【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明1は、リビングラジカル重合により得られた構造制御されたブロック共重合ポリマーであって、開始剤に由来する末端から100ユニット以下のセグメントAと、前記セグメントA以外のセグメントDとからなり、前記セグメントA中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと前記セグメントD中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの比(モル比)が100〜80:0〜20である構造制御されたブロック共重合ポリマーである。
本発明2は、リビングラジカル重合により得られた構造制御されたブロック共重合ポリマーであって、開始剤に由来する末端から100ユニット以下のセグメントAと、停止反応に由来する末端から100ユニット以下のセグメントCと、前記セグメントA及びセグメントC以外のセグメントBとからなり、前記セグメントA中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと前記セグメントB中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットとの比(モル比)が100〜80:0〜20であり、かつ、前記セグメントC中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと前記セグメントB中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットとの比(モル比)が100〜80:0〜20である構造制御されたブロック共重合ポリマーである。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明者らは、リビングラジカル重合により得られた構造制御されたブロック共重合ポリマーにおいて、開始剤に由来する末端から100ユニット以下のセグメント及び/又は停止反応に由来する末端から100ユニット以下のセグメントにおける「架橋点となる官能基を有するモノマー」に由来するユニットの比率を、該末端のセグメント以外のセグメント(セグメントB又はセグメントD)に比べて大きくすることにより、粘着テープの粘着剤層を構成する粘着剤に用いた場合に、薄い粘着テープであっても剥がれにくく、被着体に対して高い定荷重剥離性と高温環境下での保持力を発揮できる粘着テープを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
これは、共重合ポリマー中における架橋基点を、ポリマー鎖の端部のごく狭い領域(セグメントA及び/又はセグメントC)に局在化させることにより、架橋する際に1分子中の架橋点間距離が長くなるため、得られる粘着テープの定荷重剥離性と保持力の両立が可能となるためと考えられる。
【0011】
上記セグメントA及びセグメントCの大きさは、100ユニット以下である。末端の100ユニット以下のごく狭い領域に架橋基点を局在化させることにより、ポリマー鎖中の架橋点間距離を拡げることが可能となり、架橋させた際にも柔軟性を付与させることができるため、得られる粘着テープの定荷重剥離性を向上させることができる。上記セグメントA及びセグメントCの大きさは90ユニット以下であることがより好ましい。
【0012】
本発明1の共重合ポリマーにおいて、上記セグメントA中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと上記セグメントD中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの比(モル比)が100〜80:0〜20である。
本発明2の共重合ポリマーにおいて、上記セグメントA中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと上記セグメントB中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの比(モル比)が100〜80:0〜20であり、かつ、上記セグメントC中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットと上記セグメントB中の架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットとの比(モル比)が100〜80:0〜20である。
このようにポリマー鎖の末端のごく狭い領域に架橋基点を局在化させることにより、得られる粘着テープの定荷重剥離性と保持力の両立が可能となる。
【0013】
上記架橋点となる官能基とは、後述する架橋剤を用いて共重合ポリマーを架橋する際に、架橋剤と反応して共有結合を形成し得る官能基を意味し、具体的には、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、アミド基等が挙げられる。これらの架橋点となる官能基は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、構造制御されたブロック共重合ポリマーのゲル分率を制御しやすい点や汎用の架橋剤を用いることができることから水酸基及び/又はカルボキシル基が好適である。例えば、水酸基をポリマー中の架橋基点とする場合には多官能イソシアネートを、また、カルボキシル基をポリマー中の架橋基点とする場合には多官能エポキシが用いられる。
【0014】
上記架橋点となる官能基を有するモノマーは、上記架橋点となる官能基とラジカル重合性基とを有するものであれば特に限定されず、例えば、上記架橋点となる官能基を有する(メタ)アクリル酸エステルやビニル化合物等が挙げられる。
水酸基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
エポキシ基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。
イソシアネート基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート等が挙げられる。
アミド基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物等が挙げられる。
【0015】
本発明1及び本発明2(以下、本発明1及び本発明2に共通する事項については、「本発明の」として説明する)の共重合ポリマー中の上記架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの含有量の好ましい下限は0.05モル%、好ましい上限は10モル%である。上記架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの含有量が0.05モル%未満であると、架橋が不十分になり、粘着テープが剥がれやすくなることがあり、10モル%を超えると、重合の制御性が悪くなって分子量分布が拡がり、粘着テープが剥がれやすくなったりすることがある。上記架橋点となる官能基を有するモノマーに由来するユニットの含有量のより好ましい下限は0.1モル%、より好ましい上限は5モル%である。
【0016】
本発明の共重合ポリマーは、上記架橋点となる官能基を有するモノマー以外のラジカル重合性モノマーに由来するユニットを有する。
上記架橋点となる官能基を有するモノマー以外のラジカル重合性モノマーとしては特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート
等が挙げられる。これらの上記架橋点となる官能基を有するモノマー以外のラジカル重合性モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明の共重合ポリマーは、重量平均分子量(Mw)の好ましい下限が30万、好ましい上限が200万である。上記重量平均分子量が30万未満であると、上記粘着剤層が柔らかくなりすぎて、耐熱性が低下することがある。上記重量平均分子量が200万を超えると、塗工時の粘度が高すぎて塗工し難くなり、粘着剤層の厚さムラを発生させてしまうことがある。本発明の共重合ポリマーの重量平均分子量(Mw)のより好ましい下限は40
万、より好ましい上限は150万である。
【0018】
本発明の共重合ポリマーは、分子量分布(Mw/Mn)が1.05〜2.5であることが好ましい。上記分子量分布が2.5を超えると、上記リビングラジカル重合において生成した低分子量成分等が増えるため、粘着テープが剥がれやすくなり、被着体に対する定荷重剥離性が低下する。上記分子量分布のより好ましい上限は2.0である。
なお、分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。
【0019】
本明細書において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパミエーションクロマトグラフィ(GPC)法によりポリスチレン換算分子量として測定される値を意味する。具体的には、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、リビングラジカル重合ポリマーをテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルターで濾過し、得られた濾液を用いてGPC法によりポリスチレン換算分子量として測定される。GPC法では、例えば、2690 Separations Model(Waters社製)等を使用できる。
【0020】
本発明の共重合ポリマーは、リビングラジカル重合により得られたものである。
リビングラジカル重合は、重合反応が停止反応又は連鎖移動反応等の副反応で妨げられることなく分子鎖が生長していく重合である。リビングラジカル重合によれば、例えばフリーラジカル重合等と比較してより均一な分子量及び組成を有するポリマーが得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができる。また、ポリマー鎖の端部のごく狭い領域にモノマー組成に偏りを持たせる(ブロック化)させることができ、ブロック化させることでポリマー鎖中の架橋点間距離を拡げることが可能となる。
なかでも有機テルル重合開始剤を用いたリビングラジカル重合により得られた共重合体が好適である。有機テルル重合開始剤を用いたリビングラジカル重合は、他のリビングラジカル重合とは異なり、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、アミド基等の官能基を有するモノマーをいずれも保護することなく、同一の開始剤で重合して均一な分子量及び組成を有するポリマーを得ることができる。このため、このような官能基を有するモノマーを容易に共重合することができる。
【0021】
上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。
上記有機テルル化合物として、例えば、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−アミノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−シアノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−(メチルテラニル−メチル)ピリジン、2−(1−メチルテラニル−エチル)ピリジン、2−(2−メチルテラニル−プロピル)ピリジン、2−メチルテラニル−エタン酸メチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−エタン酸エチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸エチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メチルテラニルアセトニトリル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル等が挙げられる。上記化合物中のメチルテラニル基は、エチルテラニル基、n−プロピルテラニル基、イソプロピルテラニル基、n−ブチルテラニル基、イソブチルテラニル基、t−ブチルテラニル基、フェニルテラニル基などであってもよく、また、これらの有機テルル化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記有機テルリド化合物として、例えば、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。これらの有機テルリド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが好ましい。
【0023】
なお、本発明の効果を損なわない範囲内で、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。上記アゾ化合物は、ラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル−1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。これらのアゾ化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記リビングラジカル重合においては、分散安定剤を用いてもよい。上記分散安定剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0025】
上記リビングラジカル重合の方法として、従来公知の方法が用いられ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。
上記リビングラジカル重合において重合溶媒を用いる場合、該重合溶媒は特に限定されず、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の非極性溶媒や、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等の高極性溶媒を用いることができる。これらの重合溶媒は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、重合温度は、重合速度の観点から0〜110℃が好ましい。
【0026】
リビングラジカル重合により本発明1の共重合ポリマーを製造する具体的な方法としては、例えば、反応容器内に上記セグメントAを構成するためのモノマー混合物を加えて重合反応を行い、モノマー消費率が90%を超えた後、上記セグメントDを構成するためのモノマー混合物を投入して重合反応を行い、モノマー消費率が90%を超えた後、反応を停止する方法が挙げられる。
リビングラジカル重合により本発明2の共重合ポリマーを製造する具体的な方法としては、例えば、反応容器内に上記セグメントAを構成するためのモノマー混合物を加えて重合反応を行い、モノマー消費率が90%を超えた後、上記セグメントBを構成するためのモノマー混合物を投入して重合反応を行い、モノマー消費率が90%を超えた後、上記セグメントCを構成するためのモノマー混合物を投入して重合反応を行い、モノマー消費率が90%を超えた後、反応を停止する方法が挙げられる。
【0027】
本発明の共重合体ポリマーを用いることにより、剥がれにくく、被着体に対して高い定荷重剥離性と高温環境下での保持力を発揮できる粘着テープを得ることができる。
本発明の共重合ポリマーと架橋剤とを含有する粘着剤もまた、本発明の1つである。
【0028】
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、粘着テープとしたときに基材に対する密着安定性に優れることから、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が好ましい。上記イソシアネート系架橋剤の市販品として、例えば、コロネートHX(日本ポリウレタン工業社製)、コロネートL(日本ポリウレタン工業社製)、マイテックNY260A(三菱化学社製)等が挙げられ、上記エポキシ系架橋剤の市販品として例えば、ビスフェノールA、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル及びテトラッドX(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
【0029】
本発明の粘着剤において、上記共重合体ポリマー100重量部に対する上記架橋剤の配合量の好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は5重量部である。上記架橋剤の配合量がこの範囲内であると、被着体に対して高い定荷重剥離性と高温環境下での保持力を発揮できる。上記架橋剤の配合量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は3重量部である。
【0030】
本発明の粘着剤は、更に、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。粘着付与樹脂を含有することにより、得られる粘着テープの被着体に対する定荷重剥離性が更に向上する。
【0031】
上記粘着付与樹脂は、水酸基価の好ましい下限が25、好ましい上限が55である。上記水酸基価が上記範囲を外れると、得られる粘着テープの被着体に対する定荷重剥離性が低下することがある。上記水酸基価のより好ましい下限は30、より好ましい上限は50である。
なお、水酸基価は、JIS K1557(無水フタル酸法)により測定できる。
【0032】
上記粘着付与樹脂は、軟化温度の好ましい下限が70℃、好ましい上限が170℃である。上記軟化温度が70℃未満であると、粘着付与樹脂が柔らかすぎて得られる粘着テープの定荷重剥離性が低下することがある。上記軟化温度が170℃を超えると、上記粘着剤層が硬くなりすぎて、得られる粘着テープが剥がれやすくなり、被着体に対する定荷重剥離性が低下することがある。上記軟化温度のより好ましい下限は120℃である。
なお、軟化温度とは、JIS K2207環球法により測定した軟化温度である。
【0033】
上記粘着付与樹脂としては特に限定されず、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでもロジンエステル系樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。
【0034】
上記ロジンエステル系樹脂とは、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂や、アビエチン酸などの樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)等を、アルコール類によってエステル化させて得られる樹脂である。エステル化に用いたアルコール類の水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されてなることで、水酸基価が上記範囲に調整されるものである。
ロジン樹脂をエステル化したものがロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化したものが不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化したものが水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化したものが重合ロジンエステル樹脂である。上記エステル化に使用されるアルコール類としては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールが挙げられる。
上記テルペンフェノール樹脂とは、フェノールの存在下においてテルペンを重合させて得られた樹脂である。
【0035】
重合ロジンエステル樹脂としては、例えば、荒川化学工業社製ペンセルD135(水酸基価45、軟化温度135℃)、同社製ペンセルD125(水酸基価34、軟化温度125℃)、同社製ペンセルD160(水酸基価42、軟化温度160℃)等が挙げられる。
水添ロジンエステル系樹脂としては、例えば、荒川化学工業社製、パインクリスタルKE−359(水酸基価42、軟化温度100℃)、同社製エステルガムH(水酸基価29、軟化温度70℃)等が挙げられる。
不均化ロジンエステル樹脂としては、例えば、荒川化学工業社製スーパーエステルA75(水酸基価23、軟化温度75℃)、同社製スーパーエステルA100(水酸基価16、軟化温度100℃)、同社製スーパーエステルA115(水酸基価19、軟化温度115℃)、同社製スーパーエステルA125(水酸基価15、軟化温度125℃)等が挙げられる。
テルペン粘着付与樹脂としては、例えば、ヤスハラケミカル社製YSポリスターG150(軟化点150℃)、同社製YSポリスターT100(軟化点100℃),同社製YSポリスターG125(軟化点125℃)、YSポリスターT115(軟化点115℃)、同社製YSポリスターT130(軟化点130℃)等が挙げられる。
【0036】
本発明の粘着剤において、上記共重合体ポリマー100重量部に対する上記粘着付与樹脂の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は40重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が5重量部未満であると、得られる粘着テープが剥がれやすくなり、被着体に対する定荷重剥離性が低下することがある。上記粘着付与樹脂の含有量が40重量部を超えても、ガラス転移温度(Tg)の上昇により上記粘着剤層が硬くなりすぎて、粘着テープが剥がれやすくなることがある。
【0037】
本発明の粘着剤は、必要に応じて、可塑剤、乳化剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料、シランカップリング剤、酸化防止剤等の添加剤等を含有していてもよい。
【0038】
本発明の粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープもまた、本発明の1つである。
本発明の粘着テープは、本発明の粘着剤を含有する粘着剤層を有することから、厚さを薄くしても剥がれにくいため、用途に応じて粘着剤層、及び、後述する基材を薄くすることができる。
【0039】
本発明の粘着テープの粘着剤層は、ゲル分率が50重量%以下であることが好ましい。上記ゲル分率が50重量%を超えると、上記粘着剤層の架橋密度が高くなりすぎて、粘着テープが剥がれやすくなり、被着体に対する定荷重剥離性が低下する。上記ゲル分率の好ましい上限は40重量%である。
なお、ゲル分率は、次のようにして測定される。まず、粘着テープを50mm×100mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0) (1)
(W0:基材の重量、W1:浸漬前の試験片の重量、W2:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0040】
上記粘着剤層の厚みは用途によって設定されるので特に限定されないが、好ましい下限は1μm、好ましい上限は100μmである。上記粘着剤層の厚みが1μm未満であると、粘着テープが剥がれやすくなり、ポリプロピレン(PP)板等の低極性被着体に対する定荷重剥離性が低下することがある。上記粘着剤層の厚みが100μmを超えると、薄い粘着テープが得られないことがある。上記粘着剤層の厚みのより好ましい上限は50μmである。
【0041】
本発明の粘着テープは、基材を有するサポートタイプであってもよいし、基材を有さないノンサポートタイプであってもよい。サポートタイプの場合には、基材の片面に本発明の粘着剤を含有する粘着剤層が形成されていてもよいし、両面に本発明の粘着剤を含有する粘着剤層が形成されていてもよい。
【0042】
上記基材は特に限定されないが、各種樹脂フィルム、各種樹脂発泡体、紙、不織布、ヤーンクロス布等が挙げられる。
上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルム、PETフィルム等のポリエステル系樹脂フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレン−アクリル酸エステル共重合体等の変性オレフィン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、シクロオレフィンポリマー樹脂フィルム等が挙げられる。
上記樹脂発泡体としては、例えば、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、アクリルフォーム、ウレタンフォーム、エチレンプロピレンゴムフォーム等が挙げられる。
ヤーンクロス布としては、例えば、ポリエチレンフラットヤーンを織ったものや、その表面に樹脂フィルムをラミネートしたもの等が挙げられる。
【0043】
本発明の粘着テープが、特にディスプレーモジュールの組み立てにおいて用いられる両面テープである場合には、光透過防止のために黒色印刷された基材、光反射性向上のために白色印刷された基材、金属蒸着されたフィルム基材等も用いることができる。
【0044】
上記基材の厚みは用途によって設定されるので特に限定されないが、例えばフィルム基材の場合では好ましい下限は1μm、好ましい上限は100μmである。上記基材の厚みが1μm未満であると、粘着テープの機械的強度が低下することがある。上記基材の厚みが100μmを超えると、粘着テープの腰が強くなりすぎて、被着体の形状に沿って密着させて貼り合わせることが困難になることがある。上記基材の厚みのより好ましい下限は5μm、より好ましい上限は75μmである。
【0045】
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、例えば、上記共重合ポリマーを含有する溶液に、架橋剤、必要に応じて配合する上記粘着付与樹脂や添加剤を加えて攪拌して粘着剤溶液を調製し、得られた粘着剤溶液を離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成し、得られた粘着剤層を基材の片面又は両面に転着させる方法や、基材に上記粘着剤溶液を直接塗工し、乾燥させる方法等が挙げられる。上記粘着剤溶液を離型処理したPETフィルムに塗工し:乾燥させて形成した粘着剤層を、基材なしでそのままノンサポートタイプの粘着テープとしてもよい。
【0046】
本発明の粘着テープは、被着体に対して高い定荷重剥離性と高温環境下での保持力を発揮することができる。
なお、粘着テープをポリカーボネート(PC)板に貼り定荷重を負荷したときの剥離距離を測定する際には、具体的には、幅20mm×50mmの裏打ちした粘着テープをポリカーボネート(PC)板に貼り、23℃50%湿度で一晩養生した後、85℃で90°の方向に50gの荷重を掛け、30分後の剥離距離を測定する。
【0047】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、画像表示装置又は入力装置を搭載した電子機器(例えば、携帯電話、携帯情報端末等)の組み立てや、自動車部品の組み立て固定のために用いられることが好ましい。