特許第5819085号(P5819085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5819085-入出力制御装置 図000002
  • 特許5819085-入出力制御装置 図000003
  • 特許5819085-入出力制御装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5819085
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】入出力制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/10 20060101AFI20151029BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20151029BHJP
   G06F 12/00 20060101ALI20151029BHJP
   G06F 9/48 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   G06F13/10 340A
   G06F3/06 301E
   G06F12/00 531M
   G06F12/00 514A
   G06F9/46 452B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-79943(P2011-79943)
(22)【出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2012-216004(P2012-216004A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】パナソニックヘルスケアホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】神澤 嘉範
【審査官】 小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−199367(JP,A)
【文献】 特開2010−152571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/10
G06F 3/06
G06F 9/48
G06F 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要求元から送信されるI/O要求を受信し、要求元毎に及びアプリケーションプログラム毎に用意されたI/Oリストに受信したI/O要求を登録するI/O要求受信部と、I/Oリスト毎に優先度を保持するI/O優先度保持部と、入出力対象のI/O装置に送るI/O要求を格納するI/Oキューと、
を有し、
アプリケーションプログラムの一つであるバックアッププログラムの優先度は、前記アプリケーションプログラムの他のプログラムの優先度よりも相対的に低く設定されており、その設定の結果として、前記バックアッププログラムの処理時間は、前記他のプログラムの処理時間よりも相対的に短く設定されており、
前記I/O優先度保持部から所定の順番で循環式に選択されたI/Oリスト毎の優先度を読み出し、前記バックアッププログラムの優先度の設定の結果として相対的に短く設定された前記バックアッププログラムの処理時間、及び、前記アプリケーションプログラムの他のプログラムの優先度の設定の結果として相対的に長く設定された前記他のプログラムの処理時間だけ繰り返して、当該I/Oリストに登録された前記バックアッププログラム及び前記他のプログラムに対応するI/O要求の読み出しとI/Oキューへの格納を実行するI/O発行部と、
ユーザのリクエストに応じて前記I/O優先度保持部の内容を変更する優先度設定部と、
をさらに有することを特徴とする入出力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップを行うシステムとしては特許文献1のものがある。これは、対象となるクライアントの起動用OSイメージをバックアップサーバが作成してメディアに記録するので、そのメディアを介して起動用OSをクライアントが導入して起動することにより、ネットワークを介してクライアントがバックアップサーバに接続される。その後、バックアップ対象のハードディスクやバックアップ先を選択してバックアップサーバに通知すると、バックアップ処理が行われた後、起動用OSが自動的に終了するものである。尚、個々のアプリケーションプログラムに実行時の優先度を設定することも従来から行われている。例えば、表側を走るサービスプログラムの優先度を高くし、裏で走るバックアッププログラムの優先度を低く設定する等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−358245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バックアップ処理では大量のファイルやデータを外部の記憶装置、例えばハードディスク装置等のファイル装置に記録する。その際、OS(オペレーティングシステム)に対して大量のI/O要求を発行するので、OSがその処理に忙殺されてしまって、表側で走っているアプリケーションプログラムの処理に悪い影響を与えてしまことがある。つまり、プログラムあるいはタスクとしての実行優先度は低くても、大量のI/O要求を発行すると他のアプリケーションプログラムのI/Oが待たされてしまい、結果としてアプリケーションプログラムの速度低下や反応の悪さとなって表れて、ユーザの使い勝手が低下していた。そこで、本願では、アプリケーションプログラムの走行中に並行してバックアップ処理を実行しても、アプリケーションプログラムに与える影響が少なくなるような入出力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、要求元から送信されるI/O要求を受信し、要求元毎に及びアプリケーションプログラム毎に用意されたI/Oリストに受信したI/O要求を登録するI/O要求受信部と、I/Oリスト毎に優先度を保持するI/O優先度保持部と、入出力対象のI/O装置に送るI/O要求を格納するI/Oキューと、を有し、アプリケーションプログラムの一つであるバックアッププログラムの優先度は、前記アプリケーションプログラムの他のプログラムの優先度よりも相対的に低く設定されており、その設定の結果として、前記バックアッププログラムの処理時間は、前記他のプログラムの処理時間よりも相対的に短く設定されており、前記I/O優先度保持部から所定の順番で循環式に選択されたI/Oリスト毎の優先度を読み出し、前記バックアッププログラムの優先度の設定の結果として相対的に短く設定された前記バックアッププログラムの処理時間、及び、前記アプリケーションプログラムの他のプログラムの優先度の設定の結果として相対的に長く設定された前記他のプログラムの処理時間だけ繰り返して、当該I/Oリストに登録された前記バックアッププログラム及び前記他のプログラムに対応するI/O要求の読み出しとI/Oキューへの格納を実行するI/O発行部と、ユーザのリクエストに応じて前記I/O優先度保持部の内容を変更する優先度設定部と、を備え、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバックアップシステムによれば、裏側で走っているバックアッププログラムのI/O処理の優先度を、表側で走っているアプリケーションプログラムのI/O処理の優先度より相対的に低く設定して処理するので、バックアップに係るI/O処理の負荷が抑えられてアプリケーションプログラムの処理への悪影響が軽減される。これによりユーザの使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のI/O処理に係る部分の構成を示す図である。
図2】実施形態のI/O要求受信部の動作を示すフローチャートである。
図3】実施形態のI/O発行部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態におけるバックアップシステムのI/O処理に係る部分の構成を図1に示す。10はアプリケーションプログラムであり、ここでは、ユーザインターフェースを備えたいわゆる表側で実行されるサービスプログラムのみならず、裏側で実行されてサービスプログラムが作成した各種データやファイルをバックアップ処理するバックアッププログラムもアプリケーションプログラムに含まれる。アプリケーションプログラム10は各種I/Oの必要が生じるとそのI/O要求をI/O要求送信部11がI/O受付部に送信する。また、アプリケーションプログラム10は複数が同時並行に実行可能であり、バックアッププログラムは表側のアプリケーションプログラムが運用中にもバックアップ処理を実行する。
【0009】
20はI/O受付部であり、送信されてきたI/O要求を受信するI/O要求受信部21と、受信したI/O要求を登録するI/Oリスト22と、I/Oリスト22に登録されているI/O要求を取り出してI/O処理部にI/O要求を発行するI/O発行部23と、優先度設定を保持するI/Oリスト優先度保持部24を備える。このI/Oリスト優先度保持部24はI/Oリスト22毎の優先度を管理するI/Oリスト優先度管理テーブルとして構成されている。
【0010】
I/Oリスト22はアプリケーションプログラム10毎に用意されており、送信されてきたI/O要求がそれを送信したアプリケーションプログラム10別に先入れ先出し方式でI/Oリスト22に溜められる。I/Oリスト22はそれぞれに優先度が設定され、その優先度がI/Oリスト優先度保持部24に登録されている。この優先度は本実施形態では当該I/Oリスト22に登録されているI/O要求をI/Oキュー31へ発行する処理(I/O要求をI/Oキュー31に格納する処理)を連続して行なうことができる時間の多小で設定される。優先度が高いものほど処理時間が多く割り当てられるので、それだけ多くのI/O要求を発行できる。また、このI/Oリスト優先度保持部24の内容は、アプリケーションプログラム10のリクエストを受けて、優先度設定部25が変更するようになっている。
【0011】
30はI/O処理部であり、I/O要求を先入れ先出し方式で格納するI/Oキュー31と、I/Oキュー31に格納されているI/O要求を順に取り出して、そのI/O要求の対象となるI/O装置にI/O即ち入出力を指示するI/O手段32とを備える。40はI/O装置であり、具体的には、例えば、ハードディスク装置で構成したファイル装置等が相当する。そして、これらI/O受付部20とI/O処理部30及びI/O装置40が入出力制御装置を構成する。
【0012】
ここで、図2および図3を参照して本実施形態の動作を説明する。図2はI/O要求受信部21の動作を表すフローチャートであり、図3はI/O発行部23の動作を表すフローチャートである。要求元であるアプリケーションプログラム10からI/O要求が送信されると、I/O要求受信部11がそれを受信し(ステップS21)、送信元のプログラムに対応するI/Oリスト22に登録する(ステップS22)。
【0013】
一方、I/O発行部23は、複数用意されているI/Oリスト22を所定の順番で循環式に選択し(ステップS31)、選択したI/Oリスト22について、そこに登録されたI/O要求を読み出し、その読み出したI/O要求をI/Oキュー31に格納する(ステップS33)。その際、I/O発行部23は、当該I/Oリスト22に設定された優先度を、I/Oリスト優先度保持部24を参照して取得し(ステップS32)、その優先度に対応した所定の処理時間だけ、I/Oリスト22からI/O要求を読み出してI/Oキュー31に格納する処理を、I/Oリスト22が空になるまで繰り返し実行する。そして、処理時間が経過するか、又はI/Oリスト22が空になると、そのI/Oリスト22に対する処理を終了し、次のI/Oリスト22を処理の対象として選択し、選択したI/Oリスト22について同様の処理を実行するものである。
【0014】
I/O処理部30のI/O手段32は、I/Oキュー31に格納されたI/O要求を先入れ先出し方式、即ち、古いものから新しいものへと順に取り出していって、入出力対象のI/O装置40に入出力を指示する処理を繰り返す。こうしてアプリケーションプログラム10のI/O要求がI/Oキュー31に格納され、格納された順にI/O装置40に送られて入出力処理が実行される。
【0015】
本実施形態では、アプリケーションプログラム10の1つであるバックアッププログラムには、他のアプリケーションプログラム19よりも相対的に低い優先度を設定している。バックアッププログラムが送信するI/O要求は、送信の都度すべてI/O要求受信部21により受信されてバックアッププログラム用のI/Oリスト22に一旦登録されるが、その後、I/Oキュー31への格納に際してこの優先度が効いてくる。
【0016】
つまり、バックアッププログラム用のI/Oリスト22には相対的に低い優先度が設定されているので、その低い優先度に対応して、I/O発行部23がバックアッププログラムの為に使えるI/O要求のI/Oキュー31への格納処理の処理時間が、他のアプリケーションプログラムに使える時間より短くなる。その為、バックアッププログラムのI/O要求がI/Oキュー31に格納される量が抑えられる。この結果、バックアッププログラムの入出力処理が、例えばユーザインターフェースを司る業務プログラム等のいわゆる表側で走るサービスプログラムの入出力処理よりも少なくなるので、それら業務プログラムの速度低下や反応速度低下によるユーザビリティの悪化を抑えることができるものである。
【0017】
また、ユーザ(アプリケーションプログラム10)からのリクエストに応じて、優先度設定部25がI/Oリスト優先度保持部24の内容を変更するので、使用状況や環境に応じて優先度を柔軟に設定してシステムを運用できるようになるものである。
【符号の説明】
【0018】
10 アプリケーションプログラム 20 I/O受付部 22 I/Oリスト 23 I/O発行部 24 I/Oリスト優先度保持部 30 I/O処理部
図2
図3
図1