特許第5816994号(P5816994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5816994制御コントローラ、制御コントローラにおける制御コントロール方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5816994
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】制御コントローラ、制御コントローラにおける制御コントロール方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20151029BHJP
   G06F 9/46 20060101ALI20151029BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   G06F9/46 465C
   G06F9/46 465D
   G06F9/46 350
   A63F7/02
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-71891(P2014-71891)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2014-211868(P2014-211868A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】特願2013-76258(P2013-76258)
(32)【優先日】2013年4月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 英智
【審査官】 三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−229004(JP,A)
【文献】 特開2010−113488(JP,A)
【文献】 特開2011−161150(JP,A)
【文献】 清水 正明 他,「クラスタ環境におけるシングルシステム機能の実現」,先進的計算基盤システムシンポジウム SACSIS2006 論文集,日本,社団法人情報処理学会,2006年 5月22日,第2006巻
【文献】 アンドリュー・S・タネンバウム 他,分散システム 原理とパラダイム,日本,株式会社ピアソン・エデュケーション,2003年10月20日,第1版,2頁〜4頁
【文献】 宇野沢 庸弘 他,システム構築のためのネットワーク機器ハンドブック,日本,株式会社技術評論社,1996年 8月25日,第1版,20頁
【文献】 Allan Reid,WAN テクノロジー CCNA4 教科書ガイド,日本,株式会社翔泳社,2008年 2月12日,第1版,224頁〜225頁
【文献】 緒方 正暢,最新RISC CPU事情2,インターフェース,日本,CQ出版株式会社,1995年11月 1日,第21巻 第11号
【文献】 本橋 剛 他,「マルチコアCPU環境におけるL2キャッシュの影響を考慮したVMスケジューラ」,情報処理学会研究報告 2009 October,日本,社団法人情報処理学会,2009年10月15日,平成21年度3[CD−ROM],1頁〜9頁
【文献】 香取 巻男,すぐわかる!組込み技術教科書,日本,CQ出版株式会社,2008年 5月 1日,68頁〜69頁
【文献】 WindowsNTとソリューション・プロバイダー,日経情報ストラテジー,日本,日経BP社,1994年 6月 6日, 第27号,115頁〜124頁
【文献】 渥美 暢 他,Windows NTとネットワーク機能,FUJITSU,日本,富士通株式会社,1995年 3月10日,第46巻 第2号,258頁〜264頁
【文献】 江口 和俊 他,高度産業用コンピュータVL2000シリーズ,東芝レビュー,日本,株式会社東芝,1993年 6月 1日,第48巻 第6号,428頁〜431頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
A63F 7/02
G06F 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のICチップのそれぞれが、遊技機における動画表示、音声出力、点灯制御のうちの少なくとも何れかである複数の特定の制御を分担して、前記遊技機において用いられるアプリケーションを動作させる制御コントローラであって、
前記ICチップ相互間を通信可能に接続する接続手段と、
該接続手段により前記ICチップが接続された状況において、
それぞれの前記ICチップに個別に設けられた個別OSに基づいてそれぞれの前記ICチップごとに個別に稼働して、それぞれの前記ICチップにおける処理の最適化を図るための個別処理最適化手段と、
複数の前記ICチップに共有され、すべての前記個別処理最適化手段にまたがって稼働する共有OSに基づいて稼働する、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスに関する所定の情報を共有させる処理、及び/又は、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスにおける負荷を分散させる処理、及び/又は、前記ICチップ相互間で転送されるデータ又は信号の通信量を減少させる処理のうち少なくとも何れか一つを行うことにより、前記複数の前記ICチップにまたがってアプリケーションを実行するための仮想空間を形成する一の共有態様管理手段を備え、
該共有態様管理手段において実行される前記アプリケーションとしての共有アプリケーションは、それぞれの前記個別処理最適化手段を介してそれぞれの前記ICチップによって処理が共有されて、それぞれの前記ICチップの共同によって機能が実現されることを特徴とする制御コントローラ。
【請求項2】
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、所定の基準により複数の前記ICチップに処理を分散させて、前記ICチップ相互間の負荷を分散させることを特徴とする請求項1に記載の制御コントローラ。
【請求項3】
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、個々の前記ICチップの負荷を略均一化させるように、それぞれの前記ICチップに前記処理を分散させることを特徴とする請求項2に記載の制御コントローラ。
【請求項4】
前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、処理の内容毎に前記処理をそれぞれの前記ICチップに分散させることを特徴とする請求項2に記載の制御コントローラ。
【請求項5】
複数のICチップのそれぞれが、遊技機における動画表示、音声出力、点灯制御のうちの少なくとも何れかである複数の特定の制御を分担して、前記遊技機において用いられるアプリケーションを動作させる制御コントローラにおける制御コントロール方法であって、
前記ICチップ相互間を通信可能に接続する接続手順と、
該接続手順により前記ICチップが接続された状況において、
それぞれの前記ICチップに個別に設けられた個別OSに基づいてそれぞれの前記ICチップごとに個別に稼働して、それぞれの前記ICチップにおける処理の最適化を図るための個別処理最適化手順と、
複数の前記ICチップに共有され、すべての前記個別処理最適化手順にまたがって稼働する共有OSに基づいて稼働される、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスに関する所定の情報を共有させる処理、及び/又は、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスにおける負荷を分散させる処理、及び/又は、前記ICチップ相互間で転送されるデータ又は信号の通信量を減少させる処理のうち少なくとも何れか一つを行うことにより、前記複数の前記ICチップにまたがってアプリケーションを実行するための仮想空間を形成する一の共有態様管理手順を備え、
該共有態様管理手順において実行される前記アプリケーションとしての共有アプリケーションは、それぞれの前記個別処理最適化手順を介してそれぞれの前記ICチップによって処理が共有されて、それぞれの前記ICチップの共同によって機能が実現されることを特徴とする制御コントローラにおける制御コントロール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップや各種デバイスや各種ノード等におけるコネクティビティを確保する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像や音声の処理、機械の動作制御、通信等の多様な分野において、各種処理を行わせるためには、ICチップ等の集積回路を始め、各種のデバイスやノードが用いられる。従来は、複数のチップをバスや各種インターフェースを介して接続する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、接続したチップ相互間で相互に情報を交信し、メモリ資源をチップ相互間で利用可能にする、接続されたチップ相互間のコネクティビティを確保する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、従来、ひとつのシステム内に複数のCPUを備え、それぞれのCPU上でOSを稼働させ、それぞれのOSとアプリケーションの間にミドルウェアを稼働させる構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6910092号明細書
【非特許文献1】C2CTM Chip to Chip LinkTM Inter−Chip Connectivity IP (URL:http://www.arteris.com/c2c_chip−to−chip_for_DRAM_memory_sharing)
【特許文献2】特開2003−271404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や非特許文献1、さらに上記特許文献2においては、複数のチップの処理を統括して制御するための構成が存在しないため、チップ等同士を接続させた後に、チップ同士の状態や接続状態の変化や処理状態の変化に対して、負荷の偏在やレイテンシ等を調整し改善を図ることが難しいという問題がある。また、上記特許文献1や非特許文献1、さらに上記特許文献2はチップ相互間の接続以外の接続態様に適用することは難しいという問題がある。そして、上記特許文献1や非特許文献1、さらに上記特許文献2においては、チップ等の各種デバイスを複数備えたシステムにおいて処理が行われた場合、特定のチップ等の各種デバイスに負荷が偏在してしまい、システムとしてのレイテンシが増大したり処理性能が低下が生ずるような事態を十分に抑止できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、チップ相互間、チップ内のデバイス相互間、チップ以外の各種デバイス相互間、各種ノード相互間等において、相互に接続された複数の構成要件において、特定の各種デバイスに負荷の偏在が生じることでレイテンシの増大や処理性能の低下が生ずる事態を抑止し、コネクティビティの維持と向上を図ることができる通信システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数のICチップのそれぞれが、遊技機における動画表示、音声出力、点灯制御のうちの少なくとも何れかである複数の特定の制御を分担して、前記遊技機において用いられるアプリケーションを動作させる制御コントローラであって、前記ICチップ相互間を通信可能に接続する接続手段と、該接続手段により前記ICチップが接続された状況において、それぞれの前記ICチップに個別に設けられた個別OSに基づいてそれぞれの前記ICチップごとに個別に稼働して、それぞれの前記ICチップにおける処理の最適化を図るための個別処理最適化手段と、複数の前記ICチップに共有され、すべての前記個別処理最適化手段にまたがって稼働する共有OSに基づいて稼働する、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスに関する所定の情報を共有させる処理、及び/又は、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスにおける負荷を分散させる処理、及び/又は、前記ICチップ相互間で転送されるデータ又は信号の通信量を減少させる処理のうち少なくとも何れか一つを行うことにより、前記複数の前記ICチップにまたがってアプリケーションを実行するための仮想空間を形成する一の共有態様管理手段を備え、該共有態様管理手段において実行される前記アプリケーションとしての共有アプリケーションは、それぞれの前記個別処理最適化手段を介してそれぞれの前記ICチップによって処理が共有されて、それぞれの前記ICチップの共同によって機能が実現されることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、所定の基準により複数の前記ICチップに処理を分散させて、前記ICチップ相互間の負荷を分散させることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、個々の前記ICチップの負荷を略均一化させるように、それぞれの前記ICチップに前記処理を分散させることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記共有態様管理手段は、前記共有アプリケーションの実行において、処理の内容毎に前記処理をそれぞれの前記ICチップに分散させることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、複数のICチップのそれぞれが、遊技機における動画表示、音声出力、点灯制御のうちの少なくとも何れかである複数の特定の制御を分担して、前記遊技機において用いられるアプリケーションを動作させる制御コントローラにおける制御コントロール方法であって、前記ICチップ相互間を通信可能に接続する接続手順と、該接続手順により前記ICチップが接続された状況において、それぞれの前記ICチップに個別に設けられた個別OSに基づいてそれぞれの前記ICチップごとに個別に稼働して、それぞれの前記ICチップにおける処理の最適化を図るための個別処理最適化手順と、複数の前記ICチップに共有され、すべての前記個別処理最適化手順にまたがって稼働する共有OSに基づいて稼働される、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスに関する所定の情報を共有させる処理、及び/又は、前記ICチップ及び前記ICチップを構成するデバイスにおける負荷を分散させる処理、及び/又は、前記ICチップ相互間で転送されるデータ又は信号の通信量を減少させる処理のうち少なくとも何れか一つを行うことにより、前記複数の前記ICチップにまたがってアプリケーションを実行するための仮想空間を形成する一の共有態様管理手順を備え、該共有態様管理手順において実行される前記アプリケーションとしての共有アプリケーションは、それぞれの前記個別処理最適化手順を介してそれぞれの前記ICチップによって処理が共有されて、それぞれの前記ICチップの共同によって機能が実現されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、請求項に記載の発明によれば、遊技機に用いられる、多種多様な制御の同時並行処理を行う複数のICチップ相互間を通信可能に接続すると共に、ICチップが接続された状況において、ICチップ及びICチップを構成するデバイスに関する所定の情報を共有させる処理、及び/又は、ICチップ及びICチップを構成するデバイスにおける負荷を分散させる処理、及び/又は、ICチップ相互間で転送されるデータ又は信号の通信量を減少させる処理のうち少なくとも何れか一つを行うことにより、接続されたICチップ同士を透過的に使用することや、ICチップやICチップを構成するデバイスにおける負荷分散や処理速度の向上を容易に図ることができる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0014】
請求項1、請求項に記載の発明によれば、遊技機に用いられる、多種多様な制御の同時並行処理を行う複数のICチップにおいて共有OSを共有させることにより、複数のICチップによる処理の横断的に統括や制御を、ハードウェア構成を新たに付加することなく実現できる。また、共有OS上で実行させる共有アプリケーションは、複数のICチップ上で稼働させることができるので、アプリケーションの実行において、負荷分散や処理速度の向上を、簡素なハードウェア構成において確実に実現できる。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、共有OSが、所定の基準に基づいて、複数のICチップの処理の横断的な統括や制御、及び、アプリケーションの実行における処理の負荷分散や処理速度の向上を確実に実現することができる。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、それぞれのICチップの処理を略均一化することにより、負荷の偏在やレイテンシの発生を確実に抑止できる。これにより、システム全体の処理性能の低下を確実に抑止できる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、処理の内容毎にそれぞれのICチップに処理を分散させることにより、それぞれのICチップに処理を振り分ける際の、処理の対象となるデータ等の分割と統合を複雑な制御を介さずに行うことができる。これにより、簡素な処理によって負荷の偏在やレイテンシの発生を抑止して、システム全体の処理性能の処理性能の低下を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態1に係る通信システムの(a)全体構成を示す図、(b)チップA,B,CとそれぞれのOSやアプリケーションとの関係を示す概念図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る通信システムが用いられる遊技機の概念図である。
図3】この発明の実施の形態の参考例1に係る通信システムの全体構成を示す図である。
図4】この発明の実施の形態の参考例2に係る通信システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[発明の実施の形態1]
図1及び図2にこの発明の実施の形態1を示す。
【0021】
この実施の形態1の「制御コントローラ」としての通信システム1Aは、複数例えば三つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。ただし、チップの数は、複数であれば三つ以外のどのような数であってもよい。
【0022】
図1の(a)に示す通り、この実施の形態1の「機器」としてのチップA2、チップB2、チップC2は、ICチップである。具体的には、例えば、それぞれのチップA2、チップB2、チップC2は、パチンコ機等の遊技機や娯楽機器において画像処理や音声処理や役物の動作制御等に用いられる。
【0023】
より具体的には、このチップ2及び通信システム1Aは、例えば図2に示すように、一の遊技機100の内部にn個(n>1)のチップA2、チップB2・・・チップn2が設置される態様で用いられる。それぞれのチップA2、チップB2・・・チップn2は、遊技機100の盤面に配設されたLCD等のディスプレイ101に表示される動画の表示制御や、遊技機100の本体に配設されたLED等の照明機器102の点灯制御、スピーカ103から発生される音声の出力制御、役物104を動作させるモータ105の動作制御等に用いられる。チップA2、チップB2・・・チップn2は、それぞれが、動画の表示制御、点灯制御、音声の出力制御等に特化したものであってもよいし、動画の表示と照明機器102の点灯等のように、複数の制御対象を一のチップ例えばチップ2が制御するものであってもよいし、複数のチップ例えばチップA2、チップB2が一の制御対象例えば動画の表示制御を行うものであってもよい。
【0024】
ただし、チップA2、チップB2、・・・チップn2は、遊技機や娯楽機器以外、例えば自動車や各種機械の電子制御や他のあらゆる用途に用いられるものであってもよいし、画像処理や音声処理以外、例えばモータの回転制御等、あらゆる処理に用いられるものであってもよい。また、ICチップ以外の電子機器や通信機器等であってもよい。
【0025】
図1の(a)に示す、チップA2、チップB2、チップC2は少なくとも1のCPU(図示せず)を備え、RAM、ROM、EEPROM(いずれも図示せず)等と共にチップ内部バス3,3,3に接続されている。チップ内部バス3,3,3は、チップA2、チップB2、チップC2内部のデバイスを接続し、データや信号の伝送路を形成する。
【0026】
チップA,B,C2,2,2は、「接続手段」としての接続部4,4,4を備える。接続部4,4,4は、チップA,B,C2,2,2相互間を通信可能に接続するインターフェースである。接続部4,4,4同士は外部バス5によって接続される。外部バス5は、PCI Express等のバスであり、チップA,B,C2,2,2同士を通信可能に接続する。
【0027】
チップA,B,C2,2,2は、それぞれ、ROM(図示せず)等に各種のプログラムやデータが記憶されており、このプログラムやデータをCPU(図示せず)で演算・実行することにより、OS(Operating System)の機能を奏する。チップA,B,C2,2,2は、プログラムやデータの演算・実行で、チップA,B,C2,2,2固有のOSと、チップA,B,C2,2,2の共有OSとの機能を奏する。
【0028】
図1の(b)は、チップA,B,C2,2,2とチップA,B,C2,2,2において演算・実行されるOSの機能を示す概念図である。同図に示す通り、チップA,B,C2,2,2のハードウェア上で(即ち演算・実行の結果として)、チップA,B,C2,2,2固有のOSである「個別OS」としてのチップAのOS6、チップBのOS6、チップCのOS6の機能が実現される。チップAのOS6、チップBのOS6、チップCのOS6は、それぞれ同一であっても相違してもよい。チップAのOS6、チップBのOS6、チップCのOS6は、チップA,B,C2,2,2上で個々に実行されるアプリケーションやソフトウェアに対するチップA,B,C2,2,2のハードウェア機能の提供や、チップA,B,C2,2,2の各種動作等を管理する。
【0029】
チップAのOS6、チップBのOS6、チップCのOS6上では、「共有態様管理手段」としての共有OS7の機能が実現される。この共有OS7は、外部バス5で接続され、かつ共有OS7の演算・実行が行われているチップA,B,C2,2,2において、アプリケーション等を共有するための仮想空間を形成する。
【0030】
具体的には、例えば、共有OS7は、演算・実行されたチップ例えば図1の(a)の、外部バス5によって接続されたチップA,B,C2,2,2において、論理的に外部バス5を透過させる各種の処理(例えば外部バス5の物理ネットワーク上に、共有OS7が仮想ネットワークを構築する処理)を行わせて、チップ内部バス3,3,3に共通のアドレス空間を形成する。この共通のアドレス空間上において、上述の仮想空間が形成される。
【0031】
また、例えば、共有OS7は、外部バス5を介して、チップA,B,C2,2,2それぞれの処理内容を共有させる機能や、チップA,B,C2,2,2それぞれの処理の制御や処理結果の統合等を行う機能を有する。具体的には、共有OS7を共有する一のチップ例えばチップA2で、共有OS7上で実行されるアプリケーション(後述する共有アプリケーション8)による処理が行われた場合、処理されたデータの種類や、処理の順番等を示す信号やデータ(例えば処理するデータの種類を示す識別データや、処理の内容や処理の順序を示す識別データなど)を、他のチップ例えばチップB2、チップC2に送信し、共有OS7を共有するチップA,B,C2,2,2相互間で処理内容が共有される構成を備えることが考えられる。
【0032】
また例えば、共有OS7を共有する一のチップ例えばチップA2を処理全体を統括するセンターチップに設定し、このチップA2が、アプリケーションの実行の制御(例えば、他のチップ例えばチップB2、チップC2に対する処理内容の命令や、処理するデータの分割や、分割したデータの他のチップ例えばチップB2、チップC2への分配や、他のチップ例えばチップB2、チップC2で処理されたデータの結合等の処理)を行う構成を備えることが考えられる。
【0033】
なお、この仮想空間は、共有OS7の処理によらずに形成されてもよい。例えば、図1の(b)におけるチップA,B,C2,2,2が、外部バス5で接続されたチップ、例えばチップA2におけるチップB2及びチップC2、にアクセス可能な専用インターフェースを設けているものであってもよい。
【0034】
そして、共有OS7は、チップA,B,C2,2,2上で実行されるアプリケーションやソフトウェアに対するチップA,B,C2,2,2のハードウェア機能の提供や、チップA,B,C2,2,2の各種動作等を統合的に管理する。
【0035】
共有OS7が提供する仮想空間上においては、図1の(b)に示すように、アプリケーションがチップA,B,C2,2,2に(論理的に)共有されて共有アプリケーション8となる。共有アプリケーション8は、共有OS7の形成する仮想空間において演算・実行され、機能が提供される。即ち、図1の(b)において、共有アプリケーション8におけるプロセスやスレッドは、チップA,B,C2,2,2のそれぞれよって演算・実行され、共有アプリケーション8の機能はチップA,B,C2,2,2のそれぞれに提供する。ここで、共有アプリケーション8のプロセスやスレッドは共有OS7により管理され、演算・処理がチップA,B,C2,2,2のそれぞれに提供される。
【0036】
なお、共有OS7は、予め設定された手順に基づいて、共有アプリケーション8における処理をチップA,B,C2,2,2に行わせることで、チップA,B,C2,2,2相互間の負荷分散を行う。このように構成することで、複数のチップA,B,C2,2,2の処理の横断的な統括や制御、及び、共有アプリケーション8の実行における処理の負荷分散や処理速度の向上を確実に実現することができる。具体的には、例えば、以下(手順A)〜(手順D)に示す手順が考えられる。
(手順A)共有OS7は、チップA,B,C2,2,2のそれぞれの負荷を、所定の基準(例えばCPU使用率)に基づいて検出する。そして、共有OS7は、共有アプリケーション8におけるデータ処理は、それぞれのチップA,B,C2,2,2において負荷が略均一化するようにチップA,B,C2,2,2に処理を振り分ける。このように構成することで、それぞれのチップA,B,C2,2,2における負荷の偏在や、レイテンシの発生を確実に抑止できる。これにより、通信システム1A全体の処理性能の低下を確実に抑止できる。
(手順B)共有OS7は、共有アプリケーション8の処理を、所定の順番で循環状(ラウンドロビン)にチップA,B,C2,2,2に処理を振り分ける。このように構成することで、簡素な処理によって、それぞれのチップA,B,C2,2,2における負荷の偏在やレイテンシの発生を抑止して、通信システム1A全体の処理性能の処理性能の低下を抑止できる。
(手順C)共有OS7は、処理の内容毎(例えばプロセス単位、スレッド単位)にそれぞれのチップA,B,C2,2,2に処理を振り分ける。このように構成することで、それぞれのチップA,B,C2,2,2に処理を振り分ける際の、処理対象であるデータ等の分割と統合を複雑な制御を介さずに行うことができる。これにより、簡素な処理によって、それぞれのチップA,B,C2,2,2における負荷の偏在やレイテンシの発生を抑止して、システム全体の処理性能の処理性能の低下を抑止できる。ただし、処理の内容によらない処理の振り分け(例えばタイムクォンタムにより分割したデータを振り分ける。データ量を基準に分割したデータを振り分ける。等)を行ってもよい。
(手順D)共有OS7は、共有アプリケーション8における処理負荷の大きさに依存して、処理に用いるチップA,B,C2,2,2の種類や数量を変化させる。例えば、処理負荷が予め設定した所定のしきい値よりも小さいときは一のチップ例えばチップA2のみにて共有アプリケーション8の処理を行わせ、処理負荷がしきい値よりも大きいときは複数のチップ例えばチップA,B,C2,2,2によって共有アプリケーション8の処理を行わせる、という態様の制御が考えられる。
なお、上記(手順A)〜(手順D)は、いずれかを単独で使用してもよいし複数併用してもよい。また、上記(手順A)〜(手順D)以外の手順を用いてもよい。
【0037】
従来は、チップA,B,C2,2,2のそれぞれでアプリケーションが演算・実行された場合、演算・処理されたチップ例えばチップA2のみに負荷がかかり、複数のチップ例えばチップA,B,C2,2,2相互間での負荷の偏在が生じていた。しかし、この実施の形態1においては、共有アプリケーション8は共有OS7によりチップA,B,C2,2,2のそれぞれに演算・実行が振り分けられるので、適宜負荷分散を行うことができ、個々のチップA,B,C2,2,2における偏在した負荷による負担を軽減することができる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0038】
また、この実施の形態1においては、複数のチップA,B,C2,2,2において共有OS7を共有させることにより、複数のチップA,B,C2,2,2による処理の横断的に統括や制御を、ハードウェア構成を新たに付加することなく実現できる。また、共有OS7上で実行させる共有アプリケーション8は、共有OS7が複数のチップA,B,C2,2,2上で稼働するので、結果として、複数のチップA,B,C2,2,2上で稼働させることができることになる。そのため、共有アプリケーション8の実行において、負荷分散や処理速度の向上を、負荷分散のための特段のハードウェア構成を設けることなしに、簡素なハードウェア構成において確実に実現できる。
【0039】
また、この実施の形態1においては、共有OS7が、所定の基準に基づいて、複数のチップA,B,C2,2,2の処理の横断的な統括や制御、及び、共有アプリケーション8の実行における処理の負荷分散や処理速度の向上を確実に実現することができる。 なお、この実施の形態1の通信システム1Aは、チップAのOS6、チップBのOS6、チップCのOS6の上で共有OS7が演算・実行されるもの以外の構成、例えば、チップA,B,C2,2,2のそれぞれをFPGA(Field Programmable Gate Array)等により、共有OS7が実行可能な動作環境や共有OS7の構成が形成されたものであってもよい。
【0040】
また、この実施の形態1の通信システム1Aにおいては、「共有態様管理手段」として、複数のチップA,B,C2,2,2の負荷分散を図るための構成を、共有OS7のみにおいて実現したが、これに限定されることなく、この「共有態様管理手段」としての構成を、共有OS7と共に、複数のチップA,B,C2,2,2を構成するハードウェア構成のうちの一部や全部を用いて実現したり、あるいは、複数のチップA,B,C2,2,2のうちの特定のチップ例えばチップA2上で実行される特定のアプリケーションを用いて実現する構成であってもよい。また、「共有態様管理手段」としての構成を、共有OS7と共有アプリケーション8とによって実現するものであってもよい。
【0041】
[発明の実施の形態の参考例1]
図3に、この発明の実施の形態の参考例1を示す。
【0042】
この実施の形態の参考例1の通信システム1Bは、実施の形態1と同様に、複数例えば三つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。ただし、チップの数は、複数であれば三つ以外のどのような数であってもよい。
【0043】
図3に示す通り、この実施の形態の参考例1の「機器」としてのチップA11、チップB11、チップC11は、実施の形態1のチップA2、チップB2、チップC2と同様のICチップである。
【0044】
チップA11、チップB11、チップC11の内部に設けられたチップ内部バス12,12,12には、各種デバイス(CPU、RAM、ROM、EEPROM等を含む)が接続されている。この実施の形態2では、便宜的に、それらを、チップA11に設けられたデバイスA13及びデバイスB14、チップB11に設けられたデバイスC15及びデバイスD16、チップC11に設けられたデバイスE17及びデバイスF18とする。
【0045】
チップA,B,C11,11,11には、実施の形態1の接続部4,4,4と同様の「接続手段」としての接続部19,19,19が設けられ、それらが実施の形態1の外部バス5と同様の外部バス20で接続されている。
【0046】
チップA11には、アドレス管理部21が設けられている。アドレス管理部21にはアドレステーブル22が設けられている。このアドレス管理部21の詳細は後述する。
【0047】
チップA,B,C11,11,11の内部に設けられたデバイスA13及びB14、デバイスC15及びD16、デバイスE17及びF18には、それぞれ内部アドレスであるアドレスa及びアドレスb、アドレスc及びアドレスd、アドレスe及びアドレスfが、それぞれ付与されている。これらはチップA,B,C11,11,11の内部アドレスであり、チップA,B,C11,11,11の内部のデバイスに相対的に付与される論理アドレスであり、チップA,B,C11,11,11の内部での信号やデータの送受信先を規定する。
【0048】
一方、チップA,B,C11,11,11には、外部アドレスであるアドレスX、アドレスY、アドレスZがそれぞれ付与されている。これらアドレスX、アドレスY、アドレスZは、チップA,B,C11,11,11自体に付与された固有の物理アドレスであり、外部バス20側から見たときの、チップA,B,C11,11,11の信号やデータの送受信先を規定する。
【0049】
そして、チップA11に設けられた「共有態様管理手段」としてのアドレス管理部21には、これらのデバイスA,B,C,D,E,Fに付与された内部アドレスであるアドレスa,b,c,d,e,f、及び、デバイスA,B,C,D,E,Fを含むチップA,B,C11,11,11のアドレスであるアドレスX,Y,Zが、それぞれ対応付けられたアドレステーブル22が記録されている。
【0050】
この実施の形態の参考例1は、実施の形態1で示したような構成に基づいて、複数のチップ例えば図2におけるチップA,B,C11,11,11の間に、透過的なアドレス空間が形成された環境で実現される。
【0051】
このような環境下において、一のデバイス例えばデバイスA13が他のデバイス例えばデバイスC15にアクセスする場合、まず、チップA11のアドレス管理部21にアクセスし、アドレステーブル22を検索する。その結果、アドレステーブルの3行目23に、デバイスC15の内部アドレスがアドレスc、外部アドレスがアドレスYであることが確認できるので、デバイスA13は、この情報に基づいて、外部アドレスであるアドレスYのチップB11にアクセスし、さらにチップB11内の内部アドレスであるアドレスcのデバイスC15にアクセスする。これにより、デバイスA13は所望のデバイスC15にアクセスできる。同様に、それぞれのデバイスが他のデバイスにアクセスする場合も、まずチップA11のアドレス管理部21にアクセスしてアドレステーブル22を検索し、確認された外部アドレスと内部アドレスとによって、所望のデバイスにアクセスを行う。
【0052】
従来、複数のチップ例えばチップA,B,C11,11,11において、それぞれの内部に設けられたデバイス例えばデバイスA。B,C,D,E,Fに自在にアクセスすることは難しかった。しかし、この実施の形態の参考例1の通信システム1Bにおいては、チップA11のアドレス管理部21にアドレステーブル22を備え、全てのデバイスはこのアドレステーブル22を確認することでアクセスに必要な内部アドレスと外部アドレスの組み合わせの情報を得ることができるので、他のチップ例えばチップA11に対するチップB11やチップC11に所望のデバイスが存在する場合であっても、自在に所望のデバイスにアクセスすることが可能になる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0053】
なお、この実施の形態の参考例1において、チップA11のみならず、他のチップ例えば図3における全てのチップA,B,C11,11,11にアドレステーブル22を備えた構成とすることもできる。
【0054】
[発明の実施の形態の参考例2]
図4に、この発明の実施の形態の参考例2を示す。
【0055】
この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、複数例えば二つのチップが相互に接続された状態で用いられるものである。但しチップの個数は複数であれば三つ以上であってもよい。
【0056】
この実施の形態の参考例2における、二つの「機器」としてのチップA31及びチップB31は、実施の形態1のチップA2、チップB2と同様のICチップである。ただし、この実施の形態の参考例2においては、チップA31がマスタ、チップA31がスレーブとしての、マスタ・スレーブ関係が形成されている。
【0057】
チップA31、チップB31の内部には、「共有態様管理手段」としてのチップ内部バス32、及びチップ内部バス33が設けられている。チップ内部バス32,33には、各種デバイス(CPU、RAM、ROM、EEPROM等を含む)が接続されているが、この実施の形態の参考例2ではそれらの記載は省略する。
【0058】
この実施の形態の参考例2において、チップ31のチップ内部バス32は、例えばAXI(Advanced eXtensible Interface)仕様に構成されており、経路制御等、チップ内部バス32自体やチップ内部バス32を伝送される信号やデータの経路や送受信先などを制御する各種機能機能が設けられている。
【0059】
チップA,B31,31には、実施の形態1の接続部4,4と同様の「接続手段」としての接続部34,34が設けられ、それらが外部バス35で接続されている。
【0060】
ここで、図4に示すように、マスタであるチップB31にデバイスC36が設けられ、スレーブであるチップA31にデバイスA37とデバイスB38とが設けられた構成が設けられた状況を考える。そしてさらに、この状況で、チップB31のデバイスC36が、チップA31のデバイスA37のデータをデバイスB38に転送する要求を出した場合を考える。
【0061】
この場合、マスタ側のチップB31に要求を出したデバイスC36が存在し、スレーブ側のチップA31にデータの転送元であるデバイスA37と、データの転送先であるデバイスB38とが存在する。このような構成あって、かつ、従来のマスタ・スレーブ関係によって構成されていた場合には、以下(従来手順1)〜(従来手順3)により、データが転送されることになる。
(従来手順1)まず、デバイスA36のデータが、デバイスA36に対して、データの転送要求の信号を送る。信号を受領したデバイス36は、要求のあったデータをチップ内部バス32に送出する。
(従来手順2)デバイスA36から送出されたデータは、チップ内部バス32、外部バス35、チップ内部バス33を介して、命令信号の送出元であるデバイスC36に転送される。
(従来手順3)次に、デバイスC36に転送されたデータが、デバイスC36から、チップ内部バス33、外部バス35、チップ内部バス32を介して、デバイスB32に転送される。
【0062】
一方、この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、以下(手順1)〜(手順3)により、データが転送される。
(手順1)まず、デバイスA36のデータが、デバイスA36に対して、データの転送要求の信号を送る(図4の(1)の矢印参照)。信号を受領したデバイス36は、要求のあったデータをチップ内部バス32に送出する。
(手順2)チップ内部バス32は、(手順1)においてデバイスA36から送信されたデータの転送要求の信号において、データの転送先に指定されているのがデバイスB38であることを検出する。また、チップ内部バス32は、デバイスA37もデバイスB38も、同じチップA31の、チップ内部バス32に接続されたデバイスとして存在することを検出する。
(手順3)チップ内部バス32は、(手順2)の検出結果に基づき、(手順1)でデバイスA37から送出されたデータを、デバイスB38に対して直接送信する(図4の(2)の矢印参照)。
【0063】
従来は、マスタ側のチップB31のデバイスC36の命令により、スレーブ側のチップA31のデバイスA37、デバイスB38相互間でデータの転送を行うような場合において、デバイスA37〜デバイスC36〜デバイスB38というデータ転送が必要であった。そのため、チップA31からチップB31へのデータの転送というトランザクションと、チップA31からチップB31へのデータの転送というトランザクションとが発生し、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう問題があった。例えば、特開2006−109055号公報に記載されたマスタ・スレーブ構成の処理を適用しても、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう問題を解決することはできない。
【0064】
しかし、この実施の形態の参考例2の通信システム1Cにおいては、マスタ側のチップB31のデバイスC36の命令により、スレーブ側のチップA31のデバイスA37からデバイスB38へと、直接データの転送が行われる。そのため、チップA31からチップB31へのデータの転送というトランザクションと、チップA31からチップB31へのデータの転送というトランザクションとが発生せず、外部バス35の帯域がいたずらに消費されてしまう事態を抑止することができる。また、チップA31及びチップB31相互間のデータや信号の通信量を減少させることができる。これにより、相互に接続された複数の構成要件において、コネクティビティの維持と向上を図ることができる。
【0065】
なお、上記実施の形態1、及び実施の形態の参考例1、2は、それぞれを組み合わせた構成とすることもできる。即ち実施の形態1、及び実施の形態の参考例1、2のうち少なくとも何れか一つの構成をそれぞれ組み合わせた構成とすることもできる。これにより、各実施の形態の効果をあわせて奏させることもできる。
【0066】
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記各実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1A,1B,1C・・・通信システム
,2,2,11,11,11,31,31・・・チップA、チップB、チップC(機器)
,4,4,19,19,19,34,34・・・接続部(接続手段)
7・・・共有OS(共有態様管理手段)
8・・・共有アプリケーション
21・・・アドレス管理部(共有態様管理手段)
32,33・・・チップ内部バス(共有態様管理手段)
100・・・遊技機
図1
図2
図3
図4