【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、所定の基準により複数の前記ICチップに処理を分散させて、前記ICチップ相互間の負荷を分散させることを特徴とする請求項1に記載の制御コントローラ。
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、個々の前記ICチップの負荷を略均一化させるように、それぞれの前記ICチップに前記処理を分散させることを特徴とする請求項2に記載の制御コントローラ。
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、処理の内容毎に前記処理をそれぞれの前記ICチップに分散させることを特徴とする請求項2に記載の制御コントローラ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[発明の実施の形態1]
図1及び
図2にこの発明の実施の形態1を示す。
【0021】
この実施の形態1の
「制御コントローラ」としての通信システム1Aは、複数例えば三つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。ただし、チップの数は、複数であれば三つ以外のどのような数であってもよい。
【0022】
図1の(a)に示す通り、この実施の形態1の「機器」としてのチップA2
1、チップB2
2、チップC2
3は、ICチップである。具体的には、例えば、それぞれのチップA2
1、チップB2
2、チップC2
3は、パチンコ機等の遊技機や娯楽機器において画像処理や音声処理や役物の動作制御等に用いられる。
【0023】
より具体的には、このチップ2及び通信システム1Aは、例えば
図2に示すように、一の遊技機100の内部にn個(n>1)のチップA2
1、チップB2
2・・・チップn2
nが設置される態様で用いられる。それぞれのチップA2
1、チップB2
2・・・チップn2
nは、遊技機100の盤面に配設されたLCD等のディスプレイ101に表示される動画の表示制御や、遊技機100の本体に配設されたLED等の照明機器102の点灯制御、スピーカ103から発生される音声の出力制御、役物104を動作させるモータ105の動作制御等に用いられる。チップA2
1、チップB2
2・・・チップn2
nは、それぞれが、動画の表示制御、点灯制御、音声の出力制御等に特化したものであってもよいし、動画の表示と照明機器102の点灯等のように、複数の制御対象を一のチップ例えばチップ2
1が制御するものであってもよいし、複数のチップ例えばチップA2
1、チップB2
2が一の制御対象例えば動画の表示制御を行うものであってもよい。
【0024】
ただし、チップA2
1、チップB2
2、・・・チップn2
nは、遊技機や娯楽機器以外、例えば自動車や各種機械の電子制御や他のあらゆる用途に用いられるものであってもよいし、画像処理や音声処理以外、例えばモータの回転制御等、あらゆる処理に用いられるものであってもよい。また、ICチップ以外の電子機器や通信機器等であってもよい。
【0025】
図1の(a)に示す、チップA2
1、チップB2
2、チップC2
3は少なくとも1のCPU(図示せず)を備え、RAM、ROM、EEPROM(いずれも図示せず)等と共にチップ内部バス3
1,3
2,3
3に接続されている。チップ内部バス3
1,3
2,3
3は、チップA2
1、チップB2
2、チップC2
3内部のデバイスを接続し、データや信号の伝送路を形成する。
【0026】
チップA,B,C2
1,2
2,2
3は、「接続手段」としての接続部4
1,4
2,4
3を備える。接続部4
1,4
2,4
3は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3相互間を通信可能に接続するインターフェースである。接続部4
1,4
2,4
3同士は外部バス5によって接続される。外部バス5は、PCI Express等のバスであり、チップA,B,C2
1,2
2,2
3同士を通信可能に接続する。
【0027】
チップA,B,C2
1,2
2,2
3は、それぞれ、ROM(図示せず)等に各種のプログラムやデータが記憶されており、このプログラムやデータをCPU(図示せず)で演算・実行することにより、OS(Operating System)の機能を奏する。チップA,B,C2
1,2
2,2
3は、プログラムやデータの演算・実行で、チップA,B,C2
1,2
2,2
3固有のOSと、チップA,B,C2
1,2
2,2
3の共有OSとの機能を奏する。
【0028】
図1の(b)は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3とチップA,B,C2
1,2
2,2
3において演算・実行されるOSの機能を示す概念図である。同図に示す通り、チップA,B,C2
1,2
2,2
3のハードウェア上で(即ち演算・実行の結果として)、チップA,B,C2
1,2
2,2
3固有のOSである
「個別OS」としてのチップAのOS6
1、チップBのOS6
2、チップCのOS6
3の機能が実現される。チップAのOS6
1、チップBのOS6
2、チップCのOS6
3は、それぞれ同一であっても相違してもよい。チップAのOS6
1、チップBのOS6
2、チップCのOS6
3は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3上で個々に実行されるアプリケーションやソフトウェアに対するチップA,B,C2
1,2
2,2
3のハードウェア機能の提供や、チップA,B,C2
1,2
2,2
3の各種動作等を管理する。
【0029】
チップAのOS6
1、チップBのOS6
2、チップCのOS6
3上では、「共有態様管理手段」としての共有OS7の機能が実現される。この共有OS7は、外部バス5で接続され、かつ共有OS7の演算・実行が行われているチップA,B,C2
1,2
2,2
3において、アプリケーション等を共有するための仮想空間を形成する。
【0030】
具体的には、例えば、共有OS7は、演算・実行されたチップ例えば
図1の(a)の、外部バス5によって接続されたチップA,B,C2
1,2
2,2
3において、論理的に外部バス5を透過させる各種の処理(例えば外部バス5の物理ネットワーク上に、共有OS7が仮想ネットワークを構築する処理)を行わせて、チップ内部バス3
1,3
2,3
3に共通のアドレス空間を形成する。この共通のアドレス空間上において、上述の仮想空間が形成される。
【0031】
また、例えば、共有OS7は、外部バス5を介して、チップA,B,C2
1,2
2,2
3それぞれの処理内容を共有させる機能や、チップA,B,C2
1,2
2,2
3それぞれの処理の制御や処理結果の統合等を行う機能を有する。具体的には、共有OS7を共有する一のチップ例えばチップA2
1で、共有OS7上で実行されるアプリケーション(後述する共有アプリケーション8)による処理が行われた場合、処理されたデータの種類や、処理の順番等を示す信号やデータ(例えば処理するデータの種類を示す識別データや、処理の内容や処理の順序を示す識別データなど)を、他のチップ例えばチップB2
2、チップC2
3に送信し、共有OS7を共有するチップA,B,C2
1,2
2,2
3相互間で処理内容が共有される構成を備えることが考えられる。
【0032】
また例えば、共有OS7を共有する一のチップ例えばチップA2
1を処理全体を統括するセンターチップに設定し、このチップA2
1が、アプリケーションの実行の制御(例えば、他のチップ例えばチップB2
2、チップC2
3に対する処理内容の命令や、処理するデータの分割や、分割したデータの他のチップ例えばチップB2
2、チップC2
3への分配や、他のチップ例えばチップB2
2、チップC2
3で処理されたデータの結合等の処理)を行う構成を備えることが考えられる。
【0033】
なお、この仮想空間は、共有OS7の処理によらずに形成されてもよい。例えば、
図1の(b)におけるチップA,B,C2
1,2
2,2
3が、外部バス5で接続されたチップ、例えばチップA2
1におけるチップB2
2及びチップC2
3、にアクセス可能な専用インターフェースを設けているものであってもよい。
【0034】
そして、共有OS7は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3上で実行されるアプリケーションやソフトウェアに対するチップA,B,C2
1,2
2,2
3のハードウェア機能の提供や、チップA,B,C2
1,2
2,2
3の各種動作等を統合的に管理する。
【0035】
共有OS7が提供する仮想空間上においては、
図1の(b)に示すように、アプリケーションがチップA,B,C2
1,2
2,2
3に(論理的に)共有されて共有アプリケーション8となる。共有アプリケーション8は、共有OS7の形成する仮想空間において演算・実行され、機能が提供される。即ち、
図1の(b)において、共有アプリケーション8におけるプロセスやスレッドは、チップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれよって演算・実行され、共有アプリケーション8の機能はチップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれに提供する。ここで、共有アプリケーション8のプロセスやスレッドは共有OS7により管理され、演算・処理がチップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれに提供される。
【0036】
なお、共有OS7は、予め設定された手順に基づいて、共有アプリケーション8における処理をチップA,B,C2
1,2
2,2
3に行わせることで、チップA,B,C2
1,2
2,2
3相互間の負荷分散を行う。このように構成することで、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3の処理の横断的な統括や制御、及び、共有アプリケーション8の実行における処理の負荷分散や処理速度の向上を確実に実現することができる。具体的には、例えば、以下(手順A)〜(手順D)に示す手順が考えられる。
(手順A)共有OS7は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれの負荷を、所定の基準(例えばCPU使用率)に基づいて検出する。そして、共有OS7は、共有アプリケーション8におけるデータ処理は、それぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3において負荷が略均一化するようにチップA,B,C2
1,2
2,2
3に処理を振り分ける。このように構成することで、それぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3における負荷の偏在や、レイテンシの発生を確実に抑止できる。これにより、通信システム1A全体の処理性能の低下を確実に抑止できる。
(手順B)共有OS7は、共有アプリケーション8の処理を、所定の順番で循環状(ラウンドロビン)にチップA,B,C2
1,2
2,2
3に処理を振り分ける。このように構成することで、簡素な処理によって、それぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3における負荷の偏在やレイテンシの発生を抑止して、通信システム1A全体の処理性能の処理性能の低下を抑止できる。
(手順C)共有OS7は、処理の内容毎(例えばプロセス単位、スレッド単位)にそれぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3に処理を振り分ける。このように構成することで、それぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3に処理を振り分ける際の、処理対象であるデータ等の分割と統合を複雑な制御を介さずに行うことができる。これにより、簡素な処理によって、それぞれのチップA,B,C2
1,2
2,2
3における負荷の偏在やレイテンシの発生を抑止して、システム全体の処理性能の処理性能の低下を抑止できる。ただし、処理の内容によらない処理の振り分け(例えばタイムクォンタムにより分割したデータを振り分ける。データ量を基準に分割したデータを振り分ける。等)を行ってもよい。
(手順D)共有OS7は、共有アプリケーション8における処理負荷の大きさに依存して、処理に用いるチップA,B,C2
1,2
2,2
3の種類や数量を変化させる。例えば、処理負荷が予め設定した所定のしきい値よりも小さいときは一のチップ例えばチップA2
1のみにて共有アプリケーション8の処理を行わせ、処理負荷がしきい値よりも大きいときは複数のチップ例えばチップA,B,C2
1,2
2,2
3によって共有アプリケーション8の処理を行わせる、という態様の制御が考えられる。
なお、上記(手順A)〜(手順D)は、いずれかを単独で使用してもよいし複数併用してもよい。また、上記(手順A)〜(手順D)以外の手順を用いてもよい。
【0037】
従来は、チップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれでアプリケーションが演算・実行された場合、演算・処理されたチップ例えばチップA2
1のみに負荷がかかり、複数のチップ例えばチップA,B,C2
1,2
2,2
3相互間での負荷の偏在が生じていた。しかし、この実施の形態1においては、共有アプリケーション8は共有OS7によりチップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれに演算・実行が振り分けられるので、適宜負荷分散を行うことができ、個々のチップA,B,C2
1,2
2,2
3における偏在した負荷による負担を軽減することができる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0038】
また、この実施の形態1においては、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3において共有OS7を共有させることにより、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3による処理の横断的に統括や制御を、ハードウェア構成を新たに付加することなく実現できる。また、共有OS7上で実行させる共有アプリケーション8は、共有OS7が複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3上で稼働するので、結果として、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3上で稼働させることができることになる。そのため、共有アプリケーション8の実行において、負荷分散や処理速度の向上を、負荷分散のための特段のハードウェア構成を設けることなしに、簡素なハードウェア構成において確実に実現できる。
【0039】
また、この実施の形態1においては、共有OS7が、所定の基準に基づいて、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3の処理の横断的な統括や制御、及び、共有アプリケーション8の実行における処理の負荷分散や処理速度の向上を確実に実現することができる。 なお、この実施の形態1の通信システム1Aは、チップAのOS6
1、チップBのOS6
2、チップCのOS6
3の上で共有OS7が演算・実行されるもの以外の構成、例えば、チップA,B,C2
1,2
2,2
3のそれぞれをFPGA(Field Programmable Gate Array)等により、共有OS7が実行可能な動作環境や共有OS7の構成が形成されたものであってもよい。
【0040】
また、この実施の形態1の通信システム1Aにおいては、「共有態様管理手段」として、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3の負荷分散を図るための構成を、共有OS7のみにおいて実現したが、これに限定されることなく、この「共有態様管理手段」としての構成を、共有OS7と共に、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3を構成するハードウェア構成のうちの一部や全部を用いて実現したり、あるいは、複数のチップA,B,C2
1,2
2,2
3のうちの特定のチップ例えばチップA2
1上で実行される特定のアプリケーションを用いて実現する構成であってもよい。また、「共有態様管理手段」としての構成を、共有OS7と共有アプリケーション8とによって実現するものであってもよい。
【0041】
[発明の実施の形態の参考例1]
図3に、この発明の実施の形態の参考例1を示す。
【0042】
この実施の形態の参考例1の通信システム1Bは、実施の形態1と同様に、複数例えば三つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。ただし、チップの数は、複数であれば三つ以外のどのような数であってもよい。
【0043】
図3に示す通り、この実施の形態の参考例1の「機器」としてのチップA11
1、チップB11
2、チップC11
3は、実施の形態1のチップA2
1、チップB2
2、チップC2
3と同様のICチップである。
【0044】
チップA11
1、チップB11
2、チップC11
3の内部に設けられたチップ内部バス12
1,12
2,12
3には、各種デバイス(CPU、RAM、ROM、EEPROM等を含む)が接続されている。この実施の形態2では、便宜的に、それらを、チップA11
1に設けられたデバイスA13及びデバイスB14、チップB11
2に設けられたデバイスC15及びデバイスD16、チップC11
3に設けられたデバイスE17及びデバイスF18とする。
【0045】
チップA,B,C11
1,11
2,11
3には、実施の形態1の接続部4
1,4
2,4
3と同様の「接続手段」としての接続部19
1,19
2,19
3が設けられ、それらが実施の形態1の外部バス5と同様の外部バス20で接続されている。
【0046】
チップA11
1には、アドレス管理部21が設けられている。アドレス管理部21にはアドレステーブル22が設けられている。このアドレス管理部21の詳細は後述する。
【0047】
チップA,B,C11
1,11
2,11
3の内部に設けられたデバイスA13及びB14、デバイスC15及びD16、デバイスE17及びF18には、それぞれ内部アドレスであるアドレスa及びアドレスb、アドレスc及びアドレスd、アドレスe及びアドレスfが、それぞれ付与されている。これらはチップA,B,C11
1,11
2,11
3の内部アドレスであり、チップA,B,C11
1,11
2,11
3の内部のデバイスに相対的に付与される論理アドレスであり、チップA,B,C11
1,11
2,11
3の内部での信号やデータの送受信先を規定する。
【0048】
一方、チップA,B,C11
1,11
2,11
3には、外部アドレスであるアドレスX、アドレスY、アドレスZがそれぞれ付与されている。これらアドレスX、アドレスY、アドレスZは、チップA,B,C11
1,11
2,11
3自体に付与された固有の物理アドレスであり、外部バス20側から見たときの、チップA,B,C11
1,11
2,11
3の信号やデータの送受信先を規定する。
【0049】
そして、チップA11
1に設けられた「共有態様管理手段」としてのアドレス管理部21には、これらのデバイスA,B,C,D,E,Fに付与された内部アドレスであるアドレスa,b,c,d,e,f、及び、デバイスA,B,C,D,E,Fを含むチップA,B,C11
1,11
2,11
3のアドレスであるアドレスX,Y,Zが、それぞれ対応付けられたアドレステーブル22が記録されている。
【0050】
この実施の形態の参考例1は、実施の形態1で示したような構成に基づいて、複数のチップ例えば
図2におけるチップA,B,C11
1,11
2,11
3の間に、透過的なアドレス空間が形成された環境で実現される。
【0051】
このような環境下において、一のデバイス例えばデバイスA13が他のデバイス例えばデバイスC15にアクセスする場合、まず、チップA11
1のアドレス管理部21にアクセスし、アドレステーブル22を検索する。その結果、アドレステーブルの3行目23に、デバイスC15の内部アドレスがアドレスc、外部アドレスがアドレスYであることが確認できるので、デバイスA13は、この情報に基づいて、外部アドレスであるアドレスYのチップB11
2にアクセスし、さらにチップB11
2内の内部アドレスであるアドレスcのデバイスC15にアクセスする。これにより、デバイスA13は所望のデバイスC15にアクセスできる。同様に、それぞれのデバイスが他のデバイスにアクセスする場合も、まずチップA11
1のアドレス管理部21にアクセスしてアドレステーブル22を検索し、確認された外部アドレスと内部アドレスとによって、所望のデバイスにアクセスを行う。
【0052】
従来、複数のチップ例えばチップA,B,C11
1,11
2,11
3において、それぞれの内部に設けられたデバイス例えばデバイスA。B,C,D,E,Fに自在にアクセスすることは難しかった。しかし、この実施の形態の参考例1の通信システム1Bにおいては、チップA11
1のアドレス管理部21にアドレステーブル22を備え、全てのデバイスはこのアドレステーブル22を確認することでアクセスに必要な内部アドレスと外部アドレスの組み合わせの情報を得ることができるので、他のチップ例えばチップA11
1に対するチップB11
2やチップC11
3に所望のデバイスが存在する場合であっても、自在に所望のデバイスにアクセスすることが可能になる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0053】
なお、この実施の形態の参考例1において、チップA11
1のみならず、他のチップ例えば
図3における全てのチップA,B,C11
1,11
2,11
3にアドレステーブル22を備えた構成とすることもできる。
【0054】
[発明の実施の形態の参考例2]
図4に、この発明の実施の形態の参考例2を示す。
【0055】
この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、複数例えば二つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。但しチップの個数は複数であれば三つ以上であってもよい。
【0056】
この実施の形態の参考例2における、二つの「機器」としてのチップA31
1及びチップB31
1は、実施の形態1のチップA2
1、チップB2
2と同様のICチップである。ただし、この実施の形態の参考例2においては、チップA31
2がマスタ、チップA31
1がスレーブとしての、マスタ・スレーブ関係が形成されている。
【0057】
チップA31
1、チップB31
2の内部には、「共有態様管理手段」としてのチップ内部バス32、及びチップ内部バス33が設けられている。チップ内部バス32,33には、各種デバイス(CPU、RAM、ROM、EEPROM等を含む)が接続されているが、この実施の形態の参考例2ではそれらの記載は省略する。
【0058】
この実施の形態の参考例2において、チップ31
2のチップ内部バス32は、例えばAXI(Advanced eXtensible Interface)仕様に構成されており、経路制御等、チップ内部バス32自体やチップ内部バス32を伝送される信号やデータの経路や送受信先などを制御する各種機能機能が設けられている。
【0059】
チップA,B31
1,31
2には、実施の形態1の接続部4
1,4
2と同様の「接続手段」としての接続部34
1,34
2が設けられ、それらが外部バス35で接続されている。
【0060】
ここで、
図4に示すように、マスタであるチップB31
2にデバイスC36が設けられ、スレーブであるチップA31
1にデバイスA37とデバイスB38とが設けられた構成が設けられた状況を考える。そしてさらに、この状況で、チップB31
2のデバイスC36が、チップA31
1のデバイスA37のデータをデバイスB38に転送する要求を出した場合を考える。
【0061】
この場合、マスタ側のチップB31
2に要求を出したデバイスC36が存在し、スレーブ側のチップA31
1にデータの転送元であるデバイスA37と、データの転送先であるデバイスB38とが存在する。このような構成あって、かつ、従来のマスタ・スレーブ関係によって構成されていた場合には、以下(従来手順1)〜(従来手順3)により、データが転送されることになる。
(従来手順1)まず、デバイスA36のデータが、デバイスA36に対して、データの転送要求の信号を送る。信号を受領したデバイス36は、要求のあったデータをチップ内部バス32に送出する。
(従来手順2)デバイスA36から送出されたデータは、チップ内部バス32、外部バス35、チップ内部バス33を介して、命令信号の送出元であるデバイスC36に転送される。
(従来手順3)次に、デバイスC36に転送されたデータが、デバイスC36から、チップ内部バス33、外部バス35、チップ内部バス32を介して、デバイスB32に転送される。
【0062】
一方、この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、以下(手順1)〜(手順3)により、データが転送される。
(手順1)まず、デバイスA36のデータが、デバイスA36に対して、データの転送要求の信号を送る(
図4の(1)の矢印参照)。信号を受領したデバイス36は、要求のあったデータをチップ内部バス32に送出する。
(手順2)チップ内部バス32は、(手順1)においてデバイスA36から送信されたデータの転送要求の信号において、データの転送先に指定されているのがデバイスB38であることを検出する。また、チップ内部バス32は、デバイスA37もデバイスB38も、同じチップA31
1の、チップ内部バス32に接続されたデバイスとして存在することを検出する。
(手順3)チップ内部バス32は、(手順2)の検出結果に基づき、(手順1)でデバイスA37から送出されたデータを、デバイスB38に対して直接送信する(
図4の(2)の矢印参照)。
【0063】
従来は、マスタ側のチップB31
2のデバイスC36の命令により、スレーブ側のチップA31
1のデバイスA37、デバイスB38相互間でデータの転送を行うような場合において、デバイスA37〜デバイスC36〜デバイスB38というデータ転送が必要であった。そのため、チップA31
1からチップB31
2へのデータの転送というトランザクションと、チップA31
2からチップB31
1へのデータの転送というトランザクションとが発生し、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう問題があった。例えば、特開2006−109055号公報に記載されたマスタ・スレーブ構成の処理を適用しても、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう問題を解決することはできない。
【0064】
しかし、この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、マスタ側のチップB31
2のデバイスC36の命令により、スレーブ側のチップA31
1のデバイスA37からデバイスB38へと、直接データの転送が行われる。そのため、チップA31
1からチップB31
2へのデータの転送というトランザクションと、チップA31
2からチップB31
1へのデータの転送というトランザクションとが発生せず、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう事態を抑止することができる。また、チップA31
1及びチップB31
2相互間のデータや信号の通信量を減少させることができる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1、及び実施の形態の参考例1、2は、それぞれを組み合わせた構成とすることもできる。即ち実施の形態1、及び実施の形態の参考例1、2のうち少なくとも何れか一つの構成をそれぞれ組み合わせた構成とすることもできる。これにより、各実施の形態の効果をあわせて奏させることもできる。
【0066】
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。