(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、メージセンサを有する光学モジュールを2つの軸の各軸周りに往復回動運動可能に弾性支持するヒンジ部材と、前記ヒンジ部材が固定的に取り付けられるベース部材と、前記光学モジュールを往復回動運動させる駆動手段とを含む手ぶれ補正モジュール及びこれを具備したカメラモジュールが提供される。
【0007】
また本発明は、イメージセンサに電気的に接続された軟性印刷回路基板(PCB)に外力が加えられた場合に前記外力が光学モジュールに伝達されるのを防止することにより、手ぶれ補正のための光学モジュールの駆動を精密に制御することができるカメラモジュール及びその製造方法を提供する。
【0008】
本発明の一側面によれば、(i)イメージセンサを有する光学モジュールを2つの軸の各軸周りに往復回動運動可能に弾性支持するヒンジ部材と、(ii)前記ヒンジ部材が固定的に取り付けられるベース部材と、(iii)前記光学モジュールを往復回動運動させる駆動手段とを含む手ぶれ補正モジュールとを含む手ぶれ補正モジュールが提供される。
【0009】
光学モジュールを前記2つの軸の各軸を中心にして往復回動運動(スイング運動)させることによって、像の手ぶれ補正を良好に行うことができる。また、ヒンジ部材は弾性材料から一体的に成形されており、弾性材料自体の弾性を利用して往復回動運動を支持するように構成されている。ヒンジ部材は弾性材料からなるため、光学モジュールの往復回動運動時に、折れたり壊れたりすることはない。
【0010】
ヒンジ部材は、例えば樹脂などの弾性材料から作製される。樹脂から作製する場合は、ヒンジ部材を射出成形法によって作製することができる。その場合、製造コストを大幅に節減できると共に、製造工程及び組立工程を簡略化させることができる。
【0011】
前記ヒンジ部材を、前記光学モジュールが設置される上側部分と、ベース部材に固定される下側部分と、前記上側部分と前記下側部分との中間に位置する中間部分とから構成することもできる。前記上側部分と前記中間部分とは第1のヒンジ手段によって、前記上側部分が前記2つの軸の一方の軸を中心にして往復回動運動(スイング運動)できるようにヒンジ連結される。すなわち、前記上側部分は、前記中間部分に対してスイング運動可能となる。前記中間部分と前記下側部分とは第2のヒンジ手段によって、前記中間部分が前記2つの軸の他方の軸を中心にしてスイング運動できるようにヒンジ連結される。すなわち、前記中間部分は、前記下側部分に対してスイング運動可能となる。
【0012】
前記駆動手段は、永久磁石とコイルとからなるボイスコイルモータ(VCM)機構である。ボイスコイルモータ(VCM)機構は、前記2つの軸の一方の軸の軸方向において互いに対向するように配置された第1のVCM対と、前記2つの軸の他方の軸の軸方向において互いに対向するように配置された第2のVCM対とを含む。
【0013】
ムービングマグネット方式(磁石が動く方式)の場合は、永久磁石はヒンジ部材の側部に取り付けられ、コイルは永久磁石と対向してかつ所定間隔離間して配置され、コイルはベース部材またはハウジングに取り付けられる。一方、ムービングコイル方式(コイルが動く方式)の場合は、コイルがヒンジ部材の側部に取り付けられ、永久磁石がコイルと対向してかつ所定間隔離間して配置され、永久磁石はベース部材またはハウジングに取り付けられる。かような構成によって、ボイスコイルモータの作動時に、ヒンジ部材の上側部分を、前記ベース部材に対してスイング運動させることが可能となる。
【0014】
手ぶれ補正モジュールは、前記ベース部材の外壁を取り囲むようにして前記ベース部材に結合されるハウジングをさらに含み得る。前記ハウジングは、電磁波(EMI)を遮断する材料から作製される。前記ハウジングは、外部からモジュールの内部への異物の侵入を防止する役割を果たす。
【0015】
前記光学モジュールは、自動焦点(AF)光学系、単焦点光学系、二重光学系、及びズーム光学系からなる群より選択される1以上の光学系から構成され得る。
【0016】
前記2つの軸の交差点は、前記イメージセンサの撮像面の中心に対応し得る。特に、前記2つの軸は、同一平面上で交差しうる。前記光学モジュールは、光軸と直交する前記2つの軸を中心にしてスイング運動することができるので、従来の手ぶれ補正モジュールよりも改善された画質の像を得ることができる。特に、X軸とY軸が同一平面上で交差する場合は、さらに改善された画質の像を得ることができる。
【0017】
本発明の他の側面によれば、(i)イイメージセンサを有する光学モジュールと、(ii)前記光学モジュールを、少なくとも1つの軸周りに往復回動運動可能に弾性支持するヒンジ部材、前記ヒンジ部材が固定的に取り付けられるベース部材及び、前記光学モジュールを往復回動運動させる駆動手段を有する手ぶれ補正モジュールとを含むカメラモジュールが提供される。光学モジュールがヒンジ部材の可動部に着脱自在に取り付けられるように、ヒンジ部材及び/または光学モジュールはカートリッジ形態に構成される。
【0018】
このようにすることにより、組立て性が向上すると共に、1つの手ぶれ補正モジュールを利用して、同一寸法規格の様々な光学モジュールに対して様々な手ぶれ補正機能を適用することが可能となる。特に、手ぶれ補正機能を備えていない既存の光学モジュールに、手ぶれ補正機能を容易に付け加えることができる。
【0019】
カメラモジュールは、前記光学モジュールを外部要素と電気的に接続するための軟性印刷回路板(PCB)をさらに含む。軟性PCBの一端部が前記光学モジュールに結合されかつ電気的に接続されると共に、前記軟性PCBの少なくとも1つの他の部分が前記手ぶれ補正モジュールの非可動部分に結合される。
【0020】
より具体的には、前記光学モジュールの底面の一側端側において、前記軟性PCBの一端部が前記光学モジュールの下側部分に結合され、他側端側において、前記軟性PCBの中間部が前記ベース部材に結合される。かような構成によって、軟性PCBにおけるモジュールの外部に突出した部分に外力が加えられた場合でも、前記外力を前記中間部で遮断することができるので、前記外力による往復回動運動する光学モジュールの影響を最小限に抑えることができる。その結果、精密な手ぶれ補正制御が可能となる。
【0021】
前記一端部及び前記中間部は、前記一端部と前記中間部との間の断面が曲線状になるように、前記イメージセンサの撮像面の垂直方向において互いに異なる高さ位置に取り付けられる。前記曲線は、少なくとも1つの変曲点を有する。かような構成によって、前記軟性PCBの前記一端部と前記中間部との間に可動余裕を確保することができる。
【0022】
前記軟性PCBの前記一端部と前記他の部分は、補強プレートによってそれぞれ支持されうる。
【0023】
前記手ぶれ補正モジュールは、前記べース部材における前記軟性PCB取付面に該取付け面に対して垂直方向に突出形成された少なくとも1つの突出部をさらに含み、前記軟性PCBの中間部に前記突出部を貫通させ後、前記突出部の先端を加熱溶融して拡径変形させることにより、前記軟性PCBの中間部を前記ベース部材に固定する。あるいは、前記手ぶれ補正モジュールは、前記べース部材における前記軟性PCB取付面に該面の内側に向かって延出形成された少なくとも1つの固定用延出部をさらに含み、前記固定用延出部によって前記軟性PCBの中間部を前記ベース部材に固定する。
【0024】
前記光学モジュールは、前記イメージセンサと、前記イメージセンサの底面に結合されかつ電気的に接続された硬性印刷回路基板(PCB)を含む。前記軟性PCBの一端部は、導電性ボールが付着された異方導電性フィルム(ACF)によって、前記硬性PCBに結合される。
【0025】
前記手ぶれ補正モジュールは、前記駆動手段を前記軟性PCBに電気的に接続させるためのはんだ板を有し、前記軟性PCBの前記中間部に隣接する部分を、前記はんだ板に結合させかつ電気的に接続させる。
【0026】
本発明の別の側面によれば、手ぶれ補正機能を備えたカメラモジュールの製造方法であって、イメージセンサを有する光学モジュールを少なくとも1つの軸周りに往復回動運動可能に弾性支持するヒンジ部材、前記ヒンジ部材が固定的に取り付けられるベース部材及び、前記光学モジュールを往復回動運動させる駆動手段を有する手ぶれ補正モジュールを用意するステップと、前記手ぶれ補正モジュールに前記光学モジュールを取り付けるステップと、前記光学モジュールを外部要素と電気的に接続するための軟性印刷回路基板(PCB)を用意するステップと、前記軟性PCBの一端部を前記光学モジュールに結合させかつ電気的に接続させるステップと、前記軟性PCBの他の部分を前記手ぶれ補正モジュールの非可動部分に結合させるステップとを含むむ方法が提供される。
【0027】
前記軟性PCBの前記一端部と前記他の部分は、前記一端部と前記中間部との間の断面が曲線状となるように、前記イメージセンサの撮像面の垂直方向において互いに異なる高さ位置に取り付けられる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるカメラモジュールの分解斜視図である。
【0031】
図1を参照して、一実施形態によるカメラモジュールは、光学モジュール10と、ベース部材20と、ハウジング30と、ヒンジ部材40と、ボイスコイルモータ(VCM)機構50と、キャップ70と、カバープレート80と、軟性PCB(軟性印刷回路基板)90とを含んでいる。
【0032】
図8に示すように、光学モジュール10は、イメージセンサ12と、入射レンズ(図示せず)と、被写体像の光をイメージセンサ12上に結像させるレンズ(図示せず)とを含む。イメージセンサ12の下側に、硬性PCB(硬性印刷回路基板)13が配置されている。硬性PCB13はイメージセンサ13に電気的に接続されている。ある場合では、硬性PCB13の下側に、ジャイロセンサ14がさらに配置される。なお、ジャイロセンサ14は、光学モジュール10とは異なる位置に配置することもできる。
【0033】
イメージセンサ12は光学モジュール10に固定されており、光学モジュール10が移動した場合は光学モジュール10と共に移動する。光学モジュール10は、自動焦点調節が可能な光学系、単焦点光学系、単焦点光学系とズーム光学系とが同時利用可能な二重光学系、またはズーム光学系でありうる。
【0034】
ヒンジ部材40は、光学モジュール10を収容する。光学モジュール10は、ヒンジ部材40内に、着脱可能または固定的に取り付けされる。具体的には、光学モジュール10は、ヒンジ部材40の上側部分に取り付けられる。ヒンジ部材40の上側部分は、2つの軸(X軸及びY軸)を中心にして往復回動運動(スイング運動)できるように構成されている。つまり、ヒンジ部材40の上側部分は、ヒンジ部材40の下側部分に対して2軸スイング運動可能である。ヒンジ部材40については、
図2及び
図5を参照して後述する。
【0035】
ベース部材20は、ヒンジ部材40を収容する。つまり、ヒンジ部材40は、ベース部材20内に配置される。具体的には、ヒンジ部材40の下側部分がベース部材20に固定的に取り付けられる。ヒンジ部材40は、フック構造によってベース部材20に取り付けた後、紫外線硬化型接着剤によってベース部材20に固定される。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な取付方法や固定方法を用いることができる。
【0036】
上述したように、光学モジュール10が固定されたヒンジ部材40の上側部分はヒンジ部材40の下側部分に対して2軸スイング運動することができ、かつヒンジ部材40の下側部分はベース部材に固定されているので、光学モジュール10はベース部材20に対して2つの軸の各軸周りにスイング運動することができる。
【0037】
ハウジング30は、ベース部材20の外壁を取り囲むようにして、ベース部材20に結合される。ハウジング30は、ベース部材20とフック方式で結合される。したがって、ハウジング30とベース部材20との組み立て及び分解は容易に行うことができる。なお、フック方式以外の他の様々な結合方法を用いることができる。ハウジング30は、電磁波障害(EMI)を遮蔽するように構成されている。また、ハウジング30をベース部材20及びキャップ70と結合させることにより、外部異物が光学モジュール10の内部に侵入することを防止することができる。
【0038】
一方、ハウジング30を具備しない実施形態も可能である。この場合、ベース部材20が、ハウジング30の役割を兼ねるように構成される。
【0039】
ヒンジ部材40の上側部分に取り付けられた光学モジュール10をベース部材20及び/またはハウジング30に対して2軸スイング運動させるために、ボイスコイルモータ機構50機構が使用される。ボイスコイルモータ機構50は、ボイスコイルモータ51a・51bとボイスコイルモータ51a´・51b´とからなる第1のボイスコイルモータ対と、ボイスコイルモータ52a・52bとボイスコイルモータ52a´・52b´とからなる第2のボイスコイルモータ対とを含む。各ボイスコイルモータは、互いに対応するコイルと永久磁石とを含んでいる。
【0040】
図1及び
図3に示すように、永久磁石51a,51a´,52a,52a´は、ヒンジ部材40の上側部分に固定的に取り付けられる。コイル51b,51b´,52b,52b´は、対応する永久磁石51a,51a´,52,52a´に対して、X軸方向またはY軸方向に離間して配置される。コイルは、紫外線硬化型接着剤を使用してベース部材20に結合される。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コイルは、ベース部材20を取り囲むハウジング30に結合させてもよい。また、コイルは、紫外線硬化型接着剤以外の結合方法によって結合させることもできる。
【0041】
図3を参照して、第1のボイスコイルモータ対における一方のボイスコイルモータ51a・51bと他方のボイスコイルモータ51a´・51b´は、ヒンジ部材40を挟んで、X軸方向おいて互いに対向するように配置される。また、第2のボイスコイルモータ対における一方のボイスコイルモータ52a・52bと他方のボイスコイルモータ52a´・52b´も、ヒンジ部材40を挟んで、Y軸方向おいて互いに対向するように配置される。したがって、第1のボイスコイルモータ対(51a・51b;51a´・51b´)と、第2のボイスコイルモータ対(52a、52b;52a´、52b´)とは、XY平面において互いに直交する方向に配置される。ボイスコイルモータの作動原理については、
図4を参照して後述する。
【0042】
添付図面では、ムービングマグネット型のボイスコイルモータが図示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ムービングコイル型のボイスコイルモータを使用することもできる。ムービングコイル型の場合は、ヒンジ部材40の可動部分(すなわち上側部分)にコイルが取り付けられ、非可動部分であるベース部材20またはハウジング30に永久磁石が取り付けられる。ムービングコイル型のボイスコイルモータの作動原理は、ムービングマグネット型のボイスコイルモータの作動原理と同一なので説明は省略する。
【0043】
ヒンジ部材40を2つの軸の各軸周りにスイング運動させる駆動手段として、ボイスコイルモータ以外の駆動手段を使用することもできる。例えば、圧電モータやステップモータも使用することもできる。
【0044】
本発明では、第1の駆動手段(第1のボイスコイルモータ対)によってヒンジ部材40の中間部分を一方の軸の軸を中心にしてスイングさせ、第2の駆動手段(第2のボイスコイルモータ対)によってヒンジ部材の上側部分を他方の軸の軸を中心にしてスイングさせるように構成している。
【0045】
次に、
図2を参照して、光学モジュール10のスイング運動を支持するヒンジ部材40について説明する。
【0046】
ヒンジ部材40は、上側部分41、中間部分42及び下側部分43を含む。上側部分41と中間部分42は第1のヒンジ対45によって互いにヒンジ連結され、中間部分42と下側部分43は第2のヒンジ対46によって互いにヒンジ連結される。第1のヒンジ対45は、X軸方向おいて互いに対向するように配置される、第2ヒンジ46対は、Y軸方向おいて互いに対向するように配置される。したがって、第1のヒンジ対45と第2のヒンジ対46は、XY平面において互いに直交する方向に配置される。
【0047】
ヒンジ部材40は、例えば樹脂などの弾性材料から作製される。したがって、ヒンジ部材40は弾性を有することとなる。樹脂から作製する場合は、ヒンジ部材40を射出成形法によって製造することができる。その場合、製造コストを大幅に削減できると共に、製造工程及び組立て工程を簡略化させることができる。なお、ヒンジ部材40は必ずしも樹脂から作製する必要はなく、他の弾性を有する材料から作製することもできる。例えば、ゴム材料、弾性を有する金属材料、または、樹脂若しくはゴムを金属と混合させた材料からヒンジ部材を作製することもできる。
【0048】
第1のヒンジ対45によって中間部分42とヒンジ連結された上側部分41は、第1のヒンジ対45の弾性による復原力によって、第1のヒンジ対45すなわちX軸を中心にしてスイング運動することができる。つまり、上側部分41は中間部分42に対してスイング運動することができる。同様に、第2のヒンジ対46によって下側部分43とヒンジ連結された中間部分42は、第2のヒンジ対46すなわちY軸を中心にしてスイング運動することができる。つまり、中間部分42は下側部分43に対してスイング運動することができる。
【0049】
スイング軸であるX軸及びY軸の交差点は、光学モジュール10に含まれているイメージセンサ12の撮像面の中心と対応するようにする。前記交差点は同一平面上での交差点であるが、本発明は必ずしもこれに限定されない。光軸は、撮像面の中心と一致する。本発明の実施形態による手ぶれ補正モジュールは、その交差点が光軸と一致する2つの軸の各軸周りにスイング運動することができるので、従来の手ぶれ補正モジュールよりも画質が改善された像を得ることができる。特に、X軸とY軸が同一平面上で互いに交差する場合、優れた画質の像を得ることができる。また、第1ヒンジ45及び第2ヒンジ46は、弾性材料から作製されたヒンジ部材40の一部として形成されるので(すなわち弾性を有するので)、スイング運動時に折れたり壊れたりすることはない。
【0050】
一方、
図5に示すような改変されたヒンジ部材140を使用することもできる。
図2に示したヒンジ部材40と同様に、このヒンジ部材140は上側部分141、中間部分142及び下側部分143を含み、上側部分141と中間部分142は第1ヒンジ部対145によって互いにヒンジ連結され、中間部分142と下側部分143は第2ヒンジ部対146によって互いにヒンジ連結されている。しかし、ヒンジ部材40とヒンジ部材140とでは、形状が一部異なる。例えば、ヒンジ部材40の下側部分43はベース部材20とフック結合するためのフック構造43aを有しているが、ヒンジ部材140の下側部分143はフック構造を有していない。
【0051】
図3及び4を参照しつつ、第1のボイスコイルモータ対(51a・51b;51a´・51b´)の作動機構について説明する。ボイスコイルモータ51a・51bにおいて、コイル51bの上側部分では、電流I
UはY軸の負方向に流れ、磁場BはX軸の正方向に向かうので、フレミングの左手の法則により、力F
21は上方向(Z軸の正方向)に作用する。コイル51bの下側部分では、電流I
UはY軸の正方向に流れ、磁場BはX軸の負方向に向かうので、フレミングの左手の法則により、力F
22は上方向(Z軸の正方向)に作用する。つまり、ボイスコイルモータ51a・51bでは、力F
21,F
22は上方向に作用する。ボイスコイルモータ51a・51bとXY平面において対向配置されたボイスコイルモータ51a´・51b´では、上述したのと同様の原理によって力F
11,F
12は下方向に作用する。そして、コイル51b,51b´は、ベース部材20またはハウジング30に固定されており移動することができないため、永久磁石が取り付けられたヒンジ部材140の上側部分及び光学モジュール10が移動することとなる。したがって、
図4に示した構成では、光学モジュール10は、Y軸を中心にして反時計回りに所定の角度回転するスイング運動を行う。コイル51b,51b´に印加する電流の方向を反対にすれば、反対方向、すなわち、Y軸を中心にして時計回り方向に所定の角度回転するスイング運動が行われる。したがって、コイル51b,51b´に印加する電流の方向を交互に変更することにより、Y軸を中心にして時計方向と反時計方向との両方向に往復回転運動(スイング運動)させることができる。
【0052】
上述したベース部材20、ハウジング30、ヒンジ部材40及びボイスコイルモータ機構50は、手ぶれ補正モジュールとして、互いに協同して作動する。
【0053】
図5〜
図8を参照して、手ぶれ補正モジュール(20、30、40及び50)内での光学モジュール10のスイング運動について説明する。光学モジュール10は、第1のボイスコイルモータ対51a・51b;51a´・51b´によって、Y軸を中心にして往復回転運動(ローリング運動)することができる。また、光学モジュール10は、第2のボイスコイルモータ対52a・52b;52a´・52b´によって、X軸を中心にして往復回転運動(ピッチング運動)することができる。このように、光学モジュール10に対して、X軸及びY軸の各軸を中心にした往復回転振動を加えることにより、像の手ぶれを補償することができる。
【0054】
軟性PCB(90、190)上には、回路パターンが形成されている。軟性PCB(90、190)は、光学モジュール10を外部要素と電気的に接続する。軟性PCB(90、190)の一端部は、硬性PCB13と電気的に接続されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、硬性PCB13の代わりに硬軟性PCBを使用することもできる。
【0055】
軟性PCB(90、190)は、様々な方法により光学モジュール10に接続される。
【0056】
例えば、軟性PCB(90、190)の一端部は、導電性ボールを付着させた異方導電性フィルム(ACF)195によって硬性PCB13に接続される。導電性ボールは、電気伝導度を増大させる効果がある。あるいは、通常の異方導電性フィルムだけを使用して接続することもできる。また、硬性PCB13に取り付けられたコネクタと、軟性PCB(90、190)に取り付けられたコネクタとを互いに接続することよって、硬性PCB13と軟性PCB(90、190)とを互いに電気的に接続することもできる。また、それ以外にも、半導体パッケージングに使用される様々な接続方法(例えばフリップチップボンディングやはんだ接合)によって接続することもできる。
【0057】
軟性PCB(90、190)の厚さは薄い。特に、軟性PCBの厚さが非常に薄い場合には、軟性PCBの一端部に第1の保護板191が配置される。第1の保護プレート191により軟性PCBの一端部の剛性を高めることができ、それにより、電気的接続の作業が容易になると共に、電気接続構造の耐久性も向上する。
【0058】
軟性PCB(90、190)の他の部分、例えば中間部は、手ぶれ補正モジュールに固定される。具体的には、軟性PCBの中間部は、手ぶれ補正モジュールにおける、手ぶれ補正時に動かない部分(非可動部分)、例えば支持部材またはベース部材(20、120)に固定される。軟性PCB(90、190)の中間部分が手ぶれ補正モジュールの非可動部分に固定されるので、軟性PCB(90、190)の他端部に外力または手ぶれが加えられた場合でも、その外力または手ぶれは中間部で遮断される。すなわち、外力または手ぶれは、中間部の先の一端部までは伝達されない。したがって、手ぶれ補正のための光学モジュール10のスイング運動時における外力またはてぶれの影響を最小限に抑えることができるので、精密な手ぶれ補正制御が可能になる。
【0059】
軟性PCB(90、190)の中間部には、第2の保護プレート192が配置される。第2の保護プレート192により軟性PCB90,190の中間部の剛性を高めることができる。それにより、電気的接続の作業が容易となると共に、電気接続構造の耐久性も向上する。
【0060】
軟性PCB(90、190)の中間部は、様々な方法によって支持部材またはベース部材(20、120)に固定される。例えば、
図10に示すように、支持部材またはベース部材120の軟性PCB取付面に、該取付面に対して垂直方向に突出形成された2つの突出部120bによって、軟性PCB190を固定するように構成することもできる。支持部材またはベース部材120の軟性PCB取付面上に載置した軟性PCB190及び/または第2の保護プレート192に突出部120bを貫通させた後、突出部120bの先端を加熱溶融して拡径変形させることによって、軟性PCB190が持部材またはベース部材120に固定される。突出部120bの数は必ずしも2つである必要はなく、軟性PCB190の中間部が実質的に固定されれば1つあってもよい。また、
図9に示すように、支持部材またはハウジング20の軟性PCB取付面の両側に、該取付面の内側に向かって延出形成された固定用延出部20bによって、軟性PCB90及び第2の保護プレート92を固定するように構成することもできる。
【0061】
図8に示すように、軟性PCB(90、190)の一端部と中間部との間の断面は、緩やかなS字状の曲線形状を有する。S字状の曲線形状とは、凸型曲線と凹型曲線との間に少なくとも1つの変曲点を有する曲線である。このようなS字状の曲線形状により、すなわち軟性PCBの一端部と中間部との間に可動余裕を確保することにより、光学モジュール10が2軸スイング運動するときの、軟性PCB(90、190)によるスイング運動への影響を遮断することができる。したがって、正確な手ぶれ補正を行うことが可能となる。
【0062】
一方、軟性PCB(90、190)は、手ぶれ補正モジュールの駆動手段50を外部要素と電気的に接続する役割も担う。このために、支持部材またはベース部材(20、120)に形成され、かつボイスコイルモータ(駆動手段)のコイルと電気的に接続されたはんだ板(25、125)が、軟性PCB(90、190)と接続される。はんだ板(25、125)は、
図6または
図7に示すような形態で形成することができる。軟性PCB(90、190)の一部をはんだ板(25、125)にはんだ付けによって結合させることにより、光学モジュール10の手ぶれ補正制御に対する外力の影響をさらに遮断することができる。つまり、軟性PCBに伝わった外力を、軟性PCBとはんだ板との結合部分で遮断することができる(軟性PCBの一端部への外力の伝達を防止することができる)。
【0063】
図10を参照して、軟性PCB190の一端部と中間部との間に、開口部190aが形成されている。この開口部190aは、光学モジュール10に設置されるジャイロセンサ14の設置空間である。ジャイロセンサ14を設置しない場合は、
図9に示すように、開口部は設けられない。
【0064】
上述の軟性PCB(90、190)の接続構造は、2つの軸を中心にした往復回動運動(スイング運動)を支持するヒンジ部材40を含む手ぶれ補正モジュールの実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上述の軟性PCB(90、190)の接続構造は、光学モジュール10を取り囲む支持部材の下側部分に回動運動を支持するためのボールが復元用ばねと共に配置された他の実施形態にも適用可能である。すなわち、上述の軟性PCB(90、190)の接続構造は、2軸スイング運動が可能なあらゆる手ぶれ補正モジュールに適用可能である。
【0065】
以下、本発明の一実施形態による手ぶれ補正機構を有するカメラモジュールの組み立て方法について説明する。
【0066】
まず、ベース部材20に、はんだ板(25、125)を取り付ける。はんだ板は、ベース部材20に緊密に嵌合させることにより取り付けられ、熱硬化性樹脂を使用して結合される。次に、ハウジング30をベース部材20にフック構造20a、30aにより結合させることによってベースアセンブリを形成する。第1のボイスコイルモータ対及び第2のボイスコイルモータ対のコイル(51b、51b´、52b、52b´)をベース部材20またはハウジング30に取り付ける(熱硬化性樹脂により)。そして、コイルの端部をはんだ板(25、125)に電気的に接続させる。その後、ヒンジ部材の開口部(永久磁石の取付部)41aに永久磁石(51a、51a´、52a、52a´)を取り付け、紫外線硬化樹脂を用いて結合させることによってヒンジアセンブリを形成する。ヒンジアセンブリをベースアセンブリにフック構造43aを使用して取り付け、紫外線硬化樹脂を用いて結合させることによって、手ぶれ補正モジュールを完成する。
【0067】
図9に示したカメラモジュールの場合は、軟性PCB90の一端部を光学モジュール10に固定した後、ベース部材20の軟性PCB取付面の両側に延出形成した固定用延出部20bによって、軟性PCB90の中間部を支持部材に固定する。そして、はんだ板25を軟性PCB90の対応する部分(中間部に隣接する部分)に電気的に接続させた後、その上にカバープレート80を被せる。カバープレート80は、ハウジング30またはハウジングに一体化された支持部材の下側部分に、フック構造(80a、30c)を使用して取り付けられる。
【0068】
手ぶれ補正モジュールの内部に光学モジュール10を収容する。
図10に示したカメラモジュールの場合は、軟性PCB190の一端部を光学モジュール10に結合させた後、はんだ板125を軟性PCB190の対応する部分(中間部に隣接する部分)に電気的に接続させる。そして、軟性PCB190の中間部を支持部材120に熱融着により結合させた後、その上にカバープレート180を被せる。カバープレート180は、ベース部材20、またはベース部材と一体的に結合された支持部材の下側部分にフック構造(180a、131)を使用して取り付けられる。
【0069】
また、ハウジング30の上側には、キャップ70が、フック構造70a,30aを使用して取り付けられる。キャップ70は、光学モジュール10が手ぶれ補正モジュールに収容された後の任意の時点で取り付けられる。
【0070】
手ぶれ補正モジュール(20、30、40及び50)は、その内部に光学モジュール10がカートリッジ方式で着脱自在に取り付けられるように構成される。より詳細には、光学モジュール10は、手ぶれ補正モジュールにおけるスイング運動する部分、例えばヒンジ部材40の上側部分41に着脱自在に取り付けられる。このように、手ぶれ補正モジュールに光学モジュール10をカートリッジ方式で着脱自在に取り付けるように構成すれば、組立て性が向上すると共に、同一寸法規格の様々な光学モジュールに対して、様々な手ぶれ補正機能を適用することが可能となる。
【0071】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、本技術分野の当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することが可能であろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるものである。