特許第5819079号(P5819079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5819079
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】電気錠の防滴構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 47/00 20060101AFI20151029BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   E05B47/00 J
   E05B65/06 E
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-52529(P2011-52529)
(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公開番号】特開2012-188847(P2012-188847A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【弁理士】
【氏名又は名称】衡田 直行
(72)【発明者】
【氏名】浦田 藤久
【審査官】 佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−127782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施解錠機構を収納する錠ケースに挿通穴を設け、該挿通穴を介して前記施解錠機構の配線を前記錠ケースの外部に導出するように構成された電気錠の防滴構造であって、
前記錠ケースには、前記施解錠機構の収納空間とは区画された配線導出部が設けられ、該配線導出部は、前記挿通穴から前記錠ケースの外部に導出された前記配線が折り返し姿勢で収容されるように構成されていることを特徴とする電気錠の防滴構造。
【請求項2】
前記配線導出部は、前記錠ケースの周壁から外側に向かって延出するはね出し部と、前記周壁との間に前記配線の折り返し空間が形成されると共に該折り返し空間に対する前記配線の取入口と取出口が形成されるように前記はね出し部に突設されるフックと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気錠の防滴構造。
【請求項3】
前記錠ケースは、ケース本体と、該ケース本体の内部に設けられて前記施解錠機構の電装品を収納する電装品収納ケースと、を備え、前記配線導出部は前記電装品収納ケースの上端隅に傾斜姿勢で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気錠の防滴構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠の錠ケースに適用される防滴構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションやホテル等の建物の扉には、キー操作やICカードの挿入等に伴って、扉に設けられた施解錠機構を電気的に駆動させる「電気錠」が用いられている。一般的な電気錠においては、施解錠機構を収納する錠ケースに挿通穴を設け、この挿通穴を介して施解錠機構の配線を錠ケースの外部に導出するように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−332765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を採用すると、結露による水滴や雨水が配線を伝って錠ケース内に浸入し、施解錠機構を構成する電装品(例えば、基板)に付着して、電装品を損傷する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、結露による水滴や雨水が配線を伝って錠ケース内に浸入するのを抑制して、錠ケース内に設けられた施解錠機構の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気錠の防滴構造は、施解錠機構を収納する錠ケースに挿通穴を設け、該挿通穴を介して前記施解錠機構の配線を前記錠ケースの外部に導出するように構成された電気錠の防滴構造であって、前記錠ケースには、前記施解錠機構の収納空間とは区画された配線導出部が設けられ、該配線導出部は、前記挿通穴から前記錠ケースの外部に導出された前記配線が折り返し姿勢で収容されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
更にまた、本発明に係る防滴構造は、前記配線導出部は、前記錠ケースの周壁から外側に向かって延出するはね出し部と、前記周壁との間に前記配線の折り返し空間が形成されると共に該折り返し空間に対する前記配線の取入口と取出口が形成されるように前記はね出し部に突設されるフックと、を備えていても良い。
【0008】
また、本発明に係る防滴構造は、前記錠ケースは、ケース本体と、該ケース本体の内部に設けられて前記施解錠機構の電装品を収納する電装品収納ケースと、を備え、前記配線導出部は前記電装品収納ケースの上端隅に傾斜姿勢で形成されていても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、結露による水滴や雨水が配線を伝って錠ケース内に浸入するのを抑制して、錠ケース内に設けられた施解錠機構の損傷を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る電気錠の正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電気錠の防滴構造を示す正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電気錠の防滴構造を示す背面図である。
図4図2のA−A断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電気錠の防滴構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、説明の便のため、上下、左右、前後等の方向を示す語は、図1を基準として用いる。
【0012】
まず、図1を用いて電気錠1の全体の構成について説明する。図1に示されるように、本実施形態の電気錠1は、ドア2の木口3に沿って設けられる錠ケース4を備えている。錠ケース4は、この錠ケース4の外形を成す縦長形状のケース本体5と、ケース本体5の内部の上端部から上下方向中央部にかけて収納された電装品収納ケース6と、を備えている。
【0013】
ケース本体5は、正面が開口されて扁平な箱型形状を成しており、蓋体7によって正面の開口が閉止されている。なお、蓋体7は、ケース本体5の正面側の上端から下端まで設けられているが、図1においては蓋体7の上端部のみを表示している。ケース本体5及び蓋体7は、例えばSPCC等の鋼材により形成されている。
【0014】
ケース本体5の左板8にはフロント板10が上下方向に固定され、左板8とフロント板10の下部には、それぞれ出入口11、12が水平方向に穿設されている。ドア2が取り付けられている扉枠13には、出入口11、12と対応する高さにストライク14が設けられ、ストライク14には、出入口11、12と対向する位置にストライク穴15が設けられている。
【0015】
ケース本体5の下端には、出入口11、12と対応する高さに、デッドボルト16が水平方向スライド可能に収納されている。デッドボルト16の上面には左右一対の係合突起17a、17bが設けられている。デッドボルト16の上方には、ダルマ18が回転可能に設けられ、ダルマ18には、下方に向かって作動アーム20が突設されるとともに、上端部に従動ギア21が設けられている。
【0016】
電装品収納ケース6は、正面が開口されて扁平な箱型形状を成しており、電装品収納蓋体22によって正面の開口が閉止されている。なお、電装品収納蓋体22は、電装品収納ケース6の正面側の左端から右端まで設けられているが、図1においては電装品収納蓋体22の左端から中央部までのみを表示している。電装品収納ケース6及び電装品収納蓋体22は、例えば、透明なPC(ポリカーボネート)樹脂等により形成されている。
【0017】
電装品収納ケース6の右側部には、電装品としての駆動モーター23が略鉛直姿勢で収納されている。駆動モーター23には下方に向かってモーター軸24が設けられ、モーター軸24には駆動ギア25が同軸上に設けられている。この駆動ギア25は、例えば複数のギアによって構成される伝達機構(図示せず)を介して、ダルマ18に設けられた従動ギア21と接続されている。電装品収納ケース6には、駆動モーター23の上方から左方にかけて電装品としての基板26が収納されている。基板26は、接続配線27を介して駆動モーター23と接続されている。
【0018】
以上のように、本実施形態では、基板26と、駆動モーター23と、伝達機構と、ダルマ18と、デッドボルト16と、によって、錠ケース4に収納される施解錠機構29の主要部が構成されている。なお、施解錠機構29は、上記した各部材の他に、例えば、デッドボルト16の突出姿勢を保持するためのストッパー(図示せず)等を備えている。
【0019】
基板26の上部にはコネクター28が固定され、このコネクター28には4本の配線30が取り付けられている。そして、この4本の配線30を介して、基板26が錠ケース4の外部(例えば、ドア2の壁面や建物の壁面)に設けられた制御部31と接続されている。制御部31は、例えば、テンキーや操作キーからの入力情報(例えば、暗証番号)、無線リモコンキーや携帯電話から送信される施解錠指示情報、磁気カード、ICカード等のカード情報等の各種情報を取得してこれらの情報の照合を行い、この照合結果に基づいて、基板26を介して駆動モーター26に対して施解錠信号を出力するように構成されている。
【0020】
上記の如く構成されたものにおいて、制御部31から基板26を介して駆動モーター23に施錠信号が出力されると、駆動モーター23のモーター軸24及び駆動ギア25が一方向に回転する。この駆動ギア25の回転は、伝達機構(図示せず)を介してダルマ18の従動ギア21に伝達され、ダルマ18が図面上時計回りに回転する。これに伴って、図1に二点鎖線で示されるように、ダルマ18の作動アーム20がデッドボルト16の左側の係合突起17aを左方に押圧して、デッドボルト16が左方向にスライドする。そして、デッドボルト16の先端部が出入口11、12を介してフロント板10の左方に突出し、ストライク14のストライク穴15に進入して、ドア2が施錠される。
【0021】
一方で、制御部31から基板26を介して駆動モーター23に解錠信号が出力されると、駆動モーター23のモーター軸24及び駆動ギア25が施錠時とは逆方向に回転する。この駆動ギア25の回転は、伝達機構(図示せず)を介してダルマ18の従動ギア21に伝達され、ダルマ18が図面上反時計回りに回転する。これに伴って、図1に実線で示されるように、ダルマ18の作動アーム20がデッドボルト16の右側の係合突起17bを右方に押圧して、デッドボルト16が右方に向かってスライドする。これに伴って、デッドボルト16の先端部がストライク14のストライク穴15から離脱し、ケース本体5内に復帰する。これにより、ドア2が解錠される。
【0022】
次に、本実施形態における電気錠1の防滴構造について、図2図5を用いて説明する。なお、図2及び図3においては、ケース本体5及び電装品収納蓋体22の記載が省略されている。また、図4においては、配線30の記載が省略されている。
【0023】
図2図3に示されるように、電装品収納ケース6には、この電装品収納ケース6の右側壁40の上端に設けられた傾斜壁(周壁)41と、傾斜壁41の前端部から外側(本実施形態では右上側)に向かって延出するはね出し部42と、はね出し部42の後面43に突設されたフック44と、が設けられている。
【0024】
傾斜壁41の右下端部は、傾斜壁41と垂直に設けられた下側接続壁45を介して電装品収納ケース6の右側壁40の上端と接続されている。傾斜壁41の左上端部は、傾斜壁41と垂直に設けられた上側接続壁46を介して電装品収納ケース6の上端壁47の右端と接続されている。
【0025】
傾斜壁41の外側には、凹部状の配線導出部48が設けられている。配線導出部48は、傾斜壁41、下側接続壁45、上側接続壁46及びはね出し部42によって、施解錠機構29の収納空間(ケース本体5及び電装品収納ケース6の内部空間)とは区画されており、配線導出部48の後面は開口されている(図4参照)。配線導出部48は、傾斜壁41が傾斜していることに伴って、傾斜姿勢で電装品収納ケース6の右上端隅に形成されている。
【0026】
図2に最も良く示されるように、はね出し部42の前面49の下部中央には、正面視で矩形状を成す凹部50が後方に向かって設けられ、これに伴って、跳ね出し部42の後面43の下部中央には、後方に向かって突部70(図3参照)が形成されている。電装品収納蓋体22には、凹部50と対応する位置に突起状のリブ部(図示せず)が設けられている。そして、電装品収納蓋体22を電装品収納ケース6に装着するのに伴ってリブ部が凹部50内に挿入されて、リブ部と凹部50の内面が所定の間隔を介して対向するように構成されている。
【0027】
凹部50の下方には、直線状の下縁部51が形成されている。はね出し部42の上部には、前方に向かって突出壁52が設けられている。突出壁52は、ケース本体5の右上隅部に設けられた上端開口部53を介して、ケース本体5の外面から露出している(図5参照)。
【0028】
突出壁52には、前面が開口された一対の挿通溝54が突出壁52の内面から外面まで設けられている。そして、電装品収納ケース6に電装品収納蓋体22を装着するのに伴って、挿通溝54の前面が電装品収納蓋体22の後面によって閉止されて、突出壁52の内面から外面に至る一対の挿通穴55が形成されるように構成されている。挿通溝54には、複数の突起56が設けられている。突出壁52の長さ方向両端部には、それぞれ左方と下方に向かって折曲部57が設けられ、各折曲部57には、電装品収納蓋体22を電装品収納ケース6に固定する固定ネジ59(図5参照)を挿入するための固定ネジ穴58が穿設されている。
【0029】
フック44は、傾斜壁41、下側接続壁45及び上側接続壁46とは、所定の間隔を介して設けられている。これにより、配線導出部48には、傾斜壁41とフック44の間に、折り返し空間60が形成されるとともに、この折り返し空間60に対する取入口61及び取出口62がフック44の両側に形成されている。フック44は、その先端面が電装品収納ケース6の裏面と面一になるように、はね出し部42からの突出幅が調節されている。
【0030】
フック44は、傾斜壁41と平行に設けられた平板部63と、この平板部63の底面の中央から平板部63と垂直に延設された支持部64と、を備えており、正面視でT字状を成している。図3及び図5に示されるように、平板部63の上面65には、両側片68と、この両側片68を連結する連結片69と、から成る平面視コ字状の係合凹部66が設けられ、ケース本体5に電装品収納ケース6を取り付けた状態において、ケース本体5の右上隅部に設けられた係合突起67が係合凹部66に係合するように構成されている。
【0031】
上述の如く構成された錠ケース4の組み立ての一例について、以下に説明する。
【0032】
まず、駆動モーター23及び基板26を電装品収納ケース6に収納した状態で、基板26のコネクター28に接続された4本の配線30を一対の挿通溝54に2本ずつ挿入し、電装品収納蓋体22を電装品収納ケース6に装着する。これにより、各挿通穴55を介して4本の配線30が電装品収納ケース6の外部に導出されるとともに、電装品収納ケース6の正面の開口が閉止される。その際、各配線30は、凹部50の下方においてはね出し部42の下縁部51に当接するとともに、電装品収納蓋体22のリブ部によって各配線30が凹部50に押さえ付けられる。
【0033】
次に、4本の配線30を、配線導出部48に設けられた取入口61に上方から挿入し、下方からフック44に巻き掛けて、取出口62から配線導出部48の外部に取り出す。これにより、挿通穴55から電装品収納ケース6の外部に導出された各配線30が、配線導出部48に折り返し姿勢で収容される(図3参照)。この状態で、電装品収納ケース6をケース本体5に装着すると、配線導出部48の後面がケース本体5の前面によって閉止される(図4参照)。同時に、フック44の先端面がケース本体5の前面に当接する。この状態で、ケース本体5に蓋体7を装着することで、錠ケース4の組み立てが完了する。
【0034】
本実施形態では上述の如く、施解錠機構29の収納空間とは区画された配線導出部48を錠ケース4に設け、この配線導出部48に、挿通穴55から錠ケース4の外部に導出される各配線30を折り返し姿勢で収容している。このような構成を採用することで、結露による水滴や雨水が各配線30を伝ったとしても、この水滴や雨水が配線導出部48において各配線30の表面から除去されるため、水滴や雨水が施解錠機構29の収納空間に浸入するのを抑制することが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では、電装品収納ケース6の上端隅に配線導出部48が傾斜姿勢で設けられているため、配線導出部48に溜まる水滴や雨水を効率良く取出口62から外部に排出することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、傾斜壁41から延出するはね出し部42に挿通穴55を設けると共に、傾斜壁41の外側に配線導出部48を設けている。そのため、挿通穴55と配線導出部48を近接させることが可能となり、各配線30を伝って水滴や雨水が挿通穴55から電装品収納ケース6内に浸入するのを一層効果的に抑制することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態においては、電装品収納ケース6に設けられたフック44に、各配線30を巻き掛けることで、各配線30の折り返しを可能としている。このような構成を採用することにより、各配線30の折り返し作業の容易化を図ることが可能になるとともに、各配線30が配線導出部48から不用意に脱落するのを防止することが可能となる。
【0038】
また、フック44には、平板部63から延設される支持部64が設けられており、支持部64が傾斜壁41との間で各配線30を挟み込むため、折り返し作業中の各配線30の脱落を抑制することが可能となり、各配線30の折り返し作業が一層容易になる。また、支持部64を設けることで、平板部63のみからなるフック44に各配線30を巻き掛ける場合よりも各配線30を緩やかに折り返すことが可能となり、極端な折り返しによって各配線30が損傷するのを抑制することが可能となる。
【0039】
また、各配線30を配線導出部48に収容した後、電装品収納ケース6をケース本体5に装着するのに伴って、フック44の先端面がケース本体5の表面に当接するように構成されている。そのため、電装品収納ケース6をケース本体5に装着した後に各配線30が配線導出部48から不用意に脱落するのを、一層確実に抑制することが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態ではこのように、フック44の先端面をケース本体5の前面と当接させているが、他の異なる実施形態では、例えば、各配線30の直径よりも短い対向幅で、フック44の先端面をケース本体5の前面に近接させても良い。この場合にも、各配線30が配線導出部48から不用意に脱落するのを、確実に抑制することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、挿通穴55に突起56が設けられているため、挿通穴55に配線30を密接させることが可能となる。そのため、水滴や雨水が配線30を伝って挿通穴55から電装品収納ケース6内に浸入するのを、抑制することが可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、凹部50の下方において各配線30がはね出し部42の下縁部51に当接しており、万一、挿通穴55から配線30を伝って少量の水滴や雨水が電装品収納ケース6内に浸入しても、この水滴や雨水が下縁部51で各配線30から除去されて、凹部50内に誘導される。そのため、電装品収納ケース6内の駆動モーター23や基板26が、水滴や雨水によって破損されるのを、一層効果的に抑制することが可能となる。
【0043】
また、前述の如く電装品収納蓋体22のリブ部によって各配線30が凹部50に押さえ付けられる。そのため、錠ケース4の組み立て作業中や組み立て完了後に各配線30が錠ケース4の外側から引っ張られても、凹部50に押さえ付けられている部分で上記した引張りに伴う張力を遮断することができ、各配線30とコネクター28の接合部が損傷するのを防止することが可能となる。また、リブ部で各配線30を押さえ付けることで、各配線30を固定するためのブッシュ部材等を設ける必要が無くなり、錠ケース4の構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0044】
本実施形態では、フック44の上側を配線30の取入口61とし、フック44の下側を配線30の取出口62としたが、他の異なる実施形態では、これとは逆に、フック44の下側を配線30の取入口61とし、フック44の上側を配線30の取出口62としても良い。即ち、配線30は、上側から配線導出部48に引き入れるのでも、下側から配線導出部48に引き入れるのでも良い。
【0045】
本実施形態では、挿通穴55に配線30を挿通させてから配線導出部48に配線30を収容する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、配線導出部48に配線30を収容してから挿通穴55に配線30を挿通させても良い。
【0046】
本実施形態では、電装品収納ケース6に配線導出部48を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態においては、電装品収納蓋体22に配線導出部48を設けても良い。更に、電装品収納ケース6を用いないような場合には、ケース本体5や蓋体7に配線導出部48を設けても良い。
【0047】
本実施形態では、電装品収納ケース6の周壁の一部を成す傾斜壁41に配線導出部48を設けたが、他の異なる実施形態では、例えば、錠ケース4を構成する部材の周壁の一部を成す上側壁、側壁等に配線導出部48を設けても良い。この場合にも、挿通穴55から錠ケース4内に水滴や雨水が浸入するのを抑制するためには、挿通穴55と近接して配線導出部48を設けることが好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1 電気錠
4 錠ケース
5 ケース本体
6 電装品収納ケース
23 駆動モーター(電装品)
26 基板(電装品)
29 施解錠機構
30 配線
41 傾斜壁(側壁)
42 はね出し部
44 フック
48 配線導出部
55 挿通穴
60 折り返し空間
61 取入口
62 取出口
図1
図2
図3
図4
図5