【文献】
QUALCOMM Incorporated,UE based multi-link RLC for inter-site multi-point transmission in HSDPA[online], 3GPP TSG-RAN WG2#75bis R2-115202,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_75bis/Docs/R2-115202.zip>,2011年10月10日
【文献】
Nokia Siemens Networks, Nokia,Multiflow performance evaluation[online], 3GPP TSG-RAN WG1#64 R1-111055,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_64/Docs/R1-111055.zip>,2011年 2月21日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
NodeB間HSDPAマルチポイント送信では、2つのNode Bにおける2つのセルのために着信データストリームを分割しなければならない。1つのオプションは、無線リンク制御層(RLC)においてデータを分割することである。この場合、2つの媒体アクセス制御(MAC)エンティティ間の順序の狂った配信または歪みの問題を解決するために、RLCの改良が必要である。RNCが歪んだパケットの再送信を遅延させることの代替または追加として、UEベースの手法が、フィードバックオーバーヘッドを減らす方法で歪みに対処し得る。
【0015】
添付の図面に関する下記の詳細な説明は、様々な構成の説明として意図されており、本明細書で説明する概念が実行され得る唯一の構成を表すように意図されているわけではない。詳細な説明は、様々な概念の完全な理解をもたらす目的で、具体的な詳細を含んでいる。しかし、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実行され得ることが、当業者には明らかであろう。場合によっては、そのような概念を曖昧にするのを回避する目的で、周知の構造および構成要素がブロック図の形式で示されている。
【0016】
図1を参照すると、本開示は、ワイヤレス通信のためのユーザ機器100として示される装置を提供する。UE100は、通信ネットワーク108の第1のNodeB104および第2のNodeB106としてそれぞれ示される第1のセルおよび第2のセルからダウンリンク102でマルチポイント(MP)送信(TX)を受信する。例示的な態様では、無線ネットワークコントローラ(RNC)110が送信データストリーム112を、それぞれ第1のNodeB104および第2のNodeB106によるNodeB間送信のために第1のデータストリーム114および第2のデータストリーム116に分割する。
【0017】
そのために、UE100のトランシーバ118は、第1のセル(第1のNodeB104)の第1の媒体アクセス制御(MAC)エンティティ120からの第1のデータストリーム114および第2のセル(第2のNodeB106)の第2のMACエンティティ122からの第2のデータストリーム116を受信する。UE100の無線リンク制御(RLC)受信機124は、第1のデータストリーム114および第2のデータストリーム116からそれぞれのシーケンス番号を有するRLCパケットデータユニット(PDU)を復号する。トランシーバ118はさらに、受信に成功したRLC PDUに関する確認応答(ACK)を送信する。
【0018】
マルチポイントアグリゲーション構成要素130は、第1のデータストリーム114からのシーケンス番号および第2のデータストリーム116からのシーケンス番号からなるシーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップを検出し、否定応答(NAK)を送信することを、NAK遅延タイマー132を開始することによって遅延させ、トランシーバ118によって、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップに関するNAKを、NAK遅延タイマー132が終了し、遅延中にギャップが埋められていないことを検出したことに応答して送信する。
【0019】
一態様では、RLC受信機124はさらに、RLC PDUを、選択されたRLC PDUが第1のMACエンティティ120または第2のMACエンティティ122によって送信されたことを識別することによって復号する。例示的な態様では、マルチポイントアグリゲーション構成要素130はさらに、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップが、順序の狂った配信による歪みによるものであるか、それともデータ損失によるものであるかを、第1のMACエンティティ120および第2のMACエンティティ122の各々から受信されたRLC PDUのシーケンス番号を追跡し、第1のMACエンティティ120および第2のMACエンティティ122の各々にそれぞれ対応する最高シーケンス番号を判断することによって判断し、この場合、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップに関するNAKを送信することは、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップがそれぞれの最高シーケンス番号の各々よりも低いと判断することに応答したものである。
【0020】
別の態様では、マルチポイントアグリゲーション構成要素130はさらに、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップが後に埋められるときの歪み持続時間を判断し、歪み持続時間に対応するようにNAK遅延タイマー132を適応させる。
【0021】
図1をさらに参照すると、装置(UE100)のためのハードウェア実装は、処理システム140を用いることができる。この例では、処理システム140は、バス142によって全般的に表されるバスアーキテクチャで実装され得る。バス142は、処理システム140の具体的な用途および全体的な設計制約に応じて、任意の数の相互接続するバスおよびブリッジを含み得る。バス142は、プロセッサ144によって全般的に表される1つまたは複数のプロセッサ、およびコンピュータ可読媒体146によって全般的に表されるコンピュータ可読媒体を含む様々な回路を互いにリンクさせる。バス142は、タイミングソース、周辺機器、電圧調整器、および電力管理回路など、様々な他の回路をリンクさせることもでき、これらの回路は当技術分野でよく知られており、したがって、これ以上は説明しない。バスインターフェース148は、バス142と送信機150および受信機152を含むトランシーバ118との間のインターフェースを提供する。トランシーバ118は、送信媒体上の様々な他の装置と通信するための手段を提供する。また、装置の性質に応じて、ユーザインターフェース154(たとえば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカー、マイクロフォン、ジョイスティックなど)が設けられてもよい。
【0022】
プロセッサ144は、バス142の管理、およびコンピュータ可読媒体146上に記憶されたソフトウェアの実行を含む全般的な処理を受け持つ。ソフトウェアは、プロセッサ144によって実行されると、任意の特定の装置の以下で説明する様々な機能を処理システム140に実行させる。コンピュータ可読媒体146は、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ144によって操作されるデータを記憶するために使用されてもよい。
【0023】
例示的な態様では、マルチポイントアグリゲーション構成要素130は、コンピュータ可読媒体146内に少なくとも部分的に常駐し得る。
【0024】
図2では、本開示はワイヤレス通信のための方法200を提供する。本方法はさらに、ユーザ機器のトランシーバによって、第1のセルの第1のMACエンティティからの第1のデータストリームおよび第2のセルの第2のMACエンティティからの第2のデータストリームを受信する(ブロック202)ステップを含む。ユーザ機器のRLC受信機によって、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームからそれぞれのシーケンス番号を有するRLC PDUの復号が実行される(ブロック204)。受信に成功したRLC PDUに関するACKが送信される(ブロック206)。第1のデータストリームからのシーケンス番号および第2のデータストリームからのシーケンス番号からなるシーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップが検出される(ブロック208)。NAKを送信することが、NAK遅延タイマーを開始することによって遅延する(ブロック210)。シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップに関するNAKは、NAK遅延タイマーが終了し、遅延中にギャップが埋められていないことを検出したことに応答して送信される(ブロック212)。
【0025】
一態様では、方法200では、RLC PDUを復号するステップは、選択されたRLC PDUが第1のMACエンティティまたは第2のMACエンティティによって送信されたことを識別するステップをさらに含む。例示的な態様では、方法200はさらに、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップが、順序の狂った配信による歪みによるものであるか、それともデータ損失によるものであるかを、第1のMACエンティティおよび第2のMACエンティティの各々から受信されたRLC PDUのシーケンス番号を追跡し、第1のMACエンティティおよび第2のMACエンティティの各々についてそれぞれ最高シーケンス番号を判断することによって判断するステップと、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップに関するNAKを、シーケンス番号のギャップが最高シーケンス番号のいずれよりも低いと判断することに応答して送信するステップとを含む。
【0026】
別の態様では、方法200はさらに、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップが後に埋められるときを検出することによって歪み持続時間を追跡するステップと、歪み持続時間に対応するようにNAK遅延タイマーを適応させるステップとを含む。
【0027】
本開示全体にわたって提示される様々な概念は、広範な遠隔通信システム、ネットワークアーキテクチャ、および通信規格にわたって実装され得る。限定されるものではないが、例として、
図3に示される本開示の態様は、WCDMA(登録商標)エアインターフェースを使用するUMTSシステム300を参照して示される。UMTSネットワークは、コアネットワーク(CN)304、UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN)302、およびユーザ機器(UE)310という3つの対話する領域を含む。この例では、UTRAN302は、電話、ビデオ、データ、メッセージング、ブロードキャスト、および/または他のサービスを含む様々なワイヤレスサービスを提供する。UTRAN 302は、無線ネットワークコントローラ(RNC)306などのそれぞれのRNCによって各々制御される、無線ネットワークサブシステム(RNS)303などの複数のRNSを含み得る。ここで、UTRAN302は、本明細書で説明するRNC306およびRNS303に加えて、任意の数のRNC306およびRNS303を含むことができる。RNC 306は、とりわけ、RNS 303内の無線リソースを割り当て、再構成し、解放することを担う装置である。RNC 306は、任意の適切なトランスポートネットワークを使用する、直接の物理接続、仮想ネットワークなど様々なタイプのインターフェースを介して、UTRAN 302中の他のRNC(図示せず)に相互接続され得る。
【0028】
UE 310とNodeB 308との間の通信は、物理(PHY)層および媒体アクセス制御(MAC)層を含むものと見なされ得る。さらに、それぞれのNodeB 308によるUE 310とRNC 306との間の通信は、無線リソース制御(RRC)層を含むものと見なされ得る。本明細書では、PHY層は、層1と見なされ、MAC層は、層2と見なされ、RRC層は、層3と見なされ得る。以下、情報は、参照により本明細書に組み込まれるRadio Resource Control (RRC) Protocol Specification、3GPP TS 25.331 v9.1.0に述べられている用語を使用する。
【0029】
SRNS 303によってカバーされる地理的領域は、いくつかのセルに分けることができ、無線トランシーバ装置が各セルにサービスする。無線トランシーバ装置は、通常、UMTS用途ではNodeBと呼ばれるが、当業者によって、基地局(BS)、送受信基地局(BTS)、無線基地局、無線トランシーバ、トランシーバ機能、基本サービスセット(BSS)、拡張サービスセット(ESS)、アクセスポイント(AP)、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。明快にするために、各SRNS 303に3つのNodeB 308が示されているが、SRNS 303は、任意の数のワイヤレスNodeBを含んでもよい。NodeB 308は、ワイヤレスアクセスポイントを任意の数のモバイル装置のためのコアネットワーク(CN)304に提供する。モバイル装置の例には、携帯電話、スマートフォン、セッション開始プロトコル(SIP)電話、ラップトップ、ノートブック、ネットブック、スマートブック、携帯情報端末(PDA)、衛星ラジオ、全地球測位システム(GPS)デバイス、マルチメディアデバイス、ビデオデバイス、デジタルオーディオプレーヤ(たとえば、MP3プレーヤ)、カメラ、ゲーム機、または任意の他の類似の機能デバイスなどがある。モバイル装置は、通常、UMTS用途ではユーザ機器(UE)と呼ばれるが、当業者によって、移動局(MS)、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、遠隔ユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、遠隔デバイス、モバイル加入者局、アクセス端末(AT)、モバイル端末、ワイヤレス端末、遠隔端末、ハンドセット、端末、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、または何らかの他の適切な用語で呼ばれることもある。UMTSシステムでは、UE 310は、ネットワークへのユーザの加入情報を含む汎用加入者識別モジュール(USIM)311をさらに含み得る。説明のために、1つのUE 310がいくつかのNodeB 308と通信しているように示される。順方向リンクとも呼ばれるダウンリンク(DL)は、NodeB 308からUE 310への通信リンクを指し、逆方向リンクとも呼ばれるアップリンク(UL)は、UE 310からNodeB 308への通信リンクを指す。
【0030】
コアネットワーク304は、UTRAN 302のような1つまたは複数のアクセスネットワークとインターフェースをとる。図示のように、コアネットワーク304は、GSM(登録商標)コアネットワークである。しかしながら、当業者が認識するように、GSM(登録商標)ネットワーク以外のタイプのコアネットワークへのアクセスをUEに提供するために、本開示全体にわたって提示される様々な概念を、RANまたは他の適切なアクセスネットワークにおいて実装することができる。
【0031】
コアネットワーク304は、回線交換(CS)領域およびパケット交換(PS)領域を含む。回線交換要素のいくつかは、モバイルサービス交換センター(MSC)、ビジターロケーションレジスタ(VLR)、およびゲートウェイMSCである。パケット交換要素は、サービングGPRSサポートノード(SGSN)、およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)を含む。EIR、HLR、VLR、およびAuCのようないくつかのネットワーク要素は、回線交換領域とパケット交換領域の両方によって共有され得る。図示の例では、コアネットワーク304は、MSC 312およびGMSC 314によって回線交換サービスをサポートする。いくつかの用途では、GMSC 314は、メディアゲートウェイ(MGW)とも呼ばれ得る。RNC 306のような1つまたは複数のRNCが、MSC 312に接続され得る。MSC 312は、呼設定、呼ルーティング、およびUEモビリティ機能を制御する装置である。MSC 312は、UEがMSC 312のカバレッジエリア内にある間、加入者関連の情報を格納する、ビジターロケーションレジスタ(VLR)も含む。GMSC 314は、UEが回線交換ネットワーク316にアクセスするためのゲートウェイを、MSC 312を通じて提供する。GMSC 314は、特定のユーザが加入したサービスの詳細を反映するデータのような加入者データを格納する、ホームロケーションレジスタ(HLR)315を含む。HLRは、加入者に固有の認証データを格納する、認証センター(AuC)とも関連付けられている。特定のUEについて、呼が受信されると、GMSC 314は、UEの位置を判断するためにHLR 315に問い合わせ、その位置でサービスする特定のMSCに呼を転送する。
【0032】
コアネットワーク304はまた、サービングGPRSサポートノード(SGSN)318およびゲートウェイGPRSサポートノード(GGSN)320によって、パケットデータサービスをサポートする。汎用パケット無線サービスを表すGPRSは、標準の回線交換データサービスで可能なものより速い速度でパケットデータサービスを提供するよう設計されている。GGSN 320は、パケットベースネットワーク322へのUTRAN 302の接続を提供する。パケットベースネットワーク322は、インターネット、プライベートデータネットワーク、または何らかの他の適切なパケットベースネットワークでもよい。GGSN 320の主要機能は、UE 310にパケットベースネットワーク接続を提供することである。データパケットは、MSC 312が回線交換領域において実行するのと同じ機能をパケットベース領域において主に実行するSGSN 318を介して、GGSN 320とUE 310との間で転送され得る。
【0033】
UMTSエアインターフェースは、スペクトラム拡散直接シーケンス符号分割多元接続(DS-CDMA)システムである。スペクトラム拡散DS-CDMAは、チップと呼ばれる一連の疑似ランダムビットとの乗算によって、ユーザデータを拡散させる。UMTSのWCDMA(登録商標)エアインターフェースは、そのような直接シーケンススペクトラム拡散技術に基づいており、さらに周波数分割複信(FDD)を必要とする。FDDは、NodeB 308とUE 310との間のアップリンク(UL)およびダウンリンク(DL)に異なるキャリア周波数を使用する。DS-CDMAを利用し、時分割複信を使用するUMTSの別のエアインターフェースは、TD-SCDMAエアインターフェースである。本明細書で説明する様々な例は、WCDMA(登録商標)エアインターフェースを指し得るが、基礎をなす原理はTD-SCDMAエアインターフェースに等しく適用可能であることを当業者であれば認識されよう。
【0034】
HSPAエアインターフェースは、スループットの向上および遅延の低減を支援する、3G/WCDMAエアインターフェースに対する一連の拡張を含む。前のリリースに対する他の修正には、HSPAが、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)、チャネル送信の共有、ならびに適応変調および適応符号化を利用する。HSPAを定義する規格は、HSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)およびHSUPA(高速アップリンクパケットアクセス、拡張アップリンクまたはEULとも呼ばれる)を含む。
【0035】
HSDPAは、高速ダウンリンク共有チャネル(HS-DSCH)を、トランスポートチャネルとして利用する。HS-DSCHは、高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS-PDSCH)、高速共有制御チャネル(HS-SCCH)、および高速専用物理制御チャネル(HS-DPCCH)という、3つの物理チャネルによって実装される。
【0036】
これらの物理チャネルの中でも、HS-DPCCHは、対応するパケット送信の復号が成功したかどうかを示すための、HARQ ACK/NACKシグナリングをアップリンクで搬送する。つまり、ダウンリンクに関して、UE 310は、ダウンリンク上のパケットを正常に復号したかどうかを示すために、HS-DPCCHを通じてフィードバックをNodeB 308に与える。
【0037】
HS-DPCCHはさらに、変調方式および符号化方式の選択、ならびにプリコーディングの重みの選択に関して、NodeB 308が正しい決定を行うのを支援するための、UE310からのフィードバックシグナリングを含み、このフィードバックシグナリングはCQIおよびPCIを含む。
【0038】
「HSPA Evolved」またはHSPA+は、MIMOおよび64-QAMを含むHSPA規格の進化形であり、スループットの増大およびパフォーマンスの向上を可能にする。すなわち、本開示の一態様では、NodeB 308および/またはUE 310は、MIMO技術をサポートする複数のアンテナを有し得る。MIMO技術の使用により、NodeB 308は空間領域を活用して、空間多重化、ビームフォーミング、および送信ダイバーシティをサポートすることができる。
【0039】
多入力多出力(MIMO)は、マルチアンテナ技術、すなわち複数の送信アンテナ(チャネルへの複数の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を指す際に一般に使用される用語である。MIMOシステムは一般にデータ伝送パフォーマンスを高め、ダイバーシティ利得がマルチパスフェージングを低減させて伝送品質を高めること、および空間多重化利得がデータスループットを向上させることを可能にする。
【0040】
空間多重化を使用して、同じ周波数で同時に様々なデータストリームを送信することができる。データストリームを単一のUE310に送信してデータレートを上げること、または複数のUE310に送信して全体的なシステム容量を拡大することができる。これは、各データストリームを空間的にプリコーディングし、次いで空間的にプリコーディングされた各ストリームをダウンリンクで異なる送信アンテナを介して送信することによって達成される。空間的にプリコーディングされたデータストリームは、様々な空間シグネチャを伴いUE310に到着し、これによりUE310の各々は、当該UE310に向けられた1つまたは複数のデータストリームを回復することができる。アップリンク上では、各UE310は、1つまたは複数の空間的にプリコーディングされたデータストリームを送信することができ、これによりNodeB308は空間的にプリコーディングされた各データストリームのソースを識別することができる。
【0041】
空間多重化は、チャネル状態が良好なときに使用できる。チャネル状態がさほど好ましくないときは、ビームフォーミングを使用して送信エネルギーを1つもしくは複数の方向に集中させること、またはチャネルの特性に基づいて送信を改善することができる。これは、複数のアンテナを介して送信するデータストリームを空間的にプリコーディングすることによって達成できる。セルの端において良好なカバレージを達成するために、シングルストリームビームフォーミング伝送を送信ダイバーシティと組み合わせて使用できる。
【0042】
一般に、n個の送信アンテナを利用するMIMOシステムの場合、同じチャネル化コードを利用して同じキャリアでn個のトランスポートブロックが同時に送信され得る。n個の送信アンテナで送られる異なるトランスポートブロックは、互いに同じまたは異なる変調方式および符号化方式を有し得ることに留意されたい。
【0043】
一方、単入力多出力(SIMO)は一般に、単一の送信アンテナ(チャネルへの単一の入力)および複数の受信アンテナ(チャネルからの複数の出力)を利用するシステムを指す。それによって、SIMOシステムでは、単一のトランスポートブロックがそれぞれのキャリアで送られ得る。
【0044】
UE 310は、方法200および本明細書で説明する他の態様を実行し得るMPアグリゲーション構成要素130を組み込むことができる。
【0045】
図4を参照すると、UTRANアーキテクチャにおけるアクセスネットワーク400が示されている。多元接続ワイヤレス通信システムは、セル402、404、および406を含む複数のセルラー領域(セル)を含み、セルの各々は、1つまたは複数のセクタを含み得る。複数のセクタはアンテナのグループによって形成されてよく、各々のアンテナがセルの一部にあるUEとの通信を担う。たとえば、セル402において、アンテナグループ412、414、および416は、各々異なるセクタに対応し得る。セル404において、アンテナグループ418、420、および422は、各々異なるセクタに対応する。セル406において、アンテナグループ424、426、および428は、各々異なるセクタに対応する。セル402、404、および406は、各セル402、404、または406の1つまたは複数のセクタと通信していてもよい、いくつかのワイヤレス通信デバイス、たとえばユーザ機器またはUEを含み得る。たとえば、UE 430および432は、NodeB 442と通信していてもよく、UE 434および436は、NodeB 444と通信していてもよく、UE 438および440は、NodeB 446と通信していてもよい。ここで、各NodeB 442、444、446は、それぞれのセル402、404、および406の中のすべてのUE 430、432、434、436、438、440に、コアネットワークへのアクセスポイントを提供するように構成される。
【0046】
UE 434がセル404における図示された位置からセル406に移動するとき、サービングセル変更(SCC)またはハンドオーバが生じて、UE 434との通信が、ソースセルと呼ばれ得るセル404からターゲットセルと呼ばれ得るセル406に移行することがある。UE 434において、それぞれのセルに対応するNodeBにおいて、無線ネットワークコントローラ406において、またはワイヤレスネットワークにおける別の適切なノードにおいて、ハンドオーバプロシージャの管理が生じ得る。たとえば、ソースセル404との呼の間、または任意の他の時間において、UE 434は、ソースセル404の様々なパラメータ、ならびにセル406および402のような近隣セルの様々なパラメータを監視することができる。さらに、これらのパラメータの品質に応じて、UE 434は、近隣セルの1つまたは複数との通信を保つことができる。この期間において、UE 434は、UE 434が同時に接続されるセルのリストであるアクティブセットを保持することができる(すなわち、ダウンリンク専用物理チャネルDPCHまたはフラクショナルダウンリンク専用物理チャネルF-DPCHをUE 434に現在割り当てているUTRAセルが、アクティブセットを構成し得る)。
【0047】
アクセスネットワーク400によって用いられる変調方式および多元接続方式は、導入されている特定の電気通信規格に応じて異なり得る。例として、規格は、Evolution-Data Optimized(EV-DO)またはUltra Mobile Broadband(UMB)を含み得る。EV-DOおよびUMBは、CDMA2000規格ファミリーの一部として第3世代パートナーシッププロジェクト2(3GPP2)によって公表されたエアインターフェース規格であり、CDMAを用いて移動局にブロードバンドインターネットアクセスを提供する。規格は代替的に、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))およびTD-SCDMAなどのCDMAの他の変形態を用いるUniversal Terrestrial Radio Access(UTRA)、TDMAを用いるGlobal System for Mobile Communications(GSM(登録商標))、ならびにOFDMAを用いるEvolved UTRA(E-UTRA)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、およびFlash-OFDMであり得る。UTRA、E-UTRA、UMTS、LTE、LTE Advanced、およびGSM(登録商標)は、3GPP団体による文書に記述されている。CDMA2000およびUMBは、3GPP2団体による文書に記述されている。実際の利用されるワイヤレス通信規格、多元接続技術は、具体的な用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0048】
UE 432は、方法200および本明細書で説明する他の態様を実行し得るMPアグリゲーション構成要素130を組み込むことができる。
【0049】
図5は、UE 550と通信しているNodeB 510のブロック図であり、NodeB 510はNodeB 500(
図5)であってよく、UE 550はUE 514(
図5)であってよい。ダウンリンク通信では、送信プロセッサ520は、データ源512からデータを受信し、コントローラ/プロセッサ540から制御信号を受信することができる。送信プロセッサ520は、参照信号(たとえばパイロット信号)とともに、データ信号および制御信号のための様々な信号処理機能を提供する。たとえば、送信プロセッサ520は、誤り検出のための巡回冗長検査(CRC)コード、順方向誤り訂正(FEC)を支援するための符号化およびインターリービング、様々な変調方式(たとえば、二位相偏移変調(BPSK)、四位相偏移変調(QPSK)、M-位相偏移変調(M-PSK)、M-直角位相振幅変調(M-QAM)など)に基づいた信号配列へのマッピング、直交可変拡散率(OVSF)による拡散、および、一連のシンボルを生成するためのスクランブリングコードとの乗算を、提供することができる。送信プロセッサ520のための、符号化方式、変調方式、拡散方式および/またはスクランブリング方式を決定するために、チャネルプロセッサ544からのチャネル推定が、コントローラ/プロセッサ540によって使われ得る。これらのチャネル推定は、UE 550によって送信される参照信号から、またはUE 550からのフィードバックから、導出され得る。送信プロセッサ520によって生成されたシンボルは、フレーム構造を作成するために、送信フレームプロセッサ530に与えられる。送信フレームプロセッサ530は、コントローラ/プロセッサ540からの情報とシンボルとを多重化することによって、このフレーム構造を作成し、一連のフレームが得られる。次いでこのフレームは送信機532に与えられ、送信機532は、アンテナ534を通じたワイヤレス媒体によるダウンリンク送信のために、増幅、フィルタリング、およびフレームのキャリア上への変調を含む、様々な信号調整機能を提供する。アンテナ534は、たとえば、ビームステアリング双方向適応アンテナアレイまたは他の同様のビーム技術を含む、1つまたは複数のアンテナを含み得る。
【0050】
UE 550において、受信機554は、アンテナ552を通じてダウンリンク送信を受信し、その送信を処理してキャリア上へ変調されている情報を回復する。受信機554によって回復された情報は、受信フレームプロセッサ560に与えられ、受信フレームプロセッサ560は、各フレームを解析し、フレームからの情報をチャネルプロセッサ594に提供し、データ信号、制御信号、および参照信号を受信プロセッサ570に提供する。受信プロセッサ570は次いで、NodeB 510中の送信プロセッサ520によって実行される処理の逆を実行する。より具体的には、受信プロセッサ570は、シンボルを逆スクランブルおよび逆拡散し、次いで変調方式に基づいて、NodeB 510によって送信された、最も可能性の高い信号配列点を求める。これらの軟判定は、チャネルプロセッサ594によって計算されるチャネル推定に基づき得る。そして軟判定は、データ信号、制御信号、および参照信号を回復するために、復号されてデインターリーブされる。そして、フレームの復号が成功したかどうか判断するために、CRCコードが確認される。次いで、復号に成功したフレームによって搬送されるデータがデータシンク572に与えられ、データシンク572は、UE 550および/または様々なユーザインターフェース(たとえばディスプレイ)において実行されているアプリケーションを表す。復号に成功したフレームが搬送する制御信号は、コントローラ/プロセッサ590に与えられる。受信プロセッサ570によるフレームの復号が失敗すると、コントローラ/プロセッサ590は、確認応答(ACK)プロトコルおよび/または否定応答(NACK)プロトコルを用いて、そうしたフレームの再送信要求をサポートすることもできる。
【0051】
アップリンクでは、データ源578からのデータおよびコントローラ/プロセッサ590からの制御信号が、送信プロセッサ580に与えられる。データ源578は、UE 550で実行されているアプリケーションおよび様々なユーザインターフェース(たとえばキーボード)を表し得る。NodeB 510によるダウンリンク送信に関して説明する機能と同様に、送信プロセッサ580は、CRCコード、FECを支援するための符号化およびインターリービング、信号配列へのマッピング、OVSFによる拡散、および、一連のシンボルを生成するためのスクランブリングを含む、様々な信号処理機能を提供する。NodeB 510によって送信される参照信号から、または、NodeB 510によって送信されるミッドアンブル中に含まれるフィードバックから、チャネルプロセッサ594によって導出されるチャネル推定が、適切な符号化方式、変調方式、拡散方式、および/またはスクランブリング方式を選択するために、使われ得る。送信プロセッサ580によって生成されたシンボルは、フレーム構造を作成するために、送信フレームプロセッサ582に与えられる。送信フレームプロセッサ582は、コントローラ/プロセッサ590からの情報とシンボルとを多重化することによって、このフレーム構造を作成し、一連のフレームが得られる。次いでこのフレームは送信機556に与えられ、送信機556は、アンテナ552を通じたワイヤレス媒体によるアップリンク送信のために、増幅、フィルタリング、およびフレームのキャリア上への変調を含む、様々な信号調整機能を提供する。
【0052】
アップリンク送信は、UE 550において受信機機能に関して説明したのと同様の方式で、NodeB 510において処理される。受信機535は、アンテナ534を通じてアップリンク送信を受信し、その送信を処理してキャリア上へ変調されている情報を回復する。受信機535によって回復された情報は、受信フレームプロセッサ536に与えられ、受信フレームプロセッサ536は、各フレームを解析し、フレームからの情報をチャネルプロセッサ544に提供し、データ信号、制御信号、および参照信号を受信プロセッサ538に提供する。受信プロセッサ538は、UE 550中の送信プロセッサ580によって実行される処理の逆を実行する。次いで、復号に成功したフレームによって搬送されるデータ信号および制御信号が、データシンク535およびコントローラ/プロセッサにそれぞれ与えられ得る。フレームの一部が、受信プロセッサによる復号に失敗すると、コントローラ/プロセッサ540は、確認応答(ACK)プロトコルおよび/または否定応答(NAK)プロトコルを用いて、そうしたフレームの再送信要求をサポートすることもできる。
【0053】
コントローラ/プロセッサ540および590は、それぞれNodeB 510およびUE 550における動作を指示するために使われ得る。たとえば、コントローラ/プロセッサ540および590は、タイミング、周辺インターフェース、電圧調整、電力管理、および他の制御機能を含む、様々な機能を提供することができる。メモリ542および592のコンピュータ可読媒体は、それぞれ、NodeB 510およびUE 550のためのデータおよびソフトウェアを記憶することができる。NodeB 510におけるスケジューラ/プロセッサ546は、リソースをUEに割り振り、UEのダウンリンク送信および/またはアップリンク送信をスケジューリングするために、使われ得る。
【0054】
受信プロセッサ570は、メモリ592にそれぞれ常駐するMPアグリゲーション構成要素130のためにRLC PDUを復号するRLC受信機124を利用することができる。
【0055】
無線プロトコルアーキテクチャは、具体的な用途に応じて様々な形態をとり得る。ここでHSPAシステムに関する一例を、
図6を参照して提示する。
図6は、ユーザプレーンおよび制御プレーンの無線プロトコルアーキテクチャの一例を示す概念図である。
【0056】
図6を見ると、UEおよびノードBの無線プロトコルアーキテクチャは、層1、層2、および層3という3つの層で示される。層1は最下層であり、様々な物理層の信号処理機能を実装する。層1は、本明細書では物理層606と呼ばれる。層2(L2層)608は、物理層606の上にあり、物理層606を通じたUEとノードBとの間のリンクを担う。
【0057】
ユーザプレーンでは、L2層608は、媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤ610、無線リンク制御(RLC)サブレイヤ612、およびパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)614サブレイヤを含み、これらはネットワーク側のノードBで終端する。図示されていないが、UEは、ネットワーク側のPDNゲートウェイで終端するネットワーク層(たとえばIP層)と、接続の他の端部(たとえば、遠端のUE、サーバなど)で終端するアプリケーション層とを含めて、L2層608の上にいくつかの上位層を有し得る。
【0058】
PDCPサブレイヤ614は、異なる無線ベアラと論理チャネルとの間の多重化を行う。PDCPサブレイヤ614はまた、無線送信のオーバーヘッドを低減するための上位層データパケットのヘッダ圧縮、データパケットの暗号化によるセキュリティ、および、NodeB間のUEのハンドオーバのサポートを実現する。RLCサブレイヤ612は、上位層のデータパケットのセグメント化および再構築、失われたデータパケットの再送信、ならびに、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)による順序の狂った受信を補償するためのデータパケットの再順序付けを行う。MACサブレイヤ610は、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間の多重化を行う。MACサブレイヤ610はまた、複数のUEの間における、1つのセルの中の様々な無線リソース(たとえばリソースブロック)の割振りを担う。MACサブレイヤ610はまた、HARQ動作も担う。
【0059】
図7において、700に示すように、HSDPAマルチポイント送信における着信データストリームを2つのセルのために分割しなければならない。対照的に、NodeB内マルチポイント送信では分割がMAC層で行われる、すなわち、2つのセルは共有MACエンティティおよび別個のHARQを含む別個の物理層エンティティを有する。NodeB内マルチポイント送信の場合、RLCを改良する必要がない。NodeB間マルチポイント送信では、各NodeBにおけるMACエンティティは別個でなければならないので、分割はMACの上で行われなければならない。1つのオプションは、RLCでデータを分割することである。この場合、2つのMACエンティティ間の順序の狂った配信または歪みの問題を解決するために、RLCの改良が必要である。
【0060】
図8では、UEでワイヤレス通信におけるデータをアグリゲートするための方法800が提供される。NodeB間HSPDA MP TXによってデータが受信される(ブロック802)。UE RLC受信機によってRLU PDUが復号される(ブロック804)。RLCに対してそれぞれのMACエンティティが自己証明したかどうかについて明示的または黙示的に判断が下される(ブロック806)。自己証明していない場合、これが新しいギャップであるかどうかについて判断が下される(ブロック808)。新しいギャップである場合、新しいNAK遅延タイマーが開始される(ブロック810)。ブロック808において新しいギャップではない場合、またはブロック810の後、NAK遅延タイマーが終了したかどうかについてさらなる判断が下される(ブロック812)。終了した場合、対応するNAKが送信される(ブロック814)。
【0061】
場合によっては、NAK遅延タイマーが終了する前に、欠落したデータがギャップを埋める。これらの場合、歪み持続時間を判断する(ブロック816)ことによって、適応タイマーの調整が実現され得る。次いで、歪み持続時間に対応してNAK遅延タイマーが適応し得る(ブロック818)。
【0062】
ブロック806に戻ると、復号で検出されたようにRLCに対してMACエンティティが自己証明した場合、RLC受信機は、復号されたRLU PDUを送信側セル(NodeB)にマップし得る(ブロック820)。この情報により、次いで歪みが真のデータ損失から区別され得る(ブロック822)。
【0063】
ブロック822(
図8)の例示的な実施態様である
図9では、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームからのシーケンス番号(SN)からなるシーケンス番号待ち行列におけるRLCシーケンス番号のギャップが検出される(ブロック902)。すべてのMACエンティティから配信された復号されたRLC PDUに基づいて、すべてのセルに対してACKされた最高SNが判断される(ブロック904)。これらから、すべてのセルに対してACKされたこれらの最高SNのうちの最低SNはどれかについてのさらなる判断が下される(ブロック906)。次いで、SNギャップが最低である(すべてのセルに対してACKされた最高SNのうちの以前識別された最低よりも低い)かどうかについての判断が下される(ブロック908)。最低ではない場合、新しく検出されたギャップが既存のギャップの一部にすぎないかどうかについての判断が下される(ブロック910)。既存のギャップの一部ではない場合、新しいギャップについてNAK遅延タイマーが開始される(ブロック912)。ブロック910において既存のギャップの一部である場合、またはブロック912の後、NAK遅延タイマーが終了したかどうかについての判断が下される(ブロック914)。終了した場合、ステータスPDUとともにNAKが送られる(ブロック916)。
【0064】
ブロック908に戻ると、SNギャップがより低かった場合、真のデータ損失が発見されており、したがって処理はブロック916に進んで、NAKを送ることを、対応するNAK遅延タイマーが終了するのを待たずに早めることができる。
【0065】
図10を参照すると、ワイヤレス通信のためのシステム1000が示されている。たとえば、システム1000は、無線(OTA)通信が可能なユーザ機器内に少なくとも部分的に常駐し得る。システム1000は、コンピューティングプラットフォーム、プロセッサ、ソフトウェア、またはそれらの組合せ(たとえばファームウェア)によって実施される機能を表す機能ブロックであり得る機能ブロックを含むものとして表されることを諒解されたい。システム1000は、連携して動作し得る電気的構成要素の論理グルーピング1002を含む。たとえば、論理グルーピング1002は、ユーザ機器のトランシーバによって、第1のセルの第1の媒体アクセス制御(MAC)エンティティからの第1のデータストリームおよび第2のセルの第2のMACエンティティからの第2のデータストリームを受信するための電気的構成要素1004を含むことができる。さらに、論理グルーピング1002は、ユーザ機器の無線リンク制御(RLC)受信機によって、第1のデータストリームおよび第2のデータストリームからそれぞれのシーケンス番号を有するRLCパケットデータユニット(PDU)を復号するための電気的構成要素1006を含むことができる。さらに、論理グルーピング1002は、受信に成功したRLC PDUに関する確認応答(ACK)を送信するための電気的構成要素1008を含むことができる。さらに、論理グルーピング1002は、第1のデータストリームからのシーケンス番号および第2のデータストリームからのシーケンス番号からなるシーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップを検出するための電気的構成要素1010を含むことができる。加えて、論理グルーピング1002は、否定応答(NAK)を送信することを、NAK遅延タイマーを開始することによって遅延させるための電気的構成要素1012を含むことができる。さらに、論理グルーピング1002は、シーケンス番号待ち行列におけるシーケンス番号のギャップに関するNAKを、NAK遅延タイマーが終了し、遅延中にギャップが埋められていないことを検出したことに応答して送信するための電気的構成要素1014を含むことができる。加えて、システム1000は、電気的構成要素1004〜1014に関連付けられた機能を実行するための命令を保持するメモリ1020を含み得る。電気的構成要素1004〜1014のうちの1つまたは複数は、メモリ1020の外部にあるものとして示されているが、メモリ1020内に存在し得ることを理解されたい。
【0066】
本明細書で説明する例示的な態様は、とりわけデータ損失が生じ得るときに、異なるMACエンティティからの配信間の歪みに対処するためにダウンリンク上のマルチポイント送信をアグリゲートする際に、UEによって主にまたは完全に実行される。本開示の利益により、HSPDA MP TXにおけるデータアグリゲーションに対処するために無線ネットワークコントローラ(RNC)、NodeB、または他のネットワークエンティティで相補型または独立型の機能が実施され得ることを諒解されたい。
【0067】
上記によって、一態様では、UEがNAK遅延タイマーを使用してすべてのNAKを遅延させ得ることを諒解されたい。UEは、検出された新しいギャップについてのタイマーを、ギャップごとに1つのタイマーにより開始する。ギャップのタイマーが終了した場合、残りの欠落したデータを要求するためにNAKが送られる。それにより、MACとRLCとの間で追加情報の交換は必要とされない。処理は、セルごとにACKされている最高シーケンス番号を判断しない。場合によっては、真のデータ損失に関するNAKが、NAK遅延タイマーによって遅延することがある。
【0068】
別の態様では、RLCエンティティにデータを配信するときに、MACエンティティの各々がその身元を明らかにする場合、UEは、RLC PDUがどのセルから送られたかについての情報を部分的に回復することができる。それによって、UE RLC受信機は、復号された各RLU PDUを、それがRNCによって送られた先である発信側セルにマップすることができる。UEによって把握されたシーケンス番号ギャップが、セルの各々におけるACKされた最高シーケンス番号の中の最低よりも低い場合、ギャップは真のデータ損失であり、NAK遅延タイマーが終了するのを待つ必要はない。そうでない場合、UEは、受信する新しいギャップごとにタイマー(NAK遅延タイマー)を開始することができる。このタイマーが終了したとき、残りのギャップがNAKされ得る。
【0069】
追加の態様では、MACエンティティから配信された復号されたRLC PDUに基づいて各セルにおいてACKされた最高シーケンス番号の知識をUEが有するとき、UEによって真の損失が歪みから区別され得る。UEによって把握されたシーケンス番号ギャップが、すべてのセルにおけるACKされた最高シーケンス番号の中の最低よりも低い場合、このギャップは間違いなく、真の損失である。そうでない場合、UEは、受信する新しいギャップごとにタイマー(NAK遅延タイマー)を開始する。このタイマーが終了したとき、残りのギャップがNAKされる。NAKの生成はUE RLC受信機によって行われ得る。ステータスPDUを生成する時間であるとき、UEは、NAKするつもりのギャップが埋められているかどうかを確かめるために再確認できることに留意されたい。埋められている場合、そのギャップに関するNAKは送られない。
【0070】
RNCベースの手法と比較して、UEベースの手法は、NAK生成を遅延させる。要するに、真の損失についての再送信は、このギャップが同じセルにおけるACKされた最高シーケンス番号よりも低くなる時刻と、このギャップがすべてのセルにおけるACKされた最高シーケンス番号の中の最低よりも低くなる時刻との間の持続時間を限度として遅延する。RNCが小さいバッチで交互に各セルにデータを送る場合、この余分な遅延は非常に小さくなり得る。一方、大きい歪みが生じるか、または真の損失率が高いとき、UEベースのアルゴリズムは明らかに、RNCベースのアルゴリズムに劣る。
【0071】
UEベースのアプローチの利点は、それがステータスPDUにおけるNAKの数を減らし、したがってフィードバックオーバーヘッドを減らすことである。
【0072】
さらなる態様では、NAK遅延タイマーは、直面する歪み持続時間に対応するように適応し得る。UEによって把握されるが、NAKが送られる前に最終的に埋められるギャップまたは穴ごとに、UEは、その出現から穴が埋められるまでの持続時間を追跡することができる。この持続時間は、持続時間歪み(DurationSkew)と呼ばれ得る。測定された持続時間歪みを使用して、NAK遅延タイマーの値を適応させることができる。1つの例示的なルールは次のとおりである。
NAK遅延タイマー≦(1-1/Tc)*NAK遅延タイマー+(1/Tc)*持続時間歪み。
【0073】
UEによるタイマー適応は、UEにおける歪みの持続時間の正確な測定のために、RNCによる場合よりも容易であり得る。
【0074】
明快のために、マルチポイント送信について、2つのセルまたはノードからのものとして本明細書で説明したが、本発明と整合する態様は3つ以上に及び得る。RLCシーケンス番号のギャップを当該セルにおいて確認応答された(「ACKされた」)最高シーケンス番号と比較することによって真の損失を歪みから区別するように、RNCベースのRLCはRNCに改良をもたらす。これはRNCにとって、どのパケットがどのセルに送られるかを覚えて、データが最初に送られる先であるセルに各ギャップを関連付けることができる限り可能である。UEは、データが送られる先であるセルにギャップを関連付けることができない。
【0075】
WCDMA(登録商標)システムを参照して、電気通信システムのいくつかの態様を示してきた。当業者が容易に諒解するように、本開示全体にわたって説明する様々な態様は、他の電気通信システム、ネットワークアーキテクチャおよび通信規格に拡張され得る。
【0076】
例として、様々な態様は、他のUMTS、たとえばTD-SCDMA、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、高速パケットアクセスプラス(HSPA+)およびTD-CDMAに拡張され得る。様々な態様はまた、Long Term Evolution(LTE)(FDD、TDD、またはこれら両方のモードによる)、LTE-Advanced(LTE-A)(FDD、TDD、またはこれら両方のモードによる)、CDMA2000、Evolution-Data Optimized(EV-DO)、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、Ultra-Wideband(UWB)、Bluetooth(登録商標)、および/または他の適切なシステムを利用するシステムに拡張され得る。実際の利用される電気通信規格、ネットワークアーキテクチャ、および/または通信規格は、具体的な用途およびシステム全体に課される設計制約に依存する。
【0077】
本開示の様々な態様によれば、要素または要素の一部分または要素の組合せを、1つまたは複数のプロセッサを含む「処理システム」で実装できる。プロセッサの例として、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、状態機械、ゲート論理回路、個別ハードウェア回路、および本開示全体にわたって説明する様々な機能を実施するように構成された他の適切なハードウェアがある。処理システム内の1つまたは複数のプロセッサは、ソフトウェアを実行することができる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。ソフトウェアはコンピュータ可読媒体上に存在し得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であってよい。非一時的コンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(たとえば、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気ストリップ)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD))、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、キードライブ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、レジスタ、取り外し可能ディスク、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を記憶するための任意の他の適切な媒体を含む。また、コンピュータ可読媒体は、例として、搬送波、伝送路、ならびに、コンピュータがアクセスし読み取ることができるソフトウェアおよび/または命令を送信するための任意の他の適切な媒体も含み得る。コンピュータ可読媒体は、処理システムの中に存在してもよく、
処理システムの外に存在してもよく、または処理システムを含む複数のエンティティに分散してもよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラム製品として具現化され得る。例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内のコンピュータ可読媒体を含み得る。当業者は、具体的な用途およびシステム全体に課される全体的な設計制約に応じて、本開示全体にわたって示される説明する機能を最善の形で実装する方法を認識するだろう。
【0078】
開示した方法におけるステップの特定の順序または階層は例示的なプロセスを示していることを理解されたい。設計上の選好に基づいて、方法におけるステップの特定の順序または階層は再構成可能であることを理解されたい。添付の方法クレームは、サンプル的順序で様々なステップの要素を提示しており、クレーム内で明記していない限り、提示した特定の順序または階層に限定されるように意図されているわけではない。
【0079】
上記の説明は、本明細書で説明する様々な態様を当業者が実施できるようにするために与えられる。これらの態様への様々な変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般的原理は他の態様に適用され得る。したがって、請求項は本明細書で示す態様に限定されるよう意図されているわけではなく、請求項の文言と整合するすべての範囲を許容するように意図されており、単数の要素への言及は、そのように明記されていない限り、「唯一無二の」ではなく、「1つまたは複数の」を意味するよう意図されている。別段に明記されていない限り、「いくつかの」という用語は「1つまたは複数の」を意味する。項目の列挙「のうちの少なくとも1つ」という語句は、単一の要素を含め、それらの項目の任意の組合せを意味する。たとえば、「a、bまたはcのうちの少なくとも1つ」は、「a」、「b」、「c」、「aおよびb」、「aおよびc」、「bおよびc」、「a、bおよびc」を含むことが意図されている。当業者が知っているか、後に知ることになる、本開示全体にわたって説明した様々な態様の要素と構造的かつ機能的に同等のものはすべて、参照により本明細書に明確に組み込まれ、請求項によって包含されることが意図される。また、本明細書で開示する内容は、そのような開示が請求項で明記されているか否かにかかわりなく、公に供することは意図されていない。請求項のいかなる要素も、「のための手段」という語句を使用して要素が明記されている場合、または方法クレームで「のためのステップ」という語句を使用して要素が記載されている場合を除き、米国特許法第112条第6項の規定に基づき解釈されることはない。