特許第5820377号(P5820377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5820377-低曲げ損失の光ファイバ 図000014
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5820377
(24)【登録日】2015年10月9日
(45)【発行日】2015年11月24日
(54)【発明の名称】低曲げ損失の光ファイバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/036 20060101AFI20151104BHJP
【FI】
   G02B6/036
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-528836(P2012-528836)
(86)(22)【出願日】2010年9月2日
(65)【公表番号】特表2013-504785(P2013-504785A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】US2010047610
(87)【国際公開番号】WO2011031612
(87)【国際公開日】20110317
【審査請求日】2013年8月29日
(31)【優先権主張番号】61/241,636
(32)【優先日】2009年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/773,358
(32)【優先日】2010年5月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ブックバインダー,ダナ シー
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミン−ジュン
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカー
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/104724(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/092794(WO,A1)
【文献】 特開2002−107555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02−6/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率デルタパーセントΔ1を含む中央のガラスコア領域と、
屈折率デルタパーセントΔ2を含む、前記コアを取り囲む第1の内部環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ3を含み、前記内部環状領域を取り囲み、内径r、外径rである屈折率低下環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ4を含む、前記屈折率低下環状領域を取り囲む第3の環状領域と、
を備えた光ファイバであって、
Δ1>Δ4>Δ2>Δ3であり、
Δ4とΔ2の差が0.01より大きく、
プロファイル体積V3が、次に等しく:
【数1】
ここで、
|V3|が少なくとも60%Δμm2であり、
前記第3の環状領域が、1000ppmを超える量のClを含み、
前記ファイバが1260nm未満の22mケーブル・カットオフを示す、
光ファイバ。
【請求項2】
前記ファイバが、波長1550nmにおいて、直径10mmのマンドレルに巻き付けた場合に、0.2dB/turn未満の曲げ損失を示すことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
【請求項3】
Δ4とΔ2の差が0.05より大きいことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記第3の環状領域4の体積V4が、環状領域4の内径から、前記ファイバの中心線からの半径方向距離30μmにわたって計算される場合に、次に等しく:
【数2】
5%Δμm2を超えることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記ファイバが、少なくとも70%Δμm2のプロファイル体積|V3|を含むことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
【請求項6】
前記ファイバが、直径10mmのマンドレルにおいて、0.1dB/turn未満の1550nmの波長における曲げ損失を示すことを特徴とする請求項5記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記第3の環状領域が2000ppmを超える量のClを含むことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
【請求項8】
屈折率デルタパーセントΔ1を含む中央のガラスコア領域と
屈折率デルタパーセントΔ2を含む、前記コアを取り囲む第1の内部環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ3を含み、前記内部環状領域を取り囲み、内径r、外径rである屈折率低下環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ4を含む、前記屈折率低下環状領域を取り囲む第3の環状領域と、
を備えた光ファイバであって、
前記屈折率低下環状領域が、次式に等しいプロファイル体積V3を有し:
【数3】
ここで、
Δ1>Δ4>Δ2>Δ3であり、
Δ4とΔ2の差が0.01より大きく、
|V3|が少なくとも60%Δμm2であり、
前記中央のガラスコア領域が、波長1310nmにおいて、8.2μmを超えるモード・フィールド径を生じるのに十分な屈折率デルタパーセントΔ1および半径r1を含み、
前記第3の環状領域が、1000ppmを超える量のClを含み、
Δ4とΔ2の差の大きさおよび|V3|の大きさが、両方とも、1260nm未満の22mケーブル・カットオフおよび直径10mmのマンドレルにおける0.2dB/turn未満の1550nm波長における曲げ損失を生じるのに十分に大きい
ことを特徴とする、光ファイバ。
【請求項9】
波長1550nmにおいて、直径10mmのマンドレルにおける0.1dB/turn未満の曲げ損失をさらに含むことを特徴とする請求項8記載の光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、内容が信頼に値し、参照することによってその全体が本願に援用される、2009年9月11日に出願した米国仮特許出願第61/241,636号および「低曲げ損失の光ファイバ(Low Bend Loss Optical Fiber)」という発明の名称で2010年5月4日に出願した米国特許出願第12/773,358号の利益および優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバに関し、さらに詳細には、1550nmにおいて低い曲げ損失を有する単一モード光ファイバに関する。
【背景技術】
【0003】
低曲げ損失の光ファイバは、据え付け費用を軽減することができることから、家庭用のファイバとして魅力的である。曲げ損失を低減するため、フッ素をドープした環状またはランダムに分布した空隙を有するプロファイル設計が提案されている。しかしながら、曲げに強い(bend insensitive)ファイバを達成すると同時に、G.652に準拠した、または他のファイバ規格(MFD、ケーブル・カットオフ、分散など)を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書では、
最大屈折率デルタパーセントΔ1を含む中央のガラスコア領域と、
屈折率デルタパーセントΔ2を含む、前記コアを取り囲む第1の内部環状領域と、
Δ3を含む、前記内部環状領域を取り囲む屈折率低下環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ4を含む、前記屈折率低下環状領域を取り囲む第3の環状領域と、
を備えた、
Δ1MAX>Δ4>Δ2>Δ3である、単一モード光ファイバが開示される。屈折率低下領域はプロファイル体積V3を含み、次式に等しい:
【数1】
【0005】
一部の実施の形態ではΔ4とΔ2の差は0.01より大きく、プロファイル体積|V3|の大きさは、少なくとも60%Δμm2である。ファイバは、1260nm未満のケーブル・カットオフ、および、直径10mmのマンドレルに巻き付けた場合に、0.2dB/turn未満、さらに好ましくは0.1dB/turn未満、さらになお好ましくは0.075dB/turn未満、最も好ましくは0.05dB/turn未満の、1550nmにおける曲げ損失を示すことが好ましい。
【0006】
一部の好ましい実施の形態では、ファイバ・コアの屈折率プロファイルは、ファイバが1300〜1324nmのゼロ分散波長、1310nmにおける8.2〜9.5μmのモード・フィールド径、および1260nm未満のケーブル・カットオフを示すように設計される。
【0007】
光ファイバは、
最大屈折率デルタパーセントΔ1を含む中央のガラスコア領域と、
屈折率デルタパーセントΔ2を含む、前記コアを取り囲む第1の内部環状領域と、
Δ3を含む、前記内部環状領域を取り囲む屈折率低下環状領域と、
屈折率デルタパーセントΔ4を含む、前記屈折率低下環状領域を取り囲む第3の環状領域と、
を備え;
前記屈折率低下環状領域は、次式に等しいプロファイル体積V3を有し:
【数2】
【0008】
ここで、
中央のガラスコア領域は、1310nmにおいて8.2μmを超えるモード・フィールド径を生じるのに十分な最大屈折率デルタパーセントΔ1および半径r1を含み、
Δ4とΔ2の差の大きさおよび|V3|の大きさは、両方とも、1260nm未満の22mケーブル・カットオフ、および、直径10mmのマンドレルに巻き付けた場合に0.2dB/turn未満、さらに好ましくは0.1dB/turn未満、さらになお好ましくは0.075dB/turn未満、最も好ましくは0.05dB/turn未満の、1550nmにおける曲げ損失を生じるのに十分に大きい。Δ4とΔ2の差の大きさは、好ましくは0.01より大きく、さらに好ましくは0.02より大きく、さらになお好ましくは0.05を超える。一部の実施の形態ではΔ4とΔ2の差は0.08より大きい。Δ4とΔ2の差は0.1未満が好ましい。一部の実施の形態では、Δ4とΔ2の差は0.01より大きく、0.1未満であることが好ましい。一部の実施の形態ではΔ4とΔ2の差は0.01より大きく、約0.05未満であることが好ましい。屈折率低下環状領域は、|V3|が少なくとも60%Δμm2であるプロファイル体積V3を有することが好ましく、約65%Δμm2よりも大きいプロファイル体積V3を有することがさらに好ましく、一部の事例では、約70%Δμm2または80%Δμm2を超える。一部の実施の形態では、屈折率低下環状領域は、|V3|が約120%Δμm2未満、さらに好ましくは約100%Δμm2未満になるように、体積V3を特徴づける。
【0009】
追加の特徴および利点は、後述する詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者には容易に明白となり、あるいは、後述の詳細な説明ならびに添付の特許請求の範囲および図面を含めた本明細書に記載される実施の形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
当然ながら、前述の概要および後述する詳細な説明は単なる典型例であって、特許請求の範囲に記載の発明の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を例証し、その説明とともに、さまざまな実施の形態の原理および動作を説明する役割をする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】光ファイバの1つの典型的な実施の形態の典型的な屈折率プロファイルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
これから、添付の図面に例証される本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。可能な場合には、図面全体にわたり、同一または同様の部分の参照には、同一の参照番号が用いられる。
【0013】
「屈折率プロファイル」とは、屈折率または相対屈折率と導波管ファイバの半径との関係である。
【0014】
「相対屈折率パーセント」はΔ%=100×(ni2−nc2)/2ni2と定義され、本明細書においてncは非ドープシリカの平均屈折率である。本明細書では、相対屈折率はΔで表わされ、その値は、他に特に規定がなければ「%」単位で与えられる。ある領域の屈折率が非ドープシリカの平均屈折率未満の場合には、その相対屈折率パーセントは負の値となり、屈折率低下領域または低下した屈折率を有すると称される。ある領域の屈折率がクラッディング領域の平均屈折率より大きい場合には、その相対屈折率パーセントは正の値となる。「アップドーパント」は、本明細書では、純粋なドープされていないSiO2と比較して屈折率を上昇させる傾向を有するドーパントとみなされる。「ダウンドーパント」は、ここでは、純粋なドープされていないSiO2と比較して屈折率を低下させる傾向を有するドーパントとみなされる。アップドーパントの例としては、GeO2、Al23、P25、TiO、Cl、Brが挙げられる。ダウンドーパントの例としては、フッ素およびホウ素が挙げられる。
【0015】
「波長分散」とは、本明細書では、他に特記されない限り、材料分散、導波管分散、および多モード分散を合計した、導波管ファイバの「分散」のことをいう。単一モード導波管ファイバの場合には、多モード分散はゼロである。分散勾配とは波長に関する分散の変化率である。
【0016】
「α−プロファイル」または「アルファ・プロファイル」という用語は、「%」単位のΔ(r)を用いて表わされる相対屈折率プロファイルのことをいい、rは、次式に従った半径であり:
Δ(r)=Δ(ro)(1−[|r−ro|/(r1−ro)]α
ここで、roはΔ(r)が最大になる地点であり、r1はΔ(r)%がゼロになる地点であり、rは範囲ri<r<rf であり、Δは先に定義されており、riはα−プロファイルの開始点であり、rfはα−プロファイルの終了点であり、αは実数の指数である。
【0017】
モード・フィールド直径(MFD)は、ピーターマンII法(Peterman II method)を用いて測定され、ここで、2w=MFD、およびw2=(2∫f2 r dr/∫[df/dr]2 r dr)、積分限界は0から∞である。
【0018】
導波管ファイバの曲げ抵抗は、規定の試験条件下で減衰を誘起することによって評価することができ、例えば、6mm、10mm、または20mmまたは同様の直径のマンドレルの周囲に1回巻き付けるなど(例えば 「直径1×10mmのマクロの曲げ損失」または「直径1×20mmのマクロの曲げ損失」)、例えば規定の直径のマンドレルの周りにファイバを配置または巻き付けて、巻き付け回(turn)あたりの減衰の増大を測定することによって評価される。
【0019】
ファイバ・カットオフは、標準的な2mのファイバ・カットオフ試験、FOTP−80(EIA−TIA−455−80)によって測定され、「2mファイバ・カットオフ」または「測定カットオフ」としても知られる、「ファイバ・カットオフ波長」が与えられる。FOTP−80標準試験は、制限量の曲げを利用して高次モードをストリッピングするか、またはファイバのスペクトル応答を多モードファイバに対して正規化することによって行われる。
【0020】
ケーブル化カットオフ波長、または「ケーブル化カットオフ」とは、本明細書では、EIA−445光ファイバ試験手順に記載される22mケーブル化カットオフ試験を意味し、これは、EIA−TIA光ファイバ基準、すなわち、通常はFOTPとして知られる、米国電子工業会−電気通信工業会の光ファイバ基準の一部である。
【0021】
最大屈折率デルタパーセントΔ1を含む中央のガラスコア領域1を有する、典型的なファイバ10の1つを図1に示す。第1の内部環状領域2は中央コア領域1を取り囲み、屈折率デルタパーセントΔ2を含む。屈折率低下環状領域3は第1の内部環状領域2を取り囲み、Δ3を含む。第3の環状領域4は屈折率低下環状領域3を取り囲み、屈折率デルタパーセントΔ4を含む。好ましい実施の形態では、Δ1>Δ4>Δ2>Δ3である。図1に示す実施の形態では、領域1、2、3、および4は、互いに直接隣接している。しかしながら、このことは必ずしも必要ではなく、代わりに追加のコアまたはクラッディング領域が採用されていてもよい。例えば、環状領域4を取り囲み、環状領域4よりも低い屈折率デルタパーセントΔ5を含む外側のクラッディング領域が用いられていてもよい(図示せず)。
【0022】
中央コア領域1は、該中央コア領域1の屈折率の最大傾斜を通る接線がゼロデルタ線と交差するところと定義される、外径r1を含む。コア領域1は、約0.3〜0.5の屈折率デルタパーセントΔ1を示すことが好ましく、約0.32〜0.45であることがさらに好ましい。一部の実施の形態では、Δ1は、0.32〜0.40であることが好ましい。コア半径r1は、3〜5μmであることが好ましく、約3.5〜4.5μmであることがさらに好ましい。中央コア領域1は、約10〜100のαを含むことが好ましい。
【0023】
図1に示す実施の形態では、第1の環状領域2が中央コア領域1を取り囲み、かつ、内径r1および外径r2を含み1は上記のように定義され、r2は、環状領域3の内側の屈折率部分の屈折率の最大傾斜を通る接線がゼロデルタ線と交わる地点と定義される。一部の事例では、領域2の屈折率は本質的にフラットである。他の事例では、勾配屈折率プロファイルが存在しうる。さらに他の事例では、プロファイル設計またはプロセスの小幅な変化の結果としての変動も存在しうる。一部の実施の形態では、第1の環状部分は、フッ素または酸化ゲルマニウムが実質的にアップドープされていないシリカを含む、すなわち、その領域がフッ素および酸化ゲルマニウムを実質的に含まないようにする。第1の環状領域2は、屈折率デルタパーセントΔ2を含み、これは、次式を利用して計算される:
【数3】
【0024】
第1の内部環状領域は、好ましくは、約4〜10μm、さらに好ましくは約5〜7μmの幅を示す。内部環状領域2の半径r2に対するコア半径r1の比は、好ましくは約0.35〜0.55、さらに好ましくは約0.40〜0.50である。
【0025】
屈折率低下環状領域3は内径r2および外径r3を有し、r3は屈折率低下環状領域3と第3の環状領域4との境界地点として定義され、ここで、相対屈折率の差異Δ(r)の半径プロファイルの微分値dΔ(r)/dr(「r」は半径を表す)は最大である。屈折率低下環状領域3は、好ましくは、約−0.3から−1のデルタパーセントを含み、さらに好ましくは−0.35から−0.7、最も好ましくは−0.4から−0.6のデルタパーセントを含む。
【0026】
屈折率低下領域3は、次式に等しいプロファイル体積V3を含み:
【数4】
【0027】
好ましくは、|V3|が少なくとも60%Δμm2であり、さらに好ましくは約65%Δμm2よりも大きく、一部の事例では、約70%Δμm2または80%Δμm2より大きい。一部の事例では、|V3|が120%Δμm2未満、さらに好ましくは100%Δμm2未満になるように、屈折率低下環状領域のプロファイル体積V3を維持することが望ましいであろう。屈折率低下環状領域3は、r2とr3の間の、∫Δ(3)dr/(r3−r2)で計算される屈折率デルタパーセントΔ3を含む。屈折率低下環状部分は、例えば、複数の空隙を含むガラス、または、フッ素、ホウ素またはそれらの混合物などのダウンドーパントをドープしたガラス、あるいは、これらのダウンドーパントの1種類以上をドープしたガラス、および、追加として、複数の空隙を含むガラスを含む。一部の好ましい実施の形態では、屈折率低下環状部分は、フッ素をドープしたシリカガラスからなる。クラッディングが空隙を含む場合、空隙は、一部の実施の形態では、屈折率低下環状部分内に非周期的に配置されうる。「非周期的に配置」とは、光ファイバの断面(縦軸に垂直な断面など)をとる場合に、非周期的に配置された空隙が、ファイバの一部(例えば低下屈折率の環状領域内)にわたって無作為にまたは非周期的に分散することを意味している。ファイバの長さに沿ってさまざまな地点で取った同様の断面により、ランダムに分布した断面の孔のパターンが明らかにされる、すなわち、さまざまな断面は、さまざまな孔のパターンを有し、ここで、空隙の分布および空隙の大きさは、厳密には一致しない。つまり、空隙または空間は、非周期的である、すなわち、それらはファイバ構造内に周期的に配置されない。これらの空隙は、光ファイバの長さに沿って(すなわち縦軸に平行に)広がる(伸びる)が、伝送ファイバの典型的な長さでは、ファイバの全長にわたっては延在しない。空隙は、20メートル未満の距離で、さらに好ましくは10メートル未満の距離、さらになお好ましくは5メートル未満の距離、一部の実施の形態では1メートル未満の距離で、ファイバの長さに沿って延在すると考えられる。本明細書に開示される光ファイバは、かなりの量のガスが圧密ガラスブランクに捕捉されるのに有効なプリフォームの圧密条件を利用する方法によって製造することができ、それによって、圧密ガラスの光ファイバ・プリフォームにおける空隙の形成を生じる。これらの空隙に対し除去対策をとるのではなく、得られたプリフォームを利用して空隙を含んだ光ファイバを形成する。本明細書では、孔の直径は、光ファイバをファイバの縦軸を横切る垂直な断面で観察する場合に、孔を定義するシリカの内表面に終点が配置されている、最長の線分である。
【0028】
第3の環状領域4は屈折率低下環状領域3を取り囲み、第1の環状領域2の屈折率Δ4よりも高い屈折率デルタパーセントΔ4を含み、それによって、内部環状領域2に関して「アップドープされた」領域4を形成する。屈折率を高めるドーパントが領域4に含まれるという意味では、領域4がアップドープされることは重要ではないことに留意されたい。実際に、環状領域4における同種の「アップドープ」効果は、環状領域4に対して内部環状領域2をダウンドープすることによって達成されうる。第3の環状領域の内径r4は、高い屈折率(内部環状領域2の屈折率と比較して)が開始される地点として定義される。一部の実施の形態では、第3の環状領域4の高い屈折率領域は、r3がr4と等しくなるように、屈折率低下環状領域3が終了する地点で開始されうる。一部の他の実施の形態では、第3の環状領域4(すなわち、第1の環状領域2よりも高い屈折率を有する領域)が開始される半径方向地点r4は、屈折率低下環状領域3の外径方向点r3とは間隔が空いていてもよい。iの屈折率体積は、r4の内径と第3の環状領域4の外半径との間で、∫Δ(4)dr/∫ drによって計算される。環状領域4は、第1の内部環状領域2よりも高い屈折率を含む。好ましくは、環状領域4の高い屈折率部分(第1の内部領域2と比較して)は、少なくとも、光ファイバを通じて伝送される屈折力が伝送される屈折力の90%以上である地点に及び、さらに好ましくは光ファイバを通じて伝送される屈折力が伝送される屈折力の95%以上である地点、最も好ましくは光ファイバを通じて伝送される屈折力が伝送される屈折力の98%以上である地点にまで及ぶ。好ましい実施の形態では、「アップドープされた」第3の環状領域は、少なくとも、ファイバ内の光の大部分が、例えば、少なくとも半径方向約30μmの地点まで伝達される、外側の半径方向地点まで延在する。したがって、「アップドープされた」第3の環状領域4の内径R4と半径方向距離30μmとの間で計算された体積として定義される、第3の環状領域4の体積V4A は、次式のようになる:
【数5】
【0029】
4Aは、好ましくは5より大きく、さらに好ましくは7より大きく、一部の実施の形態では10 %Δμm2を超える。第3の環状領域4の体積V4Aは、第3の環状領域4の体積V4Bより小さくてもよく、ここで、本明細書で用いる体積V4BはR3から62.5μm(すなわち、直径125μmのファイバの外径)までとして計算される。一部の事例では、体積V4Bは80%Δμm2より大きくて差し支えなく、200%Δμm2、または300%Δμm2を超えていてもよい。
【0030】
第3の環状領域4は、図1に示すように環状領域3とは間隔が空いているか、あるいは、環状領域4は、環状領域3に直接隣接していてもよい。環状領域4は光ファイバの最も外側の半径にまで及びうる。一部の実施の形態では、第3の環状領域のΔ4は0.01パーセントを超える。一部の実施の形態では、第3の環状領域の屈折率Δ4は、内部環状領域2の屈折率と比較した場合に、0.01パーセントを超える。一部の実施の形態では、第3の環状領域は、1000重量ppmを超える量、さらに好ましくは1500重量ppmを超える量、最も好ましくは2000重量ppm(0.2%)を超える量の塩素(Cl)を含む。
【実施例】
【0031】
次の実施例によって、さまざまな実施の形態がさらに明らかにされる。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更およびバリエーションがなされうることは当業者にとって明白であろう。
【0032】
下記表には、図1に示す屈折率を有するモデル化した実例1〜18の特徴が記載されている。特に、各実施例について、中央コア領域1の屈折率デルタΔ1、α1、および外半径R1;内部環状領域2の屈折率デルタΔ2および外半径R2および幅w;第2の(屈折率低下)環状領域3の外半径R3、屈折率デルタΔ3および体積V3;第3の環状領域4の屈折率デルタΔ4、第3の環状領域4の内径R4と半径方向距離30μmとの間で計算される体積V4A、第3の環状領域4のR4から62.5μm(すなわちファイバの外径)との間で計算される体積V4Bを以下に記載する。一部の実施の形態では、R3はR4と等しい。R5はファイバの外半径である。nm単位での理論的カットオフ波長、1310nmにおけるモード・フィールド径、1310nmにおける実効面積、1310nmにおける波長分散、1310nmにおける分散勾配、1310nmにおける減衰、1550nmにおけるモード・フィールド径、1550nmにおける実効面積、1550nmにおける波長分散、1550nmにおける分散勾配、1550nmにおける減衰、および1550nmにおける、単位dB/turnでの1×10mm直径で誘起される曲げ損失についても記載する。表1では、これらの特性がモデル化されている。
【表1-1】
【表1-2】
【0033】
上に列記したファイバは、1100nm未満のモデル化した理論的カットオフ波長を示している。これらのファイバはすべて、1260nm未満のケーブル(22m)・カットオフ波長を示すであろう。OVD製造プロセスを用いて表2に記載のファイバを製造した。各ファイバはそれらの光ファイバ・プリフォームから10m/sの速度でドローされ、その上に標準的な1次的および2次的ウレタンアクリレートコーティングが塗布されている。その後、それらの特性を測定した。
【表2】
【0034】
上記表1および2並びに下記表3に見られるように、本明細書の実施例は、
屈折率デルタパーセントΔ1を有する中央のガラスコア領域
屈折率デルタパーセントΔ2を有する第1の内部環状領域
屈折率デルタパーセントΔ3を有する屈折率低下環状領域、および
屈折率デルタパーセントΔ4を有する第3の環状領域
を採用する典型的なファイバを例証しており、
ここで、
Δ1>Δ4>Δ2>Δ3であり、Δ4とΔ2の差は0.01以上であり、プロファイル体積|V3|の絶対値は少なくとも60%Δμm2である。これらのファイバは、1260nm未満のケーブル・カットオフ(1260nm未満のケーブル・カットオフ波長を示さなかった比較実施例26を除く)および、直径10mmのマンドレルに巻き付けた場合に0.2dB/turn未満の曲げ損失を示す。これらのファイバはまた、1310nmにおける8.2〜9.5μmのモード・フィールド径、1300〜1324nmのゼロ分散波長、1310nmにおける8.2〜9.5μmのモード・フィールド径、0.09ps/nm2/km未満の1310nmにおける分散勾配、および、直径10mmのマンドレルに巻き付けた場合に、0.2dB/turn未満、さらに好ましくは0.1dB/turn未満、さらになお好ましくは0.075dB/turn未満、最も好ましくは0.05dB/turn未満の、1550nmにおける曲げ損失を示す。これらのファイバはまた、直径15mmのマンドレルに巻き付けた場合に、0.05dB/turn未満、さらに好ましくは0.03dB/turn未満の1550nmにおける曲げ損失を示し、直径20mmのマンドレルでは0.03dB/turn未満、さらに好ましくは0.01dB/turn未満、ならびに、直径30mmのマンドレルにおいて0.01dB/turn未満、さらに好ましくは0.005dB/turn未満の1550nmにおける曲げ損失を示す。
【0035】
下記表3記載の次の実施例がモデル化される。これらの例ではゼロ分散波長が報告されていないが、この波長は、すべての事例において、1300〜1324nmである。
【表3】
【0036】
実施例39
図1に例証する同一の一般的な屈折率プロファイルを示す光ファイバを製造した。すなわち、ファイバは、+0.36%のΔ1、R1=4.5μmを有するステップ屈折率GeO2ドープシリカの中央コア領域1と、屈折率Δ2=0、R2=10μmを有する、非ドープシリカからなる第1の内部環状領域2と、R3=13μmの、約10μm(半径)から開始して3μmの半径方向幅(R3−R2)を有する、空隙(クリプトン・ガス)を含んだ0.6重量%のフッ素ドープシリカを含む、屈折率低下領域3を備える。第3の環状領域は、塩素をドープしたシリカガラス(OVD堆積スートの圧密の間にCl2気相ドーピングによりドープ)から形成され、それによって、+0.02%のΔ4、R4=62.5μm、約15%Δμm2のファイバの13μmにおける堀の外径から半径30μmまでのアップドープ体積V4Aを有する、アップドープした外側クラッディング領域4を形成する。ファイバのSEM断面の端面は、約125μmの外径を有する空隙を含まない純粋なシリカの外側クラッディングによって取り囲まれたクラッディング領域を含む13μmの外半径の空隙(環の厚さ約3μm)によって取り囲まれた外半径10μmの空隙のないクラッドに近い領域に取り囲まれた、半径約4.5μmのGeO2−SiO2コアを示した(半径寸法はすべて光ファイバの中心から測定した)。環状領域を含む空隙は、約6パーセントの領域面積パーセントの孔(100重量パーセントKr)を含み、その領域は、0.17μmの平均直径ならびに0.03μmの最小径および0.45μmの最大直径の孔を有し、ファイバ断面の孔の総数は約400であった。全ファイバの空隙面積の割合((孔の面積÷光ファイバ断面の総面積)×100)は約0.1パーセントであった。このファイバは、そのプリフォームから10m/sの速度でドローされ、その上に標準的な1次的および2次的ウレタンアクリレートコーティングが塗布されている。このファイバの特性は次のとおりである:1550nmにおける減衰0.204dB/km;22メートルカットオフ1250nm;1310nmにおけるモード・フィールド径8.51μm;直径10mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.004dB/turn;直径15mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.004dB/turn;直径20mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.000dB/turn;直径30mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.000dB/turn;ゼロ分散波長(λ0)1317nm;λ0における分散勾配0.090ps/nm2/km。このファイバの特性は、G.652に準拠しており、卓越した曲げ損失を有することを示している。
【0037】
実施例40(比較例)
空隙を有するがオーバークラッドがアップドープされていない、実施例27の光ファイバと同様のファイバを作製した。このファイバは、8.41μmの1310nmにおけるMFD、1355nmの22mカットオフを有し、直径10mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失は0.015dB/turnであり;直径15mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.009dB/turn;直径20mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.000dB/turn;直径30mmのマンドレルの1550nmにおける曲げ損失0.000dB/turnであり;ゼロ分散波長(λ0)は1317nmであり、λ0における分散勾配は0.090ps/nm2/kmであった。このファイバは22mカットオフのG.652基準を満たしていなかった。結果は、アップドープしたファイバ(実施例27)が、同様のMFDおよび曲げ性能を維持しつつ、105nmの低カットオフを有していたことを示している。
【0038】
当然ながら、前述の説明は単に典型例であって、特許請求の範囲に定義されるファイバの性質および特徴を理解するための概観の提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、好ましい実施の形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に取り込まれ、その一部を構成する。図面は、その説明とともに、さまざまな特性および実施の形態を例証しており、原理および動作を説明する役割を担っている。添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される好ましい実施の形態へのさまざまな変更がなされうることが、当業者にとって明白になるであろう。
図1