特許第5820008号(P5820008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820008
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】挿入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20151104BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20151104BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20151104BHJP
【FI】
   A61M5/32 530
   A61M5/158 500Z
   A61M37/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2014-42667(P2014-42667)
(22)【出願日】2014年3月5日
(62)【分割の表示】特願2010-514245(P2010-514245)の分割
【原出願日】2008年6月25日
(65)【公開番号】特開2014-128710(P2014-128710A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年4月4日
(31)【優先権主張番号】60/937,214
(32)【優先日】2007年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/937,155
(32)【優先日】2007年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/937,163
(32)【優先日】2007年6月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(72)【発明者】
【氏名】ヨドファト,オフェル
(72)【発明者】
【氏名】ネータ,アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ゲスチェイト,イルライ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−527036(JP,A)
【文献】 特表2003−527138(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/052662(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0020189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158− 5/32
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮下への挿入装置において、
少なくとも1つのカートリッジユニットを受けるように構成されたハウジングであって、前記少なくとも1つのカートリッジユニットは少なくとも1つの皮下への挿入可能要素および少なくとも1つの貫通部材を中に収容
前記少なくとも1つのカートリッジユニットが通って前記ハウジング内に少なくとも装填されるように適合された第1のハウジング開口、および、
前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材が通って突き出るように適合された第2のハウジング開口を含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に収容された変位機構であって、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を、前記第2のハウジング開口を通して、前記少なくとも1つの挿入可能要素を皮下挿入するために患者の身体に向けて、少なくとも突き出るように構成された、変位機構と、を備え、
前記変位機構は、
ラチェットフライホイールと、
前記ラチェットフライホイールに結合されたラチェットクランクと、
前記ラチェットフライホイール内に少なくとも一部が埋め込まれ、前記ラチェットクランクとともに前記ラチェットフライホイールを回転させるフライホイールトーションばねと、
少なくとも1つの係止フックを備え、前記ラチェットクランクの回転軸が延びる方向に前記ラチェットクランクと隣り合って配置され、前記ラチェットクランクの回転運動を直線運動に変換することによって変位可能な挿入レバーとを備え、
前記ラチェットクランクは、前記フライホイールトーションばねによって回転することにより前記挿入レバーおよび前記少なくとも1つの係止フックを変位させ、その結果、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材が前記患者の前記身体の方へ突き出て、その後、前記貫通部材が引っ込められ、前記患者の前記身体内に前記挿入可能要素が保持される、皮下への挿入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を、前記患者の前記皮膚に対してさまざまな角度で、前記患者の前記身体の方へ突き出るように構成された、挿入装置。
【請求項3】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記カートリッジユニットが装填されたときに前記変位機構を作動させるための、使用者用作動ボタンをさらに備えた、挿入装置。
【請求項4】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記変位機構の不用意な作動を防止するための安全手段をさらに備えた、挿入装置。
【請求項5】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、
拘束アームを有する解放ボタンと、
前記フライホイールトーションばねに荷重を加えるために前記ラチェットフライホイールに結合することができる手動で回転可能な荷重付与ボタンとを備え、
前記荷重付与ボタンを前記ラチェットフライホイールに結合し、前記荷重付与ボタンをその後回転させると、前記フライホイールトーションばねに荷重が加えられ、
前記解放ボタンが作動すると、前記解放ボタンの拘束アームが前記ラチェットクランクから外れて、前記ラチェットクランクは前記荷重が加えられたフライホイールトーションばねの力が加えられることにより回転することができる、挿入装置。
【請求項6】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記少なくとも1つのカートリッジユニットの少なくとも一部を通して前記ハウジングから取り外せるように、前記第1および第2のハウジング開口の少なくとも1つはさらに構成された、挿入装置。
【請求項7】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記カートリッジをその中に収容された少なくとも前記貫通部材とともに通して前記ハウジングから取り外せるように、前記第1のハウジング開口はさらに構成された、挿入装置。
【請求項8】
請求項1に記載の挿入装置において、
1つ以上の追加のカートリッジユニットを後に装填することにより、繰り返し使用されるように構成された、挿入装置。
【請求項9】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記ハウジングは、前記少なくとも1つのカートリッジユニットを前記ハウジングに装填したときに、前記少なくとも1つのカートリッジユニットを前記ハウジングに固定するように構成された固定機構をさらに含む、挿入装置。
【請求項10】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記第1のハウジング開口は、横の開口である、挿入装置。
【請求項11】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記第2のハウジング開口は、底の開口である、挿入装置。
【請求項12】
請求項1に記載の挿入装置において、
前記第2のハウジング開口は、前記第1のハウジング開口と分離している、挿入装置。
【請求項13】
請求項1に記載の挿入装置において、
医療デバイスの皮膚に固定可能なクレードルと結合されるように構成された、挿入装置。
【請求項14】
請求項13に記載の挿入装置において、
前記ハウジングは、前記挿入装置を前記クレードルに結合させるために、前記クレードルの1つまたは複数の対応する突起部と係合するように構成された1つまたは複数の凹部をさらに備えた、挿入装置。
【請求項15】
請求項13に記載の挿入装置において、
前記挿入装置を前記クレードルユニットから解放するための機構をさらに備えた、挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Insertion Device for Inserting a
Cannula into a Body」という表題の米国仮特許出願第60/937
,214号、「Protector for Cannula and Penetra
ting Member Insertable in the Body of a
Patient」という表題の米国仮特許出願第60/937,155号、「Devic
es and Methods for Pain Reduction」という表題の
米国仮特許出願第60/937,163号の優先権を主張するものであり、それらはすべ
て2007年6月25日に出願され、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれて
いる。
【0002】
本発明は、一般的には医療デバイスに関するものであり、具体的には、患者の体内に医
薬品を投与し、および/または体液中の検体レベルを感知するデバイスに関するものであ
る。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、挿入デバイス、および皮膚接着可
能パッチユニットを使用して薬物を送達するために、および/または生体検体を連続感知
するためにカニューレを人体内に手動または自動挿入する方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
医薬品の連続皮下送達または生体検体の監視は、数日間適所に留まる人体内に挿入され
たカニューレを使用して行われることが多い。糖尿病患者は、インスリンの連続送達をポ
ンプによって行うために、および/または間質性グルコースレベルの監視をセンサを使っ
て行うために、皮下区画内に配置されているそのようなカニューレを使用することがある
。インスリンポンプをカニューレに接続するチューブと脱着可能コネクタとの組み合わせ
は、輸液セットと称されることが多い。このような輸液セットおよびその挿入方法につい
ては、例えば、米国特許第4,755,173号、第5,176,662号、および第5
,257,980号において開示されている。グルコース連続監視のための皮下カニュー
レ挿入方法については、例えば、米国特許第5,390,671号、第5,568,80
6号、および第5,586,553号において説明されている。通常、経皮的(「皮下注
射」)カニューレ挿入は、皮膚穿刺後に引き抜かれる鋭利な金属貫通部材を用いて実行で
きる。この処置は、使用者/患者が手作業で行うことができる。挿入は、通常、痛みを伴
い、相当の技量を要する。自分の皮膚に穿刺することを嫌がったり、ためらったりする患
者もいるため、カニューレの適切な挿入を行う際に困難に出会う。このような困難は、手
先の器用さが不十分であること、またはその代わりに、針が皮膚を穿刺するときに予想さ
れる不快感に付随する不安に起因すると考えられる。このことは、カニューレの留置を間
違うとねじれが生じたり、挿入角度が正しくなくなったり、またはカニューレ挿入の深さ
が不正になり、最終的にカニューレ閉塞をもたらす可能性があるため、インスリンポンプ
が使用されるときに特に重大な問題といえる。その結果、インスリンの送達が阻害され、
そのため生命にかかわる事態に至るおそれがある。
【0004】
この問題に対処しようとして、カニューレ挿入に付随する痛みと有害な閉塞を最小限度
に抑えつつ皮下層内にカニューレを正しい角度で正しく留置することを確実にする自動輸
液セット挿入デバイス(「挿入器」)が開発された。米国特許第6,093,172号お
よび第6,830,562号では、輸液セットの自動皮下留置用にばね仕掛けのプランジ
ャを有する挿入器を開示している。これらの自動挿入器は、長いチュービングおよびカニ
ューレを有する「ポケベル形」ポンプと併用でき、併せて「輸液セット」を構成する。し
かし、これらのデバイスは、長いチュービングを採用しない、皮膚接着可能ポンプと併用
されるカニューレの挿入に使用できない。このようなデバイスは、Flahertyらの
米国特許第6,699,218号において説明されている。Flahertyの皮膚接着
可能デバイスでは、カニューレはポンプのハウジングに剛性的に接続される。使用者の皮
膚に接着させた後、カニューレが発射され、これにより、デバイスのハウジングから現れ
出て、皮膚を穿刺する。引き続き、貫通部材がポンプのハウジング内に引っ込められて戻
る。このデバイスは、ばね仕掛けの機構が全使用期間にわたってデバイスのハウジング内
に配備されているため、比較的かさばり、重く、また機転の利かないところがある。それ
に加えて、カニューレは、単一の長さのサイズしか有さず、また特定の角度でしか皮膚を
貫通せず、患者はさまざまな挿入部位および他の臨床的要件に基づいてこれらのパラメー
タを調節することができない。
【0005】
グルコース連続監視モニターは、MiniMed and E. Heller &
Company社にそれぞれ譲渡されている米国特許第5,390,671号および第6
,143,164号において開示されている。これらのデバイスは、カニューレの挿入と
同様にして、DexCom社に譲渡された米国特許第7,110,803号において開示
されているように、手動で、または自動的に挿入される、センサを使用して皮下区画内の
グルコースレベルを監視する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、患者の体内にカニューレおよび/またはセンサを挿入するための改善されたシ
ステムおよび方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの実施形態では、本発明は、検体(例えば、グルコース)連続監視に適し、患
者の皮膚に接着できる、センサの自動挿入を行うためのデバイスおよび方法に関する。本
発明は、さらに、医薬品(例えば、インスリン)の送達に使用できる、また生体検体(例
えば、グルコース)の連続監視に使用できるカニューレ(例えば、単一のカニューレまた
は複数のカニューレ)の自動挿入に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、単一の
パッチに結合された2つのカニューレの自動挿入に関するものであり、一方のカニューレ
は、医薬品の送達に使用され、他方のカニューレは、生体検体の連続監視に使用される。
例えば、パッチに、薬物送達用の1つのカニューレと検体感知用の1つのセンサを備える
ことが可能である。本発明では、さらに、所望の深さでカニューレを挿入することが可能
である、つまり、使用者は所望のカニューレ長さサイズを選択できるということである。
さらに、カニューレは、所望の任意の角度で挿入できる。
【0008】
いくつかの実施形態では、カニューレ挿入デバイスは、使用者の手に心地よくフィット
するものとすることができる。カニューレ挿入デバイスに入れる部分の数を最低限度に抑
えることができ、このため、組み立てやすく、また安価である。いくつかの実施形態では
、カニューレ挿入デバイスは、再利用可能型または使い捨て型のいずれかとすることがで
きる。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、使用者の身体内にカニューレを正確に留置するた
めの挿入器デバイスに関する。デバイスは、例えば、流体分注デバイス(本明細書では、
流体送達ポンプと称されている)と併せて使用されるカニューレの自動挿入に使用できる
。ポンプは、プログラムされた流体送達を可能にする遠隔制御皮膚接着可能パッチ(本明
細書では調剤パッチユニットとも称する)として構成できる。ポンプは、さらに、検体レ
ベルへ連続監視用の手段を備えることもできる。いくつかの実施形態では、分注される流
体は、インスリンであり、監視される検体は、グルコースである。いくつかの実施形態で
は、分注デバイスは、以下の3つのユニットを備える。
【0010】
1.以下のものを有する調剤パッチユニット。
a.駆動機構、プリント基板(「PCB」)、および電子装置を収納する再利用可能
部。
b.貯蔵槽、送達チューブ、および接続ルーメンを備える出口を収納する使い捨て部

2.調剤パッチユニットを身体に接続し、また再接続するためのクレードルユニット。
クレードルは、皮膚のカニューレ貫通を行えるようにする「ウェル」と称されるチューブ
状通路を有する。クレードルは、さらに、身体に取り付けるための接着剤層を有する。
3.使い捨て品であってもよい、カニューレカートリッジユニット。カニューレカート
リッジユニットは、カニューレ、貫通部材、およびプロテクタを備える。カニューレは、
さらに、カニューレカートリッジユニット内に配置され、調剤パッチユニットの使い捨て
部に備えられている接続ルーメンで繰り返し穿刺可能であるゴム製隔壁を収納するハブも
備える。
【0011】
上記システムをセットアップするための方法は、以下のステップを含むことができる。
1.貯蔵槽に治療液を充填する。
2.調剤パッチユニットを2つの部分(使い捨て部と再利用可能部)から組み立てる。
3.クレードルユニットを使用者の皮膚に接着させる(いくつかの実施形態では、この
ステップは、挿入器をクレードルユニットに接続した後に実行できる)。
4.カニューレを挿入する。このステップは、
a.カニューレカートリッジユニットを挿入器内に装填する(いくつかの実施形態で
は、このステップは、挿入器をクレードルユニットに接続した後に実行できる)。
b.挿入器をクレードルユニットに接続する。
c.カニューレを、身体に向けて自動的にまたは手動で送ってクレードルユニットに
通し、そうして皮膚を穿刺し、カニューレを皮下区画内に配置する。
d.カニューレが、クレードルユニット内に留まっている間に、貫通部材を身体から
自動的にまたは手動で引き出してプロテクタ内に入れる。
5.調剤パッチユニットを、接続ルーメンが使い捨て部の出口から現れ出て、カニュー
レハブのゴム製隔壁を穿刺し、貯蔵槽、送達チューブ、カニューレ、および皮下組織の間
の流体的連通を維持するようにクレードルユニットに接続する。
6.遠隔制御ユニットを使用して、流体送達をプログラムする。
【0012】
いくつかの実施形態では、流体(例えば、インスリン)を送達するカニューレは、さら
に、生体検体(例えば、グルコース)を監視するためのセンサを備える。流体送達は、(
半または完全閉ループシステム内の)センサ入力に基づいて調節されうる。いくつかの実
施形態では、調剤パッチユニットは、流体送達用のカニューレと検体感知用のセンサの両
方を備えることができ、これらは両方とも体内に挿入することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明は、流体送達皮膚接着可能パッチポンプを使用して医
薬品を患者に送達するためカニューレの自動挿入に関する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明は、検体連続監視に適している、患者の皮膚に接着可
能なセンサの自動挿入に関する。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明は、医薬品(例えば、インスリン)の送達に使用でき
る、また生体検体(例えば、グルコース)の連続監視に使用できる単一のカニューレの自
動挿入に関する。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明は、1つのパッチに結合された2つのカニューレの自
動挿入に関するものであり、一方のカニューレは、医薬品の送達に使用され、他方のカニ
ューレは、生体検体の連続監視に使用される。いくつかの実施形態では、パッチは、薬物
送達用の1つのカニューレと検体感知および監視用の1つのセンサを収納する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明は、「ウェルアセンブリ」を通過し、皮下区画内に挿
入できるカニューレの手動および/または自動挿入に関する。いくつかの実施形態では、
カニューレは、「クレードルユニット」を通過し、皮下区画内に挿入されうる。カニュー
レは、所望の深さで挿入することが可能である、つまり、使用者は所望のカニューレ長さ
サイズおよび/または所望の角度を選択できるということである。
【0018】
いくつかの実施形態では、カニューレが挿入され、貫通部材が手動で引っ込められる。
いくつかの実施形態では、カニューレの挿入および貫通部材の引き込みは、自動的である
。いくつかの実施形態では、カニューレの挿入は自動的であり、貫通部材の引き込みは手
動である。
【0019】
いくつかの実施形態では、カニューレ挿入デバイスを使用することで、「ウェルアセン
ブリ」に関してカニューレの位置を正確に合わせることができる。高い精度の位置合わせ
が望ましい理由は、1)ウェルの下側ガスケットが破れるのを避ける、したがって、封止
を損なわないように維持する、2)皮膚貫通を所望の角度で行えるようにする、3)ゴム
製キャップを使用して上側開口部の封止を行う、4)ウェル内のカニューレの留置および
流体連通の維持を正確に行うことができるということである。いくつかの実施形態では、
カニューレ挿入デバイスは、「クレードルユニット」に関するカニューレの正確な位置合
わせを維持し、また挿入後、カニューレとクレードルとの接続を維持する。いくつかの実
施形態では、カニューレ挿入デバイスは、接着前にクレードルユニットに接続され、クレ
ードルユニットを患者の身体に取り付けるための手段として使用されうる。いくつかの実
施形態では、カニューレ挿入デバイスは、カニューレが挿入された後、例えば、クレード
ルが皮膚から意図せず脱着するのを回避するために、クレードルユニットから自動脱着で
きる。
【0020】
いくつかの実施態様では、カニューレ挿入デバイスはばね仕掛けである。ばねは、患者
によって荷重をかけられ、患者の裁量で解放されうる。挿入器は、意図しない、または早
すぎる発射を防ぐように構成できる。いくつかの実施形態では、カニューレ挿入デバイス
は、カニューレプロテクタとともに使用するのに適している。カニューレプロテクタは、
使用者側から容易に操作でき、また挿入器内に収容可能であり、単一の空間的方向に位置
決めされうる。いくつかの実施形態では、カニューレ挿入デバイスは、使用者の手に心地
よくフィットする。いくつかの実施形態では、カニューレ挿入デバイスは比較的少ない部
分で構成され、組み立てやすく、安価である。カニューレ挿入デバイスは、再利用可能な
ものとすることができる。他の実施態様では、カニューレ挿入デバイスは使い捨てである
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明は、カニューレ、および/または流体分注が(半また
は完全閉ループモードの)検体感知により調節できる、検体感知および薬物分注機能を有
する皮膚接着可能輸液ポンプに付随して使用されるセンサの自動挿入に関する。いくつか
の実施形態では、挿入器は、カニューレカートリッジユニットおよびクレードルユニット
を事前装填されうる。ばね荷重付与後、使用者は、クレードルユニットを皮膚に取り付け
、解除ボタンを押す。ばね仕掛けのフライホイールは、その力で、カニューレおよび貫通
部材をウェルに押し通し身体に差し込む。その結果、貫通部材は、プロテクタ内に自動的
に引っ込められ、その一方で、カニューレハブはウェルに接続されたままである。最後に
、挿入器が、クレードルユニットから脱着され、プロテクタが(中にある貫通部材ととも
に)挿入器から取り外され、処分される。いくつかの実施形態では、挿入器は、少なくと
も1つの(または複数の)カニューレカートリッジユニットを事前装填されうる。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明は、カニューレカートリッジユニットを事前装填され
た使い捨て挿入器を備え、カニューレの挿入後、使用済みプロテクタは(中にある貫通部
材とともに)挿入器のハウジング内に留まり、その後、挿入器は破棄できる。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明は、カニューレをウェルアセンブリに通し、皮膚に貫
通させることができる挿入器を備える。挿入後、カニューレは体内に留まり、カニューレ
ハブはウェルに固定され、貫通部材は引っ込めることができる。いくつかの実施形態では
、挿入器は、カニューレとクレードルユニットとの位置合わせを行うことができる。いく
つかの実施形態では、挿入器を使用することで、カニューレと調剤パッチユニットのハウ
ジングの出口との位置合わせを行い、ウェルアセンブルを通すことができる。いくつかの
実施形態では、挿入器は、1つまたは複数のカニューレカートリッジユニットを保持する
のに適しているドラム部材を備える。いくつかの実施形態では、挿入器は、不注意で挿入
したり、または挿入が早すぎたりするのを防ぐための安全手段を収納する。安全手段は、
挿入器の一体部分であるか、または動作前に挿入器から脱着可能な追加コンポーネントと
することもできる。いくつかの実施形態では、安全手段は、貫通部材を身体から手動で引
っ込めた後、鋭利な貫通部材を処分するために備えられている。
【0024】
さまざまな目的および利点を含めて本発明をわかりやすくするため、付属の例示的な図
面と併せて、以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1aは本発明のいくつかの実施形態による、例示的な一体型調剤ユニットを示す図である。図1bは本発明のいくつかの実施形態による、例示的な2分割調剤ユニットを示す図である。図1cは本発明のいくつかの実施形態による、例示的な遠隔制御ユニットを示す図である。
図2図2aは本発明のいくつかの実施形態による、患者の皮膚に直接接着する例示的な調剤ユニットを示す図である。図2bは本発明のいくつかの実施形態による、患者の皮膚に直接接着する例示的な調剤ユニットを示す図である。図2cは本発明のいくつかの実施形態による、患者の皮膚に直接接着する例示的な調剤ユニットを示す図である。
図3図3aは本発明のいくつかの実施形態による、調剤ユニットとクレードルユニットとの例示的な接続を示す図である。図3bは本発明のいくつかの実施形態による、調剤ユニットとクレードルユニットとの例示的な接続を示す図である。図3cは本発明のいくつかの実施形態による、調剤ユニットとクレードルユニットとの例示的な接続を示す図である。
図4図4aは本発明のいくつかの実施形態による、例示的なクレードルユニットを示す略図である。図4bは本発明のいくつかの実施形態による、例示的なクレードルユニットを示す略図である。図4cは本発明のいくつかの実施形態による、クレードルユニットを示す斜視図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットを装填した例示的な挿入器を示す略図である。
図6a】本発明のいくつかの実施形態による、クレードルユニットに接続されている例示的な挿入器を示す図である。
図6b】本発明のいくつかの実施形態による、ウェルアセンブリに接続されている例示的な挿入器を示す図である。
図6c】本発明のいくつかの実施形態による、輸液セットに接続されている例示的な挿入器を示す図である。
図7a】本発明のいくつかの実施形態による、挿入器内に例示的なカニューレカートリッジユニットを装填する例示的な方法を示す図である。
図7b】本発明のいくつかの実施形態による、挿入器内に例示的なカニューレカートリッジユニットを装填する例示的な方法を示す図である。
図7c】本発明のいくつかの実施形態による、挿入器内に例示的なカニューレカートリッジユニットを装填する例示的な方法を示す図である。
図8a】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットを装填された例示的な挿入器を示す図である。
図8b】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットを装填された例示的な挿入器を示す図である。
図9図9aは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットの斜視図である。図9bは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10a】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10b】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10c】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10d】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10e】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10f】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10g】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10h】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図10i】本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図11a】本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図11b】本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図11c】本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図11d】本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図11e】本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図12a】本発明のいくつかの実施形態による、自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図12b】本発明のいくつかの実施形態による、自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図12c】本発明のいくつかの実施形態による、自動カニューレ挿入プロセスの実行時のカニューレカートリッジユニットの断面図である。
図13図13aは本発明のいくつかの実施形態による、例示的なペン形挿入器とペン形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの装填を示す図である。図13bは本発明のいくつかの実施形態による、例示的なペン形挿入器とペン形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの装填を示す図である。図13cは本発明のいくつかの実施形態による、例示的なペン形挿入器とペン形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの装填を示す図である。
図14a】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。
図14b】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。
図14cd図14cは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。図14dは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。
図14e】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。
図14f】本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ挿入プロセスの実行時のペン形挿入器の断面図である。
図15a】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なマウス形挿入器の側面図である。
図15b】本発明のいくつかの実施形態による、例示的なマウス形挿入器の斜視図である。
図15c】本発明のいくつかの実施形態による、ハンドルを備えている例示的なカニューレカートリッジユニットを示す図である。
図16】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器の分解図である。
図17図17aは本発明のいくつかの実施形態による、クレードルユニットとマウス形挿入器との例示的な接続を示す図である。図17bは本発明のいくつかの実施形態による、クレードルユニットとマウス形挿入器との例示的な接続を示す図である。
図18】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器のフライホイールトーションばねの例示的な荷重付与を示す図である。
図19a】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの例示的な装填を示す図である。
図19b】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの例示的な装填を示す図である。
図19c】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの例示的な装填を示す図である。
図19d】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器内へのカニューレカートリッジユニットの例示的な装填を示す図である。
図20図20aは本発明のいくつかの実施形態による、使用者の皮膚に接着されるクレードルユニットを示す図である。図20bは本発明のいくつかの実施形態による、使用者の皮膚に接着されるクレードルユニットを示す図である。
図21a】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21b】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21c】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21d】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21e】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21f】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21g】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21h】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図21i】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器を使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す図である。
図22】本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器からプロテクタを取り外す例示的な状況を示す図である。
図23】本発明のいくつかの実施形態による、クレードルユニットからマウス形挿入器を分離する例示的な状況を示す図である。
図24図24aは本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できる例示的なマウス形挿入器を示す図である。図24bは本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できる例示的なマウス形挿入器を示す図である。
図25a】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25b】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25c】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25d】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25e】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25f】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図25g】本発明のいくつかの実施形態による、所望のカニューレ貫通角度を使用者側で選択できるもう1つの例示的な挿入器を示す図である。
図26図26aは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットの例示的なドラムおよび複数のカニューレカートリッジユニットを保持するためドラム部材を備える例示的な挿入器を示す図である。図26bは本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニットの例示的なドラムおよび複数のカニューレカートリッジユニットを保持するためドラム部材を備える例示的な挿入器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
皮膚接着可能インスリン送達デバイスは、2006年7月24日に出願された米国仮特
許出願第60/833,110号および2006年8月14日に出願された米国仮特許出
願第60/837,877号の優先権を主張する、2007年7月24日に出願された共
有/同時係属国際特許出願第PCT/IL07/000932号において開示され、また
さらに、2006年12月22日に出願された米国仮特許出願第60/876,679号
の優先権を主張する、両方とも2007年12月20日に出願された共有/同時係属米国
特許出願第12/004,837号および国際特許出願第PCT/IL07001578
号において開示された。上記出願の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれてい
る。デバイスは、遠隔制御ユニットおよび皮膚接着可能ユニット(「調剤パッチユニット
」)を収納する。調剤パッチユニットは、輸液セットおよび長いチュービングを必要とし
ない、独自のカニューレ装置に結合される。カニューレ装置により、患者はカニューレ挿
入の所望の深さと角度を選択することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、
インスリン送達チューブに接続されている「ウェルアセンブリ」を備える。ウェルアセン
ブリは、上側開口部およびゴム製ガスケットによって封止されている下側開口部を有する
。挿入装置は、カニューレ、貫通部材、およびゴム製キャップを有する「貫通カートリッ
ジ」も備える。貫通カートリッジによって、カニューレはウェルアセンブリに貫通し、次
いで、皮膚を貫通することができ、その間、上側開口部は封止を保ち、インスリンの送達
を維持する。いくつかの実施形態では、デバイスは、「クレードルユニット」を備える。
クレードルユニットは、カニューレ挿入の前に皮膚に取り付けられる接着剤層を含むシー
トとして構成され、これは、調剤パッチユニットと身体との間の接続および分離を行える
ようにするために使用される。カニューレは、クレードルユニットを通じて皮膚内に挿入
され、挿入後もクレードルユニットに固定されたままである。次いで、先の尖った針とし
て構成されている貫通部材が引っ込められ、処分される。
【0027】
2007年6月25日に出願された米国仮特許出願第60/937,155号の優先権
を主張する、両方とも同日付に出願された「A Protector Apparatu
s」という表題の同時係属共有国際特許出願第PCT/IL08/XXXXXX号および
米国特許出願第XX/XXX,XXX号において、さらに「プロテクタ」と称される、貫
通カートリッジを遮蔽する保護カバーを備えることによって意図しないプリックから使用
者を保護するためのデバイスおよび方法が開示されている。上記出願の開示は、全体が参
照により本明細書に組み込まれている。プロテクタは、クレードルユニットに着脱可能な
ように接続可能であり、そのため、カニューレは、手動で、または自動的に挿入されうる
。挿入し、皮膚を穿刺すると、貫通部材はプロテクタ内に引っ込められ、両物品とも処分
できる。
【0028】
グルコース連続監視モニターは、2006年9月6日に出願された米国仮特許出願第6
0/842,869号の優先権を主張する、2007年9月5日に出願された共有/同時
係属国際特許出願第PCT/IL07/001096号、および2006年9月29日に
出願された米国仮特許出願第60/848,511号の優先権を主張する、2007年9
月25日に出願された国際特許出願出願第PCT/IL07/001177号において開
示されている。上記出願の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0029】
本発明のさらなる説明では、カニューレの挿入を主に取りあげる。ただし、この説明は
、生体検体の感知用のセンサまたは他の皮下挿入可能要素の挿入についても等しく当ては
まることを念頭に置いていただきたい。
【0030】
図1aは、本発明の挿入器が実装されうる流体送達デバイスの一実施例を示している。
送達デバイスは、調剤パッチユニット10および遠隔制御ユニット40を備える。いくつ
かの実施形態では、調剤パッチユニット10は、単一部分(図1bに示されているように
)、または2つの部分(図1cに示されているように)、つまり、再利用可能部100と
使い捨て部200を備えることができる。調剤ユニット10は、コマンドを転送し、調剤
ユニット10などからの命令を受信し、処理することができる遠隔制御ユニット40と通
信する。遠隔制御ユニット40は、ディスプレイならびにユニット10および40の動作
を制御するための複数のボタンを備えることができる。ユニット10および40は、無線
、有線、配線、RF、または他の種類の通信機能を用いて通信できる。ユニット40は、
パソコン、ラップトップ、iPod、PDA、携帯電話、遠隔制御装置、または他の好適
なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、流体送達は、調剤ユニット1
0内に備えられているトランシーバとの双方向通信リンクを有する遠隔制御ユニット40
によってのみプログラムされうる。
【0031】
図2a乃至図2cは、調剤パッチユニット10を使用者/患者の皮膚5に直接接着する
実施例を示している。図2aは、調剤パッチユニット10から粘着性保護シート101を
剥離する状況を示している。図2bは、調剤パッチユニット10を皮膚5に接着する状況
を示している。図2cは、皮膚5に接着され、動作可能な状態にある調剤パッチユニット
10を示している。
【0032】
図3a乃至図3cに示されている、いくつかの実施形態では、流体分注デバイスは、最
初に皮膚5に接着できる、クレードルユニット20を備えることができる。次いで、患者
の裁量により、調剤パッチユニット10のクレードルユニット20への接続および分離を
実行できる。クレードルユニットを使用するデバイスの一例は、両方とも2006年12
月22日に出願された米国特許出願第60/876,679号の優先権を主張する両方と
も2007年12月20日に出願された同時係属/共有米国特許出願第12/004,8
37号および国際特許出願第PCT/IL07001578号において開示されている。
【0033】
図3aは、クレードルユニット20が皮膚5に接着されているところを示している。図
3bは、調剤パッチユニット10が接着されているクレードルユニット20に接続する状
況を示している。図3cは、調剤パッチユニット10がクレードルユニット20に接続さ
れ、動作可能な状態にあることを示している。
【0034】
図4a及び図4bは、それぞれクレードルユニット20の側面図および上面図である。
クレードルユニット20は、以下の要素を備える。
・挿入器および調剤パッチユニットの接続および分離のため接着剤層が皮膚5に面する方
にあり、固定手段302,304がその上側にある平坦なシートとして構成されるクレー
ドル基部300。
・クレードルユニット20と挿入器、さらにはクレードルユニット20と調剤パッチユニ
ット10の位置合わせおよび適切な接続を可能にし調剤パッチユニット10から流体を身
体に適切に送達できるようにクレードル基部300から上方へ出てくるチューブ状突起部
として構成されるウェル310。
【0035】
図4cは、クレードル基部300およびウェル310を有する例示的なクレードルユニ
ット20を示している。
【0036】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による、カニューレカートリッジユニット700
を装填した例示的な挿入器800を示す略図である。カニューレカートリッジユニット7
00は、プロテクタ710および貫通カートリッジ711を備える。貫通カートリッジ7
11は、調剤パッチユニットから患者の身体への流体(例えば、インスリン)送達の維持
、および/または検体(例えば、グルコース)感知/監視を可能にするカニューレ713
を備える。貫通カートリッジ711は、さらに、皮膚5を穿刺し、カニューレ713の挿
入を容易にするための貫通部材716を備える。プロテクタ710は、カニューレ713
および貫通部材716を収納し、さらに保護する保護カバーを有する。保護カバーの目的
の1つは、使用者による意図しない皮膚穿刺を防ぐことである。当業者であれば理解でき
るであろうが、プロテクタ710は、任意の形状をとることができ、複数のカニューレを
格納できる。
【0037】
挿入器800を使用することで、カニューレ713および貫通部材716を自動的に、
または手動のいずれかでプロテクタ710から突き出し、身体の中へ入れることができる
が(例えば、皮下注射カニューレ挿入)、これについては以下で詳しく説明する。カニュ
ーレおよび貫通部材がプロテクタ710から突き出されると、貫通部材716は、皮膚5
を穿刺し、これによりカニューレ713の挿入を行うことができる。挿入後、カニューレ
713は使用者の体内に引き続き留まり、貫通部材716をプロテクタ710内に引っ込
めて戻すことができる。挿入プロセスは、プロテクタ710を(中に配置されている貫通
部材716とともに)挿入器800から取り出して、プロテクタ710を処分することで
終了する。
【0038】
プロテクタ710が使用されない実施形態では、貫通カートリッジ711だけが挿入器
800内に配置されることに留意されたい。したがって、挿入プロセスは、2006年1
1月28日に出願された米国仮特許出願第60/861,345号の優先権を主張する、
2007年11月26日に出願された共有同時係属国際特許出願第PCT/IL07/0
01454号、および両方とも2006年12月22日に出願された米国仮特許出願第6
0/876,679号の優先権を主張する、両方とも2007年12月20日に出願され
た米国特許出願第12/004,837号および国際特許出願出願第PCT/IL070
01578号において開示されているように実行できる。
【0039】
図6a乃至図6cに例示されているように、挿入器は、クレードルユニット20に接続
されるか、またはウェルアセンブリまたは輸液セットのいずれかを使用して皮膚接着可能
調剤パッチユニットに接続されうる。挿入器は、さらに、非接着性の分注デバイス(例え
ば、「ポケベル形」)とともに使用される輸液セットに接続することもできる。図6aを
参照すると、挿入器800は、カニューレカートリッジユニット700が装填され、クレ
ードルユニット20に接続されている。カニューレ挿入プロセスが完了した後、挿入器8
00は、クレードルユニット20から分離され、調剤パッチユニットが、クレードルユニ
ット20に接続されうる。図6bは、カニューレカートリッジユニット700が装填され
、調剤パッチユニット10内に配置されているウェルアセンブリ102に接続されている
挿入器800を示している。当業者であれば理解できるであろうが、調剤パッチユニット
は、上述のように、一体型ユニットまたは2分割型ユニットとすることができる。ウェル
アセンブリ102は、側面に吸入口103を備え、これにより、分注される流体を貯蔵槽
220(調剤パッチユニット10の内側に配置される)から送達チューブ230を介して
カニューレ713に送ることができる。いくつかの実施形態では、カニューレ713は、
カニューレを介して流体が使用者の体内に入る際に通る横開口部を備える。図6cは、カ
ニューレカートリッジユニット700が装填され、輸液セット110に接続されている挿
入器800を示している。輸液セット110は、ハブ112、および調剤パッチユニット
10から隣接する挿入部位に伸びる短い接続チューブ114を備える。接続チューブ11
4を使用することで、ユニット10の貯蔵槽220とカニューレ713との間の流体的連
通が可能になる。
【0040】
図7a乃至図7cは、カニューレカートリッジユニット700を挿入器800内に装填
するさまざまな方法を示している。カニューレカートリッジユニット700は、挿入器8
00内の下側開口部821(図7aに示されているような)、挿入器800内の上側開口
部822(図7bに示されているような)、または挿入器800内の横開口部823(図
7cに示されているような)を通じて挿入器800内に装填できる。当業者であれば理解
できるであろうが、ユニット700は、他の任意の方法で挿入器800内に留置でき、ま
たそのような留置は、図7a乃至図7cに示されている実施形態に限定されない。
【0041】
さまざまな種類の挿入器に、カニューレカートリッジユニット700を装填できる。図
8aは、ウェル310を介してクレードルユニット20に結合されているペン800とし
て構成されている(これ以降、「ペン形」と称する)挿入器の概略を示している。図8
は、クレードル基部300の上面に設けられている固定手段302,304を使用してク
レードルユニット20に結合される「コンピュータマウス」900として構成されている
(これ以降、「マウス形」と称する)挿入器の概略を示している。固定手段302,30
4は、ラッチ、スナップフィット機構、VELCRO(登録商標)デバイスなどとするこ
とができる。当業者であれば理解できるであろうが、図8a及び図8bに示されている実
施例は、ここでは、例示的な限定しない目的のみのために提示されており、本発明は、カ
ニューレカートリッジユニット700を装填できる任意の種類の挿入器とともに使用でき
る。他の挿入器構成も、本発明の実施形態の範囲内にあるものと十分考えられる。
【0042】
図9aは、本発明のいくつかの実施形態による、例示的なカニューレカートリッジユニ
ット700を示す斜視図である。ユニット700は、プロテクタ710を備える。プロテ
クタ710は、底側開口部749と上側開口部748とを備える。底側開口部749は、
ウェルアセンブリ(図9aに示されていない)にフィットするように、または輸液セット
ハブ(図9aに示されていない)にフィットするように、またはクレードルユニット(図
9aに示されていない)の一部であるウェルにフィットするように構成され、寸法が決め
られる。カニューレ713の挿入は、貫通カートリッジ(プロテクタ710内に隠蔽され
ており、したがって図9aには示されていない)を手動で、または自動的に突き出すこと
によって実行される。この突き出しは、以下で詳しく説明されるように、プロテクタの上
側開口部748を通して挿入される専用の棒を使用するか、または挿入器内に備えられ、
プロテクタの本体部内に設けられている少なくとも1つの長手方向スリット722,72
2を通してプロテクタ710を貫通するように構成されている専用係止フックを使用して
行うことができる。当業者であれば理解できるであろうが、単一のプロテクタで、さまざ
まな形状および/またはサイズ(長さ、幅、高さなど)を有するカニューレおよび/また
はセンサの留置に対応できる。このようなプロテクタの一例は、2007年6月25日に
出願された米国仮特許出願第60/937,155号の優先権を主張する、両方とも同日
付に出願された「A Protector Apparatus」という表題の同時係属
共有国際特許出願第PCT/IL08/XXXXXX号および米国特許出願第XX/XX
X,XXX号において開示されており、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
したがって、さまざまな形状および/またはサイズのカニューレおよび/またはセンサを
体内に挿入するために同じ挿入器が使用されうる。
【0043】
図9bは、本発明のいくつかの実施形態による、プロテクタ710および貫通カートリ
ッジ711を有する例示的なカニューレカートリッジユニット700の断面図である。い
くつかの実施形態では、貫通カートリッジ711は、貫通部材716の平滑末端に配置さ
れている把持部712を有する貫通部材716、カニューレ713、およびカニューレ7
13に取り付けられ、カニューレを体内に挿入した後封止されるカニューレ713の上側
開口部を保持するためのゴム製隔壁311を収納するカニューレハブ714をコンポーネ
ントとして有する。隔壁311は、調剤パッチユニットの使い捨て部内に備えられている
接続ルーメン(図9bに示されていない)によって繰り返し穿刺できる。接続ルーメンは
、貯蔵槽(図9bに示されていない)とカニューレ713との間の流体的連通を維持する
【0044】
カニューレ挿入プロセスは、手動で実行される(つまり、カニューレ挿入および貫通部
材引き込みの両方が手動で実行される)か、または半自動で実行される(つまり、カニュ
ーレ挿入は自動的に実行されるが、貫通部材引き込みは手動で実行され、またその逆も可
能である)か、または完全自動で実行されうる(つまり、カニューレ挿入と貫通部材引き
込みは両方とも自動的に実行される)。以下の図は、さまざまな種類の挿入プロセスを詳
しく例示している。
【0045】
図10a乃至図10iは、本発明のいくつかの実施形態による、手動カニューレ挿入プ
ロセスの実行時にカニューレカートリッジユニットを装填されている挿入器800の断面
図である。手動挿入は、図10aに示されているように、棒760の助けを借りて、カニ
ューレカートリッジユニット700を独立した装置として使用して実行できる。いくつか
の実施形態では、手動挿入プロセスは、図10bに示されているように、カニューレカー
トリッジユニット700を事前装填された挿入器800を使用し、また棒860を使用し
て、実行できる。両方の実施形態における挿入プロセスは、類似している。
【0046】
図10c乃至図10iは、皮膚接着可能クレードルユニット20に接続可能な挿入器8
00を使用する例示的な挿入プロセスを示している。図10cは、挿入器800およびカ
ニューレカートリッジユニット700に接続する前にカニューレカートリッジユニット7
00およびクレードルユニット20を装填される挿入器800を示している。クレードル
ユニット20は、基部300内に配置され、少なくとも1つの抵抗付与ラッチ313と係
合するスナップ係合機構を有するウェル310を備える。カニューレカートリッジユニッ
ト700は、ラッチ313に対応し、ラッチ313の挿入を受け入れるように構成されて
いる少なくとも1つの刻み目または陥凹部744を備える。上述のように、カニューレカ
ートリッジユニット700はウェル310の上に留置され、これにより、刻み目744を
ラッチ313上にカチリと嵌め込み、その結果、ユニット700をウェル310にロック
する。当業者であれば理解できるであろうが、ユニット700をウェル310に固定する
他の方法も可能である。いくつかの実施形態では、カニューレカートリッジユニット70
0は、ウェル310に接続しないとウェル310の上にしか留置できない。ユニット70
0がウェル310に向かわされるときのカニューレカートリッジユニット700とウェル
310との接続は、図10cの矢印で例示されているとおりである。いくつかの実施形態
では、挿入器800とクレードルユニット300との間の接続が確立される。カニューレ
カートリッジユニット700は、ウェル上に留置されるか、またはクレードルユニット3
00と接触することはまったくありえない。図10dは、クレードルユニット20に接続
され、動作可能な状態にある挿入器を示している。専用の棒860は、挿入器800の上
端の外側に配置される。
【0047】
棒860は、ハンドル861、およびハンドル861と反対側に配置されうる押し棒部
分862を備えることができる。カニューレカートリッジユニット700は、棒860の
押し棒部分862と相互作用する把持部712を有する貫通カートリッジ711を備える
。押し棒部分862は、その上部にハンドル861の留置を受け入れる陥凹部863を備
えることができる。陥凹部863はハンドル861を固定し、ハンドル861がカニュー
レカートリッジユニット700の下方へ押し下げられているときにハンドル861が揺ら
ぐのを防ぐ。他の実施形態では、ハンドルおよび押し棒部分は、単一の物品をなすように
構成される。
【0048】
図10eは、貫通カートリッジ711が専用の棒860によって押し下げられ、ウェル
310に通され、使用者の皮下組織4に送られる状況を示している。使用者は、棒860
のハンドル861を押して、棒860を下向き方向でウェル310に向けて押し込む。使
用者が棒860のハンドル861に加えた力は、貫通カートリッジ711を使用者の皮膚
5に向かって押し下げる押し棒部分862に伝えられる。貫通カートリッジ711が押し
下げられると、貫通カートリッジ711内に収納されている貫通部材716は、使用者の
皮膚5を穿刺し、皮下組織4に入る。貫通部材716が進入するとともに、カニューレ7
13も、皮下区画4内に挿入される。カニューレ713が挿入された後、貫通部材716
を取り外すことができる。
【0049】
図10fは、棒860を使用して貫通部材716をプロテクタ710に引っ込めて戻す
状況を示している。カニューレ713が皮下組織4内に挿入されると、カニューレハブ7
14は、ウェル310に剛性的に接続されたままとなる。貫通部材716を取り出すため
に、使用者は、棒860のハンドル861を上向き方向(または挿入方向と反対の方向)
へ引き続ける。棒860のハンドル861は、押し棒部分862の陥凹部863に固定さ
れ、押し棒部分862は、プロテクタ710および挿入器800の内側で前後にスライド
させることができる把持部712に固定されているため、ハンドルを引くと、棒860の
押し棒部分862および把持部712は、ハンドル861とともに引っ張られ、これによ
り、貫通部材716が皮下区画4とカニューレハブ714から取り外される。いくつかの
実施形態では、押し棒部分862および把持部712がうっかり外れてしまわないように
挿入器800および/またはプロテクタ710はその上端にストッパーを備えることがで
きる。それに加えて、挿入器および/またはプロテクタの内側部分には、貫通部材716
を挿入しすぎること、およびウェル310から係脱した後にプロテクタ710の底側端部
から把持部712とともに貫通部材716が偶発的にスリップして外へ出ることを防ぐ内
部ストッパーを備えることができる。いくつかの実施形態では、ウェル310は、貫通部
材716を挿入しすぎるのを防ぐストッパーとして使用することができる。貫通部材71
6が取り外された後、貫通部材716が中に配置されているプロテクタ710を含む挿入
器800は、ウェル310から係脱されうる。
【0050】
図10gは、挿入器800をクレードルユニット20から分離する状況を示している。
挿入器800は、ラッチ313から刻み目744を係脱することによって取り外される。
これは、ラッチ313から刻み目744を引き離すか、または刻み目744を引くボタン
を押し出すか、または他の何らかの手段を使用して行うことができる。クレードルユニッ
ト300から取り外した後も、挿入器800は、貫通部材の把持部712とともにプロテ
クタ710の内部に貫通部材716を隠蔽し続ける。いくつかの実施形態では、ハンドル
861が陥凹部863から係脱され、挿入器800はその内容物とともに処分できる。ハ
ンドル861は、今後のカニューレ挿入に再利用できる。他の実施形態では、貫通部材7
16が中に配置されているプロテクタ710は、挿入器がクレードルユニット300から
取り外された後、挿入器800から取り外して処分できる。挿入器800は、今後のカニ
ューレ挿入に再利用できる。当業者であれば理解できるであろうが、挿入器800は、貫
通部材716が体内に留まっている間にカニューレ713を挿入した後クレードルユニッ
ト20から分離できる。この場合、使用者は、貫通部材716の把持部分712を指で保
持しつつ、上向き方向に(または挿入の方向と実質的に反対の方向に)引くことによって
身体から貫通部材716を手動で取り外すことができる。
【0051】
図10hは、クレードルユニット20に接続する前の2分割調剤パッチユニット10を
示している。調剤パッチユニット10は、とりわけ、流体貯蔵槽220、出口213、お
よび貯蔵槽220と出口213との間の流体的連通を維持する接続ルーメン214を備え
る。調剤パッチユニット10をクレードルユニット20に接続した後、接続ルーメン21
4は、カニューレ713の上側開口部を封止している隔壁311に穿刺し、これによって
、カニューレ713を介して流体を皮下組織4に送達することができる。この出口213
を用いて、調剤パッチユニット10とクレードルユニット20との接続および分離を繰り
返し行うことができる。
【0052】
図10iは、クレードルユニット20に接続された後の2分割調剤パッチユニット10
を示している。いくつかの実施形態では、流体(例えば、インスリン)送達カニューレ7
13は、生体検体(例えば、グルコース)を監視するためのセンサも収納することができ
る。流体送達は、センサ入力に応じて調節できる(半または完全閉ループモードで)。他
の実施形態では、調剤パッチユニット10は、参照により本明細書に組み込まれている、
共有同時係属の国際特許出願第PCT/IL07/000163号と米国特許出願第11
/706,606号、米国特許出願第11/963,481号と国際特許出願第PCT/
IL07/001579号において、また2007年5月7日に出願された「A Rec
iprocating System for Monitoring Analyte
Concentrations and/or Dispensing Fluids
into a Body」という表題の米国仮特許出願第60/928,054号の優
先権を主張する2008年5月7日に出願された米国特許出願第12/116,546号
および国際特許出願第PCT/US08/62928号において説明されているように、
薬物送達用のカニューレ713および検体感知用のセンサの両方を備えることができる。
【0053】
図11a乃至図11eは、本発明のいくつかの実施形態による、半自動カニューレ挿入
プロセスの実行時にカニューレカートリッジユニット700が装填されている挿入器80
0の断面図である。図11aは、カニューレカートリッジユニット700が装填された挿
入器800および接続される前のクレードルユニット20を示している。カニューレカー
トリッジユニット700とクレードルユニット20との接続は、図10cを参照しつつ上
で説明されているようになされる。いくつかの実施形態では、以下で説明するように、挿
入器800はばね仕掛け機構を備えることができ、この機構は把持部712に結合可能で
あり、ばねが解放されると把持部712を押し、この力でカニューレ716とともに貫通
部材716を皮下組織4内に挿入する。
【0054】
図11bは、クレードルユニット20に接続され、動作可能な状態にあるカニューレカ
ートリッジユニット700が装填された挿入器800を示している。いくつかの実施形態
では、挿入器800は、カニューレ713の解放/発射が不注意で行われたり、または早
すぎたりするのを防ぐための手段を備える。このような手段は、例えば、解放ボタン85
4を遮蔽し、挿入器をクレードルユニット20に接続した後、挿入開始の前に、挿入器8
00から取り外し可能である安全キャップ855とすることが可能である。
【0055】
図11cは、使用者が安全キャップ855を持ち上げて、解放ボタン854を押す様子
を示している。挿入器800は、カニューレカートリッジユニット700をウェル310
に接続するのと同様にしてウェル310に接続できる(例えば、ラッチと刻み目の接続を
使用して)。その結果として、貫通カートリッジ711は、例えば、バイアスばね850
によって変位可能である、棒852によって、ウェル310に向かって自動的に押し下げ
られる。上記のように、挿入器800は、送り棒852に結合されたばね850とばね解
放ボタン854を有するばね仕掛け機構を備える。ばね850は、最初に圧縮状態にあり
、このため、送り棒852は、挿入器800の上側端部に実質的に近い発射前位置に配置
される。ばね解放ボタン854は、ばね850を下向き方向(または皮膚5に向かう方向
)に解放するように構成される。ボタン854が押されると、図11cに例示されている
ように、ばね850が解放される。ばね850が解放されると、送り棒852は貫通カー
トリッジ711に圧力を加えて、貫通カートリッジ711を下向き方向に(または皮膚5
の方へ)押し込む。カートリッジ711が移動すると、貫通部材716とカニューレ71
3がウェル310を通り皮膚5の方へ移動し、この力で、皮膚5が穿刺され、貫通部材7
16およびカニューレ713が皮下区画4内に挿入される。カニューレ713が挿入され
た後、貫通部材716は、皮下区画4から引っ込めることができるか、または取り外すこ
とができる。
【0056】
図11dは、例えば、横突起部856を使って貫通部材716をプロテクタ710に手
動で引っ込める状況を示している。横突起部856は、挿入プロセスにおいて力で下向き
方向に押されたときに送り棒852と一緒に移動するように構成されている。棒852を
元の位置に引っ込めるために、したがって、貫通部材716を皮下区画4から引っ込める
ために、使用者は、突起部856を上向き方向(または挿入の方向と反対の方向)に引っ
張り、送り棒852を発射前位置に固定することができる。貫通部材716を取り外した
後、カニューレハブ714はウェル310に固定されたままとなり、カニューレ713は
皮下組織4内に留まる。貫通部材716が取り外された後、挿入器800およびプロテク
タ710は、ウェル310から分離できる。
【0057】
図11eは、挿入器800をクレードルユニット20から分離する状況を示している。
分離後、現在貫通部材716しか収納していないプロテクタ710および把持部712は
、挿入器800から取り外され、次いで処分される。当業者であれば理解できるであろう
が、挿入器800は、貫通部材716が体内に留まっている間にカニューレ713の挿入
後にクレードルユニット20から他の何らかの方法で分離できる。この場合、使用者は、
把持部712を指で保持しつつ、貫通部材716とともに上向き方向に引っ張ることによ
って身体から貫通部材716を手動で取り外す。挿入器800をクレードルユニット20
から分離した後、図10h及び図10iを参照しつつすでに説明されているように、調剤
パッチユニットがクレードルユニットに接続できる。
【0058】
図12a乃至図12cは、自動挿入プロセスの実行中のカニューレカートリッジユニッ
ト700を装填された挿入器の断面図である。挿入器800をクレードルユニット20に
接続し、カニューレ713および貫通部材716を皮下組織4内に挿入する作業は、図1
1a乃至図11cを参照しつつ上で説明されている接続と同様にして実行される。しかし
、この実施形態では、挿入器800は、貫通部材716を自動的に引っ込めるための手段
を備える。いくつかの実施形態では、挿入器800は、図12aに示されているように、
カニューレ挿入プロセスの実行時に引き伸ばせる引き込み用ばね858を備える。引き込
み用ばね858は、貫通部材716を自動的に1回圧縮するように構成することができ、
またカニューレ713は、皮下区画4内に挿入され、カニューレハブ714は、ウェル3
10に固定される。いくつかの実施形態では、引き込み用ばね858は、解放ボタン85
4を押すか、または別の専用ボタン(図12aに示されていない)を押すと圧縮すること
ができる。図12bは、カニューレハブ714がウェル310に接続されたままであり、
カニューレ713が皮下組織4内に留まっている間に、引き込み用ばね858によって貫
通部材716がプロテクタ710内に引っ込められる状況を示している。図12cは、挿
入器800をクレードルユニット20から分離する状況を示している。次いで、現在貫通
部材716しか収納していないプロテクタ710は、挿入器800から取り外され、処分
される。挿入器800をクレードルユニット20から分離した後、図10h及び図10
に関してすでに説明されているように、調剤パッチユニットがクレードルユニットに接続
できる。
【0059】
図13aは、中にカニューレカートリッジユニット700を収納するように設計されて
いるペン形挿入器80の一実施例を示している。挿入器80は、本体部810を備え、こ
れにより、カニューレカートリッジユニット700の留置を受け入れる。本体部は、側面
からカニューレカートリッジユニット700を装填できるようにアーチ形断面を備えるこ
とができる。本体部は、例えば、挿入器の底側開口部を通してカニューレカートリッジユ
ニット700を装填できるようにチューブとして他の何らかの方法で構成できる。いくつ
かの実施形態では、挿入器80は、カニューレの発射が不注意で行われたり、または早す
ぎたりするのを防ぐための手段を備える。このような手段は、例えば、挿入器80内で2
つの横トリガー809,809’と変位機構(図13aに示されていない)とが接触する
のを防ぐ安全キャップ855とすることも可能である。安全キャップ855は、クレード
ルユニット20に接続した後、挿入開始の前に、挿入器80から取り外し可能である。本
体部810は、ウェル310上に本体部810を挿入できるようにする底部開放端849
を備え、半環状突起部812が本体部810の上側端部近くの、内側に面する壁に配置さ
れている。挿入器80は、さらに、以下で説明されるように、貫通部材およびカニューレ
を皮下区画4内に挿入するための本体部810に結合された変位機構を備える。
【0060】
図13bは、カニューレカートリッジユニット700がペン形挿入器80内に装填され
る様子を示している。上記のように、ユニット700は、開いた底側端部749を有する
プロテクタ710を備える。プロテクタ710の底側端部749は、対応するリング形セ
クション849を有する挿入器の底部の内側に留置される。次いで、プロテクタ710の
本体が、挿入器80の内側から突き出ている半環状突起部812とプロテクタ710の外
側に配置されている対応する環状凹部719との係合が生じるまで挿入器80内に押し込
まれる。プロテクタ710は、本体部810と連動し、これにより、カニューレカートリ
ッジユニット700を挿入器800内に固定する。
【0061】
図13cは、カニューレカートリッジユニット700を装填してから、クレードルユニ
ット20に接続するまでの挿入器80を示している。いくつかの実施形態では、挿入器8
0は、カニューレの発射が不注意で行われたり、または早すぎたりするのを防ぐための手
段を備える。
【0062】
図14a乃至図14fは、図13a乃至図13cに示されているペン形挿入器80を使
ってカニューレ挿入プロセスが実行されるときにカニューレカートリッジユニット700
を装填された挿入器80の断面図である。図14aは、カニューレカートリッジユニット
700を装填し、クレードルユニット20に接続された後の(つまり、図10cに関して
上で説明されているように、クレードルユニット20のウェル310上に留置されている
)挿入器80を示している。挿入器80から安全キャップを取り外した後に、使用者は、
図14aに示されているように、挿入器80の外側に配置されている2つの横トリガー8
09,809’を同時に押すことによってカニューレ挿入プロセスを開始する。いくつか
の実施形態では、トリガー809および809’は、カニューレを挿入するために引き続
いて使用される。いくつかの実施形態では、単一のトリガー809であってもよいし、ま
た2つより多いトリガー809があってもよい。
【0063】
トリガー809,809’に加えて、挿入器80は、図14bに示されているように、
挿入器80内に配置されているばね813、環状凹部817を有し、ばね813に結合さ
れている棒815、および各陥凹部807,807’上に浮いているスプリングラッチ8
11,811’(挿入器80の上側部分の近くに配置されている)を備える。図14bは
、カニューレ713を皮下組織4内に自動挿入する状況を示している。横トリガー809
,809’を(同時であろうとなかろうと)押すと、スプリングラッチ突起部811,8
11’が内向きに押され、これにより、各陥凹部807,807’から解放される。最初
に圧縮荷重付与状態にあるばね813が解放され、下向き方向に(または皮膚5に向かう
方向に)伸びる。ばね813は、専用の棒815を押し、この力で下向き方向に(または
皮膚5に向かう方向に)棒を移動する。棒815が把持部712の王冠形セクションの底
部707に到達すると、王冠形セクションを構成するばね保持アーム2つのアーム706
,706’のみが、図14bに示されている)は、棒815内に設けられている環状凹部
817に捕えられる。その結果、貫通カートリッジ711は強制的に、下向き方向でウェ
ル310へ移動される。次いで、貫通部材716およびカニューレ713は、ウェル31
0を通過し、皮下区画4内に挿入される。
【0064】
図14cは、貫通部材716が引っ込められる様子を示している。いくつかの実施形態
では、この引き込みは、使用者が手動で行う。カニューレ713が皮下組織4内に挿入さ
れた後、使用者はレバー803を上向き方向に押すが、レバーは棒815に接続されてお
り、図14dからわかるように、挿入器の本体部内の窓804を通して使用者が取り扱う
ことができる。これにより、棒815は貫通部材716とともに引っ込み、ばね813が
圧縮されて発射前状態になる。ばね保持アーム706が、プロテクタ710の本体よりも
大きな直径を有するプロテクタ710の上部セクションに到達すると、アーム706は、
棒815内に設けられている環状凹部817から解放され、プロテクタ710内にその元
の位置をとる。
【0065】
引き込みプロセスは、ばね813がばね荷重付与状態に戻り、スプリングラッチ突起部
811,811’が各陥凹部807,807’内で浮いた状態になると終了する。貫通部
材716が引っ込められた後、カニューレハブ714はウェル310内に留まる。いくつ
かの実施形態では、ウェル310は、カニューレハブ714をウェル310内に保持する
のを助けるばね突起部715,715’を備える。
【0066】
当業者であれば理解できるであろうが、貫通部材716の引き込みは、他の何らかの方
法で自動的に、例えば、第2の引き込みばねを使用することによって実行されうる。
【0067】
図14eは、手動引き込みプロセスが完了した後に挿入器80がクレードルユニット2
0から分離される状況を示している。この段階で、ばね813は、初期荷重付与状態に戻
り、棒815は、把持部712から分離される。挿入器80をクレードルユニット20か
ら分離した後、使用者は、調剤パッチユニットをクレードルユニット20に接続すること
ができる。
【0068】
プロテクタ710は、次いで、図14fに例示されているように、挿入器80から取り
外すことができる。取り外しが完了した後、貫通部材を中に収納しているプロテクタ71
0を処分することができる。
【0069】
図15a及び図15bは、本発明のいくつかの実施形態による、他の例示的な挿入器9
0の側面図および斜視図である。図15a及び図15bは、クレードルユニット(図に示
されていない)およびカニューレカートリッジユニット(図に示されていない)を事前装
填されているマウス形挿入器90を示している。挿入器90は、クレードルユニットを患
者の身体に接着しやすくするために、またカニューレを皮下組織内に簡単に挿入するため
に使用できる。挿入器90は、使用者が貫通部材およびカニューレ(図15a及び図15
bに示されていない)を皮下区画内に挿入できるようにする解放ボタンを備えることがで
きる。挿入器90は、さらに、後述のように、カニューレカートリッジユニット700を
挿入するための区画を備えることもできる。当業者であれば理解できるであろうが、挿入
器90は、望む任意の形状をとることができ、図15a及び図15bに示されている挿入
器90に限定されない。これらの図に示されている挿入器90は、例示的な限定しない目
的に関して提示されている。
【0070】
上記の実施形態では、カニューレカートリッジユニット700は、図15cに例示され
ているようなハンドル720を備え、これにより、カニューレカートリッジユニット70
0を都合よく掴み、挿入器90内にカニューレカートリッジユニット700を適切に留置
することができる。ハンドル720は、特定の形状またはサイズに限定されない。それに
加えて、プロテクタ710は、ハンドル720と反対の側に配置されている少なくとも1
つのスリット722,722’を備える。スリット722,722’により、貫通カート
リッジを患者の身体に向けて押し下げることができる。
【0071】
図16は、本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器90の分解図である。
挿入器90は、挿入器基部910、ラチェットフライホイール912、ラチェットクラン
ク914、挿入レバー916、荷重付与ボタン918、荷重付与ばね920、フライホイ
ールトーションばね922、解放ボタン924、解放トーションばね926、および上記
コンポーネントを固定するためのハウジング928、および安全キャップ929を備える
。これらのコンポーネントの機能について、以下で詳述する。
【0072】
図17a及び図17bは、本発明のいくつかの実施形態による、挿入器90とクレード
ルユニット20との接続を示している。図17aは、挿入器90内に設けられている専用
陥凹部902とクレードル基部300の前側端部内に設けられている対応する突起部30
2との係合の状況を示している。次いで、挿入器90の後側端部が、クレードルユニット
20の方へ押し下げられ、2つのユニットは、クレードル基部300の後部に設けられて
いるラッチ304と挿入器90内に設けられている対応するノッチ904とのスナップ係
合により接続されることになる。図17bは、挿入器90がクレードルユニット20に接
続されている状況を示している。
【0073】
挿入器90は、ばね仕掛けフライホイールを使用する変位機構を備える。したがって、
カニューレカートリッジユニット(図に示されていない)を挿入器90内に装填する前に
、使用者は、図18に例示されているように、フライホイールトーションばね922に荷
重を付与する。フライホイールトーションばねに荷重を付与するために、使用者は、最初
に、荷重付与ボタン918(挿入器90の外部に設けられている)を内向きに押し、それ
から、荷重付与ボタン918をラチェットホイール(図18に示されていない)と結合し
、次いで、荷重付与ボタン918を回す(図18に示されているように、反時計回りの方
向に、ただし、いくつかの実施形態では、荷重付与ボタンの荷重付与は、それを時計回り
の方向に回すことで実行されうる)。この回転運動が、フライホイールトーションばね9
22に張力をかけ、したがって荷重を付与する。
【0074】
図19a及び図19bは、カニューレカートリッジユニット700を挿入器90内に装
填する状況を示している。いくつかの実施形態では、カニューレカートリッジユニット7
00を挿入器90に装填する動作は、挿入器90をクレードルユニット20に接続した後
、およびフライホイールトーションばね922に荷重を付与した後に実行される。いくつ
かの実施形態では、カニューレカートリッジユニット700は、図15cに関して上で説
明されているように、ハンドル720を備えている。挿入を受け入れるようにするため、
いくつかの実施形態では、挿入器は、カニューレカートリッジユニットを収容するため挿
入器90内に形成された開口部の周りに配置されている少なくとも1つのばねホルダー9
28,928’を備える。ユニット700を挿入器90内に挿入するために、使用者は、
カニューレカートリッジユニット700のハンドル720を握って、ユニットをウェル3
10上に留置し、次いで、図19cに示されているように、ばねホルダー928,928
’に捕捉されるまでカニューレカートリッジユニット700を挿入器90内に押し込む。
これにより、確実に、カニューレカートリッジユニット700は、カニューレ挿入プロセ
スに必要に応じて適切に配置される。当業者であれば理解できるであろうが、ユニット7
00を挿入器90に固定する他の方法も可能である。
【0075】
図19dは、クレードルユニット20に接続され、カニューレカートリッジユニット7
00を装填された後の挿入器90の斜視図である。図19dに例示されているように、挿
入器は、図17a及び図17bに示されているラッチ陥凹部接続を使用してクレードルユ
ニット20に接続される。ユニット700は、ユニット700から外へ突き出ているハン
ドル720で挿入器90内に形成されている開口部内に装填される。
【0076】
図20a及び図20bは、クレードルユニット20が使用者の皮膚5に接着されている
様子を示している。挿入器90は、簡単に、また快適に保持できるように人間工学的構成
のものとすることができる。使用者は、1回下げる動作をするだけで、または最初にクレ
ードルユニット20の前側(または後側)端部を皮膚5上に留置し、次いで、クレードル
ユニット20を皮膚5に押し付けることによってクレードルユニット20を皮膚5に取り
付けることができる。
【0077】
図21a乃至図21iは、本発明のいくつかの実施形態による、マウス形挿入器90を
使用する例示的なカニューレ挿入プロセスを示す。図21aは、皮膚5に接着された後に
動作可能な状態にある挿入器90を示している。次いで、使用者は、カニューレがうっか
り発射されたり、発射が早すぎたりしないようにするために解放ボタン924を脱着可能
な形で覆うことができる安全キャップ929を持ち上げる。
【0078】
図21b乃至図21dは、それぞれ、解放ボタン924を押すことで開始されるカニュ
ーレ挿入プロセスの開始の状況を示す側面図および断面図である(図21bに示されてい
るように、使用者は、矢印の示すとおりに下向き方向にボタン924を押す)。解放ボタ
ン924を押すと、図21c及び図21dに例示されているように、解放ボタン924の
拘束アーム925が持ち上がってラチェットクランク914から離れる。そのため、クラ
ンク914は、付随するラチェットフライホイール(図21c及び図21dに示されてい
ない)内に部分的に埋め込まれている、荷重付与されたフライホイールトーションばね9
22の力が加えられることで回転する。クランク914が回転すると、その回転は、クラ
ンク突起部915を使って挿入レバー916の直線垂直運動に変換される。クランク突起
部915は、図21eに示されているように、レバー916に設けられている専用溝91
7に沿って移動する。挿入レバー916が下方に移動すると、貫通カートリッジ711は
、下向き方向にウェル310へ打ち出される。カートリッジ711の運動は、挿入レバー
916の係止フック930を使用して実行される。フック930は、プロテクタ710内
に設けられているスリット722を通して貫通カートリッジ711の把持部712との接
触を維持する(スリットは、図21eに示されていない)。
【0079】
図21f及び図21gは、スリット722,722’を貫通するフック930,930
’を使用して貫通カートリッジ711の下方への押し込みの概略を示している。図21
は、発射前状態にある貫通カートリッジ711の上部に配置されているフック930を例
示している。変位機構が作動されると、フック930は、図21gに示されているように
、各スリット722に沿って下向きの方向に移動し、これにより、貫通カートリッジ71
1をウェル310の方へ突き出す。
【0080】
図21hは、本発明のいくつかの実施形態による、カニューレ713挿入プロセスの他
の段階を示している。図21hに示されているように、貫通カートリッジ711は、ウェ
ル310内に配置され、カニューレ713および貫通部材716は、皮下組織4内に挿入
されるウェル310を通過する。
【0081】
図21iは、本発明のいくつかの実施形態による、クランク914が回転を完了したと
きの貫通部材716の自動引き込みを示している。クランク914が回転すると、貫通部
材716を保持する把持部712は、上向きの方向に押されて皮膚5から離れ、これによ
り、部材716が皮下区画4から取り外される。上記のように、部材716が取り外され
ると、カニューレ713は区画4内に配置されたままとなる。さらに、貫通部材716が
引っ込められると、カニューレハブ714は、ウェル310内に保持される。
【0082】
図22は、プロテクタ710のハンドル720を握って、挿入器90からプロテクタ7
10を引き出すことにより挿入器90から(貫通部材を収納する)プロテクタ710が取
り外されるようすを示している。その後、プロテクタ710(貫通部材を収納している)
は処分されることができる。当業者であれば理解できるであろうが、プロテクタ710の
取り外しは、挿入器90がクレードルユニット20から分離される前、または分離された
後のいずれかに実行されうる。
【0083】
図23は、挿入器90をクレードルユニット20から分離する状況を示している。分離
は、ラッチ304を手動で解放し、挿入器90を脱着することによって行うことができる
。その代わりに、挿入器90は、貫通部材が引っ込められプロテクタ内に戻された後に自
動的に、または使用者/患者の手動による作動で対応する刻み目904からラッチ304
を外す機構を備えることができる。挿入器90をクレードルユニット20から分離した後
、使用者は、調剤パッチユニット(図に示されていない)をクレードルユニット20に接
続することができる。
【0084】
図24a及び図24bは、所望のカニューレ713貫通角度を使用者側で選択できるマ
ウス形挿入器90の一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、柔軟なカニュー
レ713および柔軟な貫通部材716が使用される。クレードルユニット20は、図24
aに示されているように、カニューレ713をさまざまな角度で挿入できるようにする複
数の、例えば、3つの貫通トンネル312,312’,312”を備えるウェル310を
具備する。
【0085】
図24bは、使用者側で所望の貫通角度を選択できるようにするボタン990を備える
挿入器90の断面図である。ボタン990は、挿入器90の外側に配置されている。図2
4bでは、ボタン990は、説明に用いるために挿入器90の内部に配備されているもの
として例示されている。当業者であれば理解できるであろうが、ボタンは、挿入器90上
の任意の場所に配置できる。ボタン990を押すと、カニューレおよび貫通部材が、所望
の角度で、または所望の位置に挿入できる(「L」−左側、「C」−中央、「R」−右側
)。いくつかの実施形態では、挿入角度は、使用者側で変更することができ、挿入の特定
の角度を使用者が選択することを許可することができる。
【0086】
図25a乃至図25gは、所望のカニューレ713貫通角度を使用者側で選択できるも
う1つの例示的な挿入器50を示している。図25aは、皮膚に接着されているクレード
ルユニット20に取り付けられている挿入器50の断面図である。挿入器50は、カニュ
ーレカートリッジユニット700を事前装填される。いくつかの実施形態では、クレード
ルは、さまざまな貫通角度をとれるように異なる角度でクレードルユニットに関して傾斜
している3つの異なるウェル310,310’,310”を備える。図25b乃至図25
gは、使用者が、カニューレカートリッジユニット700に接続されているボタン52を
回すことによって所望の挿入角度を選択する様子を示す側面図および断面図である。ボタ
ン52が回転すると、カニューレカートリッジユニット700は、対応する方向に回転す
る。例えば、垂直挿入が望ましい場合(つまり、中心)、図25b及び図25cに示され
ているように、ボタン52を中央位置まで回転させ、これにより、ユニット700を回転
させて皮膚5に対して垂直になるようにする。右角挿入は、図25d及び図25eに例示
されており、左角挿入は、図25f及び図25gに例示されている。いくつかの実施形態
では、ボタン52は、挿入の特定の角度まで回転することができ、これにより、カニュー
レの挿入を所望の角度にすることができる。いくつかの実施態様では、図25a乃至図2
5gに例示されている挿入器50、または類似の挿入器は、1つの調剤パッチユニットに
結合されている2つのカニューレを挿入するために使用することができ、一方のカニュー
レは流体(例えば、インスリン)送達に使用され、他方のカニューレは生体検体(例えば
、グルコース)を連続監視するために使用される。
【0087】
図26a及び図26bは、複数のカニューレカートリッジユニット700を格納するた
めのドラム部材7000を収納するように設計されているもう1つの例示的な挿入器70
を示している。図26aは、複数のカニューレカートリッジユニット(例えば、8個のカ
ニューレカートリッジユニット700)を装填されたドラム部材7000を示している。
ドラム部材は、挿入レバー(図に示されていない)のフック(図に示されていない)が適
切な位置にあるカニューレカートリッジユニット700に接近し、貫通する際に通る専用
スリット7012を有する。
【0088】
図26bは、ドラム部材7000を収納する挿入器70を示している。ドラム部材は、
静止部7018と回転部7016を有する。静止部7018は、挿入器の基部7020か
ら突き出ている専用バレル7014によって固定されるが、回転部7016は使用者の裁
量で自由に回転できる。使用者は、挿入器70の外側に配置されているスイッチ7006
を次のカニューレカートリッジユニット700の数を指す位置まで回すことによって未使
用の貫通カートリッジを発射するためドラムの回転部7016を回転させる。スイッチ7
006は、突起部7003に嵌合しているホイール7002を回転させる、挿入器70内
に配置されている回転手段7008に接続されている。次いで、突起部7003は、ドラ
ム部材の回転部7016の外周上に配置されている開口7010と係合させることによっ
て、カニューレカートリッジユニット700を受け入れる、ドラム部材700の回転部7
016を回転させる。未使用のカニューレカートリッジユニット700が適所に置かれた
後、挿入レバー7024の1つまたは複数のフック7022は、カニューレカートリッジ
ユニット700の1つまたは複数の長手方向スリット(図に示されていない)を貫通し、
カニューレカートリッジユニットに接近する。したがって、使用者は、この実施形態では
図21a乃至図21iを参照しつつ説明されたものと同様にして実行される、カニュー
レ挿入プロセスを開始することができる。
【0089】
当業者であれば理解できるであろうが、上述の変位機構は、貫通カートリッジの自動お
よび/または手動変位を行わせることが可能なように構成されうる。手動変位の場合、上
述のように、カートリッジを押すのに棒を使用できる。
【0090】
いくつかの実施形態では、図1a乃至図26bに関して上で説明されている挿入器は、
カニューレ、プローブ、および/またはセンサを入れることができる皮下挿入可能要素の
挿入を受け入れることができる。皮下挿入可能要素は、流体送達および検体感知に、さら
には他の作業にも使用できる。
【0091】
したがって、患者の体内にカニューレを挿入するためのデバイス、システム、および方
法が実現されることがわかる。本明細書では特定の実施形態が詳細に開示されているが、
これは、例示することのみを目的とし例として実施されたものであり、以下の付属の請求
項の範囲に関して制限することを意図していない。特に、請求項によって定義されている
ような本発明の精神および範囲から逸脱することなくさまざまな置換、変更、および修正
を加えることができることは考えられる。他の態様、利点、および修正形態も、以下の請
求項の範囲内に収まるものと考えられる。提示されている請求項は、本明細書で開示され
ている発明を表すものである。他の、請求項に記載されていない発明も考えられる。出願
人は、後の請求項に記載のそのような発明を追求する権利を留保する。
【0092】
本明細書で参照されている前記特許、出願、および刊行物はすべて、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
(項目1)
皮下への挿入装置において、
少なくとも1つのカートリッジユニットを受けるように構成されたハウジングであって、前記少なくとも1つのカートリッジユニットは少なくとも1つの皮下への挿入可能要素および少なくとも1つの貫通部材を中に収容する保護部材を備え、
前記少なくとも1つのカートリッジユニットが通って前記ハウジング内に少なくとも装填されるように適合された第1のハウジング開口、および、
前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材が通って突き出るように適合された第2のハウジング開口を含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に収容された変位機構であって、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を、前記第2のハウジング開口を通して、前記少なくとも1つの挿入可能要素を皮下挿入するために患者の身体に向けて、少なくとも突き出るように構成された、変位機構と、を備えた、皮下への挿入装置。
(項目2)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、前記挿入可能要素を皮下へ挿入した後に前記貫通部材を前記保護部材内に引っ込めるようにさらに構成された、挿入装置。
(項目3)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を前記患者の前記身体の方へ手動で移動させるための棒を備えた、挿入装置。
(項目4)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、荷重付与可能なばねを含み、前記ばねに付与された荷重を除去すると前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を前記患者の前記身体の方へ突き出る、挿入装置。
(項目5)
項目4に記載の挿入装置において、
前記ばねの前記荷重の除去は、前記挿入可能要素を皮下へ挿入した後に、前記貫通部材を前記保護部材内にさらに引っ込めさせる、挿入装置。
(項目6)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を、前記患者の前記皮膚に対してさまざまな角度で、前記患者の前記身体の方へ突き出るように構成された、挿入装置。
(項目7)
項目1に記載の挿入装置において、
前記カートリッジユニットが装填されたときに前記変位機構を作動させるための、使用者用作動ボタンをさらに備えた、挿入装置。
(項目8)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構の不用意な作動を防止するための安全手段をさらに備えた、挿入装置。
(項目9)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、前記カートリッジユニットが前記ハウジング内に装填されたときに、前記カートリッジユニットの少なくとも一部と係合するように構成された1つ以上のフックを備えた、挿入装置。
(項目10)
項目1に記載の挿入装置において、
前記変位機構は、
拘束アームを有する解放ボタンと、
ラチェットフライホイールと、
前記ラチェットフライホイール内に少なくとも一部が埋め込まれた荷重付与可能なフライホイールトーションばねと、
前記フライホイールトーションばねに荷重を加えるために前記ラチェットフライホイールに結合することができる手動で回転可能な荷重付与ボタンと、
前記ラチェットフライホイールに結合され、前記フライホイールトーションばねによって回転可能なラチェットクランクと、
少なくとも1つの係止フックを備え、前記ラチェットクランクによって変位可能な挿入レバーとを備え、
前記荷重付与ボタンを前記ラチェットフライホイールに結合し、前記荷重付与ボタンをその後回転させると、前記フライホイールトーションばねに荷重が加えられ、
前記解放ボタンが作動すると、前記解放ボタンの拘束アームが前記ラチェットクランクから外れて、前記ラチェットクランクは前記荷重が加えられたフライホイールトーションばねの力が加えられることにより回転することができ、
前記ラチェットクランクは、前記挿入レバーおよび前記少なくとも1つの係止フックを変位させ、その結果、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材が前記患者の前記身体の方へ突き出て、その後、前記貫通部材が引っ込められ、これにより、前記患者の前記身体内に前記挿入可能要素が保持される、挿入装置。
(項目11)
項目1に記載の挿入装置において、
前記第1および第2のハウジング開口の少なくとも1つは、前記少なくとも1つのカートリッジユニットの少なくとも一部を通して前記ハウジングから取り外すようにさらに構成された、挿入装置。
(項目12)
項目1に記載の挿入装置において、
前記第1のハウジング開口は、前記保護部材をその中に収容された少なくとも前記貫通部材とともに通して前記ハウジングから取り外すようにさらに構成された、挿入装置。
(項目13)
項目1に記載の挿入装置において、
1つ以上の追加のカートリッジユニットを後に装填することにより、繰り返し使用されるように構成された、挿入装置。
(項目14)
項目1に記載の挿入装置において、
前記ハウジングは、前記少なくとも1つのカートリッジユニットを前記ハウジングに装填したときに、前記少なくとも1つのカートリッジユニットを前記ハウジングに固定するように構成された固定機構をさらに含む、挿入装置。
(項目15)
項目1に記載の挿入装置において、
前記第1のハウジング開口は、横の開口である、挿入装置。
(項目16)
項目1に記載の挿入装置において、
前記第2のハウジング開口は、底の開口である、挿入装置。
(項目17)
項目1に記載の挿入装置において、
前記第2のハウジング開口は、前記第1のハウジング開口と分離している、挿入装置。
(項目18)
項目1に記載の挿入装置において、
医療デバイスの皮膚に固定可能なクレードルと結合されるように構成された、挿入装置。
(項目19)
項目18に記載の挿入装置において、
前記ハウジングは、前記挿入装置を前記クレードルに結合させるために、前記クレードルの1つまたは複数の対応する突起部と係合するように構成された1つまたは複数の凹部をさらに備えた、挿入装置。
(項目20)
項目18に記載の挿入装置において、
前記挿入装置を前記クレードルユニットから解放するための機構をさらに備えた、挿入装置。
(項目21)
皮下への挿入装置において、
少なくとも1つのカートリッジユニットを受けるように構成されたハウジングであって、前記少なくとも1つのカートリッジユニットは少なくとも1つの皮下への挿入可能要素および少なくとも1つの貫通部材を中に収容する保護部材を備え、
前記少なくとも1つのカートリッジユニットが通って前記ハウジング内に少なくとも装填されるように適合された横のハウジング開口、および、
前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材が通って突き出るように適合された底のハウジング開口を含む、ハウジングと、
前記ハウジング内に収容された変位機構であって、前記少なくとも1つの挿入可能要素および前記少なくとも1つの貫通部材を、前記底のハウジング開口を通して、前記少なくとも1つの挿入可能要素を皮下挿入するために患者の身体に向けて、少なくとも突き出るように構成された、変位機構と、を備えた、皮下への挿入装置。

図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
図10h
図10i
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図12a
図12b
図12c
図13
図14a
図14b
図14cd
図14e
図14f
図15a
図15b
図15c
図16
図17
図18
図19a
図19b
図19c
図19d
図20
図21a
図21b
図21c
図21d
図21e
図21f
図21g
図21h
図21i
図22
図23
図24
図25a
図25b
図25c
図25d
図25e
図25f
図25g
図26