装置によって複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記基地局装置に送信する移動局装置に用いられる無線通信方法において、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを別々に符号化し、前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで前記第一のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで前記第二のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行し、前記繰り返し処理を実行した第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理を実行した第二のACK/NACKの符号化ビットとを連結させ、前記第一のACK/NACKと前記第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記基地局装置に送信することを特徴としている。
【0029】
(15)また、本発明の無線通信方法において、前記物理上りリンクチャネルは、物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【0030】
(16)また、本発明の無線通信方法は、基地局装置へ複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記移動局装置から受信する基地局装置に用いられる無線通信方法において、別々に符号化された第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記移動局装置から受信し、前記第一のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記第二のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記繰り返し処理が実行された第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理が実行された第二のACK/NACKの符号化ビットとは、前記移動局装置によって連結されることを特徴としている。
【0031】
(17)また、本発明の無線通信方法において、前記物理上りリンクチャネルは、物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【0032】
(18)また、本発明の集積回路は、基地局装置によって複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記基地局装置に送信する移動局装置に用いられる集積回路において、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを別々に符号化する機能と、前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで前記第一のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行する機能と、前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで前記第二のACK/NACKの符号化ビットに繰り返し処理を実行する機能と、前記繰り返し処理を実行した第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理を実行した第二のACK/NACKの符号化ビットとを連結させる機能と、前記第一のACK/NACKと前記第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記基地局装置に送信する機能と、の一連の機能を、前記移動局装置に発揮させることを特徴としている。
【0033】
(19)また、本発明の集積回路において、前記物理上りリンクチャネルは、物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【0034】
(20)また、本発明の集積回路は、移動局装置へ複数のコンポーネントキャリアで送信されたトランスポートブロックに対する複数のACK/NACKを前記移動局装置から受信する基地局装置に用いられる集積回路において、別々に符号化された第一のACK/NACKと第二のACK/NACKとを1つの物理上りリンクチャネルを用いて前記移動局装置から受信する機能を前記基地局装置に発揮させ、前記第一のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第一のACK/NACKの符号化ビット数が第一の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記第二のACK/NACKの符号化ビットは、前記移動局装置によって前記第二のACK/NACKの符号化ビット数が第二の値になるまで繰り返し処理が実行され、前記繰り返し処理が実行された第一のACK/NACKの符号化ビットと前記繰り返し処理が実行された第二のACK/NACKの符号化ビットとは、前記移動局装置によって連結されることを特徴としている。
【0035】
(21)また、本発明の集積回路において、前記物理上りリンクチャネルは、物理上りリンク共用チャネルであり、前記第一の値および前記第二の値は、前記物理上りリンク共用チャネルで使用される変調次数の正の整数倍であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、移動局装置が複数のDL CCで受信した複数のPDSCHに対するACK/NACKを1つの物理上りリンクチャネルで送信する際に、移動局装置が効率的にACK/NACKを符号化して送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の無線通信システムの概念図である。
図2】本発明の周波数帯域集約処理の一例を示す図である。
図3】本発明の下りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。
図4】本発明の上りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。
図5】本発明のPUSCHで上りリンクデータとACK/NACKを同時に送信する方法を説明する図である。
図6】本発明の上りリンクデータとACK/NACKの符号化方法について説明する図である。
図7】本発明の第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを結合する方法の一例を示す図である。
図8】本発明の移動局装置1の構成を示す概略ブロック図である。
図9】本発明の基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0039】
まず、本発明の物理チャネルについて説明する。
【0040】
図1は、本発明の無線通信システムの概念図である。図1において、無線通信システムは、移動局装置1A〜1C、および基地局装置3を具備する。図1は、基地局装置3から移動局装置1A〜1Cへの無線通信(下りリンク)では、同期信号(Synchronization signal: SS)、下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal: DL RS)、物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel: PBCH)、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel: PDCCH)、物理下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel: PDSCH)、物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel :PMCH)、物理制御フォーマットインディケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel: PCFICH)、物理HARQインディケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel: PHICH)が割り当てられることを示す。
【0041】
図1は、移動局装置1A〜1Cから基地局装置3への無線通信(上りリンク)では、上りリンク参照信号(Uplink Reference Signal: UL RS)、物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel: PUCCH)、物理上りリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared Channel: PUSCH)、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel: PRACH)が割り当てられることを示す。以下、移動局装置1A〜1Cを移動局装置1という。
【0042】
同期信号は、移動局装置1が下りリンクの周波数領域および時間領域の同期をとるために用いられる信号である。下りリンク参照信号は、移動局装置1が下りリンクの周波数領域および時間領域の同期をとるために用いられたり、移動局装置1が下りリンクの受信品質を測定するために用いられたり、移動局装置1がPDSCHやPDCCHの伝搬路補正を行なうために用いられる信号である。
【0043】
PBCHは、移動局装置1で共通に用いられる制御パラメータ(システム情報)(Broadcast Channel: BCH)を報知するために用いられる物理チャネルである。PBCHは、40ms間隔で送信される。40ms間隔のタイミングは、移動局装置1においてブラインド検出(blind detection)される。
【0044】
PDCCHは、下りリンクアサインメント(downlink assignment、またはdownlink grantとも称する)や上りリンクグラント(uplink grant)などの下りリンク制御情報(Downlink Control Information: DCI)を送信するために用いられる物理チャネルである。下りリンクアサインメントは、PDSCHに対する変調方式および符号化率に関する情報(Modulation and Coding Scheme: MCS)、無線リソースの割り当てを示す情報などから構成される。上りリンクグラントは、PUSCH(上りリンクデータ送信用チャネル)に対する変調方式および符号化率に関する情報、無線リソースの割り当てを示す情報などから構成される。
【0045】
下りリンク制御情報には複数のフォーマットが用いられる。下りリンク制御情報のフォーマットをDCIフォーマット(DCI format)と呼ぶ。下りリンクアサインメントのDCIフォーマットは、基地局装置3がPDSCHを1つの送信アンテナポートまたは送信ダイバーシチを用いて送信する場合に用いられるDCIフォーマット1A、基地局装置3がPDSCHにMIMOSM(Multiple Input Multiple Output Spatial Multiplexing)を用いて複数の下りリンクデータを送信する場合に用いられるDCIフォーマット2などが用意される。
【0046】
MIMO SMとは、複数の送信アンテナポートおよび複数の受信アンテナポートにより実現される複数の空間次元のチャネルに対して複数の信号が多重されて送受信が行なわれる技術である。ここで、アンテナポートとは信号処理に用いられる論理的なアンテナのことを示す、1つのアンテナポートは1つの物理的なアンテナにより構成されてもよいし、複数の物理的なアンテナにより構成されてもよい。MIMOSMを用いた送信側では、複数の信号に対して適切な空間チャネルを形成するための処理(プリコーディング(precoding)と称す)が行なわれて、プリコーディングの処理が行なわれた複数の信号を複数の送信アンテナを用いて送信する。MIMOSMを用いた受信側では、複数の受信アンテナを用いて受信された複数の信号に対して空間次元のチャネルで多重された信号を適切に分離するための処理が行なわれる。
【0047】
PDSCHは、ページング情報(Paging Channel: PCH)やPBCHで報知されない、つまりBCH以外のシステム情報や下りリンクデータ(Downlink Shared Channel: DL-SCH)を送信するために用いられる物理チャネルである。PMCHは、MBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)に関する情報(Multicast Channel: MCH)を送信するために用いられる物理チャネルである。
【0048】
PCFICHは、PDCCHが配置される領域を示す情報を送信するために用いられる物理チャネルである。PHICHは、基地局装置3が受信した上りリンクデータ(Uplink Shared Channel: UL-SCH)の復号の成否を示すHARQインディケータを送信するために用いられる物理チャネルである。
【0049】
基地局装置3がPUSCHに含まれる全ての上りリンクデータの復号に成功した場合は、HARQインディケータはACK(ACKnowledgement)を示し、基地局装置3がPUSCHに含まれる少なくとも1つの上りリンクデータの復号に失敗した場合は、HARQインディケータはNACK(Negative ACKnowledgement)を示す。尚、同一のPUSCHに含まれる複数の上りリンクデータ毎の復号の成否を示す複数のHARQインディケータが、複数のPHICHで送信されるような構成でもよい。
【0050】
上りリンク参照信号は、基地局装置3が上りリンクの時間領域の同期をとるために用いられたり、基地局装置3が上りリンクの受信品質を測定するために用いられたり、基地局装置3がPUSCHやPUCCHの伝搬路補正を行なうために用いられる信号である。上りリンク参照信号は、SC−FDMAを想定して分割された無線リソースにおいて、CAZAC(Constant Amplitude and Zero Auto-Correlation)系列を用いた符号拡散が行なわれる。
【0051】
CAZAC系列とは、時間領域および周波数領域において一定振幅かつ自己相関特性に優れた系列のことである。時間領域で一定振幅であることからPAPR(Peak to Average Power Ratio)を低く抑えることが可能である。DMRSには、時間領域において巡回遅延が適用される。この時間領域における巡回遅延のことをサイクリックシフトと称する。尚、サイクリックシフトは周波数領域においてCAZAC系列をサブキャリア単位で位相回転することに相当する。
【0052】
上りリンク参照信号には、PUSCHまたはPUCCHと時間多重されて送信されPUSCHとPUCCHの伝搬路補償に用いられるDMRS(Demodulation Reference Signal)と、PUSCHおよびPUCCHとは独立して送信される基地局装置3が上りリンクの伝搬路の状況を推定するのに用いられるSRS(Sounding Reference Signal)がある。DMRSには、サイクリックシフトだけでなく時間領域における拡散符号(Orthogonal Cover Code: OCC)も用いられる。
【0053】
PUCCHは、下りリンクのチャネル品質を示すチャネル品質情報(Channel Quality Information)、上りリンクの無線リソースの割り当ての要求を示すスケジューリング要求(Scheduling Request: SR)、移動局装置1が受信した下りリンクデータの復号の成否を示すACK/NACKなど、通信の制御に用いられる情報である上りリンク制御情報(Uplink Control Information: UCI)を送信するために用いられる物理チャネルである。
【0054】
PUSCHは、上りリンクデータや上りリンク制御情報を送信するために用いられる物理チャネルである。移動局装置が上りリンク制御情報を送信する時にPUSCHの無線リソースを割り当てられていない場合は、上りリンク制御情報はPUCCHで送信される。移動局装置が上りリンク制御情報を送信する時にPUSCHの無線リソースを割り当てられている場合は、上りリンク制御情報はPUSCHで送信される。尚、複数のPUSCHの無線リソースを割り当てられている場合は、いずれか1つのPUSCHでのみ上りリンク制御情報を送信する。
【0055】
PRACHは、ランダムアクセスプリアンブルを送信するために使用される物理チャネルである。PRACHは、移動局装置1が基地局装置3と時間領域の同期をとることを最大の目的とし、その他に、初期アクセス、ハンドオーバ、再接続要求、および上りリンクの無線リソースの割り当ての要求に用いられる。
【0056】
以下、本発明の周波数帯域集約について説明する。
【0057】
図2は、本発明の周波数帯域集約処理の一例を示す図である。図2において、横軸は周波数領域、縦軸は時間領域を示す。図2に示すように、下りリンクのサブフレームD1は、20MHzの帯域幅を持った4つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL CC-1; Downlink Component Carrier-1、DL CC-2、DL CC-3、DL CC-4)のサブフレームによって構成されている。
【0058】
このDL CCのサブフレーム各々には、斜線でハッチングがされた領域が示すPHICHとPCFICHとPDCCHが配置される領域と、網目状にハッチングがされた領域が示すPDSCHが配置される領域がある。PHICHとPCFICHとPDCCHは、周波数多重および/または時間多重される。PHICHとPCFICHとPDCCHが周波数多重および/または時間多重される領域と、PDSCHが配置される領域は時間多重される。
【0059】
上りリンクのサブフレームU1は、20MHzの帯域幅を持った3つの上りリンクコンポーネントキャリア(UL CC-1; Uplink Component Carrier-1、UL CC-2、UL CC-3)によって構成されている。このUL CCのサブフレーム各々には、右下がり斜線でハッチングがされた領域が示すPUCCHが配置される領域と、横線でハッチングがされた領域が示すPUSCHが配置される領域とが周波数多重される。
【0060】
移動局装置1は、始めにいずれか1組のDL CCとUL CCを用いて基地局装置3との初期アクセスを行なう。基地局装置3は、移動局装置1が初期アクセスを行なったDL CCのPDSCHを用いて送信するRRCシグナル(Radio Resource Control signal)で、移動局装置1に対して設定したDL CCとUL CC(以下、「設定された(上りリンク/下りリンク)コンポーネントキャリア(configured (downlink/uplink)component carrier)」と称する)を通知する。
【0061】
基地局装置3は、設定されたDL CCの中から下りリンクの通信に用いるDL CCおよび/または設定されたUL CCの中から上りリンクの通信に用いるUL CCを示すアクティベーションコマンド(activation command)を、PDCCHまたはMAC(Medium Access Control)CE(Control Element)などを用いて通知する。
【0062】
基地局装置3が移動局装置1に、アクティベーションコマンドでCCを通信に用いると通知することを、CCをアクティベートする(activate)と称する。基地局装置3が移動局装置1に、アクティベーションコマンドでCCを通信に用いないと通知することを、CCをデアクティベートする(deactivate)と称する。
【0063】
基地局装置3は、設定されたDL CCの中から1つの下りリンクプライマリーコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier: DL PCC)(第一の下りリンクコンポーネントキャリア)を移動局装置1毎に設定し、設定されたULCCの中から上りリンクプライマリーコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier: ULPCC)を移動局装置1毎に設定し、この設定に関する情報を含むRRCシグナルを移動局装置1に通知する。
【0064】
DL PCC以外のDL CCは、下りリンクセカンダリーコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier: DL SCC)(第二の下りリンクコンポーネントキャリア)である。UL PCC以外のUL CCは、上りリンクセカンダリーコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier: UL SCC)である。周波数帯域集約では、1つのプライマリーセル(Primary cell: Pcell)と1つまたは複数のセカンダリーセル(Secondary cell: Scell)が構成される。プライマリーセルは、1つのDL PCCと1つのUL PCCにより提供されるセルである。プライマリーセルはLTEのセルと同等の機能を持つセルである。
【0065】
セカンダリーセルは、1つのDL SCCと1つのUL SCCにより提供されるセルである。セカンダリーセルは、DL SCCのみで提供されてもよい。セカンダリーセルはプライマリーセルよりも機能が制限されたセルである。
【0066】
DL PCCおよびULPCCはデアクティベートされることがない。上りリンク制御情報は、UL PCCのPUCCHおよび/または設定された複数のUL CCのうちいずれか1つのULCCのPUSCHで送信される。
【0067】
以下、本発明の無線フレームの構成について説明する。
【0068】
図3は、本発明の下りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。図3において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域である。図3に示すように、DL CCの無線フレームは、複数の下りリンクの物理リソースブロック(Physical Resource Block; PRB)ペア(例えば、図3の破線で囲まれた領域)から構成されている。この下りリンクの物理リソースブロックペアは、無線リソースの割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯(PRB帯域幅;180kHz)および時間帯(2個のスロット=1個のサブフレーム;1ms)からなる。
【0069】
1個の下りリンクの物理リソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の下りリンクの物理リソースブロック(PRB帯域幅×スロット)から構成される。1個の下りリンクの物理リソースブロック(図3において、太線で囲まれている単位)は、周波数領域において12個のサブキャリア(15kHz)から構成され、時間領域において7個のOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル(71μs)から構成される。
【0070】
時間領域においては、7個のOFDMシンボル(71μs)から構成されるスロット(0.5ms)、2個のスロットから構成されるサブフレーム(1ms)、10個のサブフレームから構成される無線フレーム(10ms)がある。サブフレームと同じ時間間隔である1msのことを、送信時間間隔(Transmit Time Interval: TTI)とも称する。周波数領域においては、DL CCの帯域幅に応じて複数の下りリンクの物理リソースブロックが配置される。尚、1個のサブキャリアと1個のOFDMシンボルから構成されるユニットを下りリンクリソースエレメントと称する。
【0071】
以下、下りリンクに割り当てられる物理チャネルの配置について説明する。下りリンクの各サブフレームには、PDCCH、PCFICH、PHICH、PDSCH、および下りリンク参照信号などが配置される。PDCCHはサブフレームの先頭のOFDMシンボルから(図3において、左斜線でハッチングがされた領域)配置される。PDCCHが配置されるOFDMシンボルの数はサブフレーム毎に異なり、PDCCHが配置されるOFDMシンボルの数を示す情報はPCFICHで報知される。各サブフレームでは、複数のPDCCHが周波数多重および時間多重される。
【0072】
PCFICHはサブフレームの先頭のOFDMシンボルに配置され、PDCCHと周波数多重される。PHICHは、PDCCHと同一のOFDMシンボル内で周波数多重される(図3において、網目状の線でハッチングがされた領域)。PHICHは、サブフレームの先頭のOFDMシンボルのみに配置されてもよいし、PDCCHが配置される複数のOFDMシンボルに分散して配置されてもよい。各サブフレームでは、複数のPHICHが周波数多重および符号多重される。
【0073】
移動局装置1は、PUSCHを送信してから所定の時間後(例えば、4ms後、4サブフレーム後、4TTI後)の下りリンクのサブフレームのPHICHで、このPUSCHに対するHARQフィードバックを受信する。
【0074】
PDSCHは、サブフレーム内のPDCCHおよびPCFICHおよびPHICHが配置されるOFDMシンボル以外のOFDMシンボル(図3において、ハッチングがされない領域)に配置される。PDSCHの無線リソースの割り当ては、下りリンクアサインメントを用いて移動局装置1に示される。PDSCHの無線リソースは、時間領域において、このPDSCHの割り当てを示す下りリンクアサインメントを含むPDCCHと同一の下りリンクのサブフレームに配置される。
【0075】
PDSCHと、このPDSCHに対するPDCCHは同じまたは異なる下りリンクコンポーネントキャリアに配置される。各下りリンクコンポーネントキャリアのサブフレームでは、複数のPDSCHが周波数多重および空間多重される。下りリンク参照信号については、説明の簡略化のため図3において図示を省略するが、下りリンク参照信号は周波数領域と時間領域において分散して配置される。
【0076】
図4は、本発明の上りリンクの無線フレームの構成の一例を示す概略図である。図4において、横軸は時間領域、縦軸は周波数領域である。図4に示すように、ULCCの無線フレームは、複数の上りリンクの物理リソースブロックペア(例えば、図4の破線で囲まれた領域)から構成されている。この上りリンクの物理リソースブロックペアは、無線リソースの割り当てなどの単位であり、予め決められた幅の周波数帯(PRB帯域幅;180kHz)および時間帯(2個のスロット=1個のサブフレーム;1ms)からなる。
【0077】
1個の上りリンクの物理リソースブロックペアは、時間領域で連続する2個の上りリンクの物理リソースブロック(PRB帯域幅×スロット)から構成される。1個の上りリンクの物理リソースブロック(図4において、太線で囲まれている単位)は、周波数領域において12個のサブキャリアから構成され、時間領域において7個のSC−FDMAシンボル(71μs)から構成される。
【0078】
時間領域においては、7個のSC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access)シンボル(71μs)から構成されるスロット(0.5ms)、2個のスロットから構成されるサブフレーム(1ms)、10個のサブフレームから構成される無線フレーム(10ms)がある。サブフレームと同じ時間間隔である1msのことを、送信時間間隔(Transmit Time Interval: TTI)とも称する。周波数領域においては、ULCCの帯域幅に応じて複数の上りリンクの物理リソースブロックが配置される。尚、1個のサブキャリアと1個のSC−FDMAシンボルから構成されるユニットを上りリンクリソースエレメントと称する。
【0079】
以下、上りリンクの無線フレーム内に割り当てられる物理チャネルについて説明する。上りリンクの各サブフレームには、PUCCH、PUSCH、PRACHおよび上りリンク参照信号などが配置される。PUCCHは、上りリンクの帯域の両端の上りリンクの物理リソースブロック(左斜線でハッチングがされた領域)に配置される。各サブフレームでは、複数のPUCCHが周波数多重および符号多重される。
【0080】
PUSCHは、PUCCHが配置される上りリンクの物理リソースブロック以外の上りリンクの物理リソースブロックペア(ハッチングがされない領域)に配置される。PUSCHの無線リソースは、上りリンクグラントを用いて割り当てられ、この上りリンクグラントを含むPDCCHが配置された下りリンクのサブフレームから所定の時間後(例えば、4ms後、4サブフレーム後、4TTI後)の上りリンクのサブフレームに配置される。各サブフレームでは、複数のPUSCHが周波数多重および空間多重される。
【0081】
PRACHが配置されるサブフレームおよび上りリンクの物理リソースブロックを示す情報は、基地局装置によって報知される。上りリンク参照信号は、PUCCHやPUSCHと時間多重される。例えば、PUSCHと時間多重されるDMRSは、サブフレーム内の4番目と11番目のSC−FDMAシンボルに配置される。
【0082】
上りリンク参照信号は、PUSCHとPUCCHと時間多重されて送信される。PUSCHと上りリンク参照信号が時間多重される場合は、上りリンク参照信号は周波数領域においてPUSCHが割り当てられたのと同じ周波数帯域に配置され、時間領域において4番目と11番目のSC−FDMAシンボルに配置される。
【0083】
以下、本発明のPUSCH内の上りリンクデータと上りリンク制御情報の配置について説明する。
【0084】
図5は、本発明のPUSCHで上りリンクデータとACK/NACKを同時に送信する方法を説明する図である。図5において、横軸は時間領域であり、縦軸はマッピングする変調シンボル系列の並びを表しており、周波数軸に対応したものではなく、各SC−FDMAシンボルごとにDFT処理され、周波数軸上で割り当てられたリソースにマッピングされる。ACK/NACKの変調シンボルは、3番目と5番目と10番目と12番目のSC−FDMAシンボルに配置される。
【0085】
以下、DL PCCのPDSCHに対するACK/NACKを第一のACK/NACK(第一の応答情報)、1つまたは複数のDL SCCのPDSCHに対するACK/NACKを第二のACK/NACK(第二の応答情報)と称する。具体的に3番目のSC−FDMAシンボルに着目すると、3番目のSC−FDMAシンボルの下から順番に第一のACK/NACKの変調シンボル、第二のACK/NACKの変調シンボル、上りリンクデータの変調シンボルの順番に時間多重され、DFT処理によって周波数領域の信号に変換された後に、上りリンクグラントで割り当てられた周波数帯域(物理リソースブロック)に配置されることを示している。
【0086】
上りリンクデータ、第一のACK/NACKおよび第二のACK/NACKは別々に符号化される。ACK/NACKの符号化ビット系列および上りリンクデータの符号化ビット系列は、PUSCHの変調方式の変調多値数のビット数に分割したものを変調シンボル(符号化シンボル)とみなされ図5のように並び替えられてから変調される。例えば、変調多値数は、QPSK変調では「2」であり、16QAMでは「4」であり、64QAMでは「6」である。
【0087】
尚、移動局装置1がDL PCCでのみPDSCHを受信した場合は、第二のACK/NACKの変調シンボルは配置されず、図5の第二のACK/NACKの変調シンボルが配置されている領域には上りリンクデータの変調シンボルが配置される。第一のACK/NACKは、第二のACK/NACKがあるときとないときで同じ符号化を行ない、図5の同じ位置に並べられる。
【0088】
尚、移動局装置1がDL PCCでPDSCHを受信せず、少なくとも1つのDL SCCでPDSCHを受信した場合は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの両方がPUSCHで送信される。このとき、第一のACK/NACKはNACKを示す。
【0089】
以下、本発明のACK/NACKのビット数を算出する方法について説明する。
【0090】
本発明では、PUSCHでACK/NACKを送信する際に用いられるACK/NACKのビット数は、基地局装置3に移動局装置1が設定されたDL CCの数と、1つのPDSCHに空間多重できる下りリンクデータの最大数を乗算した値である。3つのDL CCを設定され、1つのPDSCHに2つまでの下りリンクデータを空間多重することができる場合は、移動局装置1は6ビットのACK/NACKを生成する。つまり、DL CCで受信される下りリンクデータそれぞれに対してACK/NACKが1ビットずつ生成される。
【0091】
尚、DL PCCでしかPDSCHを受信しなかった場合は、第一のACK/NACKのみを生成し、第二のACK/NACKを生成しない。移動局装置1は複数のDL CCを設定されていても、多くの時間はプライマリーセル(DL PCCとUL PCC)での通信しか行なわないため、DL PCCでしかPDSCHを受信していないときにDL SCCに対するACK/NACKを送信しないようにすることで、DL SCCでPDSCHを受信していないにも係らず、DL SCCに対するACK/NACKを送信する必要がなくなるためPUSCHの無線リソースを効率的に使うことができる。
【0092】
尚、移動局装置1がDL PCCでPDSCHを受信せず、少なくとも1つのDL SCCでPDSCHを受信した場合は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの両方を生成する。これにより、DL PCCのPDSCHで受信したかしないかで、ACK/NACKの符号化や、ACK/NACKの変調シンボルのマッピングを変える必要がないため、移動局装置1の構成が簡略化できる。
【0093】
尚、移動局装置1がDL PCCでPDSCHを受信せず、少なくとも1つのDL SCCでPDSCHを受信した場合は、第二のACK/NACKのみ生成してもよい。この場合は、図5の第一のACK/NACKの変調シンボルが配置される位置には上りリンクデータの変調シンボルが配置され、第二のACK/NACKの変調シンボルは、第一のACK/NACKがあるときと同じ位置に配置される。これにより、第二のACK/NACKの変調シンボルが配置される位置が第一のACK/NACKがあるかないかによらず同じ位置に配置される。ゆえに、基地局装置3がDL PCCで送信したPDSCHを移動局装置1が復号処理しなかった場合にも、基地局装置3は第二のACK/NACKを正しく受信することができる。
【0094】
尚、少なくとも1つのDL SCCでPDSCHを受信しているが、設定されたDL CCの一部でしかPDSCHを受信しなかった場合は、設定されたDL CCのうち、PDSCHを受信しなかったDL CCに対するACK/NACKをNACKにセットする。また、設定されたDL CCで受信したPDSCHで1つの下りリンクデータしか受信しなかった場合は、この設定されたDL CCに対しては1ビットのACK/NACKのみ生成し、もう1ビットのACK/NACKは予め決められた値にセットする。
【0095】
例えば、移動局装置1が3つの設定されたDL CCのうち、DL PCCで下りリンクデータの受信を行なわず、第1のDL SCCで受信した2つの下りリンクデータの復号に成功し、第2の設定されたDL SCCで受信した1つの下りリンクデータの復号に失敗した場合は、移動局装置1は第一のACK/NACKの系列として「00」を、第二のACK/NACKの系列として「1100」を生成する。
【0096】
尚、ACKの場合はビットの値を1にセットし、NACKの場合はビットの値を0にセットする。このように移動局装置1が設定されたDL CCで下りリンクデータを受信しなかった場合にACK/NACKのビットを予め決められた値にセットすることで、基地局装置3は移動局装置1に下りリンクデータを送信しなかったDL CCに対するACK/NACKが予め決められた値にセットされていることがわかるため、残りの移動局装置1に送信した下りリンクデータに対するACK/NACKの受信精度が向上する。
【0097】
尚、移動局装置1がACK/NACKのビットをDL SCC毎に設定されたDL SCCの番号順に並べることで、基地局装置3はACK/NACKのビットが、どのDL SCCで送信した下りリンクデータに対するものであるかを正しく認識することができる。
【0098】
尚、ACK/NACKのビット数を、基地局装置3に移動局装置1が設定されたDL CCの数と、DL CC毎のPDSCHに空間多重できる下りリンクデータの最大数とから決定してもよい。例えば、PDSCHに2つの下りリンクデータを空間多重できる1つのDL CCと、PDSCHで1つの下りリンクデータしか多重できない2つのDL CCを設定された移動局装置1は、4つのACK/NACKのビットを生成する。
【0099】
尚、ACK/NACKのビット数を、アクティベートされたDL CCの数と、1つのPDSCHに空間多重できる下りリンクデータの最大数を乗算した値としてもよい。DL CC毎のPDSCHに空間多重できる下りリンクデータの最大数は下りリンクデータの送信モード(例えば、MIMO SM、送信ダイバーシチ)から決まる。尚、ACK/NACKのビット数を、アクティベートされたDL CCの数から決定してもよい。
【0100】
以下、本発明のACK/NACKの変調シンボル数を算出する方法について説明する。
【0101】
本発明では、PUSCHでACK/NACKを送信する際に用いられるACK/NACKの変調シンボルの数は、PUSCHで送信する第一のACK/NACKのビット数、第二のACK/NACKのビット数、上りリンクデータの初期送信時の無線リソースの量、上りリンクデータのビット数(トランスポートブロックサイズ: transport block size)、基地局装置3によって設定されたオフセットなどから求まる。(1)式は、PUSCHでACK/NACKを送信する際にもちいられるACK/NACKの変調シンボルの数を算出するための式である。
【0102】
【数1】
【0103】
Q’は第一のACK/NACKの変調シンボルの数である。Q’’は第二のACK/NACKの変調シンボルの数である。Q’’’はPUSCHで送信される第一のACK/NACKの変調シンボルの数と第二のACK/NACKの変調シンボルの数の和である。
【0104】
O’は、本発明の移動局装置1が生成した第一のACK/NACKのビット数である。O’’は、本発明の移動局装置1が生成した第二のACK/NACKのビット数である。尚、移動局装置1がDL PCCでのみPDSCHを受信した場合はO’’は「0」とする。
【0105】
基地局装置3によって設定されるオフセットの値は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKに対して別々に設定される。移動局装置1は、基地局装置3によって設定された第一のACK/NACKのオフセットと第二のACK/NACKのオフセットの値を用いて、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの送信に用いる変調シンボルの数を別々に計算する。
【0106】
これにより、第一のACK/NACKの符号化方法と第二のACK/NACKの符号化方法に性能の差がある場合に、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの送信に用いるPUSCHの無線リソースの量を調整することで、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの性能を同じになるよう調整することができる。
【0107】
尚、第一のACK/NACKに対するオフセットと第二のACK/NACKに対するオフセットを共通にし、基地局装置3が第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの両方が目標の性能を満たすように共通のオフセットを設定し、移動局装置1に通知してもよい。
【0108】
これにより、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの送信に用いるPUSCHの無線リソースの量を別々に調整することができなくなるが、基地局装置3が移動局装置1に通知するACK/NACKのオフセットに関する情報量が減るため、下りリンクの無線リソースを節約することができる。
【0109】
図5に示したように、ACK/NACKの変調シンボルは4つのSC−FDMAシンボルのみに配置されるため、ACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数は、PUSCHに割り当てられた周波数帯域に含まれるサブキャリアの数の4倍である。図5において、Q’’’がACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数を超えた場合は、DL SCCのPDSCHに対するACK/NACKの変調シンボルを配置するリソースエレメント数から減らしくていく。
【0110】
つまり、Q’がACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数を超えない限り、第一のACK/NACKの変調シンボルの数を減らさない。これにより、DL PCCのPDSCHに対するACK/NACKの性能を保つことができるため、プライマリーセルの下りリンクの通信の品質を保つことができる。(2)式は、Q’’’が、ACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数を超えないようにするための式である。min(・)は、括弧の中の複数の値のうち最も小さい値を出力する関数である。Nmaxは、ACK/NACKの変調シンボルを配置することができる最大の数である。
【0111】
【数2】
【0112】
尚、Q’’’がACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数を超えた場合に、DL PCCに対するACK/NACKの変調シンボルを配置する数から減らしてもよい。DL SCCが4つ設定されている場合は、DL SCCのPDSCHに対するACK/NACKは8ビットあるため、2ビットしかないDL PCCのACK/NACKよりもDL SCCのPDSCHに対するACK/NACKを優先的に配置することで、より多くのPDSCHに対するACK/NACKの性能を落とさずに送信することができる。
【0113】
(3)式と(4)式は、Q’’’がACK/NACKの変調シンボルを配置できる最大の数を超えた場合に、DL PCCに対するACK/NACKの変調シンボルを配置する数から減らす場合の、Q’とQ’’を算出するための式である。
【0114】
【数3】
【0115】
【数4】
【0116】
以下、本発明のACK/NACKの符号化方法について説明する。
【0117】
図6は、本発明の上りリンクデータとACK/NACKの符号化方法について説明する図である。図6において、上りリンクデータと、第一のACK/NACKと、第二のACK/NACKは別々に符号化される(ステップS100)。尚、複数のDL SCCに対する第二のACK/NACKはともに符号化される。
【0118】
上りリンクデータは、ターボ符号化が行なわれる。複数のDL SCCのPDSCHに対するACK/NACKは、リードマラー(Reed-Muller)符号による符号化が行なわれる。DL PCCのPDSCHに対するACK/NACKは、反復符号などを用いた通信路符号化によって符号化が行なわれ、生成された符号化ビット2つおきに予め決められた値の符号化ビットを挿入する。挿入される予め決められた値の符号化ビットの数は、PUSCHの変調方式によって決める。
【0119】
PUSCHが16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)で変調される場合は、生成された符号化ビット2つおきに予め決められた値の符号化ビットを2つずつ挿入する。PUSCHが64QAMで変調される場合は、生成された符号化ビット2つおきに予め決められた値の符号化ビットを4つずつ挿入する。
【0120】
これにより、PUSCHの変調方式にかかわらずDL PCCのPDSCHに対するACK/NACKの変調シンボルには、2ビットの情報量しか含まれなくなり、ACK/NACKの変調シンボルの信号点は4つに限定される。また、この4つの信号点は、16QAMや64QAMの振幅が最大である4つの信号点となるように符号化ビットと信号点を対応付ける。
【0121】
例えば、PUSCHが16QAMで変調される場合は、DL PCCのPDSCHに対するACK/NACKの符号化ビットの系列が「110110」の場合は、この系列に予め決められた値(x)の符号化ビットが挿入され「11xx01xx10」(xは0または1の予め定められた値)となる。また、「00xx」、「01xx」、「10xx」、「11xx」を16QAMや64QAMの振幅が最大である4つの信号点と対応付けておく。これにより、移動局装置1においてACK/NACK符号化ビットを16QAMや64QAMで変調しても、基地局装置3において、ACK/NACKの変調シンボルをQPSKとして扱うことができる。以下、この方法を仮想QPSKと称する。
【0122】
ステップS100で第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを符号化した後に、第一のACK/NACKの符号化ビット系列の後ろに、第二のACK/NACKの符号化ビット系列が結合(多重)される(ステップS101)。
【0123】
図7は、本発明の第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを結合する方法の一例を示す図である。PUSCHで送信するACK/NACKの符号化ビットの系列長P’’’は、Q’’’とPUSCHの変調多値数mの積である。PUSCHで送信する第一のACK/NACKの符号化ビットの系列長P’は、Q’とPUSCHの変調多値数mの積である。PUSCHで送信する第二のACK/NACKの符号化ビットの系列長P’’は、Q’’とPUSCHの変調多値数mの積である。
【0124】
図7において、ステップS100で符号化された第一のACK/NACKの符号化ビット系列長は、P’よりも短い。この場合は、P’と同じビット数になるまで第一のACK/NACKの符号化ビットの先頭部分から繰り返し配置される。
【0125】
図7において、ステップS100で符号化された第二のACK/NACKの符号化ビット系列長は、P’’よりも長い。この場合は、第二のACK/NACKの符号化ビットは先頭部分からP’’の数までの一部分が切り取られる。つまり、第二のACK/NACKの符号化ビットのP’’を越える末尾部分はPUSCHで送信されない。
【0126】
このように先頭から繰り返された、または先頭部分から切り取られた第一のACK/NACKの符号化ビットおよび第二のACK/NACKの符号化ビットが結合される。
【0127】
ステップS100とステップS101の後に、上りリンクデータの符号化ビットとACK/NACKの符号化ビットを図5のように並び替える(ステップS102)。最初に、図5のDMRS以外の領域に上りリンクデータの符号化ビットを並べる。次に、図5のACK/NACKの領域に配置された上りリンクデータの符号化ビットを、第一のACK/NACKの符号化ビットおよび/または第二のACK/NACKの符号化ビットに置き換えていく。
【0128】
尚、DL PCCでしかPDSCHを受信しなかった場合は、第一のACK/NACKに関する符号化処理のみ行ない、第二のACK/NACKに関する符号化処理は行なわない。
【0129】
以下、本発明の移動局装置1の装置構成について説明する。
【0130】
図8は、本発明の移動局装置1の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、移動局装置1は、上位層処理部101、制御部103、受信部105、送信部107および、送受信アンテナ109を含んで構成される。上位層処理部101は、無線リソース制御部1011、HARQ制御部1013とACK/NACK生成部1015を含んで構成される。受信部105は、復号化部1051、復調部1053、多重分離部1055、無線受信部1057とチャネル測定部1059を含んで構成される。送信部107は、符号化部1071、変調部1073、多重部1075、無線送信部1077と上りリンク参照信号生成部1079を含んで構成される。
【0131】
上位層処理部101は、ユーザの操作等により生成された上りリンクデータを、送信部107に出力する。また、上位層処理部101は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol: PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control: RLC)層、無線リソース制御(Radio Resource Control: RRC)層の処理を行なう。また、上位層処理部101はPDCCHで受信された下りリンク制御情報などに基づき、受信部105、および送信部107の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部103に出力する。
【0132】
上位層処理部101が備える無線リソース制御部1011は、自装置の各種設定情報の管理を行なう。例えば、無線リソース制御部1011は、設定されたCCの管理を行なう。また、無線リソース制御部1011は、上りリンクの各チャネルに配置される情報を生成し、送信部107に出力する。
【0133】
上位層処理部101が備えるHARQ制御部1013は、下りリンクデータのHARQの制御を行なう。HARQ制御部1013は、受信した下りリンクデータの復号に成功した場合は、ACK/NACK生成部1015にACKを生成し基地局装置3に送信するよう指示し、受信した下りリンクデータの復号に失敗した場合は、ACK/NACK生成部1015にNACKを生成し基地局装置3に送信するよう指示する。
【0134】
HARQ制御部1013は、下りリンクデータの復号に失敗した場合は下りリンクデータをHARQバッファに保持しておき、基地局装置3によって再送信された下りリンクデータを受信した際に、再送信された下りリンクデータとHARQバッファに保持されている下りリンクデータを合成して復号処理を行なう。
【0135】
上位層処理部101が備えるACK/NACK生成部1015は、HARQ制御部1013の指示に従ってACKまたはNACKを生成し、ACK/NACKのビットを並べ替える。ACK/NACK生成部1015は、DL PCCでのみ下りリンクデータを受信した場合は第一のACK/NACKのみ生成し、少なくとも1つのDL SCCで下りリンクデータを受信した場合は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを生成する。
【0136】
尚、少なくとも1つのDL SCCで下りリンクデータを受信したが、一部のDL CC(DL PCCやDL SCC)で下りリンクデータを受信しなかった場合は、ACK/NACK生成部1015は、ACK/NACKをNACKとして生成する。
【0137】
ACK/NACK生成部1015は、PUSCHでACK/NACKを送信する際のACK/NACKの変調シンボルの数を計算し、計算した変調シンボル数のACK/NACK変調シンボルを生成し、ACK/NACKと上りリンクデータをともにPUSCHで送信するよう、送信部107の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部103に出力する。
【0138】
制御部103は、上位層処理部101からの制御情報に基づいて、受信部105、および送信部107の制御を行なう制御信号を生成する。制御部103は、生成した制御信号を受信部105、および送信部107に出力して受信部105、および送信部107の制御を行なう。
【0139】
受信部105は、制御部103から入力された制御信号に従って、送受信アンテナ109を介して基地局装置3から受信した受信信号を、分離、復調、復号し、復号した情報を上位層処理部101に出力する。
【0140】
無線受信部1057は、送受信アンテナ109を介して受信した下りリンクの信号を、中間周波数に変換し(ダウンコンバート: down covert)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信した信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調し、直交復調されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。無線受信部1057は、変換したディジタル信号からガードインターバル(Guard Interval: GI)に相当する部分を除去し、ガードインターバルを除去した信号に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform: FFT)を行ない、周波数領域の信号を抽出する。
【0141】
多重分離部1055は、抽出した信号をPHICH、PDCCH、PDSCH、および下りリンク参照信号に、それぞれ分離する。尚、この分離は、下りリンクアサインメントで通知された無線リソースの割り当て情報などに基づいて行なわれる。また、多重分離部1055は、チャネル測定部1059から入力された伝搬路の推定値から、PHICHとPDCCHとPDSCHの伝搬路の補償を行なう。また、多重分離部1055は、分離した下りリンク参照信号をチャネル測定部1059に出力する。
【0142】
復調部1053は、PHICHに対して対応する符号を乗算して合成し、合成した信号に対してBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調方式の復調を行ない、復号化部1051へ出力する。復号化部1051は、自装置宛てのPHICHを復号し、復号したHARQインディケータを上位層処理部101に出力する。復調部1053は、PDCCHに対して、QPSK変調方式の復調を行ない、復号化部1051へ出力する。復号化部1051は、PDCCHのブラインドデコーディングを試み、ブラインドデコーディングに成功した場合、復号した下りリンク制御情報と下りリンク制御情報に含まれていたRNTIを上位層処理部101に出力する。
【0143】
復調部1053は、PDSCHに対して、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM等の下りリンクアサインメントで通知された変調方式の復調を行ない、復号化部1051へ出力する。復号化部1051は、下りリンク制御情報で通知された符号化率に関する情報に基づいて復号を行ない、復号した下りリンクデータ(トランスポートブロック)を上位層処理部101へ出力する。
【0144】
チャネル測定部1059は、多重分離部1055から入力された下りリンク参照信号から下りリンクのパスロスやチャネルの状態を測定し、測定したパスロスやチャネルの状態を上位層処理部101へ出力する。また、チャネル測定部1059は、下りリンク参照信号から下りリンクの伝搬路の推定値を算出し、多重分離部1055へ出力する。
【0145】
送信部107は、制御部103から入力された制御信号に従って、上りリンク参照信号を生成し、上位層処理部101から入力された上りリンクデータや上りリンク制御情報を符号化および変調し、PUCCH、PUSCH、および生成した上りリンク参照信号を多重し、送受信アンテナ109を介して基地局装置3に送信する。
【0146】
符号化部1071は、上位層処理部101から入力された上りリンク制御情報を畳込み符号化、ブロック符号化等の符号化を行ない、上りリンクデータを上りリンクグラントで通知された符号化率に関する情報に基づいてターボ符号化を行なう。
【0147】
符号化部1071は、ACK/NACKを上りリンクデータとともにPUSCHで送信する場合は、制御部103から入力された制御信号に従って、ACK/NACKと上りリンクデータを図6のように符号化し、ACK/NACKと上りリンクデータの符号化ビットを図5のように並べ替える。
【0148】
変調部1073は、符号化部1071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の下りリンク制御情報で通知された変調方式または、チャネル毎に予め定められた変調方式で変調する。変調部1073は、上りリンクグラントで通知された空間多重される系列の数と、この系列に対して行なうプリコーディングを指示する情報に基づいて、MIMOSMを用いることにより同一のPUSCHで送信される複数の上りリンクデータの変調シンボルの系列を、同一のPUSCHで送信される上りリンクデータの数よりも多い複数の系列にマッピングし、この系列に対してプレコーディング(precoding)を行なう。
【0149】
上りリンク参照信号生成部1079は、基地局装置3を識別するための物理セル識別子(physical cell identity: PCI、Cell IDなどと称する)、上りリンク参照信号を配置する帯域幅、上りリンクグラントで通知されたサイクリックシフトなどを基に予め定められた規則で求まる、基地局装置3が既知の系列を生成する。多重部1075は、制御部103から入力された制御信号に従って、PUSCHの変調シンボルを並列に並び替えてから離散フーリエ変換(Discrete Fourier Transform: DFT)し、PUCCHとPUSCHの信号と生成した上りリンク参照信号を送信アンテナポート毎に多重する。
【0150】
無線送信部1077は、多重された信号を逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform: IFFT)して、SC−FDMA方式の変調を行ない、SC−FDMA変調されたSC−FDMAシンボルにガードインターバルを付加し、ベースバンドのディジタル信号を生成し、ベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号から中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去し、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート: up convert)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送受信アンテナ109に出力して送信する。
【0151】
以下、本発明の基地局装置3の装置構成について説明する。
【0152】
図9は、本発明の基地局装置3の構成を示す概略ブロック図である。図示するように、基地局装置3は、上位層処理部301、制御部303、受信部305、送信部307、および、送受信アンテナ309、を含んで構成される。また、上位層処理部301は、無線リソース制御部3011、HARQ制御部3013とACK/NACK検出部3015を含んで構成される。また、受信部305は、復号化部3051、復調部3053、多重分離部3055、無線受信部3057とチャネル測定部3059を含んで構成される。また、送信部307は、符号化部3071、変調部3073、多重部3075、無線送信部3077と下りリンク参照信号生成部3079を含んで構成される。
【0153】
上位層処理部301は、媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)層、パケットデータ統合プロトコル(Packet Data Convergence Protocol: PDCP)層、無線リンク制御(Radio Link Control: RLC)層、無線リソース制御(Radio Resource Control: RRC)層の処理を行なう。また、上位層処理部301は、受信部305、および送信部307の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部303に出力する。
【0154】
上位層処理部301が備える無線リソース制御部3011は、下りリンクのPDSCHに配置される下りリンクデータ、RRCシグナル、MACCE(Control Element)を生成し、または上位ノードから取得し、HARQ制御部3013に出力する。また、無線リソース制御部3011は、移動局装置1各々の各種設定情報の管理をする。例えば、無線リソース制御部3011は、移動局装置1に設定したCCの管理などを行なう。
【0155】
上位層処理部301が備えるHARQ制御部3013は、下りリンクデータのHARQの制御を行なう。HARQ制御部3013は、無線リソース制御部3011から取得した下りリンクデータをHARQバッファに保持しておき、HARQバッファに保持している下りリンクデータに対して移動局装置1からNACKを受信した場合には、保持している下りリンクデータを送信部307に出力し、再送信するよう制御を行なうために制御情報を生成し、制御部303に出力する。
【0156】
上位層処理部301が備えるACK/NACK検出部3015は、受信部305のACK/NACKの復号処理の制御を行なうために制御情報を生成し、制御部303に出力する。ACK/NACK検出部3015は、移動局装置1に設定した下りリンクコンポーネントキャリアの数などから移動局装置1が送信したACK/NACKのビット系列のビット数、およびPUSCHに配置されるACK/NACKの変調シンボル数を計算する。
【0157】
ACK/NACK検出部3015は、DL PCCのみで下りリンクデータを移動局装置1に送信した場合には、PUSCHに第一のACK/NACKのみ含まれており、第二のACK/NACKは含まれていないと判断する。ACK/NACK検出部3015は、下りリンクデータを移動局装置1に送信していないDL CCに対するACK/NACKはNACKにセットされていると判断する。
【0158】
ACK/NACK検出部3015は、算出したACK/NACKの変調シンボル数にもとづいて、PUSCHに含まれるACK/NACKの変調シンボルを分離し、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを別々に復号するよう、制御部303を介して受信部305を制御する。
【0159】
制御部303は、上位層処理部301からの制御情報に基づいて、受信部305、および送信部307の制御を行なう制御信号を生成する。制御部303は、生成した制御信号を受信部305、および送信部307に出力して受信部305、および送信部307の制御を行なう。
【0160】
受信部305は、制御部303から入力された制御信号に従って、送受信アンテナ309を介して移動局装置1から受信した受信信号を分離、復調、復号し、復号した情報を上位層処理部301に出力する。無線受信部3057は、送受信アンテナ309を介して受信された上りリンクの信号を、中間周波数に変換し(ダウンコンバート: down covert)、不要な周波数成分を除去し、信号レベルが適切に維持されるように増幅レベルを制御し、受信された信号の同相成分および直交成分に基づいて、直交復調し、直交復調されたアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0161】
無線受信部3057は、変換したディジタル信号からガードインターバル(Guard Interval: GI)に相当する部分を除去する。無線受信部3057は、ガードインターバルを除去した信号に対して高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform: FFT)を行ない、周波数領域の信号を抽出し多重分離部3055に出力する。
【0162】
多重分離部3055は、無線受信部3057から入力された信号をPUCCH、PUSCH、上りリンク参照信号などの信号に分離する。尚、この分離は、予め基地局装置3が無線リソース制御部3011で決定し、各移動局装置1に通知した上りリンクグラントに含まれる無線リソースの割り当て情報に基づいて行なわれる。多重分離部3055は、チャネル測定部3059から入力された伝搬路の推定値から、PUCCHとPUSCHの伝搬路の補償を行なう。また、多重分離部3055は、分離した上りリンク参照信号をチャネル測定部3059に出力する。
【0163】
復調部3053は、PUSCHを逆離散フーリエ変換(Inverse Discrete Fourier Transform: IDFT)し、変調シンボルを取得し、PUCCHとPUSCHの変調シンボルそれぞれに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK、16QAM、64QAM等の予め定められた、または自装置が移動局装置1各々に上りリンクグラントで予め通知した変調方式を用いて受信信号の復調を行なう。復調部3053は、制御部303から入力された制御信号に従って、PUSCHに含まれる上りリンクデータの変調シンボルと第一のACK/NACKの変調シンボルと第二のACK/NACKの変調シンボルを分離する。
【0164】
復調部3053は、移動局装置1各々に上りリンクグラントで予め通知した空間多重される系列の数と、この系列に対して行なうプリコーディングを指示する情報に基づいて、MIMOSMを用いることにより同一のPUSCHで送信された複数の上りリンクデータの変調シンボルを分離する。
【0165】
復号化部3051は、復調された上りリンク制御情報と上りリンクデータの符号化ビットを、予め定められた符号化方式の、予め定められた、または自装置が移動局装置1に上りリンクグラントで予め通知した符号化率で復号を行ない、復号した上りリンクデータと、上りリンク制御情報を上位層処理部301へ出力する。PUSCHが再送信の場合は、復号化部3051は、上位層処理部301から入力されるHARQバッファに保持している符号化ビットと、復調された符号化ビットを用いて復号を行なう。
【0166】
復号化部3051は、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの符号化ビットを別々に復号する。チャネル測定部3059は、多重分離部3055から入力された上りリンク参照信号から伝搬路の推定値、チャネルの品質などを測定し、多重分離部3055および上位層処理部301に出力する。
【0167】
送信部307は、制御部303から入力された制御信号に従って、下りリンク参照信号を生成し、上位層処理部301から入力されたHARQインディケータ、下りリンク制御情報、下りリンクデータを符号化、および変調し、PHICH、PDCCH、PDSCH、および下りリンク参照信号を多重して、送受信アンテナ309を介して移動局装置1に信号を送信する。
【0168】
符号化部3071は、上位層処理部301から入力されたHARQインディケータ、下りリンク制御情報、および下りリンクデータを、ブロック符号化、畳込み符号化、ターボ符号化等の予め定められた符号化方式を用いて符号化を行なう、または無線リソース制御部3011が決定した符号化方式を用いて符号化を行なう。変調部3073は、符号化部3071から入力された符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM等の予め定められた、または無線リソース制御部3011が決定した変調方式で変調する。
【0169】
下りリンク参照信号生成部3079は、基地局装置3を識別するための物理セル識別子(PCI)などを基に予め定められた規則で求まる、移動局装置1が既知の系列を下りリンク参照信号として生成する。多重部3075は、変調された各チャネルの変調シンボルと生成された下りリンク参照信号を多重する。
【0170】
無線送信部3077は、多重された変調シンボルなどを逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform: IFFT)して、OFDM方式の変調を行ない、OFDM変調されたOFDMシンボルにガードインターバルを付加し、ベースバンドのディジタル信号を生成し、ベースバンドのディジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号から中間周波数の同相成分および直交成分を生成し、中間周波数帯域に対する余分な周波数成分を除去し、中間周波数の信号を高周波数の信号に変換(アップコンバート: up convert)し、余分な周波数成分を除去し、電力増幅し、送受信アンテナ309に出力して送信する。
【0171】
このように、本発明によれば、複数のCCを用いて移動局装置1と基地局装置3が無線通信を行なう無線通信システムにおいて、移動局装置1は、DL PCC(第一の下りリンクコンポーネントキャリア)で受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一のACK/NACK(第一の応答情報)をともに符号化し、複数のDL SCC(第二の下りリンクコンポーネントキャリア)で受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二のACK/NACK(第二の応答情報)をともに符号化し、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKを同じPUSCH(上りリンクデータ送信用チャネル)で送信し、基地局装置3は、PUSCHを受信し、第一のACK/NACKと第二のACK/NACKの復号処理を別々に行なう。
【0172】
また、本発明によれば、移動局装置1は、DL PCCでのみPDSCHを受信した場合に、第一のACK/NACKのみ生成し、PUSCHで送信する。
【0173】
これにより、下りリンクデータが少ないときはDL PCCのPDSCHのみを用いて基地局装置3と移動局装置1が下りリンクの通信を行なうことで、移動局装置1はDL SCCのPDSCHに対する第二のACK/NACKをPUSCHで送信しなくなるため、PUSCHの無線リソースを効率的に上りリンクデータの送信のために用いることができる。
【0174】
また、下りリンクデータが多いときはDL PCCと複数のDL SCCを用いて複数のPDSCHを同時に用いて基地局装置3と移動局装置1が通信を行なう。このとき、複数のDL SCCに対する複数の第二のACK/NACKをともに符号化することで、複数の第二のACK/NACKを別々に符号化するよりも第二のACK/NACKの性能が向上する。
【0175】
また、基地局装置3がDL PCCと1つまたは複数のDL SCCを用いて複数のPDSCHを移動局装置1に送信したが、移動局装置1がDL PCCのみでしかPDSCHを受信しなかった場合に、移動局装置1はDL SCCのPDSCHを受信したときと同じ方法で第一のACK/NACKを符号化し、マッピング方法を適用するため、基地局装置3は第一のACK/NACKを正しく受信することができる。
【0176】
また、本実施形態は、以下のような態様を採ることも可能である。すなわち、本実施形態の無線通信システムは、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と基地局装置が無線通信を行なう無線通信システムであって、前記移動局装置は、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化し、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を同じ上りリンクデータ送信用チャネルで送信し、前記基地局装置は、前記上りリンクデータ送信用チャネルを受信し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の復号処理を別々に行なうことを特徴としている。
【0177】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記基地局装置が、移動局装置毎に1つの前記第一の下りリンクコンポーネントキャリアと複数の前記第二の下りリンクコンポーネントキャリアを設定することを特徴としている。
【0178】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる第一の応答情報の符号化ビット数と、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる第二の応答情報の符号化ビット数を別々に算出することを特徴としている。
【0179】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる応答情報のビット数を、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の符号化ビットの和が超えてしまった場合に、前記第一の応答情報の符号化ビットを優先的に前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することを特徴としている。
【0180】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる応答情報のビット数を、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の符号化ビットの和が超えてしまった場合に、前記第二の応答情報の符号化ビットを優先的に前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することを特徴としている。
【0181】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記基地局装置が、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる第一の応答情報の符号化ビット数を算出する際に前記移動局装置が用いる第一のオフセットの値と、前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することができる第二の応答情報の符号化ビット数を算出する際に前記移動局装置が用いる第二のオフセットの値を別々に設定することを特徴としている。
【0182】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を同一のSC−FDMAシンボルで送信することを特徴としている。
【0183】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、前記第一の下りリンクコンポーネントキャリアでのみ下りリンクデータを受信した場合は、前記第一の応答情報のみ前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することを特徴としている。
【0184】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、少なくとも1つの前記第二の下りリンクコンポーネントキャリアで下りリンクデータを受信した場合は、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を前記上りリンクデータ送信用チャネルで送信することを特徴としている。
【0185】
また、本実施形態は、上記の無線通信システムにおいて、前記移動局装置が、少なくとも1つの前記第二の下りリンクコンポーネントキャリアで下りリンクデータを受信したが、前記第一の下りリンクコンポーネントキャリアで下りリンクデータを受信しなかった場合は、前記第二の応答情報を予め定められた値にセットすることを特徴としている。
【0186】
また、本実施形態の移動局装置は、複数のコンポーネントキャリアを用いて基地局装置と無線通信を行なう移動局装置であって、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化し、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を同じ上りリンクデータ送信用チャネルで送信することを特徴としている。
【0187】
また、本実施形態の基地局装置は、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と無線通信を行なう基地局装置であって、前記移動局装置が、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化し、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を含めて送信した上りリンクデータ送信用チャネルを受信し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の復号処理を別々に行なうことを特徴としている。
【0188】
また、本実施形態の無線通信方法は、複数のコンポーネントキャリアを用いて基地局装置と無線通信を行なう移動局装置に用いられる無線通信方法であって、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化するステップと、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化するステップと、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を同じ上りリンクデータ送信用チャネルで送信するステップを有することを特徴としている。
【0189】
また、本実施形態の無線通信方法は、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と無線通信を行なう基地局装置に用いられる無線通信方法であって、前記移動局装置が、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化し、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を含めて送信した上りリンクデータ送信用チャネルを受信するステップと、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の復号処理を別々に行なうステップを有することを特徴としている。
【0190】
また、本実施形態の集積回路は、複数のコンポーネントキャリアを用いて基地局装置と無線通信を行なう移動局装置に用いられる集積回路であって、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化する機能と、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化する機能と、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を同じ上りリンクデータ送信用チャネルで送信する機能と、の一連の機能を、前記移動局装置に発揮させることを特徴としている。
【0191】
また、本実施形態の集積回路は、複数のコンポーネントキャリアを用いて移動局装置と無線通信を行なう基地局装置に用いられる集積回路であって、前記移動局装置が、第一の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した1つまたは複数の下りリンクデータの復号の成否を示す1つまたは複数の第一の応答情報をともに符号化し、複数の第二の下りリンクコンポーネントキャリアで受信した下りリンクデータの復号の成否を示す複数の第二の応答情報をともに符号化し、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報を含めて送信した上りリンクデータ送信用チャネルを受信する機能と、前記第一の応答情報と前記第二の応答情報の復号処理を別々に行なう機能と、の一連の機能を、前記移動局装置に発揮させることを特徴としている。
【0192】
本発明に関わる基地局装置3、および移動局装置1で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU(Central Processing Unit)等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)であっても良い。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAM(Random Access Memory)に蓄積され、その後、FlashROM(Read Only Memory)などの各種ROMやHDD(Hard Disk Drive)に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0193】
尚、上述した実施形態における移動局装置1、基地局装置3の一部、をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。
【0194】
尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、移動局装置1、または基地局装置3に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0195】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0196】
また、上述した実施形態における移動局装置1、基地局装置3の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよいし、チップセットとして実現してもよい。移動局装置1、基地局装置3の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0197】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0198】
1(1A、1B、1C) 移動局装置
3 基地局装置
101 上位層処理部
103 制御部
105 受信部
107 送信部
301 上位層処理部
303 制御部
305 受信部
307 送信部
1011 無線リソース制御部
1013 HARQ制御部
1015 ACK/NACK生成部
3011 無線リソース制御部
3013 HARQ制御部
3015 ACK/NACK検出部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9