特許第5819174号(P5819174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5819174
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月18日
(54)【発明の名称】縦型電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/24 20060101AFI20151029BHJP
   A47L 5/32 20060101ALI20151029BHJP
   A47L 9/32 20060101ALI20151029BHJP
【FI】
   A47L9/24 Z
   A47L5/32
   A47L9/32 B
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-268292(P2011-268292)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2013-118955(P2013-118955A)
(43)【公開日】2013年6月17日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100085501
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 静夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128842
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 温
(72)【発明者】
【氏名】二宮 光治
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−198012(JP,A)
【文献】 特開2003−180567(JP,A)
【文献】 特開2005−006681(JP,A)
【文献】 特開2006−158741(JP,A)
【文献】 特開2006−204631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/24
A47L 5/32
A47L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口体と、前記吸込口体に連結される掃除機本体とを備え、前記掃除機本体には集塵部及び電動送風機が配置される縦型電気掃除機において、
前記集塵部は前記掃除機本体の下部の集塵部取付部に着脱可能に装着され、装着時、前記吸込口体と前記掃除機本体との間に形成された第1吸気経路を通じて前記吸込口体に連通し、
前記掃除機本体の上部には当該掃除機本体の軸線と平行な棒状のハンドルが固定され、
前記掃除機本体の上部には先端に吸込管を備えた吸込ホースが配置され、前記吸込ホースは第2吸気経路を通じて前記集塵部に連通し、
前記掃除機本体には前記吸込管を収納するパイプホルダーが形成されており、
前記吸込管は外パイプと内パイプを伸縮可能に組み合わせたものであって、前記外パイプには当該吸込管の縮小状態を維持するロック装置が設けられており、
前記パイプホルダーの側には、前記吸込管が縮小状態で収納されているときに前記ロック装置の解除操作を阻止するロック解除阻止体が設けられており、
前記ロック装置は前記外パイプの側面に形成された外部室の内部に設けられており、前記内パイプに係合するロック体と、前記ロック体に一端が係合し、前記外部室の外側から押し込まれることで前記ロック体に前記内パイプとの係合を解除する動きを与えるシーソー状のロックボタンを含み、
前記ロック解除阻止体は、前記外部室の端面に形成された貫通孔から当該外部室内に入り込み、前記ロックボタンの押し込みを阻止する突起からなることを特徴とする縦型電気掃除機。
【請求項2】
前記パイプホルダーの軸線方向は前記掃除機本体の軸線方向と一致していることを特徴とする請求項に記載の縦型電気掃除機。
【請求項3】
前記吸込管は前記パイプホルダーに上方から挿入されることを特徴とする請求項1または2に記載の縦型電気掃除機。
【請求項4】
前記ハンドルの先端には当該ハンドルの軸線に斜めに交差するグリップ部が設けられ、前記グリップ部は前記パイプホルダーに収納された前記吸込管とそれに接続された前記ホースの組み合わせの上方に張り出していることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の縦型電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は縦型電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の電気掃除機を大別すると2種類になる。その1は車輪を有する掃除機本体に吸込ホースが接続され、吸込ホースには先端に吸込口体が接続された吸込管が接続され、吸込ホースで掃除機本体を引き回す、キャニスター型と呼ばれるものである。その2は集塵部と電動送風機を備えた掃除機本体を吸込口体に角度可変に連結した縦型あるいはアップライト型と呼ばれるものである。縦型電気掃除機には、キャニスター型電気掃除機のように不使用時の吸込ホースと吸込管の処理に手間をかける必要がなく、不使用時の占有床面積も比較的少なくて済むというメリットがある。
【0003】
一方、縦型電気掃除機には次のようなデメリットがある。それは床面以外の場所から塵埃を吸い取るのに適していないという点である。この欠点を補うため、常時床面に接している吸込口体に加えて、必要に応じ掃除機本体から伸ばすことができる吸込ホースと吸込管を備えた、2−wayタイプと呼ばれる縦型電気掃除機が開発された。その例を特許文献1、2に見ることができる。
【0004】
特許文献1に記載された縦型電気掃除機は、吸込口体に連結された掃除機本体に吸込管が設けられ、吸込管には先端に塵埃吸込口を有する伸縮管が接続されている。伸縮管を収容部から引き抜くと、それまで吸込口体に連通していた集塵室が吸込管と伸縮管の側に連通する。収容部に差し込まれた状態の伸縮管は掃除機本体のハンドル部として機能する。
【0005】
特許文献2に記載された縦型電気掃除機は、本体部の前方に上から入り込む形で取り付けられたハンドル部がホースで本体部と連通しており、ハンドル部を本体部から外せばハンドル部の先端に設けられた開口部から塵埃を吸い込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−125879号公報
【特許文献2】特開2005−168623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載された縦型電気掃除機は、いずれもハンドル部を塵埃吸引に利用するものであるため、吸込口体を使用できない箇所の塵埃を吸い取るためにハンドル部を引き抜くと、掃除機本体を手で支えることができなくなり、不安定な状態で掃除を行わねばならなかった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、吸込口体の他に吸込ホースと吸込管を備えた2−wayタイプの縦型電気掃除機において、吸込ホースと吸込管による掃除を安定した状態で行えるようにすることを目的とする。そして、パイプホルダーから吸込管を引き抜くとき、吸込管に接続された吸込ホースに無理がかからないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、吸込口体と、前記吸込口体に連結される掃除機本体とを備え、前記掃除機本体には集塵部及び電動送風機が配置される縦型電気掃除機において、前記集塵部は前記掃除機本体の下部の集塵部取付部に着脱可能に装着され、装着時、前記吸込口体と前記掃除機本体との間に形成された第1吸気経路を通じて前記吸込口体に連通し、前記掃除機本体の上部には当該掃除機本体の軸線と平行な棒状のハンドルが固定され、前記掃除機本体の上部には先端に吸込管を備えた吸込ホースが配置され、前記吸込ホースは第2吸気経路を通じて前記集塵部に連通し、前記掃除機本体には前記吸込管を収納するパイプホルダーが形成されており、前記吸込管は外パイプと内パイプを伸縮可能に組み合わせたものであって、前記外パイプには当該吸込管の縮小状態を維持するロック装置が設けられており、前記パイプホルダーには、前記吸込管が縮小状態で収納されているときに前記ロック装置の解除操作を阻止するロック解除阻止体が設けられていることを特徴としている。
【0010】
上記構成の縦型電気掃除機において、前記ロック装置は前記外パイプの側面に形成された外部室の内部に設けられており、前記内パイプに係合するロック体と、前記ロック体に一端が係合し、前記外部室の外側から押し込まれることで前記ロック体に前記内パイプとの係合を解除する動きを与えるシーソー状のロックボタンを含むことが好ましい。
【0011】
上記構成の縦型電気掃除機において、前記ロック解除阻止体は、前記外部室の端面に形成された貫通孔から当該外部室内に入り込み、前記ロックボタンの押し込みを阻止する突起からなることが好ましい。
【0012】
上記構成の縦型電気掃除機において、前記パイプホルダーの軸線方向は前記掃除機本体の軸線方向と一致していることが好ましい。
【0013】
上記構成の縦型電気掃除機において、吸込管は前記パイプホルダーに上方から挿入されることが好ましい。
【0014】
上記構成の縦型電気掃除機において、前記ハンドルの先端には当該ハンドルの軸線に斜めに交差するグリップ部が設けられ、前記グリップ部は前記パイプホルダーに収納された前記吸込管とそれに接続された前記ホースの組み合わせの上方に張り出していることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ハンドルが掃除機本体の上部に取り付けられている状態は不変であるから、吸込ホースと吸込管を掃除機本体から伸ばしたときも、掃除機本体を手で支持して安定させることができる。またパイプホルダーには、吸込管が縮小状態で収納されているときにその縮小状態を維持しているロック装置の解除操作を阻止するロック解除阻止体が設けられているから、吸込管が伸長状態になってパイプホルダーから引き抜かれることがなく、吸込ホースに無理な曲げが生じて吸込ホースが損耗するといった事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る縦型電気掃除機(以下、この段落において単に「縦型電気掃除機」と称する)の正面図である。
図2】縦型電気掃除機の垂直断面図である。
図3】縦型電気掃除機の右側面図である。
図4】縦型電気掃除機の左側面図である。
図5】縦型電気掃除機の背面図である。
図6】縦型電気掃除機の上面図である。
図7図5のVII−VII線に沿って切断した縦型電気掃除機の水平断面図である。
図8図5のVIII−VIII線に沿って切断した縦型電気掃除機の水平断面図である。
図9】縦型電気掃除機を、筐体の一部を切除した状態で斜め後方から見た斜視図である。
図10】集塵部を取り外した状態の縦型電気掃除機の正面図である。
図11】集塵部を取り外した状態の縦型電気掃除機の右側面図である。
図12】掃除機本体から取り外された集塵部の右側面図である。
図13】掃除機本体から取り外された集塵部を集塵容器とフィルタユニットに分離した状態の右側面図である。
図14図13の状態の斜視図である。
図15】ハンドル伸長時の縦型電気掃除機の正面図である。
図16】ハンドル伸長時の縦型電気掃除機の右側面図である。
図17図16と同様の縦型電気掃除機の右側面図であって、吸込管をパイプホルダーから引き抜いた状態を示すものである。
図18図17と同様の縦型電気掃除機の右側面図であって、吸込管が伸長状態にある状況を示すものである。
図19】パイプホルダーの入口部の斜視図である。
図20】パイプホルダーに吸込管が収納された状態を示す部分拡大断面図である。
図21】延長管のロック装置の動きについて説明する部分拡大断面図である。
図22】延長管に対する引留体の作用について説明する第1の部分拡大断面図である。
図23】延長管に対する引留体の作用について説明する第2の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図23までの図に基づき縦型電気掃除機1の構造を説明する。縦型電気掃除機1に正面から向き合う観察者の左手側が縦型電気掃除機1の左側面、右手側が縦型電気掃除機1の右側面であるものとする。
【0018】
縦型電気掃除機1は、床面に接地する吸込口体2と、吸込口体2に角度可変に連結される掃除機本体3を備える。吸込口体2と掃除機本体3を連結するのは吸込口体2の後部中央に設けられたユニバーサルジョイント4である。掃除機本体3は、ユニバーサルジョイント4を中心として、所定の角度範囲で背後に寝かせることと、所定の角度範囲でひねることの両方が可能である。ユニバーサルジョイント4は中空であり、後述する第1吸気経路の一部をなす。掃除機本体3は図1から図5に示すように吸込口体2の上に直立させることができ、その状態で自立する。
【0019】
吸込口体2は偏平な箱形の筐体2aを有する。筐体2aの後部の左右側面には車輪5が取り付けられ、また下面前端部には左右一対のローラ6が取り付けられており、これらの車輪とローラにより吸込口体2は床面上を軽快に移動できる。筐体2aの前部下面には左右方向に長い吸込口7が形成される。吸込口7はユニバーサルジョイント4に連通する。
【0020】
掃除機本体3は筒型の筐体3aを有する。筐体3aの下部は正面に向かって開口した集塵部取付部8となっており、ここに集塵部9が着脱可能に装着される。集塵部9の構造は後で説明する。筐体3aの内部には、集塵部9と直列をなすようにその上部に電動送風機10が配置される。電動送風機10は、ファンの部分を下、モータの部分を上にして、自身の軸線を筐体3aの軸線と平行にする形で設置されている。
【0021】
電動送風機10の背後には仕切板11が配置される。仕切板11は集塵部取付部8より上の筐体3aの内部空間を前後に仕切っており、前方の空間には電動送風機10が収納され、後方の空間には外部電源に接続して電動送風機10に給電するためのコードリール12が収納される。仕切板11には電動送風機10の駆動制御を行うための制御部品が取り付けられている。
【0022】
コードリール12はぜんまいバネの力でコード(図示省略)を巻き取る通常形式のものであり、仕切板11と筐体3aの間に掛け渡された水平軸13のまわりを回転する。水平軸13の軸線は筐体3aの前後方向に一致している。コードリール12は電動送風機10の上方にではなく背後に配置されているから、掃除機本体3の高さ方向のサイズダウンを図ることができる。また水平軸13の軸線が筐体3aの前後方向に一致しているから、コードリール12の最大幅方向は前後方向でなく左右方向となり、掃除機本体3の奥行き方向のサイズダウンを図ることができる。
【0023】
筐体3aの背面には、コードリール12が収納された空間から排気を行うための格子状の排気口14が形成されている。筐体3aの左側面にも、コードリール12が収納された空間から排気を行うための格子状の排気口15が形成されている。
【0024】
排気口15の上方にはコードリール12からコードを引き出すためのコード引出口16が形成されている。このため縦型電気掃除機1の背面側に立った使用者は、外部電源に接続するためコードを引き出すのに、右手を使ってコードを引き出すことができる。コード引出口16の上部にはローラ17が設けられており、使用者はローラ17でコードをしごくようにしてスピーディーにコードを引き出すことができる。筐体3aの上面にはコードリール12にコードの巻き取りを行わせるためのコード巻き取りボタン18が配置されている。
【0025】
筐体3aの右側面の上部には手掛け部19が設けられている。使用者が姿勢を低くしているとき、手掛け部19に手を掛ければ、後述するハンドルを握って引き上げなくても、そのままの姿勢で縦型電気掃除機1を持ち上げることができる。
【0026】
続いて集塵部9の構造を説明する。集塵部9は集塵部取付部8にはめ込まれたときに筐体3aと違和感なく一体化するデザインとされている。集塵部9は下部が集塵容器20、上部がフィルタユニット21と区分されている。フィルタユニット21には集塵部9を集塵部取付部8から取り外したり集塵部取付部8に取り付けたりするのに用いる手掛け部22が設けられている。手掛け部22は集塵部9が集塵部取付部8から外れないようにするラッチの機能を備える。
【0027】
集塵容器20はカップ形状であり、その上面開口にフィルタユニット21がはめ込まれる。フィルタユニット21の底板23からは円筒形のケージ24が垂下する。図8に示す通り、集塵容器20の内面は円筒形であり、ケージ24はその中心に位置する。ケージ24の外面には合成繊維のネット25(図2参照)が張られ、空気中の粗塵はそこで捕集される。
【0028】
ケージ24の下端にはディスク26が取り付けられる。ディスク25は集塵容器20の内部空間を上下に二分するものであり、その外周部は所定の間隔を隔てて集塵容器20の内周面に対峙する。ディスク26の中心からは筒状部27が垂下する。筒状部27の下端は集塵容器20の内底面中心に形成された円筒形の突起28に外側から被さる。これにより、ケージ24とディスク26は集塵容器19の中心に位置決めされ、それらの外側で気流が旋回しても位置がぶれることはない。
【0029】
ユニバーサルジョイント4からはダクト29が立ち上がる。ダクト29とユニバーサルジョイント4、及び吸込口7とユニバーサルジョイント4を連通させる吸込口体2の内部空間が第1吸気経路30を構成する。
【0030】
ダクト29の上端には、集塵部取付部8の内部に向かって開口する正面形状矩形の吹出口31(図10にその形状が表れている)が形成されている。集塵容器20の背面には、ケージ24の高さのところに、吹出口31に接続する気流導入口32が形成されている。図8に示す通り、気流導入口32は集塵容器20の内周面に対し接線方向となる角度に配置されており、その結果、気流導入口32から集塵容器20に流入した気流は集塵容器20の内部で旋回することになる。旋回方向は上から見て反時計回りである。
【0031】
ケージ24の内部空間は底板23に形成された開口部33を通じて底板23の上部に連通する。フィルタユニット21の底板23と天井板34の間の空間にはフィルタ35が収納される。フィルタ35はHEPA(high efficiency particulate air)フィルタであり、空気中の細塵を捕集する。天井板34にはフィルタ35を通過した空気を電動送風機10の側へと抜けさせる通風孔36が形成されている。
【0032】
集塵容器20とフィルタユニット21は図12から図14に示すラッチ37により連結される。ラッチ37は集塵容器20の口縁に一体成型された把手38に取り付けられている。把手38は倒立したL字形状であり、集塵容器20の右側面の背面に近い箇所に配置されている。ラッチ37はシーソー形式であり、上端がフィルタユニット21の縁の係合部39に係合するように図示しないバネで付勢されている。
【0033】
使用者が把手38に右手の親指以外の指を掛け、右手の親指でラッチ37の下端を押せば、ラッチ37の上端はフィルタユニット21の係合部39から外れる。これにより、図13、14に示すように、フィルタユニット21を集塵容器20から分離することができる。その後、把手38を右手で保持して集塵容器20を傾け、集塵容器20の内部の塵埃を廃棄することができる。
【0034】
塵埃廃棄後、集塵容器20にフィルタユニット21を載せ、フィルタユニット21を集塵容器20に押し付ければ、ラッチ37が係合部39に係合し、集塵容器20とフィルタユニット21は図12に示す連結状態となる。この状態の集塵部9を集塵部取付部8にはめ込めば、ラッチ37と把手38は筐体3aの中に隠れて見えなくなる。
【0035】
集塵容器20とフィルタユニット21の嵌合部、フィルタユニット21と筐体3aの接続部、及び吹出口31と気流導入口32の接続部にはそれぞれガスケットが配設され、その箇所より空気や塵埃が漏洩することが阻止されている。
【0036】
掃除機本体3の上部には棒状のハンドル40が固定される。ハンドル40の軸線は電動送風機10の軸線にほぼ整列する。ハンドル40の先端には、ハンドル40の軸線に斜めに交差するグリップ41が設けられている。グリップ41は偏平なリング形状である。
【0037】
ハンドル40は外パイプ42と内パイプ43により構成され、望遠鏡式に伸縮可能であり、使用者の身長に合わせて縮小状態または伸長状態を選択することができる。図1から図5は縮小状態にあるハンドル40が描かれ、図15から図17には伸長状態にあるハンドル40が描かれている。
【0038】
ハンドル40にはその伸長状態または縮小状態をロックするロック装置44(図2参照)が設けられ、グリップ41にはロック装置44にリンク機構で連結されたロック解除部45が設けられている。ロック解除部45は引金の形になっており、グリップ41を握った手の人差し指でロック解除部45を引けばロックを解除することができる。このためハンドル40を縮小状態から伸長状態に切り替える操作、あるいはその逆の操作を片手で簡単に行うことができる。
【0039】
ハンドル40には電動送風機10の運転スイッチ46が配置される。運転スイッチ46の場所は内パイプ43の上端正面、グリップ41が始まるあたりである。グリップ41を握った手の親指が届く範囲に運転スイッチ46は配置されており、グリップ41を握った手で運転スイッチ46を簡単に操作することができる。
【0040】
ハンドル40の内部には、掃除機本体3と運転スイッチ46との間の電気的接続を行うコイル状のカールコード(図示せず)が配置されている。カールコードは伸縮可能なのでハンドル40が伸縮しても断線のおそれはない。またハンドル40は掃除機本体3に固定されたままであるから、掃除機本体3からの配線が容易であり、配線に不具合が生じるおそれも少ない。
【0041】
掃除機本体3には、吸込口体2の他に、もう一つの吸込手段として吸込ホース47が設けられる。吸込ホース47は蛇腹式の伸縮ホースであり、根元部分は筐体3aの上面に設けられたホース接続部48に接続されている。ホース接続部48はハンドル40の真後にある。吸込ホース47の先端には吸込管49が取り付けられている。吸込管49も望遠鏡式に伸縮可能である。吸込管49の先端には吸込具50が取り付けられている。
【0042】
筐体3aの背面上部には筒状のパイプホルダー51が設けられる。パイプホルダー51は下端が閉じ、上端が開口しており、その軸線方向は筐体3aの軸線方向に一致している。吸込管49はパイプホルダー51に上方から挿入され、下部がパイプホルダー51に収納された状態になる。縮小状態にされた吸込管49がパイプホルダー51に最後まで押し込まれたときが吸込管49の規定の収納状態であり、この時にはパイプホルダー51の嵌合面に設けられたシールパッキンに吸込管49が密着し、吸込管49は閉塞状態となる。吸込管49とパイプホルダー51の構造については後で改めて説明する。
【0043】
ホース接続部48は断面円形のダクト52によってダクト29に接続される。ダクト29には吹出口31と同じ高さのところに掃除機本体3の左側面方向に張り出す導入口53が形成されており、この導入口53にエルボ54を介してダクト52が接続される。エルボ54はダクト52及び導入口53から取り外すことが可能である。
【0044】
吸込管49、吸込ホース47、ホース接続部48、ダクト52、及びエルボ54が第2吸気経路55を構成する。その中でダクト52は、図7及び図9に示す通り、電動送風機10の円弧状の外周面とコードリール12の平面部との間に形成されるくさび状の隙間を通るように配置されている。このように隙間空間を利用してダクト52を配置したので、掃除機本体3の内部空間が無駄なく利用され、掃除機本体3をコンパクトに構成することができる。
【0045】
第2吸気経路55を構成する吸込ホース47及び吸込管49はハンドル40とは別個の存在であるため、ハンドル40の固定にはしっかりした固定法を採用できる。ハンドル40の伸縮量の確保も容易である。ハンドル40の伸縮量を確保できるところから、縦型電気掃除機1全体の高さを抑えることができる。
【0046】
縦型電気掃除機1の操作について説明する。前述の通り、吸込管49がパイプホルダー51に対し規定の収納状態にあるときは吸込管49は閉塞状態にあるから、この時は吸込口体2からのみ吸込が行われることになる。
【0047】
掃除機本体3が直立した状態では、第1吸気経路30の一部に狭窄部が生じている。その箇所はユニバーサルジョイント4である。掃除機本体3が直立した状態ではユニバーサルジョイント4の構成要素同士の間に形成される開口が狭まり、これが狭窄部となる。ユニバーサルジョイント4が完全に閉塞される訳ではないので、仮にこの時電動送風機10が運転されたとしても、電動送風機10を冷却するのに最低限必要な空気は流れ、電動送風機10が過熱する危険はない。
【0048】
使用者がハンドル40のグリップ41を握り、掃除機本体3を後に倒して行くと、ユニバーサルジョイント4の狭窄部が開き、空気と塵埃を吸い込む態勢が整う。ここで運転スイッチ46を操作して電動送風機10を運転すると、第1吸気経路30を通じて集塵部9に流れ込む気流が発生する。
【0049】
吸込口7から吸い込まれた空気はダクト29の吹出口31から塵埃容器20の気流導入口32を経て塵埃容器20に流入する。空気は塵埃容器20の中で旋回する。旋回気流中の粗塵は遠心力で気流から分離し、ディスク26と集塵容器20の内周面の間の隙間からディスク26の下の空間に入り、そこに堆積する。
【0050】
旋回気流は最終的にはケージ24の内部に吸い込まれ、気流中に残っていた粗塵はネット25に捕集される。ケージ24の内部空間から通風孔36を通って上方に抜けた気流はフィルタ35を経由して電動送風機10に吸い込まれる。その過程で気流中の細塵はフィルタ35に捕集される。
【0051】
電動送風機10に吸い込まれた空気はモータの部分から吐出される。吐出された空気は仕切板11に取り付けられた制御部品を冷却しつつコードリール12が配置された空間に流入し、コードリール12に巻かれたコードを冷却する。その後、空気は排気口14、15から排出される。
【0052】
手掛け部22に手を掛けて掃除機本体3から集塵部9を取り外し、ラッチ37を操作してフィルタユニット21から集塵容器20を分離すれば、集塵容器20に溜まった塵埃を捨てることができる。ネット25に付着した塵埃もこの時除去することができる。フィルタユニット21から天井板34を取り外せば、フィルタ35を清掃したり、交換したりすることもできる。
【0053】
吸込口体2を目的地に届かせるとき、しばしば掃除機本体3をひねって吸込口体2に対する角度を変えることが必要になる。縦型電気掃除機1では、掃除機本体3の中で最も重い電動送風機10の軸線にハンドル40の軸線がほぼ整列しているので、ハンドル40をひねるとき、ハンドル40の軸線から電動送風機10の軸線がずれていることにより生じる電動送風機10の質量モーメントが小さく、掃除機本体3の角度を軽い動きで変えることができる。
【0054】
吸込ホース47を用いた吸込を行うときは、掃除機本体3を直立姿勢にしておいて吸込管49をパイプホルダー51から引き抜く。この時、図17に示すようにハンドル40を伸長状態にしておくと吸込管49を楽に引き抜くことができる。掃除機本体3を直立姿勢にしたことにより第1吸気経路30には狭窄部が生じたから、電動送風機10の吸引力は第2吸気経路55の方に多く配分され、吸込管49より力強く吸込を行うことができる。
【0055】
吸込管49より吸込を行う間、使用者は空いている方の手でハンドル40をつかみ、掃除機本体3を支えることができる。このため、使用者は縦型電気掃除機1を安定させつつ、楽な姿勢で吸込ホース47と吸込管49による清掃を行うことができる。吸込管49の吸引力を確保するために掃除機本体3を直立姿勢に保つ上でも、ハンドル40を持って掃除機本体3の姿勢を安定させられるということは大きな意味を持つ。
【0056】
続いて、図18から図23を参照しつつ、吸込管49とパイプホルダー51の構造を説明する。なお図20、21は吸込管49とパイプホルダー51の中心線を通る断面であるのに対し、図22、23は中心線から少し外れた箇所を断面にしたものである。
【0057】
吸込管49は外パイプ56と内パイプ57を望遠鏡式に伸縮可能に接続したものである。外パイプ56の中で、吸込管49がパイプホルダー51に収納されたときにハンドル40の方を向くこととなる側面には、外パイプ56の軸線方向に沿って、うね状の外部室58が形成されている。外部室58の内部で、外パイプ56の先端に近い箇所には、吸込管49の縮小状態を維持するロック装置59が設けられている。
【0058】
ロック装置59は、図示しない箇所で内パイプ57に係合するロック体60と、ロック体60に一端が係合するシーソー状のロックボタン61を備える。ロック体60とロックボタン61は、図示しない附勢手段により、ロック体60が内パイプ57に係合し、ロックボタン61のボタン部分が外部室58の貫通孔62から突き出す状態、すなわち図20に示す状態に附勢されている。
【0059】
吸込管49が縮小状態にあるとき、その縮小状態はロック体60が内パイプ57に係合することで維持される。そのときにロックボタン61が外部室58の外側から押し込まれると、ロックボタン61が傾き、図21に示す位置までロック体60が移動する。この位置ではロック体60は内パイプ57の図示しない係合部から外れる。すなわちロック体60と内パイプ57は係合解除状態となり、内パイプ57を外パイプ56から引き出すことが可能になる。
【0060】
内パイプ57を外パイプ56から引き出す間、ロックボタン61から指を離しておくことができる。内パイプ57が外パイプ56から完全に引き出された状態になると、内パイプ57のもう一つの図示しない係合部にロック体60が係合し、吸込管49は伸長状態で維持される。吸込管49を伸長状態から縮小状態に戻すときもロックボタン61を押す。
【0061】
パイプホルダー51にはそこに収納された吸込管49を引き留める引留体63が設けられている。引留体63は下端に支点を有するレバーとして形成されており、パイプホルダー51の入口の、ハンドル40の側に配置されている。引留体63にはハンドル40の方を向いた面にバネ片64が一体成型されており、バネ片64を筐体3aに当てることで、パイプホルダー51に収納された吸込管49の方向に附勢されている。
【0062】
引留体63には吸込管49の方に突き出す係合突起65が設けられており、吸込管49の外パイプ56には係合突起65を係合させる係合縁66が形成されている。係合突起65と係合縁66はそれぞれ斜面をもって相手方に接触するものであり、強固な引っかかりではない。このため、係合縁66に係合突起65が係合して引留体63が吸込管49を引き留めているときも、吸込管49に所定以上の引き抜き力を加えることで引き留めを解除することができる。すなわち吸込管49で掃除をするときには特にボタン操作等をしなくても吸込管49を単にパイプホルダー51から引き抜くだけで掃除の態勢に入ることができる。
【0063】
引留体63には、吸込管49が縮小状態になっているときしか係合突起65が係合縁66に係合しない仕掛けが施されている。以下これについて説明する。
【0064】
図19に示す通り、引留体63の上部にはパイプホルダー51の中心を通って前後に延びる垂直面に対し対称をなすように、2箇所に分かれた当たり面67が形成されている。当たり面67は吸込管49の外部室58の外面に当たる位置に配置され、引留体63から突き出している。図22、23は当たり面67の箇所で断面したものである。当たり面67の上部は吸込管49の外部室58を迎え入れるための斜面となっている。引留体63の下部には、当たり面67の下方にあたる箇所に、吸込管49の方向に突き出す段部68が形成されている。
【0065】
吸込管49がパイプホルダー51に挿入されるとき、吸込管49がきちんと縮小状態になっていないと、図22に示す通り、外部室58の角が当たり面67に当たる前に係合縁66が段部68に引っ掛かってしまい、吸込管49はそれ以上挿入されない。この高さだと、係合突起65が係合縁66に係合しない。すなわち引留体63は吸込管49に引き留め力を及ぼさず、吸込管49は簡単に抜けてしまう。このため使用者が吸込管49を持って縦型電気掃除機1を移動させるといったこともできなくなる。
【0066】
これに対し、きちんと縮小状態になった吸込管49がパイプホルダー51に挿入されると、係合縁66が段部68に係合するのに先行して外部室58の角が当たり面67に当たり、引留体63はバネ片64による附勢力に抗してハンドル40の方向に排除される。これに伴い段部68も係合縁66の行く手から排除される。これにより吸込管49は、パイプホルダー51の中に図23に示す位置まで挿入されることが可能になる。ここまで吸込管49が挿入されると、図20に示す通り、係合突起65が係合縁66に係合する。図20、23における吸込管49の位置が、吸込管49がパイプホルダー51に収納されるときの規定位置である。
【0067】
前述の規定位置まで吸込管49がパイプホルダー51に挿入されると、内パイプ57の
係合縁66の下面66aがパイプホルダー51の嵌合面に設けられたシールパッキン51aに密着嵌合する。これにより、吸込管49は閉塞状態となる。尚、内パイプ57の先端には、狭い所を掃除するため、植毛された吸込具50が装着されている。吸込具50は被掃除面に対応できるよう弾性を持たせた付勢手段69にて回動可能に装着されている。
【0068】
吸込管49がパイプホルダー51に挿入されているとき、吸込ホース47は曲率半径の小さいカーブを描いて吸込管49の上端に接続している。吸込管49をパイプホルダー51から引き抜くとき、図18に示すように吸込管49が伸長状態になっていると、吸込管49の下端をパイプホルダー51から外すのに吸込管49をより多く上方に持ち上げねばならなくなる。吸込管49をより多く上方に持ち上げれば、吸込ホース47の曲がりがますますきつくなり、吸込ホース47が傷んでしまう。これを避けるため、パイプホルダー51から吸込管49が引き抜かれるとき、吸込管49が伸長状態にならないようにする仕掛けがパイプホルダー51の側に施されている。具体的には引留体63に施されている。
【0069】
図19に示す通り、引留体63の上面には、左右の当たり面67の中間の位置に上向きの突起が形成されている。この突起がロック解除阻止体70となる。これに対応して、吸込管49の外部室58には、吸込管49がパイプホルダー51に収納されるときに下を向く端面に、ロック解除阻止体70を迎え入れる貫通孔71が形成されている。
【0070】
吸込管49を規定位置までパイプホルダー51に挿入すると、図20に示す通り、ロック解除阻止体70が貫通孔71から外部室58の中に入り込み、ロックボタン61の裏に入り込む。これにより、ロックボタン61を外側から外部室58に押し込むことができなくなる。すなわち、縮小状態の吸込管49がパイプホルダー51に規定位置まで挿入されているかぎり、吸込管49の縮小状態が解除されることはないので、図18のように吸込管49が伸長状態になってパイプホルダー51から引き抜かれることはない。これにより、吸込ホース47に無理な曲げが生じて吸込ホース47が損耗するといった事態を回避することができる。
【0071】
吸込管49が伸長状態になってパイプホルダー51から引き抜かれることがないという仕組みは、掃除機本体3の上部に掃除機本体3の軸線方向と平行な棒状のハンドル40が固定され、パイプホルダー51の軸線方向も掃除機本体3の軸線方向と一致していて、吸込管49はパイプホルダー51に上方から挿入されるものであり、ハンドル40の先端にはハンドル40の軸線に斜めに交差するグリップ部41が設けられ、グリップ部41はパイプホルダー51に収納された吸込管49とそれに接続されたホース47の組み合わせの上方に張り出している、という本実施形態の構成において特に効果を発揮する。
【0072】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は縦型電気掃除機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 縦型電気掃除機
2 吸込口体
3 掃除機本体
8 集塵部取付部
9 集塵部
10 電動送風機
30 第1吸気経路
40 ハンドル
47 吸込ホース
49 吸込管
51 パイプホルダー
55 第2吸気経路
56 外パイプ
57 内パイプ
59 ロック装置
70 ロック解除阻止体
図1
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図3
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