特許第5820145号(P5820145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5820145-ダイヤフラムポンプ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820145
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】ダイヤフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 45/04 20060101AFI20151104BHJP
【FI】
   F04B45/04 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-113116(P2011-113116)
(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公開番号】特開2012-241636(P2012-241636A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000121833
【氏名又は名称】応研精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 てっぺい
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−507658(JP,A)
【文献】 特開2004−100584(JP,A)
【文献】 特開2004−251215(JP,A)
【文献】 特開平7−293450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムによって形成され拡縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体と、前記ダイヤフラムを作動させ前記ポンプ室を拡縮させるモータと、このモータが外側に取り付けられたケースとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、
流体が前記ポンプ室へ流入されるまでの吸入側経路の途中に、前記ケース内の空間と隔絶されるようにケース内に臨む密閉された消音室を備えたことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記ダイヤフラムを保持するダイヤフラムホルダーと、前記吸入用弁体によって開閉される吸入孔および前記吐出用弁体によって開閉される吐出孔が形成された隔壁体とを備え、
前記消音室は前記ダイヤフラムホルダーに一体に設けられ、
前記吸入側経路は、前記消音室に流体を流入させるために前記隔壁体および前記ダイヤフラムに設けられ互いに連通する第1の連通孔と、前記消音室から前記ポンプ室に流体を流入させるために前記ダイヤフラムおよび前記隔壁体に設けられ互いに連通する第2の連通孔とを備えることを特徴とする請求項1記載のダイヤフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血圧計や家電製品等に流体を供給するダイヤフラムポンプに関し、特に吸入音に起因する騒音の低減を図ったダイヤフラムポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のダイヤフラムポンプとしては、特許文献1に提案されたものがある。この特許文献1に提案されたものは、ポンプ室内に流体を吸入させる吸入孔が設けられたバルブハウジングと蓋体との間に密閉された消音室を設け、ケースに設けた通気口からケース内に流入させた流体を、蓋体、バルブハウジング、ケースを積層状態で固定するねじを挿通させるばか穴を通して消音室に導くものである。この特許文献1によれば、ケース内の空間が消音室として機能するため、消音室を二つ備えたこととなり、消音効果が増大するだけではなく、ケースをそのまま消音室として利用することができるため、ポンプ全体の大きさを変えることなく小型のポンプを提供できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4074980号公報(段落〔0019〕〜〔0032〕および図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような従来のダイヤフラムポンプにおいては、ケース内の空間をそのまま消音室として利用しているためケース内の空間が流体の経路となるから、ポンプを駆動するモータのブラシによる摩耗粉がケース内に侵入している場合は、この摩耗粉が流体と一緒に吐出口から吐出されてしまうおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、モータのブラシによる摩耗粉が流体と一緒に吐出口から吐出されないようにした上に騒音対策を講じたダイヤフラムポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、ダイヤフラムによって形成され拡縮するポンプ室と、このポンプ室に流体を吸入するための吸入通路と、前記ポンプ室の流体を吐出するための吐出通路と、前記吸入通路に設けられ前記ポンプ室から当該吸入通路への流体の逆流を規制する吸入用弁体と、前記吐出通路に設けられ当該吐出通路から前記ポンプ室への流体の逆流を規制する吐出用弁体と、前記ダイヤフラムを作動させ前記ポンプ室を拡縮させるモータと、このモータが外側に取り付けられたケースとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、流体が前記ポンプ室へ流入されるまでの吸入側経路中に、前記ケース内の空間と隔絶されるようにケース内に臨む密閉された消音室を備えたものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記ダイヤフラムを保持するダイヤフラムホルダーと、前記吸入用弁体によって開閉される吸入孔および前記吐出用弁体によって開閉される吐出孔が形成された隔壁体とを備え、前記消音室は前記ダイヤフラムホルダーに一体に設けられ、前記吸入側経路は、前記消音室に流体を流入させるために前記隔壁体および前記ダイヤフラムに設けられ互いに連通する第1の連通孔と、前記消音室から前記ポンプ室に流体を流入させるために前記ダイヤフラムおよび前記隔壁体に設けられ互いに連通する第2の連通孔とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消音室がケース内の空間と隔絶した構造となっているため、モータのブラシ粉が消音室内に混入するようなことがないから、このダイヤフラムポンプから流体が供給される加圧対象物に悪影響を及ぼすようなことがない。
【0009】
前記発明のうちの一つの発明によれば、消音室をケースの空きスペースに設けたことにより、消音室を設けるための新たなスペースを必要としないため、ダイヤフラムポンプの小型化を図ることができる。また、ケースの空きスペースを利用することで、消音室の容量を比較的大きくすることができるため、より顕著な消音効果が得られる。さらに、ダイヤフラムポンプ内に吸入した流体をすぐに消音室に導くようにしたことにより、吸入音による騒音の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
図2】本発明に係るダイヤフラムポンプを分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。なお、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうものであって、本発明に係るダイヤフラムポンプを実際に使用する際の上・下とは必ずしも一致するものではない。
【0012】
図1および図2に、全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、駆動源であるモータ2を備えている。このモータ2は、有底円筒状に形成されたケース3の底部3aの外側に、出力軸2aが底部3aに設けた軸孔からケース3内に臨むように、ボルト4によって取り付けられている。ケース3は上方が開口され開口部3bが設けられており、周面には円周方向に互いに等間隔をおいた三つの溝3cが上下方向に延在し、この溝3cには段部3dが形成されている。
【0013】
図1において、5は略円柱状に形成されたクランク台であって、中央部にモータ2の出力軸2aが固定され、出力軸2aと一体的に回転する。6は駆動軸であって、下端部がクランク台5の出力軸2aが取り付けられた部位から偏心した部位に傾斜した状態で取り付けられている。
【0014】
7は中央部に非貫通穴7aが設けられた駆動体であって、上端部に平面視における円周方向に互いに等角度(120°)をおいて、非貫通穴7aと直交する方向に突設された三つの駆動子7bが一体に設けられている。これら駆動子7bは揺動端部側に向かっていずれも同じ角度だけ下方にわずかに傾斜するように形成され、各揺動端部にはダイヤフラム部取付孔7cが設けられている。
【0015】
この駆動体7は、非貫通穴7aに駆動軸6の上部が嵌挿されることにより、この駆動軸6に回転自在に枢支されており、モータ2を駆動させることによりクランク台5を回転させると、駆動軸6を介して三つの駆動子7bの揺動端部が順次上下方向に揺動する。
【0016】
8は略円筒状に形成されたダイヤフラムホルダーであって、図2に示すように内部に円筒状に形成された三つの保持筒8aが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて一体に設けられている。また、このダイヤフラムホルダー8の周縁部であって、互いに隣接する保持筒8a,8a間には、上部が開口され有底筒状に形成された三つの消音室9A,9B,9Cが保持筒8aと一体に下方に向かって突設している。
【0017】
さらに、このダイヤフラムホルダー8の中央部には、三つの消音室9A,9B,9C間を互いに連通する三つの連通溝10A,10B,10Cが、互いに隣接する保持筒8a,8a間に設けられている。これら三つの連通溝10A,10B,10Cは、ダイヤフラムホルダー8の中心から半径方向に向かって放射状に延設され、円周方向に互いに等角度(120°)をなして平面視Y字状を呈するように形成されている。また、このダイヤフラムホルダー8の周部には、上下方向に延在する三つの溝8bが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0018】
11はゴム等の柔軟性を有する材料によって略円板状に形成されたダイヤフラムであって、薄肉状に形成された三つのダイヤフラム部11aが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。このダイヤフラム部11aの下部にはピストン部11bが一体に設けられ、ピストン部11bの下端には細径部11cが一体に設けられている。
【0019】
ダイヤフラム11の周縁部であって、互いに隣接するダイヤフラム部11a,11a間には、第1の連通孔12Aおよび第2の連通孔12B,12Cが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。また、ダイヤフラム11の周部には、半円形の三つの切欠き11dが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられている。
【0020】
13は略円板状に形成された隔壁体としてのバルブホルダーであって、外周縁に円筒部13aが一体に立設され、この円筒部13aの円周方向に互いに等角度(120°)をおいた部位には、三つの切欠き13bが形成されている。また、円筒部13aの内周縁には、第1の連通孔14Aおよび第2の連通孔14B,14Cと、吸入通路としての三つの吸入孔13cとのそれぞれが、共に円周方向に互いに等角度(120°)をおいて形成されている。
【0021】
さらに、このバルブホルダー13の中央部には、図1に示すように係合凸部13dが一体に立設されており、この係合凸部13dの周りには、吐出通路としての三つの吐出孔13eが円周方向に互いに等角度(120°)をおいて設けられているとともに、仕切壁13fが円筒部13aと同心円上に一体に立設されている。
【0022】
図1において、15は吸入孔13cを開閉するアンブレラ状に形成された吸入用弁体であって、後述するポンプ室18から吸入孔13cへの流体の逆流を規制する。16は係合凸部13dに取り付けられ吐出孔13eを開閉するハット状に形成された吐出用弁体であって、後述する吐出空間20からポンプ室18への流体の逆流を規制する。
【0023】
図1において、17は逆有底円筒状に形成された蓋体であって、外周縁に円筒部17aが下方に向かって一体に突設され、中央部に円筒部17aと同心円上の平面視リング状の仕切壁17bが下方に向かって一体に突設されている。この蓋体17の天井部の中央部には、吐出口17cが形成された吐出用筒部17dが一体に立設されており、天井部の周縁の一部には、吸入口17eが形成された吸入用筒部17fが一体に立設されている。また、円筒部17aには、段部17gが形成され円周方向に互いに等間隔(120°)をおいた三つの溝17hが設けられている。
【0024】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプの組立方法について説明する。予め、駆動軸6をクランク台5に軸着しておき、ケース3にボルト4によってモータ2を取り付け、このモータ2の出力軸2aにクランク台5を固定する。また、バルブホルダー13に吸入用弁体15を取り付けるとともに、係合凸部13dに吐出用弁体16を取り付けておく。
【0025】
次いで、ダイヤフラム11のダイヤフラム部11aのそれぞれをダイヤフラムホルダー8の各保持筒8a内に挿入して、ダイヤフラム11をダイヤフラムホルダー8上に載置する。次いで、各ピストン部11bの細径部11cを駆動体7の各駆動子7bの取付孔7cに取り付ける。この状態で、ダイヤフラム11の切欠き11dのそれぞれとダイヤフラムホルダー8の各溝8bが対応するとともに、ダイヤフラム11の第1の連通孔12Aおよび第2の連通孔12B,12Cのそれぞれとダイヤフラムホルダー8の各消音室9A,9B,9Cが対向する。
【0026】
次いで、駆動体7の非貫通穴7aに駆動軸6の上部を嵌挿させ、ダイヤフラムホルダー8の溝8bのそれぞれとケース3の各溝3cとを対応させるように、ケース3上にダイヤフラムホルダー8を載置する。さらに、バルブホルダー13の切欠き13bのそれぞれをダイヤフラム11の各切欠き11dに対応させるようにして、バルブホルダー13をダイヤフラム11上に載置する。
【0027】
この状態で、バルブホルダー13の連通孔14A,14B,14Cのそれぞれが、ダイヤフラム11の各連通孔12A,12B,12Cおよびダイヤフラムホルダー8の消音室9A,9B,9Cの開口部のそれぞれに対向する。同時に、バルブホルダー13とダイヤフラム11の各ダイヤフラム部11aとによって、三つのポンプ室18が形成され、各ポンプ室18にバルブホルダー13の三組の吸入口13cおよび吐出口13eが対応する。また、消音室9A,9B,9Cは、図1に示すようにダイヤフラム11およびバルブホルダー13によって上部の開口が閉塞され密閉状態となって、略全体がケース3内に臨んでいる。
【0028】
次いで、蓋体17の吸入用筒部17fとバルブホルダー13の第1の連通孔14Aとを対向させるように、蓋体17をバルブホルダー13上に載置する。この状態で、図1に示すように互いの円筒部13a,17aが対向するとともに、互いの仕切壁13f,17bが対接する。この状態で、蓋体17とバルブホルダー13との間に、バルブホルダー13の第2の連通孔14B,14Cと三つのポンプ室18の各吸入孔13cとを連通させる平面視リング状の吸入空間19が形成されるとともに、仕切壁13f,17bに囲まれ蓋体17の吐出口17cと三つのポンプ室18の各吐出孔13eとを連通させる吐出空間20が形成される。
【0029】
この状態で、ケース3の溝3c、ダイヤフラムホルダー8の溝8b、ダイヤフラム11の切欠き11d、バルブホルダー13の切欠き13bおよび蓋体17の溝17hを通したばね(図示せず)の上下端部のそれぞれを蓋体17の溝17hの段部17gとケース3の溝3cの段部3dに係合させることにより、ケース3、ダイヤフラムホルダー8、ダイヤフラム11、バルブホルダー13および蓋体17が積層状態でばねによって一体化される。
【0030】
次に、このように構成されたダイヤフラムポンプにおけるポンプ作用について説明する。モータ2を駆動し、出力軸2aを介してクランク台5を回転させると、駆動体6の三つの駆動子7bのそれぞれの揺動端部が順次上下方向に揺動する。一つ目の駆動子7bの揺動端部が下方に移動すると、ピストン部11bを介して一つ目のポンプ室18が拡張するので、そのポンプ室18内のエアーが負圧状態になる。
【0031】
したがって、吸入用弁体15による吸入孔13cの閉塞が解除され吸入孔13cが開放される。この状態で、外部の大気から蓋体17の吸入口17eを通って吸入されたエアーは、バルブホルダー13の第1の連通孔14A、ダイヤフラム11の第1の連通孔12Aを通ってダイヤフラムホルダー8の消音室9A内に流入する。
【0032】
消音室9A内に流入したエアーは、連通溝10Aを通って、二つの連通溝10B,10Cに分岐され、再度消音室9B,9Cのそれぞれに流入した後、ダイヤフラム11の第2の連通孔12B,12C、バルブホルダー13の第2の連通孔14B,14Cを通って、吸入空間19に流入する。吸入空間19に流入したエアーは、開放された吸入孔13cを通って拡張した一つ目のポンプ室18内に流入する。すなわち、消音室9A,9B,9Cは、吸入口17eからポンプ室18までの第1の連通孔14A,12A、連通溝10A,10B,10C、第2の連通孔12B,12C,14B,14Cおよび吸入空間19によって構成される吸入経路側に設けられている。
【0033】
次に、拡張した一つ目のポンプ室18の駆動子7bの揺動端部が上方に移動すると、一つ目のポンプ室18は収縮するから、一つ目のポンプ室18内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体16による吐出孔13eの閉塞が解除され吐出孔13eが開放されるから、一つ目のポンプ室18内のエアーは吐出孔13eから吐出空間20を介して吐出口17cを通って、エアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。
【0034】
さらに、出力軸2aを介してクランク台5が回転し、二つ目の駆動子7bの揺動端部が下方に移動することにより二つ目のポンプ室18が拡張するので、そのポンプ室18内のエアーが負圧状態になる。したがって、外部の大気から蓋体17の吸入口17eを通って吸入されたエアーは、バルブホルダー13の第1の連通孔14A、ダイヤフラム11の第1の連通孔12Aを通ってダイヤフラムホルダー8の消音室9A内に流入する。
【0035】
消音室9A内に流入したエアーは、連通溝10Aを通って、二つの連通溝10B,10Cに分岐され、再度消音室9B,9Cのそれぞれに流入した後、ダイヤフラム11の第2の連通孔12B,12C、バルブホルダー13の第2の連通孔14B,14Cを通って、吸入空間19に流入する。吸入空間19に流入したエアーは、開放された吸入孔13cを通って拡張した二つ目のポンプ室18内に流入する。
【0036】
次に、拡張した二つ目のポンプ室18の駆動子7bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室18は収縮するから、ポンプ室18内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体16による吐出孔13eの閉塞が解除され吐出孔13eが開放されるから、ポンプ室18内のエアーは吐出孔13eから吐出空間20を介して吐出口17cを通って、エアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。
【0037】
さらに、出力軸2aを介してクランク台5が回転し、三つ目の駆動子7bの揺動端部が下方に移動することにより三つ目のポンプ室18が拡張するので、そのポンプ室18内のエアーが負圧状態になる。したがって、外部の大気から蓋体17の吸入口17eを通って吸入されたエアーは、バルブホルダー13の第1の連通孔14A、ダイヤフラム11の第1の連通孔12Aを通ってダイヤフラムホルダー8の消音室9A内に流入する。
【0038】
消音室9A内に流入したエアーは、連通溝10Aを通って、二つの連通溝10B,10Cに分岐され、再度消音室9B,9Cのそれぞれに流入した後、ダイヤフラム11の第2の連通孔12B,12C、バルブホルダー13の第2の連通孔14B,14Cを通って、吸入空間19に流入する。吸入空間19に流入したエアーは、開放された吸入孔13cを通って拡張した三つ目のポンプ室18内に流入する。
【0039】
次に、拡張した三つ目のポンプ室18の駆動子7bの揺動端部が上方に移動すると、ポンプ室18は収縮するから、三つ目のポンプ室18内のエアーの圧力が高くなり、吐出用弁体16による吐出孔13eの閉塞が解除され吐出孔13eが開放されるから、ポンプ室18内のエアーは吐出孔13eから吐出空間20を介して吐出口17cを通って、エアーチューブ(図示せず)等に接続された加圧対象物に供給される。このように、三つのポンプ室18が順次拡縮動作をするので、吐出孔17cから加圧対象物に脈動流の少ないエアーが連続的に供給される。
【0040】
本発明によれば、流体の通路の途中に消音室9A,9B,9Cを設けたことにより消音効果が得られ、この消音効果は、一度消音室9A内に通した流体を再度消音室9B,9C内を通すことでより一層高められる。また、消音室9A,9B,9Cをケース3の空きスペースを利用して設けたことにより、消音室9A,9B,9Cを設けるための新たなスペースを必要としないため、ダイヤフラムポンプ1の小型化を図ることができる。
【0041】
また、ケース3の空きスペースを利用することで、消音室9A,9B,9Cの容量を比較的大きくすることができるため、より顕著な消音効果が得られる。また、吸入口17eからダイヤフラムポンプ1内に吸入した流体をすぐに消音室9Aに導くようにしたことにより,吸入音による騒音の低減を図ることができる。
【0042】
また、消音室9A,9B,9Cがケース3内の空間と隔絶した構造となっているため、ケース3内に侵入したモータ2のブラシ粉が消音室9A,9B,9C内に混入するようなことがないから、このダイヤフラムポンプ1から流体が供給される加圧対象物に悪影響を及ぼすようなことがない。
【0043】
なお、本実施の形態においては、ポンプ室18を三つ備えた、いわゆる三気筒の例を挙げたが、二気筒以下または四気筒以上のダイヤフラムポンプに適用できることは勿論である。また、吸入用弁体15および吐出用弁体16をダイヤフラム11と別体に設けた例を説明したが、ダイヤフラム11に一体に形成されたものでもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…ダイヤフラムポンプ、2…モータ、3…ケース、8…ダイヤフラムホルダー、9A,9B,9C…消音室、11…ダイヤフラム、11a…ダイヤフラム部、12A,14A…第1の連通孔、12B,12C,14B,14C…第2の連通孔、13…バルブホルダー(隔壁体)、13c…吸入孔、13e…吐出孔、15…吸入用弁体、16…吐出用弁体、17…蓋体、18…ポンプ室、19…吸入用空間、20…吐出用空間。
図1
図2