(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のサイクロン分離ユニットと、該第1のサイクロン分離ユニットの下流で第1の軸線の周りに流体的に並列に配列された複数のサイクロンを有する第2のサイクロン分離ユニットと、前記複数のサイクロンの各々からのほこりを収容するためのほこり収集器とを備えたサイクロン分離装置であって、前記第2のサイクロン分離ユニットの前記複数のサイクロンの各々は、流体入口及び流体出口を備え、前記複数のサイクロンは、少なくとも第1組のサイクロンと第2組のサイクロンとに分割され、前記第1組のサイクロンの流体入口は、第1のグループに構成され、前記第2組のサイクロンの流体入口は、前記第1のクループから前記軸線に沿って離間した第2のグループに構成され、前記第2のサイクロン分離ユニットの前記複数のサイクロンの各出口は、共通の板状の渦ファインダ部材によって与えられることを特徴とするサイクロン分離装置。
前記第1組のサイクロンは、前記第2組のサイクロンよりも多数のサイクロンを備え、前記第2組のサイクロンのサイクロンは、前記第1組のサイクロンのそれぞれの一対のサイクロンの間に配置されるように角度的に離間している、請求項1又は2に記載のサイクロン分離装置。
前記渦ファインダ部材は、板状であり、前記第1及び第2組のサイクロンの上端部に結合可能であり、各々が前記サイクロンのそれぞれの1つの中に延びる複数の渦ファインダを備える、請求項1から3のいずれかに記載のサイクロン分離装置。
前記渦ファインダ部材は、同軸に配置され、前記第1の軸に沿って離間し、壁部によって結合される第1及び第2の環状部を備える、請求項4に記載のサイクロン分離装置。
前記排気マニホルドは、前記渦ファインダからの空気を、前記複数のサイクロンが配列された前記分離装置の第1の軸線に沿って配置された空気ダクトに導き、前記空気ダクトはフィルタ部材を収容する、請求項7に記載のサイクロン分離装置。
前記取付け部分は、流体が半径方向に流入して前記フィルタ部材の内側の細長いチャンバに入る、前記フィルタ部材の流体入口を定める、請求項10に記載のサイクロン分離装置。
前記平面セグメントの各々は、各セグメントの間にある程度の可撓性をもたらす脆弱線によって隣接するセグメントに結合される、請求項15に記載の渦ファインダプレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
並列のサイクロンの数を増やすと、同じ全圧力抵抗に対する分離ユニットの分離効率、つまり圧力効率をさらに向上させることができる。しかしながら、サイクロンをリング形態に配置する場合、これにより分離ユニットの外径が大きくなる可能性があり、結果的に分離装置のサイズが不適当に大きくなる可能性がある。これに対応して分離ユニットの全体サイズを大きくすることなくサイクロンの数を増やす1つの提案は、サイクロンをグループ(複数のグループ)化して又はバンク(bank、近接配列状態)に配列して、一方のグループを他方のグループの上に積重ねるものである。このサイクロン構成は、分離ユニットのサイズに有利であるが、サイクロン出口のシーリングの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の背景に対して、本発明は、表面処理電気器具のためのサイクロン分離装置を提供し、この分離装置は、第1のサイクロン分離ユニットと、該第1のサイクロン分離ユニットの下流で第1の軸線の周りに流体的に並列に配列された複数のサイクロンを有する第2のサイクロン分離ユニットと、複数のサイクロンの各々からのほこりを収容するためのほこり収集器とを備える。第2のサイクロン分離ユニットの複数のサイクロンの各々は、流体入口及び流体出口を備え、複数のサイクロンは、少なくとも第1組のサイクロンと第2組のサイクロンとに分割され、第1組のサイクロンの流体入口は、第1のグループに構成され、第2組のサイクロンの流体入口は、第1のクループから該軸線に沿って離間した第2のグループに構成される。第2のサイクロン分離ユニットの複数のサイクロンの各出口は、共通の板状の渦ファインダ部材によって与えられる。
【0007】
好都合には、本発明により、第1及び第2組のサイクロンの全てが、単一の単体構造の渦ファインダ部材又は渦ファインダプレートが提供する空気出口を有することができる。この構成により、単一の渦ファインダプレートをサイクロンの上側及び下側バンクの両方に組み付けることができるのでサイクロン出口のシーリングが改善され、これにより、渦ファインダを2つ又はそれ以上の構造体で構成する際に発生する場合がある空気漏れの可能性が低減する。これは、特に第1組のサイクロン及び第2組のサイクロンが共通の中心軸線に沿って互いに離間しているサイクロン構成において顕著な問題である。
【0008】
第1組のサイクロン及び第2組のサイクロンの流体入口は、それぞれ環状構成に配置され、入口の第2の環状構成は、入口の第1の環状構成よりも直径を小さくすることができる。第2組のサイクロンは、第1組のサイクロンから物理的に離れるように離間することができるが、分離ユニットの全体サイズを小さくするために、第2組のサイクロンは、少なくとも部分的に第1組のサイクロンの内部に収容するか又は嵌め込むことができる。
【0009】
分離ユニットのサイズをさらに小さくするために、第2組のサイクロンのサイクロンは、第1組のサイクロンのサイクロンの各対の間に位置するように配置することができる。さらに、サイクロンの空気入口は、空気が共通の空気流チャンネル又は導管から供給されるように互いに向かい合うように配置することができる。これにより、第1組又はバンクからの2つと、第2組又はバンクからの1つの、少なくとも3つのサイクロンを隣接して配置することができる。
【0010】
第2のサイクロンの空気入口を通る空気の流れに恩恵をもたらすために、空気入口は、開放されたトラフ又はチャンネルとは対照的に、断面が完全に閉じたダクトとして形成することができる。このようにして、組立工程時に第2のサイクロンの上端部をシーリングする働きをするガスケットは、ダクトの堅固な上面に当接することができ、ダクトの内部に押し込まれることはない。これにより、第2のサイクロンの別の各空気入口の間の空気流の一貫性が向上する。
【0011】
渦ファインダ部材は、板状又は皿状の形態とすることができ、第1組のサイクロン及び第2組のサイクロンの上端部に結合可能であり、各々がそれぞれの1つのサイクロン内に延在する渦ファインダを備える。1つの実施形態において、渦ファインダ部材は、同軸に配置され、第1の軸線に沿って離間し、壁部分によって連結された第1の環状部及び第2の環状部を備える。さらに、第1の環状部及び第2の環状部の各々は、各々が単一の渦ファインダを定める複数のセグメントを含むことができる。
【0012】
サイクロンから流出する空気を導くために、渦ファインダ部材の上側に、排気マニホルドを設けることができ、渦ファインダ部材は、複数のサイクロンと排気マニホルドとの間にサンドイッチされる。さらに、1つ又はそれ以上のシールガスケットを設けて、渦ファインダプレートと第1及び第2組のサイクロンの各々との間に信頼性の高いシールを形成することができる。
【0013】
排気マニホルドは、渦ファインダからの空気を、周りに複数のサイクロンが配列された分離装置の第1の軸線に沿って配置された空気ダクトに導くように機能する。空気ダクトは、サイクロンで分離できなかった空気からの細かい混入物質をフィルタ処理するソックスフィルタを収容することができる。好ましい構成において、フィルタは、フィルタ取付け部分に隣接する略円筒形のフィルタ媒体部分を含み、フィルタ取付け部分は、排気マニホルドの中央に配置された開口に係合可能であり、フィルタは空気ダクト内に延在するようになっている。
【0014】
取付け部分は、ソックスフィルタの空気入口を定めることができ、好ましくは取付け部分の外面の周りに複数の開口又は窓部を備えることができ、空気は半径方向にフィルタの内部に流入することができる。好都合には、この構成により、空気が軸方向ではなく半径方向でフィルタに流入することができるので、フィルタの高さを低くすることができる。この高さの低減は、手持ち型真空掃除機には好都合である。
【0015】
また、本発明は、サイクロン分離装置に使用する渦ファインダプレートとして表すことができ、渦ファインダプレートは、所定の軸線の周りに延在して複数の渦ファインダが垂下する第1の環状部と、該軸線の周りに延在して複数の渦ファインダが垂下する第2の環状部とを備え、第1の環状部及び第2の環状部は、軸線に沿って離間して、結合部で結合されている。
【0016】
従って、第1の環状部及び第2の環状部は、ファインダプレートの主軸線に沿って互い違いに配置されるか又は段状とされ、結合部は、第1の環状部及び第2の環状部を結合し、好ましくは第1の環状部の内周部から第2の環状部の外周部に延びる連続した壁である。
【0017】
第1の環状部及び第2の環状部の各々は、実質的に平らな複数のセグメントを含むことができ、ここからそれぞれ1つの渦ファインダが垂下する。各セグメントは、部分円形の外縁を定めるように形作られており、関連のサイクロンに適合するようになっている。従って、それぞれのセグメントの外縁は、隣接するサイクロンと同じ高さに位置することになる。環状部は全体に剛体とすることができるが、1つの実施形態において、平らなセグメントの各々は、隣のセグメントと脆弱線によって境界を定めることができ、脆弱線によって、隣接するセグメントとの間である程度の可撓性が可能になる。従って、この構成により、各セグメントのある程度の遊びが可能になり、渦板を第1及び第2組のサイクロンの上に取り付けた場合に、セグメントの関連のサイクロンに対するシール性が改善する。
【0018】
渦ファインダプレートを通してフィルタを収容するために、上側の環状部は、フィルタ部材と係合するようになった中央開口を定めることができる。逆言えば、第2の環状部は第1の環状部を取り囲み、第1の環状部に対して外周部に向かって下向きに凹むこと、つまり曲がることができる。
【0019】
他の態様では、本発明は、サイクロン式分離装置を提供し、分離装置は、第1のサイクロン分離ユニット及び該第1のサイクロン分離ユニットの下流の第2のサイクロン分離ユニットを含む。第2のサイクロン分離ユニットは、流体的に並列に配列された複数のサイクロンを含む。第2のサイクロン分離ユニットの複数のサイクロンの各々は、流体入口及び流体出口を有する第1の端部と、汚れ放出出口を有する第2の端部とを含む。シール部材が、第2のサイクロン分離ユニットの複数のサイクロンの第1の端部に取り付けられ、流体の漏出を防止するようになっている。第2のサイクロン分離ユニットの各サイクロンの流体入口は、例えば円形又は矩形の断面が完全に閉じており、流体入口への物質の侵入を防止する。これにより、複数の入口の各入口の間の流体流量の一貫性を改善することができる。
【0020】
本発明の実施形態は、以下に添付図面を参照して例示的に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初、
図1及び
図2を参照すると、手持ち型真空掃除機2が、主本体4を有し、主本体4は、モータ及びファンユニット(図示しない)を、ほぼ直立したハンドル又はグリップ部分6の上方に収容している。ハンドル6の下端部6aは、厚板状のバッテリパック8を支持している。手持ち型真空掃除機2から空気を排出する1組の排気口10が、主本体4に設けられている。
【0023】
主本体4は、サイクロン分離装置12を支持し、サイクロン分離装置12は、モータ及びファンユニットによって真空掃除機2に引込まれた汚れ含有空気流から、汚れ、ダスト、及び他のゴミを除去するように機能する。サイクロン分離装置12は、主本体4の前部4aに取付けられ、空気入口ノズル14が、主本体4から遠い方のサイクロン分離装置の前部分ら延びている。空気入口ノズル14は、適切なブラシツールが取外し可能に取付けられるように構成され、且つ、ブラシツールを空気入口ノズル14と係合させたときにブラシツールを確実に保持するキャッチ16を含むように構成されている。ブラシツールは、本発明に重要でないので、ブラシツールをここでは図示しない。
【0024】
サイクロン分離装置12は、主本体4と空気入口ノズル14の間に位置し、従ってハンドル6と空気入口ノズル14の間に位置している。サイクロン分離装置12は、ほぼ縦方向に延びる長手方向軸線Yを有し、ハンドル6は、長手方向軸線Yに対して少し傾斜した角度に配置されている。
【0025】
ハンドル6は、ピストルグリップの形態をなす向きに配置され、このことは、掃除中にユーザの手首に加わる応力を軽減するので、ユーザに快いインタフェースである。サイクロン分離装置12は、ハンドル6の近くに位置決めされ、このことも、手持ち型真空掃除機2の使用中にユーザの手首に加わるモーメントを減少させる。ハンドル6は、真空掃除機のモータのオン及びオフを切替えるトリガ18の形態のオン/オフスイッチを有している。使用時、モータ及びファンユニットは、ダスト含有空気を空気入口ノズル14から真空掃除機12に引込む。空気流内に同伴された汚れ及びダストの粒子は、空気から分離され、サイクロン分離装置12内に保持される。清浄にされた空気は、サイクロン分離装置12の後部から放出され、主本体4内に配置されたモータ及びファンユニットに短いダクトによって運ばれ、引続いて、空気出口10から排出される。
【0026】
手持ち型真空掃除機2の一部を形成するサイクロン分離装置12は、
図3及び
図4により詳細に示されており、
図3は、
図2の線A−Aにおけるサイクロン分離装置の縦断面図であり、
図4は、サイクロン分離装置12の構成要素の分解図である。サイクロン分離装置12は、概略的には、第1のサイクロン分離ユニット20と、第1のサイクロン分離ユニット20の下流に配置された第2のサイクロン分離ユニット22を有している。この例において、第1のサイクロン分離ユニット20は、第2のサイクロン分離ユニット22の一部の周りに延びている。
【0027】
サイクロン分離装置12が使用される真空掃除機2の種類に応じて、サイクロン分離装置12の特定の全体形状が変更されてもよいことを理解されたい。例えば、サイクロン分離装置12の全長は、サイクロン分離装置12の直径よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0028】
サイクロン分離装置12は、外容器24を有し、外容器24は、実質的に円筒形であり且つサイクロン分離装置12の長手方向軸線Yの周り延びる外壁によって構成されている。外容器24は、透明であることが望ましく、それにより、サイクロン分離装置12の構成要素を外容器24越しに見ることが可能である。
【0029】
外容器24の下端部は、容器ベース26によって閉鎖され、容器ベース26は、枢着部28によって外壁24に枢動可能に取付けられ、キャッチ30によって閉鎖位置に保持される。第2の円筒形壁32が、外壁24の半径方向内側に且つ外壁24と同軸に配置され、それにより、環状チャンバ34が2つの壁24、32の間に形成される。容器ベース26を閉じたとき、第2の円筒形壁32は、容器ベース26に係合し且つ容器ベース26に対してシールされる。環状チャンバ34の上部分は、第1のサイクロン分離ユニット20の円筒形サイクロンを構成し、環状チャンバ34の下部分は、第1のサイクロン分離ユニット20のダスト収集容器を構成する。
【0030】
空気流を空気入口ノズル14から受入れる容器入口36が、環状チャンバ34の上端部に設けられている。図示されていないが、容器入口36は、流入するダスト含有空気が環状チャンバ34の周りの螺旋経路に強制的に確実に案内されるように、環状チャンバ34に対して接線方向に配置されている。
【0031】
ほぼ円筒形のシュラウド38の形態をなす流体出口が外容器24に設けられている。詳細には、シュラウド38は、上側の円錐台状壁38aと、下側の円筒状壁38bとを有し、上側の円錐台状壁38aは、下側の円筒状壁38bに向かってテーパ付けされ、下側の円筒状壁38bは、環状チャンバ34内に垂下している。スカート38cが、円筒状壁38bの下部分から垂下し、外方に且つ外壁24に向かう方向にテーパ付けされている。従って、シュラウド38の下側壁38cは、環状チャンバ34の流体出口だけを構成する穴を形成する。
【0032】
第2の環状チャンバ40が、シュラウド38の後方に位置し、マニホルドを構成し、第1のサイクロン分離ユニット20からシュラウド38の中を流れる空気流は、マニホルドから、中央に位置決めされたサイクロン支持構造体42が有する複数の導管又はチャンネル74を通って第2のサイクロン分離ユニット22に送られる。第2のサイクロン分離ユニット22は、複数のサイクロン50を含み、複数のサイクロン50は、流体的に並列に配列され、且つ、空気を第1のサイクロン分離ユニット20から受入れる。この実施形態では、複数のサイクロン50は、実質的に同じ寸法及び形状を有し、各サイクロン50は、円筒状部分50aと、それから垂下したテーパ部分50bを有している(
図3では、明瞭のために、1つのサイクロンだけに符号を付した)。円筒状部分50aは、流体をチャンネル74のうちの1つから受入れる空気入口50cを有している。各サイクロン50のテーパ部分50bは、円錐台状であり、底端部のところで円錐状開口部52で終端し、使用中、ダストを円錐状開口部52からサイクロン支持構造体42の内部に放出する。渦ファインダ60の形態をなす空気出口が、各サイクロン50の上端部に設けられ、空気出口60により、空気をサイクロン50から排出する。各渦ファインダ60は、後述するように、渦ファインダ部材62から下方に延びている。
【0033】
図3及び
図4に明らかに示すように、第2のサイクロン分離ユニット22のサイクロンは、第1組のサイクロン70と、第2組のサイクロン72にグループ分けされる。本発明に重要ではないが、この実施形態では、第1組のサイクロン70のサイクロン50の個数(合計10個)は、第2組のサイクロン72のサイクロン50の個数(合計5個)よりも多い。
【0034】
サイクロンの組70、72の各々は、サイクロン分離ユニット12の長手方向軸線Yを中心とするリング状に配列されている。第1組のサイクロン70は、比較的大きいリングを形成するように比較的多い個数のサイクロン50を含み、第2組のサイクロン72は、第1組のサイクロン70の中に部分的に受入れられるか又は嵌め込まれる。
図4は、明瞭のために、第1及び第2組のサイクロン70、72を分解図で示し、
図3は、第1及び第2組のサイクロン70、72が互いに嵌め込まれ且つ軸線方向に離間した位置にあり、第2組のサイクロン72が第1組のサイクロン70の上に積重ねられたと考えられるときの第1及び第2組のサイクロン70、72の相対位置を示していることに留意されたい。
【0035】
第1及び第2組のサイクロン70、72の各サイクロン50は、下方に且つ外壁52の長手方向軸線Yに向かって傾斜する長手方向軸線Cを有している。しかしながら、第1組のサイクロン70の中への第2組のサイクロン72の嵌め込み度合いを大きくすることを可能にするために、第2組のサイクロン72の全ての長手方向軸線C
2は、外壁24の長手方向軸線Yに対して、第1組のサイクロン70の長手方向軸線C
1よりも小さい角度で傾斜している。
【0036】
図5を参照し、特に第1組のサイクロン70によって構成される外側リングを参照すると、第1組のサイクロン70のサイクロン50が、複数のサブセット70a、70bを構成するように配置され、各サブセット70a、70bが、少なくとも2つのサイクロン50を含むことが分かる。この実施例では、各サイクロンのサブセットは、隣接した1対のサイクロン50を含み、第1組のサイクロン70は、5つのサイクロンのサブセットに分けられ、1つのサイクロンサブセット70bの1対のサイクロン50は、他のサイクロンのサブセット70aの1対のサイクロンよりも離間している。各サブセット内で、サイクロンのサブセット70aのサイクロン50は、空気入口50cが互いに対向するように配置されている。後述するように、サイクロン分離装置12の後方に配置されたサイクロンのサブセット70bのサイクロン50は、排気ダクト94の通行を可能にするように離間している。
【0037】
この実施例では、各サイクロンのサブセット70a、70bのサイクロン50は、サイクロン支持構造体42が有する複数のチャンネル74のそれぞれの1つから空気流を受入れるように構成され、空気をシュラウド38の後方に配置された第2の環状チャンバ40から複数のチャンネル74の中を通してそれぞれのサイクロン50の空気入口50cに流す。
【0038】
図5において注目すべきことは、第2組のサイクロン72のサイクロン50も、リング状の半径方向パターンで配列され且つ環状に分布し、各サイクロン50は、第1組のサイクロン70の隣接した1対のサイクロンの間に位置決めされることである。更に、第2組のサイクロン72のそれぞれの空気入口50cは、空気を第1組のサイクロン70にも供給するチャンネル74のそれぞれの1つに面する向きに配置されている。空気が第2の同じ環状チャンバ40に通じているチャンネル74から第1組及び第2組のサイクロン70、72の両方の空気入口50cに供給されるので、第1及び第2組のサイクロン70、72は、流体的に並列であると考えられる。
【0039】
図3及び
図4に再び戻ると、渦ファインダ60は、それぞれのサイクロン50の上側領域内に下方に延びる短い円筒管によって構成される。各渦ファインダ60は、半径方向に分布した複数の空気チャンネル又は「渦フィンガ」80のうちのそれぞれの1つに入り、渦フィンガ80は、サイクロン分離装置12の頂部に位置する排気プレナム又はマニホルド82によって構成され、空気をサイクロン50の空気出口60からマニホルド82の中央開口84に向けるのに役立つ。中央開口84は、サイクロン分離装置12の出口ダクト88の第1の部分の上開口を構成し、フィルタ部材86が上開口84に収容される。この実施形態では、フィルタ部材86は、細長い管状フィルタ又は「ソックスフィルタ(ソックスフィルタ)」であり、長手方向軸線Yに沿って中央ダクト88の下方に延び、サイクロン支持構造体42によって定められる第3の円筒壁90によって境界が定められている。
【0040】
第3の円筒壁90が、第2の円筒壁32の半径方向内方に且つそれから間隔をあけて位置し、第3の環状チャンバ92を形成している。サイクロン支持構造体42の上側領域は、第2のサイクロン分離装置22のサイクロンの円錐状開口部52が取付けられるサイクロン取付け部93を有し、円錐状開口部52は、サイクロン支持構造体42の内部と連通している。このように、使用中、第2のサイクロン分離ユニット22のサイクロン50によって分離されたダストは、円錐状開口部52から放出され、第3の環状チャンバ92内に集まる。従って、第3の環状チャンバ92は、第2のサイクロン分離ユニット22のダスト収集容器を構成し、容器ベース26を開放位置に移動すると、第2のサイクロン分離ユニット22のダスト収集容器と第1のサイクロン分離ユニット20のダスト収集容器が同時に空にされる。
【0041】
真空掃除機の使用中に、ダスト含有空気は、容器入口36からサイクロン分離装置12に入る。ダスト含有空気は、容器入口36の接線方向の配置のため、外壁24の周囲の螺旋経路に従う。比較的大きい汚れ及びダストの粒子は、サイクロン作用によって第1の環状チャンバ34内に堆積し、ダスト収集容器内の第1の環状チャンバ34の底部に集まる。部分的に清浄にされたダスト含有空気は、第1の環状チャンバ34から出て、孔付きのシュラウド38を通って第2の環状チャンバ40に入る。次いで、部分的に清浄にされた空気は、サイクロン支持構造体42の空気チャンネル74の中を通り、第1組及び第2組のサイクロン70、72の空気入口50cに運ばれる。空気流に依然として含有している比較的細かいダスト粒子を分離するために、サイクロン分離が、第1及び第2組のサイクロン70、72の内部で行われる。
【0042】
第1組及び第2組のサイクロン70、72によって空気流から分離されたダスト粒子は、第3の環状チャンバ92内に堆積し、第3の環状チャンバ92は、細かいダストのための収集器としても知られている。次いで、更に清浄にされた空気が、渦ファインダ60を通ってサイクロン50から出て、マニホルド82に入り、空気は、マニホルド82から中央ダクト88内にあるソックスフィルタ86に入り、ソックスフィルタ86からサイクロン分離装置12の排気ダクト94を通り、それにより、清浄にされた空気がサイクロン分離装置12から出ることが可能である。
【0043】
図3及び
図4から分かるように、ソックスフィルタ86は、上側取付け部分86aと下側フィルタ部分86bとを有し、下側フィルタ部分は、フィルタ機能を実行し、かくして、適切なメッシュ、発泡、又は繊維フィルタ媒体で形成されている。上側取付け部分86aは、フィルタ部分86bを支持し、排気マニホルド82の中央開口84と係合することによって、ソックスフィルタ86を中央ダクト88内に取付けるのにも役立つ。したがって、ソックスフィルタ86は、サイクロン分離装置12の主軸線Yに沿って出口ダクト88内を延びている。上側取付け部分86aは、シール部材96を支持する円形の外側リムを有し、シール部材96は、例えば、Oリングの形態をなし、このことは、上側取付け部分86aがマニホルド82の中央開口84内に、単に圧入によって取外し可能であるが固着されるように受入れられることを意味する。上側取付け部分86aは、円形であるので、ソックスフィルタ86の角度方向の向きに制限はなく、このことは、ソックスフィルタ86を再配置するときにユーザの助けになる。ここには図示していないけれども、ソックスフィルタ86をより確実に適所に保持することが望ましい場合、ソックスフィルタ86がロック機構を有していてもよいことを理解すべきである。例えば、ソックスフィルタ86の上側取付け部分86aは、ツイストロック式嵌合形態を有し、それにより、ソックスフィルタ86を第1方向に捩って、それを中央開口84内の適所にロックし、ソックスフィルタ86を反対方向に捩って、それを解放することができる。
【0044】
また、上側取付け部分86aは、その円周の周りに分布した孔又は窓100を有する環状の上部分を含み、孔100は、空気がフィルタ部材86の内部に入る空気流経路を構成している。シール部材96により、空気流がサイクロン分離装置12の外側からソックスフィルタ86の領域に入ることを防止する。有利なことに、孔100は、上側取付け部分86aの周囲の周りに角度方向に分布し、マニホルド82の半径方向に分布した渦フィンガ80の関連する1つと一致するように配置され、このことは、空気が渦フィンガ80の端部からソックスフィルタ86の入口孔100のうちの隣接した1つに実質的に途切れずに流れることを意味する。従って、空気は、孔100からソックスフィルタ86に半径方向に流れ、引続いて、空気は、ソックスフィルタ86の内部を下方に流れ、次いで、円筒形のフィルタ媒体から半径方向に出る。同様にOリングの形態をなす第2のシール要素97は、上側取付け部分86aの外面の環状溝内に位置し、かくして、上側取付け部分86aの周りを円周方向に延び、それにより、空気が入口部分からソックスフィルタ86の側面を下方に流れることを防止する。
【0045】
清浄にされた空気は、ソックスフィルタ86から流出した後、出口通路94を上方に移動し、出口通路94の端部のところでサイクロン分離装置12の後方に配置された出口ポート101を通ってサイクロン分離装置12から排気される。出口通路94は、中央ダクト88の中心軸線Yに対して全体的に傾斜した向きを有するように形状決めされ、且つ、第1組のサイクロン70の最も後方の2つのサイクロン50の間の箇所まで上昇するように形状決めされていることに注目すべきである。出口通路94の出口ポート101は、ほぼ水平方向の向きに配置され、サイクロン分離装置12から後方に延び、サイクロン分離装置12の長手方向軸線Yと実質的に直交する軸線103上に整列している。
【0046】
空気をフィルタ86に軸線方向に流入させる別の選択肢は、空気をフィルタの上部に向けるために、フィルタ入口端の上方にチャンバを必要とするので、この半径方向空気流入口の構成により、フィルタのハウジングをよりコンパクトにすることが可能になる。従って、本発明のフィルタは、かかるチャンバを必要としないので、フィルタハウジングの高さを低減することが可能になる。
【0047】
サイクロン分離装置12の一般的な機能を説明したが、当業者は、この機能は、2つ別のサイクロン分離段を含むことを認識すべきである。第1に、第1のサイクロン分離ユニット12は、比較的大きい直径を有する単一の円筒形サイクロン20を含み、比較的小さい遠心力により、汚れ及びゴミの比較的大きい粒子を空気から分離する。比較的大きいゴミの大部分は、ダスト収集容器34内に確実に堆積する。
【0048】
第2に、第2のサイクロン分離ユニット22は、15個のサイクロン50を含み、サイクロン50の各々は、円筒形の第1のサイクロンユニット20よりもずっと小さい直径を有し、その内部の高速の空気流により、より細かい汚れ及びダストの粒子を分離することが可能である。従って、サイクロンによる分離効率は、円筒形の第1のサイクロンユニット20の分離効率よりも著しく高い。
【0049】
ここで、渦ファインダ部材62をより詳細に示す
図6を参照する。渦ファインダ部材62は、ほぼ板状の形態を有し、2つの主な機能を有する。第1の主要な機能は、空気を上方に旋回する空気柱状でサイクロン50から出るように誘導し、その後、サイクロン50を出た空気流を隣接した排気マニホルド82の適当な領域に差し向ける手段を提供することにある。第2の主要な機能は、渦ファインダ部材62が、サイクロン50の上端をシールするのに役立つことにあり、従って、空気は、サイクロンの内部の主空気流から離れて漏れることはできない。
【0050】
詳細には、本発明の渦ファインダプレート62は、上渦ファインダ部分62aと下渦ファインダ部分62bを有し、これらの渦ファインダ部分の各々は、第1及び第2組のサイクロン70、72のそれぞれのサイクロン50のための渦ファインダ60を構成する。第1の上渦ファインダ部分62aは、リング状に構成された5つの平坦な部分102を含み、排気マニホルド82の中央開口84に一致する中央開口104を有している。部分102の各々は、中心開口106(明瞭のために2つだけに符号を付した)を有し、円筒形の渦ファインダ60は、中心開口106から垂下している。
図3で明確に分るように、第2組のサイクロン72と結合した渦ファインダ60は、サイクロン50の出口端部内に着座し、サイクロン軸線C2と同軸である。従って、第1のリング状の部分102は、水平方向平面から僅かに下方に凹んでいる。部分102の外縁は、垂下する壁又はスカート108を構成し、スカート108の下端部108aは、下渦ファインダ部分62bの内縁を構成する。
【0051】
下渦ファインダ部分62bは、合計10個の部分110を含み(明瞭のために3つだけに符号を付した)、この個数は、第1組のサイクロン70のサイクロン50の個数に一致している。各部分110はまた、中心開口112を含み、それぞれの渦ファインダ60が中心開口112から垂下している。
図3を参照すると、下渦ファインダ部分62bの渦ファインダ60は、第1組のサイクロン70のそれぞれのサイクロン50の上端部内に同軸に着座し、サイクロン軸線C1上に中心合わせされていることに注目すべきである。従って、各部分110は、第1リングに対して下方に傾斜し、部分110の平面は、軸線C
1に対して垂直である。
【0052】
以上の説明から、積重ねたサイクロンセットの渦ファインダの各々が、共通の渦ファインダプレートによって構成されていることを認識すべきである。かかる構成は、サイクロン出口のシーリングを向上させるが、その理由は、単一の渦ファインダプレートが、上側の組のサイクロンと下側の組のサイクロンの両方の上に組立てられ、それにより、各サイクロンセットの渦ファインダが個々の渦ファインダプレートで構成されている場合に起こり得る空気漏れの可能性を低減させるからである。
【0053】
渦ファインダプレート62を第2のサイクロン分離ユニット22に固定するために、突起111が、下渦ファインダ部分62aに設けられている。次に、ネジファスナが、突起111を通り、それに対応し且つ下側の組のサイクロン72に設けられたボス113(
図5参照)と係合している。組立時、適当なゴム製ガスケットリング115a、115bが、第2のサイクロン分離ユニット22の上面と渦ファインダプレート62の下面の間に挟まれるように位置決めされる。ガスケットリング115a、115b用の様々な材料を使用することができるが、例えば、天然繊維ベースの材料、可撓性ポリマー材料が好ましい。渦ファインダプレート62が下側の組のサイクロン72に直接締結されるので、ガスケット115a、115b、及び第2組のサイクロン70は、渦ファインダプレート62と下側の組のサイクロン70との間に締め付けられることに注目すべきである。結果として、ガスケット115a、115b及び渦ファインダプレート62は、追加のファスナを必要とすることなく固定されるので、サイクロン分離装置12の部品点数が全体として少なくなり、重量及び製造の複雑さが減少する。
【0054】
この実施形態では、上渦ファインダ部分62aと下渦ファインダ部分62bの両方の各部分102、110は、その隣の部分との境界が、脆弱線によって構成され、それにより、隣接した部分の間のある程度の相対移動を可能にする。脆弱線は、部分102、110が「遊び」要素であることを許容し、その結果、サイクロン分離装置12を組立てたとき、部分102、110は、サイクロン50の上の自然な位置を見つける。しかしながら、脆弱線は、本発明に必須ではなく、変形例として、渦ファインダ部材62は、上記部分間の可撓性が制限され又は可撓性がないように剛性に作られてよい。渦ファインダ部材62に適切な材料は、任意適切な剛性プラスチックであり、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)である。
【0055】
当業者は、特許請求の範囲によって定められるように、本発明の概念に対する種々の変形例が、本発明の範囲から逸脱することなしに作られることを認識すべきである。
【0056】
例えば、前述したように、渦ファインダプレートは、脆弱線によって境界が選択的に定められ且つ相互に結合された一体の複数の部分によって構成されるように記載したが、渦ファインダプレートは、区別できる特徴を有していない連続するリング要素で形成することができる。
【0057】
フィルタ部材86に関して、前述した特定の実施形態では、フィルタ部材86は、複数の孔100を有し、複数の孔100は、空気がフィルタ部材86の内部に入るための半径方向空気流経路を有するようにフィルタ部材86の周囲に分布し、且つ、マニホルド82の半径方向に分布した渦フィンガ80のそれぞれの1つと整列していることに注目すべきである。しかしながら、整列は本質的ではなく、フィルタ部材86の孔100の個数は、渦フィンガ80の個数と一致する必要がないことを認識すべきである。例えば、1つの可能性として、単一の孔が、フィルタ部材86の入口部分86aの周りを円周方向に延びていてもよい。例えば、空気流の恩恵は、孔100の面積を増大しながら孔100の個数を減少させることによって達成されることに注目すべきである。重要な特徴は、空気が、フィルタ部材86に半径方向内方に流入して、フィルタ部材86の内部を流れ、次いで、フィルタ媒体によって形成された管状構造体の内側を軸線方向Yに流れた後、フィルタ媒体の壁を通過することである。それにより、チャンバをフィルタ部材86の上方に設ける必要を回避する。
【0058】
更に、フィルタ部分86bは円筒形であるとして説明したけれども、フィルタ部分86bは、円錐形であってもよいし、フィルタ部分86がその下端部86cに向かってテーパし且つ上端又は入口端よりも小さい直径を有する円錐台形であってもよい。テーパしたフィルタ部分86bは、出口ダクト94内の比較的低い圧力領域による変形に抵抗するのに有益であると考えられ、かかる低い圧力領域は、使用中、フィルタ部分86bに「湾曲した」形状を付与する傾向がある。
【0059】
図7は前述のサイクロン分離装置の別の変形例を示し、以下では前述の実施形態に対応する部品は同じ参照符号を用いて言及する。さらに、相違点のみを説明する。
図7は
図4と同様であるが、当業者であれば、第2のサイクロン分離ユニット22の複数のサイクロン150の空気入口150cが、
図4のサイクロン50の空気入口50cに対して変更されていることを理解できる。
図4及び
図7の各サイクロンの間の相違点を明確に示すために、以下に
図8a及び8bを参照する。
図8aは、
図4の実施形態のサイクロン50の構成を簡略化した形態で示し、一方で
図8bは、
図7の実施形態のサイクロン150の構成を簡略化した形態で示す。
【0060】
最初に
図8aを参照すると、サイクロン50の空気入口50cは、基部及び対向する側壁を有する開放チャンネル又はトラフのように形作られる。従って、断面はU形である。空気入口50cの開放部は、ガスケット115a及び115bがサイクロン50の拡大端部の上にクランプ締めされるようにサイクロン分離装置を組み立てた場合に閉鎖される。
【0061】
次に
図8bを参照すると、サイクロン150は、空気入口150cが結合した上側拡大円筒部150aを含む。
図8aの空気入口50cとは対照的に、変更された第2のサイクロン50の空気入口150cは、完全に閉じたチャンネル又はダクトである。この場合、入口150cは、基部152、対向する側壁154、及びこの実施形態では側壁154と一体のリッド又は閉鎖部156を含む直線的な断面である。サイクロン分離装置の組立時、ガスケット115a及び115bは、第2のサイクロン150の上部にクランプ締めされ、ガスケット115a、115bの一部は、空気入口150cの閉鎖部156の上に押さえつけられることを理解されたい。この空気入口の構成は、空気入口150cを通ってサイクロン150に流入する空気流を改善すると共にサイクロン150の各入口150cの間の空気流の一貫性を改善するが、両者は最適な性能及び圧力回復のためにサイクロンを調整するのを助ける。その理由は、ガスケット材が空気入口50cの内部に押し付けられるようにする組立時のクランプ荷重の下で、閉鎖部156が、柔軟性材料のガスケット115a、115bの変形を防止するからである。もちろん、空気入口50c、150cは直線的な断面である必要はなく、円形等の他の形態とすることができる点に留意されたい。