(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
上記小売店等の加工品の販売方法は、予め加工品を包装して、その加工品の商品名、値段、加工日時、消費期限(消費期限日時)などの情報をラベルに印刷して、加工品に貼り付け、商品陳列棚に陳列している。消費期限が近づくと、何の商品を値下するか、何の商品を廃棄するかは、小売店の経営方針によって異なるが、値下を行う商品と、値下を行わず廃棄する商品とがある。これは、値下を行うと、消費者は値下を待って購入するようになり、商品が正規の販売価格で販売できなくなってしまうため、値下より廃棄した方が経営的に得策だと考えるからである。
【0003】
消費期限が過ぎた加工品は販売できないため、店員は、定期的に商品陳列棚に残っている加工品のラベルの消費期限を見て、値下しても消費期限内に販売する加工品については、値下シールを貼り付け、廃棄する加工品については、商品陳列棚から撤去している。
【0004】
消費期限は、その日時までに必ず消費する必要がある日時である。そのため、消費期限から消費者が購入してからその加工品を実際に消費するまでの想定消費時間数を差し引いた日時(以下「販売期限」という)までに、販売する必要がある。商品を値下して販売する場合、上記販売期限に更に販売に必要な時間数を差し引いた日時から、値下を開始する必要がある。
【0005】
そのため、店員は加工品毎に、値下する品目なのか、廃棄する品目なのかを区別して、値下する加工品については、販売期限日時から販売に必要な時間数を減算した日時が現在日時を過ぎた場合、値下シールなどを貼り、廃棄する加工品については、販売期限が現在日時を過ぎた場合、商品陳列棚から撤去して廃棄を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の方法では、商品の値下や廃棄などの処理を、店員が忘れてしまうことがあり、値下しても販売する予定だった加工品も、値下を行わず、販売期限を過ぎてしまうという販売ロスがあったり、また販売期限が過ぎたら廃棄する予定だった加工品も、販売期限が過ぎていても、廃棄されずに、商品陳列棚にそのまま放置されてしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、店員の商品の値下や廃棄などの処理忘れによる販売ロスがなく、販売期限が過ぎたら廃棄する予定の加工品が商品陳列棚に放置されることのないラベル発行機能を備えた装置(ラベル発行装置や秤装置)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、商品識別情報を印字したラベルを発行するラベル発行機能を備えた装置において、発行したラベルを特定することが可能なラベル識別情報をラベルに印字するラベル識別情報印字手段と、値下、リパック、廃
棄に関する案内を報知するための案内開始時間を記憶する案内開始時間記憶手段と、ラベルを発行した際、少なくとも、ラベル識別情報、価格と、加工日時或いは消費期限或いは案内開始日時を記憶するラベル発行情報ファイルと、ラベル発行情報ファイルの加工日時或いは消費期限或いは案内開始日時による、案内開始日時に、値下、リパック、廃
棄に関する案内を報知する案内報知手段と、を備え、前記案内報知手段は、前記値下、リパック、廃棄などの案内を各案内毎に括った案内レポートを出力する出力手段を有することを特徴とする。
【0010】
なお、上記ラベル発行機能を備えた装置においては、案内開始時間記憶手段が、消費期限の何時間前に案内を報知するかの案内開始時間数を商品毎に記憶していることが好ましい。
【0011】
また、上記ラベル発行機能を備えた装置においては、案内報知手段が案内を画面上に表示する表示手段及び印字して報知する印字手段を備えることが好ましい。
【0012】
また、上記ラベル発行機能を備えた装置においては、値下、リパック、廃棄の少なくとも一つに関する案内を商品毎に記憶していることが好ましい。
【0013】
また、上記ラベル発行機能を備えた装置においては、一度報知した案内は次回案内では報知しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ラベル発行情報ファイルの加工日時或いは消費期限或いは案内開始日時による、案内開始日時に、値下、リパック、廃棄の少なくとも一つに関する案内を報知する案内報知手段を備えたので、例えば値下しても売りたいと思う商品を売らずに廃棄してしまうという人為的ミスによる販売ロスを防ぐことができる。また、商品陳列棚に適正な商品だけを陳列でき、販売期限が過ぎたら廃棄する予定の加工品や消費期限日時の過ぎた商品が放置されたままとなることを防止できる。
【0015】
また、記憶手段が、消費期限の何時間前に案内を報知するかの案内開始時間数を商品毎に記憶するように構成すれば、商品毎に売れ数が異なる場合にその売れ数を考慮し、商品毎に消費期限の何時間前に案内を開始するかを決めることができる。
【0016】
また、案内報知手段が印字手段を備えるように構成すれば、案内の内容を印字して、それを持参して陳列棚に行き、その印字を参照しながら、値下、廃棄などの業務を実行できる。
【0017】
また、値下、リパック、廃棄に関する案内を商品毎に記憶するように構成すれば、容易に値下や廃棄の業務を実行できる。
【0018】
また、一度報知した案内を次回案内では報知しないように構成すれば、現在の必要な情報だけを取得することができ、効率的に値下、廃棄等の業務を遂行できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るラベル発行装置のブロック構成例を示す図である。図示するように、ラベル発行装置1は、制御部2、バーコードリーダー3、印字部4、操作部5、表示部6を備えている。制御部2は、CPU(中央処理装置)10、ROM11、RAM12を具備する。CPU10はROM11に記憶された動作プログラムを読み出して実行することにより、ラベル発行装置全体を制御する処理装置である。RAM12は書換え可能メモリで、CPU10が動作するために必要なワークエリアを具備し、各種設定データを記憶する。バーコードリーダー3は、商品ラベルに表示されたバーコードを読み取るもので、装置本体にコードで接続されている。なお、バーコードリーダー3は、コードにより接続タイプに限定されるものではなく、ラベル発行装置本体に一体に組み込んだタイプでもよい。
【0021】
図2は本発明に係るラベル発行装置を備えた量販店の平面配置例を示す図である。図中上側はバックヤードであり、生鮮食品等を加工し、該加工した商品を包装して値付けをするエリアであり、本発明に係るラベル発行装置1が配置されている。また、図中下側は出口、入口が設けられた売り場であり、該売り場には、複数の商品陳列棚が配置されている。また、売り場にチェックアウトカウンタCC(レジスタ)が配置され、これによって顧客は購入する商品の清算をする。ここでチェックアウトカウンタCCは、所定の演算手段や記憶手段等を具備している。チェックアウトカウンタCCとラベル発行装置1は、図示しないLAN等の通信手段で接続され、各種データの送受信ができるようになっている。
【0022】
上記のように売り場の商品陳列棚に陳列した商品は顧客が手で触ったり出し入れする等を行うため、時間の経過と伴に包装状態の外観等が悪くなる場合がある。その場合は外観の悪くなった包装を取り外し、再度包装している。また、包装せずボール又は皿等の大きな容器に収納した加工品も量が少なくなった場合、その加工品を包装し、別の商品陳列棚に移動し陳列している。これらの場合、再びその加工品の商品名、値段等を示す情報をラベルに印刷して、包装した加工品に貼り付けている。また、商品によっては販売期限前の所定時間になったら値下して販売するものと、該時間が過ぎたら廃棄処分するものとがある。
【0023】
図3は本発明に係るラベル発行装置1の初回ラベル発行処理フローを示す図である。先ず商品識別情報(番号)を入力し(ステップST100)、実行キーを押下する(ステップST102)。入力された商品識別情報に該当する商品データを商品ファイルから取得する(ステップST104)。次に現在日時に消費期限時間数を加え消費期限日時データを生成する(ステップST106)。次に消費期限日時より案内開始時間数を減算し、案内開始日時を生成する(ステップST108)。現在のラベル識別情報(番号)の最大値を検索し、その番号に1を加える(ステップST110)。次にラベル印字情報を表示部6に表示する(ステップST112)。次に実行キーを押下げ(ステップST114)、ラベルを発行する(ステップST116)。続いてラベル発行情報をラベル発行情報ファイルに記憶する(ステップST118)。
【0024】
図4は、ラベル発行装置1の印字部4から発行されるラベルの例を示す図である。図示するように、ラベル20には、商品名21、消費期限22、商品識別番号23、ラベル識別番号(製造番号)24、原材料25、添加物26、価格28、内容量29、内容量単価30等の各種情報が印字されている。作業者はバックヤード(
図2参照)で、加工品の包装を行い、この包装した加工品にラベル発行装置1で発行した、
図4に示すようなラベルを貼り付け、商品陳列棚に陳列する。このラベル印字情報は
図6に示すラベル発行情報ファイルと、
図7に示す商品ファイルのファイルレイアウトとラベル発行装置1の作業により実現している。
【0025】
図5は本発明に係るラベル発行装置1で行う案内を報知する案内処理フローを示す図である。この案内処理フローを行うプログラムはラベル発行処理フローを行うプログラムとマルチタスクで動作するようになっている。
図5に基づいて案内処理を説明する。先ず前回チェックより60秒以上経過したかを判断し(ステップST200)、YESであったら次に現在日時より大きい(遅い)案内開始日時があるかを判断する(ステップST202)。ここでYESであったら、次にラベル発行操作中かを判断し、即ち
図3のステップST100〜ステップST118の処理中かを判断し(ステップST204)、NO、即ちラベル発行操作中でなかったら、表示部6に
図9に示すような案内画面を表示する(ステップST206)。この案内画面を確認して確認キーを押下げ(ステップST208)、
図10に示すような案内レポートをラベル発行装置1の印字部4から印字発行する(ステップST210)。ステップST210の処理の後、ステップST200へ戻る。なお、当該フローはラベル発行装置の電源がオンになると自動的にスタートし、電源オフにより自動的にエンドとなる。
【0026】
図6はラベル発行情報ファイル例のレイアウトを示す図であり、ラベル発行情報ファイルには、ラベル識別情報、商品識別情報、加工日時、消費期限日時、案内開始日時、案内開始時間数、案内文言番号、単価(価格)、報知有無の項目が設けられている。このラベル発行情報ファイルは、ラベル発行装置1のRAM12又はチェックアウトカウンタCC(
図2参照)の記憶装置等の外部の記憶装置に記憶される。
【0027】
・ラベル識別情報:6桁の数値で記憶される。
・商品識別情報:13桁の数値で記憶され、この数値は後述する商品ファイルの商品識別情報に対応している。
・加工日時:商品の加工された日時を記憶する。加工日時に消費期限時間数を加えると、消費期限(消費期限日時)となり、該消費期限日時に案内開始時間数を加えると、案内開始日時になる。
・消費期限日時:ラベル発行時(加工日時)に商品ファイルの消費時間数を加算し記憶する。
・案内開始日時:消費期限日時より案内開始日時を減算して記憶する。
・案内開始時間数:商品ファイルの案内開始時間数をコピーする。
・案内文言番号:商品ファイルの案内文言番号をコピーする。
・単価(価格):ラベルを印字した時の単価(価格)を記憶する。
・報知有無:案内報知の有無を記憶する。「0」は未報知、「1」は報知済みを意味する。
【0028】
図7は商品ファイル例を示す図であり、商品ファイルには、商品識別情報、商品名、単価(価格)、消費期限時間数、案内開始時間数、案内文言番号、定貫,不定貫フラッグ、原材料、添加物の項目が設けられている。この商品ファイルも上記ラベル発行情報ファイルと同様、RAM12又はチェックアウトカウンタCCの記憶装置等の外部の記憶装置に記憶される。
【0029】
・商品識別情報:13桁の数値であり、この数値は上記ラベル発行情報ファイルの商品識別情報に対応している。
・商品名:ラベルに印字する商品名を記憶する。
・単価(価格):ラベルに印字する単価(価格)を記憶する。
・消費期限時間数:商品毎の消費期限時間数を記憶する。
・案内開始時間数:消費期限日時の何時間前に案内を行うかの時間数を記憶する。
・定貫,不定貫フラグ:計量売り商品か非計量売り商品かを識別するフラグで、「1」は非計量売り商品、「2」は計量売り商品を示す。
・原材料:ラベルに印字する原材料を記憶する。
・添加物:ラベルに印字する添加物を記憶する。
【0030】
図8は案内文言ファイル例を示す図である。案内文言ファイルには、案内文言番号と案内文言の項も設けられている。
・案内文言番号:4桁の数値であり、この数値は
図6のラベル発行情報ファイル、
図7の商品ファイルの案内文言番号に対応している。
・案内文言:表示部6の案内画面、及び印字部4で印字される案内レポートに出力する文言である。
【0031】
図9は案内画面の例を示す図である。案内画面は案内部に表示され、図では「値引、廃棄、リパック検討する商品が3件あります。」と表示されると共に、「確認」キーが表示されている。
【0032】
図10は案内レポートの例を示す図である。図示するように案内レポートには、値下を検討する商品の「製造番号」、「商品名」、「加工日時」、「消費期限」、廃棄を検討する商品の「製造番号」、「商品名」、「加工日時」、「消費期限」、リパックを検討する商品の「製造番号」、「商品名」、「加工日時」、「消費期限」を案内文言番号毎に括って印字して発行される。この案内レポートは、実際にラベルに印字される。なお、案内文言番号に該当する案内が存在しない場合、サブタイトル(以下の商品をリパックして下さい。など)も印字しない。
【0033】
なお、上記実施形態例では、ラベル発行装置で案内をする例を説明したが、小売店に備えられるラベル発行機能を有する秤装置にこのような案内機能を持たせてもよい。
【0034】
また、
図3に示すラベル発行処理フローのステップST100では、商品識別情報(番号)の入力を行っているが、商品識別番号をバーコード化し、該バーコード化した商品識別番号をバーコードリーダー3で読み取るようにしてもよい。
【0035】
また、ラベル識別情報の取得は、ラベル毎にユニークに識別するために
図3のラベル発行処理フローのステップST110の通り、現在のラベル識別情報の最大値を検索し、その値に1を加えているが、現在の使用済みラベル識別情報の最大値、又は現在の使用済みラベル識別情報の最大値に1を加えた値をラベル発行情報ファイル(
図6参照)とは別のファイルに記憶しておき、その値を使用するようにしてもよい。
【0036】
また、案内開始時間数を商品毎に記憶することが好適であるが、商品毎のきめ細かな対応を必要としていない場合、商品ファイル以外の別のファイルに案内開始時間数の固定値を記憶するようにしてもよい。
【0037】
また、例えば用途別に小分類、中分類、大分類等の分類が存在する場合、それらの分類に案内開始時間数を記憶するようにしてもよい。また、案内報知は音声出力部を備えて音声にて行っても良い。
【0038】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、ラベル識別情報は数値だけで示した(
図4参照)が、ラベル識別情報をバーコード化して、該バーコードも合わせてラベルに印字するようにしてもよい。また、本発明に係るラベル発行機能を備えた装置と、精算端末とを組合わせ、精算端末で、商品登録時に前記バーコード化されたラベル識別情報を読み取ることで、ラベル発行情報ファイル(
図6参照)の報知有無の項目(フィールド)に報知済みを意味する「1」のデータを記憶し、販売済みの加工品に関しては、当該の案内を報知する加工品から除外してもよい。